JP3933791B2 - ポリオキシアルキレンポリオールの製造方法 - Google Patents

ポリオキシアルキレンポリオールの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリオキシアルキレンポリオールの製造方法に関する。詳しくは、ホスファゼニウム化合物を触媒として用いて製造された粗製ポリオキシアルキレンポリオールの精製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、ポリウレタン原料に用いられるポリオキシアルキレンポリオールは、アルカリ金属化合物触媒の存在下、活性水素化合物にエポキサイド化合物を付加重合することにより製造されている。従来、ポリオキシアルキレンポリオールを製造するに当たり、生産性の向上、製品品質の改良を目的として種々の検討がなされている。
【0003】
先に、本出願人は、いかなる金属成分も全く含まず、その上臭気を残存させない開始剤系を用いて、ポリアルキレンオキシドを簡便、且つ効率的に製造する方法として、新規な活性水素化合物のホスファゼニウム塩、及び新規な水酸化ホスファゼニウム化合物を用い方法が効果的であることを提案した(EP−A−0791600号公報)。
【0004】
しかし、該公報には、ホスファゼニウム化合物触媒を含有したポリオキシアルキレンポリオール(以下、粗製ポリオキシアルキレンポリオールと略する。)から効率的に触媒を除去する方法、及び除去したホスファゼニウム化合物をポリオキシアルキレンポリオール製造触媒として再利用する方法については開示されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ホスファゼニウム化合物を触媒として用いて製造された粗製ポリオキシアルキレンポリオールから、効率的、且つ経済的に触媒を除去し、ホスファゼニウム化合物触媒の残存量を特定値以下に制御し得る、ポリオキシアルキレンポリオールの製造方法を提供することにある。他の目的は、前記方法で除去されたホスファゼニウム化合物を回収し、触媒として再利用するポリオキシアルキレンポリオールの製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ホスファゼニウム化合物を触媒として製造された粗製ポリオキシアルキレンポリオールに対し、特定比率の水及び特定濃度の中和剤を加え、特定の温度範囲で撹拌、静置分液することにより、ポリオキシアルキレンポリオール中のホスファゼニウム化合物を特定濃度以下に制御できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
即ち、本発明により、ホスファゼニウム化合物を触媒として製造された粗製ポリオキシアルキレンポリオール100重量部に対して、水20〜200重量部及び粗製ポリオキシアルキレンポリオール中のホスファゼニウム化合物1モルに対して、無機酸、無機酸酸性塩及び有機酸から選ばれる少なくとも1種の中和剤1〜30モルを加え、ポリオキシアルキレンポリオールと水の密度差が少なくとも0.008g/cm3となる温度範囲において、撹拌、静置してポリオキシアルキレンポリオール相と水相とを分液し、次いで、ポリオキシアルキレンポリオール相を吸着処理して、ホスファゼニウム化合物由来の窒素含有量を50ppm以下にすることを特徴とするポリオキシアルキレンポリオールの製造方法が提供される。
【0008】
前記ポリオキシアルキレンポリオールの製造方法において、分離されたポリオキシアルキレンポリオール相を吸着処理する好ましい方法は、吸着剤として、合成ケイ酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、合成ケイ酸アルミニウム・マグネシウム、活性白土、酸性白土、ゼオライト及び活性炭から選ばれる少なくとも1種の吸着剤を用いる方法である。また、他の吸着剤として、イオン交換樹脂を用いる方法が挙げられる。
【0009】
更に、好ましい他の態様として、前記ポリオキシアルキレンポリオールの製造方法において、分離された水相を水酸基型イオン交換樹脂と接触させて水酸化ホスファゼニウムを回収し、それをポリオキシアルキレンポリオール製造用触媒として再利用する方法が挙げられる。
【0010】
本発明により製造されるポリオキシアルキレンポリオールは、ホスファゼニウム化合物触媒に由来する窒素の含有量が、50ppm以下の低位に制御されていることから、軟質、硬質及び半硬質に到る全ての形態のポリウレタンフォーム用原料として用い得ることは勿論、エラストマー、シーリング、接着剤、床材、靴底等のポリウレタン樹脂の原料としても使用できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に係わる粗製ポリオキシアルキレンポリオールは、ホスファゼニウム化合物を触媒として、活性水素化合物にエポキサイド化合物を付加重合することにより製造される。
【0012】
先ず、本発明で用いられるホスファゼニウム化合物について説明する。ホスファゼニウム化合物としては、先に、本出願人の出願に係わるEP−A−0791600号公報にて示されている化合物を使用することが好ましい。
【0013】
具体的には、化学式(1)〔化1〕
【0014】
【化1】
Figure 0003933791
〔化学式(1)中、a、b、cおよびdは、それぞれ0〜3の正の整数であるが、a、b、cおよびdの全てが同時に0ではない。Rは同種または異種の炭素数1〜10個の炭化水素基であり、同一窒素原子上の2個のRが互いに結合して環構造を形成する場合もある。rは1〜3の整数であってホスファゼニウムカチオンの数を表し、Tr-は価数rの無機アニオンを表す〕、または、化学式(2)〔化2〕
【0015】
【化2】
Figure 0003933791
