JP3023304B2 - 難分解性有機塩素化合物の分解法と新規微生物 - Google Patents

難分解性有機塩素化合物の分解法と新規微生物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は難分解性化合物の分
解法に関し、特に燃焼法に代わる有機塩素化合物の分解
法に関する。
【0002】
【従来の技術】化学的に合成された物質は様々であり、
なかには難分解性の物質が含まれ、その処理法が確立さ
れていないものも多い。それらの中には自然環境を破壊
する恐れがあるもの、人体への影響が心配されているも
のが多く存在し、それらの安全な処理法の確立が早急の
課題となっている。
【0003】難分解性化合物として代表的なものに有機
塩素化合物が挙げられる。従来より、種々の有機塩素化
合物が農薬などに使用されており、土壌の汚染、農作物
の汚染など人体への影響が懸念されている。例えば、殺
虫剤としてDDTやその類似化合物であるディルドリ
ン、ヘキサクロロシクロヘキサンなどが知られている。
【0004】また有機塩素系溶剤として広く使用されて
いるのが、テトラクロロエチレンやトリクロロエチレン
であり、ドライクリーニング工場で洗剤として、あるい
はマイクロチップ製造などでグリースの除去のために用
いられている。またクロロホルム、四塩化炭素、塩化メ
チレンなども工業的に用いられている。
【0005】上記有機塩素化合物は、一般に細菌類によ
り容易に分解されないので、環境内に長く残留するもの
が多い。そして、これらは難分解性で処理が困難である
だけでなく、燃焼すると一部に有毒な物質が生成すると
いう問題がある。例えば、有機塩素化合物を低温で燃や
すときわめて毒性の強いダイオキシンが大量に生成する
ことが知られている。したがって有機塩素化合物の処理
にあたっては、厳しい汚染規制のもとで有害廃棄物専門
の高温燃焼炉での燃焼処理が行われている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述のごとく、有機塩
素化合物は高温で焼却しなければ完全に分解しないため
に、有機塩素化合物を燃焼処理する場合は、大掛りな有
害廃棄物専門の高温焼却炉と冷却装置が必要である。し
かしながら、このような処理装置を建設するには莫大な
費用がかかり、かつ建設のための社会的同意を得るのが
困難である。さらに、有機塩素化合物の燃焼処理にあた
っては、ダイオキシンなどの毒性の高い物質が生成され
ていないかどうかのモニタリングを処理期間中継続して
行う必要がある。しかし、燃焼法による処理は、燃焼後
に生ずる可能性のある物質のすべてを予測できないとい
う問題がある。すなわち、燃焼により未知の毒性化合物
が生成する可能性がある。
【0007】したがって、燃焼法に代わる有機塩素化合
物の分解処理法の確立が望まれている。ここで、代替処
理法としては、目的とする有機塩素化合物を完全に分
離すること、処理中、処理後に生成する可能性のある
物質をすべて把握でき、それらの安全性を確認できるこ
とが望まれる。すなわち、特異性の高い分解反応によっ
て、目的とする有機塩素化合物を分解処理することが重
要である。
【0008】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、有害物質を生成せずに有機塩素化合物を完全に分解
することが可能な微生物を用いた有機塩素化合物の分解
法と、それに好適な微生物の提供を目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る
発明は、難分解性有機塩素化合物を、塩素置換数3以下
の有機塩素化合物を分解可能な第1の分解微生物で分解
する第1工程と、該第1工程後の難分解性有機塩素化合
物を、少なくとも置換塩素数5または4の有機塩素化合
物を分解可能な第2の分解微生物で分解する第2工程と
を備えることを特徴とする難分解性有機塩素化合物の分
解法である。請求項2に係る発明は、上記難分解性有機
塩素化合物が、ポリ塩化ビフェニールであることを特徴
