JP2001157576A - 難分解性芳香族化合物の分解方法 - Google Patents

難分解性芳香族化合物の分解方法

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JP2001157576A
JP2001157576A JP2000208788A JP2000208788A JP2001157576A JP 2001157576 A JP2001157576 A JP 2001157576A JP 2000208788 A JP2000208788 A JP 2000208788A JP 2000208788 A JP2000208788 A JP 2000208788A JP 2001157576 A JP2001157576 A JP 2001157576A
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laccase
dioxins
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JP2000208788A
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Takahiro Kawabata
孝博 川端
Hideo Miyamoto
秀夫 宮本
Genshi Suzuki
源士 鈴木
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 有害なダイオキシン類やコプラナPCB類
等の難分解性芳香族化合物を、酵素生産の安定性に優れ
た微生物により効率よく分解して無害化することのでき
る方法を提供する。 【解決手段】ダイオキシン類、コプラナPCB類、ビス
フェノール類、アルキルフェノール類、ハロゲン化フェ
ノール類及びフタル酸エステル類などの炭素数が6以上
の難分解性芳香族化合物を分解するにあたり、該難分解
性芳香族化合物と、ラッカーゼおよび/またはラッカー
ゼを生産する微生物とを接触させることを特徴とする難
分解性芳香族化合物の分解方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、都市ゴミや産業廃
棄物の焼却設備などにおいて排出される焼却灰や排気、
排水(排液)さらにこの焼却灰の飛散に伴って汚染され
た土壌や汚染水などに含まれるダイオキシン類、コプラ
ナPCB類、ビスフェノール類、アルキルフェノール
類、ハロゲン化フェノール類、フタル酸エステル類など
の有害な難分解性物質を分解して無害化する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】人体に有害な物質としてよく知られてい
るダイオキシン類等の難分解性物質は、都市ごみや産業
廃棄物の焼却設備や様々な燃焼設備、機器類などから自
然界に排出され、また、化学物質の製造工程においては
環境に悪影響を及ぼす種々の有機化合物が排出され、大
きな社会問題となっている。例えば、ダイオキシン類等
には、種々の化学構造を有するものがあり、多塩素化ジ
ベンゾ−p−ダイオキシン類や多塩素化ジベンゾフラ
ン、コプラナPCB類などが知られている。これらの中
でも、最も代表的な化合物は、2,3,7,8−テトラ
クロロジベンゾ−p−ジオキシンである。これらダイオ
キシン類等は、生物により分解され難いことから、多く
の生物の体内に吸収され、食物連鎖により、最終的には
動物体内に蓄積されて濃縮され、催奇形成性を示すこと
が知られている。そこで、これらダイオキシン類の発生
を抑制する方法が検討され、提案されており、例えば、
自動車や焼却炉などからの排出ガスを二段階で高温燃焼
する方法が提案されている。しかしながら、このような
方法においてもダイオキシン類の発生を充分に抑制でき
るまでには至っていない。そして、大気中に放出された
ダイオキシン類は、雨水や雪とともに地上に降りて土壌
に蓄積される。このように、自然界に放置されたダイオ
キシン類を無害化するための有効な手段は見出されてい
ない。また、フェノール類については、活性炭等による
吸着分離、活性汚泥による分解が行われているが、ハロ
ゲン化フェノール類、アルキルフェノール類、ビスフェ
ノール類、更にはフタル酸エステル類などは、その化学
構造から生物的に分解されにくく、環境中に蓄積されや
すいという問題があり、これらの化合物は、食物連鎖に
より生物濃縮され、人や環境生物に種々の被害をもたら
している。
【0003】近年、ダイオキシン類等の自然界では分解
されがたい化学物質を微生物により分解する方法に関す
る研究がなされ、ある種の微生物が産生するリグニン分
解酵素がダイオキシン類を分解することが報告されてい
る〔BIO INDUSTRY VOL.15 NO.2 P5-13(1998):化学 VO
L.52 NO.10 P24-25(1997)〕。さらに、上記報告におい
ては、微生物が産生するリグニン分解酵素によるダイオ
キシン類の分解に関し、担子菌類に属する木材腐朽菌の
うち白色腐朽菌が産生するリグニン分解酵素が、ダイオ
キシン類など様々な化学物質を分解できることが示され
ている。この白色腐朽菌は、木材中の主成分である多糖
類のセルロースやヘミセルロースを栄養源として生育
し、これをエネルギーとして木材中のリグニンを分解す
