JP3929905B2 - 難分解性物質の分解方法、並びにこれを用いた吸着剤の再生方法、排水の処理方法 - Google Patents

難分解性物質の分解方法、並びにこれを用いた吸着剤の再生方法、排水の処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、難分解性物質の分解方法及び吸着剤の再生方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、難分解性物質を固体に吸着させた状態で、過酸化物で接触処理することにより、効率よく分解する方法、及び吸着剤に吸着された難分解性物質を、前記のようにして分解処理し、該吸着剤を再生する方法に関するものである。
また、本発明は、難分解性物質含有排水の処理方法に関する。さらに詳しくは、有害な難分解性物質を含有する排水から難分解性物質を吸着分離し、分離した難分解性物質を効率よく分解する排水処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
難分解性物質、特に毒性や発がん性、催奇形性、内分泌攪乱作用などを有する難分解性物質が環境中に放出されると、長期間残留するため、大きな社会問題となっている。したがって、このような難分解性物質を排出させない技術の開発研究と共に、その排出を防止する技術や、排出した該難分解性物質を回収する技術の開発研究が行われている。
難分解性物質の排出を防止する技術としては、例えば物理的方法、化学的方法及び生物的方法が知られている。物理的方法の一つとして吸着法があり、水中への活性炭投入による吸着法(例えば、非特許文献1参照)や、排ガスへの活性炭投入法が開発されている。しかしながら、この場合、難分解性物質を吸着した活性炭には、その内部に依然として難分解性物質が保持されており、そのまま廃棄することはできない。
したがって、この吸着に使用済の活性炭は、焼却、熱分解処理、あるいは埋立、廃棄処理する方法が行われているが、排ガスと共に放出されて二次汚染の原因となったり、埋立地から溶出して再汚染の原因となる危険性があり、安全で経済的な処理方法が望まれている。
【0003】
難分解性物質を含む排水や、土壤、スラッジ中の難分解性物質の分解方法としては、熱分解法やアルカリによる化学的分解法、超臨界液体による方法、オゾンや過酸化水素のような過酸化物、あるいは次亜塩素酸塩と紫外線との組合わせによる方法などがあり、さらに、白色腐朽菌や微生物が産生する酵素などを用いる生物的方法も研究されている。
これらの方法には、それぞれ特徴があり、難分解性物質の存在状態により適用しやすい場合と、適用しにくい場合がある。例えば熱分解法や超臨界水分解法は、高価な設備やエネルギーを必要とし、経済的に利用しにくい場合が多い。また、難分解性物質は水に難溶の化合物が多く、オゾンや過酸化水素と紫外線との組合わせの方法は、固体に吸着され、紫外線が透過しにくい懸濁物や、土壤、スラッジなどの固体には適用できない。そのため、懸濁物や浮遊物を含む排水は、懸濁物、浮遊物を一旦ろ過や沈降分離して除去したのち、処理が行われるが、懸濁物や浮遊物に吸着されている難分解性物質は、別途無害化する必要がある。
【0004】
また、排水については、過酸化水素と鉄塩を組み合わせた酸化分解法や、過硫酸塩、過マンガン酸塩を用いる酸化分解法が種々提案されている。
例えば、特許文献1には、簡単な装置と操作により短時間で内分泌撹乱性物質を低濃度にまで除去することができる処理方法が開示されている。当該技術は、内分泌撹乱性物質含有水を活性炭等により吸着させ、これを脱着することにより濃縮し、その濃縮液に過硫酸塩などの過酸化物を接触させて、分解処理するものである。当該技術の酸化剤の使用量は、被処理水中の内分泌撹乱材質を含む全有機物を酸化分解するのに必要な理論値の0.5〜10倍当量であるが、このような量の酸化剤では吸着されたままの状態での内分泌撹乱物質はもちろん分解できない。一般に、内分泌撹乱物質等の有害物は操作が煩雑になるほど人体や周辺環境を再汚染する可能性も高いという問題を生じる。
したがって、固体に吸着されている難分解性物質を溶出させることなく、そのままの状態で分解することができれば、操作が簡便であり、人体や周辺環境を再汚染する危険性を回避できる上、難分解性物質の吸着分離に用いた吸着剤の再利用及び被処理物の輸送が可能であり、しかも土壤やスラッジの固体状汚染物質に適用し得るなど、工業的な利点が多く、その技術の開発が望まれている。
【0005】
以下、難分解性物質を含有する排水の処理についてさらに詳述する。
難分解性物質を含む排水の発生源としては、クラフトパルプ製造プラントにおける塩素系漂白設備、廃PCB又はPCB処理物の分解設備、PCB汚染物又はPCB処理物の洗浄設備、アルミニウムやアルミニウム合金の製造用に供する溶解炉などに係る廃ガス洗浄設備、湿式集塵設備、汚水などを排出する廃ピットなどが知られている。すなわち、含塩素化合物を用いるプロセスであれば生成する可能性がある。
また、環境庁によって水環境汚染物質の基準が改定され、それまで重金属主体であった環境基準の対象物質にトリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、PCBなどの有機化合物が新たに加わった。産業排水中には、油分、COD、BOD、浮遊物質(SS)の他に、微量な有害物質(有機リン化合物、PCB、トリクロロエチレン、ダイオキシン類、ビスフェノール類など)が含まれる可能性がある。
従来、難分解有害性物質を含む処理対象水から、ろ過装置、膜分離法などを用いて可能なかぎり難分解性物質を除き、処理水中の難分解性物質を分解する技術が開発されている。(例えば特許文献2参照)
上記のように難分解性物質を含む排水を処理するためには、前処理としてろ過処理、生物処理などを施し、後処理としてオゾン処理、紫外線照射処理、触媒処理、又は活性炭処理などが施される。このように、これまでは、多大な労力と資材を使用して分解、除去しなければならなかった。
また、紫外線照射処理を例にとると、紫外線が透過できる反応系のみで利用できる技術であり、固形物を含む液体や固形物には利用できないという問題がある。さらに、前処理で除去した難分解性物質は二次汚染を防止するために別途無害化する必要がある。
そこで、これら難分解性物質を効率よく、人体や周辺環境を再汚染することのないクローズドシステムで分解処理する技術の開発が強く望まれている。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−189945号公報
【特許文献2】
特開平11−99395号公報
【非特許文献1】
平山直道監修「ダイオキシン類の対策技術」シーエムシー社刊行、197〜205ページ(1998年)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況下で、固体に吸着されている難分解性物質を、脱着等の操作を行うことなく、そのままの状態で効果的に分解処理する方法、及び難分解性物質の吸着分離に用いた吸着剤の再生方法を提供することを目的とするものである。
さらに本発明は、有害な難分解性物質を含有する排水から難分解性物質を吸着分離し、分離した難分解性物質を固形分の状態で効率よく分解し、クローズドシステムが可能な排水処理方法を提供することを第2の目的とするものである。
【0008】
【問題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、固体に吸着された難分解性物質に、場合により微生物や酵素を接触させたのち、特定量の過硫酸塩を粉末状、水溶液状又は有機溶剤溶液状で接触させることにより、難分解性物質を固体から溶出させることなく、効果的に分解処理し得ること、そして、固体が吸着剤である場合、該吸着剤を再生し得ることを見出した。