とする請求項1記載の難分解性有機塩素化合物の分解法
である。請求項3に係る発明は、上記難分解性有機塩素
化合物が紫外線照射によって塩素数が減少したポリ塩化
ビフェニールであることを特徴とする請求項1記載の難
分解性有機塩素化合物の分解法である。請求項4に係る
発明は、上記第1の分解微生物がシュードモナス・アル
カリゲネスTK102であることを特徴とする請求項1
から3のいずれか1項記載の難分解性有機塩素化合物の
分解法である。請求項5に係る発明は、上記第2の分解
微生物がロドコッカス・オパカスTSP203であるこ
とを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の難
分解性有機塩素化合物の分解法である。請求項6に係る
発明は、難分解性有機塩素化合物を、ロドコッカス・オ
パカスTSP203により分解することを特徴とする難
分解性有機塩素化合物の分解法である。請求項7に係る
発明は、上記難分解性有機塩素化合物が、ポリ塩化ビフ
ェニール、有機塩素系農薬、塩素置換有機溶媒からなる
群より選択される少なくとも1種であることを特徴とす
る請求項6記載の難分解性有機塩素化合物の分解法であ
る。請求項8に係る発明は、上記難分解性有機塩素化合
物が、紫外線照射によって塩素数が減少した、ポリ塩化
ビフェニール、有機塩素系農薬、有機塩素系溶剤からな
る群より選択される少なくとも1種であることを特徴と
する請求項6記載の難分解性有機塩素化合物の分解法で
ある。請求項9に係る発明は、ポリ塩化ビフェニールの
分解能を有するロドコッカス・オパカスTSP203で
ある。
【0010】上記シュードモナス・アルカリゲネス(Ps
eudomonas alcaligenes)TK102は、本出願人によ
り既に工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託されて
おり、受託番号はFERM P−14591である。
【0011】上記ロドコッカス・オパカス(Rhodococcu
s opacus)TSP203は、本出願人により既に工業技
術院生命工学工業技術研究所に寄託されており、受託番
号はFERM P−15408である。
【0012】
【発明の実施の形態】一般に、微生物反応は特異性が高
く、反応産物が決まっていることから、難分解性物質の
処理には適していると考えられる。しかしながら、微生
物の分解能力と有機塩素化合物に対する耐性は相反する
場合が多く、初期濃度が高い場合、完全に有機塩素化合
物を分解することは困難である。すなわち、高い初期濃
度よりある程度有機塩素化合物の濃度を減らすことは可
能であるが、完全に塩素化合物を分解することは困難で
ある。
【0013】本発明に係わる難分解性有機塩素化合物の
分解法においては、高い有機塩素化合物濃度でも分解活
性を示す微生物と、低い有機塩素化合物濃度で極めて高
い分解活性を示す微生物とを組み合わせて迅速に有機塩
素化合物を分解する。ここで難分解性有機化合物とは、
ポリ塩化ビフェニールの他、DDTやその類似化合物で
あるディルドリン、ヘキサクロロシクロヘキサンなどの
有機塩素系農薬、テトラクロロエチレンやトリクロロエ
チレンなどの塩素置換有機溶媒が挙げられる。これらの
有機塩素化合物は1種または2種以上の混合物として良
いし、且つ上記有機塩素化合物に紫外線照射によって置
換塩素数を減少させたものでも良い。
【0014】微生物による有機塩素化合物の分解は酵素
反応による特異的なものであり、その中間産物、最終産
物ともに明らかにされており、その安全性については問
題がない。上記微生物のうち、高い有機塩素化合物濃度
でも分解活性を示すものとして、置換塩素数3以下の有
機塩素化合物を分解できる能力を有するものを用いるこ
とが好ましく、例えば母核となる有機化合物、すなわち
高い濃度の置換塩素数0の有機化合物を効率よく資化で
きる微生物の中から、置換塩素数の少ない有機塩素化合
物を分解できる微生物を選択して用いることができる。
また、低い有機塩素化合物存在下でのみ高い分解活性を
