JP3933584B2 - ポリビニルアセタール樹脂の製造法 - Google Patents

ポリビニルアセタール樹脂の製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリビニルアセタール樹脂の製造方法に関する。さらに詳しくは、反応器に予め水あるいは酸触媒を溶解した水溶液を仕込み、ポリビニルアルコールとアルデヒドと酸触媒を供給し、原料の供給を停止し、次いで該反応器内でアセタール化反応及び熟成反応させて、ポリビニルアセタールのアセタール化度を少なくとも60モル%にすることを特徴とするポリビニルアセタール樹脂の製造方法、及び金属成分含有量の少ないポリビニルアセタール樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリビニルアセタール樹脂は、塗料、接着剤、バインダー、及び成形体等に広く用いられている。従来、ポリビニルアセタール樹脂は、バッチ的に水溶液中のポリビニルアルコールとアルデヒドを酸触媒の存在下で反応させ、生成するポリビニルアセタールの樹脂スラリーをアルカリで中和し、脱水、洗浄した後に乾燥して粉粒状の形態として製造する方法が一般的である。
【0003】
これまで、ポリビニルアセタール樹脂に関する報告は多いが、ポリビニルアセタール樹脂を製造する反応装置に関する報告は少なく、例えば、ループ状反応器(例えば、特許文献1参照)、平滑表面を有する反応器(例えば、特許文献2参照)、耐腐食性材料からなる反応器(例えば、特許文献3参照)、高撹拌機付反応器(例えば、特許文献4参照)などがある。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−59117号公報
【特許文献2】
特開平4−275310号公報
【特許文献3】
特開平5−140216号公報
【特許文献4】
特開平11−349629号公報
【0005】
従来、ポリビニルアセタール樹脂は、製造工程において、水酸化ナトリウムなどのアルカリ中和剤を使用すると、未反応のアルカリ中和剤や酸触媒、及びアルカリ中和剤が酸触媒と反応して生成した金属塩などが、後のポリビニルアセタール樹脂の製造工程において、ポリビニルアセタール樹脂の粒子中に取り込まれたり、樹脂粒子表面に付着して製品中に残存する。こうした樹脂中に残存する金属成分、例えばアルカリ金属は、ポリビニルアセタール樹脂の特性である、例えば、透明性、耐湿性、電気絶縁性などを損なわせ、透明性や耐湿性が高度に要求される成形体や、電気絶縁性が要求される電子材料用接着剤用途で品質上の問題を引き起こす。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来、樹脂中の金属成分が少ない高品質のポリビニルアセタール樹脂を製造するためには、十分な反応時間を確保するために大型の製造設備が必要であったり、反応器や配管などへのポリビニルアセタール樹脂の付着を抑えるために、高度な設備設計と材料選定が必要であった。従って、こうした問題を回避するために、より合理的な製造設備の開発が望まれていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ポリビニルアルコールとアルデヒドを酸触媒の存在下で反応させてポリビニルアセタール樹脂を製造する方法において、反応器に予め水あるいは酸触媒を溶解した水溶液を仕込み、ポリビニルアルコールとアルデヒドと酸触媒を供給し、原料の供給を停止し、次いで該反応器内でアセタール化反応及び熟成反応させて、ポリビニルアセタールのアセタール化度を少なくとも60モル%にすることを特徴とするポリビニルアセタール樹脂の製造方法であり、予め、反応器に仕込む水あるいは酸触媒を溶解した水溶液の容積と、反応器に供給するポリビニルアルコールとアルデヒドと酸触媒の単位時間当たりの容積が(a式)の関係を満たすことを特徴とする請求項1記載のポリビニルアセタール樹脂の製造方法であり、
V/v ≧ 0.5 (a式)
