JP3930619B2 - カムベルト張力調整装置の取付構造 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、可変バルブタイミング機構を有する直列4気筒エンジンにおいて、このエンジンのカムシャフトを回転させるカムベルトの張力を調整するカムベルト張力調整装置の取付構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、直列4気筒エンジンの吸気及び排気バルブを開閉させる吸気用・排気用カムシャフトが、クランクシャフトの駆動力により回転させるようになっている。
【0003】
すなわち、この吸気用・排気用カムシャフトとクランクシャフトとの端部にそれぞれ吸気用・排気用カムプーリ及びクランクプーリが設けられ、これら各プーリの間にカムベルトが掛け渡され、この吸気用カムプーリには可変バルブタイミング機構が設けられている。勿論、排気用カムプーリに可変バルブタイミング機構を設けることもできる。
【0004】
これにより、このクランクシャフトの駆動力をカムベルトを介して吸気用・排気用カムシャフトに伝達し、これら吸気用・排気用カムシャフトを回転させることにより、吸気及び排気バルブを開閉させて吸気及び排気を所定のタイミングで行うようにしている。
【0005】
この際には、可変バルブタイミング機構により、エンジンの回転数に応じて、クランクシャフトの角度に対する吸気用カムシャフトの角度が可変されるようになっており、脈動波等を利用することにより、燃焼効率を向上させるようにしている。例えば、高速になるに従って、可変バルブタイミング機構にて吸気タイミングを早くすることで、排気の脈動波を利用して燃焼室内の燃焼ガスを吸い出し、この燃焼室へ混合気が吸い込まれ易くし、燃焼効率を向上させるようにしている。
【0006】
また、かかる駆動時におけるカムベルトの振れ等を防止するため、このカムベルトの張力を調整するカムベルト張力調整装置が設けられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明者らは、かかる可変バルブタイミング機構を有する直列4気筒以下の気筒数のエンジンにおいて、カムベルト張力調整装置が単にボルト止めされているだけでは、位置決め精度が良好でないため、カムベルトによる騒音が大きくなることを発見した。
【0008】
すなわち、可変バルブタイミング機構を有する直列4気筒エンジンの、カムシャフト回転位置に対する駆動トルク(カムベルトの張力)の関係を図6及び図7に示す。図6には、可変バルブタイミング機構の進角が0°の場合を示し、各気筒毎のカム山による4つのトルク山A,B,C,Dができ、各トルク山A,B,C,D毎には、排気時と吸気時における排気時トルク山A1,B1,C1,D1、吸気時トルク山A2,B2,C2,D2が生じている。これが、図7に示すように、可変バルブタイミング機構の進角が50°になると、排気タイミングと吸気タイミングが接近するため、上記排気時トルク山A1,B1,C1,D1、吸気時トルク山A2,B2,C2,D2がそれぞれ重なって4つの大きなトルク山E,F,G,Hができる。従って、可変バルブタイミング機構の進角が大きくなるに従い、カムベルト張力の変動ΔTが大きくなる。ちなみに、可変バルブタイミング機構を有する直列6気筒エンジンでは、各トルク山の間が接近するため、そのカムベルト張力変動は、その値ΔTより小さくなる。
【0009】
そして、かかるカムベルト張力変動ΔTを有する装置の騒音のグラフを図8に示す。この図8は、静的ベルト張力に対する聴感評価の関係を示すもので、特性線Jは、ブーン音(カムベルトがブーンとなる音)、特性線Kは、ジャッジャ音(カムベルトがジャッジャとなる音)を示す。これによれば、ブーン音は、静的ベルト張力が大きくなるに従い、聴感評点が良くなり、又、ジャッジャ音は、静的ベルト張力が大きくなるに従い、聴感評点が悪くなる。このように相反する特性を有する音が生じる。従って、それらのブーン音とジャッジャ音の両方を聴感評点の良好レベルより良くするためには、静的ベルト張力を範囲L1内に納めなければならない。
【0010】
しかし、従来ではカムベルト張力調整装置が単にボルト止めされているだけであるため、カムベルト張力調整装置の取付位置がバラ付くことにより、静的ベルト張力は範囲L2でバラ付いていた。従って、聴感評点の良好レベルより下がる場合があり、騒音が生じる場合があった。
【0011】
換言すれば、直列6気筒エンジンでは、可変バルブタイミング機構の進角を進めても、カムベルト張力変動が上記値ΔTより小さいことから、図8に示すような特性線にはならず、静的ベルト張力が範囲L2内でバラ付いたとしても騒音問題は生じない。
