JP3930754B2 - ディストリビュータ洗浄方法及び装置 - Google Patents

ディストリビュータ洗浄方法及び装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、沈殿槽内で被処理液中の懸濁物質等を凝集・沈殿させて被処理液を清澄化する凝集沈殿装置に関し、特に凝集沈殿装置におけるディストリビュータの洗浄方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
凝集沈殿装置は、沈降分離方式の水処理装置の一種であり、原廃水等の被処理液に含まれている懸濁物質等を適当な添加剤により凝集しフロック化し、被処理液から懸濁物質等を沈殿除去しようとするものである。
【0003】
この種の凝集沈殿装置としては、特公平1−38523号公報によって開示されたものが知られている。この公報に記載された凝集沈殿装置においては、懸濁物質等の凝集を行う筒状のミキシングチャンバが沈殿槽内の中心に直立状態で設けられており、被処理液は、凝集沈殿装置の上流側の貯槽から導入管を経てミキシングチャンバ内に導入され、その後、ディストリビュータにより沈殿槽内に分配供給されるようになっている。沈殿槽内に被処理液が供給されると、被処理液中の凝集フロックが沈降分離し、沈殿槽の底部にて濃縮された汚泥層を形成する。その一方で、沈殿槽の上部には上澄液が上昇していき、清澄化された処理済み液として沈殿槽上部から流出される。
【0004】
ところで、従来一般のディストリビュータは、基本的には、ミキシングチャンバの下部に配設され放射状に延びる複数本の吐出管から構成されている。各吐出管はミキシングチャンバ内と連通しており、各吐出管の下側部分にはその長手方向に沿って複数の吐出孔が形成されている。吐出管の外側端部は閉じられているので、ミキシングチャンバ内の凝集フロックを含有した被処理液は吐出管を通り、吐出孔から沈殿槽内に排出される。
【0005】
しかし、凝縮沈殿装置の運転を続けていると、ディストリビュータが詰まるおそれがある。すなわち、被処理液中の凝集フロックやその他の異物がディストリビュータの吐出管の内面や吐出孔の内面に付着し、やがては吐出管或いは吐出孔を閉塞する可能性がある。
【0006】
そのため、従来においては、タイマを用いて一定時間毎に工水や井戸水等の工場内用水をディストリビュータの吐出管内に送り込み、吐出管内或いは吐出孔内に付着した凝集フロック等を洗浄、除去することとしていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような従来の洗浄方法では、タイマにより定められた洗浄時期でない時にディストリビュータが詰まってしまった場合、洗浄が行われないという問題がある。かかる場合、ミキシングチャンバ内の液位が上昇し、ミキシングチャンバの開放上端部から被処理液が沈殿槽内に溢れて処理済み液の水質を悪化させるおそれがある。また、ディストリビュータからの吐出量に偏りが起きるため処理水が悪化するおそれがある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、ディストリビュータの詰まりを自動的に検知して洗浄することのできるディストリビュータ洗浄方法及び装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1にかかる本発明によるディストリビュータ洗浄方法は、被処理液中の懸濁物質や凝集フロック等を沈降分離させる沈殿槽と、沈殿槽内に直立状態で配設されており、被処理液が導入されるチャンバと、チャンバ内の被処理液を沈殿槽内に分配供給するディストリビュータとを有する凝集沈殿装置において、ディストリビュータに詰まりが生じたか否かを検出するステップと、ディストリビュータに詰まりが生じたことを検出した場合に、洗浄液をディストリビュータに供給してディストリビュータを洗浄するステップとを含むことを特徴とする。
【0010】
この方法では、ディストリビュータにおいて、実際に詰まりが生じたことを検知した場合に洗浄するため、確実に詰まりを解消することができる。
