JP3931556B2 - データ処理装置、及び記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、データ処理装置、及び記録媒体に係り、詳細には電子レジスタ(ECR)、POSシステムに用いられるデータ処理装置、及び記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子レジスタ(以下、ECRという)及びPOS端末装置は、売上データを累計(登録)し、その売上データを出力し、登録された売上金額や売上回数等を点検、精算する装置であり、また、百貨店、スーパーマーケット、コンビニエンスストア等の売り場に設置し、商品管理、顧客管理、売上管理等に利用するデータを即時に収集する端末装置である。
【0003】
ところで、国によっては、これらのECRの売上データやデータ処理用のプログラムが店舗側で不正に改竄されることを防止するため、その仕様が法で制限される。このような国の法令では、ECRのハードウェア及びソフトウェアの双方に制限が与えられており、例えばECRのプログラム用ROMとしては、EPROM(erasable and programmable ROM)、OTPROM(One Time Programmable ROM)等のデータの読書きに制限のある記録媒体を使用するよう義務付けている。また、精算等のECRに関するデータ処理プログラムも書き換え不可能とするため、上記EPROM、OTPROMに書込まれるよう義務付けられる。また、ECRが法で定められた仕様を満たさない場合は、商品を販売できないこととなっている。以下、法で定められた仕様を満たすECRを法制ECRという。
【0004】
一方、仕様が制限されない一般のECRでは、プログラム用ROMとしてデータの読書き自在な記録媒体、例えばフラッシュROMを用いる。フラッシュROMを用いることにより、ソフトウェアのバージョンアップや変更等を効率よく行うことができるため、記録媒体にフラッシュROMを使用することが主流となっている。以下、一般のECRを通常ECRという。
【0005】
上述のように法制ECRと通常ECRとでは、プログラム用ROMとして異なる記録媒体を使用している。そのため、法制ECRは大多数の通常ECRとは別途、開発、製造されていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、法制ECRを通常ECRと別途開発するのは、開発効率または製造効率の面で非効率的である。
【0007】
本発明の課題は、通常の仕様のデータ処理装置を、データの読書きに制限のある記録媒体の使用が義務付けられた法制にも対応したデータ処理装置として使用できるようにすることである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するため、請求項1記載の発明は、読書き自在であり電気的バックアップなしで各種処理を実行させるための実行データを記憶する第1の記憶部(例えば、図4に示すプログラム用フラッシュROM32)と、この第1の記憶部より読書きに制限があり、各種処理を実行させるための実行データが予め記憶された第2の記憶部(例えば、図4に示す法制対応ROM21)と、を備えたデータ処理装置(例えば、図4に示す法制ECR1)であって、データを入力する入力手段(例えば、図4に示す入力部5)と、前記第1の記憶部と前記第2の記憶部に記憶された実行データの内容確認を行うか否かを設定する設定手段と、この設定手段により、前記内容確認を行うと設定された場合に、前記第1の記憶部と前記第2の記憶部に記憶された各実行データが同じ内容であるか否かを判別する判別手段(例えば、図4に示すCPU31)と、この判別手段により、前記第1の記憶部と前記第2の記憶部に記憶された実行データが同じ内容であると判別した場合に、前記入力手段によって入力されたデータを前記第1の記憶部に記憶された実行データに基づいて処理する処理手段(例えば、図4に示すCPU31)と、を備えることを特徴としている。
【0009】
請求項1記載の発明によれば、データを読書き自在な第1の記憶部に加え、データの読書きに制限のある第2の記憶部を備え、入力手段と、判別手段と、処理手段と、によって、これら2つの記憶部に記憶されている実行データが同じ内容であれば第1の記憶部に記憶された実行データに基づいて入力されたデータを処理するので、不正に書換えられた実行データによるデータ処理を禁止でき、法制に対応したデータ処理装置を提供できる。
【0010】