【0012】
従って、本発明者らが、可変バルブタイミング機構を有する直列4気筒以下の気筒数のエンジンにおいて従来の取付構造では、騒音が発生することを発見した。
【0013】
そこで、この発明は、可変バルブタイミング機構を有する直列4気筒以下の気筒数のエンジンにおいてカムベルトの騒音を防止するカムベルト張力調整装置の取付構造を提供することを課題としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を達成するために、請求項1に記載の発明は、可変バルブタイミング機構を有する直列4気筒以下の気筒数のエンジンにカムシャフトを回転させるカムベルトが設けられ、該カムベルトの張力を調整するカムベルト張力調整装置の取付構造において、該カムベルト張力調整装置は、前記カムベルトに接触するテンションローラが可動自在に設けられ、該テンションローラをカムベルト側に押圧する押圧部を有する張力調整装置本体が設けられ、該張力調整装置本体がベース体に印篭構造により位置決めされて取り付けられたカムベルト張力調整装置の取付構造としたことを特徴とする。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の構成に加え、前記印篭構造は、少なくとの2つのピンリングが前記張力調整装置本体とベース体との間に嵌合されて介在していることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について説明する。
【0017】
[発明の実施の形態1]
図1乃至図3には、この発明の実施の形態1を示す。
【0018】
まず構成について説明すると、この実施の形態1は、可変バルブタイミング機構を有する4気筒4サイクルエンジンに、この発明が適用されたものである。
【0019】
すなわち、図3中符号1は、4気筒4サイクルエンジンのシリンダブロックで、このシリンダブロック1の上側にシリンダヘッド2がヘッドボルト3により取り付けられている。そのシリンダブロック1には、シリンダ室4が形成され、このシリンダ室4内にピストン5が上下動自在に配設されている。
【0020】
また、シリンダヘッド2には、吸気ポート6及び排気ポート7が形成され、これら各ポート6,7の、燃焼室8に臨む開口6a,7aが吸気バルブ9及び排気バルブ10により開閉されるようになっている。
【0021】
これら各バルブ9,10は、コイルスプリング11,12により、開口6a,7aを閉じる方向に付勢され、吸気用カムシャフト13及び排気用カムシャフト14により、開閉駆動されるようになっている。
【0022】
これら吸気用・排気用カムシャフト13,14とクランクシャフト16との端部にそれぞれ吸気用・排気用カムプーリ18,19及びクランクプーリ20が設けられ、これら各プーリ18,19,20及び3つの中間プーリ21,22,23の間にカムベルト25が掛け渡されることにより、このカムベルト25を介してクランクシャフト16の駆動力が吸気用・排気用カムシャフト13,14に伝達されるようになっている。
【0023】
そして、可変バルブタイミング機構26がこの実施の形態1では、吸気用カムプーリ18側に設けられ、吸気用カムプーリ18とクランクシャフト16との相対速度をエンジン回転数に応じて変化させることができるようにして、吸気タイミングを可変できるようにしている。勿論、可変バルブタイミング機構26は排気用カムプーリ19側のみに設けたり、両カムプーリ18,19に設けたりすることもできる。
【0024】
また、このカムベルト25の張力を調整するカムベルト張力調整装置28が配設されている。このカムベルト張力調整装置28は、「ベース体」としてのシリンダブロック1に設けられた回転軸29にアーム30が回動自在に配設され、このアーム30の先端部にテンションローラ31が軸32を中心に回転自在に設けられている。そして、このテンションローラ31が張力調整装置本体33からの押圧力によりカムベルト25に押し付けられて、このカムベルト25の張力が調整されるようになっている。
【0025】
この張力調整装置本体33には、押圧ロッド34が突出され、この押圧ロッド34が張力調整装置本体33内に設けられた図示省略の付勢手段により突出方向に付勢されている。この押圧ロッド34は突出量が変化するに従って押圧力が変化するようになっている。そして、この張力調整装置本体33は、図2に示すようにシリンダブロック1に固定されている。
【0026】
