JP3411800B2 - 有機塩素化合物の微生物処理方法及びその装置 - Google Patents

有機塩素化合物の微生物処理方法及びその装置

Info

Publication number
JP3411800B2
JP3411800B2 JP28228397A JP28228397A JP3411800B2 JP 3411800 B2 JP3411800 B2 JP 3411800B2 JP 28228397 A JP28228397 A JP 28228397A JP 28228397 A JP28228397 A JP 28228397A JP 3411800 B2 JP3411800 B2 JP 3411800B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
treatment
culture tank
compound
organochlorine
organic chlorine
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP28228397A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH11114086A (ja
Inventor
和秀 金原
敏雄 早川
稔 志村
晃三 酒井
鈴村  洋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Railway Technical Research Institute
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Railway Technical Research Institute
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Railway Technical Research Institute, Mitsubishi Heavy Industries Ltd filed Critical Railway Technical Research Institute
Priority to JP28228397A priority Critical patent/JP3411800B2/ja
Publication of JPH11114086A publication Critical patent/JPH11114086A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3411800B2 publication Critical patent/JP3411800B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Fire-Extinguishing Compositions (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Purification Treatments By Anaerobic Or Anaerobic And Aerobic Bacteria Or Animals (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は有機化合物の分解法
に関し、特に燃焼法に代わる有機塩素化合物の分解法及
びそのために好適な装置に関する。
【0002】
【従来の技術】化学的に合成された物質は様々であり、
なかには難分解性の物質が含まれ、その処理法が確立さ
れていないものも多い。それらの中には自然環境を破壊
する恐れがあるもの、人体への影響が心配されているも
のが多く存在し、それらの安全な処理法の確立が早急の
課題となっている。
【0003】難分解性化合物として代表的なものに有機
塩素化合物が挙げられる。従来より、種々の有機塩素化
合物が農薬などに使用されており、土壌の汚染、農作物
の汚染など人体への影響が懸念されている。例えば、殺
虫剤としてDDTやその類似化合物であるディルドリ
ン、ヘキサクロロシクロヘキサンなどが知られている。
