JP3931149B2 - 磁性部材の研削方法および研削装置 - Google Patents

磁性部材の研削方法および研削装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は磁性部材の研削方法および研削装置に関し、特にたとえば研削時に発生するスラッジを含んだ研削廃液を浄化して再利用する、磁性部材の研削方法および研削装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
研削液を浄化する技術の一例が特開平10−309647号において開示されている。ここでは、異物が混入した研削液がタンク内に貯蔵され、その研削液がノズルによって攪拌されて研削液からスラッジおよび砥粒が分離され、さらにマグネットセパレータによってスラッジがタンク外に排出される技術が提案されている。
また、関連技術の他の例が特開平8−299717号において開示されている。ここでは、研削液を浄化するために濾材を用いる技術が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前者の関連技術では、細かいスラッジを十分に取り除くことができなかった。細かいスラッジを沈澱させて十分に取り除こうとすれば、一台の装置につき3000リットル程度の大容量のタンクが必要であり、装置が大型化するという問題点があった。
また、磁性部材、特に希土類合金を研削したときに発生するスラッジは2、3μm程度の細かいものであるが、濾材を用いる後者の関連技術では、目づまりを起こし、このような細かいスラッジを効率よく除去することが困難であった。
さらに、十分にスラッジを除去していない研削液を用いて、磁性部材を耐熱性樹脂と超砥粒とを含む研削刃で切断する場合、刃先の摩耗が早くなる。
それゆえに、この発明の主たる目的は、小型化できかつ細かいスラッジの分離に有効な、磁性部材の研削方法および研削装置を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、請求項1に記載の磁性部材の研削方法は、水を主成分とする研削液を研削部に供給しながら、耐熱性樹脂と超砥粒とを含む刃先を有する研削手段を用いて希土類合金を研削する第1ステップ、研削部から排出される研削液からスラッジを表面磁束密度が0.25T以上である磁気分離手段を用いて磁気的に分離する第2ステップ、および第2ステップを経た研削液を、内部に障壁板が設けられたタンクに流入させ、タンク内において研削液に含まれるスラッジを磁気的に凝集し沈澱させて研削液から分離する第3ステップを備え、スラッジの分離処理が施された研削液を研削部に供給して循環使用し、磁気分離手段は軸方向および周方向に配置される複数の磁石を有するマグネットロールを含み、軸方向に隣接する磁石は異極が対応するように配置され、かつ周方向に隣接する磁石は異極が対応するように配置されていることを特徴とする。
【0006】
請求項に記載の磁性部材の研削装置は、水を主成分とする研削液を研削部に供給しながら、耐熱性樹脂と超砥粒とを含む刃先を有する研削手段を用いて希土類合金を研削するための研削処理手段、表面磁束密度が0.25T以上でありかつ研削部から排出される研削液からスラッジを分離するための磁気分離手段、磁気分離手段の下流側に配置されかつ研削液が供給され、磁気的に凝集されたスラッジが沈澱するタンク、タンク内に設けられる障壁板、およびスラッジの分離処理が施された研削液を研削部に供給して循環使用するための循環手段を備え、磁気分離手段は軸方向および周方向に配置される複数の磁石を有するマグネットロールを含み、軸方向に隣接する磁石は異極が対応するように配置され、かつ周方向に隣接する磁石は異極が対応するように配置されていることを特徴とする。
【0009】