る旨が述べられている。したがって、この白色腐朽菌が
棲息する森林地帯においては、大気中から雨水などとと
もに地上に降り注いだダイオキシン類は、白色腐朽菌の
産生するリグニン分解酵素によって分解されやすいと考
えられる。ところで、この白色腐朽菌によるリグニン分
解酵素の生産は、培地の組成、特に窒素源の含有割合
や、白色腐朽菌の増殖条件に左右される。したがって、
白色腐朽菌の棲息条件によっては全くリグニン分解酵素
を生産しないこともあり、安定性に欠けるという問題が
ある。また、この白色腐朽菌が棲息する森林地帯を除く
多くの地域においては、ダイオキシン類のさらなる蓄積
が進行して、生物への影響が深刻な問題となるおそれが
大きい。このような状況から、焼却設備などから自然界
に排出されるダイオキシン類などを含む排気や排水(排
液)、焼却灰、さらにこれらによって汚染された土壌な
どに蓄積されたダイオキシン類やフェノール類、フタル
酸エステル類等を分解して無害化するための技術の開発
が強く要望されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、焼却設備、
製造設備などから自然界に排出されるダイオキシン類、
コプラナPCB類、ビスフェノール類、アルキルフェノ
ール類、ハロゲン化フェノール類、フタル酸エステル類
などの炭素数が6以上の難分解性芳香族化合物を含む排
気や排水(廃液)、焼却灰、さらにこれらによって汚染
された土壌などに蓄積された上記難分解性芳香族化合物
を、安定性の高い酵素や安定した酵素生産性を有する微
生物による分解によって無害化する方法を提供すること
を目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ラッカーゼま
たはラッカーゼを生産する微生物が、上記ダイオキシン
類等の難分解性芳香族化合物を分解することを見出し、
これらの知見に基づいて本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の要旨は、以下のとおりである。
【0006】(1)炭素数が6以上の難分解性芳香族化
合物を分解するにあたり、該難分解性芳香族化合物と、
ラッカーゼおよび/またはラッカーゼを生産する微生物
とを接触させることを特徴とする難分解性芳香族化合物
の分解方法、(2)炭素数が6以上の難分解性芳香族化
合物が、ダイオキシン類、コプラナPCB類、ビスフェ
ノール類、アルキルフェノール類、ハロゲン化フェノー
ル類及びフタル酸エステル類から選ばれる少なくとも1
種である上記(1)記載の分解方法、(3)塩素原子を
1個以上有するダイオキシン類またはコプラナPCB類
を分解するにあたり、該ダイオキシン類またはコプラナ
PCB類と、ラッカーゼおよび/またはラッカーゼを生
産する微生物を、水または土壌中で接触させることを特
徴とするダイオキシン類の分解方法、
【0007】(4)ラッカーゼが、シゾフィラム(Sc
hizophillum)属、プレウロタス(Pleu
rotus)属、トラメテス(Trametes)属、
レンチナス(Lentinus)属、リゾクトニア(R
hizoctonia)属、フナリア(Funali
a)属、フィクノポラス(Pycnoporus)属、
メルリウス(Merulius)属、ミセリオプトラ
(Myceliophtora)属、コプリヌス(Co
prinus)属、アガリクス(Agaricus)
属、フォリオタ(Pholiota)属、フラムリナ
(Flammulina)属、ガノデルマ(Ganod
erma)属、ダエダレオプシス(Daedaleop
sis)属、ファボラス(Favolus)属、リオフ
ィラム(Lyophyllum)属またはオーリクラリ
ア(Auricularia)属に属する微生物が生産
したラッカーゼを分離したものである上記(1)記載の
分解方法、
【0008】(5)ラッカーゼを生産する微生物が、シ
ゾフィラム(Schizophillum)属、プレウ
ロタス(Pleurotus)属、トラメテス(Tra
metes)属、レンチナス(Lentinus)属、
リゾクトニア(Rhizoctonia)属、フナリア
(Funalia)属、フィクノポラス(Pycnop
orus)属、メルリウス(Merulius)属、ミ
セリオプトラ(Myceliophtora)属、コプ
リヌス(Coprinus)属、アガリクス(Agar
icus)属、フォリオタ(Pholiota)属、フ
ラムリナ(Flammulina)属、ガノデルマ(G
anoderma)属、ダエダレオプシス(Daeda
leopsis)属、ファボラス(Favolus)
属、リオフィラム(Lyophyllum)属またはオ
ーリクラリア(Auricularia)属に属する微
生物である上記(1)記載の分解方法、(6)炭素数が
6以上の難分解性芳香族化合物と、ラッカーゼおよび/
またはラッカーゼを生産する微生物とを、pHが3〜1
1の水または土壌中において接触させることを特徴とす
る上記(1)〜(5)のいずれかに記載の分解方法、
(7)ラッカーゼおよび/またはラッカーゼを生産する
微生物を含有する組成物からなる、炭素数が6以上の難
分解性芳香族化合物の分解剤、(8)組成物が更にメデ
ィエーターを含有する上記(7)記載の分解剤、及び