ここで、V[L]は反応器に予め仕込む水あるいは酸触媒を溶解した水溶液の容積であり、v[L/hr]は反応器に供給するポリビニルアルコールとアルデヒドと酸触媒の単位時間当たりの容積である。更に、反応器内の反応温度が20〜50℃の範囲であるポリビニルアセタール樹脂の製造方法であり、得られたポリビニルアセタール樹脂をアルカリで中和し、水洗、脱水、乾燥して得られる、金属含有量が80ppm以下である、多孔質ポリビニルアセタール樹脂である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。尚、以下の説明において特に断りのない限り部および%は質量基準で示す。
本発明の原料として使用するポリビニルアルコールは、平均重合度200〜4000、ケン化度が80%以上のものを用いる。また、本発明に使用するポリビニルアルコールは、反応器に連続的に供給するため、適正な粘度を示す3〜15%の水溶液として使用することが好ましい。
【0009】
本発明の原料として使用するアルデヒドは、広くポリビニルアセタール樹脂の合成に用いられるアルデヒドを用いることができ、一例を示せば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、tert−ブチルアルデヒド、アミルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒドなどの脂肪族アルデヒド類、シクロヘキシルアルデヒド、フルフラールなどの脂環族アルデヒド類、ベンズアルデヒド、アルキル置換ベンズアルデヒド、ハロゲン置換ベンズアルデヒド、フェニル置換アルキルアルデヒドなどの芳香族アルデヒド類などがある。これらの中で、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒドが好ましく用いられる。これらのアルデヒドは単独で用いてもよく、二種以上併用してもよい。
【0010】
本発明に使用する酸触媒としては、例えば、塩酸、リン酸、硫酸、クエン酸、パラトルエンスルホン酸などを、一種で、あるいは、二種以上混合して用いる。酸触媒を用いる場合の水溶液濃度は、0.01〜35%の範囲で任意に選定できる。酸触媒は、通常、反応液のpHが0.3〜2.0となるように適量添加する。
【0011】
次に、本発明のポリビニルアセタール樹脂の製造方法は、反応器に予め水あるいは酸触媒を溶解した水溶液を仕込み、ポリビニルアルコールとアルデヒドと酸触媒を供給し、原料の供給を停止し、次いで該反応器内でアセタール化反応させて、ポリビニルアセタールのアセタール化度を少なくとも60モル%以上にすることを特徴としている。
【0012】
ここで、本発明のポリビニルアセタール樹脂の製造方法は、ポリビニルアセタール樹脂の原料であるポリビニルアルコール、アルデヒド、酸触媒の、反応装置と反応方法に特徴がある。まず、反応器内に水または酸触媒を溶解した水溶液を所定量仕込む。水または酸触媒を溶解した水溶液の仕込量V[L]は、三種類の原料の単位時間当たりの合計供給容積をv[L/hr]とした時に、
V/v ≧ 0.5 (a式)
の関係を満たすことが好ましい。上記(a式)を満足させることにより、反応器内で反応初期に生成するポリビニルアセタール樹脂の缶壁への付着を抑制できる。次に、撹拌した状態で、ポリビニルアルコールとアルデヒドと酸触媒を連続的に供給し、反応器を満たす様に、またはそれ以前に所望する液レベルまでで原料の供給を停止し、次いで該反応器内でアセタール化反応及び熟成反応させて、アセタール化度を少なくとも60モル%以上に到達させる。
【0013】
反応器へのポリビニルアルコール水溶液、アルデヒド、及び酸触媒の供給方法は、特に限定されないが、▲1▼ポリビニルアルコール水溶液、アルデヒド、及び酸触媒を三つの供給口から別々に供給する方法、▲2▼ポリビニルアルコールと酸触媒を予め混合し、ポリビニルアルコールと酸触媒の混合液と、アルデヒドとを別々に供給口から供給する方法、▲3▼ポリビニルアルコールとアルデヒドを予め混合し、ポリビニルアルコールとアルデヒドの混合液と、酸触媒とを別々に供給口から供給する方法などが採用できる。これらのうち、反応制御の観点から、▲1▼、▲2▼が好ましい。
【0014】
