JP3932800B2 - バッグインボックス用バッグ、バッグインボックス、並びに液体用バッグ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、清涼飲料などの液体を収納するバッグに関し、特に、バッグ(内袋)をカートン(外箱)に収めたバッグインボックスにおいて、液体注出用チューブを備えたバッグ(内袋)に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラスチック製フィルム又はシートで構成されたバッグ(内袋)に液体飲料が充填されこれをカートン(外箱)に収めたバッグインボックスを、飲料供給器へ装填して注出機構によって所定量を供給するものは、例えば、特開平9−188360号に開示されている。
【0003】
また、従来、飲料ディスペンサー等の自動注出機器に装填されるバッグインボックスにおいては、機器側とバッグ側とを繋いでバッグ内の液体飲料を送り出せるように、バッグには予め飲料注出用の弾性チューブを備えたものがある。その一つとして、上記特開平9−188360号と実用新案登録第256443号がある。
【0004】
特開平9−188360号は、単にバッグの一面に形成した注出口へ注出用ホースが接続された構成である。また、実用新案登録第256443号は、バッグ本体の片側面に内容物充填用スパウトと内容物注出用スパウトを設けて、内容物注出用スパウトに弾性チューブを取付ける構成の改良に関し、先端に筒部を形成した内容物注出用スパウトの筒部へ弾性チューブを取付けるようにすることによって、小型化を図って素材コストを低減し、取り付け工程を少なくしたものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の特開平9−188360号の技術では、注入口と注出口の関係が不明である。一方、実用新案登録第256443号は、内容物充填用スパウトと弾性チューブを取付けた内容物注出用スパウトとは、バッグ本体の同じ片側面に設けられている。このために、バッグ内への液体充填の工程をアセプティック(無菌)充填する場合には、液体充填後の内容物充填用スパウトへのキャップ取付け工程において、この弾性チューブがその倒れ方向によっては邪魔であり、キャップの取り付け作業に手間取る問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みて、バッグに液体の注入口と注出口を備えるものにおいて、アセプティック(無菌)充填における弾性チューブの邪魔を解決することを課題とし、弾性チューブを用いることによる利点を活かしたバッグを提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、四辺形状をなし内側面がヒートシール面をなすプラスチック製フィルム又はシートの二組が、それぞれの前記ヒートシール面相互が前記四辺に沿った周辺部において四辺形状に熱溶着部で熱溶着されて袋状にバッグ本体が形成されたバッグインボックス用バッグにおいて、前記四辺形状の熱溶着部のうち、一組の対向する辺のうちの一方の辺の熱溶着部とその左右両側のもう一組の対向する辺の熱溶着部とで囲まれた左右のコーナ部のうち、一方のコーナ部には前記バッグ本体を構成する二組のフィルム又はシートのうちのバッグ本体の片側の面に前記バッグへの液体注入口のスパウトが取り付けられ、他方のコーナ部には液体注出用弾性チューブが前記バッグの側方である周辺外方へ延出状態になるように前記液体注出用弾性チューブの端部が前記もう一組の対向する辺のうちの一方の辺の熱溶着部のヒートシール面間に挟まれて前記液体注出用弾性チューブの端部の外面のヒートシール層と前記ヒートシール面が熱溶着された構成であることにより、作業中に前記液体注出用弾性チューブが邪魔にならないようにしたものである。
【0008】
また、本発明の他の技術的手段は、液体注出用チューブは、前記熱溶着部分に取付けられたチューブ接続用スパウトに接続する構成とし、バッグの側方へ液体注出用チューブを延出するようにして、作業中にこのチューブが邪魔にならないようにしたものである。
【0010】