【0004】また有機塩素系溶剤として広く使用されて
いるのが、テトラクロロエチレンやトリクロロエチレン
であり、ドライクリーニング工場で洗剤として、あるい
はマイクロチップ製造などでグリースの除去のために用
いられている。またクロロホルム、四塩化炭素、塩化メ
チレンなども工業的に用いられている。さらに絶縁油、
熱媒体、感圧紙などに使用されていたポリ塩化ビフェニ
ル(ポリ塩素化ビフェニル、以下、PCBという)があ
る。
【0005】上記有機塩素化合物は、一般に細菌類によ
り容易に分解されないので、環境内に長く残留するもの
が多い。そして、これらは難分解性で処理が困難である
だけでなく、燃焼すると一部に有毒な物質が生成すると
いう問題がある。例えば、有機塩素化合物を低温で燃や
すときわめて毒性の強いダイオキシンが大量に生成する
ことが知られている。したがって有機塩素化合物の処理
にあたっては、厳しい汚染規制のもとで有害廃棄物専門
の高温燃焼炉での燃焼処理が行われている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述のごとく、有機塩
素化合物は高温で焼却しなければ完全に分解しないため
に、有機塩素化合物を燃焼処理する場合は、大掛りな有
害廃棄物専門の高温焼却炉と冷却装置が必要である。し
かしながら、このような処理装置を建設するには莫大な
費用がかかり、かつ建設のための社会的同意を得るのが
困難である。さらに、有機塩素化合物の燃焼処理にあた
っては、ダイオキシンなどの毒性の高い物質が生成され
ていないかどうかのモニタリングを処理期間中継続して
行う必要がある。しかし、燃焼法による処理は、燃焼後
に生ずる可能性のある物質のすべてを予測できないとい
う問題がある。すなわち、燃焼により未知の毒性化合物
が生成する可能性がある。
【0007】したがって、燃焼法に代わる有機塩素化合
物の分解処理法の確立が望まれている。ここで、代替処
理法としては、目的とする有機塩素化合物を完全に分
離すること、処理中、処理後に生成する可能性のある
物質をすべて把握でき、それらの安全性を確認できるこ
とが望まれる。すなわち、特異性の高い分解反応によっ
て、目的とする有機塩素化合物を分解処理することが重
要である。
【0008】本発明は上記事情に鑑みてなされ、有害物
質を生成せずに有機塩素化合物を完全に分解することが
可能な微生物を用いた有機塩素化合物の処理方法および
そのための装置を提供することを課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の有機塩素化合物
の微生物処理方法は、有機塩素化合物を含む処理原液と
該有機塩素化合物を分解可能な微生物とを第1培養槽に
入れ、該微生物によって処理原液中の有機塩素化合物を
分解する一次処理工程と、次いで第1培養槽から処理液
を抜き出し、少なくともその一部を遠心分離によって一
次処理液と残渣とに分け、残渣を第1培養槽に返送する
分離工程と、該一次処理液と有機塩素化合物を分解可能
な微生物とを第2培養槽に入れ、残留する有機塩素化合
物を分解処理する二次処理工程とを備え、第1培養槽で
比較的高濃度の有機塩素化合物存在下で塩素数の少ない
有機塩素化合物を分解する微生物を使用する分解処理
と、有機塩素化合物濃度を減少させた一次処理液を第2
培養槽に送り、低濃度の基質存在下でのみ高い分解活性
を示す微生物を使用する分解処理とを組み合わせた多段
階処理を行うことを特徴としている。
【0010】本発明の有機塩素化合物の微生物処理方法
において、分離工程で分離された残渣を細胞破砕手段に
よって破砕処理した後、第1培養槽に返送しても良い。
また上記細胞破砕手段は、加熱処理、加圧破砕、超音波
破砕、酵素による細胞膜溶解からなる群から選択される
少なくとも1種として良い。さらに、第1培養槽から抜
き出した処理液の一部を第1培養槽に返送するととも
に、返送する処理液中に有機塩素化合物を添加しても良
い。上記微生物としては、コマモナス・テストステロニ
TK102とロドコッカス・オパカスTSP203より
なる群から選択される少なくとも1種の菌株を用いるこ
とが望ましい。また上記有機塩素化合物が、PCB、有