さらに本発明者らは、排水中に含まれる難分解性物質を吸着剤を用いて凝集または吸着分離し、難分解性物質を含む固形分に過硫酸塩を接触させることで、第2の目的を達成し得ることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
【0009】
すなわち、本発明は、固体に吸着された難分解性物質を、脱着操作を行うことなく、難分解性物質に対して10 4 〜10 9 モルの過硫酸塩に接触させることを特徴とする難分解性物質の分解方法、好ましくは、固体に吸着された難分解性物質に、前記過硫酸塩を接触させる前又は後に、微生物及び/又は酵素を接触させる難分解性物質の分解方法を提供するものである。
本発明はまた、固体が吸着剤であって、該吸着剤に吸着された難分解性物質を、前記方法により分解処理することを特徴とする吸着剤の再生方法
さらに本発明は、(A)難分解性物質含有排水に吸着剤を添加する工程、(B)液分と難分解性物質を含む固形分を固液分離する工程、及び(C)分離された前記固形分中の難分解性物質に対して10 4 〜10 9 倍モルの過硫酸塩を接触させて、難分解性物質を分解する工程を含むことを特徴とする難分解性物質含有排水の処理方法。を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明における難分解性物質としては、例えばハロゲン化ジベンゾジオキシン類、ハロゲン化ジベンゾフラン類、ポリ塩化ビフェニル類、アルキルフェノール類、ハロゲン化フェノール類、ハロゲン化アルカン類、ハロゲン化アルケン類、フタル酸エステル類、ビスフェノール類及び多環芳香族炭化水素類などが挙げられる。
【0011】
前記ハロゲン化ジベンゾジオキシン類としては、例えば、2,3,7,8−テトラクロロジベンゾ−p−ジオキシン、1,2,3,7,8−ペンタクロロジベンゾ−p−ジオキシン、1,2,3,4,7,8−ヘキサクロロジベンゾ−p−ジオキシン、1,2,3,4,6,7,8−ヘプタクロロジベンゾ−p−ジオキシン、1,2,3,4,6,7,8,9−オクタクロロジベンゾ−p−ジオキシンなどの化合物が挙げられる。
【0012】
前記ハロゲン化ジベンゾフラン類としては、例えば、2,3,7,8−テトラクロロジベンゾフラン、1,2,3,7,8−ペンタクロロジベンゾフラン、2,3,4,7,8−ペンタクロロジベンゾフラン、1,2,3,4,7,8−ヘキサクロロジベンゾフラン、1,2,3,6,7,8−ヘキサクロロジベンゾフラン、1,2,3,7,8,9−ヘキサクロロジベンゾフラン、2,3,4,6,7,8−ヘキサクロロジベンゾフラン、1,2,3,4,6,7,8−ヘプタクロロジベンゾフラン、1,2,3,4,6,7,8,9−オクタクロロジベンゾフランなどの化合物が挙げられる。
【0013】
前記ポリ塩化ビフェニル類としては、例えばオルト位以外に塩素原子が置換したコプラナー(Coplanar)PCB類があり、具体的には3,3′,4,4′−テトラクロロビフェノール、3,3′,4,4′,5−ペンタクロロビフェノール、3,3′,4,4′,5,5′−ヘキサクロロビフェノールなどの化合物が挙げられる。
【0014】
前記アルキルフェノール類としては、例えばt−ブチルフェノール、ノニルフェノール、オクチルフェノール、ペンチルフェノールなどの化合物が挙げられ、ハロゲン化フェノール類としては、例えばテトラクロロフェノール、ペンタクロロフェノールなどの化合物が挙げられる。
【0015】
前記ハロゲン化アルカン類やハロゲン化アルケン類としては、例えばジクロロプロパン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロエチレンなどの化合物が挙げられ、フタル酸エステル類としては、例えばジブチルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレートなどの化合物が挙げられる。
【0016】
前記ビスフェノール類としては、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)や1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンなどの化合物が挙げられ、多環芳香族炭化水素類としては、例えばベンゾピレン、クリセン、ベンゾアントラセン、ベンゾフルオランセン、ピセンなどが挙げられる。
【0017】
本発明の分解方法における前記難分解性物質が吸着された固体としては特に制限はなく、様々なものを適用し得るが、例えば該難分解性物質が吸着された土壤、スラッジ、焼却灰及び各種吸着剤などを好ましく適用することができる。
ここで、難分解性物質が吸着された土壤としては、難分解性物質を含む地下水や埋立地からの浸出水に起因する汚染土壤などを挙げることができ、また難分解性物質が吸着されたスラッジとしては、工場や事業所における各設備から排出される廃液中の浮遊物を分離回収して得られたダイオキシン吸着浮遊物、金属精錬業から排出されるガスの洗浄装置から排出される廃触媒を再生する際に発生する排ガスをスクラバーで洗浄し、この洗浄液から分離回収されたダイオキシン吸着スラッジ、などを挙げることができる。
【0018】
また、難分解性物質が吸着された焼却灰としては、生活系ごみや事業系ごみなどの一般廃棄物や産業廃棄物などを、焼却炉で焼却処理することにより排出される難分解性物質が吸着された焼却灰などを挙げることができる。
一方、難分解性物質が吸着された各種吸着剤としては、工場や事業所における各設備において、難分解性物質を含む排水や排ガスなどの吸着処理に使用された各種吸着剤、前記焼却炉で一般廃棄物や産業廃棄物を焼却処理する際に使用された各種吸着剤などを挙げることができる。この際使用される吸着剤の種類としては、無機質多孔体及び有機質多孔体があり、具体的には、ゼオライト、珪藻土、酸性白土などの無機質多孔体、活性炭やイオン交換樹脂などの有機質多孔体を挙げることができる。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの吸着剤の中で、活性炭及びイオン交換樹脂が好ましく、特に、全細孔容積に占めるメソポアの直径が2〜50nmであり、かつマクロポアが50nm以上であると共に、細孔容積が0.15リットル/g以上、好ましくは0.20リットル/g以上、さらに好ましくは0.25リットル/g以上の活性炭が好適である。
【0019】
難分解性物質が吸着された活性炭の例としては、(1)焼却場施設から排出されるガスをスクラバーで洗浄し、この洗浄排水をそのまま活性炭で吸着処理して得られたダイオキシン吸着活性炭と浮遊物との混合物、(2)アルミニウム、亜鉛、鉄等を再生する際に発生する排ガスをスクラバーで洗浄し、この洗浄液から固形物を分離したスラッジ及びスラッジ除去後の排水を活性炭で吸着処理することにより得られたダイオキシン吸着活性炭、(3)塩化ビニル製造プラントやエポキシ樹脂製造プラントなどの排水を活性炭で吸着処理して得られた吸着活性炭と浮遊物との混合物、(4)各種アルキルフェノール類の製造プラントから排出されるアルカリ洗浄排水中のフェノール類を活性炭で吸着処理して得られた吸着活性炭、などを挙げることができる。
【0020】
本発明の難分解性物質の分解方法においては、前述の固体に吸着された難分解性物質を、脱着操作を行うことなく、難分解性物質の100倍モル以上の過酸化物に接触させて、該難分解性物質を酸化分解するが、前記過酸化物を接触させる前又は後に、所望により、固体に吸着された難分解性物質に、微生物及び/又は酵素を接触させる処理、あるいは蓚酸又は蓚酸塩を接触させる処理を施すことができる。