〔化学式(2)中、a、b、cおよびdは、それぞれ0〜3の正の整数であるが、a、b、cおよびdの全てが同時に0ではない。Rは同種または異種の炭素数1〜10個の炭化水素基であり、同一窒素原子上の2個のRが互いに結合して環構造を形成する場合もある。Q-はヒドロキシアニオン、アルコキシアニオン、アリールオキシアニオンまたはカルボキシアニオンを表す〕で表されるものが好ましい。
【0016】
本発明における化学式(1)及び化学式(2)で表されるホスファゼニウムカチオン中のa、b、cおよびdは、それぞれ0〜3の正の整数である。ただし、全てが同時に0ではない。好ましくは0〜2の整数である。より好ましくはa、b、cおよびdの順序に関わらず、(2,1,1,1)、(1,1,1,1)、(0,1,1,1)、(0,0,1,1)または(0,0,0,1)の組み合わせ中の数である。さらに好ましくは、(1,1,1,1)、(0,1,1,1)、(0,0,1,1)または(0,0,0,1)の組み合わせ中の数である。
【0017】
本発明における化学式(1)及び化学式(2)で表される塩のホスファゼニウムカチオン中のRは同種または異種の炭素数1〜10個の炭化水素基である。具体的には、このRは、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、アリル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、2−ブテニル、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2−メチル−1−ブチル、イソペンチル、tert−ペンチル、3−メチル−2−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、4−メチル−2−ペンチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−ヘプチル、3−ヘプチル、1−オクチル、2−オクチル、2−エチル−1−ヘキシル、1,1−ジメチル−3,3−ジメチルブチル(tert−オクチル)、ノニル、デシル、フェニル、4−トルイル、ベンジル、1−フェニルエチルまたは2−フェニルエチル等の脂肪族または芳香族の炭化水素基から選ばれる。
これらの内、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、tert−ブチル、tert−ペンチル、tert−オクチル等の炭素数1〜10個の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。
【0018】
また、ホスファゼニウムカチオン中の同一窒素原子上の2個のRが結合して環構造を形成する場合の該窒素原子上の2価の炭化水素基は、4〜6個の炭素原子からなる主鎖を有する2価の炭化水素基であり(環は窒素原子を含んだ5〜7員環となる)、好ましくは、例えば、テトラメチレン、ペンタメチレンまたはヘキサメチレン等である。また、それらの主鎖にメチルまたはエチル等のアルキル基が置換したものである。より好ましくは、テトラメチレンまたはペンタメチレン基である。ホスファゼニウムカチオン中の、可能な全ての窒素原子についてこのような環構造をとっていても構わず、一部であってもよい。
【0019】
本発明における化学式(1)中のTr-は価数rの無機アニオンを表す。そして、rは1〜3の整数である。このような無機アニオンとしては、例えば、ホウ酸、テトラフルオロ酸、シアン化水素酸、チオシアン酸、フッ化水素酸、塩酸またはシュウ化水素酸などのハロゲン化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸、亜リン酸、ヘキサフルオロリン酸、炭酸、ヘキサフルオロアンチモン酸、ヘキサフルオロタリウム酸および過塩素酸などの無機アニオンが挙げられる。また、無機アニオンとしてHSO4 -、HCO3 -もある。場合によっては、これらの無機アニオンは イオン交換反応により互いに交換することができる。これらの無機アニオンの内、ホウ酸、テトラフルオロホウ酸、ハロゲン化水素酸、リン酸、ヘキサフルオロリン酸および過塩素酸等の無機酸のアニオンが好ましい。塩素アニオンがより好ましい。
【0020】
化学式(1)のホスファゼニウム化合物を触媒として使用する場合には、予め、活性水素化合物のアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩を調製する必要がある。該化合物の調製方法は従来公知の方法でよい。化学式(1)のホスファゼニウム化合物と共存させる活性水素化合物のアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩とは、活性水素化合物の活性水素が水素イオンとして解離し、アルカリ金属イオンもしくはアルカリ土類金属イオンと置き換わった形の塩である。
【0021】
そのような塩を与える活性水素化合物としては、アルコール類、フェノール化合物、ポリアミン、アルカノールアミンなどがある。例えば、水、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール等の2価アルコール類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン類、グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ポリグリセロール等の多価アルコール類、グルコース、ソルビトール、デキストロース、フラクトース、蔗糖、メチルグルコシド、ヒドロキシエチルグルコキシド等の糖類またはその誘導体、エチレンジアミン、ジ(2−アミノエチル)アミン、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪酸アミン類、トルイレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン等の芳香族アミン類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ノボラック、レゾール、レゾルシン、ハイドロキノン、マンニッヒ化合物等のフェノール化合物等が挙げられる。
