JP3932342B2 - 防水布の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、防水布の製造方法に関するものである。更に詳しく述べるならば、本発明は、戸外用軒出しテント、屋形テント、日除けテント、自動車用幌シート等の用途に好適な防水布の製造方法に関するものである。本発明方法により得られた防水布は、防水性、耐屈曲性などの耐久保持性に優れ、従って、上記の用途に好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車用幌シート、及び工事用メッシュシート等に用いられる防水布については、種々の製造方法が知られており、例えば、特開昭52−18995号には、ポリエステル繊維布帛に接着前処理を施し、この前処理表面をポリ塩化ビニル系樹脂により被覆する方法が開示されている。この製法により得られるポリ塩化ビニル系樹脂被覆防水布は、柔軟性、耐久性及び難燃性においては優れているが、しかし、燃焼時にポリ塩化ビニル系樹脂に起因する塩化水素ガスなどの有害ガスの発生が、大きな問題点となっている。
【0003】
特開平11−302979号、特開平11−323736号、特開2000−8276号及び特開2000−8277号には、ノンハロゲン材料としてオレフィン樹脂又はウレタン樹脂を用いた積層体が開示されているが、それらのほとんどは被覆材料として、高分子材料のエマルジョンを用いたものであり、基布中の空気の置換が不十分であったり、エマルジョンから発生する気泡が樹脂被覆層中に残留して、これが得られる防水布の防水性能及び耐屈曲性能が不十分になる原因になっている。
【0004】
上記のような高分子材料のエマルジョンを用いる含浸加工法により、防水性及び、耐屈曲性において満足できる防水布の製造方法は未だ得られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、屋外など過酷な使用条件下においても、樹脂層の剥離、脱落などによる損傷が少なく、しかも廃棄、焼却が容易な防水布の製造方法を提供しようとするものである。また本発明は、戸外用軒出しテント、屋形テント、日除けテント、自動車用幌シート等の用途に好適な防水布の製造方法を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の防水布の製造方法は、繊維布帛を含む基布に可撓性高分子材料の水性樹脂エマルジョンを前記基布重量の100%以下のピックアップで含浸又は被覆し、この含浸又は被覆布を乾燥することを含む1回以上の含浸又は被覆及び乾燥を施して前記基布に100〜600g/m 2 の可撓性高分子材料含有樹脂層を付着させる工程と、得られた含浸又は被覆−乾燥布に、それに含浸又は被覆された樹脂層の軟化温度よりも20℃以上高い温度及び0.1MPa 以上の押圧下において、1回以上の熱プレスを施して、前記樹脂層中に含まれる気泡を除去して、JIS L 1092、静水圧法耐水度試験による耐水度を、1500 mm より高く制御する工程とを含むことを特徴とするものである。
本発明の防水布の製造方法において、前記含浸又は被覆工程と前記熱プレスとをそれぞれ複数回繰り返えして施すことが好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の防水布の製造方法に基布として用いられる繊維布帛は、天然繊維、例えば木綿、麻など、無機繊維、例えばガラス繊維など、再生繊維、例えばビスコースレーヨン、キュプラなど、半合成繊維、例えば、ジ−及びトリアセテート繊維など、及び合成繊維、例えば、ナイロン6、及びナイロン66などのポリアミド繊維、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート等)繊維、芳香族ポリアミド繊維、アクリル繊維、及びポリオレフィン繊維など、その他公知の繊維から選ばれた少なくとも1種からなる布帛を包含する。
【0008】
前記繊維布帛中の繊維は、短繊維紡績糸、長繊維糸条、スプリットヤーン、テープヤーンなどのいずれの形状のものでもよい。また布帛は織物、編物、不織布またはこれらの複合体のいずれであってもよく、その組織、目付、厚さなどに格別の制限はない。
