JP2002018484A - 難分解性物質含有排水の処理方法 - Google Patents

難分解性物質含有排水の処理方法

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JP2002018484A
JP2002018484A JP2000208844A JP2000208844A JP2002018484A JP 2002018484 A JP2002018484 A JP 2002018484A JP 2000208844 A JP2000208844 A JP 2000208844A JP 2000208844 A JP2000208844 A JP 2000208844A JP 2002018484 A JP2002018484 A JP 2002018484A
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JP2000208844A
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Takahiro Kawabata
孝博 川端
Hideo Miyamoto
秀夫 宮本
Genshi Suzuki
源士 鈴木
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ダイオキシン類やビスフェノール類などの人
体に有害な難分解性物質を含む排水を、酵素及び/又は
微生物により処理し、該難分解性物質を効率よく分解し
て無害化する排水の処理方法を提供すること。 【解決手段】 ダイオキシン類、コプラナPCB類、ハ
ロゲン化炭化水素類、ビスフェノール類、アルキルフェ
ノール類、ハロゲン化フェノール類及びフタル酸エステ
ル類から選ばれる難分解性物質含有排水に無菌化処理し
たのち、ラッカーゼ及び/又はラッカーゼを生産する微
生物を添加し、雑菌の混入を遮断した系にて、該排水中
の難分解性物質を分解する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ダイオキシン類、
コプラナPCB類、ハロゲン化炭化水素類、ビスフェノ
ール類、アルキルフェノール類、ハロゲン化フェノール
類及びフタル酸エステル類などの人体に有害な難分解性
物質を含む排水を、酵素及び/又は微生物により処理
し、該難分解性物質を効率よく分解して無害化する難分
解性物質含有排水の処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】人体に有害な物質として知られている塩
素化ダイオキシン類やコプラナPCB類は、都市ごみや
産業廃棄物の焼却設備や様々な燃焼設備、機器類などか
ら自然界に排出され、また化学物質の製造工程において
は環境に悪影響を及ぼす種々の有機化合物が排出され、
大きな社会問題となっている。これら塩素化ダイオキシ
ン類には、種々の化学構造を有するものがあり、多塩素
化ジベンゾ−p−ダイオキン類や多塩素化ジベンゾフラ
ン、コプラナPCB類などが知られている。これらの中
でも、最も代表的な化合物は、2,3,7,8−テトラ
クロロジベンゾ−p−ジオキシンである。これら塩素化
ダイオキシン類は、生物により分解され難いことから、
多くの生物の体内に吸収され、食物連鎖により、最終的
には動物体内に蓄積されて濃縮され、発ガン性、催奇形
成性あるいは環境ホルモン作用を示すことが知られてい
る。また、フェノール類やフタル酸エステル類の中には
環境ホルモン作用が問題視されている化合物も多い。
【0003】そこで、塩素化ダイオキシン類については
その発生を抑制する方法が検討され、提案されている。
例えば、自動車や焼却炉などからの排出ガスを二段階で
高温燃焼する方法が提案されている。しかしながら、こ
れら塩素化ダイオキシン類の発生を充分に抑制できるま
でには至っていない。そして、大気中に放出された塩素
化ダイオキシン類は、雨水や雪とともに地上に降りて土
壌に蓄積される。このように、自然界に放置された塩素
化ダイオキシン類を含有する汚染土壌や焼却灰および汚
染水を浄化するための有効な手段は見出されていない。
また、フェノール類については、活性炭等による吸着分
離,活性汚泥による分解が行われているが、クロロフェ
ノール類,アルキルフェノール類,ビスフェノールAな
どは、その化学構造から生物的に分解されにくく、環境
中に蓄積しやすいという問題を含んでいる。これらの化
合物は生物濃縮を経て、人類に種々の被害を与えること