【0011】
また、ディストリビュータに詰まりが生じたことを検出する方法としては、チャンバ内の液位を検出し、チャンバ内の液位が所定のしきい値以上となったことを検出した場合にディストリビュータに詰まりが生じたものとすることが考えられる。このようにして検出すれば、チャンバ内の液位を常に所定のしきい値以下に保てるため、ディストリビュータの詰まりによりチャンバ内の被処理液が沈殿槽内に溢れることを防止するのに有効である。
【0012】
また、本発明者は、ディストリビュータの閉塞による液位の上昇は、凝集沈殿装置の上流側に配置され被処理液が供給される貯槽でも生じること、及び、この貯槽の液位の上昇は、ディストリビュータが正常な場合において、貯層からチャンバ内に被処理液を導入するための導入管に詰まりが生じた場合にも生じることを見出した。そのため、ディスリビュータ洗浄方法では、このような導入管が詰まることによって生じる貯槽の液位の上昇を解消するために、導入管に詰まりが生じたか否かを検出するステップと、導入管に詰まりが生じたことを検出した場合に、洗浄液を導入管に供給して導入管を洗浄するステップとを更に含むことは有効である。
【0013】
尚、ディストリビュータと導入管のいずれか一方が詰まりを生じていることがわかれば、詰まりを生じているディストリビュータ又は導入管のみ、洗浄液を供給すればよく、洗浄液を無駄にしない観点からも好ましい。そのため、チャンバ内の液位及び貯槽内の液位を検出し、チャンバ内の液位が所定のしきい値以上であり且つ貯槽内の液位が所定のしきい値以上であることを検出した場合にディストリビュータに詰まりが生じたことを検出し、チャンバ内の液位が所定のしきい値よりも低く且つ貯槽内の液位が所定のしきい値以上であることを検出した場合に導入管に詰まりが生じたことを検出することは好ましい。
【0014】
また、請求項5にかかる本発明は、ディストリビュータの詰まりを自動的に検知して洗浄することのできるディストリビュータ洗浄方法及び装置を提供すること凝集沈殿装置において用いられるディストリビュータ洗浄装置において、ディストリビュータを洗浄するために洗浄液をディストリビュータに供給することが可能となっている第1の洗浄液供給手段と、ディストリビュータに詰まりが生じたか否かを検出するディストリビュータ詰まり検出手段と、ディストリビュータ詰まり検出手段によりディストリビュータに詰まりが生じたことが検出された場合に、洗浄液をディストリビュータに供給するための第1の洗浄液供給手段を制御する第1の制御手段とを備えるディストリビュータ洗浄装置を提供するものである。
【0015】
このような構成の装置では、先述した本発明にかかるディストリビュータ洗浄方法を好適に実施することが可能である。
【0016】
また、ディストリビュータ詰まり検出手段が、チャンバ内の液位を検出する第1の液位検出手段と、第1の液位検出手段による検出結果に応じてディストリビュータの詰まりの有無を判定する第1の判定手段とを備えることは、チャンバ内から液が溢れることを防止する観点からも好ましい。
【0017】
更に、凝集沈殿装置の上流側に配置され被処理液が供給される貯槽からチャンバ内に被処理液を導入するための導入管を洗浄するために、洗浄液を導入管に供給することが可能となっている第2の洗浄液供給手段と、導入管に詰まりが生じたか否かを検出する導入管詰まり検出手段と、導入管詰まり検出手段により導入管に詰まりが生じたことが検出された場合に、洗浄液を前記導入管に供給すべく第2の洗浄液供給手段を制御する第2の制御手段とを備えることは有効である。
【0018】
尚、ディストリビュータ詰まり検出手段及び導入管詰まり検出手段は、チャンバ内の液位を検出する第1の液位検出手段と、貯槽内の液位を検出する第2の液位検出手段と、第1の液位検出手段及び第2の液位検出手段による検出結果に基づいてディストリビュータ及び導入管の詰まりの有無を判定する第2の判定手段とを備えていれば、第2の判定手段が、第1の液位検出手段及び第2の液位検出手段によりチャンバ内の液位が所定のしきい値以上であり且つ貯槽内の液位が所定のしきい値以上であることが検出された場合にディストリビュータに詰まりが生じたと判定し、チャンバ内の液位が所定のしきい値よりも低く且つ貯槽内の液位が所定のしきい値以上であることが検出された場合に導入管に詰まりが生じたと判定することが可能である。