示すものとして、置換塩素数が一部5ならびに4以下の
有機塩素化合物を分解できる能力を有するものを用いる
ことが好ましい。
【0015】以下、本発明の実施の形態を、難分解性有
機塩素化合物がポリ塩化ビフェニール(以下、PCBと
いう)である場合を例として説明する。
【0016】一般に、微生物によるビフェニールまたは
PCBの分解経路は、図1に示すように、一方の芳香環
の2、3の位置の炭素が酸化され(図1B,C)、つい
で1と2の位置の炭素結合が切れて開裂する(図1
D)。微生物処理に用いられる微生物としては、高濃度
のPCB存在下で塩素数の多いPCBを効率よく分解す
る微生物を用いるのが望ましいが、現在までに分離され
ているPCB分解菌は高濃度PCB存在下で塩素数の多
いPCBを分解することができない。
【0017】一方、高濃度のPCB存在下でもPCB分
解活性を示す分解菌も単離されており、それらは塩素数
の多いPCBを分解する能力がきわめて低いことが知ら
れている。
【0018】そこで、第1段階目で高濃度PCB存在下
で塩素数の少ないPCBを分解する微生物を使用して分
解を行い、PCB濃度を減少させた後、低濃度の基質存
在下でのみ高い分解活性を示す微生物とを組み合わせる
という多段階処理を試みたところ、高濃度のPCB溶液
が迅速に分解されることを見出し、本発明を完成させ
た。
【0019】ここで、分解されるPCBとして紫外線処
理を施して塩素数を減少させた溶液を用いた場合、塩素
の付加位置、付加数などに制限はなく、したがって、通
常の存在形態である混合体のまま分解に供することがで
きる。
【0020】本方法に用いる微生物としては、ビフェニ
ールおよびPCBの分解能の高いシュードモナス属、ロ
ドコッカス属、アルカリジェネス属、バチラス属等の細
菌、またはホワイトロットファンガス(White-rot fung
us)に属するファネロカエテ・クリソスポラム(Phaner
ochaete chrisosporlum)等のカビ、等の微生物を用い
ることができるが、特にビフェニールおよびPCB分解
活性の高いシュードモナス属、ロドコッカス属細菌が好
ましく用いられ、特にシュードモナス・アルカリゲネス
TK102、ロドコッカス・オパカスTSP203など
の菌株が好ましく用いられる。
【0021】シュードモナス・アルカリゲネスTK10
2は、高濃度のPCB存在下であっても生育が可能で、
主として置換塩素数3以下のPCBを分解する性質を有
している。上記高濃度とは、PCBが150ppm程度
の濃度であり、通常はPCBを50〜150ppm程度
の濃度となるように添加した培地中で該菌を培養し、P
CBの分解を行う。
【0022】また、ロドコッカス・オパカスTSP20
3は、上記高濃度のPCB存在下では生育し難いが、P
CBが50ppm未満、好ましくは10ppm以下の濃
度で生育が可能である。この菌株は、置換塩素数3以下
のPCBを分解できるとともに、上記シュードモナス・
アルカリゲネスTK102では分解が困難な置換塩素数
5または4のPCBなどの有機塩素化合物を高率で分解
することができる。
【0023】本発明の一形態においては、これらの菌株
を用いてPCBを分解する場合に、PCBを50〜15
0ppm程度の濃度となるように添加した培地中で上記
シュードモナス・アルカリゲネスTK102を培養し、
置換塩素数が3以下のPCBを主として分解させる第1
の工程と、該第1工程の後、PCB濃度が低下した培養
液を、ロドコッカス・オパカスTSP203を含む培地
に加え、少なくとも置換塩素数5または4のPCBを分
解する。
【0024】このように、第1段階目で高濃度PCB存
在下で塩素数の少ないPCBを分解する微生物(シュー
ドモナス・アルカリゲネスTK102)を使用して分解
を行いPCB濃度を減少させた後、低濃度の基質存在下
でのみ高い分解活性を示す微生物(ロドコッカス・オパ
カスTSP203)とを組み合わせる多段階処理によっ
てPCBを分解することにより、PCBを迅速かつ安全
に分解処理することができる。
【0025】これらの菌株の培養に用いる培地は特に限
