JP3933585B2 - ポリビニルアセタール樹脂の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリビニルアセタール樹脂の製造方法、及び比表面積が大きいポリビニルアセタール樹脂に関する。更に詳しくは、反応器内における平均滞留時間が30分以上となるように、原料を連続的あるいは断続的に供給してアセタール化反応させて連続的あるいは断続的に排出することを特徴とするポリビニルアセタール樹脂の製造方法、及び反応器内での樹脂の付着が少ないポリビニルアセタール樹脂の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリビニルアセタール樹脂は、広く、いろいろな塗料、接着剤、バインダー、及び成形体等に用いられている。従来、ポリビニルアセタール樹脂は、水溶液中のポリビニルアルコールとアルデヒドを酸触媒の存在下で反応させ、生成するポリビニルアセタールの樹脂スラリーをアルカリで中和し、脱水、洗浄した後に乾燥して粉粒状の形態として製造する方法が一般的である。さらに、水溶液中のポリビニルアルコールとアルデヒドを、酸触媒の存在下、一工程で所望する最終アセタール化度まで反応させ、得られた樹脂スラリーをアルカリで中和し、脱水、洗浄した後に乾燥して粉粒状の形態として製造される方法が一般的である。
【0003】
この際、中和に用いる水酸化ナトリウムなどのアルカリ中和剤は酸触媒と反応して金属塩が生成する。この金属塩や、未反応のアルカリ中和剤及び未反応の酸触媒(以下、金属成分と称する)は、ポリビニルアセタール樹脂の粒子中に取り込まれたり、樹脂の粒子表面に付着する。こうした金属(アルカリ)成分は水洗を繰り返すことにより、ある程度除去できるが、通常、樹脂の粒子中に取り込まれた金属成分を除去するのは困難である。
【0004】
このような、樹脂中に残存する金属成分、例えばアルカリ金属は、ポリビニルアセタール樹脂の特性、例えば、透明性、耐湿性、電気絶縁性などを損なわせ、特に、透明性や耐湿性が高度に要求される成型体や、電気絶縁性が要求される電子材料用接着剤用途で品質上問題となり、改善が要求されている。
【0005】
こうした、アルカリに起因する透明性、耐湿性、電気絶縁性などの品質問題を解決するために、反応処方や製造方法の観点から種々の提案がなされてきた。例えば、所定のアセタール化度に到達した時点でアルキレンオキサイドを添加し、残存酸触媒と反応させてアセタール化反応を停止する方法(例えば、特許文献1参照)、高撹拌混合下でアセタール化反応、析出を行う方法(例えば、特許文献2参照)、ループ状反応器を用いる方法(例えば、特許文献3参照)、平滑表面を有する反応器を用いる方法(例えば、特許文献4参照)、耐腐食性材料からなる反応器を用いる方法(例えば、特許文献5参照)、反応物スラリーを超音波振動させながら中和する方法(例えば、特許文献6参照)、反応物スラリーを粉粒状に析出させて電気透析により精製する方法(例えば、特許文献7参照)などがある。
【0006】
【特許文献1】
特開平4−55404号公報
【特許文献2】
特開平11−349629号公報
【特許文献3】
特開平5−59117など)号公報
【特許文献4】
特開平4−275310号公報
【特許文献5】
特開平5−140216号公報
【特許文献6】
特開平5−97919号公報
【特許文献7】
特開平12−38456号公報
【0007】
また、ポリビニルアセタール樹脂は金属、プラスチックス、ガラスなどの各種素材に付着しやすく、工業的規模での生産においては、反応器や配管内に付着して技術上の大きな障害となる。
【発明が解決しようとする課題】
