JP3934508B2 - メタル担体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、触媒コンバータのメタル担体の製造方法、特にはコアと外筒とを好適に圧入可能ならしめるメタル担体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のメタル担体の製造方法としては、例えば、特開平8−164487号公報あるいは特開2001−347371号公報等に記載の方法または特開平4−180839号公報等に記載の方法が知られている。
【0003】
前者従来公報には、金属製の帯状の薄板からなる波板と平板とを交互に積層し、これを多重に巻回して断面円形あるいは長円形状のハニカム状のコア本体を形成し、このコア本体の外周にNiろう箔材を巻回して周方向の複数箇所をスポット溶接にて仮止めしてなるコアを金属製の外筒内に圧入し、これを熱処理炉内に搬入して波板と平板との拡散接合及び外筒とコアとのろう付けを同時に行うメタル担体の製造方法が開示されている。
【0004】
後者従来公報には、スポット溶接後のコアを外筒内に軽圧入した後に外筒を縮管かしめして、同様に熱処理炉にて接合処理するメタル担体の製造方法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記前者従来技術にあっては、次の問題を有している。
すなわち、コア本体とろう箔材のスポット溶接の数が不足すると外筒への圧入時にスポット溶接間のろう箔材の端部が捲れて外筒外にはみ出し、熱処理炉内搬送時に転倒して接合不良の原因となる。
さらに加えて、前記波板や平板等にスリットを設けるタイプのメタル担体の場合には、スポット溶接部がスリットにかかるとスポット溶接部の接合不良を生じ、また、特に波板と小波板とでハニカム状のコアが形成されている場合には、波の山と谷とでできる間隙によって、スポット溶接部の不完全溶着部が多くなり、熱処理炉内で同様の問題を招来する。
この不具合を回避するために勢いスポット溶接箇所を20箇所前後とするため、このスポット溶接の工程がネックとなり、製造タクトの短縮ができない。
【0006】
一方、後者従来技術にあっては、コアと外筒とを軽圧入することによって、前者従来技術の問題を解決するものであるが、コアと外筒との密着度が悪いので、熱処理炉に搬入する前に、かしめ機を設置し外筒を外周かしめしてコアとの密着度を増すようにしているために、余分なかしめ機を設置して加工コストの増加を来たすという問題があった。
【0007】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、余分な設備追加を要することなく、コアと外筒との圧入時に捲れの発生を未然に防止するように仮止めして、以って熱処理時の接合不良を防止するメタル担体の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明請求項1に記載のメタル担体の製造方法では、少なくとも一方が波板の2種類の金属板を交互に巻上げてハニカム状に形成されたコア本体にろう箔材を巻回して仮止めしてなるコアを外筒内に挿入して外筒とコアとをろう付け接合するメタル担体の製造方法において、前記コア本体とろう箔材とを周方向にシーム溶接にて仮止めしてコアを形成し、該コアを外筒内に圧入してろう付け接合することを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載のメタル担体の製造方法において、前記シーム溶接をコアの圧入方向進行端側の外周に施すことを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明では、請求項1または請求項2に記載のメタル担体の製造方法において、前記シーム溶接をコアの外周に複数本施すことを特徴とする。
【0011】
【発明の作用および効果】
請求項1に記載の発明では、コア本体の外周にシーム溶接されたろう箔材は、喩え2種類の波板でコア本体が形成されていたとしても、また波板等にスリットが形成されていたとしても、外筒内への圧入時に捲れることなく密着して圧入される。
このため、熱処理炉内で転倒することなく確実に接着される。
また、コアと外筒との密着のための新たな設備の導入も不要となり、工程コストの上昇を招来することがない。
【0012】