すなわち、張力調整装置本体33には、円筒状の一対のピンリング35が下方に向けて突設され、これらピンリング35がシリンダブロック1に形成された嵌合凹部1aに嵌合されることにより、かかる印篭構造にて張力調整装置本体33が所定の位置に位置決めされている。そして、張力調整装置本体33に形成された挿通孔33a及びピンリング35にボルト36が挿通され、このボルト36がシリンダブロック1に形成された雌ネジ部1bに螺合されることにより、この張力調整装置本体33が所定の位置に固定されるようになっている。
【0027】
この取付けにより、アーム30の回転軸29から押圧ロッド34先端までの距離Lが所定の値に設定されると共に、押圧ロッド34の中心線Oが、アーム30の回転軸29と押圧ロッド34先端とを結ぶ線Pに垂直な線に対して角度αの範囲内に納まるようになっている。
【0028】
次に、作用について説明する。
【0029】
エンジンのクランクシャフト16が回転されると、このクランクシャフト16の駆動力がカムベルト25を介して吸気用・排気用カムシャフト13,14に伝達され、これら吸気用・排気用カムシャフト13,14を回転させることにより、吸気及び排気バルブ9,10を開閉させて吸気及び排気を所定のタイミングで行うようにしている。
【0030】
この際には、可変バルブタイミング機構26により、エンジンの回転数に応じて、クランクシャフト16の角度に対する吸気用カムシャフト13の角度が可変されるようになっており、脈動波等を利用することにより、燃焼を効果的に行うようにしている。例えば、高速になるに従って、可変バルブタイミング機構26にて吸気タイミングを早くすることで、排気の脈動波を利用して燃焼室8内の燃焼ガスを吸い出し、この燃焼室8へ混合気が吸い込まれ易くし、燃焼効率を向上させるようにしている。
【0031】
そして、この場合には、押圧ロッド34でテンションローラ31を押圧し、このテンションローラ31でカムベルト25を押すことにより、カムベルト25の張力が所定の値に設定されている。
【0032】
この際には、張力調整装置本体33がピンリング35等を用いることにより印篭構造にて所定の位置に精度良く取り付けられているため、ベルト騒音を防止できる。
【0033】
すなわち、押圧ロッド34の中心線Oが角度αの範囲に設定され、距離Lが所定の値に設定されているため、カムベルト25の張力を図8の範囲L1内に納めることができる。従って、カムベルト25により発生するブーン音とジャッジャ音等の音を聴感評点の良好レベルに保つことが出来る。
【0034】
因みに、従来では、印篭構造を用いず、単にボルトにより張力調整装置本体33をエンジンに取り付けていただけであるため、静的ベルト張力が範囲L2内でバラ付くことから、聴感評点が良好レベルより下がってしまうことがある。このことは、直列4気筒エンジンであるため生じる不具合であり、直列6気筒エンジンの場合には、静的ベルト張力が範囲L2内でバラ付いたとしても、カムベルト25の張力変動が直列4気筒エンジンのように大きくならないため、騒音が大きくならないことから問題としてなかった。
【0035】
してみれば、この発明は、直列6気筒エンジンであれば生じない騒音が、直列4気筒エンジンで、且つ、可変バルブタイミング機構を用いていると発生することを新たに発見し、そのため印篭構造を用いて、より精度良く張力調整装置本体33の位置決めをして騒音の発生を防止しているものである。
【0036】
[発明の実施の形態2]
図4には、この発明の実施の形態2を示す。
【0037】
この実施の形態2は、張力調整装置本体33の取付構造が実施の形態1と相違している。
【0038】
すなわち、シリンダブロック1に「ベース体」としての取付けベース38が固定され、この取付けベース38に嵌合孔38aが形成され、この嵌合孔38aに張力調整装置本体33の先端部33bが嵌合されて印篭構造により位置決めされている。また、この張力調整装置本体33にフランジ部33cが形成され、このフランジ部33cが取付けベース38に当接されてボルト39にて固定されている。
【0039】
このようにしても取付けベース38の嵌合孔38aと張力調整装置本体33の先端部33bとの印篭構造により、位置決めが正確になされるため、実施の形態1と同様にカムベルト25による騒音を防止できる。
【0040】
他の構成及び作用は実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
【0041】
[発明の実施の形態3]
図5には、この発明の実施の形態3を示す。
【0042】
この実施の形態3は、張力調整装置本体33の取付構造が実施の形態1と相違している。
【0043】
すなわち、実施の形態1では、一対のピンリング35が比較的接近した位置に配置されていたが、この実施の形態3では、一対のピンリング35が中心線Oの両側で前後に離間した位置に配置されている。
【0044】