【0021】
次に、この微生物や酵素による処理について説明する。
この前処理において用いられる微生物としては、糸状菌が好適に使用される。該糸状菌としては、例えばトラメテス(Trametes)属、シゾフィラム(Schizophyiium)属、ファネロキーテ(Phanerochaete)属、ジェルカンデラ(Bjerkandera)属、イルペックス(Irpex)属、プレウロタス(Pleurotus)属、マイセリオソラ(Myceliophthora)属、レンチネラ(Lentinera)属、ピクノポラス(Pycnoporus)属、レンチナス(Lentinus)属、リゾクトニア(Rhizoctonia)属、フナリア(Funalla)属、メルリウス(Merulius)属、ミセリオプトラ(Myceliophthora)属、コプリヌス(Coprinus)属、アガリクス(Agaricus)属、フォリオタ(Phoriota)属、フラムリナ(Flammulona)属、カノデルマ(Ganoderma)属、ダニダレオブシス(Daedaieopsis)属、ファポラス(Favolus)属、リオフィラム(Lyophyllum)属、オーリクラリア(Auricularia)属、グロエオフィラム(Gloeophyllum)属、タイロマイセス(Tyromyces)属、コニオフォラ(Coniophora)属、ヘテロバシディオン(Heterobasidion)属、フォメス(Fomes)属、ケトミウム(Chaetomium)属、マイセリオフトラ(Myceliophthora)属、ニューロスポラ(Neurospora)属、スクレロテウム(Sclerotium)属、フミコーラ(Humicola)属、モニリア(Monilia)属、キシラリア(Xylalia)属、クラドリナム(Cladorrhinum)属、グラフィウム(Graphium)属、スコプラリプシス(Scopularipsis)属、スフェロプシス(Sphaeropsis)属、フザリウム(Fusarium)属、トリコデルス(Trichoders)属、ボツリティス(Botrytis)属、アスペルギルス(Aspsrgillus)属などに属する糸状菌が挙げられる。これら糸状菌の中でも、トラメテス(Trametes)属、シゾフィラム(Schizophyllum)属、ファネロキーテ(Phanerochaets)属、ジェルカンデラ(Bjerkandera)属、イルペックス(Irpex)属、プレウロタス(Pleurotus)属、マイセリオソラ(Myceliophthora)属、レンチネラ(Lentinera)属、ピクノポラス(Pycnoporus)属に属する木材腐朽菌が特に好適である。
【0022】
一方、酵素としては、特にセロビオースデヒドロゲナーゼ、キサンチンオキシダーゼ、ラッカーゼ、リグニンペルオキシダーゼ及びマンガンペルオキシダーゼの中から選ばれる少なくとも一種が好適に用いられる。これらの酵素は、微生物が産生して放出した酵素あるいは天然物中に含まれる酵素をイオン交換樹脂などを用いて培養液や天然物から分離したものを用いてもよいし、微生物の生菌体と酵素との混合物を用いてもよい。これらの酵素を用いる場合には、難分解性物質との接触に際して、電子供与体や過酸化水素の存在下、または過酸化水素を産生する微生物や酵素の存在下に行うのが効果的である。また、酵素としてラッカーゼを用いる場合には、その活性を最大限発揮させるために、メディエーターを添加することが好ましい。このメディエーターとしては、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールなどのフェノール性化合物や、2,2′−アジノビス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)などのアニリン系化合物が好適に用いられる。
【0023】
前記糸状菌を培養する方法については、通常の微生物の培養方法と同様に行うことができる。例えば、少量の培養では、モルト−イースト培地で5〜30日間、10〜50℃程度で培養すればよく、また大量に培養する場合には、タンクによる液体培養や、オガクズや大麦、小麦の全粒やフスマなど植物由来の固体成分、糖のほか、窒素やリン、ミネラルなどを含浸させた無機多孔質担体などを用いて前記条件で固体培養してもよい。ここでの培養温度が10℃未満であると、微生物の増殖が遅くなって酵素の放出量が少なくなり、また、この培養温度が50℃を超えると、微生物の生育増殖が遅くなるおそれがある。そして、培養時のpHは3以上に調整するのが好ましく、さらに3.5以上に調整するのがより好ましい。これは、pHが3未満では、微生物からの酵素の放出量が少なくなり、酵素の至適pHの範囲から外れることになるからである。また、容器が鉄製のものでは、容器内部の腐食を生じるためである。さらに、これら微生物の培養においては、得られる培養物の菌濃度が、植物性有機物乾燥重量1gあたり、1×10cfu(コロニー形成単位)以上、好ましくは1×10〜1×10cfu、より好ましくは1×10〜1×10cfuの範囲とすればよい。また、これら糸状菌の培養に際しては、菌糸体、胞子のいずれも使用できるが、通常は、培養が容易な菌糸体を用いる。
【0024】
前記微生物及び/又は酵素を、固体に吸着された難分解性物質に接触させるに当っては、予め固体に付着している雑菌の滅菌処理を行い、無菌条件下で該微生物や酵素を接触させるのがよい。通常難分解性物質が吸着されている固体には、様々な雑菌が棲息しているので、これら雑菌を滅菌処理することにより、有用微生物を接種した後の有用微生物の生育に良好な条件が整うようになる。
【0025】
この滅菌処理法としては、加熱処理法や化学的処理法あるいは物理的処理法による方法を用いることができる。この加熱処理法による雑菌の滅菌処理を行う場合には、80〜125℃程度の温度で行えばよい。そして、加熱処理時間は、処理温度により異なるが、2秒間〜6時間程度とするのがよい。この処理温度は、ほとんどの雑菌が125℃では死滅するので、それを超える温度で処理する必要はない。
【0026】
また、化学的処理法による滅菌処理の場合には、処理剤としてエチルアルコール、二炭酸ジエチル、過酸化水素、過硫酸塩、次亜塩素酸、塩酸、エチレンオキサイド、オゾンまたはクロルピクリンを用いることができる。これら処理剤は、そのまま使用してもよいが、水などの希釈剤を用いた溶液を使用することもできる。例えば、エチルアルコールを使用する場合には、その濃度が60〜100g/100ミリリットル程度の水溶液が好適に用いられる。また、過酸化水素を使用する場合には、その濃度が30g/100ミリリットル未満の水溶液が好ましく、さらにエチルアルコールとの混合水溶液として使用してもよい。そして、物理的処理法による方法としては、紫外線照射処理による方法が好適に用いられる。
【0027】
また、固体に吸着された難分解性物質を微生物及び/又は酵素と接触させて分解するに際して、前記滅菌処理する方法以外の方法により、有用微生物が選択的に生育できるようにすることで、雑菌の増殖を抑制することができる。例えば、木材腐朽菌を用いる場合、炭素源としてセルロース源、好ましくは可溶性セルロース源であるカルボキシメチルセルロースや、水溶性セルロースエーテル、リン酸化セルロースなどを用いると、これら炭素源が雑菌の増殖に利用し難いことから雑菌の増殖を抑制することが可能である。
【0028】
このように加熱処理や化学的処理、物理的処理によって滅菌処理してなる固体に吸着された難分解性物質を、微生物と接触させて分解する場合には、該固体の存在下に、微生物の培養を行う方法が望ましい。