【0022】
これらの活性水素化合物は、2種以上併用して使用することもできる。さらに、従来公知の方法で活性水素基1当量に対して、6モル以下のエポキサイド化合物を付加重合して得られる化合物も使用できる。これらの活性水素化合物からそれらのアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩を得るには、該活性水素化合物とアルカリ金属類もしくはアルカリ土類金属類から選ばれた金属、または塩基性アルカリ金属化合物もしくはアルカリ土類金属化合物とを反応させる通常の方法が用いられる。
【0023】
化学式(1)で表されるホスファゼニウムカチオンと無機アニオンとの塩、及び、活性水素化合物のアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩の存在下に、エポキサイド化合物を付加重合させる。この際、アルカリ金属のカチオンもしくはアルカリ土類金属のカチオンと無機アニオンとの塩が副生するが、この副生塩が重合反応を阻害する場合は、重合反応に先立ちこれを濾過等の方法で除去しておくこともできる。また、化学式(1)で表される塩と活性水素化合物のアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩から導かれれる活性水素化合物のホスファゼニウム塩を予め単離し、これの存在下にエポキサイド化合物を付加重合させることもできる。
【0024】
本発明の粗製ポリオキシアルキレンポリオールの製造方法の他の方法、すなわち、化学式(2)で表されるホスファゼニウム化合物と活性水素化合物の存在下、エポキサイド化合物を付加重合させて粗製ポリオキシアルキレンポリオールを製造する場合について述べる。化学式(2)で表されるホスファゼニウム化合物中のQ-は、ヒドロキシアニオン、アルコキシアニオン、アリールオキシアニオンおよびカルボキシアニオンよりなる群から選ばれるアニオンである。
【0025】
これらのQ-のうち、好ましくは、ヒドロキシアニオンである。例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等の脂肪族アルコール類から導かれるアルコキシアニオンである。例えば、フェノール、クレゾール等の芳香族ヒドロキシ化合物から導かれるアリールオキシアニオンである。例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸等から導かれるカルボキシアニオンである。これらの内、より好ましくは、ヒドロキシアニオン、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノールなどの低沸点アルキルアルコールから導かれるアルコキシアニオン、またはギ酸、酢酸等のカルボン酸から導かれるカルボキシアニオンである。さらに好ましくは、ヒドロキシアニオン、メトキシアニオン、エトキシアニオンおよび酢酸アニオンである。これらのホスファゼニウム化合物は、単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
【0026】
化学式(2)で表されるホスファゼニウム化合物と共存させる活性水素化合物は、活性水素化合物のアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩を与える活性水素化合物として先に詳細に述べたものと同一である。
【0027】
通常、化学式(2)で表されるホスファゼニウム化合物と活性水素化合物の存在下、エポキサイド化合物を付加重合させる本発明の方法においては、過剰に用いられる活性水素化合物の過剰分はそのまま残存する。この他に、水、アルコール、芳香族ヒドロキシ化合物またはカルボン酸はホスファゼニウム化合物の種類に応じて副生する。これらの副生物は必要に応じて除去しても構わない。除去方法としては、加熱減圧処理、例えば、不活性ガスによるバブリング操作下、80〜130℃、133〜2660Paの条件でエポキサイド化合物の付加重合反応に先だって除去しておく。その他の除去方法としては、それらの副生物の物性に応じて、吸着剤を用いる方法などが挙げられる。
【0028】
ホスファゼニウム化合物の存在下、活性水素化合物へ付加重合させるエポキサイド化合物としては、プロピレンオキサイド、エチレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、2,3−ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、メチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、トリフルオロプロピレンオキサイドなどが挙げられる。これらは2種以上併用してもよい。これらのうち、好ましくはプロピレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、エチレンオキサイドである。
【0029】
エポキサイド化合物の付加重合方法としては、プロピレンオキサイドとエチレンオキサイドを例にした場合、プロピレンオキサイドの重合後に、エチレンオキサイドをブロックで共重合するエチレンオキサイドキャップ反応、プロピレンオキサイドとエチレンオキサイドをランダムに共重合し、エチレンオキサイドを共重合する反応方法が挙げられる。
【0030】