繊維布帛が非粗目編織物である場合、その組織、目付、厚さなどに制限はないが、使用目的に応じて、平織、綾織、丸編、緯編、及び経編などの編織物から選ぶことができ、またその目付は100〜600g/m2 程度とすることが好ましい。
【0009】
前記繊維布帛には、それに耐水性、及び吸水防止性を付与する目的をもって、例えば、ワックスエマルジョン、樹脂バインダーを含むワックスエマルジョン、及び弗素系或いはシリコーン系化合物のエマルジョン、及びこれらの溶液などを噴霧し、又は浸漬する方法により撥水前処理を予め施しておいてもよい。
【0010】
本発明の防水布の製造方法において、被覆層形成に用いられる可撓性高分子材料は、オレフィン樹脂、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはそれらの共重合体、例えば、エチレンと不飽和単量体との共重合樹脂、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、エチレン−バーサチック酸ビニル共重合体、アクリル系樹脂、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、並びにポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、及びポリ酢酸ビニル系樹脂などの汎用な樹脂を包含する熱可塑性樹脂、及びアクリロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、及びシリコーンゴムなどのゴム系樹脂、換言すれば熱可塑性エラストマー、及び天然又は合成ゴムなどを包含する。また可撓性を妨げない範囲で熱硬化性樹脂、その他の高分子材料を併用することもできる。これらの可撓性高分子材料の軟化温度は50〜200℃であることが好ましく、80〜130℃であることがより好ましい。
【0011】
本発明の防水布の製造方法において、可撓性高分子材料を含む水性エマルジョンを、基布に含浸(例えばディッピングして絞る)または被覆(例えば、塗布又はスプレーする)し、これを乾燥する含浸又は被覆−乾燥工程を施す。この工程を複数回施すと、得られる防水布の均質性が向上する。エマルジョン中には、紫外線吸収剤、酸化防止剤、無機充填剤、難燃剤、顔料、増粘剤、架橋剤、及び消泡剤などの1種以上を適宜添加してもよい。含浸又は被覆工程におけるエマルジョンのピックアップ率は、基布目付の100%以下に制御される。ピックアップ率が100%を超えると、含浸又は被覆布帛の乾燥が不十分になることがあり、更に後に述べる熱プレス工程によって、樹脂層中の気泡を完全に除くことができなくなり、得られる防水布の防水性能及び耐屈曲性能が不十分となることがある。
【0012】
基布に含浸又は被覆された可撓性高分子材料含有樹脂層の付着重量は、100〜600g/m2あり、好ましくは150〜500g/m2 である。樹脂層の付着重量が100g/m2 未満では、得られる防水布の防水性能及びウェルド縫製性が不十分になり、また樹脂層の付着重量が600g/m2 を超えると得られた防水布の柔軟性が不十分になる。基布に含浸又は被覆された樹脂層の軟化温度は50〜200℃であることが好ましく、より好ましくは80〜130℃である。
【0013】
本発明方法において基布に付与された高分子材料含有樹脂エマルジョンは、乾燥固化される。この乾燥温度、方法、装置などに格別の制限はないが一般に100〜160℃の温度において30秒以上乾燥されることが好ましく、100〜120℃で60〜120秒間の乾燥がより好ましい。
【0014】
本発明方法において、上記1回又は複数回の含浸又は被覆−乾燥工程を経た防水布中間体は、1回以上の熱プレスを施す工程に供される。本発明方法の熱プレスを施す工程における熱プレス温度は、基布上に含浸又は被覆された樹脂層の軟化温度よりも20℃以上高いことが必要であり、前記軟化温度よりも20℃〜50℃高いことが好ましい。熱プレス温度が、樹脂層中の高分子材料の軟化温度よりも20℃高い温度未満では、樹脂層中の気泡を完全に除くことができなくなり、得られる防水布の防水性能及び耐屈曲性能が不十分となる。
【0015】
熱プレス工程における押圧は0.1MPa 以上であり、好ましくは0.3MPa 以上1.0MPa 未満である。プレス圧力が0.1MPa 未満では、形成された樹脂層中の気泡を完全に除くことができなくなり、得られる防水布の防水性能及び耐屈曲性能が不十分となる。