【0019】
貯水槽の液位の上昇はディストリビュータと導入管のいずれか一方が閉塞した場合にも生じるため、ディストリビュータと導入管のどちらに詰まりが生じているか否かを上記のように判定できることは、詰まりが生じている箇所を確実に洗浄するという観点から好適である。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明によるディストリビュータ洗浄装置が適用された凝集沈殿装置を概略的に示す断面図である。図1に示す凝集沈殿装置10は、原廃水等の被処理液から懸濁物質や凝集フロックを沈降分離し、清澄化された上澄液を処理済み液として取り出すことのできる沈殿槽12と、その内側に配置され、被処理液中の懸濁物質等を予め凝集しフロック化するためのミキシングチャンバ14とを備えている。
【0022】
ミキシングチャンバ14は、沈殿槽12の側壁上縁部に掛け渡された架台16の中央部から垂設された細長い略円筒体であり、その上端部は開放されている。ミキシングチャンバ14の上部には、被処理液が輸送されてくる導入管18の一端が接続されている。導入管18の他端は、凝集沈殿装置10の上流側に隣接配置された貯槽20に接続されている。導入管18は、凝集沈殿装置10の沈殿槽12内の液面よりも下方に配置されている。従って、被処理液を、その液面が導入管18よりも高い位置となるように貯槽20内に導入することで、被処理液は貯槽20から凝集沈殿装置10のミキシングチャンバ14内に自然に流れていく。
【0023】
なお、図示実施形態において、貯槽は、被処理液を凝集沈殿装置10に送り込む前に被処理液の種類に応じた前処理を施すための前処理槽20である。また、一般的に、前処理槽20の更に上流側には、原廃水等の被処理液を一時的に貯留する原水槽22が配置され、前処理槽20には原水槽22からポンプ24により被処理液が輸送されるようになっている。
【0024】
また、ミキシングチャンバ14には、被処理液中の懸濁物質等を凝集させフロックを形成する各種添加剤を注入するための注入ノズル26が配置されている。ミキシングチャンバ14内には、被処理液と注入ノズル26からの添加剤とを混合し撹拌するためのミキサ28が内蔵されており、架台16に設置された駆動装置30により回転駆動されるようになっている。また、ミキサ28の中心部にはセンタシャフト32が垂直方向に延びている。センタシャフト32の上部は架台16にて軸支されており、架台16上の駆動装置33により回転駆動される。
【0025】
センタシャフト32の下部部分はミキシングチャンバ14の下端よりも下方に突出している。センタシャフト32のこの下部部分にはディストリビュータ34が固定されている。図2に明示するように、ディストリビュータ34は、基本的には、センタシャフト32に同軸に固定されミキシングチャンバ14の下端部を閉じるよう配置されたカップ状の回転支持体36と、回転支持体36の内部と連通し且つ回転支持体36の外周面から径方向外方に水平に延びる複数本の吐出管38とから構成されている。各吐出管38の外端部は閉じられている。また、各吐出管38の最下部には、その長手方向に沿って一列に複数の吐出孔40が穿設されている。
【0026】
センタシャフト32は、ディストリビュータ34よりも下方に延長されており、その先端にはレーキ42及びコーンスクレーパ44が固定されている。レーキ42は、被処理液中の凝集フロックが沈降して形成する汚泥を濃縮すると共に、槽底面中央の汚泥引抜き用凹部46に汚泥を掻き寄せるためのものである。
【0027】
更に、沈殿槽12内の上部にはトラフ(集水樋)48が設けられており、このトラフ48の上縁を越えた沈殿槽12内の被処理液の上澄液が処理済み液として、沈殿槽12に設けられた流出口50から槽外部に流出されるようになっている。