また、請求項4記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記第2の記憶部を本体ケース(例えば、図3に示す下部ケース2)に収納した状態で覆う蓋体(例えば、図3に示す鉄板11)を設け、蓋体を本体ケースに取付固定する固定部(例えば、図3に示すねじ12)の少なくとも一部に、蓋体を取り外した場合に痕跡が残る封印部材(例えば、図3に示す鉛15)を設けたことを特徴としている。
【0011】
請求項4記載の発明によれば、本体ケースに収納された第2の記憶部を蓋体によって覆い、封印部材の設けられた固定部によって取付固定するので、蓋体が取り外された場合にもその痕跡を残すことができ、第2の記憶部の不正な改竄を防止できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して本発明を適用したECR1の実施の形態を詳細に説明する。
【0013】
まず構成を説明する。
図1はECR1の外観図であり、図2はECR1の上部ケース4を取り外した状態の上面図であり、図3はROMパック収納部13の断面図である。
【0014】
図1に示すように、ECR1は、上部ケース4及び下部ケース2からなる本体ケースに、キーボード5A、モードキー5B、表示装置7、レシート発行用プリンタ9、及びジャーナル発行用プリンタ10を備え、また、本体ケースから起立し、背面に表示画面を備えた客用の表示装置8を備える。また、前面から現金を収納するドロア6を引き出せるようになっている。レシート発行用プリンタ9及びジャーナル発行用プリンタ10は着脱自在のプリンタカバー3によって覆われている。
【0015】
図2に示すように、上部ケース4を取り外すと、キーボード5Aの接点基板50が露出する。接点基板50のROMパック収納部13の下側にはROMパック収納部13が設けられ、このROMパック収納部13を覆う部位がねじ12により下部ケース2に取付け固定されている。
【0016】
ROMパック収納部13は後述する法制対応ROM21またはフラッシュROM22を実装した可搬の記録媒体であるROMパック20を収納する部位であり、ROMパック20が収納された際に、ROMパック20側に設けられた端子と、本体内部のメイン基板16上面に設けられたデータ読書端子(後述するプログラムI/F37)とが導通する。
【0017】
図3に示すように、下部ケース2の内部には、一側面から突出するボス25と、底面から起立する支柱26とが形成されている。これらのボス25及び支柱26には、上面に開口する取付穴2a、2bが形成されている。以上のボス25と支柱26の間に、ROMパック20が収納されている。
【0018】
そして、ROMパック20の直上に鉄板11が配置されている。この鉄板11は、ROMパック20を上方から覆って保護するもので、両端部にボス25及び支柱26の取付穴2a、2bと対応する通し穴11a、11bが形成されている。
【0019】
また、接点基板50には、鉄板11の上方に位置する部分に通し穴11a、11bと対応する通し穴50a、50bが形成されるとともに、これら通し穴11a、11bの間に切欠部50cが形成されている。一方の通し穴50aはねじ12の軸部を通す大きさで、他方の通し穴50bはねじ12の頭部も通す大きさとなっている。
【0020】
更に、一方の通し穴50aの上部は、ねじ12の頭部を収納する大径の六角穴50dとなっており、この六角穴50dには、外周が六角形のリング金具14が嵌め込まれて上方に突出している。
【0021】
次に、鉄板11及び接点基板50の取付方を説明する。
先ず、下部ケース2内のボス25及び支柱26に鉄板11を載せ、ねじ12を通し穴11bに挿入して取付穴2bにねじ込む。
そして、鉄板11に接点基板50を載せ、ねじ12を通し穴50a、11aに挿入して取付穴2aにねじ込む。このとき、ねじ12の頭部は、接点基板50の六角穴50dにおいて、リング金具14内に位置している。また、鉄板11の他方の通し穴11bを通して取付穴2bにねじ込んだ他方のねじ12の頭部は、接点基板50の通し穴50b内に位置している。
その後、リング金具14内において、ねじ12頭部に鉛15を工具で叩き込んで封入する。
【0022】
図4は、法制ECR1Aの内部構成を示すブロック図、図5は、通常ECR1Bの内部構成を示すブロック図である。以下、法制ECR1Aと通常ECR1Bとを区別する必要がない場合は、これらをECR1という。
【0023】
まず、法制ECR1Aの構成について説明する。
図4に示すように、法制ECR1Aは、CPU31、プログラム用フラッシュROM32、RAM33、通信制御部34、ドロアI/F35、法制用ハード部I/F36、プログラムI/F37、入力部5、表示装置7,8、レシート発行用プリンタ9、ジャーナル発行用プリンタ10、法制対応ROM21、法制制御ボード23、及びFiscalROM24を備える。
【0024】