請求項に記載の磁性部材の研削方法は、水を主成分とする研削液を研削部に供給しながら、耐熱性樹脂と超砥粒とを含む刃先を有する研削手段を用いてNd−Fe−B系希土類合金を研削する第1ステップ、研削部から排出される研削液からスラッジを表面磁束密度が0.25T以上である磁気分離手段を用いて磁気的に分離する第2ステップ、および第2ステップを経た研削液を、内部に障壁板が設けられたタンクに流入させ、タンク内において研削液に含まれるスラッジを磁気的に凝集し沈澱させて研削液から分離する第3ステップを備え、スラッジの分離処理が施された研削液を研削部に供給して循環使用し、磁気分離手段は軸方向および周方向に配置される複数の磁石を有するマグネットロールを含み、軸方向に隣接する磁石は異極が対応するように配置され、かつ周方向に隣接する磁石は異極が対応するように配置されていることを特徴とする。
【0011】
請求項1に記載の磁性部材の研削方法では、たとえばマグネットセパレータなどの磁気分離手段によって、使用済みの研削液からスラッジを磁気的に分離できるので、従来とは異なり大きなタンクを用いる必要はなく、装置を小型化できる。
【0012】
また、研削液に磁気的な分離処理を施すと、研削液から分離されなかったスラッジも同じく磁化されている。したがって、研削液を内部に障壁板が設けられたタンクに供給することによって、研削液に含まれる磁化されたスラッジを凝集させてタンク内で早く沈澱させることができる。このとき、沈澱し難い細かいスラッジであっても凝集して沈澱し研削液から早く分離できる。したがって、大きなタンクを用いる必要はない。
【0013】
さらに、研削液の主成分を水にすれば、油に比べて粘度が低く、吸引時の抵抗が少ないため、より低い磁束密度でスラッジを吸引できる。
また、スラッジの分離処理が施された研削液を研削部に供給して循環使用することによって、研削液を有効利用できる。
【0014】
研削手段が耐熱性樹脂と超砥粒とを含む刃先を有する場合には、研削液中に細かいスラッジが含まれると刃先が異常摩耗しやすいが、この発明は研削液から細かいスラッジをも分離できるのでそのような弊害の発生を抑制でき、特に有効となる。さらに、この発明は、希土類磁石を得る場合に効果的である。
【0015】
また、希土類合金は酸化しやすく、スラッジになると一層酸化が進みやすく非磁性部分が多くなり、磁力の影響を受け難くなると考えられるので、希土類合金を含むスラッジは磁気的に吸引し難い。しかし、表面磁束密度が0.25T以上である磁気分離手段を用いることによって、スラッジの分離能力を高め、その結果、研削手段の摩耗を少なくできる。請求項に記載の磁性部材の研削装置、請求項3に記載の磁性部材の研削方法についても同様である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、この発明の実施形態について説明する。
図1を参照して、この発明の一実施形態の磁性部材の研削装置10は、磁性部材54(後述)を研削する研削処理部12、研削処理部12での使用済みの研削液58からスラッジ90(ともに後述)を分離し研削液58を浄化する浄化部14、および浄化された研削液58を再び研削処理部12に供給する循環部16を含む。
【0017】
研削処理部12はベース18を含み、ベース18上には、研削液58を排出するための排出口20を有しかつ上面開口のパン22が配置される。パン22には研削液58が外部に飛散しないようにプレート24が立設される。
パン22上には、いわゆる片持ちタイプの一種であるオーバーハング型のXフィード方式切断機25が設けられる。切断機25は、パン22上に配置されるコラム26を含む。コラム26の一側面には支持部(図示せず)が設けられ、支持部によって回転軸28が回動可能に支持される。
【0018】
回転軸28には切断刃ブロック30が取り付けられ、回転軸28の一端はサポートアーム32によって支持され、回転軸28の他端にはプーリ34が取り付けられる。プーリ34にはベルト36が装着され、ベルト36を回転軸モータ(図示せず)によって回転させることによって、回転軸28、切断刃ブロック30がたとえば矢印A方向に回転される。
【0019】
図2(a)を参照して、切断刃ブロック30は、複数の切断刃38を含み、各切断刃38間には環状のスペーサ40が介挿される。切断刃38は中空円板状の台板42を含み、台板42の外周縁には刃先44が装着される。
【0020】