このように一対のピンリング35を実施の形態1よりも離間させることにより、張力調整装置本体33の位置決め精度をより向上させることが出来る。
【0045】
他の構成及び作用は実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
【0046】
なお、上記各実施の形態では、直列4気筒エンジンのカムベルト張力調整装置28に、この発明を適用したが、これに限らず、直列4気筒以下であれば、3気筒等でも良いことは勿論である。
【0047】
【発明の効果】
以上説明してきたように、各請求項に記載の発明によれば、直列4気筒以下の気筒数のエンジンにおいて、張力調整装置本体が印篭構造により所定の位置に精度良く取り付けられているため、ベルト騒音を防止できる、という実用上有益な効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1に係るカムベルト張力調整装置や各プーリ等の配置関係を示す図である。
【図2】同実施の形態1に係る図1のA−A線に沿う断面図である。
【図3】同実施の形態1に係るエンジンの断面図である。
【図4】この発明の実施の形態2に係る張力調整装置本体の取付状態を示す正面図である。
【図5】この発明の実施の形態3に係る張力調整装置本体の取付状態を示す正面図である。
【図6】可変バルブタイミング機構進角0°の場合のカムシャフト回転位置と駆動トルクとの関係を示すグラフ図である。
【図7】可変バルブタイミング機構進角50°の場合のカムシャフト回転位置と駆動トルクとの関係を示すグラフ図である。
【図8】カムベルトによる発生する各種音の、静的ベルト張力と聴感評点との関係を示すグラフ図である。
【符号の説明】
1 シリンダブロック(ベース体)
13 吸気用カムシャフト
14 排気用カムシャフト
16 クランクシャフト
25 カムベルト
26 可変バルブタイミング機構
28 カムベルト張力調整装置
31 テンションローラ
33 張力調整装置本体
34 押圧ロッド
35 ピンリング
【発明の属する技術分野】
この発明は、可変バルブタイミング機構を有する直列4気筒エンジンにおいて、このエンジンのカムシャフトを回転させるカムベルトの張力を調整するカムベルト張力調整装置の取付構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、直列4気筒エンジンの吸気及び排気バルブを開閉させる吸気用・排気用カムシャフトが、クランクシャフトの駆動力により回転させるようになっている。
【0003】
すなわち、この吸気用・排気用カムシャフトとクランクシャフトとの端部にそれぞれ吸気用・排気用カムプーリ及びクランクプーリが設けられ、これら各プーリの間にカムベルトが掛け渡され、この吸気用カムプーリには可変バルブタイミング機構が設けられている。勿論、排気用カムプーリに可変バルブタイミング機構を設けることもできる。
【0004】
これにより、このクランクシャフトの駆動力をカムベルトを介して吸気用・排気用カムシャフトに伝達し、これら吸気用・排気用カムシャフトを回転させることにより、吸気及び排気バルブを開閉させて吸気及び排気を所定のタイミングで行うようにしている。
【0005】
この際には、可変バルブタイミング機構により、エンジンの回転数に応じて、クランクシャフトの角度に対する吸気用カムシャフトの角度が可変されるようになっており、脈動波等を利用することにより、燃焼効率を向上させるようにしている。例えば、高速になるに従って、可変バルブタイミング機構にて吸気タイミングを早くすることで、排気の脈動波を利用して燃焼室内の燃焼ガスを吸い出し、この燃焼室へ混合気が吸い込まれ易くし、燃焼効率を向上させるようにしている。
【0006】
また、かかる駆動時におけるカムベルトの振れ等を防止するため、このカムベルトの張力を調整するカムベルト張力調整装置が設けられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明者らは、かかる可変バルブタイミング機構を有する直列4気筒以下の気筒数のエンジンにおいて、カムベルト張力調整装置が単にボルト止めされているだけでは、位置決め精度が良好でないため、カムベルトによる騒音が大きくなることを発見した。
【0008】