機塩素系農薬、塩素置換有機溶媒からなる群より選択さ
れる少なくとも1種、或いは紫外線照射によって塩素数
が減少したPCB、有機塩素系農薬、有機塩素系溶剤か
らなる群より選択される少なくとも1種であって良い。
【0011】本発明の有機塩素化合物処理装置は、第1
培養槽で比較的高濃度の有機塩素化合物存在下で塩素数
の少ない有機塩素化合物を分解する微生物を使用する分
解処理と、有機塩素化合物濃度を減少させた一次処理液
を第2培養槽に送り、低濃度の基質存在下でのみ高い分
解活性を示す微生物を使用する分解処理とを組み合わせ
た多段階処理を行う有機塩素化合物処理装置であって、
有機塩素化合物を含む処理原液と該有機塩素化合物を分
解可能な微生物とを入れ、該微生物によって処理原液中
の有機塩素化合物を分解する第1培養槽と、該第1培養
槽から処理液を抜き出して遠心分離し、残渣を第1培養
槽に返送する分離装置と、該分離装置で残渣から分離さ
れた一次処理液と有機塩素化合物を分解可能な微生物と
を入れて残留する有機塩素化合物を分解処理する第2培
養槽とを備えたことを特徴としている。
【0012】本発明の有機塩素化合物処理装置におい
て、上記分離装置に、分離された残渣中の微生物細胞を
破砕し得る細胞破砕手段を設けた構成として良い。ま
た、上記細胞破砕手段は、加熱手段、加圧破砕手段、超
音波破砕手段、細胞膜溶解酵素を添加して保持する酵素
処理手段からなる群から選択される少なくとも1種の手
段として良い。さらに、第1培養槽から抜き出した処理
液の一部を第1培養槽に返送するとともに、返送する処
理液中に有機塩素化合物を添加する返送流路系を設けた
構成として良い。
【0013】上記コマモナス・テストステロニ(Comamo
nas testosteroni)は、本出願人により既に工業技術院
生命工学工業技術研究所に寄託されており、受託番号は
FERM P−14591である。
【0014】上記ロドコッカス・オパカス(Rhodococcu
s opacus)TSP203は、本出願人により既に工業技
術院生命工学工業技術研究所に寄託されており、受託番
号はFERM P−15408である。
【0015】
【発明の実施の形態】図1は、本発明による有機塩素化
合物処理装置の一実施形態を示すものである。この処理
装置は、有機塩素化合物を含む処理原液と該有機塩素化
合物を分解可能な微生物とを入れ、該微生物によって処
理原液中の有機塩素化合物を分解する第1培養槽1と、
該第1培養槽1の処理液を抜き出して遠心分離し、残渣
を第1培養槽に返送する分離装置2と、該分離装置で残
渣から分離された一次処理液と有機塩素化合物を分解可
能な微生物とを入れて残留する有機塩素化合物を分解処
理する第2培養槽3とからなっている。
【0016】第1培養槽1及び第2培養槽3は、使用微
生物の培養が可能であればその形状や大きさは限定され
ることなく、実験室レベルの小型容器から工業用途の大
型タンク培養槽など種々の培養槽を用いることができ
る。また、これらの培養槽1,3は、使用微生物の増殖
に最適な温度に保温するための加熱手段、攪拌手段、空
気吹き込み手段、液位測定センサーなどを付設して良
い。
【0017】本実施形態において、分離装置2は、遠心
分離装置4と、該遠心分離装置4で分離された残渣中の
微生物細胞を破砕する破砕機5とを備えている。第1培
養槽1の処理液は、管路6を経て遠心分離装置4に送ら
れ、この装置内で残渣と上清である一次処理液とに分離
する。残渣中には、被処理液中に含まれる微生物菌体が
含まれている。残存する有機塩素化合物は、この残渣中
に濃縮される。分離された一次処理液は、第1培養槽1
に投入される処理原液に比べ、有機塩素化合物の濃度が
格段に低くなっている。この一次処理液は、管路7を経
て第2培養槽3に送られる。遠心分離装置4で分離され
たスラッジ状の残渣は、破砕機5に送られ、ここで微生
物菌体を破砕して、菌体成分を分散可能な状態にする。
破砕機5は、プレス式破砕機が好適に用いられる他、加
熱処理、超音波破砕、酵素による細胞膜溶解などの手段
によって細胞膜を破砕して菌体成分が分散可能な状態と
なるものであれば、適用可能である。破砕機5で処理さ
れた破砕物は、管路8を経て第1培養槽1に戻され、処