台板42としては、たとえばタングステンカーバイドなどの超硬合金や高速度鋼等が用いられる。また、台板42としては、特開平8−109431号や特開平8−109432号に示すような、ダイヤモンドまたはcBN(立方晶窒化ホウ素)等と超硬合金とを焼結処理したダイヤモンド焼結体合金製の台板も使用できる。
【0021】
また、図2(b)に示すように、刃先44は、砥粒44aと耐熱性樹脂44bとを混合して構成される。すなわち、砥粒44aが耐熱性樹脂44bによって台板42に被着される。
【0022】
砥粒44aにはたとえば超砥粒が用いられる。この超砥粒としては、天然または合成工業用ダイヤモンド粉末や、cBN粉末や、天然または合成工業用ダイヤモンド粉末−cBN粉末の混合物などが用いられる。砥粒44aの粒径は160μm〜250μm程度に設定される。
耐熱性樹脂44bには、たとえばフェノール樹脂やポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂が用いられる。また、耐熱性樹脂44bに数ミクロン程度の金属粉を含ませてもよい。
【0023】
図1に戻って、パン22上には2本のレール46が敷設され、レール46には摺動可能にXスライダ48が装着される。Xスライダ48上にはチャックテーブル50、その上に貼付板52が取り付けられ、研削時には、貼付板52上に接着剤によって磁性部材54が固定される。磁性部材54としては、たとえばボイスコイルモータ(VCM)用の希土類合金磁石部材が用いられる。このような希土類合金磁石部材は硬い主相とねばりの強い粒界相とを含むため非常に研削抵抗が高い。このような材料を樹脂と砥粒とで構成された刃先で研削するとき、刃先の摩耗が特に問題となる。
【0024】
ここでいうボイスコイルモータは、たとえば米国特許第5,448,437号の図9に示されるようなディスクドライブに用いられる。この図9においてボイスコイルモータには37の参照番号が付されている。希土類合金磁石部材が切断刃38で切断されたのち表面処理されると、希土類磁石が得られる。このような希土類磁石は、たとえば米国特許第5,448,437号の図1、2の参照番号3、4、5、6に示される磁石に用いられる。Nd−Fe−B系の希土類磁石の製造方法等は米国特許第4,770,723号、第4,792,368号に示されている。希土類磁石はR−T−(M)−B系磁石を含み、RはYを含む希土類元素、TはFeまたはFeとCo、Mは添加物、Bはボロンである。
【0025】
そして、Xスライダ48を矢印B方向(X軸方向)に摺動させ、磁性部材54を、矢印A方向に回転している切断刃ブロック30に向かって一定速度で相対移動させることによって、磁性部材54を所定の寸法に切断できる。磁性部材54の切断によってスラッジ90が発生する。磁性部材54の切断時には、図3にも示すように、切断刃38の近傍に配置される研削液吐出装置56から研削液58が研削部60に供給される。
【0026】
使用する研削液58は水を主成分とする。たとえば油であれば粘度が高いので研削液58中でスラッジ90が移動し難くなるが、水であれば粘度が低いのでスラッジ90の移動が容易になる。したがって、研削液58の主成分を水にすれば、より低い磁束密度でスラッジ90を吸引できる。
【0027】
研削液吐出装置56は、研削液供給路62に接続される滞留部64を含み、滞留部64には、研削液供給路62からの研削液58が供給される。研削液58は、滞留部64の先端に形成される吐出口66から2αPa〜10αPa(α=9.80665×104)の圧力で研削部60に吐出される。なお、吐出口66は、切断刃38の大きさに応じてその角度を調整することができる。
【0028】
図1に戻って、研削処理部12で使用済みの研削液58はパン22の排出口20から研削液排出路68を介して、浄化部14の貯留槽70に供給される。貯留槽70内には、研削液58に含まれるスラッジ90の沈澱を促進すべく障壁部材72が設けられ、さらに障壁部材72の近傍にはマグネットセパレータ74が配置される。マグネットセパレータ74は、スラッジ90を吸着させるマグネットロール76とマグネットロール76上のスラッジ90と研削液58とを分離する絞りロール78とを含む。なお、障壁部材72は、研削液58がマグネットロール76に接触し易いように上部に反りあがるように形成される。