粗製ポリオキシアルキレンポリオールの製造は、以下の条件を選んで行うことが好ましい。すなわち、活性水素化合物1モルに対する化学式(1)または化学式(2)で表されるホスファゼニウム化合物は5×10-5〜5モル、好ましくは1×10-4〜5×10-1モル、より好ましくは1×10-3〜1×10-2モルの範囲である。ポリオキシアルキレンポリオールを高分子量化する際には、活性水素化合物に対するホスファゼニウム化合物の濃度を上記範囲内で高めることが好ましい。活性水素化合物1モルに対して、化学式(1)または化学式(2)で表されるホスファゼニウム化合物が5×10-5モルより低い場合には、アルキレンオキサイドの重合速度が低下し、ポリオキシアルキレンポリオールの製造時間が長くなる。活性水素化合物1モルに対して、化学式(1)または化学式(2)で表されるホスファゼニウム化合物が5モルより多くなると、ポリオキシアルキレンポリオール製造コストに占めるホスファゼニウム化合物のコストが高くなる。
【0031】
また、エポキサイド化合物のうち、プロピレンオキサイド付加重合反応温度は15〜130℃、好ましくは40〜120℃、さらに好ましくは50〜110℃の範囲である。反応温度が15℃より低い場合には、プロピレンオキサイドの重合速度が低下し、ポリオキシアルキレンポリオールの製造時間が長くなる。反応温度が130℃を超えると、ポリオキシアルキレンポリオールの高分子量化に伴い、総不飽和度が高くなる。
【0032】
一方、プロピレンオキサイドを除くエポキサイド化合物の付加重合温度は、15〜170℃、好ましくは40〜150℃、さらに好ましくは90〜150℃の範囲である。反応温度が15℃より低い場合には、プロピレンオキサイド使用時と同様、エポキサイド化合物の重合速度が低下し、ポリオキシアルキレンポリオールの製造時間が長くなる。反応温度が170℃を超えると、ポリオキシアルキレンポリオールが着色する傾向にある。
【0033】
エポキサイド化合物の反応温度を上記範囲内で低い温度で行う場合は、活性水素化合物に対する触媒濃度を先に述べた範囲内で高めることが好ましい。耐圧反応機に仕込んだ触媒と活性水素化合物へのエポキサイド化合物供給方法は、必要量のエポキサイド化合物の一部を一括して供給する方法、または連続的にもしくは間欠的にエポキサイド化合物を供給する方法が用いられる。必要量のエポキサイド化合物の一部を一括して供給する方法においては、エポキサイド化合物重合反応初期の反応温度は上記範囲内でより低温側とし、エポキサイド化合物装入開始後に次第に反応温度を上昇する方法が好ましい。
【0034】
エポキサイド化合物の反応時の最大圧力は882kPaが好適である。通常、耐圧反応機によりエポキサイド化合物の反応が行われる。エポキサイド化合物の反応は減圧状態から開始しても、大気圧の状態から開始してもよい。大気圧状態から反応を開始する場合には、窒素またはヘリウム等の不活性気体存在下で行うことが望ましい。エポキサイド化合物の最大反応圧力が882kPaを超えると副生モノオール量が増加する。最大反応圧力として好ましくは686kPa、より好ましくは490kPaである。エポキサイド化合物として、プロピレンオキサイドを用いる場合には、最大反応圧力は490kPaが好ましい。
【0035】
エポキサイド化合物の付加重合反応に際して、溶媒を使用することもできる。使用する場合の溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ペプタン等の脂肪族炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類またはジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒等である。溶媒を使用する場合には、ポリオキシアルキレンポリオールの製造コストを上げないためにも、製造後に溶媒を回収し再利用する方法が望ましい。
【0036】
本発明において、後述する精製方法に供するポリオキシアルキレンポリオールは、水酸基価(OHV)が120mgKOH/g以下、好ましくは80mgKOH/g以下、最も好ましくは60mgKOH/g以下が好適である。ポリオキシアルキレンポリオール中のエチレンオキサイド含有量は40重量%以下、好ましくは30重量%以下、最も好ましくは15重量%以下が好適である。
【0037】
次いで、粗製ポリオキシアルキレンポリオールの精製方法について述べる。
【0038】
粗製ポリオキシアルキレンポリオール100重量部に対して、水を20〜200重量部、及び粗製ポリオキシアルキレンポリオール中のホスファゼニム化合物1モルに対して、無機酸、無機酸酸性塩及び有機酸から選ばれる少なくとも1種の中和剤を1〜30モル加え、ポリオキシアルキレンポリオールと水の密度差が少なくとも0.008g/cm3となる温度で、撹拌、静置分液後、ポリオキシアルキレンポリオール相と水相を分離し、次いで、ポリオキシアルキレンポリオール相中の中和剤及び/またはホスファゼニウム化合物を吸着工程で吸着して精製を行う。
【0039】
通常、水は工業用水、市水、イオン交換水等が用いられるが、市水及びイオン交換水が好ましい。また、その使用量は、粗製ポリオキシアルキレンポリオール100重量部に対して、20〜200重量部である。好ましくは、40〜180重量部、最も好ましくは50〜150重量部である。水の使用量が20重量部未満であると、ホスファゼニウム化合物の水への抽出効率が低下する。水の使用量が200重量部を超えると、水相に抽出されたホスファゼニウム化合物を再度使用する際、ホスファゼニウム化合物の濃度が低いため、脱水濃縮に長時間を要する。
【0040】
無機酸、無機酸酸性塩及び有機酸から選ばれる少なくとも1種の化合物を中和剤として使用する。これらの中和剤を加えることにより、水の場合と比較してポリオキシアルキレンポリオールと水との分液性が向上する。
【0041】
無機酸としては、例えば、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ピロリン酸、塩酸、硫酸、亜硫酸およびそれらの水溶液が挙げられる。無機酸酸性塩としては、例えば、リン酸二リチウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸一水素リチウム、リン酸一水素ナトリウム、リン酸一水素カリウム、硫酸水素リチウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、酸性ピロリン酸ナトリウム(例えば、ピロリン酸水素ナトリウム)等が挙げられる。