本発明で用いる反応器は、フィードしたポリビニルアルコール水溶液、アルデヒド、酸触媒を均一場で反応させる観点から、撹拌機構の付いた槽状反応器、あるいは管型反応器が好ましい。また、反応器としては満液型反応器、気液界面を有する開放型反応器などの反応器を使用できる。撹拌条件としては、適正な混合撹拌を発現させる観点から、単位体積当たりの撹拌動力が0.05kW/m以上となるように実施することが好ましい。
【0015】
反応器内の反応液を撹拌するために用いる撹拌翼としては、三枚後退翼、パドル翼、アンカー翼、マックスブレンド翼、フルゾーン翼などがある。混合を十分に達成させる観点からは、マックスブレンド翼、フルゾーン翼などのいわゆる大型翼を使用することが好ましい。
【0016】
撹拌方式としては、撹拌翼及び撹拌軸への付着を抑制する観点から、下部撹拌方式が好ましい。また、バッフルについても付着を抑制する観点から、下部バッフル方式が好ましい。
【0017】
本発明では、ポリビニルアルコールとアルデヒドと酸触媒を連続的あるいは断続的に供給し、反応器を満たす様に、またはそれ以前に所望する液レベルに達した時点で供給を停止し、撹拌した状態でアセタール化反応を実施する。一般に、アセタール化反応の反応温度は、0〜90℃の範囲に設定される。しかしながら、アセタール化反応は、この0〜90℃の温度範囲の中温付近(20〜50℃)で行われることは一般的ではなく、通常、洗浄性に優れた樹脂を得るために、10℃以下の低温、あるいは、逆に意図的に60℃以上の高温で行われる。しかしながら、本発明においては、このアセタール化反応は、一般に行われている0〜90℃の温度範囲の中で特に中温付近、すなわち20〜50℃、好ましくは25〜45℃が選定される事を特徴としている。このように、20〜50℃の”中温”における反応によって、洗浄性のよい多孔質の(比表面積が大きい)樹脂が得られることが本発明の特徴の一つである。反応時間は、10分〜10時間、好ましくは30分〜4時間の範囲で選定する。
【0018】
次いで、該反応器内で引き続き熟成反応を実施し、アセタール化度を少なくとも60モル%以上に到達させる。この熟成反応の反応温度は室温〜90℃、好ましくは30〜70℃の範囲であり、反応時間はアセタール化反応が所望するアセタール化度まで到達、完結する様に設定され、通常1〜24時間、好ましくは1〜5時間の範囲である。アセタール化反応と熟成反応を、同一反応器を用いて実施できることも本発明の特徴の一つである。
【0019】
こうして得られたポリビニルアセタール反応液(以下、しばしばスラリーと言い換える)は、酸触媒により酸性を呈している。このスラリーを中和するために、水酸化ナトリウムや重炭酸ナトリウムなどのアルカリ中和剤を添加する。通常、pHが7〜11となるように調整する。
【0020】
次に、脱水と水洗を繰り返して、粉粒体の空隙や表面に残留している金属成分を除去する。この他、残留する酸触媒、アルデヒドなどの反応残さも除去する。
【0021】
この水洗は、室温〜60℃の温度で行う。一般には、40℃以上が好ましいが、本発明による樹脂粉粒体は比表面積が大きいので、室温での水洗浄でも十分な洗浄性を有することも、本発明の特徴の一つである。
【0022】
乾燥方法は、特に限定されるものではなく、例えば、真空乾燥法、熱風流動乾燥法などの従来の方法を採用できる。
【0023】
本発明で得られるポリビニルアセタール樹脂は多孔質であることを特徴としている。多孔質の一つの指標となる比表面積は、水銀圧入法測定装置を用いて測定できる。本発明においては、島津製作所(株)製自動ポロジメータオートポアIV500を用い、以下の手順、条件で測定した。まず、試料約0.6gを試料セルに取り、秤量した後、装置にセットし、次に、装置内で50μmHg(6.7Pa)まで真空排気処理した後、測定した。水銀注入圧力1psia(6900Pa)、最大水銀頭圧力44500psia(290MPa)、平衡時間10秒の条件で行った。
【0024】
一次粒子径は、5000倍で撮影した走査型電子顕微鏡写真を基に、少なくともn=20以上の粒子について計測し、これら測定結果から平均粒子径として算出した。
【0025】