【0029】
マグネットロール76は、図4(a)に示すように、中空状の円筒体80を含み、円筒体80内には、主軸81が貫通された円柱体82が配置される。円柱体82の外周面には、たとえば、軸方向および周方向にそれぞれ略等間隔で4個ずつ、計16個の磁石84が配置される。図4(b)に示すように、磁石84としては、それぞれ厚さ方向に磁化されている2種類の磁石が用いられる。周方向に隣接する磁石84は異極が対応するように、軸方向に隣接する磁石84も異極が対応するように、それぞれ配置される。磁石84は、たとえば米国特許第4,770,723号に示されるようなネオジム磁石等によって構成される。スラッジ90は、磁石84によって吸引され、円筒体80の表面に吸着される。
【0030】
なお、円筒体80外周面の表面磁束密度が0.25T(テスラ)以上であれば、磁石84で吸引し難い希土類合金を含むスラッジであっても研削液58から分離し易くなる。マグネットロール76は図示しないモータによってたとえば矢印C方向(図5参照)に回転される。円筒体80の表面磁束密度は、たとえばガウスメータとプルーブ(ともにベル社製、販売元:東陽通商株式会社)とを用い、プルーブを被測定物に接触させて測定される。
【0031】
図1および図5を参照して、スラッジ90を含む研削液58は、障壁部材72の上端から溢れるようにしてマグネットセパレータ74に与えられる。スラッジ90は、マグネットロール76に吸着され、その後、マグネットロール76上の研削液58が絞りロール78によって取り除かれる。さらに、マグネットロール76の外表面に当接されたスクレーパ86によって、マグネットロール76に吸着されたスラッジ90が掻き取られ、スラッジ受け88に排出される。このようにしてマグネットセパレータ74によって、使用済みの研削液58からスラッジ90が磁気的に分離される。マグネットセパレータ74は、特に、細かいスラッジの分離に有効となる。
【0032】
マグネットロール76を通過した研削液58は、マグネットロール76の下方に設けられた排出口(図示せず)を介してマグネットセパレータ74および貯留槽70の下流側に配置されるタンク92(障壁板94で仕切られたタンク92の右側)に流入される。希土類合金のスラッジ90は小さいながらも磁石としての保磁力を有しているためマグネットロール76に吸着されなかったスラッジ90もマグネットロール76によって磁化されているので、スラッジ90どうしが凝集しタンク92内で早く沈澱する。さらに、タンク92内には、スラッジ90の移動を阻止するための障壁板94、96および98が配置され、流路が長くなることによってスラッジ90の沈澱が促進される。このとき、研削液58は矢印Dに示すような経路で流れる。したがって、タンク92を通過する過程においてスラッジ90はタンク92で沈澱し、スラッジ90と研削液58との分離がさらに促進される。また、細かいスラッジであっても凝集して沈澱し研削液58から早く分離できる。その結果、研削液58からスラッジ90を分離させるのに大きなタンクが不要となり、装置を小型化できる。
【0033】
このようにしてスラッジ90の分離処理が施され浄化されたタンク92内の研削液58は、循環部16を構成するポンプ100によって汲み上げられ、研削液供給路62を介して研削液吐出装置56に供給され、循環使用される。
【0034】
このような研削装置10の動作を簡単に説明する。
まず、研削処理部12において研削液58を研削部60に供給しながら切断刃38によって磁性部材54が切断された後、スラッジ90を含んだ研削液58が研削液排出路68を介して貯留槽70に流入される。その研削液58はマグネットセパレータ74の表面に供給され、マグネットセパレータ74の表面にスラッジ90等の異物が吸着される。マグネットセパレータ74を通過した研削液58はタンク92内に流入される。研削液58中に残ったスラッジ90等の異物がタンク92内で沈澱される。このようにして得られたタンク92内の上澄み液だけをポンプ100で汲み上げて再循環させる。なお、タンク92内に沈澱したスラッジ90等の異物は、任意の手段によって適時掻き取られる。