すなわち、可変バルブタイミング機構を有する直列4気筒エンジンの、カムシャフト回転位置に対する駆動トルク(カムベルトの張力)の関係を図6及び図7に示す。図6には、可変バルブタイミング機構の進角が0°の場合を示し、各気筒毎のカム山による4つのトルク山A,B,C,Dができ、各トルク山A,B,C,D毎には、排気時と吸気時における排気時トルク山A1,B1,C1,D1、吸気時トルク山A2,B2,C2,D2が生じている。これが、図7に示すように、可変バルブタイミング機構の進角が50°になると、排気タイミングと吸気タイミングが接近するため、上記排気時トルク山A1,B1,C1,D1、吸気時トルク山A2,B2,C2,D2がそれぞれ重なって4つの大きなトルク山E,F,G,Hができる。従って、可変バルブタイミング機構の進角が大きくなるに従い、カムベルト張力の変動ΔTが大きくなる。ちなみに、可変バルブタイミング機構を有する直列6気筒エンジンでは、各トルク山の間が接近するため、そのカムベルト張力変動は、その値ΔTより小さくなる。
【0009】
そして、かかるカムベルト張力変動ΔTを有する装置の騒音のグラフを図8に示す。この図8は、静的ベルト張力に対する聴感評価の関係を示すもので、特性線Jは、ブーン音(カムベルトがブーンとなる音)、特性線Kは、ジャッジャ音(カムベルトがジャッジャとなる音)を示す。これによれば、ブーン音は、静的ベルト張力が大きくなるに従い、聴感評点が良くなり、又、ジャッジャ音は、静的ベルト張力が大きくなるに従い、聴感評点が悪くなる。このように相反する特性を有する音が生じる。従って、それらのブーン音とジャッジャ音の両方を聴感評点の良好レベルより良くするためには、静的ベルト張力を範囲L1内に納めなければならない。
【0010】
しかし、従来ではカムベルト張力調整装置が単にボルト止めされているだけであるため、カムベルト張力調整装置の取付位置がバラ付くことにより、静的ベルト張力は範囲L2でバラ付いていた。従って、聴感評点の良好レベルより下がる場合があり、騒音が生じる場合があった。
【0011】
換言すれば、直列6気筒エンジンでは、可変バルブタイミング機構の進角を進めても、カムベルト張力変動が上記値ΔTより小さいことから、図8に示すような特性線にはならず、静的ベルト張力が範囲L2内でバラ付いたとしても騒音問題は生じない。
【0012】
従って、本発明者らが、可変バルブタイミング機構を有する直列4気筒以下の気筒数のエンジンにおいて従来の取付構造では、騒音が発生することを発見した。
【0013】
そこで、この発明は、可変バルブタイミング機構を有する直列4気筒以下の気筒数のエンジンにおいてカムベルトの騒音を防止するカムベルト張力調整装置の取付構造を提供することを課題としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を達成するために、請求項1に記載の発明は、可変バルブタイミング機構を有する直列4気筒以下の気筒数のエンジンにカムシャフトを回転させるカムベルトが設けられ、該カムベルトの張力を調整するカムベルト張力調整装置の取付構造において、該カムベルト張力調整装置は、前記カムベルトに接触するテンションローラが可動自在に設けられ、該テンションローラをカムベルト側に押圧する押圧部を有する張力調整装置本体が設けられ、該張力調整装置本体がベース体に印篭構造により位置決めされて取り付けられたカムベルト張力調整装置の取付構造としたことを特徴とする。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の構成に加え、前記印篭構造は、少なくとの2つのピンリングが前記張力調整装置本体とベース体との間に嵌合されて介在していることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について説明する。
【0017】
[発明の実施の形態1]
図1乃至図3には、この発明の実施の形態1を示す。
【0018】
まず構成について説明すると、この実施の形態1は、可変バルブタイミング機構を有する4気筒4サイクルエンジンに、この発明が適用されたものである。
【0019】
すなわち、図3中符号1は、4気筒4サイクルエンジンのシリンダブロックで、このシリンダブロック1の上側にシリンダヘッド2がヘッドボルト3により取り付けられている。そのシリンダブロック1には、シリンダ室4が形成され、このシリンダ室4内にピストン5が上下動自在に配設されている。
【0020】
また、シリンダヘッド2には、吸気ポート6及び排気ポート7が形成され、これら各ポート6,7の、燃焼室8に臨む開口6a,7aが吸気バルブ9及び排気バルブ10により開閉されるようになっている。
【0021】
これら各バルブ9,10は、コイルスプリング11,12により、開口6a,7aを閉じる方向に付勢され、吸気用カムシャフト13及び排気用カムシャフト14により、開閉駆動されるようになっている。
【0022】
これら吸気用・排気用カムシャフト13,14とクランクシャフト16との端部にそれぞれ吸気用・排気用カムプーリ18,19及びクランクプーリ20が設けられ、これら各プーリ18,19,20及び3つの中間プーリ21,22,23の間にカムベルト25が掛け渡されることにより、このカムベルト25を介してクランクシャフト16の駆動力が吸気用・排気用カムシャフト13,14に伝達されるようになっている。