理液と混合される。菌体成分を含む破砕物は、第1培養
槽1に返送され、その中に含まれる成分は微生物の栄養
源として利用されるので、第1培養槽1での培養の際に
必要な栄養成分を節約することができる。
【0018】管路6の途中には、第1培養槽1から抜き
出した処理液の一部を、管路8を経て返送するための返
送管路9(返送流路系)が設けられ、図示しない弁とポ
ンプとによって、管路6内を流れる処理液を所望の流量
で第1培養槽1に返送できるようになっている。この返
送管路9には、必要に応じて返送する処理液中に有機塩
素化合物を添加するための処理物供給管路10が接続さ
れている。
【0019】本発明による有機塩素化合物の処理方法
は、上記のように構成された有機塩素化合物処理装置に
よって好適に実施し得る。本発明に係わる有機塩素化合
物の処理方法においては、高い有機塩素化合物濃度でも
分解活性を示す微生物と、低い有機塩素化合物濃度で極
めて高い分解活性を示す微生物とを組み合わせて迅速に
有機塩素化合物を分解することが可能である。
【0020】本発明方法において処理可能な有機化合物
としては、PCBの他、DDTやその類似化合物である
ディルドリン、ヘキサクロロシクロヘキサンなどの有機
塩素系農薬、テトラクロロエチレンやトリクロロエチレ
ンなどの塩素置換有機溶媒が挙げられる。これらの有機
塩素化合物は1種または2種以上の混合物として良い
し、且つ上記有機塩素化合物に紫外線照射によって置換
塩素数を減少させたものでも良い。
【0021】微生物による有機塩素化合物の分解は酵素
反応による特異的なものであり、その中間産物、最終産
物ともに明らかにされており、その安全性については問
題がない。上記有機塩素化合物を分解可能な微生物とし
ては、高い有機塩素化合物濃度でも分解活性を示すもの
として、置換塩素数3以下の有機塩素化合物を分解でき
る能力を有するものを用いることが好ましく、例えば母
核となる有機化合物、すなわち高い濃度の置換塩素数0
の有機化合物を効率よく資化できる微生物の中から、置
換塩素数の少ない有機塩素化合物を分解できる微生物を
選択して用いることができる。また、低い有機塩素化合
物存在下でのみ高い分解活性を示すものとして、置換塩
素数が一部5ならびに4以下の有機塩素化合物を分解で
きる能力を有するものを用いることが好ましい。
【0022】以下、図1の装置を用い、有機塩素化合物
がPCBである場合を例として、本発明による有機塩素
化合物の微生物処理方法の実施形態を説明する。
【0023】一般に、微生物によるビフェニルまたはP
CBの分解経路は、一方の芳香環の2、3の位置の炭素
が酸化され、ついで1と2の位置の炭素結合が切れて開
裂する。微生物処理に用いられる微生物としては、高濃
度のPCB存在下で塩素数の多いPCBを効率よく分解
する微生物を用いるのが望ましいが、現在までに分離さ
れているPCB分解菌は高濃度PCB存在下で塩素数の
多いPCBを分解することができない。一方、高濃度の
PCB存在下でもPCB分解活性を示す分解菌も単離さ
れており、それらは塩素数の多いPCBを分解する能力
がきわめて低いことが知られている。
【0024】そこで、本実施形態では、第1培養槽1で
比較的高濃度のPCB存在下で塩素数の少ないPCBを
分解する微生物を使用して分解を行い、PCB濃度を減
少させた一次培養液を第2培養槽3に送り、低濃度の基
質存在下でのみ高い分解活性を示す微生物とを組み合わ
せるという多段階処理を行う。
【0025】ここで、分解されるPCBとして紫外線処
理を施して塩素数を減少させた溶液を用いた場合、塩素
の付加位置、付加数などに制限はなく、したがって、通
常の存在形態である混合体のまま分解に供することがで
きる。
【0026】本方法に用いる微生物としては、ビフェニ
ルおよびPCBの分解能の高いシュードモナス属、コマ
モナス属、ロドコッカス属、アルカリジェネス属、バチ
ラス属等の細菌、またはホワイトロットファンガス(Wh
ite-rot fungus)に属するファネロカエテ・クリソスポ
ラム(Phanerochaete chrisosporlum)等のカビ、等の
微生物を用いることができるが、特にビフェニルおよび