【0035】
このようにスラッジ90を除去した研削液58を循環使用して磁性部材54を切断することによって、刃先44の寿命をのばすことができる。
【0036】
ここで、研削装置10についての実験例について説明する。
実験条件を表1に示す。
【0037】
【表1】
Figure 0003931149
【0038】
表1に示すようにこの実験例では、刃先44はフェノール樹脂とダイヤモンド砥粒(体積率20%)とを含む。切断刃38の外径は125mm、刃先44の厚みは1.0mm、台板42の厚みは0.9mm、台板42の内径は40mm、刃先量(刃先44の高さ)は3mm〜4mmである。
【0039】
また、切断刃38の回転速度(周速)は2070m/min、切断速度は10mm/minである。研削液58には、たとえばカストロール社製のJP−0497Nを水で2%(重量%)希釈したものが用いられる。切断部材は希土類合金磁石部材であり、住友特殊金属株式会社製のネオマックス44Hが用いられる。
【0040】
実験によって、図6〜図8に示す結果が得られた。
ここで、「表面磁束密度」とは、マグネットセパレータ74の円筒体80外表面の磁束密度をいう。「スラッジ除去率」とは、研削処理直後の使用済み研削液58をマグネットセパレータ74に通すことによって、研削液58中に含まれるスラッジ90がどの程度除去できたかを示す値をいう。「加工除去量」とは、具体的には切断300pass当たりの、磁性部材54を切断してスラッジ90にされた部分の体積(切断刃38の1枚当たり)をいう。「切断刃摩耗量」とは、具体的には切断300pass当たりの、切断刃38の刃先44が擦り減った部分の体積(切断刃38の1枚当たり)をいう。「沈澱量」とは、測定量(本件では研削液58が500cc)当たりの、研削液58に含まれているスラッジ90の量をいう。「スラッジ含有率」とは、研削液58が500cc当たりに含むスラッジ90の重量割合をいう。
【0041】
表1に示す条件下で、以下の各実験を行った。
まず、実験1では、次の▲1▼〜▲4▼の各場合における加工除去量と切断刃摩耗量とを比較した(図6(a)および(b))。
▲1▼マグネットセパレータが1つ(表面磁束密度0.3T)+タンク、
▲2▼マグネットセパレータが1つ(表面磁束密度0.25T)+タンク、
▲3▼マグネットセパレータが1つ(表面磁束密度0.2T)+タンク、
▲4▼マグネットセパレータなし+タンク
【0042】
図6(a)および(b)に示すように、マグネットセパレータ74の表面磁束密度が大きくなるほど切断刃摩耗量が少なくなる傾向がある。また、加工除去量が増えるほどすなわち切断回数が増えるほど、▲1▼〜▲4▼の各場合の切断刃摩耗量の差が大きくなる。
【0043】
マグネットセパレータ74を使用している場合でも、特に、磁束密度が0.25T以上であるとスラッジ90が効率よく除去され、切断刃38の寿命を長くできる。
【0044】
ついで、実験2では、次の▲5▼および▲6▼の場合についてマグネットセパレータ74の設置数による効果の変化を比較した(図7(a)および(b))。なお、この実験では、マグネットセパレータ74の表面磁束密度を0.3Tとした。
▲5▼マグネットセパレータが1つ+タンク、
▲6▼マグネットセパレータが2つ+タンク
【0045】
図7(a)および(b)に示すように、マグネットセパレータ74を増やすほどスラッジ90を除去できることがわかる。
【0046】
さらに、実験3では、次の▲7▼および▲8▼の場合について、マグネットセパレータ74の表面磁束密度の違いによるスラッジ90の分離効果を比較した(図8(a)および(b))。
▲7▼マグネットセパレータが1つでタンクなし、
▲8▼マグネットセパレータが1つ+タンク
で、それぞれ研削液吐出装置56におけるスラッジ除去率を測定した。
【0047】
図8(a)および(b)に示すように、磁束密度0.25T以上になるとスラッジ90の除去率が飛躍的に伸びていることがわかる。