従来の方法で合成したポリビニルブチラール樹脂は、樹脂中の金属成分の洗浄除去性が十分とは言えず、金属成分の洗浄除去性が極めて優れた新たなポリビニルアセタール樹脂、及び、その製造方法が望まれていた。また、反応器や配管内の付着が少ない製造方法が望まれていた。本発明は、こうした市場の要求に応えるべく研究開発を行った結果、樹脂中に残存する金属成分の洗浄除去性に優れ、また、反応器、配管などの製造設備への付着が少ない製造方法を見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、反応器内にポリビニルアルコールとアルデヒドと酸触媒を含む反応液を、該反応器内の該反応液の平均滞留時間が30分以上となるように、連続的あるいは断続的に供給してアセタール化反応させてアセタール化度が少なくとも10モル%以上65モル%未満に達した後に、該反応器内から反応液を連続的あるいは断続的に排出することを特徴とするポリビニルアセタール樹脂の製造方法であり、反応器内から連続的あるいは断続的に排出した反応液を、別の反応器内で更に反応させ、ポリビニルアセタールのアセタール化度を少なくとも65モル%以上にすることを特徴とするポリビニルアセタール樹脂の製造方法であり、反応器が撹拌機構の付いた反応器であることを特徴とするポリビニルアセタール樹脂の製造方法であり、反応器内の反応温度が20〜50℃の範囲であるポリビニルアセタール樹脂の製造方法であり、比表面積が1.50〜3.50m2/gであるポリビニルアセタール樹脂を含有する粉粒体であり、平均粒径が0.5〜2.5μmである粉粒体であり、金属含有量が80ppm以下であるポリビニルアセタール樹脂である。
【0009】
以下に本発明を詳細に説明する。尚、以下の説明において特に断りのない限り部および%は質量基準で示す。
本発明に使用する原料のポリビニルアルコールとしては、平均重合度200〜4000、ケン化度が80%以上のものを用いる。また、本発明において、ポリビニルアルコールは、反応器内に連続的、かつ、安定的に供給するために3〜15%の水溶液、好ましくは5〜12%の水溶液として使用する。
【0010】
本発明に使用する第二の原料であるアルデヒドとしては、広くポリビニルアセタール樹脂の合成に用いられる原料であるアルデヒドを用いることができ、一例を示せば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、tert−ブチルアルデヒド、アミルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒドなどの脂肪族アルデヒド類、シクロヘキシルアルデヒド、フルフラールなどの脂環族アルデヒド類、ベンズアルデヒド、アルキル置換ベンズアルデヒド、ハロゲン置換ベンズアルデヒド、フェニル置換アルキルアルデヒドなどの芳香族アルデヒド類などがある。これらの中で、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒドが好ましく用いられる。これらのアルデヒドは単独で用いてもよく、二種以上併用してもよい。
【0011】
本発明に使用する酸触媒としては、例えば、塩酸、リン酸、硫酸、クエン酸、パラトルエンスルホン酸などを、一種で、あるいは、二種以上混合して用いる。これらの酸触媒は、一般に反応液のpHが0.3〜2.0となるように適量添加する。
【0012】
次に、本発明のポリビニルアセタール樹脂はポリビニルアルコールとアルデヒドと酸触媒を反応器内に連続的あるいは断続的に供給してアセタール化反応させてアセタール化度が少なくとも10モル%以上65モル%未満に達した後に、該反応液を連続的あるいは断続的に排出し、次に別の反応器内で熟成反応させた後に、中和、水洗、脱水、乾燥することによって製造する。
【0013】