この微生物による難分解性物質の分解反応を行う際の条件としては、これら微生物の生育条件と同様であり、温度は10〜50℃程度、好ましくは15〜35℃であり、pHは3以上、好ましくは3.5以上の範囲である。また、上記糸状菌は、好気性微生物であることから、分解反応器には少量の酵素含有ガス、好ましくは空気を供給しながら分解反応を行うようにする。このようにして、固体に吸着された難分解性物質の存在下に微生物を培養することにより、その菌体外に放出する難分解性物質分解酵素や難分解性物質分解ラジカルにより、これら酵素やラジカルによる難分解性物質の分解反応が進行するようになる。
【0029】
そして、この分解反応をより効果的に行うためには、ここで用いる糸状菌の栄養源の存在下に分解反応を行うのが好ましい。このような栄養源としては、様々な物質があるが、例えば、グルコースなどの糖類、ジャガイモエキスや糖蜜などの炭素源、アンモニウム塩や尿素などの窒素源、コーンスティープリカー、肉エキス、酵母エキスやペプトンなどの水溶性栄養源が用いられる。また、大麦や小麦、米、トウモロコシなどの穀物類や、その副産物であるフスマ、米ぬか、コーンブロス、オカラなどを用いることができる。このほか、木材チップやココヤシの繊維、カンキツ類の皮、多孔質粘土鉱物を添加することもできる。これら栄養源の添加量は、水溶性で当該固体に吸着されやすい栄養源の場合には、当該固体に対して0.01〜10重量%程度であり、また、吸着剤に吸着され難い固体栄養源の場合には、吸着剤に対して0.001〜10重量%程度である。
【0030】
また、この分解反応をより効果的に行うために、この反応系に有機溶剤を適宜量添加することができる。このような有機溶媒としては、炭素数3〜6のケトン類、炭素数1〜4のアルコール類、炭素数2〜6のカルボン酸エステル類の群から選択される有機溶媒が好適に用いられる。このうち、炭素数3〜6のケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。また、炭素数1〜4のアルコール類としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、各種ブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコールなどが挙げられる。さらに、炭素数2〜6のカルボン酸エステル類としては、例えば、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチルなどが挙げられる。これら有機溶媒は、水との親和性が高く、微生物や酵素の活性を減退させることなく、難分解性物質を固体内部から固体表層部に溶出させた状態において、微生物や酵素との接触を効果的に行うことができるようになる。さらに、これら有機溶媒とともに、常温において液状のn−パラフィン類、シクロパラフィン類、高級脂肪酸エステル類などの溶媒を添加することにより、難分解性物質の固体内部への再吸着を防止することができる。このような再吸着防止溶媒としては、例えば、n−デカン、n−ウンデカン、n−ドデカン、n−トリデカン、n−テトラデカン、n−ペンタデカン、n−ヘキサデカン、シクロオクタン、シクロデカン、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、リノール酸メチル、リノール酸エチル、リノレン酸メチル、リノレン酸エチルなどが挙げられる。
【0031】
本発明の難分解性物質の分解方法においては、このようにして、所望により、固体に吸着された難分解性物質に、微生物や酵素を接触させる前処理を施したのち、過酸化物を接触させて、該難分解性物質を酸化分解する。また、固体に吸着された難分解性物質に過酸化物を接触させたのちに、微生物や酵素を接触させる処理を施し、該難分解性物質を分解することもできる。
固体に吸着された難分解性物質と過酸化物との接触は、難分解性物質を固体から溶出させる等の脱着処理を実質的に経ることなしに、難分解性物質が固体に吸着されたままの状態で実施される。この状態で難分解性物質の分解を有効に行うためには、固体に吸着された難分解性物質のモル数を基準にしてその100倍モル以上、好ましくは10,000倍モル以上、特に好ましくは1,000,000倍モル以上の過酸化物を用いる。
【0032】
この酸化分解には、該過酸化物として、ペルオクソ酸塩、超酸化物及び有機過酸化物の中から選ばれる少なくとも一種が好ましく用いられる。
本発明におけるペルオクソ酸塩としては安全に取扱い得るものであればよく、特に制限されず、様々な化合物、例えば過硫酸塩、過マンガン酸塩、過ホウ酸塩、有機過酸塩などを用いることができる。このペルオクソ酸塩の具体的な化合物としては、過硫酸塩として、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸水素カリウムなどが、過マンガン酸塩として、過マンガン酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸カルシウムなどが、過ホウ酸塩として、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウムなどが、有機過酸塩として、過酢酸ナトリウム、過安息香酸ナトリウム、過フタル酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0033】
超酸化物としては特に制限はなく、様々な化合物、例えば超酸化カリウム、超酸化ナトリウム、超酸化バリウム、超酸化マグネシウムなどが挙げられる。
さらに、有機過酸化物としても特に制限はなく、様々な化合物、例えばアセチルアセトンパーオキシド、メチルエチルケトンパーオキシド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキシドなどのケトンパーオキシド類、オクタノイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシドなどのジアシルパーオキシド類、t−ブチルヒドロパーオキシド、キュメンヒドロパーオキシド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキシドなどのヒドロパーオキシド類、ジ−t−ブチルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンなどのジアルキルパーオキシド類、1,1−ビス−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタンなどのパーオキシケタール類、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシベンゾエートなどのアルキルパーエステル類、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネートなどのパーオキシカーボネート類等を挙げることができる。この中で、ジ−t−ブチルパーオキシド及びジクミルパーオキシドが好ましく用いられる。
【0034】
本発明においては、前記過酸化物は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の難分解性物質の分解方法においては、固体に難分解性物質又は微生物や酵素で前処理された難分解性物質を吸着させたままの状態で、実質上溶出させることなく、前記過酸化物により酸化分解する。この際、該過酸化物は、固体の形態、例えば土壌、スラッジ、焼却灰、吸着剤などの形態や過酸化物の性状などに応じて、粉末、水溶液又は有機溶剤溶液の形態で用いることができる。過酸化物を水溶液又は有機溶剤溶液の形態で用いる場合には、その濃度は 0.1重量%以上であることが好ましい。この濃度が0.1重量%未満では、多量の過酸化物含有溶液を使用しなければならず、その結果、処理容器が大型化するなどの不都合が生じる。