定されないが、これら菌株の生育が良好な基本培地に、
PCBまたはビフェニルを添加した液体培地が使用でき
る。また、PCBやビフェニルを液体培地に添加する
際、界面活性剤を添加してPCBやビフェニルを乳化、
懸濁させて良い。培養温度は、いずれも25〜35℃、
好ましくは30℃程度として良い。また、それぞれの工
程に使用する培養装置は特に限定されず、一般の細菌培
養に用いられる回分式(バッチ式)培養装置或いは連続
式培養装置を使用可能である。
【0026】また、本発明の別な形態においては、ロド
コッカス・オパカスTSP203を単独で用いてPCB
を分解する。すなわち、PCBを添加した培地中でロド
コッカス・オパカスTSP203を培養し、PCBの分
解を行う。この場合、培地中に添加するPCBの濃度は
50ppm未満、好ましくは10ppm以下の濃度とす
る。この培養で使用する培養装置は特に限定されず、一
般の細菌培養に用いられる回分式(バッチ式)培養装置
或いは連続式培養装置を使用可能である。
【0027】ロドコッカス・オパカスTSP203を単
独で用いてPCBを分解する方法においては、置換塩素
数3以下のPCBを分解できるとともに、上記シュード
モナス・アルカリゲネスTK102では分解が困難な置
換塩素数5または4のPCBなどの有機塩素化合物を高
率で分解することができる。したがって、予めPCBに
紫外線を照射して置換塩素数を減少させる前処理を行う
ことなく、置換塩素数が5または4以下のPCB異性体
の混合物を培地に添加して分解することができるので、
分解処理が簡略となり、処理設備を省略することが可能
である。
【0028】なお、上述した本発明の各形態において
は、難分解性有機塩素化合物がPCBである場合を例示
したが、本発明はPCB以外の難分解性有機塩素化合
物、例えばDDTやその類似化合物であるディルドリ
ン、ヘキサクロロシクロヘキサンなどの有機塩素系農
薬;テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、クロ
ロホルム、四塩化炭素、塩化メチレンなどの塩素系溶剤
の分解処理に適用することができる。また、これらの難
分解性有機塩素化合物が、置換塩素数5以上の成分を多
く含んでいる場合、予め紫外線照射によって置換塩素数
を5以下に減少させた後、培地に添加して分解してもよ
い。
【0029】
【実施例】(使用菌株の同定)本発明者らは、PCB分
解性を有する菌を得るべく、PCB添加培地を用いて土
壌中などからPCB分解菌のスクリーニングを行い、有
用な菌株を得た。
【0030】そのうちの1つがTK102であり、この
TK102の菌学的性質を、細菌の一般同定法(BERGE
Y'S MANUAL OF Systematic Bacteriology vol.1 (198
4))における試験項目に従って示せば以下の通りであ
る。
【0031】 グラム染色 − (KOHテスト+) 形態 桿菌 胞子 − 運動性 観察されず コロニーの形態 薄いレモンイエロー、やや半透明、円形、規則的、全縁、 光沢あり、平滑、低い凸型、48時間後 直径約0.5mm 37℃での生育 (+)弱い 41℃での生育 − 45℃での生育 − カタラーゼ + オキシダーゼ + ク゛ルコースOFテスト発酵性 −
【0032】 ・30℃、48時間培養: 硝酸塩の還元 − マンニトール同化 − インドールの生産 − N-アセチルク゛ルコサミン同化 (+)弱い グルコースからの酸 − マルトース同化 + アルキ゛ニンシ゛ヒト゛ラーセ゛ − グルコン酸同化 − ウレアーゼ − カプロン酸同化 − エスクリンの分解 + アジピン酸同化 − ゼラチンの分解 − マレイン酸同化 + βガラクトシダーゼ − クエン酸同化 + グルコース同化 + フェニル酢酸同化 − アラビノース同化 (+)弱い チトクロームオキシタ゛ーセ゛ + マンノース同化 −
【0033】 ・30℃、7日間培養: カゼイン分解 − ラクトースOF培地からの酸 − Tween80分解 − マルトースOF培地からの酸 − スターチ分解 − ラクトースPWSからの酸 − DNaseの生産 +(分解の限定域) マルトースPWSからの酸 − チロシン分解 (+) 低ヘ゜フ゜トンマルトース培地からの酸 +