が懸念されている。近年、塩素化ダイオキシン類など自
然界では分解されがたい化学物質の微生物による分解に
関する研究がなされ、ある種の微生物が産生するリグニ
ン分解酵素が塩素化ダイオキシン類を分解することが報
告されている。〔BIO INDUSTRY VOL. 15 NO. 2 P5-13(1
998) : 化学 VOL. 52 NO. 10 P24-25(1997)〕。
【0004】これら報告では、さらに、微生物が産生す
るリグニン分解酵素による塩素化ダイオキシン類の分解
に関し、担子菌類に属する木材腐朽菌のうちの白色腐朽
菌が産生するリグニン分解酵素が、塩素化ダイオキシン
類など様々な化学物質を分解する。この白色腐朽菌は、
木材中の主成分である多糖類のセルロースやヘミセルロ
ースを栄養源として生育し、これをエネルギーとして木
材中のリグニンを分解する旨が述べられている。したが
って、この白色腐朽菌が棲息する森林地帯においては、
大気中から雨水などとともに地上に降り注いだ塩素化ダ
イオキシン類は白色腐朽菌の産生するリグニン分解酵素
によって分解されやすいと考えられる。ところで、この
白色腐朽菌が棲息する森林地帯以外の多くの地域におい
ては、塩素化ダイオキシン類のさらなる蓄積が進行し
て、生物への影響が深刻な問題となるおそれが大きい。
そこで、焼却設備などから自然界に排出される塩素化ダ
イオキシン類などを含む排気や排水、焼却灰、さらにこ
れらによって汚染された土壌や水に蓄積された塩素化ダ
イオキシン類やフェノール類、フタル酸エステル類を分
解して無害化するための技術の開発が強く要望されてい
る。
【0005】焼却場の洗煙排水、焼却灰の埋め立て浸出
水、工場のプロセス排水などには、前述のダイオキシン
類やコプラナPCB類、ハロゲン化炭化水素類、ビスフ
ェノール類、アルキルフェノール類、ハロゲン化フェノ
ール類、フタル酸エステル類などが含まれており、近
年、それらの毒性や環境ホルモン作用が問題となってい
る。また、溶剤として有用なトリクロロエチレンのよう
なハロゲン化炭化水素は難分解性かつ地下浸透性が高い
ため、地下水汚染を引きおこし、社会問題となってい
る。一部にバイオレミディエーションも試みられている
が、今だ技術完成の域には達していない。これら排水中
のダイオキシン類、クロロフェノール類を分解除去する
方法として、白色腐朽菌による方法が報告されている
〔「環境化学」第10巻、第1号、第1〜11ページ
(2000年)〕。しかしながら、該白色腐朽菌や白色
腐朽菌が生産する酵素を、上記排水中に添加しても、実
際には分解が起こりにくく、その原因は、排水中に含ま
れている雑菌によることが本発明者らの研究により分か
った。すなわち、雑菌の存在により、系内に白色腐朽菌
を長期間優先的に存在させることができず、また、酵素
は雑菌により分解されてしまうからである。したがっ
て、排水中の雑菌を排除することが重要である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
状況下で、ダイオキシン類、コプラナPCB類、ハロゲ
ン化炭化水素類、ビスフェノール類、アルキルフェノー
ル類、ハロゲン化フェノール類、フタル酸エステルなど
の人体に有害な難分解性物質を含む排水を、酵素及び/
又は微生物により処理し、該難分解性物質を効率よく分
解して無害化する難分解性物質含有排水の処理方法を提
供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するために鋭意研究重ねた結果、該難分解性物質
に対する分解能を有する酵素や微生物が、排水中におい
てその機能を効果的に発揮するには、排水中に存在する
雑菌を排除することが必要であることに着目し、被処理
排水に無菌化処理を施したのち、特定の酵素やそれを生
産する微生物を添加し、雑菌の混入を遮断した系にて、
該排水中の難分解性物質を分解することにより、その目
的を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見
に基づいて完成したものである。すなわち、本発明は、
ダイオキシン類、コプラナPCB類、ハロゲン化炭化水
素類、ビスフェノール類、アルキルフェノール類、ハロ
ゲン化フェノール類及びフタル酸エステル類から選ばれ
る難分解性物質含有排水を処理し、該難分解性物質を分
解するに当たり、上記該難分解性物質含有排水を無菌化
処理したのち、ラッカーゼ及び/又はラッカーゼを生産
する微生物を添加し、雑菌の混入を遮断した系にて、該