【0035】
また、難分解性物質と過酸化物との接触処理は、pH3以上、好ましくは3.5以上の範囲で接触させ、酸化分解処理するのが有利である。
さらに、固体に吸着された難分解性物質又は微生物や酵素で前処理された難分解性物質に、粉末状又は溶液状の過酸化物を接触させて酸化分解処理する際の温度は、使用する過酸化物の種類などに応じて適宜選定されるが、通常20〜200℃、好ましくは80〜180℃の範囲である。加熱する場合、加熱方式としては特に制限はなく、電熱式、加熱水供給式、蒸気吸込み式、ボイラー式など、いずれも用いることができるが、加熱水供給式の場合には、水分量が多くならないように注意を要する。水分量が多くなりすぎると、反応のための過酸化物濃度が低下する。酸化分解処理時間については、処理温度や使用する過酸化物の種類などにより左右され、一概に定めることはできないが、通常10分ないし30日間程度である。
なお、難分解性物質が活性炭等の固体に強く吸着している場合には、過酸化物を予め固体に十分接触させ、固体内部に浸透させたのち加熱等を行い難分解性物質を酸化分解することが望ましい。特に活性炭に吸着された難分解性物質の分解には活性炭中に侵入しやすい有機過酸化物がより好ましい。
また、活性炭に吸着した難分解性物質を分解するにあたり、超酸化カリウム、超酸化ナトリウム、超酸化バリウムなどの超酸化物を有機溶媒に溶解し、活性炭に吸着させた後加熱する方法も有効である。
【0036】
なお、難分解性物質が吸着された固体が固着性の強い場合、例えば焼却炉から排出される焼却灰及び活性炭を含むスラッジなどの場合、粉砕機で該固体を粉砕しながら、粉末状の過酸化物を添加混合し、その後加熱処理するのが有利である。
本発明はまた、前記の難分解性物質を吸着した固体が、活性炭やイオン交換樹脂などの吸着剤である場合、前述の難分解性物質の分解方法を施し、該吸着剤を再生する方法をも提供する。
【0037】
難分解性物質が吸着された吸着剤は、前述の分解方法により、難分解性物質の含有量を再使用のための取扱いに充分に安全な領域まで低減させることができる。したがって、吸着剤を難分解性物質の吸着に一度使用した後、直ちに廃棄することなく、吸着剤としての性能の低下をきたすまで繰返し使用することができるので、極めて経済的である。また、この難分解性物質の吸着剤を最終的に廃棄する場合においても、難分解性物質の残存量を充分に低減して廃棄処分することができるので、自然環境に悪影響を及ぼすことがない。
【0038】
さらに本発明は、(A)難分解性物質含有排水に吸着剤を添加する工程、(B)液分と難分解性物質を含む固形分を固液分離する工程、及び(C)分離された前記固形分に過酸化物を接触させて、難分解性物質を分解する工程を含むことを特徴とする難分解性物質含有排水の処理方法を提供するものである。
本発明においては、(A)工程として、前記排水に吸着剤を添加し難分解性物質を吸着させる前に、まず、難分解性物質を含有する排水のpHを6〜12の間に調整することが望ましい。pHが6未満では、処理装置の配管が腐蝕する可能性があり、また、pHが12を超えると最終排水の中和が煩雑になる。
上記pH調整が終了後、(A)工程を施すことで、すなわちpH調整排水に吸着剤を添加することで難分解性物質を吸着させる。
【0039】
好ましく用いられる吸着剤として、具体的には、珪藻土、ゼオライト、パーライト、活性白土などの無機多孔質体、活性炭やイオン交換樹脂などの有機多孔質体を挙げることができる。前記吸着剤は、処理水に応じてその種類を使い分けることができる。これらは一種単独で用いてもよく、二種以上組み合わせて用いてもよい。この吸着剤の添加量としては特に制限はなく、用いる吸着剤の種類や排水中の吸着成分量などに応じて適宜選定されるが、一般的には、排水量に対し、0.00001〜10質量%、好ましくは0.0001〜1質量%の範囲で選ばれる。
添加方法としては、予めろ過膜の上にケーキ層を形成するプレコート法と、排水に添加したのちにろ過するボディーフィード法がある。プレコート法では、ろ過面積から添加量を決めればよい。ボディーフィード法では、排水の濁度を目安に添加量を決めればよい。
【0040】
本発明の排水処理方法における(B)工程は、液分と難分解性物質を含む固形分を固液分離する工程である。
この固液分離工程においては、固液分離法として、例えば膜分離法、ろ過法、遠心分離法などを用いることができる。膜分離法では、分離膜としてMF(精密ろ過)、UF(限界ろ過)、NF(ナノフィルトレーション)、及びRO(逆浸透)膜などの種々の膜を用いることができる。その中でもMF及びUF膜は低圧で使用でき、コスト面から見ても好ましい。
MF膜の素材としては、セルロース系、ポリアミド系、ポリスルフォン系及びポリプロピレン系などの各樹脂が用いられる。
また、UF膜の素材もMF膜同様、ポリアミド系、ポリスルフォン系及びポリプロピレン系などが用いられる。さらに上記各種膜の他に、バグフィルターが好適な方法として用いられる。
ろ過方法としては、砂ろ過法を採用することができ、また全量ろ過方式でもクロスフロー方式を用いてもよい。
なお、固液分離された液相中に微量のダイオキシンなどが含まれることがある。このような場合には、当該液相をオゾン処理、紫外線照射処理、触媒処理、又は活性炭処理することができる。
【0041】
本発明の排水処理方法における(C)工程は、分離した難分解性物質を含む固形分に過酸化物を接触させて難分解性物質を分解する工程である。本発明の排水処理方法においては、前述の固形分に吸着された難分解性物質は、脱着操作を行うことなく過酸化物によって固形分の状態で酸化分解することができる。
【0042】
好ましく用いられる過酸化物としては、過マンガン酸塩、過硫酸塩、過酸化ナトリウム、過酸化バリウム、過酸化亜鉛、過酸化カドミウム、過酸化カリウム、過酸化カルシュウム、過酸化クロムなどの各種金属塩、過酸化水素、オゾン及び金属触媒と水素供給体の併用系などが挙げられる。
中でも好ましい酸化剤として用いられる過酸化物は、過マンガン酸塩及び過硫酸塩である。
過マンガン酸塩としては、過マンガン酸亜鉛、過マンガン酸カドミウム、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸カルシュウム、過マンガン酸銀、過マンガン酸ストロンチウム、過マンガン酸セシウム、過マンガン酸ナトリウム、過マンガン酸バリウム、過マンガン酸マグネシウム、過マンガン酸リチウム、過マンガン酸ルビジウムなどが挙げられる。
【0043】
また、過硫酸塩としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸水素カリウム、過硫酸鉛、及び過硫酸ルビジウムなどが挙げられるが、酸化剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム及び過硫酸カリウムなどの過硫酸塩が特に好ましい。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その使用量は、吸着剤に吸着された難分解性物質のモル数を基準にして、好ましくは100倍モル以上、より好ましくは10〜10倍モル、さらに好ましくは10〜10倍モルの範囲で選定される。
過酸化物の添加量は、処理水のpHによって異なるが、反応のみを促進する場合は、過硫酸の酸化力を考慮して添加すればよい。