PCB分解活性の高いコマモナス属、ロドコッカス属細
菌が好ましく用いられ、特にコマモナス・テストステロ
ニTK102、ロドコッカス・オパカスTSP203な
どの菌株が好ましく用いられる。
【0027】コマモナス・テストステロニTK102
は、高濃度のPCB存在下であっても生育が可能で、主
として置換塩素数3以下のPCBを分解する性質を有し
ている。上記高濃度とは、PCBが150ppm程度の
濃度であり、通常はPCBを50〜150ppm程度の
濃度となるように添加した培地中で該菌を培養し、PC
Bの分解を行う。
【0028】また、ロドコッカス・オパカスTSP20
3は、上記高濃度のPCB存在下では生育し難いが、P
CBが50ppm未満、好ましくは10ppm以下の濃
度で生育が可能である。この菌株は、置換塩素数3以下
のPCBを分解できるとともに、上記コマモナス・テス
トステロニTK102では分解が困難な置換塩素数5ま
たは4のPCBなどの有機塩素化合物を高率で分解する
ことができる。
【0029】これらの菌株の培養に用いる培地は特に限
定されないが、これら菌株の生育が良好な基本培地に、
PCBまたはビフェニルを添加した液体培地が使用でき
る。また、PCBやビフェニルを液体培地に添加する
際、界面活性剤を添加してPCBやビフェニルを乳化、
懸濁させて良い。培養温度は、いずれも25〜35℃、
好ましくは30℃程度として良い。
【0030】本実施形態では、 PCBを含む処理原液を、管路11を経て培養槽1
に入れ、PCBを分解可能な微生物、好ましくはコマモ
ナス・テストステロニTK102を培養させて、処理原
液中のPCBを分解する一次処理工程、 次いで第1培養槽1から処理液を抜き出し、少なく
ともその一部を遠心分離装置4に送り、遠心分離によっ
て一次処理液と残渣とに分け、残渣を第1培養槽1に返
送する分離工程、 一次処理液を第2培養槽3に入れ、PCBを分解可
能な微生物、好ましくはロドコッカス・オパカスTSP
203を培養して、残留するPCBを分解処理する二次
処理工程、 とを備えている。
【0031】第1培養槽1に入れたPCBを含む処理原
液には、コマモナス・テストステロニTK102などの
PCB分解性細菌と、必要に応じて栄養源を添加し、3
0℃程度の温度で培養を行う。第1培養槽1から管路6
を経て抜き出される処理液中のPCB濃度は、処理原液
に比べて減少している。
【0032】第1培養槽1から抜き出され、管路6を経
て遠心分離装置4に送られた処理液は、ここで連続遠心
分離され、上清である一次処理液は管路7を経て第2培
養槽3に送られる。遠心分離装置4で分離された残渣
は、破砕機5に送られる。残渣中に含まれる細菌の細胞
は、破砕機5によって細胞破砕され、内容物が分散した
状態となって、管路8を経て第1培養槽1に送られる。
【0033】処理原液中のPCBは、第1培養槽1内で
の培養によって一部が分解され、残存するPCBは細菌
に濃縮される傾向を示す。遠心分離装置4で分離された
第1処理液(上清)中のPCB濃度は低くなり、残存P
CBは分離された残渣中に多く含まれる。残渣中のPC
Bは、破砕機5で破砕処理を受けた後、管路8を経て第
1培養槽1に返送されることになる。
【0034】第2培養槽3に送られた第1処理液中のP
CBは、ロドコッカス・オパカスTSP203などのP
CB分解性細菌と必要な栄養源を含んだ状態で培養を行
うことによって、完全に分解される。この第2培養槽3
での培養により、PCBを全く含まない第2処理液が、
管路12を経て外部に取り出される。この第2処理液は
必要に応じて殺菌処理したり、濾過などの排水処理を行
い、排出する。
【0035】この処理方法によれば、第1培養槽から抜
き出した処理液を遠心分離して、PCB濃度の低い第1
処理液と、残渣とに分け、第1処理液を第2培養槽3に
送って再度PCB分解性細菌を培養し、PCBを含まな
い第2処理液を排出可能であるので、使用する水を節約
でき、廃液量を少なくすることができる。また、遠心分
離によって分離した栄養源が濃縮された残渣を第1培養
槽1に返送し、これに含まれる栄養源を利用して第1培
養槽1内でPCB分解性細菌を培養することができるの