【0028】
このような構成の凝集沈殿装置10にて清澄な処理済み液を得ようとする場合、原水槽22から前処理槽20に送られた被処理液は導入管18を経てミキシングチャンバ14内に供給される。ミキシングチャンバ14内においては、注入ノズル26から添加剤と被処理液とがミキサ28によって撹拌混合され、被処理液中の懸濁物質等が凝集して凝集フロックを形成する。凝集フロックを含む被処理液は、ディストリビュータ34における回転支持体36から吐出管38の吐出孔40を通って沈殿槽12内に供給される。ディストリビュータ34は駆動装置33により回転駆動されているので、吐出管38の吐出孔40からの被処理液は沈殿槽12内に均等に分配される。これにより、沈殿槽12内には均等な上昇流が発生する。被処理液の上昇流における粗大な凝集フロック等は重力により沈降分離して、沈殿槽12の底部に濃縮汚泥層を形成すると共に、沈殿槽12内の被処理液の上層は極めて清澄な上澄液となる。沈殿槽12内の上層の上澄液はトラフ48を越え、清澄な処理済み液として沈殿槽12の流出口50から外部に取り出される。
【0029】
上述したような凝集沈殿装置10においては、前述した如く、被処理液中の凝集フロック等によりディストリビュータ34の吐出管38又は吐出孔40が閉塞を起こすおそれがある。かかる不具合を回避するために、図示の凝集沈殿装置10にはディストリビュータ洗浄装置52が設けられている。
【0030】
本実施形態においては、ディストリビュータ洗浄装置52は、ミキシングチャンバ14の外壁面に沿ってその上部から下部に延びる洗浄配管(第1の洗浄液供給手段)54を備えている。この洗浄配管54の下部は、ミキシングチャンバ14の下部部分を貫通してその内部に延び、更にその下端の洗浄液噴出口56は、図2に示すように、ディストリビュータ34のカップ状回転支持体36の内壁面に向けられた状態で固定されている。洗浄液噴出口56の高さ位置は、吐出管38の流入口(回転中心側の端部開口)58の中心の高さ位置とほぼ同等とされている。洗浄配管54の他端は、沈殿槽12の上部から外部に延び、工水や井戸水等の洗浄液の供給源(図示しない)に接続されている。洗浄配管54には開閉弁(第1の洗浄液供給手段)60が介設されている。開閉弁60は好ましくはソレノイド式であり、制御装置62からの制御信号により洗浄配管54を開閉することが可能となっている。なお、制御装置62としてはシーケンサーから構成されるものが好適である。
【0031】
また、ディストリビュータ洗浄装置52は、ミキシングチャンバ14内の液位を検出することのできる液位計(第1の液位検出手段)64を備えている。液位計64による検出信号は制御装置62に入力され、制御装置62はこの検出信号に基づいて開閉弁60を制御する。
【0032】
次に、このディストリビュータ洗浄装置52を用いてディストリビュータ34を洗浄する場合について説明する。
【0033】
凝集沈殿装置10が正常に動作している場合、被処理液は原水槽22からポンプ24により一定の流量で前処理槽20に供給され、その後、導入管18を経てミキシングチャンバ14内に導入される。そして、ミキシングチャンバ14内の被処理液はディストリビュータ34から円滑に沈殿槽12内に流れる。この際、ミキシングチャンバ14内の液位はほぼ一定の範囲に維持される。
【0034】
一方、ディストリビュータ34の吐出管38の内面に凝集フロック等の異物が付着し、或いは吐出管38の吐出孔40が異物により目詰まりを起こす等してディストリビュータ34における圧力損失が上昇すると、前処理槽20に被処理液がポンプ24により原水槽22から一定流量で供給され続けているので、ミキシングチャンバ14内の液位が上昇する。ミキシングチャンバ14内の液位は液位計64からの検出信号に基づいて制御装置62により常時モニタされており、当該液位が所定のしきい値以上となった場合、制御装置62はディストリビュータ34に詰まりが生じたものと判定する。その結果、制御装置62は、開閉弁60のソレノイドに対する通電を制御する制御信号を発し、洗浄配管54を開放する。