CPU31は、IPLソフト31aまたはプログラム用フラッシュROM32に格納されている各種プログラムデータに従って、ECR1内の各部を制御する。即ち、入力部5から入力される操作内容に応じてRAM33に記憶されている商品データや価格データ等の精算処理を行うとともに、各種動作に必要な演算処理を行う。また、演算処理の結果をRAM33に記憶するとともに表示装置7,8に表示させ、プリンタ9,10に印字させる。
【0025】
法制ECR1Aにおいて、精算処理や演算処理に係る実プログラムデータをインストールする際、後述するプログラム設定処理(図8参照)を実行する。プログラム設定処理において、CPU31はIPLソフト31aを起動し、このIPLソフト31aに従って実プログラムデータのインストールを行う。実プログラムデータをインストールする際は、ECR1が法制対応に設定されるとROMパック収納部13に収納された法制対応ROM21の内容がプログラム用フラッシュROM32へコピーされる。また、実プログラムデータのバージョンデータや個別登録No.等がコピーされる。
【0026】
このプログラム設定処理を実行開始するには、暗証番号や認証コード等によりセキュリティの図られた操作が必要とされ、政府から認可を受けたメーカまたはベンダー等の修理業者にのみ実行でき、一般のユーザには実行できないものである。
法制対応設定がなされている場合は、CPU31は精算、演算等の処理を行う際に、後述する内容確認処理(図9参照)を実行する。
【0027】
内容確認処理において、CPU31は所定時間経過毎の割り込み処理で、プログラム用フラッシュROM32と法制対応ROM21との内容が一致するか確認しており、内容が一致しない場合は、マシンロックフラグをONして、入力部5、表示装置7,8、及びプリンタ9,10等への電源の供給を停止し、ハード的な動作(入出力動作)を禁止する。
【0028】
また、マシンロックフラグがONの場合は、プログラム用フラッシュROM32と法制対応ROM21との相違内容を確認するため、後述する相違内容確認処理(図10参照)を実行し、実プログラムデータに相違する部分がある場合は、プログラム用フラッシュROM32に記憶されている実プログラムデータを消去する。この相違内容確認処理は政府から認可を受けたメーカまたはベンダー等の修理業者にのみ実行でき、一般のユーザには実行できないものである。
【0029】
プログラム用フラッシュROM32(第1の記憶部)は、データの読書きが自在で、電気的バックアップなしで各種処理を実行させるための実プログラムデータを記憶した記録媒体であり、メイン基板16に実装されている。このプログラム用フラッシュROM32に記憶される実プログラムデータは、CPU31によってプログラムI/F37に装着された法制対応ROM21からインストールされたものである。また、法制ECR1Aでは、このプログラム用フラッシュROM32に記憶された実プログラムデータと、上記法制対応ROM21に記憶された実プログラムデータとが同一であるか否かが判別され、同一の場合にのみ、このプログラム用フラッシュROM32に記憶された実プログラムデータに基づくデータ処理が行われる。
【0030】
RAM33は、指定されたアプリケーションプログラム、入力指示、入力データ及び処理結果等を格納するメモリ領域を有する。また、RAM33にはマシンロックフラグが設定され、このマシンロックフラグがONの場合は、入力部5、表示装置7,8、プリンタ9、10等の動作が停止される。
【0031】
通信制御部34は、モデム(MODEM:MOdulator/DEModulator )またはターミナルアダプタ(TA:Terminal Adapter)等によって構成され、ネットワークを介して外部機器との通信を行うための制御を行う。モデムは、電話回線を介してパーソナルコンピュータ等の外部機器との通信を行うために、CPU31によって処理されたデジタルデータを電話回線の周波数帯域にあったアナログ信号に変調し、また、電話回線を介して入力されたアナログ信号をデジタル信号に復調する装置であり、ターミナルアダプタは、ISDN回線を介してパーソナルコンピュータ等の外部機器との通信を行うために、既存のインターフェイスをISDNに対応するインターフェイスに変換する装置である。
【0032】
ドロアI/F35は、ドロア6の開閉を制御し、入力部5の「現金/預かり金」キー等が押下される等、ドロア6を開ける指示が入力されるとドロア6を開放する。
【0033】
法制用ハード部I/F36は、法制制御ボード23を着脱可能に接続するためのインターフェイスである。法制制御ボード23はFiscalROM24を制御するFiscalROMコントローラ23aを備える。FiscalROM24には、法制に対応した会計処理を行うための処理プログラムやデータ等が格納されている。