本発明で得られるポリビニルアセタール樹脂は比表面積が大きく、金属成分の洗浄除去性に優れるため、結果として樹脂中の金属成分含有量が極めて少なく、いろいろな塗料、接着剤、バインダー、成型体などの原料樹脂として好適に用いることができる。
【0026】
本発明で得られるポリビニルアセタール樹脂には、可塑剤、滑剤、充填剤、安定剤などを適宜選定、添加することができる。配合剤を配合する方法は、通常、樹脂加工分野で用いる任意の方法が採用できる。例えば、ミキシングロール、ニーダーなどの密閉混合機、混練機能を有する押出機などが使用できる。
【0027】
【実施例】
以下に実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明は下記の実施例により限定されるものではない。
【0028】
実施例1
原料の一つであるポリビニルアルコール水溶液は以下の手順で調整した。15LのSUS製溶解槽に、純水9000部、及び、平均重合度1800、ケン化度99.1モル%のポリビニルアルコール1000部を投入し、加温してポリビニルアルコールを完溶させた。その後、ポリビニルアルコール水溶液を50℃に保持した。
【0029】
撹拌機構の付いた(撹拌翼はd/D=0.65のテフロン(登録商標)製アンカー翼)、実容積6Lのガラス製槽型反応器を用意した。反応器上部三箇所から、バッフルを兼ねた三本の挿入管を取り付けた。純水1Lを仕込み、35℃に温調した。次に、撹拌した状態(撹拌回転数65rpm)で、各々の挿入管から、10%ポリビニルアルコール水溶液、ブチルアルデヒド、20%塩酸をフィードした。各々の供給速度は16.7mL/min、1.30mL/min、1.09mL/minで実施した(単位時間当たりの原料供給容積1.15L/hr、V/v≒0.87)。フィード中、液面の上昇と共に、撹拌回転数を徐々に上げた(65→120rpm)。この一連の操作中、反応器ジャケットを使って内温を制御し、30℃に保持した。反応器フィード総量が4Lになった(予め仕込んだ20%塩酸を加えた総液量5L)時点で、原料フィードを停止した。この状態で1時間保持し、アセタール化反応を継続した。1時間経過後、ジャケットに温水を流し、反応器を加温し、内温を55℃に保持した。この状態で撹拌回転数を120→140rpmに上げて、2時間保持した。こうしてポリビニルアセタール(スラリー)を得た。
【0030】
次いで、水酸化ナトリウム水溶液を添加し、pH9に調整した。
【0031】
常温まで冷却した後、このスラリーを遠心分離器により含水率45%に脱水し、樹脂分に対して10倍量の水を添加して希釈し、30分間撹拌して水洗した。
【0032】
この脱水、水洗操作を三回繰り返し、得られたスラリーを再度脱水した後、乾燥して白色粉粒状のポリビニルブチラール樹脂を得た。なお、水洗に用いた水の温度はいずれも25℃であった。
【0033】
島津製作所(株)製自動ポロシメータオートポアIV500を用いて測定した樹脂粉粒体単位重量当たりの比表面積は3.3m/gであった。
【0034】
ICP発光元素分析で測定した樹脂中のナトリウム元素含有量は11ppmであった。
【0035】
得られたポリビニルブチラール樹脂のブチラール化度、ポロシメータで測定した樹脂粉粒体の比表面積、粒子径、ICPで測定した樹脂中のナトリウム量の結果をまとめて表1に示した。
【0036】
実施例2
実施例1において、反応器内温を25℃とし、予め反応器に1%塩酸を1L仕込み、その他は同じ条件で実施した。
【0037】
実施例3
実施例1において、ポリビニルアルコール水溶液、ブチルアルデヒド、20%塩酸の供給速度を9.8mL/min、0.77mL/min、0.64mL/minで実施した(単位時間当たりの原料供給容積0.67L/hr、V/v≒1.49)。
【0038】
実施例4
実施例1において、撹拌翼として三枚後退翼(d/D=0.64)と中段パドル翼(d/D=0.60)を用いて実施した。
【0039】
実施例5
実施例1において、反応器下部に撹拌機構の付いた(撹拌翼はd/D=0.65のテフロン(登録商標)製アンカー翼)、実容積6Lのガラス製槽型反応器を用いて実施した。
【0040】
実施例6
