JP3933845B2 - 口型 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラスびんの成形設備の一部であって、パリソン及びガラスびんの口部を成形する口型に関する。
【0002】
【従来の技術】
図9、10を参照して従来のブローアンドブロー方式によりガラスびんを成形する工程の概略を説明する。図9(a)〜(c)では、粗型30を用いて溶融ガラスの塊(ゴブ)Gから半製品としてのパリソンPを製造する。図9(a)では、粗型30内にゴブGが投入され、図9(b)ではバッフル32を通じて上から圧搾空気で加圧され(セトルブロー)、粗型20の下にある口型1にガラスが入って口部が作られる。このときプランジャー31は所定の位置にセットされている。図9(c)では、プランジャー31が下降し、空洞部に空気を吹き込み(カウンターブロー)、粗型30と上部のバッフル32でパリソンPが成形される。図10は、図9(b)と(c)の中間の状態の装置をやや詳細に示したものである。同図において、プランジャー31は所定の位置にセットされ、バッフル32は粗型30の上部にセットされている。この後プランジャー31が下降し、カウンタブローが行われる。図9(d)では、パリソンPを反転装置(メカニズム)35を用いて仕上型33に移す。この場合、粗型30を2つ割りの状態に開いてパリソンPを仕上型33の上に反転させ、メカニズム35の先端に設けられた口型1を2つ割りの状態に開いて、口型1とガイドリング20とに保持されたパリソンPを仕上型33内に解放する。図9(e)〜(f)ではこの仕上型33内で最終製品としてのガラスびんBを成形し(最終吹き込み)、図9(g)ではこの仕上型33からガラスびんBを取り出す。この場合仕上型33を底型34の上で2つ割りの状態に開き、この底型34上のガラスびんBを取り出す。
【0003】
図8は従来の口型の割型の正面図である。概略筒状をなす口型1は、2つの割型に2つ割りに分かれており、各割型はその合わせ面13で接合される。合わせ面にはインロー部7(一方が凸、他方が凹のインロー部)が形成されており、双方のインロー部7が凹凸嵌合することで位置合わせされる。それぞれの割型の合わせ面13の上部にはガラスびんBの口部を成形する成形面8が形成されている。また、ガラスびんBの口部天面を成形するガイドリング20を包持する内周溝5も形成されている。従来の口型は、各割型が鋳物で一体に形成されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の口型は、成形面8の温度が低く、ガラスの温度が低下し、ガラスの流動性が悪くなるために、ガラスびん口部に「すじ」「しわ」の欠点が生じやすかった。また、仕上型上で口型が開く際に、ガラスの粘着力によってガラス面を引っ張ることとなる。このため、パリソンPの口部に衝撃が加わり、パリソンPの口部に「びり(クラック)」の欠点も生じやすかった。
【0005】
本発明は、ガラスびんの口部に「すじ」「しわ」「びり」の欠点の生じにくい口型とすることを課題としてなされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、2つ割りの概略筒状をなし、その合わせ面13の上部にガラスびんの口部を成形する成形面8を有する口型の各割型において、前記成形面8を含む口型上部の成形部3と、下部の本体2とを別体として形成し、成形部3を本体2の上部に着脱自在に取り付けてなり、前記成形部3が成形上部3aと成形下部3bとに上下に分割され別体で形成されていることを特徴とする口型である。
【0007】
また本発明は、2つ割りの概略筒状をなし、その合わせ面13の上部にガラスびんの口部を成形する成形面8を有する口型の各割型が、上部の前記成形面8の部分に半ドーナツ状の切欠部4を設けた本体2の該切欠部4に、内周面に成形面8を形成した半ドーナツ状の成形部3を着脱自在に取り付けてなり、前記成形部3が成形上部3aと成形下部3bとに上下に分割され別体で形成されていることを特徴とする口型である。
【0008】