(9)炭素数が6以上の難分解性芳香族化合物が、ダイ
オキシン類、コプラナPCB類、ビスフェノール類、ア
ルキルフェノール類、ハロゲン化フェノール類及びフタ
ル酸エステル類から選ばれる少なくとも1種である上記
(7)または(8)記載の分解剤。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の分解方法においては、炭
素数が6以上の難分解性芳香族化合物と、ラッカーゼお
よび/またはラッカーゼを生産する微生物とを接触させ
ることによって、上記難分解性化合物を分解し、人体あ
るいは他の動物に対して毒性がないか、より危険性の低
い化合物に転化させて、無害化を図るのである。この場
合、上記難分解性芳香族化合物を、その発生源からの直
接的な排気や排水(排液)、焼却灰、さらにこれらによ
って汚染された土壌より分離して処理することも可能で
はあるが、その取扱いには危険性が伴うことから、排気
や排水(排液)、焼却灰、汚染土壌そのものを処理する
のが適切である。
【0010】本発明において、炭素数が6以上の難分解
性芳香族化合物としては、ダイオキシン類、コプラナP
CB類、ビスフェノール類、アルキルフェノール類、ハ
ロゲン化フェノール類、フタル酸エステル類等が挙げら
れる。炭素数が6以上の難分解性芳香族化合物であるダ
イオキシン類は、塩素原子を1個以上有するダイオキシ
ン類であり、ジベンゾ−p−ダイオキシンやジベンゾフ
ランが有する2個のベンゼン環における水素原子が塩素
原子により置換された化合物である。この塩素原子の置
換数やベンゼン環における置換位置により多種多様な化
合物が包含される。
【0011】これらのダイオキシン類の中でも、1分子
中に塩素原子を4個以上有する多塩素化物が特に人体に
対する毒性が高く、そのような化合物としては、例え
ば、2,3,7,8−テトラクロロジベンゾ−p−ジオ
キシン、1,2,3,7,8−ペンタクロロジベンゾ−
p−ジオキシン、1,2,3,4,7,8−ヘキサクロ
ロジベンゾ−p−ジオキシン、1,2,3,4,6,
7,8−ヘプタクロロジベンゾ−p−ジオキシン、1,
2,3,4,6,7,8,9−オクタクロロジベンゾ−
p−ジオキシンなどのジベンゾ−p−ダイオキシンの多
塩素化物;2,3,7,8−テトラクロロジベンゾフラ
ン、1,2,3,7,8−ペンタクロロジベンゾフラ
ン、2,3,4,7,8−ペンタクロロジベンゾフラ
ン、1,2,3,4,7,8−ヘキサクロロジベンゾフ
ラン、1,2,3,6,7,8−ヘキサクロロジベンゾ
フラン、1,2,3,7,8,9−ヘキサクロロジベン
ゾフラン、2,3,4,6,7,8−ヘキサクロロジベ
ンゾフラン、1,2,3,4,6,7,8−ヘプタクロ
ロジベンゾフラン、1,2,3,4,6,7,8,9−
オクタクロロジベンゾフランなどのジベンゾフランの多
塩素化物がある。
【0012】また、コプラナ(Coplanar)PC
Bとしては、3,3’,4,4’−テトラクロロビフェ
ノール、3,3’,4,4’,5−ペンタクロロビフェ
ノール、3,3’,4,4’,5,5’−ヘキサクロロ
ビフェノールなどの化合物が挙げられる。上記塩素化物
の中でも、最も毒性の高い化合物は、2,3,7,8−
テトラクロロジベンゾ−p−ジオキシンである。更に、
ビスフェノール類としては、2,2−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)プロパンや1,1−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)シクロヘキサンなどの化合物が挙げられ
る。これらの化合物のうち、本発明の方法に適するもの
としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プ
ロパンが挙げられる。アルキルフェノール類としては、
ノニルフェノール、ペンチルフェノール、ターシャルブ
チルフェノールなどの化合物が挙げられる。
【0013】また、ハロゲン化フェノール類としては、
ジクロロフェノール、トリクロロフェノール、テトラク
ロロフェノール、ペンタクロロフェノールなどの化合物
が挙げられる。更に、フタル酸エステル類としては、ジ
ブチルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジ−2
−エチルヘキシルフタレートなどの化合物が挙げられ
る。
【0014】上記難分解性芳香族化合物の分解に用いる
ラッカーゼまたはラッカーゼを生産する微生物として
は、ラッカーゼ生産性の高い微生物、例えば、シゾフィ
ラム(Schizophillum)属、プレウロタス
(Pleurotus)属、トラメテス(Tramet
es)属、レンチナス(Lentinus)属、リゾク
トニア(Rhizoctonia)属、フナリア(Fu
nalia)属、フィクノポラス(Pycnoporu
s)属、メルリウス(Merulius)属、ミセリオ
プトラ(Myceliophtora)属、コプリヌス
(Coprinus)属、アガリクス(Agaricu
s)属、フォリオタ(Pholiota)属、フラムリ
ナ(Flammulina)属、ガノデルマ(Gano
derma)属、ダエダレオプシス(Daedaleo
psis)属、ファボラス(Favolus)属、リオ
フィラム(Lyophyllum)属またはオーリクラ