また、本発明の他の技術的手段は、上記のバッグを内袋としたバッグインボックスを提供するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について説明する。各図は本発明の実施の形態を示しており、図1はバッグの形態を示す正面図、図2は図1におけるバッグの液体注出用チューブ取付部を断面で示す説明図、図3はバッグを構成するプラスチック製フィルム又はシートの構成図、図4は液体注出用チューブの断面図、図5は他の実施形態おけるバッグの正面図、図6は図5のバッグの液体注出用チューブ取付部を断面で示す説明図、図7はバッグインボックスの斜視図である。
【0013】
本発明のバッグは、清涼飲料、その他の液体を収納するバッグに適するが、その中の代表的なものとして、上記特開平9−188360号やその他において公知の飲料ディスペンサに適用できるバッグインボックス及びそのバッグ(内袋)について以下に記述することとする。
【0014】
図1乃至図4、及び図7において、バッグインボックス1は、段ボール等からなるカートン(外箱)2とその中に納められるバッグ(内袋)3で構成される。本発明が特徴とするバッグ(内袋)3は、プラスチック製フィルム又はシートを周辺部において熱溶着4して袋状にバッグ本体5を形成しており、このバッグ本体5の片側面即ち、図1ではバッグ本体5の正面側にバッグ3への液体注入口6を設け、液体注出用チューブ7をバッグ3の側方、即ち、バッグ3の周辺外方へ延出状態になるように熱溶着部分4に熱溶着し、バッグ3内に充填した液体を注出できる構成である。そして、液体注入口6と液体注出用チューブ7は、バッグ3の片側寄り、即ち図1では上方寄りに配置されている。また、前記フィルム又はシートの熱溶着工程時にチューブ7の外面と前記フィルム又はシートとが熱溶着して、液体注出用チューブ7は、バッグ3に取付けられる。
【0015】
バッグ(内袋)3は、その周辺部を熱溶着4して袋状に形成するのに適したプラスチック製フィルム又はシート構成である。このため、内側面がヒートシール面となっているプラスチック製フィルム又はシート3Aを二組用意し、それぞれのヒートシール面を接触させた状態で熱溶着してバッグ(内袋)3を形成している。この場合、バッグ(内袋)3内への酸素の侵入を防止したり、バッグ3に収納した液体を紫外線等から保護するためのバリア層を設けたものが好ましく、その一つの構成として、前記バリア層としては、珪素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、錫等の酸化物、窒化物、弗化物の単体又はこれらの複合物からなる無機化合物、あるいはアルミニウムに代表される金属を真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマ気相成長法等の方法によって、ポリエチレンテレフタレートフィルムやポリアミドフィルムなどの機械的強度の高いフィルムに蒸着して無機化合物蒸着層あるいは金属蒸着層を5〜100nmの厚さに設けたバリヤ性フィルム9を形成する。このバリア性フィルム9の両側面に接着剤層を介してヒートシール性フィルム10をラミネートして積層フィルム8を形成する。
【0016】
この積層フィルム8にヒートシール性フィルム単体11を重ね合わせて二重構成としたフィルム又はシート3Aを二組用意し、この二重構成の二組のフィルム又はシート3Aのそれぞれの前記ヒートシール性フィルム単体11を内側にした状態で、周囲の熱溶着部4を熱溶着することによってバッグ(内袋)3を形成することができる。
【0017】
ヒートシール面を構成するヒートシール性フィルム9及び11は低密度ポリエチレン(LDPE)あるいは線状低密度ポリエチレン((LLDPE)が好ましく、積層フィルム8側のヒートシール性フィルム9の厚さは約30〜60μmであり、またヒートシール性フィルム単体11の厚さは約50〜120μmである。また、積層フィルム8のバリア性フィルム9の厚さは、前記無機化合物蒸着層を含めて約10〜20μmである。この構成によって、フィルム又はシート3Aは、強度的にも強く、またバッグ内への酸素の侵入を防止したり、あるいは紫外線等から収納物を保護できる効果がある。
【0018】
一方、液体注出用チューブ7は、その使用性を考慮して合成ゴム等で構成された弾性チューブである。この場合、液体注出用チューブ7は、合成ゴム等のチューブ基材12の外面にヒートシール層13を形成した複数層構成として、バッグ(内袋)3を構成するために用意した二組のフィルム又はシート3A間にこのチューブ7の端部を挟んだ状態で熱溶着工程を実施することによって、前記二組のフィルム又はシート3Aのヒートシール性フィルム11とこのチューブ7のヒートシール層13が熱溶着にて密着する。この場合、液体注出用チューブ7のヒートシール層13は、二組のフィルム又はシート3Aとの熱溶着効果上、ヒートシール性フィルム9及び11と同質のポリエチレン製が好ましく、その厚さは約30〜100μmである。