【0034】・30℃、3日間培養 ペニシリンGの感受性 − ストレプトマイシンの感受性 (+) クロラムフェニコールの感受性 + テトラサイクリンの感受性 + ノボマイシンの感受性 + ポリミキシンBの感受性 +
【0035】以上の菌学的性質によりTK102をシュ
ードモナス・アルカリゲネスと同定した。
【0036】別な有用菌株がTSP203であり、この
TSP203の菌学的性質を以下の5つの項目に関して
試験した。 1.形態及びコロニーの色:分岐した菌糸状で、桿菌と
球菌に分裂する。ベージュ色。 2.ペプチドグリカンのジアミノ酸:メソ−ジアミノピ
メリン酸 3.ミコリン酸組成:鎖長C48-54、Rhodococcus opacu
sと同様な溶出パターン 4.脂肪酸組成:DSM(Deutshe Sammlung von Mikro
organismen)のライブラリーのデータベース上のRhodoc
occus属に特徴的なパターン 5.16SrRNAシーケンスの相同性:Rhodococcus
opacusと99.3%の相同性 以上の化学的分類の結果、Klatteら、System. Appl. Mi
crobial., 17, 355 (1994)に従いTSP203をロド
コッカス・オパカスと同定した。
【0037】(実験方法)培養に使用した最少培地の組
成は以下の通りである。KH2PO4(1.7g/l)、Na2
HPO4(9.8g/l)、(NH42SO4(1.0g/L)、Mg
SO4・7H2O(0.1g/l)、FeSO4・7H2O(0.95mg
/l)、MgO(10.75mg/l)、CaCO3(2.0mg/l)、
ZnSO4・7H2O(1.44mg/l)、CuSO4・5H2
(0.25mg/l)、CoSO4・7H2O(0.28mg/l)、H3
3(0.06mg/l)、HCl(51.3μl/l)。
【0038】実験1:TSP203のPCB分解特性 1g/lのビフェニルを含む最少液体培地で72時間、
30℃にて培養したTSP203株20mlをpH7.
5の50mMリン酸緩衝液で2回洗浄し、25mg/l
(25ppm)カネクロール300(鐘淵化学社製、3
塩化物中心のPCB)+12.5mg/l(12.5p
pm)カネクロール500(鐘淵化学社製、5塩化物中
心のPCB)を含む5mlの50mMリン酸緩衝液(p
H7.5)に懸濁した。72時間、30℃にて振とう培
養した後、5mlの酢酸エチルを用いて2回残存PCB
の抽出を行い、窒素ガス気流下で蒸発乾固の後、0.4
mlの酢酸エチルに再溶解し、ガスクロマトグラフ-質
量分析を行った。その結果を図2に示す。
【0039】実験2:多段階培養法 実験法の概念を図3に示す。 ・第1段培養 使用菌株:シュードモナス・アルカリゲネスTK102 1g/lのビフェニルを含む最少液体培地で30℃、1
日培養した菌体70mlを50mg/l(50ppm)
のカネクロール300(3塩化物中心のPCB)と界面
活性剤(ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエー
テル)を0.005%含む7Lの1/3希釈LB液体培地
(以下1/3LBと記す、バクト・トリプトン(DIFCO社
製)3.3g/l、バクト・イーストエキストラクト(DIFCO社
製)1.7g/l、塩化ナトリウム5g/l)入りのジャーファー
メンターに接種し、30℃にて培養した。なお、通気は
3L/分で行い、攪拌翼の回転数は350r.p.m.で培養
した。界面活性剤を加えることで、油状物質であるPC
Bの効率的な溶解を行うことができた。上記の条件で4
8時間培養した後、半量の3.5Lを第2段階培養槽に
導入した。
【0040】・第2段培養 使用菌株:ロドコッカス・オパカスTSP203 1g/lのビフェニルを含む最少培地で30℃、3日間
培養した菌体175mlを3.5Lの0.5g/lのビ
フェニルを含む最少培地入りのジャーファーメンターに