【0016】
本発明方法における熱プレス工程は加熱装置を組み込んだ、エンボス板プレス機又はエンボスプレスロールなどの装置を用いて行うことができる。
【0017】
本発明方法において、基布用繊維布帛に対する前記含浸又は被覆−乾燥−熱プレス工程は、それぞれ複数回繰り返えして施されることが好ましい。
このようにすることによって、含浸又は被覆された樹脂層中に含まれる気泡又は空隙を除去又は充填し、得られる防水布の防水性能及び耐屈曲性を高めることができる。
【0018】
【実施例】
本発明を下記実施例により更に具体的に説明する。
製品の性能評価に用いられた測定方法は下記の通りである。
樹脂層の軟化温度
樹脂層の軟化温度は(株)東洋精機製作所製HDT試験装置にてJIS K−7206の荷重たわみ温度試験方法により測定した。
防水性
JIS L−1092の耐水度試験(静水圧法)により、初期並びに屈曲試験後(JIS L−1096のスコット法に従って、つかみ間隔2cm、押圧荷重1kgfの条件下に、試験片に、回数1,000回の屈曲試験を施す)の耐水圧を測定し、それぞれの耐水圧値を防水性能の初期評価及び耐久性評価とした。
【0019】
耐屈曲性
耐温水性試験(40℃温水中に3日間浸漬)前の乾燥状態、及び後の湿潤状態での試験片の各々をJIS L−1096のスコット法に従って、つかみ間隔2cm、押圧荷重1kgfの条件下に、試験片に、回数1,000回の屈曲試験を施し、その結果を目視で屈曲試験による耐屈曲性能の初期評価及び耐久性評価とした。
【0020】
実施例1
繊維性基布として、
ポリエステルスパン糸高密度平織布:
Figure 0003932342
を使用した。
またウレタン系樹脂エマルジョンを用いて、下記組成の水性高分子材料エマルジョンを調製した。
高分子材料(樹脂被覆層用)エマルジョン組成
ウレタン系樹脂(固形分:45重量%、軟化温度:90℃、
アビシア(株)製、商標;パーミュセンRU−40−350) 100重量部
顔料(大日本インキ化学工業(株)製、酸化チタン粒子、
商標;リュウダイ−W−ホワイトペースト69) 3重量部
紫外線吸収剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、
商標;チヌビン765) 0.5重量部
前記高分子材料(樹脂被覆層用)エマルジョン中に、前記基布用繊維布帛を浸漬し、マングルでピックアップ率100%に絞り、100℃で乾燥した。この高分子材料含浸布帛を温度120℃、押し圧0.2MPa の熱プレス処理を施し、更に140℃で熱処理して樹脂被覆層を形成した。得られた防水布において、樹脂被覆層の軟化温度はおよそ90℃であり、樹脂付着量が115g/m2 であった。この防水布の試験結果を表1に示す。
【0021】
実施例2
基布用繊維布帛として、
ポリエステルスパン糸高密度平織布:
Figure 0003932342
を使用した。
またウレタン系樹脂エマルジョンを用いて、下記組成の水性高分子材料エマルジョンを調製した。
高分子材料(樹脂被覆層用)エマルジョン組成
ウレタン系樹脂(固形分:45重量%、軟化温度:90℃、
アビシア(株)製、商標;パーミュセンRU−40−350) 100重量部
顔料(大日本インキ化学工業(株)製、酸化チタン粒子、
商標;リュウダイ−W−ホワイトペースト69) 3重量部
紫外線吸収剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、
商標;チヌビン765) 0.5重量部
前記高分子材料エマルジョン中に、前記基布用繊維布帛を浸漬し、マングルでピックアップ率80%に絞り、100℃で乾燥した。この高分子材料含浸布帛を温度120℃、押し圧0.2MPa の熱プレス処理をした後、再び前記樹脂被覆層用エマルジョン中に浸漬し、ピックアップ率60%にてマングルで絞り100℃で乾燥後、温度120℃、押し圧0.2MPa の熱プレス処理を施し、更に140℃で熱処理して樹脂被覆層を形成した。得られた防水布において、樹脂被覆層の軟化温度はおよそ90℃であり、樹脂付着量が180g/m2 であった。この防水布の試験結果を表1に示す。
【0022】
実施例3
実施例1と同様にして防水布を作製し、試験を行った。但し、樹脂被覆層形成のために下記組成の熱可塑性エラストマーエマルジョンを用いた。