【0019】
このような熱溶着工程によって、チューブ7の端部は、前記二組のフィルム又はシート3Aのヒートシール性フィルム11と熱溶着して密着し、また、バッグ(内袋)3のその他の熱溶着部4は、前記二組のフィルム又はシート3Aのヒートシール性フィルム9及び11が熱溶着にて密着し、全体として所期の形態のバッグ(内袋)3が形成される。弾性チューブ7の他端は密着状態に潰して閉塞され、バッグ(内袋)3内の液体の流出を防止している。
【0020】
液体注入口6は、種種の形態が適用でき、その一つとして、実用新案登録第256443号に示すように、スパウトの取付け基部をバッグ本体5を構成する片側のフィルム又はシート3Aと熱溶着し、このスパウトの出口には開閉キャップを被せた構成である。
【0021】
図5及び図6は、本発明の他の実施形態を示している。これにおいて、図1乃至図4、及び図7の実施形態と構成が重複する部分は同符号を付してその説明を省略する。図1乃至図4の構成と主として異なるところは、チューブ7をバッグ(内袋)3に直接取付けるのではなく、チューブ接続用スパウト14を介して取付ける構成とした点である。即ち、液体注出用チューブが接続されるチューブ接続用スパウト14を、フィルム又はシート3Aの熱溶着と同時に熱溶着した構成である。具体的には、バッグ(内袋)3を構成するために用意した二組のフィルム又はシート3A間にこのチューブ接続用スパウト14を挟んだ状態で熱溶着工程を実施することによって、前記二組のフィルム又はシート3Aのヒートシール性フィルム11とこのチューブ接続用スパウト14が熱溶着にて密着する。この場合、チューブ接続用スパウト14の向きは、液体注出用チューブ7がバッグ3の側方すなわち、バッグ3の周辺外方へ延出する向きに熱溶着される。このチューブ接続用スパウト14に合成ゴム等で構成された弾性の液体注出用チューブ7をその弾性を利用して取付けることによって、液体注出用チューブ7がバッグ3の側方、すなわち、バッグ3の周辺外方へ延出する。液体注出用チューブ7の他端15は密着状態に潰して閉塞され、バッグ(内袋)3内の液体の流出を防止している。
【0022】
この場合、チューブ接続用スパウト14は、二組のフィルム又はシート3Aとの熱溶着効果上、ヒートシール性フィルム9及び11と同質の低密度ポリエチレン製が好ましく、射出成形等の方法によって、所定形状に成形されたものである。尚、液体注出用チューブ7は、フィルム又はシート3Aに熱溶着しないので、ヒートシール層13のない簡単な構成のチューブでよい。
【0023】
本発明のバッグは、上記のように、プラスチック製フィルム又はシートを周辺部において熱溶着して袋状に形成したものにおいて、バッグの片側面にバッグへの液体注入口を設け、熱溶着部分にバッグの液体注出用チューブを熱溶着したものであり、液体注出用チューブはバッグの側方へ延出することにより、このチューブが作業の邪魔になる従来の問題は解決できる。また、液体注出用チューブが直接バッグ(内袋)3の周辺部の熱溶着部分に熱溶着されるため、取付けが簡単になり、実用新案登録第256443号に示すように、液体注出口に設けた大きなスパウト部品も不要となって部品数を少なくできる効果がある。
【0024】
本発明はまた、バッグ(内袋)3周辺部の熱溶着部分に熱溶着したチューブ接続用スパウトに液体注出用チューブを接続した構成である。これによって、弾性チューブをその外面にヒートシール層を形成した複数層構成とする必要がなく、簡単な構成のチューブを採用できる効果がある。
【0025】
本発明のバッグは、上記のような構成であるため、バッグインボックス用バッグ或いはこのバッグを内袋としたバッグインボックスに限らず、他の液体用バッグとしても十分効果がある。
【0026】
本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の技術的範囲を逸脱しない限り種種の変更が考えられ、それに係る種種の実施形態を包含するものである。
【0027】
【発明の効果】