【0034】
プログラムI/F37は、法制対応ROM21を接続するためのインターフェイスであり、ROMパック収納部13に収納されたROMパック20との間でデータの読書きを行うためのデータ読書き端子を備える。
【0035】
法制対応ROM21は、法で使用を義務付けられた記録媒体であり、データの上書きや再書込みができないEPROMまたはOTPROM等、データの読書きに制限のある記録媒体である。この法制対応ROM21は、各種処理を実行させるための実プログラムデータを記憶するとともに、国やメーカーを指定する個別登録No.、実プログラムデータのバージョンデータ等が予め記憶されている。この法制対応ROM21は可搬のROMパック20に実装され、ROMパック20を上記ROMパック収納部13に差し込むことにより、プログラムI/F37に接続され、データ読書き端子を介して実プログラムデータ等の各種データがCPU31の制御により読み出される。
【0036】
入力部5は、値数キー、部門キー、取引キー、その他各種キーを備えたキーボード5A、及びECR1の各種機能(登録、点検、精算、停止等)の動作の状態を切替えるモードキー5Bを含み、ユーザのキー操作により入力された各種操作データやモードデータ等をCPU31に出力する。
【0037】
表示装置7,8は、CRT(Cathode Ray Tube)、またはLCD(Liquid Crystal Display)等により構成され、CPU31から入力される表示指示に従って各種演算結果や、プログラム内容や、エラー報知のための表示を行う。
【0038】
プリンタ9,10は、CPU31から入力される印字データに基づいて印字動作と紙送り動作を行う。
【0039】
次に、通常ECR1Bについて説明する。
図5に示すように、通常ECR1Bは、CPU31、プログラム用フラッシュROM32、RAM33、通信制御部34、ドロアI/F35、法制用ハード部I/F36、プログラムI/F37、入力部5、表示装置7,8、レシート発行用プリンタ9、ジャーナル発行用プリンタ10を備える。法制用ハード部I/F36からは法制制御ボード23が取り外されている。また、プログラムI/F37には法制対応ROM21に代えてフラッシュROM22が実装されたROMパック20が着脱自在に備えられる。
【0040】
プログラムI/F37に装着されたフラッシュROM22は、当該フラッシュROM22の記憶内容がプログラム用フラッシュROM32にインストールされた後、取り外される。以後、通常ECR1Bは、プログラム用フラッシュROM32内にインストールされた実プログラムデータに基づいてデータ処理が行われる。
【0041】
工場等において必要なプログラムを通常ECR1Bにインストールする際、プログラム設定処理が実行される。プログラム設定処理において、CPU31はIPLソフト31aを起動し、このIPLソフト31aに従ってプログラムのインストールを行う。プログラムをインストールする際は、通常対応に設定し、ROMパック収納部13に収納されたフラッシュROM22の内容を内蔵のプログラム用フラッシュROM32へコピーする。また、バージョンデータや個別登録No.等もコピーする。
【0042】
次に動作を説明する。
ここで、以下に示す各フローチャートに記述されている各機能を実現するためのプログラムは、読み取り可能なプログラムコードの形態でECR1のプログラム用ROMに格納されており、CPU31は該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。また、CPU31は伝送媒体を介して伝送される上記プログラムコードに従った動作を逐次実行することもできる。すなわち、記録媒体の他、伝送媒体を介して外部供給されたプログラム/データを利用して本実施の形態特有の動作を実行することもできる。
【0043】
まず、プログラム設定処理の概略を説明する。
図6は、通常ECR1Bにおけるプログラム設定処理の概略を説明するフローチャートである。
【0044】
通常ECR1Bの製造工程では、ROMパック20(フラッシュROM22)にインストールしようとするソフトウェア(実プログラムデータを含む)がコピーされる(ステップB1)。その後、ECR1のプログラムI/F37にソフトウェアがコピーされたROMパック20が差し込まれると(ステップB2)、CPU31はIPLソフト31aを起動し、ROMパック20に記憶されているソフトウェアをプログラムI/F37を介して読出し、プログラム用フラッシュROM32にインストールする(ステップB3)。インストールが終了すると、ROパック20はプログラムI/F37から抜き取られ、当該ECR1を通常ECR1Bとして使用できるよう設定し、即ち、プログラム用フラッシュROM32に記憶された実行データに基づいてデータ処理を行うよう設定する。