排水中の難分解性物質を分解することを特徴とする難分
解性物質含有排水の処理方法を提供するものである。な
お、ラッカーゼを生産する微生物がリグニンペルオキシ
ダーゼ,マンガンペルオキシダーゼなどの他の酵素を併
産する微生物であってもよい。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の処理方法が適用される排
水は、ダイオキシン類、コプラナPCB類、ハロゲン化
炭化水素類、ビスフェノール類、アルキルフェノール
類、ハロゲン化フェノール類及びフタル酸エステル類か
ら選ばれる難分解性物質含有排水であり、このような排
水としては、例えば焼却場の洗煙排水、焼却灰の埋め立
て浸出水、工場のプロセス排水などを挙げることができ
る。ここで、ダイオキシン類としては、ジベンゾ−p−
ダイオキシンやジベンゾフラン、ビフェニルが有する2
個のベンゼン環における水素原子が塩素原子により置換
された化合物が挙げられる。そして、この塩素原子の置
換数やベンゼン環における置換位置には多種多様な化合
物が存在する。これら塩素原子を有するダイオキシン類
の中でも、1分子中に塩素原子を4個以上有する多塩素
化物が特に人体に対する毒性が高く、そのような化合物
としては、例えば、ジベンゾ−p−ダイオキシンの多塩
素化物として、2,3,7,8−テトラクロロジベンゾ
−p−ジオキシン、1,2,3,7,8−ペンタクロロ
ジベンゾ−p−ジオキシン、1,2,3,4,7,8−
ヘキサクロロジベンゾ−p−ジオキシン、1,2,3,
4,6,7,8−ヘプタクロロジベンゾ−p−ジオキシ
ン、1,2,3,4,6,7,8,9−オクタクロロジ
ベンゾ−p−ジオキシンなどの化合物がある。
【0009】また、ジベンゾフランの多塩素化物とし
て、2,3,7,8−テトラクロロジベンゾフラン、
1,2,3,7,8−ペンタクロロジベンゾフラン、
2,3,4,7,8−ペンタクロロジベンゾフラン、
1,2,3,4,7,8−ヘキサクロロジベンゾフラ
ン、1,2,3,6,7,8−ヘキサクロコジベンゾフ
ラン、1,2,3,7,8,9−ヘキサクロロジベンゾ
フラン、2,3,4,6,7,8,−ヘキサクロロジベ
ンゾフラン、1,2,3,4,6,7,8−ヘプタクロ
ロジベンゾフラン、1,2,3,4,6,7,8,9−
オクタクロロジベンゾフランなどの化合物がある。さら
に、ビフェニルの多塩素化物については、オルト位以外
に塩素原子が置換したコプラナー(Coplanar)
PCB類があり、具体的には3,3’4,4’−テトラ
クロロビフェノール、3,3’4,4’,5−ペンタク
ロロビフェノール、3,3’,4,4’,5,5’−ヘ
キサクロロビフェノールなどの化合物がある。これら多
くの塩素化物の中でも、最も毒性の高い化合物は、2,
3,7,8−テトラクロロジベンゾ−p−ジオキシンで
ある。
【0010】一方、ハロゲン化炭化水素類としては、ト
リクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロエ
チレンなどが挙げられ、ビスフェノール類としては、ビ
スフェノールAなどが挙げられ、アルキルフェノール類
としては、ターシャリーブチルフェノール、ノニルフェ
ノール、ペンチルフェノールなどが挙げられ、ハロゲン
化フェノール類としては、テトラクロロフェノール、ペ
ンタクロロフェノールなどが挙げられる。また、フタル
酸エステル類としては、ジブチルフタレート、ブチルベ
ンジルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート
などが挙げられる。本発明の方法においては、前記の難
分解性物質含有排水に、ラッカーゼやラッカーゼを生産
する微生物を添加する前に、予め無菌化処理を施すこと
が必要である。この無菌化処理方法としては特に制限は
なく、加熱殺菌法、紫外線殺菌法、薬剤殺菌法及びフィ
ルターろ過法のいずれも用いることができ、またこれら
の方法を適当に組み合わせて無菌化処理を行ってもよ
い。加熱殺菌法においては、処理温度を80〜121℃
とし、加熱処理時間を5秒から3時間とするのがよい。
この加熱処理では、食品の殺菌で利用されている80
℃、数秒間という低温殺菌法でも、100℃以上の長時
間殺菌法でもよい。60℃を超える温度において十分な
雑菌の低減効果が得られる。また、この処理温度の上限
を121℃とするのは、この温度においては、ほとんど
の雑菌が死滅するので、121℃を超える温度において
処理する必要はないからである。