リア(Auricularia)属に属する微生物を用
いることができる。この場合、微生物そのものを用いて
もよいし、これら菌体が生産したラッカーゼをイオン交
換樹脂による分離法などにより培養液から分離して用い
てもよい。
【0015】上記微生物が生産したラッカーゼには、ラ
ッカーゼとともにリグニンペルオキシダーゼ、マンガン
ペルオキシダーゼ等を併産してなるものも含み、従っ
て、本発明に用いるラッカーゼとしては、これにリグニ
ンペルオキシダーゼ、マンガンペルオキシダーゼ等が混
在したものも用いることができる。さらに、本発明にお
いては、ラッカーゼを生産する微生物の生菌体と、これ
ら菌体の培養液から分離したラッカーゼとの混合物を用
いることもできる。本発明は、これらいずれを用いても
実施することができるが、ラッカーゼの活性を長期にわ
たって維持できるという点において、微生物の生菌体を
用いる方法が最も効果的である。
【0016】上記菌体の培養液から分離したラッカーゼ
を用いる場合には、このラッカーゼの活性を最大限発揮
させるためにメディエーターを添加することが好まし
い。該メディエーターとしては、例えば、1−ヒドロキ
シベンゾトリアゾールなどのフェノール性化合物や、
2,2’−アジノビス(3−エチルベンゾチアゾリン−
6−スルホン酸)などのアニリン系化合物やエトキシ脂
肪酸エステル類が好適に用いられる。上記の微生物を培
養する方法については、通常の微生物の培養方法と同様
に行うことができ、例えば、ポテトデキストロース液体
培地、オートミール液体培地、あるいはふすま、米ぬ
か、木材チップ、大麦、イナワラ等を混合した固体培地
を用いて行うことができる。実験室的には、ポテトデキ
ストロース培地で5日間、20〜40℃で培養するなど
の方法によることができる。また、大量に培養する場合
には、通常のタンクによる液体培養によるのが好ましい
が、小麦全粒などの植物由来の固体成分や糖、窒素、リ
ン、ミネラルなどを含浸させた無機多孔質担体などを用
いた固体培養による方法を採用することもできる。
【0017】上記の微生物の培養においては、得られる
培養物の菌濃度が、植物性有機物乾燥重量1gあたり、
1×102 cfu(コロニー形成単位)以上、好ましく
は1×102 〜1×1010cfu、より好ましくは1×
103 〜1×107 cfuの範囲とする。上記濃度未満
であると、ダイオキシン類等を含む水や土壌に菌を接種
した際に、菌の繁殖の遅れを招くおそれがある他、既に
存在する菌に対して接種した菌が優先的に繁殖すること
が困難になることがある。また、これら菌の培養に際し
ては、菌糸体、胞子のいずれも使用できるが、通常は、
培養が容易な菌糸体を用いる。
【0018】このようにして得られた上記微生物やその
生産物であるラッカーゼを用いて前記難分解性化合物を
分解する接触反応は、その反応温度を10〜85℃、好
ましくは20〜80℃として行うことが好ましい。この
反応温度が10℃未満であると、水や土壌中での菌の増
殖が遅く、またラッカーゼの反応も遅くなり、反応温度
が85℃を超えると、酵素が失活しやすくなることがあ
る。また、上記反応を行う際、上記難分解性芳香族化合
物をラッカーゼまたはラッカーゼを生産する微生物と、
水または土壌中で接触させることが好ましいが、上記難
分解性化合物を含む水または土壌のpHは、3〜11の
範囲であることが好ましく、3.5〜10.5の範囲に
調整するのがより好ましい。上記pHが3未満である
と、ラッカーゼの反応が遅く、また、pHが11を超え
てもラッカーゼの反応が遅く、ラッカーゼが失活しやす
くなる。したがって、水または土壌のpHが3〜11の
範囲を外れている場合には、無機または有機の酸やアル
カリ物質を添加してそのpHを調整し、ラッカーゼの反
応を円滑に進行させるようにするのが好ましい。
【0019】難分解性芳香族化合物を分解する上記接触
反応の際、微生物またはラッカーゼの他に、銅化合物を
添加してもよい。添加する銅化合物としては、例えば、
硫酸銅や塩化銅などが好適に用いられる。上記銅化合物
の添加量は、難分解性芳香族化合物を含む水または土壌
に対して、0.01〜1ミリモル濃度となるようにする
ことが好ましく、これら銅化合物の添加により、ラッカ
ーゼの生産性や安定性がより良好になる。
【0020】
〔実施例1〕
(1)ラッカーゼ生産微生物の培養 内容積250ミリリットルのマイヤーフラスコに、ポテ
トデキストロース24gを1リットルの水道水に溶解さ
せて調製した液体培地50ミリリットルを注入し、シリ
コ栓により密栓した後、121℃で20分間殺菌処理し
た。つぎに、このマイヤーフラスコを室温まで冷却し、
ラッカーゼ生産微生物として、シゾフィラム・コムネ
〔Schizophillum commune;IF
O6505〕を、1白金耳植種した。ついで、このラッ
カーゼ生産微生物を接種した培養液を、28℃において
14日間にわたり静置培養した。
【0021】(2)ラッカーゼ活性の測定 pH値を4.5に調整したマロン酸緩衝液100ミリモ
ルを含有する溶液に、上記(1)で得られた培養液を加
えた。ついで、これに4−アミノアンチピリン2ミリモ
ルと、フェノール1ミリモルを加え、30℃において反
応させた。この反応の終了後、波長500nmの光につ
いての吸光度を測定し、この反応前の溶液の吸光度から