本発明は、ポリビニルアルコール、アルデヒド、酸触媒の反応方法と反応器内での反応時間に特徴がある。すなわち、反応器内にポリビニルアルコールとアルデヒドと酸触媒を含む反応液を、該反応器内の該反応液の平均滞留時間が30分以上となるように、反応器容積と単位時間当たりの原料供給容積を選定し、反応器内から連続的あるいは断続的に排出することを特徴としている。ここで、平均滞留時間は、反応器容積をV[L]、単位時間当たりの原料供給容積をv[L/分]とした時に、V/vで表される。すなわち、このように、反応液を反応系内から一定の条件で連続的あるいは断続的に排出することにより、反応生成物(以下、反応液と言い換える)が際だった多孔性、すなわち、粒子の比表面積が1.5m2/g以上を有する様になり、また、反応器内への付着が著しく低減する。
【0014】
原料の供給方法は、特に制限されないが、▲1▼三種類を別々の供給口から供給する方法、▲2▼ポリビニルアルコールと酸触媒を予め混合し、ポリビニルアルコールと酸触媒の混合液と、アルデヒドとを別々に供給口から供給する方法、▲3▼ポリビニルアルコールとアルデヒドを予め混合し、ポリビニルアルコールとアルデヒドの混合液と、酸触媒とを別々に供給口から供給する方法などが採用できる。このうち、反応制御の観点から、▲1▼、▲2▼が好ましい。
【0015】
反応器から反応物の排出は、連続的に行う。この際、反応物が反応器排出口付近や排出配管などに、局所的あるいはマクロ的に停滞しない様、配管部と反応器の溶接部や配管内壁は平滑な表面仕上げを実施したものを使用することが好ましい。更に具体的には、密閉型反応器を用いる場合には、反応器上部から原料を導入し、反応器下部から連続的に排出する方法、反応器上部から挿入管を用いて反応器の下部下層部に原料を供給し、反応器上部から連続的に排出する方法、反応器下部から原料を供給し、反応器上部から連続的に排出する方法などがある。予め、反応器内に水を満たしておき、次に、原料を供給する方法は、反応器内へのエアー溜まりを防ぐ方法として有効である。反応液上部に気液界面を有する開放型反応器を用いる場合には、反応器下部から原料を供給し反応器側面から反応液を排出する方法、反応器上部から原料を供給し、反応液レベルが一定となるように反応器下部から排出する方法などがある。
【0016】
反応器は、三種類の原料を均一場で反応させる観点から、撹拌機構の付いた槽状反応器あるいは管型反応器が好ましく、また、撹拌条件としては、適正な混合撹拌を発現させる観点から、単位体積当たりの撹拌動力が0.05kW/m3以上となるように実施することが好ましい。特に開放型反応器を用いる場合は、反応液の気液界面部での付着を抑制する観点から、液面変動の少ない比較的低回転で撹拌混合することが好ましい。
【0017】
反応器内を撹拌するために用いる撹拌翼としては、三枚後退翼、パドル翼、アンカー翼、マックスブレンド翼、フルゾーン翼などがある。混合を十分に達成させる観点からは、マックスブレンド翼、フルゾーン翼などのいわゆる大型翼を使用することが好ましい。撹拌翼または撹拌軸の樹脂付着を低減する観点からは、下部撹拌方式が好ましい。また、バッフルの樹脂付着を低減する観点からは、下部バッフル方式が好ましい。
【0018】
一般に、アセタール化反応の反応温度は、0〜90℃の範囲に設定される。しかしながら、アセタール化反応は、中温付近(20〜50℃)で行われることは一般的ではなく、むしろ、洗浄性に優れた樹脂を得るために、10℃以下の低温、あるいは、逆に意図的に60℃以上で行うことが一般に行われている。一方、本発明においては、アセタール化反応は20〜50℃、好ましくは25〜45℃が選定される。このように、20〜50℃の”中温”における反応によって、洗浄性のよい多孔質の(比表面積が大きい)樹脂が得られることは本発明の特徴の一つである。
【0019】