接種し、30℃にて培養した。なお、通気は2L/分で
行い、攪拌翼の回転数は200r.p.m.で培養した。上記
の条件で72時間培養したものに第1段培養より等量
(3.5L)のPCB分解TK102培養液を導入し
た。
【0041】上記の培養槽より経時的にサンプリングを
行い、ガスクロマトグラフ-質量分析装置を用いてPC
Bの減少を定量分析した。サンプリングの方法は次の通
りである。10mlの培養液を抜き取り、等量の酢酸エ
チルを加えて振とうし、培養液に残存するPCBを抽出
した。遠心分離の後、8mlの酢酸エチルを別の試験管
に移し窒素ガス気流下で蒸発乾固の後、0.2mlの酢
酸エチルに再溶解して分析用のサンプルとした。この分
析結果を図4に示す。
【0042】(結果) ・TSP203のPCB分解特性 図2よりコントロールと比べてPCB量が78.4%減
少したことがわかる。ここで、保持時間が16分以下の
PCB異性体に関してはほとんど分解しているのがわか
る。これらは塩素置換数が2と3のものが中心である。
また、保持時間が16分から20分のPCB異性体はピ
ークの顕著な減少が見られるが、これらは塩素置換数が
4と5のものが中心である。20分以上のピークは置換
塩素数が6以上のものが中心であり、微生物による分解
は非常に困難とされるPCB異性体である。この結果は
置換塩素数が5のPCB異性体を分解するTSP203
の優れた分解能力を示している。次に個々のPCB異性
体に対する分解率を計算した結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】この表1の結果より、3塩化物まではほぼ
100%分解し、4塩化物でも多くのもので80%以上
を分解していることがわかる。また、5塩化物でも多く
のもので40〜60%以上の分解を示し、6塩化物の中
にもピーク46の18%やピーク48の41%のように
良好な分解活性を示すものもある。これらの結果より、
TSP203は優れたPCB分解特性を有しているとい
える。
【0045】・多段階培養法 多段階培養法の結果を図4に示す。第1段階のTK10
2による分解で、24時間でコントロールに対して3
8.1%の分解、48時間で56.7%の分解が得られ
た。TK102のみを用いた分解ではこれ以降の分解は
あまり進行しないことがわかっている。第2段階のTS
P203による分解で、72時間後にコントロールに対
して91.8%の分解が得られた。この場合、第1段階
の半量を導入したため、初期のPCB濃度はコントロー
ルに対し21.6%(10.8ppm)になっている
が、それでもそのうちの62.0%が24時間で分解し
たことになり、TK102のみの分解に比べて分解速度
が著しく上昇している。96時間後にはコントロールに
比べて93.1%のPCB分解を得ることができた。以
上の結果は、2種類のPCB分解菌を用いることで1種
類の分解菌を使用するよりも分解効率を上昇させること
ができたことを示している。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
微生物によりPCBなどの難分解性有機塩素化合物を分
解することができるので、有害な物質が生成することな
く、難分解性有機塩素化合物を分解することができる。
また本発明では、難分解性有機塩素化合物を、塩素置換
数3以下の有機塩素化合物を分解可能な第1の分解微生
物で分解する第1工程と、該第1工程後の難分解性有機
塩素化合物を、少なくとも置換塩素数5または4の有機
塩素化合物を分解可能な第2の分解微生物で分解する第
2工程とで分解することにより、PCBを効率良く分解
することができる。さらに、本発明に係るロドコッカス
・オパカスTSP203は、従来のPCB分解菌では分
解困難な置換塩素数5または4のPCBなどの有機塩素
化合物を高率で分解することができ、PCBなどの難分
解性有機塩素化合物の分解に極めて有用である。また、
本発明では、ロドコッカス・オパカスTSP203を用
いて難分解性有機塩素化合物を分解することにより、予
め分解すべきPCBなどの有機塩素化合物に紫外線を照