の変化によりラッカーゼ活性を求めた。このラッカーゼ
活性の値は、1cm光路長において1分間に吸光度を1
増加させる酵素量を、1ユニットとして算出した。この
結果、上記(1)において得られた培養物のラッカーゼ
活性は、7.5ユニット/g乾物であった。
【0022】(3)ダイオキシン類の分解反応 内容積250ミリリットルのマイヤーフラスコに、ポテ
トデキストロース24gを1リットルの水道水に溶解さ
せて調製した液体培地50ミリリットルを注入した。つ
いで、この培地に、ダイオキシン類として、2,3,
7,8−テトラクロロジベンゾダイオキシン、および
2,3,7,8−テトラクロロジベンゾフランを、それ
ぞれ100μg/2.4ミリリットルの濃度で含むノナ
ン溶液を等量混合した溶液0.24ミリリットルを加
え、さらに、界面活性剤としてポリオキシエチレンソル
ビタンモノオレエート〔花王アトラス社製:Tween
80〕を100μg加えてシリコ栓で密栓した後121
℃で20分間殺菌した。
【0023】つぎに、この培地に、ラッカーゼ生産微生
物として、シゾフィラム・コムネ〔Schizophi
llum commune;IFO−6505〕を、1
白金耳接種した。ついで、このラッカーゼ生産微生物を
接種した培養液を、2日に1回の頻度でゆっくり攪拌し
ながら、28℃で20日間にわたり静置培養した。培養
終了後、トルエン50ミリリットルを加えて、ラッカー
ゼによるダイオキシン類の分解反応を停止させ、つい
で、ここで得られた2種のダイオキシン類を抽出し、G
C−MSにより定量した。
【0024】また、比較のため、ラッカーゼ生産微生物
を無添加で上記と同様の操作を行い、その場合のダイオ
キシンの残存量を100として、式、 〔(微生物無添加時の残存ダイオキシン量−微生物添加
時の残存ダイオキシン量)/微生物無添加時の残存ダイ
オキシン量〕×100(%) により、上記シゾフィラム・コムネによるダイオキシン
類の分解率を算出したところ、2,3,7,8−テトラ
クロロジベンゾダイオキシンに対する分解率は、72%
であり、2,3,7,8−テトラクロロジベンゾフラン
に対する分解率は81%であった。
【0025】〔実施例2〕 (1)ラッカーゼ生産微生物の培養 ラッカーゼ生産微生物として、トラメテス・ベルシカラ
ー〔Trametesversicolor;IFO−
4941〕を用いた他は、実施例1の(1)と同様に行
った。 (2)ラッカーゼ活性の測定 上記(1)で得られた培養液を用いた他は、実施例1の
(2)と同様にしてラッカーゼ活性を求めた。この結
果、上記(1)において得られた培養物のラッカーゼ活
性は、12.4ユニット/g乾物であった。
【0026】(3)ダイオキシン類の分解反応 ラッカーゼ生産微生物として、トラメテス・ベルシカラ
ー〔Trametesversicolor;IFO−
4941〕を用いた他は、実施例1の(3)と同様にし
た。この結果、上記トラメテス・ベルシカラーによる
2,3,7,8−テトラクロロジベンゾダイオキシンに
対する分解率は78%であり、また2,3,7,8−テ
トラクロロジベンゾフランに対する分解率は88%であ
った。
【0027】〔実施例3〕 (1)ラッカーゼ生産微生物の培養 ラッカーゼ生産微生物として、トラメテス・ベルシカラ
ー〔Trametesversicolor;IFO−
9791〕を用いた他は、実施例1の(1)と同様にし
た。 (2)ラッカーゼ活性の測定 上記(1)で得られた培養液を用いた他は、実施例1の
(2)と同様にしてラッカーゼ活性を求めた。この結
果、上記(1)において得られた培養物のラッカーゼ活
性は、10.2ユニット/g乾物であった。
【0028】(3)ダイオキシン類の分解反応 ラッカーゼ生産微生物として、トラメテス・ベルシカラ
ー〔Trametesversicolor;IFO−
9791〕を用いた他は、実施例1の(3)と同様にし
た。この結果、上記トラメテス・ベルシカラーによる
2,3,7,8−テトラクロロジベンゾダイオキシンに
対する分解率は79%であり、また2,3,7,8−テ
トラクロロジベンゾフランに対する分解率は86%であ
った。
【0029】〔実施例4〕 (1)ラッカーゼ生産微生物の培養 ラッカーゼ生産微生物として、トラメテス・ベルシカラ
ー〔Trametesversicolor;IFO−
30340〕を用いた他は、実施例1の(1)と同様に
した。 (2)ラッカーゼ活性の測定 上記(1)で得られた培養液を用いた他は、実施例1の
(2)と同様にしてラッカーゼ活性を求めた。この結
果、上記(1)において得られた培養物のラッカーゼ活
性は、13.9ユニット/g乾物であった。
【0030】(3)ダイオキシン類の分解反応 ラッカーゼ生産微生物として、トラメテス・ベルシカラ
ー〔Trametesversicolor;IFO−
30340〕を用いた他は、実施例1の(3)と同様に
した。この結果、上記トラメテス・ベルシカラーによる
2,3,7,8−テトラクロロジベンゾダイオキシンに
対する分解率は82%であり、また2,3,7,8−テ
トラクロロジベンゾフランに対する分解率は91%であ
った。
【0031】〔実施例5〕 (1)ラッカーゼ生産微生物の培養 ラッカーゼ生産微生物として、トラメテス・ベルシカラ
ー〔Trametesversicolor;IFO−