【0035】
洗浄配管54が開放されると、工水等の洗浄液が洗浄液供給源から洗浄配管54を通り、洗浄液噴出口56から噴出される。この際、ディストリビュータ34のカップ状の回転支持体36は回転しているため、洗浄液噴出口56に各吐出管38の流入口58が順次正対し、その度に洗浄液噴出口56から噴出された洗浄液はその正対した吐出管38内に強制的に送り込まれる。これによって、吐出管38の内面や吐出孔40に付着している異物は洗い落とされ、洗浄液と共に吐出孔40から沈殿槽12内に排出され、ディストリビュータ34の詰まりが解消される。ディストリビュータ34の詰まりが解消すると、ミキシングチャンバ14内の液位は正常時の液位範囲に低下するので、その時点で制御装置62は開閉弁60を閉じるよう制御信号を発し、洗浄を完了する。
【0036】
ディストリビュータ34の詰まりは、ミキシングチャンバ14の開放上端部から沈殿槽12への被処理液の短絡的溢流を誘発し、処理済み液の水質に大きく影響する。また、ディストリビュータ34の吐出孔40の一部が詰まりにより閉塞した場合、ディストリビュータ34からの被処理液の吐出に偏りが生じ、処理済み液の水質に大きく影響する。従って、ディストリビュータ34の詰まりが認められた場合に、洗浄液を必ずディストリビュータ34に送り込むこととする本発明の洗浄装置及び方法は、前記問題を回避する上で極めて有効なものである。
【0037】
なお、従来と同様、ディストリビュータ34の閉塞を未然に防止するために、制御装置62は周期的に(例えば1日に1〜3回程度、1回につき数分間程度)開閉弁60を開き、洗浄液をディストリビュータ34に噴射するようにしてもよい。
【0038】
また、ディストリビュータ34が詰まった際における被処理液の液位の上昇は、ミキシングチャンバ14内のみならず、ミキシングチャンバ14に導入管18により連通された前処理槽20内においても同様に生じる。しかしながら、前処理槽20内の液位は、ディストリビュータ34が正常であっても、上昇することがある。すなわち、導入管18の内面に異物等が付着してその流路抵抗が増大化した場合にも、前処理槽20内の液位は上昇する。従って、前処理槽20内の液位が所定のしきい値以上となり且つミキシングチャンバ14の液位が所定のしきい値以上となった場合には、ディストリビュータ34の詰まりとみなすことができる。また、前処理槽20内の液位が所定のしきい値を超えたが、ミキシングチャンバ14の液位が所定のしきい値よりも低く維持されている場合には、導入管18の詰まりとみなすことができる。
【0039】
かかる知見に基づき、導入管18の洗浄を可能とすべく、図1に示す構成において更に、前処理槽20に液位計(第2の液位検出手段)66を配設すると共に、導入管18内を洗浄するための洗浄配管(第2の洗浄液供給手段)68を洗浄配管54から分岐して延ばしてもよい。この場合、洗浄配管68には制御装置62により開閉制御される開閉弁(第2の洗浄液供給手段)70が設けられる。また、制御装置62には前処理槽20の液位計66が接続される。
【0040】
このような構成においては、制御装置62は液位計64,66からの信号に基づいてディストリビュータ34と導入管18のいずれか一方が詰まりを生じているか認識することができ、詰まりを生じているディストリビュータ34又は導入管18に洗浄液を供給することができる。
【0041】
より具体的には、制御装置62が液位計64,66からの信号により、ミキシングチャンバ14の液位が正常時の液位にあるにも拘わらず、前処理槽20内の液位が所定のしきい値以上となっていることを検知した場合には、導入管18に詰まりが生じていると判定し、洗浄配管68の開閉弁70を開くのである。これにより、洗浄液は導入管18に噴射されて、導入管18の内部が洗浄される。導入管18の流路の閉塞が解消されると、前処理槽20内の液位は正常液位に低下するので、その状態を制御装置62は液位計66から認識して開閉弁70を閉じ、導入管18の洗浄を終了する。導入管18の洗浄は従来においては手動により行われていたので、このような自動化は労力の低減上、極めて有効である。