【0045】
図7は、法制ECR1Aにおけるプログラム設定処理の概略を説明するフローチャートである。
【0046】
法制ECR1Aの製造工程では、法制に対応したデータ処理を行うためのプログラムが格納された法制対応ROM21を実装したROMパック20をROMパック収納部13に収納した状態で、上述の鉄板11及び接点基板50の取付方に従い、本体ケースに鉄板11及び接点基板50を取付け固定する(ステップA1)。
【0047】
その後、CPU31はIPLソフト31aを起動し、ROMパック20に記憶されているソフトウェア(実プログラムデータを含む)をプログラムI/F37を介して読出し、プログラム用フラッシュROM32にインストールする(ステップA2)。インストールが終了すると、CPU31はこのECR1を法制ECR1Aとして使用するよう設定し、使用可能とする(ステップA3)。
【0048】
以上、プログラム設定処理の概略を説明したが、このプログラム設定処理のより詳細な内容について図8に示すフローチャートを参照して説明する。
プログラム設定処理は、特に法制ECR1にて実行する場合、政府関係者等の立会いのもとで行われる。
【0049】
まず、特定の暗証コードの入力や本体ケース内に内蔵された隠しスイッチの操作といったセキュリティの図られた操作によりプログラムインストール開始指示が入力されると(ステップS1;Yes)、CPU31はIPLソフト31aを起動する(ステップS2)。当該ECR1を法制対応に設定するか、または通常対応に設定するかが指定され(ステップS3)、法制対応に設定するよう指定されると(ステップS4;Yes)、CPU31はプログラムI/F37に装着されたROMパック20(法制対応ROM21)に記憶された実プログラムデータをプログラム用フラッシュROM32へインストールする(ステップS5)。
【0050】
プログラムのインストールが終了すると、CPU31はROMパック20内の個別登録No.とバージョンデータをプログラム用フラッシュROM32へ書込み(ステップS7)、正常にインストールが終了した場合は(ステップS8;Yes)、プログラム設定処理を終了する。
また、正常にインストールできない場合は(ステップS8;No)、エラーを報知し、インストールしたデータ部分を無効とし(ステップS9)、本プログラム設定処理を終了する。
【0051】
通常対応の設定が指定されると(ステップS4;No)、ROMパック20(フラッシュROM22)に記憶された通常対応の実プログラムデータをプログラム用フラッシュROM32へインストールする(ステップS6)。通常対応設定の場合はユーザが専用キーを操作することにより、プログラム用フラッシュROM32に新規実プログラムデータをインストールしたり、バージョンアップすることができる。その後のステップS7〜S9の処理は法制対応設定の場合と同様であるので説明を省略する。
【0052】
次に、図9のフローチャートを参照して、法制ECR1Aを店舗等で使用する際に実行される内容確認処理を説明する。この内容確認処理は一定時間経過毎に実行される。
【0053】
まず、CPU31はマシンロックフラグがONになっているか否かを判別する。マシンロックフラグがONになっている場合は(ステップS21;Yes)、ECR1のハード的な動作が禁止されているため、処理を終了する。
【0054】
マシンロックフラグがOFFの場合は(ステップS22;No)、キー入力があるか確認し、キー入力があれば(ステップS22;Yes)、入力されたキーに応じた処理を実行する(ステップS23)。また、通信制御部34にて外部機器から何らかのデータが入力されると(ステップS24;Yes)、そのデータに従った通信処理を実行する(ステップS25)。これらの処理はプログラム用フラッシュROM32に記憶されている実プログラムデータに基づいて行われる。その後、電源がオフされなければ(ステップS26;No)、ステップS22〜S26の処理を繰り返す。
【0055】
また、キー入力や通信によるデータ入力がない場合(ステップS22;No、ステップS24;No)、CPU31は法制対応ROM21とプログラム用フラッシュROM32の個別登録No.を読出し(ステップS27)、読み出した各個別登録No.が一致するか否かを判別する(ステップS28)。各個別登録No.が一致する場合は(ステップS28;Yes)、更に法制対応ROM21とプログラム用フラッシュROM32のバージョンデータを読出し(ステップS29)、読み出した各バージョンデータが一致するか否か判別する(ステップS30)。
【0056】