また、過酸化物による分解を促進させるために過酸化物は、排水中で溶解している状態で接触させることが好ましく、更に他の酸化剤、例えば過酸化水素やオゾンを共存させてもよい。
【0044】
さらに、この分解反応をより効果的に行うために、この反応系に有機溶剤を適宜量添加することができる。このような有機溶媒としては、炭素数2〜12の炭化水素類、例えば、n−ヘキサン、トルエン、キシレン、メチルフタレンなどが好適に用いられる。
【0045】
過硫酸塩は加熱により分解して、重硫酸イオンラジカル、硫酸イオンラジカルやヒドロキシラジカルが発生して、このラジカルがダイオキシンなどの難分解性物質を分解するが、該ラジカルは短時間で電子を放出することから、分解効率を高めるために、難分解性物質を吸着した吸着剤をスラリー状にして、攪拌することが好ましい。この攪拌は激しいほどラジカルと難分解性物質が接触する確率が高まるために有利であるが、攪拌には限度があり、分解容器の容量やスラリーの粘度などにより、経済的に著しく不利にならない範囲で激しく行うことが好ましい。
【0046】
また、前記吸着剤に吸着された難分解性物質を過酸化物によって酸化分解する反応温度は、室温から100℃までが好ましい。さらに好ましくは40℃〜100℃である。40℃未満では分解に要する時間が長くかかる場合がある。
酸化分解処理温度は高いほど分解速度が高まるが、水の沸騰温度(塩濃度が高くなると100℃より高くなる)以上で分解処理すると圧力容器を必要とするため、沸騰温度以下の大気圧下で分解処理することが好ましい。なお、沸騰温度以上の大気圧下で分解処理を行う場合、水分の蒸発と共に、ダイオキシンなどの難分解性物質も温度が高くなるほど蒸発するため、二次汚染防止の観点から、廃ガス処理設備を設けることが必要となる。
【0047】
本発明において、前記の好ましい過硫酸塩により酸化分解処理する際に、発生する硫酸を中和して、pH6以上、好ましくは7以上に保持するために、また分解反応を調節するために、塩基性物質の存在下に、酸化分解処理を行うのが有利である。前記塩基性物質としては、過硫酸塩により酸化されない化合物であって、処理後のスラリーを埋め立て場などの最終処分地に移送、処分する際、二次汚染をもたらさない化合物を選択することが肝要である。
【0048】
このような塩基性物質としては、例えばアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の水酸化物、酸化物及び弱酸塩、さらにはアンモニアや有機塩基性化合物の中から、適宜一種又は二種以上選択して用いることができる。
前記アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の水酸化物の例としては、ナトリウム、カリウム、カルシウムなどの水酸化物が好ましく挙げられ、また、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の酸化物の例としては、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、超酸化ナトリウム、超酸化カリウム、超酸化カルシウム、超酸化バリウムなどが好ましく挙げられる。前記化合物の中で超酸化物は、酸化剤としての作用も有しており、好ましい。さらに、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の弱酸塩の例としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウムなどが好ましく挙げられ、有機塩基性化合物としては、各種アミンを挙げることができる。
これらの塩基性物質は、予め固形分中に添加しておいてもよいし、反応中に逐次添加してもよい。このようにして、分解反応液のpHを6以上、好ましくは7以上に保持することにより、高価な耐食性の反応容器を使用する必要がなく、安価な鉄製反応容器を使用することができる。
【0049】
本発明においては、加熱する場合、加熱方式としては特に制限はなく、電熱式、加熱水供給式、蒸気吸込み式、ボイラー式など、いずれも用いることができるが、加熱水供給式の場合には、水分量が多くならないように注意を要する。水分量が多くなりすぎると、反応のための過硫酸塩濃度が低下する。酸化分解処理時間については、処理温度やその他の条件などにより左右され、一概に定めることはできないが、通常10分ないし50時間程度である。
なお、難分解性物質が吸着剤に強く吸着している場合には、過硫酸塩を予め吸着剤に十分接触させ、吸着剤内部に浸透させたのち加熱などを行い難分解性物質を酸化分解することが望ましい。
このような酸化分解処理条件を採用することにより、(1)過硫酸塩の使用量を低減させることができる、(2)反応時間を短縮することができる、(3)反応温度を低下することができる、(4)反応容器の腐食を防止することができる、(5)安価な鉄製反応容器で酸化分解処理を行うことができる、などの効果を奏する。
【0050】
また、珪藻土やイオン交換樹脂などの吸着剤において、前述の分解方法により難分解性物質の含有量を再使用のための取扱いに充分に安全な領域まで低減させることができる。したがって、吸着剤を難分解性物質の吸着に一度使用した後、直ちに廃棄することなく、吸着剤としての性能の低下をきたすまで繰返し使用することができ、クローズドシステムとして排水を処理する事が可能であり、極めて安全性が高く、かつ経済的である。また、この難分解性物質の吸着剤を最終的に廃棄する場合においても、難分解性物質の残存量を充分に低減して廃棄処分することができるので、自然環境に悪影響を及ぼすことがない。
【0051】
【実施例】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1〜6、比較例1〜3
ごみ焼却場の排ガス洗浄水に蓄積した浮遊物を沈殿せしめ、0.4μmのフィルターで吸引濾過、濃縮し、スラッジを集めた。このスラッジ(水分62%)中のダイオキシン濃度を測定したところ、45ナノグラム/g乾燥スラッジであった。
このスラッジ20gを100ml容のポリテトラフルオロエチレン製容器に入れ、次いで種々のペルオクソ酸塩粉末を加え、室温にて毎分10,000回転の速度で高速ミキサーを用いて3分間撹拌した。このポリテトラフルオロエチレン製容器をオートクレーブに入れ、種々の温度で一定時間加熱した。その後ポリテトラフルオロエチレン容器内のサンプル全量について、ダイオキシン濃度を測定した。
表1に、各実施例、比較例における操作条件及び結果を示す。ここにおいて、過酸化物の添加量が、スラッジ中のダイオキシンの何倍モルに相当するかも示した。また、ダイオキシン濃度は、乾燥固体に対する濃度で示した。これらは、以下の各実施例、比較例においても同様である。なお、スラッジには種々のダイオキシン類が含まれているが、ここでは、ダイオキシンの分子量として、毒性の最も大きい2,3,7,8−テトラクロロジベンゾオキシンの分子量である322を用いて計算した(以下の実施例7〜26、比較例4〜14においても、同様である)。
【0052】
【表1】
Figure 0003929905
【0053】
実施例7〜9、比較例4
合成触媒の再生廃ガスをスクラバーで洗浄し、この洗浄液を回転平膜分離装置を用いて固形物を分離し、さらに遠心分離機を用いて濃縮した。
この固形物(水分67%)20gを100ml容のポリテトラフルオロエチレン製容器に入れ、室温にてペルオクソ酸を添加し、毎分12,000回転の速度で高速ミキサーを用いて3分間撹拌した。このポリテトラフルオロエチレン容器をオートクレーブに入れ、種々の温度で一定時間加熱した。その後ポリテトラフルオロエチレン容器内のサンプル全量について、ダイオキシン濃度を測定した。