原料の一つであるポリビニルアルコール水溶液は以下の手順で調整した。2mのSUS製溶解槽に、純水900000部、及び、平均重合度1800、ケン化度99.0モル%のポリビニルアルコール100000部を投入し、加温してポリビニルアルコールを完溶させ、その後、45℃に保持した。
【0041】
撹拌機構の付いた(撹拌翼は、テフロン(登録商標)コーティングした住友重機械(株)製マックスブレンド翼(d/D=0.55))、容積1mの槽型反応器(内面グラスライニング)を用意した。反応器上部三箇所から、バッフルを兼ねた三本の挿入管を取り付けた。純水150Lを仕込み、32℃に温調した。次に、撹拌した状態(撹拌回転数50rpm、単位体積当たりの動力Pv=0.15kW/m)で、各々の挿入管から、10%ポリビニルアルコール水溶液、ブチルアルデヒド、35%塩酸をフィードした。各々の供給速度は100L/hr、7.7L/hr、3.1L/hrで実施した(単位時間当たりの合計供給容積110.8L/hr、V/v≒1.35)。フィード中、液面の上昇と共に、撹拌回転数を徐々に上げた(50→60rpm、原料フィード終了時の単位体積当たりの動力Pv=0.14kW/m)。この間、反応器ジャケットで水冷し、内温を32℃に制御した。反応器内総液量が900Lになった時点で、原料フィードを停止した。この状態で1時間保持し、アセタール化反応を継続した。次に、反応器内温を55℃に昇温し、2時間保持し、熟成反応を実施した。こうしてポリビニルアセタール(スラリー)を得た。以下、実施例1と同様の手順でポリビニルアセタール粉粒体を作製した。
【0042】
比較例1
実施例1と類似ではあるが、反応器下部に供給口が無い内容積2Lのガラス製反応器を準備した。10%ポリビニルアルコール水溶液、ブチルアルデヒド、20%塩酸を、単位時間当たりの反応器仕込量が実施例1とほぼ同じ比率となる条件、すなわち、各々900g、68g、59g準備した。反応器の撹拌翼を回転させた状態で、三種類の原料を反応器上部の別々の供給口から同時に添加した。1時間経過後、内温を55℃に昇温し、2時間保持して熟成反応を実施した。以下、実施例1の手順に準拠し、最終的にポリビニルブチラール樹脂粉粒体を得た。
【0043】
比較例2
実施例1において、反応器に予め純水を仕込まないで実施した。ポリビニルアルコール水溶液、ブチルアルデヒド、20%塩酸をフィードした直後に反応器底部に樹脂の白色ブロックが生成し、原料供給口が閉塞した。
【0044】
【表1】
Figure 0003933584
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、大型の製造設備が必要をせず、反応器や配管などへのポリビニルアセタール樹脂の付着を抑えるたことができる合理的な反応装置を使って、金属成分の含有量が極めて少ない高品質のポリビニルアセタール樹脂を製造することができる。

Claims (3)

  1. ポリビニルアルコールとアルデヒドを酸触媒の存在下で反応させてポリビニルアセタール樹脂を製造する方法において、反応器に予め水、あるいは酸触媒を溶解した水溶液を仕込み、次に該反応器にポリビニルアルコールとアルデヒドと酸触媒を供給し、次に原料の供給を停止し、次に該反応器内でアセタール化反応及び熟成反応させて、ポリビニルアセタールのアセタール化度を少なくとも60モル%にする工程を有することを特徴とするポリビニルアセタール樹脂の製造方法。
  2. 予め反応器に仕込む水、あるいは酸触媒を溶解した水溶液の容積と、反応器に供給するポリビニルアルコールとアルデヒドと酸触媒の単位時間当たりの容積が(a式)の関係を満たすことを特徴とする請求項1記載のポリビニルアセタール樹脂の製造方法。
    V/v ≧ 0.5 (a式)
    ここで、V[L]は反応器に予め仕込む水、あるいは酸触媒を溶解した水溶液の容積であり、v[L/hr]は反応器に供給するポリビニルアルコールとアルデヒドと酸触媒の単位時間当たりの容積である。
  3. 反応器内の反応温度が20〜50℃の範囲である請求項1または2項記載のポリビニルアセタール樹脂の製造方法。
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