請求項2に記載の発明では、シーム溶接をコアの圧入方向進行端側の外周に施すことによって、最少のシーム溶接数で圧入時の捲れの発生をより確実に防止することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明では、シーム溶接をコアの外周に複数箇所施すことによって、コアの圧入時にろう箔材の膨れが防止されるので、より強い圧入が可能となり、コアと外筒との接合がさらに確実になる。
【0014】
【発明の実施の形態】
(第1実施例)
まず、構成を説明する。
図1は本発明の工程図でコア本体の外周へのろう箔の巻付け及びシーム溶接の工程を示す。図2は図1のコアを外筒内に圧入する工程図である。図3は図2の圧入工程によって得られた本発明のメタル担体の斜視図である。
【0015】
図1、図2において、1aは金属製の波板とこの波板よりも小さな波の小波板とを交互に重ねて多重に巻回して形成されたハニカム状のコア本体で、この外周に送り装置のガイド部Gを介して送り込まれたNi製のろう箔材2が巻回されながらシーム溶接によって仮止めされる。前記ろう箔材は一般にメタル担体が排気管内に取付けられたときに下流側に位置するように巻回されるが、中央部等にも巻回される。また、本実施例のシーム溶接部Sは電極をろう箔材の外周に押し当てて通電する抵抗溶接によって行っているが、この他に、アーク溶接、電子ビーム溶接あるいはレーザービーム溶接等の溶接が適用され、本実施例のシーム溶接部Sは圧入方向先端側部S1とこれから所定の間隔をおいて中央部S2と後端側部S3との3箇所に同時に施されている。なお、複数箇所の溶接を同時に行うか別々に行うかは任意である。
【0016】
こうしてろう箔材2が仮止めされたコア1は金属製の外筒3内に図2の矢印の如く圧入される。
この圧入に際して、シーム溶接部Sは周方向に連続して形成されているので、ろう箔材2の周方向の一部が捲れて外方に突出することはなく、圧入して形成されたメタル担体4の外筒3の外にろう箔材2がはみ出すことはない。
【0017】
またシーム溶接部Sを圧入方向進行端側部S1に設けているので、圧入の食付き時にも捲れることはない。
さらに軸方向に所定の間隔をおいて中央部S2および後方端部S3にもシーム溶接部Sを設けることによって、圧入代の大きい圧入でも中間部分の膨れが防止され、コア1と外筒3の圧入後の密着が良くなり、熱処理による接着が良好になる。
【0018】
以上、本発明のメタル担体の製造方法を実施例に基づいて説明したが、本発明の作用効果を奏するシーム溶接は実施例の如く3箇所に限られるものではなく、ろう箔材の幅や圧入代を考慮して1ないし5箇所程度に設定されるが、たとえ5箇所の場合でも、スポット溶接を20箇所前後行うよりは、はるかに短時間で仮止め工程を設定できる。
また、シーム溶接は周方向に連続して行うことが好ましいが、部分的に不連続であっても本発明と同様の効果を奏するかぎり本発明の範疇にあることは言うまでもない。
要は、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の工程図でコア本体の外周にろう箔材を巻付け及びシーム溶接してコアを形成する工程を示す。
【図2】図1のコアを外筒内に圧入する工程図である。
【図3】図2の圧入工程によって得られた本発明のメタル担体の斜視図である。
【符号の説明】
1 コア
1a コア本体
2 ろう箔材
3 外筒
4 メタル担体
Claims (3)
- 少なくとも一方が波板の2種類の金属板を交互に巻上げて
ハニカム状に形成されたコア本体にろう箔材を巻回して仮止めしてコアを形成し、該コアを外筒内に挿入してコア本体と外筒とをろう付け接合するメタル担体の製造方法において、前記コア本体とろう箔材とを周方向のシーム溶接にて仮止めしてコアを形成した後に、該コアを外筒内に圧入してコア本体と外筒とをろう付け接合することを特徴とするメタル担体の製造方法。 - 請求項1に記載のメタル担体の製造方法において、前記シーム溶接をコアの圧入方向進行端側の外周に施すことを特徴とするメタル担体の製造方法。
- 請求項1または請求項2に記載のメタル担体の製造方法において、前記シーム溶接をコアの外周に複数箇所施すことを特徴とするメタル担体の製造方法。
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