【0042】
一方、制御装置62が液位計64,66からの検出信号により、前処理槽20内の液位が所定のしきい値以上であり且つミキシングチャンバ14の液位が所定のしきい値以上であることを検知し、ディストリビュータ34が詰まっていると判定した場合、上記と同様に、洗浄配管54の開閉弁60を開いてディストリビュータ34を洗浄する。
【0043】
なお、洗浄配管54を設けずに、導入管18のみの洗浄を行うよう構成することも可能である。
【0044】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは云うまでもない。
【0045】
例えば、上記実施形態では、ディストリビュータ34及び導入管18の詰まりをミキシングチャンバ14及び前処理槽20の液位により検出することとしているが、詰まりを検出する手段としては、ディストリビュータ34や導入管18を流れる液体の流速から検出する手段等がある。
【0046】
また、上記実施形態では、洗浄液を供給する手段が、洗浄液供給源、洗浄配管54,68及びそこに設けられた開閉弁60,70とから構成され、開閉弁60,70を開閉することにより洗浄液の供給・供給停止を行っているが、洗浄液がポンプにより圧送される場合、当該ポンプの駆動を制御することによっても洗浄液の供給を制御することが可能である。
【0047】
更に、上記実施形態の凝集沈殿装置10は、被処理液に添加剤を添加して攪拌混合するミキシングチャンバ14を有する型式であるが、被処理液を導入するのみのチャンバを有する型式の装置にも本発明は適用可能である。
【0048】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、実際に詰まりが生じたことを検知してディストリビュータ34又は導入管18の洗浄を開始するため、無駄無く、確実に詰まりを解消することができる。従って、清澄化された処理済み液を常時、安定して得ることができ、環境保全にも大いに寄与することとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるディストリビュータ洗浄装置が適用された凝集沈殿装置を示す概略説明図である。
【図2】図1の凝集沈殿装置におけるディストリビュータを拡大して示す一部切欠き側面図である。
【符号の説明】
10…凝集沈殿装置、12…沈殿槽、14…ミキシングチャンバ(チャンバ)、18…導入管、20…貯槽(前処理槽)、34…ディストリビュータ、52…ディストリビュータ装置、54…洗浄配管(第1の洗浄供給手段)、56…洗浄液噴出口、58…流入口、60…開閉弁(第1の洗浄液供給手段)、62…制御装置(第1の制御手段、第2の制御手段、第1の判定手段、第2の判定手段)、64…液位計(第1の液位検出手段)、66…液位計(第2の液位検出手段)、68…洗浄配管(第2の洗浄供給手段)、70…開閉弁(第2の洗浄液供給手段)

Claims (10)

  1. 被処理液中の懸濁物質や凝集フロック等を沈降分離させる沈殿槽と、前記沈殿槽内に直立状態で配設されており、被処理液が導入されるチャンバと、前記チャンバ内の被処理液を前記沈殿槽内に分配供給するディストリビュータとを有する凝集沈殿装置において実施されるディストリビュータ洗浄方法であって、
    前記ディストリビュータに詰まりが生じたか否かを検出するステップと、
    前記ディストリビュータに詰まりが生じたことを検出した場合に、洗浄液を前記ディストリビュータに供給して該ディストリビュータを洗浄するステップと
    を含むディストリビュータ洗浄方法。
  2. 前記チャンバ内の液位を検出し、前記チャンバ内の液位が所定のしきい値以上となったことを検出した場合に前記ディストリビュータに詰まりが生じたことを検出する、請求項1に記載のディストリビュータ洗浄方法。
  3. 前記ディストリビュータを流れる被処理液の流速を検出し、前記ディストリビュータを流れる被処理液の流速が所定のしきい値を下回った場合に前記ディストリビュータに詰まりが生じたことを検出する、請求項1に記載のディストリビュータ洗浄方法。