高分子材料(樹脂被覆層用)エマルジョン組成
熱可塑性エラストマーエマルジョン(固形分:40重量%、
樹脂軟化温度:80℃、三井化学(株)製、商標;ケミパール
A−100) 100重量部
顔料(大日本インキ化学工業(株)製、酸化チタン粒子、
商標;リュウダイ−W−ホワイトペースト69) 3重量部
紫外線吸収剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、
商標;チヌビン765) 0.5重量部
前記高分子材料エマルジョン中に、前記基布用繊維布帛を浸漬し、マングルでピックアップ率80%に絞り、100℃で乾燥し、温度110℃、押し圧0.2MPa の熱プレス処理を施した。この含浸布帛を再び前記高分子材料エマルジョン中に浸漬し、マングルでピックアップ率60%に絞り、100℃で乾燥後、温度110℃、押し圧0.2MPa の熱プレス処理を施し、更に140℃で熱処理して、防水布を製造した。得られた防水布において、樹脂被覆層の軟化温度はおよそ80℃であり、樹脂付着量が160g/m2 であった。この防水布の試験結果を表1に示す。
【0023】
実施例4
基布用繊維布帛として、
Figure 0003932342
を使用し、高分子材料エマルジョンとして、ウレタン系樹脂とアクリル系樹脂との混合物を含む、下記組成のエマルジョンを用いた。
高分子材料(樹脂被覆層用)エマルジョン組成
ウレタン系樹脂(固形分:45重量%、軟化温度:90℃、
アビシア(株)製、商標;パーミュセンRU−40−350) 70重量部
アクリル系樹脂(固形分:45重量%、軟化温度:110℃、
日本ゼオン(株)製、商標;ニッポールLX851C) 30重量部
シリコーン系樹脂(固形分:45重量%、軟化温度:110℃、
東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製、商標;BY−22−
826) 10重量部
顔料(大日本インキ化学工業(株)製、酸化チタン粒子、
商標;リュウダイ−W−ホワイトペースト69) 3重量部
紫外線吸収剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、
商標;チヌビン765) 0.5重量部
前記樹脂被覆層用エマルジョン中に、前記繊維布帛を浸漬し、マングルでピックアップ率80%に絞り、100℃で乾燥後、温度130℃、押し圧0.25MPa の熱プレス処理を施した後、再び前記高分子材料エマルジョン中に浸漬し、マングルでピックアップ率60%に絞り、100℃で乾燥後、温度130℃、押し圧0.25MPa の熱プレス処理を施した後、さらに前記高分子材料エマルジョン中に浸漬し、マングルでピックアップ率40%に絞り、100℃で乾燥後、温度130℃、押し圧0.25MPa の熱プレス処理を施し、さらに140℃で熱処理して樹脂被覆層を形成した。得られた防水布において、樹脂被覆層の軟化温度はおよそ110℃であり、樹脂付着量が200g/m2 であった。この防水布の試験結果を表1に示す。
【0024】
実施例5
基布用繊維布帛として、
ポリエステルスパン糸高密度平織布:
Figure 0003932342
を使用した。
ウレタン系樹脂及びアクリル系樹脂のエマルジョンを用いて、下記組成の中間層用エマルジョンと表皮層用エマルジョンを調製した。
中間層用エマルジョン組成
ウレタン系樹脂(固形分:45重量%、軟化温度:90℃、
アビシア(株)製、商標;パーミュセンRU−40−350) 30重量部
アクリル系樹脂(固形分:45重量%、軟化温度:110℃、
日本ゼオン(株)製、商標;ニッポールLX851C) 70重量部
フェノールブロック化ヘキサメチレンジイソシアネート 1.8重量部
顔料(大日本インキ化学工業(株)製、酸化チタン粒子、
商標;リュウダイ−W−ホワイトペースト69) 3重量部
紫外線吸収剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、
商標;チヌビン765) 0.5重量部
表皮層用エマルジョン組成
ウレタン系樹脂(固形分:45重量%、軟化温度:110℃、
アビシア(株)製、商標;パーミュセンRU−41−083) 100重量部
シリコーン系樹脂(固形分:45重量%、軟化温度:110℃、