【0042】
有機酸としては、例えば、ギ酸、シュウ酸、コハク酸、酢酸、マレイン酸、安息香酸、パラトルエンスルホン酸およびそれらの水溶液が挙げられる。特に、好ましくはリン酸、ピロリン酸水素ナトリウム、硫酸、塩酸、マレイン酸、シュウ酸であり、水溶液の形態で用いることが良い。
【0043】
中和剤の使用量は、粗製ポリオキシアルキレンポリオール中のホスファゼニウム化合物1モルに対して、1〜30モルである。好ましくは、2〜20モル、最も好ましくは3〜15モルである。中和剤の使用量が1モル未満であると、水相へのホスファゼニウム化合物の抽出効率が低下する。中和剤の使用量が30モルを超えると、ポリオキシアルキレンポリオールに溶解する酸を除去する工程において、吸着剤あるいはイオン交換樹脂の使用量が多くなる。
【0044】
水及び中和剤を加えた後、ポリオキシアルキレンポリオールと水の密度差が少なくとも0.008g/cm3となる温度で、撹拌、静置分液を行い、水相側にホスファゼニウム化合物を抽出する。この際、予めポリオキシアルキレンポリオールの温度と密度の関係を調べておく必要がある。撹拌、静置分液する際のポリオキシアルキレンポリオールと水の密度差は少なくとも0.008g/cm3となる温度である。好ましくは、0.01g/cm3以上、最も好ましくは0.015g/cm3以上である。密度差が0.008g/cm3未満になると、ポリオキシアルキレンポリオールと水との分液性が低下する。
【0045】
ポリオキシアルキレンポリオールと水の密度差が上記範囲内となる温度は、ポリオキシアルキレンポリオールの分子量により変わるが、通常、5〜95℃程度の温度範囲を目途とするればよい。例えば、エポキサイド化合物として、プロピレンオキサイドを用いたポリオキシアルキレンポリオールは、その分子量の増加と共にポリオキシプロピレンポリオールの密度は低下する。数平均分子量が9000に近い高分子量のポリオキシプロピレンポリオールは、30℃における密度は1g/cm3より低くなる。該ポリオキシプロピレンポリオールの場合、撹拌、静置、分液する際の温度は50〜95℃の範囲が最も好ましい。また、数平均分子量が1000程度の低分子量のポリオキシプロピレンポリオールは、30℃における密度は1g/cm3より高くなる。該ポリオキシプロピレンポリオールの場合、撹拌、静置、分液する際の温度は5〜50℃の範囲が好ましい。
【0046】
所定温度に達したら撹拌を行う。撹拌は、ポリオキシアルキレンポリオール製造反応機に使用されている種類の撹拌翼、例えば、イカリ型、タービン型、ファウドラー型、フルゾーン型、マックスブレンド型等を使用し、スケールにも依るが、通常、100〜300r.p.m.の撹拌速度にて行う。また、ポリオキシアルキレンポリオールと水との接触効率を高める目的で、ホモミキサーを使用して撹拌することもできる。撹拌時間はスケールにも依るが、1〜4時間が好ましい。撹拌を行った後、静置分液を行う。静置時間もスケールに依るが、2〜8時間の範囲が好適である。
【0047】
静置分液を行った後、ポリオキシアルキレンポリオール相を分離して、抜き出す。抽出したポリオキシアルキレンポリオール相中に残存している中和剤及び/またはホスファゼニウム化合物の吸着、除去を行う。
吸着除去には、合成ケイ酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、合成ケイ酸アルミニウム・マグネシウム、活性白土、酸性白土、ゼオライト、活性炭から選ばれる少なくとも1種の吸着剤を使用する方法、あるいはイオン交換樹脂を使用する方法を用いる。
【0048】
具体的な吸着剤の市販品としては、トミックスシリーズ、例えば、トミックスAD−100、トミックスAD−200、トミックスAD−300、トミックスAD−400、トミックスAD−500、トミックスAD−600、トミックスAD−700、トミックスAD−800、トミックスAD−900〔富田製薬(株)製〕等、キョーワードシリーズ、例えば、キョーワード200、キョーワード300、キョーワード400、キョーワード500、キョーワード600、キョーワード700、キョーワード1000、キョーワード2000〔協和化学工業(株)製〕、MAGNESOL(DALLAS社製)、顆粒状、粒状及び繊維状活性炭、例えば、太閤活性炭〔二村化学工業(株)製〕等各種の吸着剤が挙げられる。これらの吸着剤は単独、もしくは2種類以上併用しても構わない。
【0049】
塔に吸着剤を充填し、ポリオキシアルキレンポリオール相を通液する方法(以下、連続処理法と略する)あるいは、ポリオキシアルキレンポリオール相に吸着剤を装入し、撹拌する方法(以下、回分処理法と略する)等が挙げられる。吸着剤とポリオキシアルキレンポリオール相の接触温度は特に限定されるものではないが、通常、30〜130℃の範囲が好ましい。特に、回分処理法においては、ポリオキシアルキレンポリオール相100重量部に対して吸着剤は0.1〜3重量部、好ましくは0.3〜2重量部、最も好ましくは0.3〜1.5重量部の範囲で使用する。その後、ろ過等により吸着剤を除き、加熱減圧処理等を行い、ポリオキシアルキレンポリオールを回収する。ろ過操作の際に、けいそう土、セライトなどのろ過助剤を用いても良い。
【0050】
加熱減圧処理条件は、特に限定されるものではないが、通常、80〜130℃、2660Pa以下の圧力にて2〜10時間行う。加熱減圧処理前にポリオキシアルキレンポリオール100重量部に対して、100〜3000ppmの酸化防止剤を添加することが好ましい。
【0051】