本発明の口型は、口部を成形する成形面を有する成形部を本体とは別体としたので、成形部から本体側に熱が移動しにくく、成形部の成形面の温度が高くなる。このため、パリソンPの口部の温度低下が少なくなり、ガラスの流動性が阻害されず、ガラスびんの口部に「すじ」「しわ」の欠点が発生しにくくなる。また、成形部は本体に対して着脱自在であるので、成形部を取り替えるのみで他の種類のガラスびんを成形することが可能となり、また、成形面が摩耗した場合も成形部のみを取り替えればよいので、コストを低減できる。
【0009】
また、成形部を本体に対して水平方向に微動可能とすることができる。このようにすることで、口型が開き始めるときに、成形部が本体に対して水平方向(内側方向及び回転方向)に僅かに移動し、一瞬遅れて動き出すので、離型時におけるパリソンPの口部に対する衝撃が緩和され、「びり」が発生しにくくなる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、参考例及び実施例を表した図面に基づいて本発明を詳細に説明する。図1は参考例の口型1の上面図、図2は口型1の合わせ面でガイドリング20を縦断して示す割型の正面図、図3は口型1の割型の正面図、図4は図1におけるAA線断面図、図5は成形部3の下面図、図6は図5におけるBB線断面図、図7は実施例の口型1の割型の正面図である。
【0011】
図1〜4に示す口型1は概略筒状をなし、2つの割型に2つ割りに分かれており、各割型はその合わせ面13で接合される。合わせ面にはインロー部7(一方が凸、他方が凹のインロー部)が形成されており、双方のインロー部7が凹凸嵌合することで位置合わせされる。それぞれの割型において、合わせ面13の上部にパリソン及びガラスびんの口部を成形する成形面8が設けられているが、この成形面8の部分は成形部3として本体2とは別体となっている。
【0012】
各割型において、本体2は、半割り筒状をなし、成形面8があるべき部分に半ドーナツ状の切欠部4が設けられている。切欠部の底部には螺条を有するボルト孔14が形成されている。切欠部4の下部にはガイドリング20を包持するための内周溝5が、合わせ面13には蒲鉾状の凹溝6が2カ所、インロー部7が1カ所設けられている。
【0013】
成形部3は半ドーナツ板状をなし、内周にパリソン及びガラスびんの口部を成形する成形面8が形成されている。また、ボルト11孔が1カ所、合わせ面には蒲鉾状の凹溝9が2カ所、インロー部10が1カ所形成されている。
【0014】
図4に示すように、本体2の切欠部4には成形部3が、ボルト12を本体のボルト孔14に螺着することで着脱自在取り付けられている。成形部3のボルト孔11の内径はボルト12の外径よりも若干大きくなっている。つまり、成形部3とボルトとは若干の「アソビ」がある。また、本体2の切欠部4の内径は成形部3の外径よりも若干大きくなっている。したがって、成形部3は本体2に対して水平方向に微動することができ、離型時におけるパリソンPの口部に対する衝撃が緩和され、「びり」が発生しにくくなる。
【0015】
口型1には、図2に示すように、ガイドリング20が装着される。ガイドリング20には2本のロッド21が突出形成されており、ロッド21は口型1の凹溝6、9から上方に突出しており、その突出部は粗型又は仕上型の合わせ面に形成された凹溝と嵌合する。口型1の成形部3は水平方向に微動するが、口型を閉じた状態では成形部3の凹溝9とガイドリング20のロッド21とが嵌合し、成形部3が正規の位置に位置決めされる。また、仕上型上で口型が開くときは、ガイドリング20のロッド21が仕上型の凹溝と嵌合して固定されているので、ガイドリングが開いた口型の割型体のいずれか一方の側に引きずられ、いずれか一方の割型の側にずれてしまうという問題がなくなる。このように、ガイドリングがいずれか一方の側にずれると、パリソンの口部に口部びり、天傾斜、天波などの欠点が発生したり、口型が開くときに開き不良が発生したり、メカニズムを再反転させるときに粗型側にパリソンを持ち帰るといったトラブルを生じる。
【0016】