  4. 前記凝集沈殿装置の上流側に配置され被処理液が供給される貯槽から前記チャンバ内に被処理液を導入するための導入管に詰まりが生じたか否かを検出するステップと、
    前記導入管に詰まりが生じたことを検出した場合に、洗浄液を前記導入管に供給して該導入管を洗浄するステップと
    を更に含む請求項1に記載のディストリビュータ洗浄方法。
  5. 前記チャンバ内の液位及び前記貯槽内の液位を検出し、前記チャンバ内の液位が所定のしきい値以上であり且つ前記貯槽内の液位が所定のしきい値以上であることを検出した場合に前記ディストリビュータに詰まりが生じたことを検出し、前記チャンバ内の液位が所定のしきい値よりも低く且つ前記貯槽内の液位が所定のしきい値以上であることを検出した場合に前記導入管に詰まりが生じたことを検出する、請求項4に記載のディストリビュータ洗浄方法。
  6. 被処理液中の懸濁物質や凝集フロック等を沈降分離させる沈殿槽と、前記沈殿槽内に直立状態で配設されており、被処理液が導入されるチャンバと、前記チャンバ内の被処理液を前記沈殿槽内に分配供給するディストリビュータとを有する凝集沈殿装置において用いられるディストリビュータ洗浄装置であって、
    前記ディストリビュータを洗浄すべく洗浄液を該ディストリビュータに供給することが可能となっている第1の洗浄液供給手段と、
    前記ディストリビュータに詰まりが生じたか否かを検出するディストリビュータ詰まり検出手段と、
    前記ディストリビュータ詰まり検出手段により前記ディストリビュータに詰まりが生じたことが検出された場合に、洗浄液を前記ディストリビュータに供給すべく前記第1の洗浄液供給手段を制御する第1の制御手段と
    を備えるディストリビュータ洗浄装置。
  7. 前記ディストリビュータ詰まり検出手段が、前記チャンバ内の液位を検出する第1の液位検出手段と、前記第1の液位検出手段による検出結果に応じて前記ディストリビュータの詰まりの有無を判定する第1の判定手段とを備える請求項6に記載のディストリビュータ洗浄装置。
  8. 前記ディストリビュータ詰まり検出手段が、前記ディストリビュータを流れる被処理液の流速を検出する流速検出手段と、前記流速検出手段による検出結果に応じて前記ディストリビュータの詰まりの有無を判定する第3の判定手段とを備える請求項6に記載のディストリビュータ洗浄装置。
  9. 前記凝集沈殿装置の上流側に配置され被処理液が供給される貯槽から前記チャンバ内に被処理液を導入するための導入管を洗浄すべく洗浄液を該導入管に供給することが可能となっている第2の洗浄液供給手段と、
    前記導入管に詰まりが生じたか否かを検出する導入管詰まり検出手段と、
    前記導入管詰まり検出手段により前記導入管に詰まりが生じたことが検出された場合に、洗浄液を前記導入管に供給すべく前記第2の洗浄液供給手段を制御する第2の制御手段と
    を更に備える請求項6に記載のディストリビュータ洗浄装置。
  10. 前記ディストリビュータ詰まり検出手段及び前記導入管詰まり検出手段は、
    前記チャンバ内の液位を検出する第1の液位検出手段と、
    前記貯槽内の液位を検出する第2の液位検出手段と、
    前記第1の液位検出手段及び前記第2の液位検出手段による検出結果に基づいて前記ディストリビュータ及び前記導入管の詰まりの有無を判定する第2の判定手段と
    を備え、前記第2の判定手段が、前記第1の液位検出手段及び前記第2の液位検出手段により前記チャンバ内の液位が所定のしきい値以上であり且つ前記貯槽内の液位が所定のしきい値以上であることが検出された場合に前記ディストリビュータに詰まりが生じたと判定し、前記チャンバ内の液位が所定のしきい値よりも低く且つ前記貯槽内の液位が所定のしきい値以上であることが検出された場合に前記導入管に詰まりが生じと判定するようになっている、請求項9に記載のディストリビュータ洗浄装置。
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