次に、イオン交換樹脂を使用する方法について説明する。イオン交換樹脂の場合も、吸着剤を使用する場合と同様、連続処理法、回分処理法のいずれを採用しても構わないが、経済性の面から連続処理法が好ましい。使用するイオン交換樹脂としては、陽イオン交換樹脂が好ましく、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体のスルホン化物が好ましく用いられる。また、ゲル型とマクロポーラス型のどちらの形態のものも本発明に供することができる。さらに、イオン交換樹脂の性質としては、強酸性、弱酸性どちらのものも使用できるが、強酸性イオン交換樹脂が好ましく用いられる。この種の強酸性イオン交換樹脂は、レバチットS100、同S109、同SP112、同SP120、同S100LF(バイエル社製)、ダイヤイオンSK1B、同PK208、同PK212(三菱化学社製)、ダウエックスHCR−S、50WX1、50WX2(ダウケミカル社製)、アンバーライトIR120、同IR122、同200C(ロームアンドハース社製)等の各種の商品名で市販されている。
【0052】
また、中和剤の使用量が本発明の範囲でホスファゼニウム化合物1モルに対して、15〜30モルである場合、上記イオン交換樹脂による処理を行った後、先に述べた吸着剤による処理を行い、中和剤の吸着除去を行うことが好ましい。
【0053】
イオン交換樹脂との接触温度は15〜100℃、好ましくは20〜95℃、最も好ましくは30〜80℃である。イオン交換樹脂と接触させた後、回分処理法の場合は、ろ過等によりイオン交換樹脂を除き、加熱減圧処理により脱水を行う。加熱減圧処理は先に述べた条件で行うことが好ましい。
【0054】
以上、詳述した方法により精製処理し、ポリオキシアルキレンポリオール中のホスファゼニウム化合物に由来する窒素の含有量を50ppm以下に制御する。好ましくは40ppm以下、最も好ましくは30ppm以下である。窒素含有量が50ppmを超えると、ポリオキシアルキレンポリオールとポリイソシアネート化合物を反応させたイソシアネート基末端プレポリマーの経時的な粘度変化が生じる。
【0055】
一方、ポリオキシアルキレンポリオールと水との撹拌、静置分液操作後の水相側には、ホスファゼニウム化合物、中和剤及び一部溶解した微量のポリオキシアルキレンポリオールが存在している。これらの化合物が存在している水相側からフィルターろ過、あるいは逆浸透膜分離等の方法により、ポリオキシアルキレンポリオールを分離し、次いで、得られた液を陰イオン交換樹脂と接触させて、ホスファゼニウム化合物を回収する。
【0056】
陰イオン交換樹脂は、水酸基型陰イオン交換樹脂が好ましく、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体を担体とし、イオン交換基として4級アンモニウム塩化合物を側鎖に持った構造のものが好ましく用いられる。また、ゲル型とマクロポーラス型のどちらの形態のものも本発明に供することができる。この種のイオン交換樹脂は、レバチットMP500、同M500、同M504、同MP600、同MP500A(以上、バイエル社製)、ダイヤイオンPA406、同PA408、同PA412(以上、三菱化学社製)、アンバーライトIRA430、同IRA458、同IRA900(以上、ロームアンドハース社製)等の各種の商品名で市販されている。
【0057】
これらの陰イオン交換樹脂は、従来公知の方法により4級アンモニウムカチオンの対アニオンとして一部もしくは全量を水酸基型に変換した後に用いる。一方、既に水酸基型に変換されている陰イオン交換樹脂を購入して使用することもできる。イオン交換樹脂との接触温度は15〜100℃、好ましくは20〜95℃、最も好ましくは30〜80℃である。
【0058】
イオン交換されたホスファゼニウム化合物は、水酸化ホスファゼニウム化合物となる。該水酸化ホスファゼニウム化合物水溶液をそのまま、あるいは所望の濃度に濃縮してポリオキシアルキレンポリオール製造用触媒として使用できる。この場合、ポリオキシアルキレンポリオールの製造条件は前記した方法に従うことが好ましい。
【0059】
以上詳述した本発明の方法により製造されるポリオキシアルキレンポリオールは、ホスファゼニウム化合物触媒に由来する窒素の含有量が、50ppm以下の低位に制御されている。そのため、軟質、硬質及び半硬質に到る全ての形態のポリウレタンフォーム用原料として用い得ることは勿論、エラストマー、シーリング、接着剤、床材、靴底等のポリウレタン樹脂の原料としても使用できる。
【0060】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示し、本発明の熊様を明らかにするが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚、実施例に示した各種特性値は下記方法により測定した。
(1)ポリオキシアルキレンポリオールの水酸基価(OHV:単位;mgKOH/g)
JIS K−1557に規定される方法により求めた。
(2)ポリオール中のホスファゼニウム化合物触媒由来の窒素含有量(以下、ポリオール中の窒素含有量と略する。単位:ppm)
微量全窒素分析装置〔三菱化学(株)製、形式:TN−10型〕を用いて定量を行った。
【0061】
調製例1
<ホスファゼニウム化合物(以下、P5NMe2OHと略する)の合成>
温度計、滴下ロートを取り付けた3000mlの3つ口フラスコに五塩化リン〔純正化学(株)製〕60.20gを秤取り、525mlのオルソジクロロベンゼン〔以下、ODCBと略する。三井化学(株)製〕を加えて懸濁液とした。これを30℃に加熱し、900mlのODCBに、ラインハルトシュベジンガー他(Angew.Chem.Int.Ed.Engl.、第32巻、1361〜1363頁、1993年)記載の方法により合成したトリス(ジメチルアミノ)ホスファゼン〔(Me2N)3P=NH〕439.27gを溶解させた溶液を1時間かけて滴下した。同温度で30分間撹拌した後、約30分間かけて160℃まで昇温し、さらに20時間撹拌した。生成した不溶物をろ過し、ろ液にイオン交換水を添加し、3回水洗処理を行った。水洗処理後の水不溶相(以下、有機相と略する)1091.2gに対して、イオン交換水619.26gと1規定の塩酸を289.5ml加え、水相を分液し、テトラキス〔トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ〕ホスホニウムクロライド{〔(Me2N)3P=N]4+Cl-}を得た。さらに、イオン交換水を加え、2.5重量%水溶液に調製した。