上記の参考例の口型と従来の口型の成形面8の温度を測定したところ、従来の口型が約520℃であるのに対して、参考例の口型は約600℃であった。従来の口型の場合、口部欠陥がきわめて頻繁に発生したが、上記の参考例の口型を用いることで欠陥はほとんど発生しなくなった。
【0017】
図7に示すのは実施例の口型1である。この口型は、成形部3が上部の成形上部3aと下部の成形下部3bの2つの部分に水平に分割され、それぞれ別体で構成されている。成形上部3aと成形下部3bは、それぞれ本体に対して微動可能となっている。成形上部3aの成形面8aはビード部分を成形し、成形下部3bの成形面8bはねじ部分を成形する。本実施例のように、成形上部3aと成形下部3bとの境目15は、ビード部分の直下とするのが、成形したガラスびんに境目が目立たなくなり好ましい。このように成形部3を2つに分割すると、成形面8とガラスの間に溜まっているガスが成形上部3aと成形下部3bの間から抜け、ビードやねじの形状が鮮明なものとなる。また、口型が開くときに、成形上部3aと成形下部3bがそれぞれ個別に微動するので、離型時のガラスに与える衝撃が緩和され、ビード部及びねじ部に「びり」が発生しにくくなる。
【0018】
上記の実施例においては、ブローアンドブロー方式によるガラスびんの成形について説明したが、本発明は、プレスアンドブロー方式においても全く同様に用いることができる。また、実施例における口型、本体、成形部の形状は例示にすぎないことはもちろんである。
【0019】
【発明の効果】
本発明の口型は、成形面の温度が高くなるためにガラスびん口部の「すじ」「しわ」の欠点が発生しにくい。また、口型が開くときに、パリソンの口部に与える衝撃が緩和されるので、ガラスびん口部の「びり」の欠陥が生じにくい。さらに、成形部を取り替えるのみで他の種類のガラスびんを成形することが可能となり、また、成形面が摩耗した場合も成形部のみを取り替えればよいので、コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考例の口型1の上面図である。
【図2】 口型1の合わせ面でガイドリング20を縦断して示す割型の正面図である。
【図3】 口型1の割型の正面図である。
【図4】 図1におけるAA線断面図である。
【図5】 成形部3の下面図である。
【図6】 図5におけるBB線断面図である。
【図7】 実施例の口型1の割型の正面図である。
【図8】 従来の口型の割型の正面図である。
【図9】 ブローアンドブロー方式によるガラスびん成形の説明図である。
【図10】 パリソン成形の説明図である。
【符号の説明】
1 口型
2 本体
3 成形部
4 切欠部
5 内周溝
6 凹溝
7 インロー部
8 成形面
9 凹溝
10 インロー部
11 ボルト孔
12 ボルト
13 合わせ面
14 ボルト孔
15 境目
20 ガイドリング
21 ロッド
30 粗型
31 プランジャー
32 バッフル
33 仕上型
34 底型
35 メカニズム
Claims (3)
- 2つ割りの概略筒状をなし、その合わせ面13の上部にガラスびんの口部を成形する成形面8を有する口型の各割型において、前記成形面8を含む口型上部の成形部3と、下部の本体2とを別体として形成し、成形部3を本体2の上部に着脱自在に取り付けてなり、前記成形部3が成形上部3aと成形下部3bとに上下に分割され別体で形成されていることを特徴とする口型
- 2つ割りの概略筒状をなし、その合わせ面13の上部にガラスびんの口部を成形する成形面8を有する口型の各割型が、上部の前記成形面8の部分に半ドーナツ状の切欠部4を設けた本体2の該切欠部4に、内周面に成形面8を形成した半ドーナツ状の成形部3を着脱自在に取り付けてなり、前記成形部3が成形上部3aと成形下部3bとに上下に分割され別体で形成されていることを特徴とする口型
- 請求項1又は2の口型において、前記成形部3が前記本体2に対して水平方向に微動可能に取り付けられていることを特徴とする口型
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