法制対応ROM21とプログラム用フラッシュROM32に記憶されている個別登録No.及びバージョンデータがともに一致する場合は(ステップS30;Yes)、ステップS22へ戻り、入力されたデータの処理(ステップS22〜S26)を続行する。
【0057】
法制対応ROM21とプログラム用フラッシュROM32に記憶されている個別登録No.またはバージョンデータのいずれかひとつでも異なる場合は(ステップS30;No)、法制対応ROM21とプログラム用フラッシュROM32内の実プログラムデータが不一致とみなし、プログラム用フラッシュROM32のマシンロックフラグをONする(ステップS31)。そして、CPU31はマシンロックした旨をレシート発行用プリンタ9に印字させ(ステップS32)、その後、入力部5、表示装置7、8、プリンタ9,10等のハードウェアへの電源供給を停止する(ステップS33)。このとき、CPU31やRAM33等への電源供給は維持する。
【0058】
また、ステップS6において、ユーザにより電源がオフされた場合は(ステップS26;Yes)、ハードウェアとRAM33への電源供給を停止する(ステップS34)。
【0059】
次に、図10を参照して、法制ECR1Aにおいて実行される、法制対応ROM21とプログラム用フラッシュROM32内の相違内容確認処理を説明する。この相違内容確認処理は、マシンロックフラグがONされ、ECR1の動作が停止した際に、政府関係者等の立会いのもとで行われる。
【0060】
まず、入力部5から暗証コードを入力したり、内部の隠しスイッチを押下する等、セキュリティの図られた操作により確認開始指示が入力されると(ステップS41;Yes)、CPU31はマシンロックフラグがONになっているか確認し、マシンロックフラグがONの場合は(ステップS42;Yes)、まずハードウェア(入力部5、表示装置7,8、プリンタ9,10等)への電源供給を再開する(ステップS43)。
【0061】
次に、CPU31は法制対応ROM21及びプログラム用フラッシュROM32から個別登録No.とバージョンデータとを読出し(ステップS44)、両ROM21,32の個別登録No.とバージョンデータのうち何れか一方でも相違すれば(ステップS45;Yes)、その相違内容をプリンタ9または10にて印字させる(ステップS46)。相違しなければ(ステップS45;No)、ステップS46をスキップし、次の処理(ステップS47)へ移行する。
【0062】
次に、CPU31は、法制対応ROM21及びプログラム用フラッシュROM32から実プログラムデータを読出し、比較する(ステップS47)。両ROM21,32の実プログラムデータが相違する場合は(ステップS48;Yes)、相違する部分をプリンタ9または10にて印字させる(ステップS49)。その後、プログラム用フラッシュROM32内に格納された実プログラムデータを全て消去し(ステップS50)、相違内容確認処理を終了する。ステップS48において、実プログラムデータに相違部分がなければ(ステップS48;No)、なんらかのエラー操作により各ROM21,32の内容が書き換わってしまったもので、不正な改竄ではない旨をプリンタ9または10にて印字させて(ステップS51)、処理を終了する。なお、ステップS50において、プログラム用フラッシュROM32内のデータが消去された場合は、ECR1で精算や演算といったデータ処理を行うことが実質的に使用できないこととなるが、政府から認可を受けた修理業者が正規の法制対応ROM21を再度実装した上で上述のプログラム設定処理を行うことにより、法制に対応した正規のプログラムがプログラム用フラッシュROM32にインストールされれば、再使用可能となる。
【0063】
以上説明したように、ECR1はデータの読書き自在なプログラム用フラッシュROM32を内蔵するとともに、このプログラム用フラッシュROM32よりはデータの読書きに制限があり、法で使用を義務付けられた記録媒体である法制対応ROM21を装着するためのプログラムI/F37を備える。
ECR1を法制に対応した法制ECR1Aとして使用する場合は、このプログラムI/F37に法制対応ROM21を実装したROMパック20を装着し、ROMパック収納部13を鉄板11で覆う。更に、この鉄板11に接点基板50を載せてねじ12で固定し、固定後は鉛15で封をする。従って、ROMパック20を取り外したり、法制対応ROM21内のデータを改竄できなくなる。また、固定部を鉛15で封印するため、鉄板11が取り外された場合にはその痕跡を残すことができるので、データの改竄を防止できる。
【0064】