【0062】
次いで、1N水酸化ナトリウム水溶液により交換基を水酸基型にしたイオン交換樹脂レバチットMP−500(バイエル社製)を充填したポリカーボネート製円筒状カラムにテトラキス〔トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ〕ホスホニウムクロライドの2.5重量%水溶液を23℃、SV(SpaceVelocity)0.5(1/hr)でカラム底部より上昇流で通液し、テトラキス〔トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ〕ホスホニウムヒドロキシドにイオン交換を行った。更に、該イオン交換樹脂を充填したカラムにイオン交換水を通液し、カラムに残存しているホスファゼニウム化合物の回収を行った。その後、テトラキス〔トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ〕ホスホニウムヒドロキシドの水溶液を80℃、減圧度7980Paの条件下で2時間、更に80℃、133Paの条件で7時間減圧脱水処理を行うことにより、粉末のテトラキス〔トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ〕ホスホニウムヒドロキシド{〔(Me2N)3P=N〕4+OH-}(P5NMe2OH)を得た。
【0063】
乾燥後の該化合物の重量測定から求めた収率は98%であった。重水素化ジメチルホルムアミド溶液によるテトラメチルシランを内部標準とした1H−NMR(日本電子製:400MHzNMR)の化学シフトは2.6ppm(d,J=9.9Hz、72H)であった。元素分析値は、C:38.28、H:9.82、N:29.43、P:19.94(理論値、C:38.09、H:9.72、N:29.61、P:20.46)であった。該ホスファゼニウム化合物は化学式(2)においてa、b、c、dの順に(1,1,1,1)で、Rがメチル基であり、Q-がOH-のヒドロキシアニオンである。
【0064】
<ポリオキシアルキレンポリオールの製造装置>
攪拌機、温度計、圧力計、窒素装入口、気相中の酸素測定用ラインおよびモノマーであるエポキサイド化合物装入口を装着した内容積2.5L、6Lならびに9Lの耐圧製オートクレーブ(日東高圧製)を使用した。以下、該合成装置をオートクレーブと略する。粗製ポリオキシアルキレンポリオールの精製処理はジャッケト付きガラス製反応器(以下、ガラス反応器と略する)を使用した。ポリオキシアルキレンポリオールの合成時には、回転数100〜350r.p.m.の条件で撹拌を行った。以下、実施例につき説明する。
【0065】
実施例1
攪拌装置、窒素導入管および温度計を装備した1000mlの4つ口フラスコにグリセリン1モルに対して0.024モルのP5NMe2OHと0.06モルのトルエン(和光純薬製試薬特級)を加え、窒素をキャピラリー管で導入し、105℃、1330Pa以下の条件で5時間、減圧脱水、脱トルエン操作を行った。その後、フラスコ内容物を窒素雰囲気下でオートクレーブに仕込み、さらに、数回窒素置換を行った後、大気圧状態から反応温度を70℃とし、反応時の最大圧力が392kPaの条件でOHVが18.7mgKOH/gになるまでプロピレンオキサイドの多段付加重合を行った。オートクレーブの内圧の変化が無くなった時点で665Pa、30分間減圧処理を行い、ホスファゼニウム化合物を含んだ状態の粗製ポリオキシアルキレンポリオールを得た。以下、該粗製ポリオキシアルキレンポリオールを粗製ポリオールAと称する。
【0066】
粗製ポリオールA100重量部、イオン交換水100重量部及び粗製ポリオールA中のホスファゼニウム化合物1モルに対して、10モルのリン酸(75.1重量%の水溶液の形態)を仕込み、内温を60℃に昇温した。同温度に達した後、T.K.ホモミキサー(特殊機化工業製、モデルHV−M型)にて同温度で1時間撹拌を行った。その後、内温62℃で3時間静置し、ポリオール相と水相に分液した。ポリオールと水との密度差は0.011g/cm3である。
分液後、ポリオール相を取り出し、該ポリオール相100重量部に対して、吸着剤〔吉富製薬(株)製、商品名:AD−600〕を0.5重量部、酸化防止剤〔チバガイギー(株)製、商品名:IRGANOX1010〕を1000ppm加え、内温80℃の状態で2時間撹拌を行い、減圧脱水を開始した。最終的に、液相中に窒素を通気しながら、105℃、1330Paの条件で4時間、減圧窒素バブリングを行った。窒素により減圧から大気圧状態にした後、セライトを引き詰めた5Cろ紙〔アドバンテック東洋(株)製、保持粒径1μm〕により減圧ろ過を行い、ポリオキシアルキレンポリオールの精製を行った。精製後のポリオキシアルキレンポリオールの水酸基価(OHV)は18.9mgKOH/g、ポリオール中のホスファゼニウム化合物由来の窒素含有量は5ppmであった。
【0067】
実施例2
実施例1で得られた粗製ポリオールA100重量部に対して、イオン交換水50重量部及び粗製ポリオールA中のホスファゼニウム化合物1モルに対して、ピロリン酸水素ナトリウムを8モル及びリン酸(75.1重量%の水溶液の形態)を2モル仕込み、内温を70℃に昇温した。同温度に達した後、T.K.ホモミキサー(特殊機化工業製、モデルHV−M型)にて同温度で1時間撹拌を行った。その後、内温71℃で3時間静置し、ポリオール相と水相に分液した。ポリオールと水との密度差は0.015g/cm3である。