【0011】また、薬剤殺菌法においては、処理剤とし
てエチルアルコール、エチレンオキサイド、逆性石ケン
などの有機殺菌剤や過酸化水素、次亜塩素酸、塩酸また
はクロルピクリンなどの無機系殺菌剤を用いることがで
きる。また、処理剤として過酸化水素を使用する場合に
は、その濃度が30%(w/v)未満の水溶液を用いる
のがよい。この場合、エチルアルコールとの混合水溶液
として使用してもよい。さらに、処理剤として次亜塩素
酸を用いる場合、例えば次亜塩素酸カルシウムを0.01
〜1g/リットル程度になるように添加するのがよい。
これら有機、無機系殺菌剤を用いる場合には、有害物質
とラッカーゼ生産菌又はラッカーゼを接触する前に分解
を阻害しない濃度以下に下げる必要がある。
【0012】これらの無菌化処理方法の中で、コスト、
操作の煩雑性及び二次汚染の防止などの点から、加熱雑
菌法が好適である。なお、被処理排水が、塩素化合物の
製造や塩素を反応に用いるプロセスからの排水である場
合には、前記の難分解性物質以外に、次亜塩素酸、次亜
塩素酸イオン、二塩化酸素、分子状塩素などが含まれて
いることが多い。これらの無機塩素化合物は酸化力が強
く、排水中の雑菌は死滅している場合も多い。しかし、
残留量が多い場合には難分解性物質の分解処理に用いら
れる微生物を死滅させたり、酵素を失活させたりする。
したがって、その濃度が高い場合には、除去又は塩素イ
オンに分解することが肝要である。この無機残留塩素化
合物の除去や分解方法としては、還元剤の添加が有効で
あり、処理コストも低いことから好ましい。その他、亜
硫酸塩、アンモニア、亜硝酸、チオ硫酸ナトリウム、有
機物、活性炭などによる分解や吸着などの方法も用いる
ことができる。有機物としてはコーンスティープリカー
(CSL)や糖密、米ぬか、フスマなど、さらには還元
性の鉄やマンガン化合物などを用いることもできる。ま
た、被処理排水中に存在する次亜塩素酸や次亜塩素酸イ
オン、分子状塩素の除去処理として、その被処理排水を
曝気処理する方法によることもできる。この場合には、
被処理排水に空気や不活性ガスを吹き込むことにより、
これら塩素化合物を分解し塩素ガスにしてから被処理排
水中から除去することができる。この無機残留塩素化合
物の除去や塩素イオンに分解する処理は、前記の無菌化
処理の後に行うことが望ましい。
【0013】本発明の方法においては、このようにし
て、無菌化処理が施された排水に、ラッカーゼ及び/又
はラッカーゼを生産する微生物を添加する。ここで、ラ
ッカーゼとしては、シゾフィラム(Schizophi
llum)属、プレウロタス(Pleurotus)
属、トラメテス(Trametes)属、レンチナス
(Lentinus)属、リゾクトニア(Rhizoc
tonia)属、フナリア(Funalia)属、フィ
クノポラス(Pycnoporus)属、メルリウス
(Merulins)属、ファボラス(Favolu
s)属、リオフィラム(Lyophylum)属、ミセ
リオプトラ(Myceliophtora)属、コプリ
ヌス(Coprinus)属、アガリクス(Agari
cus)属、フォリオタ(Pholiota)属、フラ
ムリナ(Flammulina)属、ガノデルマ(Ga
noderma)属、ダエダレオプシス(Daedal
eopsis)属またはオーリクラリア(Auricu
laria)属に属する微生物が生産したラッカーゼを
分離したものを挙げることができる。なお、これらの酵
素には、リグニンペルオキシダーゼやマンガンペルオキ
シダーゼが併産されて混在していてもよい。
【0014】これら酵素は、上記微生物が生産した酵素
をイオン交換樹脂を用いる分離法などにより培養液から
分離した酵素を用いてもよい。さらに、これら微生物の
生菌体と、これら菌体の培養液から分離した酵素との混
合物を用いてもよい。ここで、上記菌体の培養液から分
離した酵素を用いる場合には、この酵素の活性を最大限
発揮させるためにメディエーターを添加することが好ま
しい。このメディエーターとしては、例えば、1−ヒド
ロキシベンゾトリアゾールなどのフェノール性化合物
や、2,2’−アジノビス(3−エチルベンゾチアゾリ
ン−6−スルホン酸)などのアニリン系化合物やエトキ
シ脂肪酸エステル等が好適に用いられる。
【0015】一方、ラッカーゼを生産する微生物として
は、シゾフィラム(Schizophillum)属、
プレウロタス(Pleurotus)属、トラメテス
(Trametes)属、レンチナス(Lentinu
s)属、リゾクトニア(Rhizoctonia)属、