また、プログラムI/F37に装着された法制対応ROM21の内容はプログラム用フラッシュROM32にインストールされる。そして、精算や演算等のデータ処理を行う際に、法制対応ROM21の内容とプログラム用フラッシュROM32の内容とが一致するか判別し、一致する場合にのみ、プログラム用フラッシュROM32に記憶された実プログラムデータに基づいて、入力部5から入力されたデータを処理する。また、法制対応ROM21の内容とプログラム用フラッシュROM32の内容が異なる場合は、ハードウェアの動作を停止し、入力されたデータについて精算等の処理を行えないようにする。
【0065】
従って、不正に書換えられた実行データによるデータ処理を禁止でき、法制に対応したデータ処理装置を提供できる。
【0066】
また、ECR1を通常のECR1Bとして使用する場合は、特定のキー操作によって通常対応に設定し、プログラムI/F37に着脱式のフラッシュROMパック20を装着し、このフラッシュROMパック20に記憶されたプログラムをプログラム用フラッシュROM32へインストールし、インストール後はフラッシュROMパック20を取り外し、プログラム用フラッシュROM32内の実プログラムデータに基づいてデータを処理する。
【0067】
従って、ECR1を通常のECR1Bとして使用するように設定することで、プログラムI/F37に装着されたフラッシュROMパック20の内容とプログラム用フラッシュROM32の内容とが一致しなくても、内蔵のプログラム用フラッシュROM32にインストールされた実プログラムデータに基づく処理を実行できる。
【0068】
つまり、使用の仕方に応じたプログラムを記憶したROMパックを着脱自在に装着するプログラムI/F37を備えたことにより、法制ECR1Aの開発・製造工程を通常対応のECR1Bと共有でき、開発・製造効率を向上できる。
【0069】
なお、上述の実施の形態では、鉄板11にてROMパック収納部13に蓋をしたが、その材質は鉄に限定されるものではなく、どのようなものでもよい。ただし、破壊されにくいものが望ましい。また、上述の実施の形態では、鉛15にて封をすることとしたが、鉛に限定されるものではなく、無理にこじ開けられた際に、変形する材質のものであれば、樹脂製、木製等、どのような材質のものでもよい。また、鉄板11の一箇所に鉛15を詰めて封をする例を示したが、2箇所以上に封をするようにしてもよい。
【0070】
また、本体に内蔵するROM(第1の記憶部)はフラッシュROMとしたが、これに限定されるものではなく、データの読書きが自在なものであればどのようなものでもよく、例えば、磁気的、光学的記録媒体、若しくは半導体等の不揮発性メモリとしてもよい。
【0071】
また、第1の記憶部と第2の記憶部の実行データの内容の相違を確認するタイミングは、1商品処理毎、1取引毎、一定時間毎等のいずれとしてもよい。
【0072】
その他、固定部の具体的な形状、取付箇所の個数等は任意であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0073】
【発明の効果】
請求項1及び5記載の発明によれば、データを読書き自在な第1の記憶部に加え、データの読書きに制限のある第2の記憶部を備えたデータ処理装置において、前記第1の記憶部と前記第2の記憶部に記憶された実行データの内容確認を行うか否かを設定手段で設定し、内容確認を行うと設定された場合に、それら2つの記憶部に記憶されている実行データが同じ内容であれば第1の記憶部に記憶された実行データに基づいて入力されたデータを処理するので、不正に書換えられた実行データによるデータ処理を禁止でき、法制に対応したデータ処理装置を提供できる。また、このようなデータ処理装置を制御するためのプログラムを格納した記録媒体を提供できる。
【0074】
請求項2記載の発明によれば、設定手段によって、前記第1の記憶部と前記第2の記憶部に記憶された実行データの内容確認を行わずに、例えば工場出荷時等に第1の記憶部の内容に基づく処理を行うよう設定すれば、通常のデータ処理装置としても使用できるので、法制に対応したデータ処置装置の開発工程を通常のデータ処理装置の開発・製造工程と共有でき、開発・製造効率を向上できる。
【0075】
請求項3記載の発明によれば、前記第2の記憶部を着脱自在とするので、実行データインストール用の記録媒体を第2の記憶部として構成できる。即ち、法制に対応しない通常対応のデータ処理装置として使用する場合には、実行データのバージョンアップ等を容易に行える。
【0076】
請求項4記載の発明によれば、本体ケースに収納され、蓋体によって覆われた第2の記憶部を、封印部材の設けられた固定部によって取付固定するので、万が一蓋体が取り外された場合にもその痕跡を残すことができ、第2の記憶部の不正な改竄を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ECR1の外観図である。