分液後、ポリオール相をを取り出し、該ポリオール相100重量部に対して、陽イオン交換樹脂(バイエル社製、商品名:レバチットS−100BM)を20重量部、酸化防止剤〔チバガイギー(株)製、商品名:IRGANOX1010〕を1000ppm加え、内温80℃の状態で3時間撹拌を行った。その後、5Cろ紙〔アドバンテック東洋(株)製、保持粒径1μm〕により減圧ろ過を行い、得られたろ液の減圧脱水を開始した。最終的に、液相中に窒素を通気しながら、105℃、1330Paの条件で4時間、減圧窒素バブリングを行った。窒素により減圧から大気圧状態にした後、減圧ろ過を行い、ポリオキシアルキレンポリオールの精製を行った。精製後のポリオキシアルキレンポリオールの水酸基価(OHV)は18.9mgKOH/g、ポリオール中のホスファゼニウム化合物由来の窒素含有量は15ppmであった。
【0068】
実施例3
実施例1及び実施2で得られた水相を混合した。該混合液100重量部に対して、水酸基型に変換した陰イオン交換樹脂(バイエル社製、商品名:レバチットMP−500)を30重量部加え、窒素雰囲気下、30℃にて5時間緩やかに撹拌を行い、イオン交換処理を行った。その後、5Cろ紙〔アドバンテック東洋(株)製、保持粒径1μm〕で減圧ろ過を行い、ろ液を105℃、2660Paの条件で1時間減圧脱水を行い、水酸化ホスファゼニウム化合物水溶液(濃度:18重量%)を得た。
次いで、砂糖及びグリセリンの重量比50/50の混合物100重量部に対して、上記方法で得られた水酸化ホスファゼニウム化合物水溶液5重量部を加え、105℃、1330Paの条件で3時間撹拌を行った。窒素雰囲気下、該化合物をオートクレーブに仕込み、数回窒素置換した後、大気圧状態から反応温度を100℃とし、反応時の最大圧力が392kPaの条件でOHVが350mgKOH/gになるまでプロピレンオキサイドの付加重合を行った。オートクレーブの内圧の変化が無くなった時点で665Pa、30分間減圧処理を行い、ホスファゼニウム化合物を含んだ状態の粗製ポリオキシアルキレンポリオールを得た。
該粗製ポリオール中のホスファゼニウム化合物1モルに対して、1.02モルのリン酸(75.1重量%の水溶液の形態)を仕込み、80℃、2時間の中和反応を行った。その後、粗製ポリオール100重量部に対して、酸化防止剤〔チバガイギー(株)製、商品名:IRGANOX1010〕を500ppm加え、減圧脱水を開始した。最終的に、105℃、1330Paの条件で3時間の減圧処理を行い、次いで、5Cろ紙で減圧ろ過を行いポリオールを回収した。該ポリオールのOHVは354mgKOH/gであった。回収したホスファゼニウム化合物をポリオール製造用触媒として再使用することができた。
【0069】
【発明の効果】
本発明の方法により、ホスファゼニウム化合物触媒由来の窒素含有量が50ppm以下であるポリオキシアルキレンポリオールが製造できる。そのため、本発明の方法により製造されたポリオキシアルキレンポリオールは、軟質、硬質及び半硬質に到る全ての形態のポリウレタンフォーム用原料として用い得ることは勿論、エラストマー、シーリング、接着剤、床材、靴底等のポリウレタン樹脂の原料としても使用できる。また、本発明の方法により回収した水酸化ホスファゼニウムは、ポリオキシアルキレンポリオール製造用触媒として再利用することが可能である。そのため、本発明は、製造コストの低減、省資源化を図る上でに極めて有用なポリオキシアルキレンポリオールの製造方法である。

Claims (4)

  1. 化学式(1)〔化1〕
    Figure 0003933791
    〔化学式(1)中、a、b、cおよびdは、それぞれ0〜3の整数であるが、a、b、cおよびdの全てが同時に0ではない。Rは同種または異種の炭素数1〜10個の炭化水素基であり、同一窒素原子上の2個のRが互いに結合して環構造を形成する場合もある。rは1〜3の整数であってホスファゼニウムカチオンの数を表し、T r- は価数rの無機アニオンを表す。〕、または、化学式(2)〔化2〕
    Figure 0003933791
    〔化学式(2)中、a、b、cおよびdは、0〜3の整数であるが、a、b、cおよびdの全てが同時に0ではない。Rは同種または異種の炭素数1〜10個の炭化水素基であり、同一窒素原子上の2個のRが互いに結合して環構造を形成する場合もある。Q - はヒドロキシアニオン、アルコキシアニオン、アリールオキシアニオンまたはカルボキシアニオンを表す。)で表されるホスファゼニウム化合物を触媒として製造された粗製ポリオキシアルキレンポリオール100重量部に対して、水20〜200重量部及び粗製ポリオキシアルキレンポリオール中のホスファゼニウム化合物1モルに対して、無機酸、無機酸酸性塩及び有機酸から選ばれる少なくとも1種の中和剤1〜30モルを加え、ポリオキシアルキレンポリオールと水の密度差が少なくとも0.008g/cm3となる温度範囲において、撹拌、静置してポリオキシアルキレンポリオール相と水相とを分液し、次いで、ポリオキシアルキレンポリオール相を吸着処理して、ホスファゼニウム化合物由来の窒素含有量を50ppm以下にすることを特徴とするポリオキシアルキレンポリオールの製造方法。
  2. 着処理が、合成ケイ酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、合成ケイ酸アルミニウム・マグネシウム、活性白土、酸性白土、ゼオライト、及び活性炭から選ばれる少なくとも1種の吸着剤を用いることを特徴とする請求項1記載のポリオキシアルキレンポリオールの製造方法。
  3. 着処理に、イオン交換樹脂を用いることを特徴とする請求項1記載のポリオキシアルキレンポリオールの製造方法。
  4. 水相を水酸基型陰イオン交換樹脂と接触させて水酸化ホスファゼニウムを回収し、該水酸化ホスファゼニウムをポリオキシアルキレンポリオール製造用触媒として用いること特徴とする請求項1記載のポリオキシアルキレンポリオールの製造方法。
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