30388〕を用いた他は、実施例1の(1)と同様に
した。 (2)ラッカーゼ活性の測定 上記(1)で得られた培養液を用いた他は、実施例1の
(2)と同様にしてラッカーゼ活性を求めた。この結
果、上記(1)において得られた培養物のラッカーゼ活
性は、9.2ユニット/g乾物であった。
【0032】(3)ダイオキシン類の分解反応 ラッカーゼ生産微生物として、トラメテス・ベルシカラ
ー〔Trametesversicolor;IFO−
30388〕を用いた他は、実施例1の(3)と同様に
した。この結果、上記トラメテス・ベルシカラーによる
2,3,7,8−テトラクロロジベンゾダイオキシンに
対する分解率は74%であり、また2,3,7,8−テ
トラクロロジベンゾフランに対する分解率は79%であ
った。
【0033】〔実施例6〕 (1)ラッカーゼ生産微生物の培養 ラッカーゼ生産微生物として、プレウロタス・パルモナ
リス〔Pleurotus pulmonaris;I
FO−31345〕を用いた他は、実施例1の(1)と
同様にした。 (2)ラッカーゼ活性の測定 上記(1)で得られた培養液を用いた他は、実施例1の
(2)と同様にしてラッカーゼ活性を求めた。この結
果、上記(1)において得られた培養物のラッカーゼ活
性は、9.2ユニット/g乾物であった。
【0034】(3)ダイオキシン類の分解反応 ラッカーゼ生産微生物として、プレウロタス・パルモナ
リス〔Pleurotus pulmonaris;I
FO−31345〕を用いた他は、実施例1の(3)と
同様にした。この結果、上記プレウロタス・パルモナリ
スによる2,3,7,8−テトラクロロジベンゾダイオ
キシンに対する分解率は68%であり、また2,3,
7,8−テトラクロロジベンゾフランに対する分解率は
77%であった。これら実施例1〜6の結果をまとめて
第1表に示す。
【0035】
【表1】
【0036】〔実施例7〜10〕内容積500ミリリッ
トルのマイヤーフラスコに、100ミリリットルのオー
トミール培地を注入し、シリコ栓により密栓した後、1
21℃で20分間殺菌処理した。つぎに、このマイヤー
フラスコを室温まで冷却し、ラッカーゼ生産微生物とし
て、フィクノポラス・コッシネウス〔Pynoporu
s coccineus;IFO−4923〕を、1白
金耳植種した。ついで、このラッカーゼ生産微生物を接
種した培養液を、27℃において1週間静置培養した。
【0037】ついで、この培地に、難分解性物質とし
て、アセトンに溶解した、2,3,7,8−テトラクロ
ロジベンゾダイオキシン 1ミリリットル(5ng含
有)(実施例7)、3,3’,4,4’,5,5’−コ
プラナPCB 1ミリリットル(5ng含有)(実施例
8)、ビスフェノールA 1ミリリットル(50μg含
有)(実施例9)、またはペンタクロロフェノール(実
施例10) 1ミリリットル(1mg含有)(いずれも
pH 7.5)を添加し、3分間激しく攪拌した後、再び
27℃で1週間静置培養した。ついで、その全量を抽出
し、GC−MSにより定量した。
【0038】また、比較のため、ラッカーゼ生産微生物
を無添加で上記の操作を行い、その場合のダイオキシン
の残存量を100として、実施例1と同様にしてダイオ
キシン類の分解率を算出したところ、2,3,7,8−
テトラクロロジベンゾダイオキシンに対する分解率は9
2%であり、3,3’,4,4’,5,5’−コプラナ
PCBに対する分解率は76%であり、ビスフェノール
Aに対する分解率は96%であり、また、ペンタクロロ
フェノールに対する分解率は84%であった。
【0039】〔実施例11〜14〕ラッカーゼ生産微生
物として、リゾクトニア・プラティコラ〔Rhizoc
tonia praticola;ATCC−1612
9〕を用いた他は、実施例7と同様にしてラッカーゼ生
産微生物を培養し、難分解性物質の分解率を測定したと
ころ、2,3,7,8−テトラクロロジベンゾダイオキ
シンに対する分解率は96%であり、3,3’,4,
4’,5,5’−コプラナPCBに対する分解率は86
%であり、ビスフェノールAに対する分解率は97%で
あり、また、ペンタクロロフェノールに対する分解率は
75%であった。
【0040】〔実施例15〜18〕ラッカーゼ生産微生
物として、レンチナス・エドデス〔Lentinus
edodes;IFO−31864〕を用いた他は、実
施例7と同様にしてラッカーゼ生産微生物を培養し、難
分解性物質の分解率を測定したところ、2,3,7,8
−テトラクロロジベンゾダイオキシンに対する分解率は
72%であり、3,3’,4,4’,5,5’−コプラ
ナPCBに対する分解率は78%であり、ビスフェノー
ルAに対する分解率は92%であり、また、ペンタクロ
ロフェノールに対する分解率は87%であった。
【0041】〔実施例19〜22〕ラッカーゼ生産微生
物として、メルリウス・トレメロータス〔Meruli
us tremellosus;IFO−30385〕
を用いた他は、実施例7と同様にしてラッカーゼ生産微
生物を培養し、難分解性物質の分解率を測定したとこ
ろ、2,3,7,8−テトラクロロジベンゾダイオキシ
ンに対する分解率は77%であり、3,3’,4,
4’,5,5’−コプラナPCBに対する分解率は68
%であり、ビスフェノールAに対する分解率は94%で
あり、また、ペンタクロロフェノールに対する分解率は