次に、本発明においては、平均滞留時間、すなわち、反応器内に供給した原料が排出されるまでに反応器に留まる平均時間が重要である。平均滞留時間は30分以上、好ましくは45分以上、更に好ましくは60分以上となるように、反応器容積及び単位時間当たりの原料供給容積を設定する。なお、平均滞留時間を30分以上とすれば本発明のポリビニルアセタール樹脂が得られるが、不必要に平均滞留時間を長くすること(例えば、2時間以上)は生産効率の観点から好ましくない。排出される反応液のアセタール化度は、反応温度により異なるが、少なくとも10モル%以上、好ましくは40モル%以上、更に好ましくは55モル%以上、65%未満であることが好ましい。
【0020】
反応器から排出された反応液(以下、しばしばスラリーと言い換える)は、次に別の反応器に移して熟成反応を行う。反応温度は室温〜90℃、好ましくは30〜70℃の範囲であり、反応時間はアセタール化反応が所望するアセタール化度まで到達、完結する様に設定され、通常1〜24時間、好ましくは1〜5時間の範囲内に設定する。この熟成反応により目標とするアセタール化度は60モル%以上、好ましくは65モル%以上が選定される。
【0021】
こうして得られたスラリーは、酸触媒により酸性を呈している。このスラリーを中和するために、水酸化ナトリウムや重炭酸ナトリウムなどのアルカリ中和剤を添加する。通常、pHが7〜11となるように調整する。
【0022】
次に、脱水と水洗を繰り返して、粉粒体の空隙や表面に残留している金属成分を除去する。この他、残留する酸触媒、アルデヒドなどの反応残さも除去する。
【0023】
この水洗は、室温〜60℃の温度で行う。一般には、40℃以上が好ましいが、本発明による樹脂の粉粒体は比表面積が大きいので、室温での水洗浄でも十分な洗浄性を有する。
【0024】
乾燥方法は、特に限定されるものではなく、例えば、真空乾燥法、熱風流動乾燥法など、従来の方法を採用できる。
【0025】
本発明で得られるポリビニルアセタール樹脂は多孔質であることを特徴としている。多孔質の一つの指標となる比表面積は、水銀圧入法測定装置を用いて測定できる。本発明においては、島津製作所(株)製自動ポロジメータオートポアIV500を用い、以下の手順、条件で測定した。まず、試料約0.6gを試料セルに取り、秤量した後、装置にセットし、次に、装置内で50μmHg(6.7Pa)まで真空排気処理した後、測定した。水銀注入圧力1psia(6900Pa)、最大水銀頭圧力44500psia(290MPa)、平衡時間10秒の条件で行った。本発明のポリビニルアセタール樹脂の粉粒体は水銀圧入法で測定した比表面積が1.5〜3.5m2/gの範囲である。
【0026】
一次粒子径は、5000倍で撮影した走査型電子顕微鏡写真を基に、少なくともn=20以上の粒子について計測し、これら測定結果から平均粒子径として算出した。本発明のポリビニルアセタール樹脂の粉粒体の平均粒径は0.5〜2.5μmの範囲である。
【0027】
本発明の製造方法は、反応器内、撹拌翼、配管内への樹脂付着が少ないことも特徴の一つである。反応缶内の付着状態は、反応終了後に反応器を解体して目視観察して優劣を判定した。また、反応器内面、撹拌翼と撹拌軸、バッフルの付着物を全量剥ぎ取り、総重量を測定した。
【0028】
本発明で得られるポリビニルアセタール樹脂は比表面積が大きく、金属成分の洗浄除去性に優れるため、結果として樹脂中の金属成分含有量が極めて少なく、いろいろな塗料、接着剤、バインダー、成型体などの原料樹脂として好適に用いることができる。
【0029】
本発明で得られるポリビニルアセタール樹脂には、可塑剤、滑剤、充填剤、安定剤などを適宜選定、添加することができる。配合剤を配合する方法は、通常、樹脂加工分野で用いる任意の方法が採用できる。例えば、ミキシングロール、ニーダーなどの密閉混合機、混練機能を有する押出機などが使用できる。
【0030】
【実施例】
以下に実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明は下記の実施例により限定されるものではない。
【0031】
実施例1