東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製、商標;BY−22
−826) 10重量部
γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン 1.8重量部
顔料(大日本インキ化学工業(株)製、酸化チタン粒子、
商標;リュウダイ−W−ホワイトペースト69) 3重量部
紫外線吸収剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、
商標;チヌビン765) 0.5重量部
前記中間層用エマルジョンに、前記繊維布帛を浸漬し、マングルでピックアップ率80%に絞り、100℃で乾燥後、温度130℃、押し圧0.25MPa の熱プレス処理を施した後、再び前記中間層用エマルジョン中に浸漬し、マングルでピックアップ率60%に絞り、100℃で乾燥後、温度130℃、押し圧0.25MPa の熱プレス処理を施した後、さらに前記表皮層用エマルジョン中に浸漬し、マングルでピックアップ率40%に絞り、100℃で乾燥後、温度130℃、押し圧0.25MPa の熱プレス処理をし、さらに140℃で熱処理して樹脂被覆層を形成した。得られた防水布において、中間層及び表皮層の軟化温度は、ともにおよそ110℃であり、合計樹脂付着量が200g/m2 であった。この防水布の試験結果を表1に示す。
【0025】
比較例1
実施例1と同様にして防水布を作製し、試験を行った。但し、熱プレス処理をすべて省いた。得られた防水布の試験結果を表1に示す。
【0026】
比較例2
実施例1と同様にして防水布を作製し、試験を行った。但し、熱プレス処理温度を90℃とした。得られた防水布の試験結果を表1に示す。
【0027】
比較例3
実施例1と同様にして防水布を作製し、試験を行った。但し、熱プレス処理工程の押圧を0.05MPa とした。得られた防水布の試験結果を表1に示す。
【0028】
比較例4
実施例1と同様にして防水布を作製し、試験を行った。但し、1回目のディッピング加工は、マングルでピックアップ率150%に絞り、2回目のディッピング加工は、マングルでピックアップ率120%に絞った。このときの合計樹脂付着量は400g/m2 であった。得られた防水布の試験結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
Figure 0003932342
【0030】
表1から明らかなように、可撓性高分子材料から選ばれた少なくとも1種を含む、エマルジョンを用いて含浸又は被覆加工した防水布を製造する方法において、毎回の含浸又は被覆加工におけるエマルジョンのピックアップ率が、基布目付の100%以下とし、含浸又は被覆加工毎に乾燥を行い、乾燥後、樹脂層の軟化温度よりも20℃以上高い温度、押圧0.1MPa 以上において熱プレスして形成された防水樹脂被覆層は、優れた防水性能、耐屈曲性能を示し、従って、得られた防水布の防水性、耐屈曲性の耐久性が著しく向上した。
【0031】
【発明の効果】
本発明の製造方法により得られる防水布は、防水性、耐屈曲性に優れており、特に屋外で使用される日除け、屋形テント、自動車用幌シートなどに好適である。また、この防水布は焼却、廃棄が容易であり、環境への悪影響もないという利点を有する。

Claims (2)

  1. 繊維布帛を含む基布に、可撓性高分子材料を含む水性樹脂エマルジョンを前記基布重量の100%以下のピックアップで含浸又は被覆し、この含浸又は被覆布を乾燥することを含む1回以上の、含浸又は被覆及び乾燥を施して、前記基布に100〜600g/m 2 の可撓性高分子材料含有樹脂を付着させる工程と、得られた含浸又は被覆−乾燥布に、それに含浸又は被覆された樹脂層の軟化温度よりも20℃以上高い温度及び0.1MPa 以上の押圧下において、1回以上の熱プレスを施して前記樹脂層中に含まれる気泡を除去して、JIS L 1092、静水圧法耐水度試験による耐水度を、1500 mm より高く制御する工程とを含むことを特徴とするテント及び幌シート用防水布の製造方法。
  2. 前記含浸又は被覆−乾燥工程と、前記熱プレスとをそれぞれ複数回繰り返えして施す、請求項1に記載の防水布の製造方法。
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