86%であった。つぎに、これら実施例7〜22の結果
をまとめて第2表に示す。
【0042】
【表2】
【0043】〔実施例23〕 (1)ラッカーゼ酵素液の調製 内容積500ミリリットルのマイヤーフラスコ5本に、
それぞれ培地成分として、フスマ1.5gと、米ぬか
1.5g,クヌギおが屑0.58g、硫酸銅・5水和物
0.5mgを入れ、さらに水道水100ミリリットルを
加えた。ついで、これらフラスコに密栓をしてオートク
レーブに入れ、121℃の温度おいて20分間殺菌し
た。つぎに、この培地を室温に冷却した後、上記フラス
コ5本にそれぞれラッカーゼ生産微生物として、シゾフ
ィラム・コムネ〔Schizophillum com
mune;IFO−6505〕を1白金耳接種し、温度
25℃、回転数110rpmにおいて、3日間にわたり
振とう培養をした。その後、温度25℃において7日間
にわたり、静置培養した。
【0044】培養終了後、これら5本のフラスコ内の培
養物を集め、11,000Gにおいて遠心分離すること
により、上澄み液を得た。この上澄み液のラッカーゼ活
性は、12.0ユニット/gであり、リグニンパーオキ
シダーゼおよびマンガンパーオキシダーゼの活性は認め
られなかった。ついで、得られた上澄み液に、その腐敗
防止のために、10w/v%濃度の塩化ベンザルコニウ
ム液〔日本製薬社製〕を1.0ミリリットル加え、さら
に水道水を加えて全量を500ミリリットルとして、ラ
ッカーゼ酵素液を調製した。
【0045】(2)ダイオキシン類含有水の調製 流動床式の焼却炉から採取したダイオキシン類を含む都
市ゴミ焼却灰200gに、2規定濃度の塩酸1リットル
を加えて、2時間放置した。ついで、この液を吸引濾過
して得た上澄み液に、ジクロルメタン1リットルを加
え、室温において2時間にわたり液−液抽出をした。ま
た、吸引濾過で得られた焼却灰に、トルエン1リットル
を加え、室温において、攪拌下に48時間にわたって抽
出した。つぎに、上記ジクロルメタン抽出液とトルエン
抽出液を混合して、これを無水硫酸ナトリウムにより脱
水した後、減圧濃縮乾固した。さらに、この濃縮乾固物
に、界面活性剤としてポリオキシエチレンソルビタンモ
ノオレエート〔花王アトラス社製:Tween80〕を
5ミリリットルを加え、ついで水道水1リットルを加え
て混合し、ダイオキシン類を含有する水を調製した。
【0046】(3)ダイオキシン類の分解反応 内容積250ミリリットルのマイヤーフラスコに、上記
(2)で調製したダイオキシン類を含有する水25ミリ
リットルを入れ、1規定濃度の塩酸を加えて、ダイオキ
シン類含有水のpHを3.5に調整した。つぎに、この
ダイオキシン類含有水に、上記(1)で調製したラッカ
ーゼ酵素液25ミリリットルを加え、50℃で3時間攪
拌して、ダイオキシン類のラッカーゼ酵素による分解反
応を行った。反応終了後、ジクロルメタンを加えて反応
を完全に停止させ、反応液中に残存するダイオキシン類
の量を測定して、ダイオキシン類の分解率を算出した。
ここでの、ダイオキシン類の分解率の算出には、比較の
ためにpHを7.0とし、かつラッカーゼ酵素無添加の
場合のダイオキシン類の含有量を100として、次式に
より算出した。 〔(酵素無添加試料−酵素添加試料)/酵素無添加試
料〕×100(%) この結果、この反応におけるダイオキシン類の分解率は
38%であった。
【0047】〔実施例24〜28〕実施例23の(3)
におけるダイオキシン類含有水のpHを、順次、4.5
〔実施例24〕、5.5〔実施例25〕、7.0〔実施
例26〕、9.0〔実施例27〕、10.0〔実施例2
8〕に調整した他は、実施例23の(3)と同様にし
て、ダイオキシン類のラッカーゼ酵素による分解反応を
行った。なお、実施例27および28においては、1規
定濃度の水酸化ナトリウムを加えてダイオキシン類含有
水のpHの調整をした。これら結果を、実施例23も含
めて第3表に示す。
【0048】
【表3】
【0049】〔実施例29〜34〕ラッカーゼ生産微生
物として、トラメテス・ベルシカラー〔Tramete
sversicolor;IFO−30340〕を用い
た他は、実施例23の(1)と同様にして、ラッカーゼ
酵素液を調製した。ついで、実施例23の(2)と同様
にして調製したダイオキシン類含有水を使用し、これを
1規定濃度の塩酸または1規定濃度の水酸化ナトリウム
により、そのpHを順次、3.5〔実施例29〕、5.
0〔実施例30〕、6.0〔実施例31〕、7.0〔実
施例32〕、8.5〔実施例33〕、9.5〔実施例3
4〕に調整した他は、実施例23の(3)と同様にし
て、ダイオキシン類のラッカーゼ酵素による分解反応を
行った。これら結果を、第4表に示す。
【0050】
【表4】
【0051】〔実施例35〜40〕ラッカーゼ生産微生
物として、プレウロタス・パルモナリス〔Pleuro
tus pulmonaris;IFO−31345〕
を用いた他は、実施例23の(1)と同様にして、ラッ
カーゼ酵素液を調製した。ついで、実施例23の(2)
と同様にして調製したダイオキシン類含有水を使用し、
これを1規定濃度の塩酸または1規定濃度の水酸化ナト
リウムにより、そのpHを順次、3.5〔実施例3
5〕、5.0〔実施例36〕、7.0〔実施例37〕、
8.0〔実施例38〕、9.0〔実施例39〕、10.