で、栄養源の添加量を削減することができ、ランニング
コストを安くすることができる。
【0036】本実施形態において、第1培養槽1から抜
き出した処理液の一部は、返送管路9を経て、第1培養
槽1に返送しても良い。また、返送する処理液中に、管
路10を通してPCBを添加しても良い。さらに、上記
の実施形態では、第1培養槽1でコマモナス・テストス
テロニTK102を培養し、第2培養槽3でロドコッカ
ス・オパカスTSP203を培養する構成としたが、第
1培養槽1と第2培養槽3の使用細菌を同一としても良
いし、他のPCB分解性微生物を用いることも可能であ
る。
【0037】なお、上述した本発明の各形態において
は、有機塩素化合物がPCBである場合を例示したが、
本発明はPCB以外の有機塩素化合物、例えばDDTや
その類似化合物であるディルドリン、ヘキサクロロシク
ロヘキサンなどの有機塩素系農薬;テトラクロロエチレ
ン、トリクロロエチレン、クロロホルム、四塩化炭素、
塩化メチレンなどの塩素系溶剤の分解処理に適用するこ
とができる。また、これらの有機塩素化合物が、置換塩
素数5以上の成分を多く含んでいる場合、予め紫外線照
射によって置換塩素数を5以下に減少させた後、培地に
添加して分解してもよい。
【0038】
【実施例】
(使用菌株)本実施例では、PCB分解菌として、 コマモナス・テストステロニTK102(第1培養層
に使用) ロドコッカス・オパカスTSP203(第2培養層に
使用) を用いた。のコマモナス・テストステロニTK102
は、本出願人により既に工業技術院生命工学工業技術研
究所に寄託されており、受託番号はFERM P−14
591である。その菌学的特徴は、本出願人が先に特許
出願した特願平7−42201号の明細書中に記載され
ている通りである。またのロドコッカス・オパカスT
SP203は、本出願人により既に工業技術院生命工学
工業技術研究所に寄託されており、受託番号はFERM
P−15408である。その菌学的特徴は本出願人が
先に特許出願した特願平8−35284号の明細書中に
記載されている通りである。
【0039】(使用培地)培養に使用した最少培地の組
成は以下の通りである。KH2PO4(1.7g/L)、
Na2HPO4(9.8g/L)、(NH42SO
4(1.0g/L)、MgSO4・7H2O(0.1g/
L)、FeSO4・7H2O(0.95mg/L)、Mg
O(10.75mg/L)、CaCO3(2.0mg/
L)、ZnSO4・7H2O(1.44mg/L)、Cu
SO4・5H2O(0.25mg/L)、CoSO4・7H2
O(0.28mg/L)、H3BO3(0.06mg/
L)、HCl(51.3μl/L)。この最少培地に炭
素源としてビフェニル(0.5g/L)を添加し、さら
にカネクロール300(3塩化物が中心成分のPCB;
鐘淵化学社製)を100ppm添加した溶液を処理原液
とした。容量90Lの第1培養槽1に30L入れた。
【0040】(処理)図1に示す構成の処理装置を用
い、上記100ppmのPCBを含む処理原液の処理を
行った。なお、第1培養層の容量は90L、第2培養層
の容量は10Lである。第1培養層に、上記100pp
mのPCBを含む処理原液を30L入れ、コマモナス・
テストステロニTK102を入れて、槽内に空気を流し
て攪拌しつつ、30℃で48時間培養した。第1培養槽
で48時間の培養後、処理液を第1培養槽から遠心分離
装置に送り、この処理液を遠心分離し、その上清部を第
2培養槽に移送した。上清を第2培養槽に入れ、そこに
ロドコッカス・オパカスTSP203を入れ、槽内に空
気を流して攪拌しつつ、30℃で4日間培養した。この
各工程の前後および培養途中の処理液を採取し、液中の
PCB濃度をガスクロマトグラフィーによって測定し
た。結果を図2に示す。
【0041】(結果)図2から分かるように、第1培養
槽での培養後、処理液を遠心分離して分離することで、
PCB濃度が急激に低下している。これは、PCBが沈
澱した菌体などの残渣中に濃縮され、分離された上清部
分には少なくなったことを示している。また、第2培養
槽に上清を入れ、ロドコッカス・オパカスTSP203
を培養することで、4日目にPCB濃度を排出基準0.