【図2】ECR1の上部ケース4を取り外した状態の上面図である。
【図3】ROMパック収納部13の断面図である。
【図4】法制ECR1Aの内部構成を示すブロック図である。
【図5】通常ECR1Bの内部構成を示すブロック図である。
【図6】通常ECR1Bにおけるプログラム設定処理の概略を説明するフローチャートである。
【図7】法制ECR1Aにおけるプログラム設定処理の概略を説明するフローチャートである。
【図8】ECR1におけるプログラム設定処理の詳細な流れを説明するフローチャートである。
【図9】法制ECR1Aを店舗で使用する際に実行される内容確認処理を説明するフローチャートである。
【図10】法制ECR1Aがマシンロックした際に実行される相違内容確認処理を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1 ECR(データ処理装置)
1A 法制ECR
1B 通常ECR
2 下部ケース
25 ボス
26 支柱
2a,2b 取付穴
3 プリンタカバー
4 上部ケース
5 入力部
5A キーボード
5B モードキー
50 接点基板
50a,50b 通し穴
50c 切欠部
50d 六角穴
6 ドロア
7 表示装置
8 客用表示装置
9 レシート発行用プリンタ
10 ジャーナル発行用プリンタ
11 鉄板
11a,11b 通し穴
12 ねじ
13 ROMパック収納部
14 リング金具
15 鉛
16 メイン基板
20 ROMパック
21 法制対応ROM(第2の記憶部)
22 フラッシュROM
23 法制制御ボード
23a FiscalROMコントローラ
24 FiscalROM
31 CPU
31a IPLソフト
32 プログラム用フラッシュROM(第1の記憶部)
33 RAM
34 通信制御部
35 ドロアI/F
36 法制用ハード部I/F
37 プログラムI/F
Claims (5)
- 読書き自在であり電気的バックアップなしで各種処理を実行させるための実行データを記憶する第1の記憶部と、この第1の記憶部より読書きに制限があり、各種処理を実行させるための実行データが予め記憶された第2の記憶部と、を備えたデータ処理装置であって、
データを入力する入力手段と、
前記第1の記憶部と前記第2の記憶部に記憶された実行データの内容確認を行うか否かを設定する設定手段と、
この設定手段により、前記内容確認を行うと設定された場合に、前記第1の記憶部と前記第2の記憶部に記憶された実行データが同じ内容であるか否かを判別する判別手段と、
この判別手段により、前記第1の記憶部と前記第2の記憶部に記憶された各実行データが同じ内容であると判別した場合に、前記入力手段によって入力されたデータを前記第1の記憶部に記憶された実行データに基づいて処理する処理手段と、
を備えることを特徴とするデータ処理装置。 - 前記処理手段は、前記設定手段により、前記内容確認を行わないと設定された場合に、前記第1の記憶部に記憶された実行データに基づいて前記入力手段により入力されたデータを処理することを特徴とする請求項1に記載のデータ処理装置。
- 前記第2の記憶部は当該データ処理装置本体に着脱自在に設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載のデータ処理装置。
- 前記第2の記憶部を本体ケースに収納した状態で覆う蓋体を設け、
蓋体を本体ケースに取付固定する固定部の少なくとも一部に、蓋体を取り外した場合に痕跡が残る封印部材を設けたことを特徴とする請求項1に記載のデータ処理装置。 - 読書き自在であり電気的バックアップなしで各種処理を実行させるための実行データを記憶する第1の記憶部と、この第1の記憶部より読書きに制限があり、各種処理を実行させるための実行データが予め記憶された第2の記憶部と、データを入力する入力手段と、を備えたデータ処理装置のコンピュータに、
前記第1の記憶部と前記第2の記憶部に記憶された実行データの内容確認を行うか否かを設定する設定手段、
この設定手段により、前記内容確認を行うと設定された場合に、前記第1の記憶部と前記第2の記憶部に記憶された実行データが同じ内容であるか否かを判別する判別手段、
この判別手段により、前記第1の記憶部と前記第2の記憶部に記憶された各実行データが同じ内容であると判別した場合に、前記入力手段によって入力されたデータを前記第1の記憶部に記憶された実行データに基づいて処理する処理手段、
として機能させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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