表2に、各実施例、比較例における操作条件及び結果を示す。
【0054】
【表2】
Figure 0003929905
【0055】
実施例10〜13、比較例5〜9
ゴミ焼却灰埋め立て地から浸出水の沈積地の底に蓄積したスラッジを集め、連続遠心分離機を用いて8,000Gの加速度で濃縮した。このスラッジ(水分72%)20gを100ml容のポリテトラフルオロエチレン製容器に入れ、次いで種々のペルオクソ酸塩を加え、室温にて毎分10,000回転の速度で高速ミキサーを用いて3分間撹拌した。このポリテトラフルオロエチレン製容器をオートクレーブに入れ、種々の温度で一定時間加熱した。その後ポリテトラフルオロエチレン容器内のサンプル全量について、ダイオキシン濃度を測定した。
表3に、各実施例、比較例における操作条件及び結果を示す。
【0056】
【表3】
Figure 0003929905
【0057】
実施例14〜16、比較例10
合成触媒の再生廃ガスをスクラバーで洗浄し、この洗浄液を回転平膜分離装置を用いて固形物を分離し、さらに遠心分離機を用いて濃縮した。
この固形物(水分67%)20gを100ml容のポリテトラフルオロエチレン製容器に入れ、室温にてペルオクソ酸を添加し、毎分12,000回転の速度で高速ミキサーを用いて3分間撹拌した。このポリテトラフルオロエチレン容器をオートクレーブに入れ、種々の温度で一定時間加熱した。その後ポリテトラフルオロエチレン容器内のサンプル全量について、ダイオキシン濃度を測定した。
表4に、各実施例、比較例における操作条件及び結果を示す。
【0058】
【表4】
Figure 0003929905
【0059】
実施例17〜19、比較例11
ごみ焼却場から50mの距離にある土壌の表層5cmから土壌を集めた。この土壌100g(水34%)を500ml容のガラス製三角フラスコに入れた。
一方、40%濃度の過マンガン酸ナトリウム5gを50mlの水に加え、この水を三角フラスコに入れてスラリー状とし、撹拌棒で30分間室温で撹拌した。次いで三角フラスコを種々の温度で撹拌しながら加熱した。その後、フラスコの土壌について全量分析を行なった。
また、比較例として過マンガン酸ナトリウムを加えない区を設けた。
表5に、各実施例、比較例における操作条件及び結果を示す。
【0060】
【表5】
Figure 0003929905
【0061】
実施例20,21、比較例12,13
実施例18において、5L容の三角フラスコに1kgの土壌を入れ、10gの40%過マンガン酸ナトリウムを500mlの水に溶解して加えたこと以外は、同様の方法で過マンガン酸ナトリウムを用いて土壌中のダイオキシンを分解せしめた。
その後、三角フラスコから土壌を抜き出し、50gずつ300ml容の三角フラスコに移し入れた。このフラスコに4gのブナオガクズ(水分16%)及び水10mlを入れ、混合した。このフラスコをオートクレーブに入れ121℃15分間殺菌した。
一方、ブナオガクズ7重量部、フスマ3重量部、CMC0.5重量部の割合で混合し、水分65℃としたのち、直径10mmの大きさに押出し成形し、オートクレーブで121℃、20分間殺菌したペレットを培地とし、木材腐朽菌を接種し、30℃で14日間培養した。
このペレットを先のダイオキシン汚染土壌に加え、30℃で30日間インキュベーションした。その後フラスコ内のダイオキシン量を含量分析定量した。
比較のため、木材腐朽菌を添加しなかった区、木材腐朽菌の代わりに活性汚泥の余剰汚泥を加えた区も設けた。
表6に、各実施例、比較例における操作条件及び結果を示す。
【0062】
【表6】
Figure 0003929905
【0063】
実施例22、比較例14
合成触媒の再生時に発生するガスをスクラバーで洗浄し、排水を活性炭槽に通水し、ダイオキシンを吸着せしめた。この活性炭を槽から抜き出し、各50g(水分53%)を100ml容のポリテトラフルオロエチレン容器に入れ、水50mlを加えた。このポリテトラフルオロエチレン容器を氷水中に入れ、有機過酸化物を添加して24時間撹拌しながら過酸化物を活性炭に吸着せしめた。
その後、ポリテトラフルオロエチレン容器を種々の温度の恒温槽に入れ、往復振盪して吸着した活性炭中のダイオキシンを分解せしめた。その後、ポリテトラフルオロエチレン容器中の全ダイオキシン量を定量した。なお、過酸化ジ−ターシャリーブチルの比重を0.79、ジクミルパーオキサイドの粉末のかさ密度を0.58、濃度40%で計算した。
表7に、各実施例、比較例における操作条件及び結果を示す。
【0064】
【表7】
Figure 0003929905
【0065】
実施例27、比較例15
重質油に汚染された土壌を120℃で減圧濃縮して、軽質炭化水素を除去した。この土壌50gをガラス製容器に分取し、この容器にペルオクソ酸水溶液を添加し、十分撹拌した後、オートクレーブに入れ、種々の温度で一定時間処理した。その後、土壌中の多環芳香族炭化水素を抽出し、定量した。
表8に、各実施例、比較例における操作条件及び結果を示す。
【0066】
【表8】
Figure 0003929905
【0067】
実施例32〜35
ビスフェノールA5,000μg、ビスフェノールS5,000μg、オクチルフェノール2,000μg、ノニルフェノール2,000μg、ペンタクロロフェノール2,000μgをエタノール50mlに溶解し、ガラス製スプレー器に入れた。このエタノール溶液を赤褐色土壌1kg(水分16%)に噴霧し、更に50mlのエタノールを入れ、共洗い液を土壌に噴霧した。この土壌を水分が8%になるまで減圧乾燥し、化合物を土壌に吸着せしめた。
この土壌25gを250ml容の容器に移し、種々のペルオクソ酸水溶液25mlを添加した後、オートクレーブ内で種々の温度で処理した。
表9に、各実施例における操作条件及び結果を示す。
【0068】
【表9】
Figure 0003929905
【0069】
比較例17,18
実施例34,35において過硫酸アンモニウムの水溶液の濃度を変たこと以外は同様の方法で実験を行った。
表10に、各比較例における操作条件及び結果を示す。
【0070】
【表10】
Figure 0003929905
【0071】
実施例36〜38
合成触媒の再生廃ガスをスクラバーで洗浄し、この洗浄液を連続遠心分離機を用いて、固形物を濃縮した。さらに濃縮物を遠心分離機にかけ、固体ケーキを作成した。
この固体ケーキ(水分76%)20gを100ml容のポリテトラフルオロエチレン製容器に入れ、次いで10%水酸化ナトリウム溶液を加え、毎分12,000回転の速度で高速ミキサーを用いて3分間撹拌した。その後、過硫酸アンモニウムの10%水溶液を50ml添加し、高速ミキサーで3分間撹拌した。このポリテトラフルオロエチレン容器をオートクレーブに入れ、種々の温度で一定時間加熱した。その後ポリテトラフルオロエチレン容器内のサンプル全量について、ダイオキシン濃度を測定した。
表11に、各実施例における操作条件及び結果を示す。
【0072】
【表11】
Figure 0003929905
【0073】
なお、比較のため過硫酸アンモニウム水溶液の代わりに、水道水を加えたこと以外は同様の方法で実験を行った。
表12に、各実施例、比較例における操作条件及び結果を示す。
【0074】
【表12】
Figure 0003929905
【0075】
以上のように弱酸性からアルカリ性でも分解は十分進行した。このようなペルオクソ酸によるアルカリ条件下で反応が進行することは知られておらず、このことは分解容器の腐蝕を著しく低減でき、材質の選定、維持管理面で大きな利点がある。
【0076】
実施例39、40、比較例22、23