フナリア(Funalia)属、フィクノポラス(Py
cnoporus)属、メルリウス(Merulin
s)属、ファボラス(Favolus)属、リオフィラ
ム(Lyophylum)属、ミセリオプトラ(Myc
eliophtora)属、コプリヌス(Coprin
us)属、アガリクス(Agaricus)属、フォリ
オタ(Pholiota)属、フラムリナ(Flamm
ulina)属、ガノデルマ(Ganoderma)
属、ダエダレオプシス(Daedaleopsis)属
またはオーリクラリア(Auricularia)属に
属する微生物を挙げることができる。なお、これらの微
生物は、ラッカーゼと共に、リグニンペルオキシダーゼ
やマンガンペルオキシダーゼを併産するものであっても
よい。また、前記微生物としては、例えばPycnop
orus coccineus「ヒイロタケ」、Aga
ricus bisporus「ツクリタケ」、Pho
llota nameko「ナメコ」、Flammul
ina valutipes「エノキタケ」、Gano
derma lucidum「マンネンタケ」、Dae
daleopsis tricolor「チャカイガラ
タケ」、Auricularia auricula−
judae「キクラゲ」などを用いることができる。
【0016】次に、上記微生物の培養方法について説明
する。例えばシゾフィラム(Schizophyllu
m)属、トラメテス(Trametes)属、プレウロ
タス(Pleurotus)属、アスペルギルス(As
pergillus)属に属する微生物を培養する方法
については、通常の微生物の培養方法と同様に行うこと
ができる。具体的には、少量の培養では、ポテトデキス
トロース培地で5日間、20〜40℃で培養すればよ
く、また大量に培養する場合には、タンクによる液体培
養や、大麦や小麦の全粒やフスマ,オガクズなど植物由
来の固体成分、糖のほか、窒素やリン、ミネラルなどを
含浸させた無機多孔質担体などを用いて固体培養しても
よい。そして、この場合の微生物の培養においては、得
られる培養物の菌濃度が、植物性有機物乾燥重量1gあ
たり、1×1010cfu(コロニー形成単位)以上、好
ましくは1×102 〜1×108 cfu、より好ましく
は、1×103 〜1×107 cfuの範囲とする。この
ような菌濃度とするのは、上記濃度未満であると、これ
ら微生物を前記の無菌化処理が施された排水に接種した
際に、なお残存する雑菌に対して、短期間のうちに優先
的に繁殖させるのが難しいことがあるからである。ま
た、これら菌の培養に際しては、菌糸体、胞子のいずれ
も使用できるが、通常は、培養が容易な菌糸体を用い
る。
【0017】本発明においては、上記のラッカーゼ及び
/又はラッカーゼを生産する微生物を、無菌化処理が施
された排水に添加し、雑菌の混入を遮断した系にて、該
排水中の難分解性物質を分解する。例えば、排水が無菌
的に出てくる工場のプロセス排水については、該排水が
分解装置に入るまでの間、配管などで外気と遮断し、分
解装置に供給して該酵素や微生物を添加するのがよい。
また、雑菌の混入防止が難しい焼却灰の埋め立て浸出水
や一部の焼却場洗煙排水は、分解装置に入る直前に無菌
化処理を行ってから、分解装置に供給して、該酵素や微
生物を添加するのがよい。さらに、微生物や酵素による
分解反応においては、酸素を必要とするため、空気など
の酸素含有ガスを被処理排水中に導入する場合、フィル
ターなどで除菌しておくことが肝要である。分解温度
は、通常10〜85℃、好ましくは20〜50℃の範囲
である。この温度が10℃未満では微生物の増殖が遅く
なり、また酵素を用いる場合にもその作用が十分に発現
されにくい。一方、85℃を超えると微生物が死滅した
り、酵素が失活したりするおそれがある。また、pHは
3〜11の範囲が好ましい。このpHが上記範囲を逸脱
すると、微生物及び酵素共に、十分な分解性能が発揮さ
れにくい。
【0018】
【実施例】次に、本発明を実施例により、さらに詳しく
説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定さ
れるものではない。なお、ダイオキシン類について、T
EQ分解率は下記の式により、算出した。 TEQ分解率(%)=〔(A−B)/A〕×100 A:微生物又は酵素無添加時の残存ダイオキシン量 B:微生物又は酵素添加時の残存ダイオキシン量 ガスクロマクグラフィー質量分析(GC−MS)法によ
り定量した各種塩素化物につき、それらの毒性に関して