003ppm以下)まで低下させることができた。
【0042】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
有害物質を生成せずに有機塩素化合物を完全に分解する
ことが可能な微生物を用いた有機塩素化合物の処理方法
およびそのための装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の有機塩素化合物処理装置の実施形態
を示す構成図。
【図2】 本発明に係る実施例の結果を示すグラフ。
【符号の説明】
1 第1培養槽 2 分離装置 3 第2培養槽 4 遠心分離装置 5 破砕機
フロントページの続き (72)発明者 志村 稔 東京都国分寺市光町二丁目8番地38 財 団法人鉄道総合技術研究所内 (72)発明者 酒井 晃三 東京都千代田区丸の内二丁目5番1号 三菱重工業株式会社内 (72)発明者 鈴村 洋 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22 号 三菱重工業株式会社広島研究所内 (56)参考文献 特開 昭58−40195(JP,A) 特開 昭61−278398(JP,A) 特開 平3−94898(JP,A) 特開 昭54−96255(JP,A) 特開 昭62−237996(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 1/00 C02F 3/34 A62D 3/00

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機塩素化合物を含む処理原液と該有機
    塩素化合物を分解可能な微生物とを第1培養槽に入れ、
    該微生物によって処理原液中の有機塩素化合物を分解す
    る一次処理工程と、 次いで第1培養槽から処理液を抜き出し、少なくともそ
    の一部を遠心分離によって一次処理液と残渣とに分け、
    残渣を第1培養槽に返送する分離工程と、 該一次処理液と有機塩素化合物を分解可能な微生物とを
    第2培養槽に入れ、残留する有機塩素化合物を分解処理
    する二次処理工程とを備え、第1培養槽で比較的高濃度の有機塩素化合物存在下で塩
    素数の少ない有機塩素化合物を分解する微生物を使用す
    る分解処理と、有機塩素化合物濃度を減少させた一次処
    理液を第2培養槽に送り、低濃度の基質存在下でのみ高
    い分解活性を示す微生物を使用する分解処理とを組み合
    わせた多段階処理を行う ことを特徴とする有機塩素化合
    物の微生物処理方法。
  2. 【請求項2】 上記分離工程で分離された残渣を細胞破
    砕手段によって破砕処理した後、第1培養槽に返送する
    ことを特徴とする請求項1記載の有機塩素化合物の微生
    物処理方法。
  3. 【請求項3】 上記細胞破砕手段が、加熱処理、加圧破
    砕、超音波破砕、酵素による細胞膜溶解からなる群から
    選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求
    項2記載の有機塩素化合物の微生物処理方法。
  4. 【請求項4】 第1培養槽から抜き出した処理液の一部
    を第1培養槽に返送するとともに、返送する処理液中に
    有機塩素化合物を添加することを特徴とする請求項1ま
    たは2記載の有機塩素化合物の微生物処理方法。
  5. 【請求項5】 上記微生物として、コマモナス・テスト
    ステロニTK102とロドコッカス・オパカスTSP2
    03よりなる群から選択される少なくとも1種の菌株を
    用いることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項
    記載の有機塩素化合物の微生物処理方法。
  6. 【請求項6】 上記有機塩素化合物が、ポリ塩化ビフェ
    ニル、有機塩素系農薬、塩素置換有機溶媒からなる群よ
    り選択される少なくとも1種であることを特徴とする請
    求項5記載の有機塩素化合物の微生物処理方法。
  7. 【請求項7】 上記有機塩素化合物が、紫外線照射によ
    って塩素数が減少した、ポリ塩化ビフェニル、有機塩素
    系農薬、有機塩素系溶剤からなる群より選択される少な
    くとも1種であることを特徴とする請求項5記載の有機
    塩素化合物の微生物処理方法。
  8. 【請求項8】 第1培養槽で比較的高濃度の有機塩素化
    合物存在下で塩素数の少ない有機塩素化合物を分解する
    微生物を使用する分解処理と、有機塩素化合物濃度を減
    少させた一次処理液を第2培養槽に送り、低濃度の基質
    存在下でのみ高い分解活性を示す微生物を使用する分解
    処理とを組み合わせた多段階処理を行う有機塩素化合物
    処理装置であって、 有機塩素化合物を含む処理原液と該有機塩素化合物を分
    解可能な微生物とを入れ、該微生物によって処理原液中
    の有機塩素化合物を分解する第1培養槽と、該第1培養
    槽から処理液を抜き出して遠心分離し、残渣を第1培養
    槽に返送する分離装置と、該分離装置で残渣から分離さ
    れた一次処理液と有機塩素化合物を分解可能な微生物と
    を入れて残留する有機塩素化合物を分解処理する第2培
    養槽とを備えたことを特徴とする有機塩素化合物処理装
    置。
  9. 【請求項9】 上記分離装置に、分離された残渣中の微
    生物細胞を破砕し得る細胞破砕手段を設けたことを特徴
    とする請求項8記載の有機塩素化合物処理装置。
  10. 【請求項10】 上記細胞破砕手段が、加熱手段、加圧
    破砕手段、超音波破砕手段、細胞膜溶解酵素を添加して
    保持する酵素処理手段からなる群から選択される少なく
    とも1種の手段であることを特徴とする請求項9記載の
    有機塩素化合物処理装置。
  11. 【請求項11】 第1培養槽から抜き出した処理液の一
    部を第1培養槽に返送するとともに、返送する被処理液
    中に有機塩素化合物を添加する返送流路系を設けたこと
    を特徴とする請求項8または9記載の有機塩素化合物処
    理装置。