図1に、実施例39、40及び比較例22、23で使用したバグフィルター装着固液分離装置の概要図を示す。
膜面積0.25mのバグフィルターを備えた固液分離装置に、珪藻土250g/10Lを含むけん濁液をバルブ6から注入しフィルターでろ過する事により珪藻土でバグフィルターの内面をプレコートした。次いでダイオキシンを含む排水を1m/hrの流速で3時間流し、ろ過した。その後バグフィルターの容器を開放し、フィルター表面からケークの一部をとり、充分攪拌した後乾燥してダイオキシン量を測定し、ブランクとした。(比較例22)
過硫酸ナトリウム1.5kg/5L、水酸化ナトリウム1kg/5Lの水溶液を、過硫酸ナトリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液の順で注入した。その後、70〜80℃の範囲で温度を制御し7時間分解反応を行った後、珪藻土の一部を採取し充分攪拌した後乾燥して、残存ダイオキシン量を測定した。(実施例39)
次いでフィルター内を逆洗して分解物を系外に除き、同じフィルターを用いて同様の操作を繰り返した。フィルターから珪藻土の一部を採取し、充分攪拌した後乾燥して、ダイオキシン量を測定し、ブランクとした。(比較例23)
過硫酸ナトリウム1.5kg/5L、水酸化ナトリウム1kg/5Lの水溶液を、過硫酸ナトリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液の順で注入した。その後、70〜80℃の範囲で温度を制御し7時間分解反応を行った後、珪藻土の一部を採取し充分攪拌した後乾燥して、残存ダイオキシン量を測定した。(実施例40)
【0077】
なお、バグフィルターを用いた固液分離装置は次のように操作を行った。図1に従って説明する。
(1)固液分離工程(ろ過濃縮工程)
バルブ1、5、6を開に、バルブ2、4、7、8、9を閉にした。バルブ6は液を満たした後閉にした。吸着剤はバルブ6を通して注入した。排水は排水ライン16の落差を利用して固液分離装置に流入するようなシステムに設計した。
(2)難分解性物質を分解する工程(反応工程)
試薬の注入はバルブ6、7を開にし他のバルブは閉にして、試薬タンクからポンプ12を作動させて注入した。試薬の注入後、バルブ6、7を閉にし、バルブ2、3、4を開にしてポンプ13を作動し液を循環させ熱交換機14により加熱し反応を行った。
なお、符号11はプレッシャーゲージ、15は温調トラップである。
(3)フィルター内の逆洗
バルブ2、3、4、5、6、9を開にし他のバルブは閉にした。バルブ9に直結したラインに水道水をつなぎ注入した。バルブ6は脱気後、閉にした。
【0078】
実施例39、40、比較例22、33各々のダイオキシン濃度の測定結果を表13に示す。この結果から人手を経ることなく反応をクローズドシステムで行えること及びフィルターが再使用できることを確認することができた。
【0079】
【表13】
Figure 0003929905
【0080】
【発明の効果】
本発明によれば、難分解性物質を固体に吸着させた状態にて、特別の脱着操作を施すこともなく、効率よく分解することができ、また吸着剤に吸着された難分解性物質を、前記のようにして分解処理することにより、該吸着剤を再生し得るので、繰り返し使用することができる。
また、本発明の難分解性物質含有排水の処理方法によれば、難分解性物質を含む排水をクローズドシステムにより効率よく安全に処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例39、40及び比較例22、23で使用したバグフィルター装着固液分離装置の概要図である。
【符号の説明】
1〜9:バルブ
10:バグフィルター
11:プレッシャーゲージ(フィルター差圧測定用)
12:ポンプ
13:ポンプ
14:熱交換機
15:温調トラップ
16:排水ライン

Claims (18)

  1. 固体に吸着された難分解性物質を、脱着操作を行うことなく、難分解性物質に対して10 4 〜10 9 倍モル過硫酸塩と接触させることを特徴とする難分解性物質の分解方法。
  2. 前記固体が土壤、スラッジ、焼却灰又は吸着剤である請求項1記載の難分解性物質の分解方法。
  3. 前記吸着剤が無機質多孔体又は有機質多孔体である請求項2記載の難分解性物質の分解方法。
  4. 前記吸着剤がイオン交換樹脂、珪藻土、酸性白土、ゼオライト又は活性炭である請求項2記載の難分解性物質の分解方法。
  5. 前記難分解性物質がハロゲン化ジベンゾジオキシン類、ハロゲン化ジベンゾフラン類、ポリ塩化ビフェニル類、アルキルフェノール類、ハロゲン化フェノール類、ハロゲン化アルカン類、ハロゲン化アルケン類、フタル酸エステル類、ビスフェノール類及び多環芳香族炭化水素類の中から選ばれる少なくとも一種である請求項1〜4のいずれかに記載の難分解性物質の分解方法。
  6. 前記過硫酸塩が、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム及び過硫酸カリウムの中から選ばれる少なくとも一種である請求項1〜5のいずれかに記載の難分解性物質の分解方法。
  7. 難分解性物質と過硫酸塩との接触処理において、さらに、塩基性物質を添加しその存在下で接触させる請求項1〜6のいずれかに記載の難分解性物質の分解方法。
  8. 前記塩基性物質が、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の水酸化物、酸化物、弱酸塩及びアンモニア、有機塩基性化合物の中から選ばれる少なくとも一種である請求項7記載の難分解性物質の分解方法。
  9. 難分解性物質と過硫酸塩との接触処理において、pHを3以上で接触させる請求項1〜のいずれかに記載の難分解性物質の分解方法。
  10. 難分解性物質と過硫酸塩との接触処理の前又は後に、微生物及び/又は酵素を難分解性物質に接触させる請求項1〜のいずれかに記載の難分解性物質の分解方法。
  11. 前記微生物が糸状菌である請求項10記載の難分解性物質の分解方法。
  12. 前記糸状菌が木材腐朽菌である請求項11記載の難分解性物質の分解方法。
  13. 前記酵素がセロビオースデヒドロゲナーゼ、キサンチンオキシダーゼ、ラッカーゼ、リグニンペルオキシダーゼ及びマンガンペルオキシダーゼの中から選ばれる少なくとも一種である請求項10記載の難分解性物質の分解方法。
  14. 前記固体が吸着剤であって、該吸着剤に吸着された難分解性物質を、請求項1〜13のいずれかに記載の方法により分解処理することを特徴とする吸着剤の再生方法。
  15. (A)難分解性物質含有排水に吸着剤を添加する工程、(B)液分と難分解性物質を含む固形分を固液分離する工程、及び(C)分離された前記固形分中の難分解性物質に対して10 4 〜10 9 倍モルの過硫酸塩を接触させて、難分解性物質を分解する工程を含むことを特徴とする難分解性物質含有排水の処理方法。
  16. (A)工程で用いる吸着剤が、珪藻土、活性白土、ゼオライト、パーライト、活性炭及びイオン交換樹脂の中から選ばれる少なくとも一種である請求項15に記載の難分解性物質含有排水の処理方法。
  17. (B)工程において、ろ過法、遠心分離法又は膜分離法を採用する請求項15又は16に記載の難分解性物質含有排水の処理方法。
  18. 前記過硫酸塩が、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム及び過硫酸カリウムの中から選ばれる少なくとも一種である請求項15〜17記載の難分解性物質含有排水の処理方法。
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