国際系数(I−TEF)に定める2,3,7,8−テト
ラクロロジベンゾ−p−ジオキシンの活性に対する相対
毒性係数(TEF)を乗じて算出した2,3,7,8−
テトラクロロジベンゾ−p−ジオキシン相当量〔TE
Q〕を求め、残存ダイオキシン量とした。
【0019】実施例1 塩素による漂白を行ったパルプ排水(ダイオキシン濃度
120pg−TEQ/リットル、次亜塩素酸17pp
m、次亜塩素酸イオン14ppm)をpH7に調整し、
その10リットルをガラスボトルに詰め、亜硫酸ナトリ
ウム10gを添加して1時間攪拌したのち、121℃で
20分間殺菌処理した。次に、この殺菌処理排水500
ミリリットルを2リットル容の三角フラスコに入れ、こ
れにラッカーゼ(トラメテス・ベルシカラー由来、活性
14ユニット/g)2gを添加し、40℃で4時間分解
反応を行った。その結果、TEQ分解率は95%であっ
た。
【0020】比較例1 実施例1において、パルプ排水に亜硫酸ナトリウムを添
加せず、かつ殺菌処理を行わなかったこと以外は、実施
例1と同様にして、実施した。その結果、TEQ分解率
は5%であった。 実施例2 実施例1と同様にして、パルプ排水のpH調整、亜硫酸
ナトリウム添加及び殺菌処理を行った。次いで、この殺
菌処理排水に、栄養源としてオートミール培地粉末20
g/リットルを添加し、さらに微生物としてシゾフィラ
ム・コムネ(Schizophyllum commu
ne:IFO6505)を加え、27℃で2週間静置培
養し、分解反応を行った。その結果、TEQ分解率は8
9%であった。
【0021】実施例3 実施例2において、パルプ排水に亜硫酸ナトリウムを添
加しなかったこと以外は、実施例2と同様にして実施し
た。その結果、TEQ分解率は88%であった。 比較例2 実施例2において、パルプ排水を殺菌処理しなかったこ
と以外は、実施例2と同様にして実施した。その結果、
TEQ分解率は3%であった。 比較例3 実施例2において、パルプ排水に亜硫酸ナトリウムを添
加せず、かつ殺菌処理しなかったこと以外は、実施例2
と同様にして実施した。その結果、TEQ分解率は5%
であった。
【0022】実施例4 次亜塩素酸52ppm、次亜塩素酸イオン71ppm及
びダイオキシン類3250ピコg−TEQ/リットル及
び細菌2.1×108 個を含む工場排水を121℃、2
0分間殺菌した。これに炭酸アンモニウム1g,亜硫酸
ナトリウム2gを加えて40℃の恒温槽内で1時間攪拌
した。この排水にラッカーゼ40ユニット/リットル、
1−ヒドロキシベンゾトリアゾール0.1gを添加し
た。この溶液を40℃,30分間攪拌し、その後硫酸を
加えてpH1として反応を停止し、その後全量をトルエ
ンで抽出し、ダイオキシン類を分析した。その結果、ダ
イオキシン類の分析率は92%であった。 比較例4 実施例4において、炭酸アンモニウム及び亜硫酸ナトリ
ウムを全く加えなかったこと、及び無殺菌の条件とした
こと以外は、実施例4と同じ条件で行った。その結果、
ダイオキシン類の分解率は0であった。
【0023】
【発明の効果】本発明によれば、ダイオキシン類、コプ
ラナPCB類、ハロゲン化炭化水素類、ビスフェノール
類、アルキルフェノール類、ハロゲン化フェノール類及
びフタル酸エステル類などの人体に有害な難分解性物質
を含む排水を、酵素及び/又は微生物により処理し、該
難分解性物質を効率よく分解して無害化することができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C02F 1/50 520 C02F 1/50 520P 560 560H 1/70 1/70 Z 1/72 1/72 Z 1/76 1/76 A C12N 1/00 C12N 1/00 R 1/14 1/14 Z //(C12N 1/00 (C12N 1/00 R C12R 1:645) C12R 1:645) (C12N 1/14 (C12N 1/14 Z C12R 1:645) C12R 1:645) Fターム(参考) 4B065 AA71X AC14 BD24 CA28 CA56 4D034 AA26 CA06 4D037 AA11 AA15 AB03 BA18 CA07 4D040 DD07 DD11 DD12 4D050 AA12 AA13 AB06 AB45 AB46 BA02 BA04 BA06 BA07 BA08 BA12 BB04 BB06 BB09 CA17