【0048】
また、▲7▼より▲8▼の場合の方がスラッジ除去率が高くなることがわかる。これより、マグネットセパレータ74でスラッジ90を除去した後、タンク92内でスラッジ90を沈澱させることによって、さらにスラッジ90を分離できることがわかる。
以上の実験例からもわかるように、研削装置10によれば、研削液58中のスラッジ90を多く取り除くことができるので、研削液58を循環使用できる。
【0049】
すなわち、一般に、刃先が熱硬化性樹脂と超砥粒(ダイヤモンド系砥粒)とからなる切断刃を用いた研削装置では、スラッジを含んだ研削液が研削部に供給されると、研削部においてあるいは刃先と切断すべき磁性部材との間にスラッジが溜まることによって、切断刃の表面が目詰まりを起こしたり、研削時のスラッジの排出性が悪くなる。また、その際、切断抵抗も大きくなり、切断刃の樹脂部分が異常摩耗を起こし超砥粒が脱粒するので、切断効率も悪くなる。切断する磁性部材が硬い主相と粘りのある粒界相とからなる希土類合金磁石部材では切断負荷が特に大きく、切断効率は極めて悪くなる。その状況が続くと、研削液を循環させるポンプにおいてもスラッジが入り込んで異常摩耗を引き起こし、研削液の温度が上昇してしまうという弊害があった。
【0050】
しかし、研削装置10では、研削液58からスラッジ90を十分に取り除くことができるので、研削液58を循環利用しても上述のような弊害の発生を抑制でき、切断刃38の寿命を延ばすことができる。
また、研削液58を循環させるポンプ100に混入するスラッジ90の量も減るので、ポンプ100のつまりがなくなり、その結果、ホンプ100の異常摩耗を抑制することができる。
【0051】
さらに、研削液58を循環使用できるので、研削液58を有効利用できる。
また、研削装置10によれば、マグネットセパレータ74によってスラッジ90を除去しさらに凝集させて容易に沈澱させることができるので、従来とは異なり、大きなタンクを用いなくてもよく、装置を小型化できる。たとえば、従来では、3000リットル程度の大容量のタンクを要していたが、研削装置10で用いるタンク92は、600リットル程度の容量のもので足りる。
【0052】
さらに、マグネットセパレータ74の表面磁束密度を0.25T以上にすればスラッジ90の分離能力が高まるので、研削時に、スラッジ90による耐熱性樹脂44bの摩耗が少なくなる。特に、切断刃38の刃先44が耐熱硬化性樹脂とダイヤモンド系砥粒とからなる場合に効果が大きくなる。
【0053】
希土類合金を含むスラッジは凝集しやすいので、目詰まりを起こしやすく錆やすい。したがって、フィルタ式の浄化装置では、フィルタをたびたび交換しなければならず、能率が悪かった。その点、研削装置10では、フィルタを使用しないので、その取り替えも不要となり、操業コストを大幅に低減できる。
【0054】
なお、上述の実施形態では、磁気分離手段としてのマグネットセパレータ74に永久磁石が用いられた場合について説明したが、これに限定されず、電磁石等が用いられてもよい。また、研削手段としては、切断刃38だけではなく任意の研削手段を用いることができる。他の研削手段としては、0.1mm〜0.3mm程度の硬鋼線(ピアノ線)に粒径が30μm〜60μmの超砥粒を厚さ30μm〜60μmのフェノール樹脂等で固定したワイヤがあげられる。このワイヤを用いてワイヤソーを行う場合にも本発明は適用できる。
また、この発明は、研削液58からスラッジ90を分離する場合だけではなく、任意の廃液から希土類合金を含むスラッジを分離する場合に適用できる。
【0055】
【発明の効果】
この発明によれば、磁気的に研削液からスラッジを分離できるので、従来とは異なり大きなタンクを用いる必要はなく、装置を小型化できる。また、研削手段が耐熱性樹脂と超砥粒とを含む刃先を有する場合には、研削液中に細かいスラッジが含まれると刃先が異常摩耗しやすいが、この発明は研削液から細かいスラッジをも分離できるのでそのような弊害の発生を抑制でき、特に有効となる。さらに、この発明は、希土類磁石を得る場合に効果的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】(a)は切断刃ブロックを模式的に示す断面図であり、(b)は刃先を模式的に示す部分断面図である。