射して置換塩素数を減少させる前処理を行うことなく培
地に添加して分解することができるので、分解処理が簡
略となり、処理設備を省略することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】微生物によるビフェニルまたはPCBの分解経
路を示すスキームである。
【図2】本発明の実施例の結果のうち、TSP203に
よるPCB分解の結果を示すガスクロマトグラムであ
る。
【図3】本発明の実施例における多段階培養法の概念を
説明する構成図である。
【図4】本発明の実施例の結果のうち、多段階培養法に
よるPCB分解の結果を示すガスクロマトグラムであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI (C12N 1/20 C12R 1:38) (C12N 1/20 C12R 1:01) (72)発明者 志村 稔 東京都国分寺市光町二丁目8番地38 財 団法人鉄道総合技術研究所内 (56)参考文献 特開 平7−303476(JP,A) 特開 平4−370097(JP,A) 特開 昭64−68281(JP,A) 特開 平8−23964(JP,A) 特開 平7−265062(JP,A) 特開 平8−229385(JP,A) 特表 平4−503528(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 1/20 WPI(DIALOG) BIOSIS(DIALOG)

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 難分解性有機塩素化合物を、塩素置換数
    3以下の有機塩素化合物を分解可能な第1の分解微生物
    で分解する第1工程と、該第1工程後の難分解性有機塩
    素化合物を、少なくとも置換塩素数5または4の有機塩
    素化合物を分解可能な第2の分解微生物で分解する第2
    工程とを備えることを特徴とする難分解性有機塩素化合
    物の分解法。
  2. 【請求項2】 上記難分解性有機塩素化合物がポリ塩化
    ビフェニールであることを特徴とする請求項1記載の難
    分解性有機塩素化合物の分解法。
  3. 【請求項3】 上記難分解性有機塩素化合物が紫外線照
    射によって塩素数が減少したポリ塩化ビフェニールであ
    ることを特徴とする請求項1記載の難分解性有機塩素化
    合物の分解法。
  4. 【請求項4】 上記第1の分解微生物がシュードモナス
    ・アルカリゲネスTK102であることを特徴とする請
    求項1から3のいずれか1項記載の難分解性有機塩素化
    合物の分解法。
  5. 【請求項5】 上記第2の分解微生物がロドコッカス・
    オパカスTSP203であることを特徴とする請求項1
    から3のいずれか1項記載の難分解性有機塩素化合物の
    分解法。
  6. 【請求項6】 難分解性有機塩素化合物を、ロドコッカ
    ス・オパカスTSP203により分解することを特徴と
    する難分解性有機塩素化合物の分解法。
  7. 【請求項7】 上記難分解性有機塩素化合物が、ポリ塩
    化ビフェニール、有機塩素系農薬、塩素置換有機溶媒か
    らなる群より選択される少なくとも1種であることを特
    徴とする請求項6記載の難分解性有機塩素化合物の分解
    法。
  8. 【請求項8】 上記難分解性有機塩素化合物が、紫外線
    照射によって塩素数が減少した、ポリ塩化ビフェニー
    ル、有機塩素系農薬、有機塩素系溶剤からなる群より選
    択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項
    6記載の難分解性有機塩素化合物の分解法。
  9. 【請求項9】 ポリ塩化ビフェニールの分解能を有する
    ロドコッカス・オパカスTSP203。
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