第1の発明によると、液体注出用弾性チューブはバッグの側方へ延出することにより、このチューブが作業の邪魔になる従来の問題は解決できる。また、液体注出用弾性チューブが直接バッグ(内袋)3に取付けられるため、部品数を少なくできる効果がある。また、液体注入口と液体注出用弾性チューブをバッグの片側寄りに配置したことによって、カートン(外箱)への収納作業をバッグの片側に注意して行えばよいので、その収納作業が容易となる効果がある。
【0028】
また、第2の発明によると、弾性チューブをその外面にヒートシール層を形成した複数層構成とする必要がなく、簡単な構成のチューブを採用できる効果がある。また、液体注入口と液体注出用弾性チューブ接続用スパウトをバッグの片側寄りに配置したことによって、カートン(外箱)への収納作業をバッグの片側に注意して行えばよいので、その収納作業が容易となる効果がある。
【0030】
また、第3の発明によると、バッグの側方へ延出する液体注出用弾性チューブはカートン(外箱)のコーナ部にそって収納することができ、チューブの保持及びバッグ(内袋)への取付部の保持が安定したバッグインボックスが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のバッグの形態を示す正面図である。
【図2】図1におけるバッグの液体注出用チューブ取付部を断面で示す説明図である。
【図3】本発明のバッグを構成するプラスチック製フィルムまたはシートの構成図である。
【図4】本発明の液体注出用チューブの断面図である。
【図5】本発明の他の実施形態おけるバッグの正面図である。
【図6】図5における液体注出用チューブ取付部を断面で示す説明図である。
【図7】本発明のバッグインボックスの斜視図である。
【符号の説明】
1……バッグインボックス
2……カートン(外箱)
3……バッグ(内袋)
3A……プラスチック製フィルム又はシート
4……熱溶着部
5……バッグ本体
6……液体注入口
7……液体注出用チューブ
8……積層フィルム
9……バリア性フィルム
10…ヒートシール性フィルム
11…ヒートシール性フィルム単体
12…チューブ基材
13…ヒートシール層
14…チューブ接続用スパウト

Claims (3)

  1. 四辺形状をなし内側面がヒートシール面をなすプラスチック製フィルム又はシートの二組が、それぞれの前記ヒートシール面相互が前記四辺に沿った周辺部において四辺形状に熱溶着部で熱溶着されて袋状にバッグ本体が形成されたバッグインボックス用バッグにおいて、前記四辺形状の熱溶着部のうち、一組の対向する辺のうちの一方の辺の熱溶着部とその左右両側のもう一組の対向する辺の熱溶着部とで囲まれた左右のコーナ部のうち、一方のコーナ部には前記バッグ本体を構成する二組のフィルム又はシートのうちのバッグ本体の片側の面に前記バッグへの液体注入口のスパウトが取り付けられ、他方のコーナ部には液体注出用弾性チューブが前記バッグの側方である周辺外方へ延出状態になるように前記液体注出用弾性チューブの端部が前記もう一組の対向する辺のうちの一方の辺の熱溶着部のヒートシール面間に挟まれて前記液体注出用弾性チューブの端部の外面のヒートシール層と前記ヒートシール面が熱溶着された構成であることを特徴とするバッグインボックス用バッグ。
  2. 四辺形状をなし内側面がヒートシール面をなすプラスチック製フィルム又はシートの二組が、それぞれの前記ヒートシール面相互が前記四辺に沿った周辺部において四辺形状に熱溶着部で熱溶着されて袋状にバッグ本体が形成されたバッグインボックス用バッグにおいて、前記四辺形状の熱溶着部のうち、一組の対向する辺のうちの一方の辺の熱溶着部とその左右両側のもう一組の対向する辺の熱溶着部とで囲まれた左右のコーナ部のうち、一方のコーナ部には前記バッグ本体を構成する二組のフィルム又はシートのうちのバッグ本体の片側の面に前記バッグへの液体注入口のスパウトが取り付けられ、他方のコーナ部には液体注出用弾性チューブの接続用スパウトが、前記液体注出用弾性チューブが前記バッグの側方である周辺外方へ延出する向きとなる向きに、前記もう一組の対向する辺のうちの一方の辺の熱溶着部のヒートシール面間に挟まれてこのスパウトと前記ヒートシール面が熱溶着された構成であることを特徴とするバッグインボックス用バッグ。
  3. 請求項1または2の何れかに記載のバッグを内袋としたバッグインボックス。
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