【0023】
そして、可変バルブタイミング機構26がこの実施の形態1では、吸気用カムプーリ18側に設けられ、吸気用カムプーリ18とクランクシャフト16との相対速度をエンジン回転数に応じて変化させることができるようにして、吸気タイミングを可変できるようにしている。勿論、可変バルブタイミング機構26は排気用カムプーリ19側のみに設けたり、両カムプーリ18,19に設けたりすることもできる。
【0024】
また、このカムベルト25の張力を調整するカムベルト張力調整装置28が配設されている。このカムベルト張力調整装置28は、「ベース体」としてのシリンダブロック1に設けられた回転軸29にアーム30が回動自在に配設され、このアーム30の先端部にテンションローラ31が軸32を中心に回転自在に設けられている。そして、このテンションローラ31が張力調整装置本体33からの押圧力によりカムベルト25に押し付けられて、このカムベルト25の張力が調整されるようになっている。
【0025】
この張力調整装置本体33には、押圧ロッド34が突出され、この押圧ロッド34が張力調整装置本体33内に設けられた図示省略の付勢手段により突出方向に付勢されている。この押圧ロッド34は突出量が変化するに従って押圧力が変化するようになっている。そして、この張力調整装置本体33は、図2に示すようにシリンダブロック1に固定されている。
【0026】
すなわち、張力調整装置本体33には、円筒状の一対のピンリング35が下方に向けて突設され、これらピンリング35がシリンダブロック1に形成された嵌合凹部1aに嵌合されることにより、かかる印篭構造にて張力調整装置本体33が所定の位置に位置決めされている。そして、張力調整装置本体33に形成された挿通孔33a及びピンリング35にボルト36が挿通され、このボルト36がシリンダブロック1に形成された雌ネジ部1bに螺合されることにより、この張力調整装置本体33が所定の位置に固定されるようになっている。
【0027】
この取付けにより、アーム30の回転軸29から押圧ロッド34先端までの距離Lが所定の値に設定されると共に、押圧ロッド34の中心線Oが、アーム30の回転軸29と押圧ロッド34先端とを結ぶ線Pに垂直な線に対して角度αの範囲内に納まるようになっている。
【0028】
次に、作用について説明する。
【0029】
エンジンのクランクシャフト16が回転されると、このクランクシャフト16の駆動力がカムベルト25を介して吸気用・排気用カムシャフト13,14に伝達され、これら吸気用・排気用カムシャフト13,14を回転させることにより、吸気及び排気バルブ9,10を開閉させて吸気及び排気を所定のタイミングで行うようにしている。
【0030】
この際には、可変バルブタイミング機構26により、エンジンの回転数に応じて、クランクシャフト16の角度に対する吸気用カムシャフト13の角度が可変されるようになっており、脈動波等を利用することにより、燃焼を効果的に行うようにしている。例えば、高速になるに従って、可変バルブタイミング機構26にて吸気タイミングを早くすることで、排気の脈動波を利用して燃焼室8内の燃焼ガスを吸い出し、この燃焼室8へ混合気が吸い込まれ易くし、燃焼効率を向上させるようにしている。
【0031】
そして、この場合には、押圧ロッド34でテンションローラ31を押圧し、このテンションローラ31でカムベルト25を押すことにより、カムベルト25の張力が所定の値に設定されている。
【0032】
この際には、張力調整装置本体33がピンリング35等を用いることにより印篭構造にて所定の位置に精度良く取り付けられているため、ベルト騒音を防止できる。
【0033】
すなわち、押圧ロッド34の中心線Oが角度αの範囲に設定され、距離Lが所定の値に設定されているため、カムベルト25の張力を図8の範囲L1内に納めることができる。従って、カムベルト25により発生するブーン音とジャッジャ音等の音を聴感評点の良好レベルに保つことが出来る。
【0034】
因みに、従来では、印篭構造を用いず、単にボルトにより張力調整装置本体33をエンジンに取り付けていただけであるため、静的ベルト張力が範囲L2内でバラ付くことから、聴感評点が良好レベルより下がってしまうことがある。このことは、直列4気筒エンジンであるため生じる不具合であり、直列6気筒エンジンの場合には、静的ベルト張力が範囲L2内でバラ付いたとしても、カムベルト25の張力変動が直列4気筒エンジンのように大きくならないため、騒音が大きくならないことから問題としてなかった。
【0035】