0〔実施例40〕に調整した他は、実施例23の(3)
と同様にして、ダイオキシン類のラッカーゼ酵素による
分解反応を行った。これら結果を第5表に示す。
【0052】
【表5】
【0053】
【発明の効果】本発明によれば、都市ゴミや産業廃棄物
などの焼却に伴って発生するダイオキシン類、コプラナ
PCB類、ビスフェノール類、アルキルフェノール類、
ハロゲン化フェノール類,フタル酸エステル類などの有
害な難分解性芳香族化合物を、酵素生産の安定性に優れ
たラッカーゼ生産微生物または該微生物が生産したラッ
カーゼにより効果的に分解させて無害化することができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 9/02 C12R 1:645) //(C12N 1/00 (C12N 9/02 C12R 1:645) C12R 1:645) (C12N 9/02 B09B 3/00 E C12R 1:645) ZABA Fターム(参考) 2E191 BA11 BA12 BA13 BB01 BD20 4B050 CC07 DD03 DD05 LL10 4B065 AA58X AA71X AC20 BD27 BD30 BD34 CA28 CA56 4D004 AA36 AA41 AB05 AB06 AB07 CA18 CC07 DA03 DA20 4D040 DD01

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素数が6以上の難分解性芳香族化合物
    を分解するにあたり、該難分解性芳香族化合物と、ラッ
    カーゼおよび/またはラッカーゼを生産する微生物とを
    接触させることを特徴とする難分解性芳香族化合物の分
    解方法。
  2. 【請求項2】 炭素数が6以上の難分解性芳香族化合物
    が、ダイオキシン類、コプラナPCB類、ビスフェノー
    ル類、アルキルフェノール類、ハロゲン化フェノール類
    及びフタル酸エステル類から選ばれる少なくとも1種で
    ある請求項1記載の分解方法。
  3. 【請求項3】 塩素原子を1個以上有するダイオキシン
    類またはコプラナPCB類を分解するにあたり、該ダイ
    オキシン類またはコプラナPCB類と、ラッカーゼおよ
    び/またはラッカーゼを生産する微生物を、水または土
    壌中で接触させることを特徴とするダイオキシン類の分
    解方法。
  4. 【請求項4】 ラッカーゼが、シゾフィラム(Schi
    zophillum)属、プレウロタス(Pleuro
    tus)属、トラメテス(Trametes)属、レン
    チナス(Lentinus)属、リゾクトニア(Rhi
    zoctonia)属、フナリア(Funalia)
    属、フィクノポラス(Pycnoporus)属、メル
    リウス(Merulius)属、ミセリオプトラ(My
    celiophtora)属、コプリヌス(Copri
    nus)属、アガリクス(Agaricus)属、フォ
    リオタ(Pholiota)属、フラムリナ(Flam
    mulina)属、ガノデルマ(Ganoderma)
    属、ダエダレオプシス(Daedaleopsis)
    属、ファボラス(Favolus)属、リオフィラム
    (Lyophyllum)属またはオーリクラリア(A
    uricularia)属に属する微生物が生産したラ
    ッカーゼを分離したものである請求項1記載の分解方
    法。
  5. 【請求項5】 ラッカーゼを生産する微生物が、シゾフ
    ィラム(Schizophillum)属、プレウロタ
    ス(Pleurotus)属、トラメテス(Trame
    tes)属、レンチナス(Lentinus)属、リゾ
    クトニア(Rhizoctonia)属、フナリア(F
    unalia)属、フィクノポラス(Pycnopor
    us)属、メルリウス(Merulius)属、ミセリ
    オプトラ(Myceliophtora)属、コプリヌ
    ス(Coprinus)属、アガリクス(Agaric
    us)属、フォリオタ(Pholiota)属、フラム
    リナ(Flammulina)属、ガノデルマ(Gan
    oderma)属、ダエダレオプシス(Daedale
    opsis)属、ファボラス(Favolus)属、リ
    オフィラム(Lyophyllum)属またはオーリク
    ラリア(Auricularia)属に属する微生物で
    ある請求項1記載の分解方法。
  6. 【請求項6】 炭素数が6以上の難分解性芳香族化合物
    と、ラッカーゼおよび/またはラッカーゼを生産する微
    生物とを、pHが3〜11の水または土壌中において接
    触させることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記
    載の分解方法。
  7. 【請求項7】 ラッカーゼおよび/またはラッカーゼを
    生産する微生物を含有する組成物からなる、炭素数が6
    以上の難分解性芳香族化合物の分解剤。
  8. 【請求項8】 組成物が更にメディエーターを含有する
    請求項7記載の分解剤。
  9. 【請求項9】 炭素数が6以上の難分解性芳香族化合物
    が、ダイオキシン類、コプラナPCB類、ビスフェノー
    ル類、アルキルフェノール類、ハロゲン化フェノール類
    及びフタル酸エステル類から選ばれる少なくとも1種で
    ある請求項7または8に記載の分解剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111675342A (zh) * 2020-05-29 2020-09-18 山东大学 一种固定化漆酶强化人工湿地系统

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