原料の一つであるポリビニルアルコール水溶液は以下の手順で調整した。150LのSUS製溶解槽に、純水90000部、及び、平均重合度1700、ケン化度98.5モル%のポリビニルアルコール10000部を投入し、加温してポリビニルアルコールを完溶させた。
【0032】
反応器下部に三つの供給口を有し、反応器上部に一つの排出口を有する容積9Lの筒型ガラス製密閉反応器(棒バッフル2本付き)を準備した。反応器内に純水を満たし、撹拌しながら(アンカー翼、350rpm)内温を32℃に保持した。
【0033】
上記の10%ポリビニルアルコール水溶液と、酸触媒として35%塩酸、アルデヒドとしてブチルアルデヒド(純度99.5%)を準備し、各々の供給速度が9.0kg/hr、0.29kg/hr、0.68kg/hrとなるように反応器下部からフィードしながら、生成したポリビニルアセタール反応液(スラリー)を、反応器上部から排出させた。
【0034】
反応器への原料フィードを5時間実施した後、ポリビニルアルコール水溶液の供給ラインを純水に切り替え、反応器内を純水で十分に置換した後、反応器を解体し、反応器内面、撹拌翼、バッフルへの付着状態を確認した。その結果、反応器内面、撹拌翼、バッフル共にほとんど付着は無く、良好な状態であった。缶壁、翼、軸、バッフルに付着していた付着物の総重量は58gであった。
【0035】
本条件での反応器平均滞留時間は60分であり、反応器上部排出口でサンプリングした生成ポリビニルアセタールのアセタール化度は58モル%であった。得られたスラリーの一部は別に準備した6Lの熟成槽へ送り(移送量3kg)、その後55℃で2時間熟成させた。熟成槽の撹拌翼は三枚後退翼であり、撹拌回転数は150rpmの条件を採用した。
【0036】
次いで、水酸化ナトリウム水溶液を添加し、pH9に調整した。
【0037】
常温まで冷却した後、このスラリーを遠心分離器により含水率45%に脱水し、樹脂分に対して10倍量の水を添加して希釈し、30分間撹拌して水洗した。
【0038】
この脱水、水洗操作を三回繰り返し、得られたスラリーを再度脱水した後、乾燥して白色粉粒状のポリビニルブチラール樹脂を得た。なお、水洗に用いた水の温度はいずれも25℃であった。
【0039】
得られたポリビニルブチラール樹脂のブチラール化度は70モル%であった。
【0040】
島津製作所(株)製自動ポロシメータオートポアIV500を用いて測定した樹脂粉粒体単位重量当たりの比表面積は3.2m2/gであった。
【0041】
ICP発光元素分析で測定した樹脂中のナトリウム元素含有量は18ppmであった。
【0042】
反応器排出口でサンプリングした反応物のブチラール化度、最終的に得られたポリビニルブチラール樹脂のブチラール化度、反応器内面に付着した付着物の厚み、ポロシメータで測定した樹脂粉粒体の比表面積、粒子径、ICPで測定した樹脂中のナトリウム量の結果をまとめて表1に示した。
【0043】
実施例2
実施例1において、反応器内の温度を25℃とし、その他は同じ条件で実施した。
【0044】
実施例3
実施例1において、ポリビニルアルコール水溶液、35%塩酸、ブチルアルデヒドの供給速度を、それぞれ、4.5kg/hr、0.145kg/hr、0.34kg/hrとして実施した(平均滞留時間120分)。
【0045】
実施例4
実施例1において、ポリビニルアルコール水溶液、35%塩酸、ブチルアルデヒドの供給速度を、それぞれ、2.25kg/hr、0.073kg/hr、0.17kg/hr(平均滞留時間240分)とし、反応温度37℃で実施した。
【0046】
実施例5
実容積が9Lであるガラス製槽型反応器を準備し、内容積4Lとなる位置(反応器側面)に内径20mmのガラス製ノズルを取り付けた。反応器上部三箇所に三本の挿入管を取り付け、これら挿入管を介して、10%ポリビニルアルコール水溶液、35%塩酸、ブチルアルデヒドの三種の原料を、各々反応器下部からフィードした。各々の供給速度は6.0kg/hr、0.19kg/hr、0.45kg/hrで実施した(平均滞留時間40分)。フィード中、撹拌しながら(アンカー翼、100rpm)内温を45℃に保持した。生成したポリビニルアセタール反応液は反応器側面のノズルから連続的に排出した。