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ダイオキシン類、コプラナPCB類、ハ
    ロゲン化炭化水素類、ビスフェノール類、アルキルフェ
    ノール類、ハロゲン化フェノール類及びフタル酸エステ
    ル類から選ばれる難分解性物質含有排水を処理し、該難
    分解性物質を分解するに当たり、上記該難分解性物質含
    有排水を無菌化処理したのち、ラッカーゼ及び/又はラ
    ッカーゼを生産する微生物を添加し、雑菌の混入を遮断
    した系にて、該排水中の難分解性物質を分解することを
    特徴とする難分解性物質含有排水の処理方法。
  2. 【請求項2】 ラッカーゼが、シゾフィラム(Schi
    zophillum)属、プレウロタス(Pleuro
    tus)属、トラメテス(Trametes)属、レン
    チナス(Lentinus)属、リゾクトニア(Rhi
    zoctonia)属、フナリア(Funalia)
    属、フィクノポラス(Pycnoporus)属、メル
    リウス(Mernlius)属、ファボラス(Favo
    lus)属、リオフィラム(Lyophyllum)
    属、ミセリオプトラ(Myceliophtora)
    属、コプリヌス(Coprinus)属、アガリクス
    (Agaricus)属、フォリオタ(Pholiot
    a)属、フラムリナ(Flammulina)属、ガノ
    デルマ(Ganoderma)属、ダエダレオプシス
    (Daedaleopsis)属またはオーリクラリア
    (Auricularia)属に属する微生物が生産し
    たラッカーゼである請求項1記載の処理方法。
  3. 【請求項3】 ラッカーゼを生産する微生物が、シゾフ
    ィラム(Schizophillum)属、プレウロタ
    ス(Pleurotus)属、トラメテス(Trame
    tes)属、レンチナス(Lentinus)属、リゾ
    クトニア(Rhizoctonia)属、フナリア(F
    unalia)属、フィクノポラス(Pycnopor
    us)属、メルリウス(Mernlius)属、ファボ
    ラス(Favolus)属、リオフィラム(Lyoph
    yllum) 属、ミセリオプトラ(Mycelioph
    tora)属、コプリヌス(Coprinus)属、ア
    ガリクス(Agaricus)属、フォリオタ(Pho
    liota)属、フラムリナ(Flammulina)
    属、ガノデルマ(Ganoderma)属、ダエダレオ
    プシス(Daedaleopsis)属またはオーリク
    ラリア(Auricularia)属に属する微生物で
    ある請求項1記載の処理方法。
  4. 【請求項4】 難分解性物質含有排水の無菌化処理を、
    加熱殺菌、紫外線殺菌、薬剤殺菌及びフィルターろ過の
    中から選ばれる少なくとも一種の方法で行う請求項1〜
    3のいずれかに記載の処理方法。
  5. 【請求項5】 除菌された酸素含有ガスを、難分解性物
    質含有排水中に導入する請求項1〜4のいずれかに記載
    の処理方法。
  6. 【請求項6】 難分解性物質含有排水中に含まれている
    無機残留塩素化合物を、無菌化処理する前に、あるいは
    無菌化処理後、ラッカーゼ及び/又はラッカーゼを生産
    する微生物を添加する前に除去するか、又は塩素イオン
    に分解する請求項1〜5のいずれかに記載の処理方法。
  7. 【請求項7】 pH4〜10において、排水中の難分解
    性物質を分解する請求項1〜6のいずれかに記載の処理
    方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN102139934A (zh) * 2011-01-21 2011-08-03 鲁东大学 一种利用金针菇工厂化生产废菌包去除水溶液中重金属离子的方法
JP2013534861A (ja) * 2010-06-24 2013-09-09 リッチコア ライフサイエンシーズ プライベート リミテッド 廃水を迅速処理するための方法およびその組成物
CN103691736A (zh) * 2013-11-27 2014-04-02 无锡市金坤生物工程有限公司 一种降解土壤pah污染物的修复复合酶制剂及用其修复土壤的方法

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