【図3】切断刃の近傍に配置された研削液吐出装置を示す図解図である。
【図4】(a)はマグネットロールを示す斜視図であり、(b)は磁石を示す斜視図である。
【図5】スクレーパの機能を説明するための図解図である。
【図6】(a)は実験1による結果を示すテーブル、(b)はそのグラフである。
【図7】(a)は実験2による結果を示すテーブル、(b)はそのグラフである。
【図8】(a)は実験3による結果を示すテーブル、(b)はそのグラフである。
【符号の説明】
10 研削装置
12 研削処理部
14 浄化部
16 循環部
30 切断刃ブロック
38 切断刃
44 刃先
44a 砥粒
44b 耐熱性樹脂
54 磁性部材
56 研削液吐出装置
58 研削液
60 研削部
62 研削液供給路
68 研削液排出路
70 貯留槽
74 マグネットセパレータ
90 スラッジ
92 タンク
100 ポンプ

Claims (3)

  1. 水を主成分とする研削液を研削部に供給しながら、耐熱性樹脂と超砥粒とを含む刃先を有する研削手段を用いて希土類合金を研削する第1ステップ、
    前記研削部から排出される研削液からスラッジを表面磁束密度が0.25T以上である磁気分離手段を用いて磁気的に分離する第2ステップ、および
    前記第2ステップを経た前記研削液を、内部に障壁板が設けられたタンクに流入させ、前記タンク内において前記研削液に含まれるスラッジを磁気的に凝集し沈澱させて前記研削液から分離する第3ステップを備え、
    前記スラッジの分離処理が施された研削液を前記研削部に供給して循環使用し、
    前記磁気分離手段は軸方向および周方向に配置される複数の磁石を有するマグネットロールを含み、前記軸方向に隣接する前記磁石は異極が対応するように配置され、かつ前記周方向に隣接する前記磁石は異極が対応するように配置されている、磁性部材の研削方法。
  2. 水を主成分とする研削液を研削部に供給しながら、耐熱性樹脂と超砥粒とを含む刃先を有する研削手段を用いて希土類合金を研削するための研削処理手段、
    表面磁束密度が0.25T以上でありかつ前記研削部から排出される研削液からスラッジを分離するための磁気分離手段、
    前記磁気分離手段の下流側に配置されかつ前記研削液が供給され、磁気的に凝集されたスラッジが沈澱するタンク、
    前記タンク内に設けられる障壁板、および
    前記スラッジの分離処理が施された研削液を前記研削部に供給して循環使用するための循環手段を備え、
    前記磁気分離手段は軸方向および周方向に配置される複数の磁石を有するマグネットロールを含み、前記軸方向に隣接する前記磁石は異極が対応するように配置され、かつ前記周方向に隣接する前記磁石は異極が対応するように配置されている、磁性部材の研削装置。
  3. 水を主成分とする研削液を研削部に供給しながら、耐熱性樹脂と超砥粒とを含む刃先を有する研削手段を用いてNd−Fe−B系希土類合金を研削する第1ステップ、
    前記研削部から排出される研削液からスラッジを表面磁束密度が0.25T以上である磁気分離手段を用いて磁気的に分離する第2ステップ、および
    前記第2ステップを経た前記研削液を、内部に障壁板が設けられたタンクに流入させ、前記タンク内において前記研削液に含まれるスラッジを磁気的に凝集し沈澱させて前記研削液から分離する第3ステップを備え、
    前記スラッジの分離処理が施された研削液を前記研削部に供給して循環使用し、
    前記磁気分離手段は軸方向および周方向に配置される複数の磁石を有するマグネットロールを含み、前記軸方向に隣接する前記磁石は異極が対応するように配置され、かつ前記周方向に隣接する前記磁石は異極が対応するように配置されている、磁性部材の研削方法。
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