【0047】
実施例6
実施例5において、内容積6Lとなる位置にガラス製ノズルを取り付けて実施した(平均滞留時間60分)。
【0048】
実施例7
実施例5において、内容積6Lとなる位置にガラス製ノズルを取り付け(平均滞留時間60分)、10%ポリビニルアルコール水溶液、35%塩酸、ブチルアルデヒドの供給速度を、それぞれ、3.0kg/hr、0.095kg/hr、0.225kg/hr(平均滞留時間120分)とし、反応温度20℃で実施した。
【0049】
実施例8
実施例7において、反応温度50℃で実施した。
【0050】
比較例1
実施例1と類似ではあるが、反応器下部に供給口が無い内容積2Lのガラス製反応器を準備した。10%ポリビニルアルコール水溶液と、35%塩酸、ブチルアルデヒドを、単位時間当たりの反応器供給容積が実施例1と同じ比率となる条件、すなわち、各々900g、29g、68g準備した。反応器の撹拌翼を回転させた状態で、上記の三種の原料を反応器上部の別々の供給口から同時に添加した。60分経過後、別に用意した熟成槽に移し替え、その後、熟成させた。60分経過直後にサンプリングした反応液のブチラール化度は53モル%であった。以下、実施例1の手順に準拠し、最終的にポリビニルブチラール樹脂の粉粒体を得た。
【0051】
比較例2
実施例1において、容積2Lの筒型ガラス製密閉反応器(棒バッフル2本付き)を用い、その他は同じ条件で実施した。反応器の平均滞留時間は約13分である。反応器解体後、付着状態を観察したところ、特にバッフルとアンカー翼の付着が多かった。付着物総重量は210gであった。
【0052】
比較例3
実施例1において、容積4Lの筒型ガラス製密閉反応器(棒バッフル2本付き)を用い、その他は同じ条件で実施した。反応器の平均滞留時間は約26分である。反応器解体後、付着状態を観察したところ、バッフルとアンカー翼、反応缶内壁に付着していた。付着物総重量は107gであった。
【0053】
比較例4
実施例6において、反応温度5℃で実施した。
【0054】
比較例5
実施例6において、反応温度65℃で実施した。原料フィード開始14分後、反応器側面の排出ノズルが閉塞し、反応液を定常的に排出できなくなったため、中止した。
【0055】
【表1】
【0056】
【発明の効果】
本発明によれば、樹脂中に残存する金属成分の洗浄除去性に優れ、また、反応器、配管などの製造設備への付着が少ないポリビニルアセタール樹脂を、長時間に渡って安定して製造することができる。
Claims (4)
- 反応器内に、ポリビニルアルコールとアルデヒドと酸触媒を含む反応液を、該反応器内の該反応液の平均滞留時間が30分以上となるように、連続的あるいは断続的に供給してアセタール化反応させてアセタール化度が少なくとも10モル%以上65モル%未満に達した後に、該反応器内から反応液を連続的あるいは断続的に排出することを特徴とするポリビニルアセタール樹脂の製造方法。
- 反応器内から連続的あるいは断続的に排出した反応液を、別の反応器内で更に反応させ、ポリビニルアセタールのアセタール化度を少なくとも65モル%以上にすることを特徴とする請求項1記載のポリビニルアセタール樹脂の製造方法。
- 反応器が撹拌機構の付いた密閉反応器であることを特徴とする請求項1または2項記載のポリビニルアセタール樹脂の製造方法。
- 反応器内の反応温度が20〜50℃の範囲である請求項1、2または3項記載のポリビニルアセタール樹脂の製造方法。
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