してみれば、この発明は、直列6気筒エンジンであれば生じない騒音が、直列4気筒エンジンで、且つ、可変バルブタイミング機構を用いていると発生することを新たに発見し、そのため印篭構造を用いて、より精度良く張力調整装置本体33の位置決めをして騒音の発生を防止しているものである。
【0036】
[発明の実施の形態2]
図4には、この発明の実施の形態2を示す。
【0037】
この実施の形態2は、張力調整装置本体33の取付構造が実施の形態1と相違している。
【0038】
すなわち、シリンダブロック1に「ベース体」としての取付けベース38が固定され、この取付けベース38に嵌合孔38aが形成され、この嵌合孔38aに張力調整装置本体33の先端部33bが嵌合されて印篭構造により位置決めされている。また、この張力調整装置本体33にフランジ部33cが形成され、このフランジ部33cが取付けベース38に当接されてボルト39にて固定されている。
【0039】
このようにしても取付けベース38の嵌合孔38aと張力調整装置本体33の先端部33bとの印篭構造により、位置決めが正確になされるため、実施の形態1と同様にカムベルト25による騒音を防止できる。
【0040】
他の構成及び作用は実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
【0041】
[発明の実施の形態3]
図5には、この発明の実施の形態3を示す。
【0042】
この実施の形態3は、張力調整装置本体33の取付構造が実施の形態1と相違している。
【0043】
すなわち、実施の形態1では、一対のピンリング35が比較的接近した位置に配置されていたが、この実施の形態3では、一対のピンリング35が中心線Oの両側で前後に離間した位置に配置されている。
【0044】
このように一対のピンリング35を実施の形態1よりも離間させることにより、張力調整装置本体33の位置決め精度をより向上させることが出来る。
【0045】
他の構成及び作用は実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
【0046】
なお、上記各実施の形態では、直列4気筒エンジンのカムベルト張力調整装置28に、この発明を適用したが、これに限らず、直列4気筒以下であれば、3気筒等でも良いことは勿論である。
【0047】
【発明の効果】
以上説明してきたように、各請求項に記載の発明によれば、直列4気筒以下の気筒数のエンジンにおいて、張力調整装置本体が印篭構造により所定の位置に精度良く取り付けられているため、ベルト騒音を防止できる、という実用上有益な効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1に係るカムベルト張力調整装置や各プーリ等の配置関係を示す図である。
【図2】同実施の形態1に係る図1のA−A線に沿う断面図である。
【図3】同実施の形態1に係るエンジンの断面図である。
【図4】この発明の実施の形態2に係る張力調整装置本体の取付状態を示す正面図である。
【図5】この発明の実施の形態3に係る張力調整装置本体の取付状態を示す正面図である。
【図6】可変バルブタイミング機構進角0°の場合のカムシャフト回転位置と駆動トルクとの関係を示すグラフ図である。
【図7】可変バルブタイミング機構進角50°の場合のカムシャフト回転位置と駆動トルクとの関係を示すグラフ図である。
【図8】カムベルトによる発生する各種音の、静的ベルト張力と聴感評点との関係を示すグラフ図である。
【符号の説明】
1 シリンダブロック(ベース体)
13 吸気用カムシャフト
14 排気用カムシャフト
16 クランクシャフト
25 カムベルト
26 可変バルブタイミング機構
28 カムベルト張力調整装置
31 テンションローラ
33 張力調整装置本体
34 押圧ロッド
35 ピンリング
Claims (2)
- 可変バルブタイミング機構を有する直列4気筒以下の気筒数のエンジンにカムシャフトを回転させるカムベルトが設けられ、該カムベルトの張力を調整するカムベルト張力調整装置の取付構造において、
該カムベルト張力調整装置は、前記カムベルトに接触するテンションローラが可動自在に設けられ、該テンションローラをカムベルト側に押圧する押圧部を有する張力調整装置本体が設けられ、該張力調整装置本体がベース体に印篭構造により位置決めされて取り付けられたことを特徴とするカムベルト張力調整装置の取付構造。 - 前記印篭構造は、少なくとの2つのピンリングが前記張力調整装置本体とベース体との間に嵌合されて介在していることを特徴とする請求項1記載のカムベルト張力調整装置。
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