JP28228397A 1997-10-15 1997-10-15 有機塩素化合物の微生物処理方法及びその装置 Expired - Fee Related JP3411800B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28228397A JP3411800B2 (ja) 1997-10-15 1997-10-15 有機塩素化合物の微生物処理方法及びその装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28228397A JP3411800B2 (ja) 1997-10-15 1997-10-15 有機塩素化合物の微生物処理方法及びその装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11114086A JPH11114086A (ja) 1999-04-27
JP3411800B2 true JP3411800B2 (ja) 2003-06-03

Family

ID=17650421

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP28228397A Expired - Fee Related JP3411800B2 (ja) 1997-10-15 1997-10-15 有機塩素化合物の微生物処理方法及びその装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3411800B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5725764B2 (ja) * 2010-08-30 2015-05-27 愛知電機株式会社 Pcb汚染物の減容処理システムと減容処理方法
JP2014183742A (ja) * 2013-03-21 2014-10-02 Yamagata Univ ポリ塩化ビフェニル類無害化複合組成物ならびにその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH11114086A (ja) 1999-04-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Mrozik et al. Bioaugmentation as a strategy for cleaning up of soils contaminated with aromatic compounds
JP3347596B2 (ja) 新規微生物、芳香族化合物及び/或いは有機塩素化合物の生分解方法、及び媒体の浄化方法
JP3406926B2 (ja) トリクロロエチレンの生物分解方法及び微生物による有機塩素化合物の生物分解方法
Tu et al. Enhanced anaerobic biodegradation of OCDD-contaminated soils by Pseudomonas mendocina NSYSU: Microcosm, pilot-scale, and gene studies
Gupta et al. Novel bioremediation methods in waste management: Novel bioremediation methods
US6096530A (en) Pseudomonas cepacia strain isolated from termite intestines that degrades trichlorethylene and furan compounds
US5100800A (en) Microorganism for degrading toxic waste materials
JP3411800B2 (ja) 有機塩素化合物の微生物処理方法及びその装置
US20130295650A1 (en) Bioremediation of persistent organic pollutants using thermophilic bacteria
CA2858338A1 (en) Bioremediation of persistent organic pollutants using thermophilic bacteria
WO1994025190A1 (en) Remediation of contaminated material
WO2013116830A1 (en) Bioremediation of persistent organic pollutants using thermophilic bacteria
Kramer et al. Bacteria that degrade p-chlorophenol isolated from a continuous culture system
US6653119B1 (en) White rot fungi and method for decomposing dioxins using them
KR100320714B1 (ko) 미생물을 이용한 환경 정화 방법
Magar PCB treatment alternatives and research directions
Pavan et al. Emerging Techniques for the Mitigation of Micro and Nanoplastics in Soil
JP3023304B2 (ja) 難分解性有機塩素化合物の分解法と新規微生物
JP2001046060A (ja) 有機塩素化合物の分解方法
Wang et al. Biomediation of Quinoline-contaminated Soil Using Bioaugmentation in Slurry-phase Reactor
JP2003112164A (ja) 有機塩素化合物による汚染土壌の浄化方法
US6287842B1 (en) Strain of alcaligenes latus bacteria used for the decomposition of polychlorinated biphenyls
JP3435426B2 (ja) ハロゲン化炭化水素分解菌及びその使用
JP4425033B2 (ja) ダイオキシン類を含有する汚染物の浄化システム及び浄化方法、及びダイオキシン類分解用製剤
US6284521B1 (en) Strain of Hansenulla californica yeast used for the decomposition of polychlorinated biphenyls

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20030212

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees