JP2005034057A - リグニン分解酵素の製造方法及びダイオキシン類の分解方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本願発明者が新規に単離した白色腐朽菌による有機塩素化合物及び/又は有機塩素化合物のハロゲン置換体の分解効率を高める。
【解決手段】 受託番号FERM P-18877で特定される白色腐朽菌を、5-アミノレブリン酸の存在下で培養することで、有機塩素化合物及び/又は有機塩素化合物のハロゲン置換体の分解効率を高めることができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ダイオキシン類等の有機塩素化合物及び/又は有機塩素化合物のハロゲン置換体の分解能を有する新規な白色腐朽菌の培地に添加する白色腐朽菌用培地添加剤、白色腐朽菌の培養方法、環境浄化方法及び/又は環境浄化剤、さらに白色腐朽菌及び/又は白色腐朽菌の培養液を用いた有機塩素化合物及び/又は有機塩素化合物のハロゲン置換体並びに重金属を含む灰又は土壌の処理方法及び処理装置に関する。
ダイオキシンの無害化・分解技術としては、光分解法、化学分解法、溶融法、微生物分解法に大別される。中でも微生物分解法は、他の分解法と比較して多大なエネルギーを要せず、二次汚染物質の発生が少ないメリットを持つことから、分解菌を用いた環境修復の研究が勢力的に進められている。ダイオキシンを分解する細菌としては、1966年にWilkesらによって1及び2塩素を置換するダイオキシン類を分解できるSphingomonas属細菌が報告された(非特許文献1参考)。ただし、この細菌では塩素置換数が3以上のダイオキシン類は分解されないことも報告されている。また、Kleckaらは、Pseusdomonas属細菌による無塩素置換ダイオキシンの分解を報告している(非特許文献2参考)。最近、低塩素置換のダイオキシン類を効率的に分解するPseudomonas属細菌も見出されているが、4塩素以上のダイオキシン類の分解は難しいと言われている。一方、細菌と同様に木材を腐朽する菌(木材腐朽菌)によるダイオキシン分解も研究されている。木材腐朽菌は、木材中のセルロース及びヘミセルロースを主として分解する褐色腐朽菌と、リグニンも分解できる白色腐朽菌に大別される。中でも白色腐朽菌が生成するリグニン分解酵素は基質特異性が低いために、ダイオキシン類を始めとする様々な環境汚染物質の分解が期待されている。
白色腐朽菌によるリグニン分解には、リグニンペルオキシダーゼ(LIP)、マンガンペルオキシダーゼ(MnP)の2つの細胞外酵素が関与すると言われている。また、ダイオキシン類は単一の酵素では完全分解されないが、これらの複数の酵素が作用することによって完全分解に至る。Valliらは白色腐朽菌Phanarochaete chrysosporiumにより、2,7-ジクロロ-p-ジオキシン(2,7-DCDD)が50%分解(25μM、27日間培養)できることを報告した(非特許文献3参考)。また、橘らは、数種の白色腐朽菌が2,7-DCDDおよび2,4,8-トリクロロジベンゾフラン(2,4,8-TCDF)を約80〜96%分解できることを報告している(非特許文献4、5、6及び7参考)。同様に、天然から分離した菌により5塩素置換の2,3,4,7,8-PCDFも分解できることも見出している。このように、白色腐朽菌は細菌では分解が困難な多塩素置換のダイオキシン類も分解することができ、ダイオキシン分解の有望な微生物として大いに注目されている。しかしながら、ダイオキシン類を明確に分解する白色腐朽菌としては、Phanerochaete sordida YK-624(非特許文献8参考)、Phanerochaete chrysosporium(非特許文献8参考)、Phlebia lindtneri(第46回リグニン検討会,木材学会,2001.11.1)、Trametes versicolor(NEDO 平成11年度提案公募事業成果報告)、Schizophyllum commune(NEDO 平成11年度提案公募事業成果報告)を始めその数は少ない。
一方、廃棄物を燃焼/冷却方式によって処理すると、ダイオキシン類が新規合成され、かつ灰中にダイオキシン類が残存することが知られている。また今日、ダイオキシン類特別措置法の施行により、大気環境へのダイオキシン類排出規制が強化されている。従って、焼却によって発生した排ガス中のダイオキシン類の高度処理が進められる一方で、新規合成されたダイオキシン類は今以上に灰中に残存するものと考えられる。また、焼却施設から飛散したダイオキシン類によって土壌は汚染される。さらに、灰や土壌中には、ダイオキシン類とともに高濃度の重金属が含まれている場合が多い。
ダイオキシン類及び重金属の双方を含有する灰又は土壌の処理方法としては、その無害化とともに減容化の観点から高温による溶融処理方法が挙げられる。しかしながら、この処理方法は多大なエネルギーを要する。
重金属処理方法としては、上記のような溶融処理方法以外に、例えば「セメント固化法」、「薬剤処理法」及び「酸抽出法」が挙げられる。「セメント固化法」は、操作が容易である一方、重金属の溶出抑制にセメントを用いるため処分容積が増大するといった問題が生じる。また、セメント固化法によって処理された処理物は、酸性条件下での長期安定性に乏しい。「薬剤処理法」は、他の処理方法に比べて処理コストが安価である一方、処理物の長期安定性について十分な知見が得られていない(非特許文献9参考)。また「酸抽出法」は、処理プロセスの設計が容易であり(非特許文献10参考)、重金属の高純度回収が可能であるといった利点を有する。
しかしながら、これら重金属処理方法によってダイオキシン類及び重金属の双方を含有する灰又は土壌を処理する場合には、ダイオキシン類を含めた有機汚染物質を事前に除去する必要がある。このように、ダイオキシン類及び重金属の双方を含有する灰又は土壌を処理する方法として、溶融処理方法以外に知られていないのが現状である。
H.Wilkes et al. ; Appl. Environ. Microbiol., 62(2), 367(1996) G.M.Klecka, D.T.Gilson ; Biochem.J., 180, 639(1979) K.Valli et al. ; J.Bicteriology, 174(7), 231(1992) 橘 燐郎ら ; 紙パ技協誌, 53(8), 1054(1999) 伊藤和貴ら ; 紙パ技協誌, 51(11), 1759(1997) 大川浩樹ら ; 第41回リグニン討論会講演集, 名古屋, 1996, P.163 大川浩樹ら ; 紙パ技協誌, 53(8), 1054(1999) S.Takada et al. ; Appl. Environ. Microbiol., 62(12), p.4323(1996) 伊藤一郎 ; 薬剤処理法、環境管理, 第34巻, 第9号, p.21-26(1998) 長崎英範;「溶融飛灰の山元還元」について、都市清掃, 第51巻, 第227号, p.605-610(1998)
そこで、本発明は、上述したような実状に鑑み、本願発明者が新規に単離した白色腐朽菌による有機塩素化合物及び/又は有機塩素化合物のハロゲン置換体の分解効率を高めることができる、白色腐朽菌用培地添加剤、白色腐朽菌を培養する培養方法、環境浄化剤及び環境浄化方法、さらに白色腐朽菌及び/又は白色腐朽菌の培養液を用いた有機塩素化合物及び/又は有機塩素化合物のハロゲン置換体並びに重金属を含む灰又は土壌の処理方法及び処理装置を提供することを目的としている。
上述した目的を達成するため、本発明者が鋭意検討した結果、本願発明者が新規に単離した白色腐朽菌(受託番号FERM P-18877で特定される白色腐朽菌)を、5-アミノレブリン酸の存在下で培養することで、有機塩素化合物及び/又は有機塩素化合物のハロゲン置換体の分解効率を高めることができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
本発明は以下を包含する。
(1)5-アミノレブリン酸を含み、受託番号FERM P-18877で特定される白色腐朽菌によるリグニンペルオキシダーゼ活性を向上できる、白色腐朽菌用培地添加剤。
(2)実質的に窒素源を含まない培地に対して添加することを特徴とする(1)記載の白色腐朽菌用培地添加剤。
(3)窒素源が5ppm以下である培地に対して添加することを特徴とする(1)記載の白色腐朽菌用培地添加剤。
(4)5-アミノレブリン酸を含む培地で、受託番号FERM P-18877で特定される白色腐朽菌を培養する培養方法。
(5)受託番号FERM P-18877で特定される白色腐朽菌を培養する際に培地中の窒素源濃度を測定し、
培地中の窒素源が消費された後に5-アミノレブリン酸を培地中に添加することを特徴とする(4)記載の培養方法。
(6)培地中の窒素源濃度が5ppm以下となった後、5-アミノレブリン酸を添加することを特徴とする(4)記載の培養方法。
(7)5-アミノレブリン酸を含む培地で培養した受託番号FERM P-18877で特定される白色腐朽菌及び/又は当該白色腐朽菌の培養液を用いて、有機塩素化合物及び/又は有機塩素化合物のハロゲン置換体を含む環境を浄化することを特徴とする環境浄化方法。
(8)上記白色腐朽菌を培養する際に窒素源濃度を測定し、培地中の窒素源が消費された後に5-アミノレブリン酸を添加することで調整された白色腐朽菌及び/又は当該白色腐朽菌の培養液を用いることを特徴とする(7)記載の環境浄化方法。
(9)5-アミノレブリン酸の添加から5時間から5日間経過した後の上記白色腐朽菌及び/又は当該白色腐朽菌の培養液を用いることを特徴とする(8)記載の環境浄化方法。
(10)上記培養液の窒素源濃度が5ppm以下であることを特徴とする(7)記載の環境浄化方法。
(11)受託番号FERM P-18877で特定される白色腐朽菌及び/又は当該白色腐朽菌の培養液と、5-アミノレブリン酸とを含む環境浄化剤。
(12)上記培養液中が実質的に窒素源を含まないことを特徴とする(11)記載の環境浄化剤。
(13)上記培養液中の窒素源濃度が5ppm以下であることを特徴とする(11)記載の環境浄化剤。
(14)白色腐朽菌及び/又は白色腐朽菌の培養液を用いて、酸性条件下で有機塩素化合物及び/又は有機塩素化合物のハロゲン置換体並びに重金属を含む灰又は土壌を処理する工程、及び上記工程で生成されたスラリーに不溶化剤を添加することによりスラリー中の重金属を不溶化する工程を含む、灰又は土壌の処理方法。
(15)上記白色腐朽菌は5-アミノレブリン酸を含む培地で培養した受託番号FERM P-18877で特定される白色腐朽菌であり、上記白色腐朽菌の培養液は受託番号FERM P-18877で特定される白色腐朽菌を5-アミノレブリン酸を含む培地で培養したものであることを特徴とする(14)記載の灰又は土壌の処理方法。
(16)上記白色腐朽菌を培養する際に窒素源濃度を測定し、培地中の窒素源が消費された後に5-アミノレブリン酸を添加することで調整された白色腐朽菌及び/又は当該白色腐朽菌の培養液を用いることを特徴とする(14)記載の灰又は土壌の処理方法。
(17)5-アミノレブリン酸の添加から5時間から5日間経過した後の上記白色腐朽菌及び/又は当該白色腐朽菌の培養液を用いることを特徴とする(16)記載の灰又は土壌の処理方法。
(18)上記培養液の窒素源濃度が5ppm以下であることを特徴とする(15)記載の灰又は土壌の処理方法。
(19)上記酸性条件は、pH1.0〜6.0であることを特徴とする(14)記載の灰又は土壌の処理方法。
(20)上記不溶化剤は、硫化剤であることを特徴とする(14)記載の灰又は土壌の処理方法。
(21)白色腐朽菌及び/又は白色腐朽菌の培養液と、有機塩素化合物及び/又は有機塩素化合物のハロゲン置換体並びに重金属を含む灰又は土壌とを接触させる処理部を備え、上記処理部に投入された灰又は土壌を酸性条件下で処理した後、上記処理部に不溶化剤を添加して重金属を不溶化する灰又は土壌の処理装置。
(22)上記白色腐朽菌は5-アミノレブリン酸を含む培地で培養した受託番号FERM P-18877で特定される白色腐朽菌であり、上記白色腐朽菌の培養液は受託番号FERM P-18877で特定される白色腐朽菌を5-アミノレブリン酸を含む培地で培養したものであることを特徴とする(21)記載の灰又は土壌の処理装置。
(23)上記白色腐朽菌を培養する際に窒素源濃度を測定し、培地中の窒素源が消費された後に5-アミノレブリン酸を添加することで調整された白色腐朽菌及び/又は当該白色腐朽菌の培養液を用いることを特徴とする(21)記載の灰又は土壌の処理装置。
(24)5-アミノレブリン酸の添加から5時間から5日間経過した後の上記白色腐朽菌及び/又は当該白色腐朽菌の培養液を用いることを特徴とする(23)記載の灰又は土壌の処理装置。
(25)上記培養液の窒素源濃度が5ppm以下であることを特徴とする(22)記載の灰又は土壌の処理装置。
(26)上記酸性条件は、pH1.0〜6.0であることを特徴とする(21)記載の灰又は土壌の処理装置。
(27)上記不溶化剤は、硫化剤であることを特徴とする(21)記載の灰又は土壌の処理装置。
本発明によれば、環境中に含まれる有害な有機塩素化合物及び/又は有機塩素化合物のハロゲン置換体を含む環境を、効果的に浄化することができる白色腐朽菌用培地、白色腐朽菌を培養する培養方法、環境浄化剤及び環境浄化方法、並びに白色腐朽菌及び/又は白色腐朽菌の培養液を用いた有機塩素化合物及び/又は有機塩素化合物のハロゲン置換体並びに重金属を含む灰又は土壌の処理方法及び処理装置を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る新規な白色腐朽菌は、日本国内(山口県岩国市岩国城)の森林土壌から、ダイオキシン類の分解活性を指標としてスクリーニングされたものである。ダイオキシン類の分解活性を持つ白色腐朽菌として単離した新規な白色腐朽菌をMS-325と命名した。
この新規な白色腐朽菌MS-325は、2002年6月7日付けで特許微生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1-1-1 中央第6)に受託番号FERM P-18877として寄託されている。受託番号FERM P-18877で特定される白色腐朽菌は、以下の菌学的性質を有する。
A.形態的性質
(1) 細胞の形及び大きさ:
糸状性であり、クランプコネクション及び分節型文生子を形成
(2) 細胞の多形性の有無:
なし
(3) 運動性の有無:
なし
(4) 胞子の有無:
なし
以上のような菌学的性質を有する受託番号FERM P-18877で特定される白色腐朽菌は、有機塩素化合物及び/又は有機塩素化合物のハロゲン置換体を分解する能力を有する。ここで、有機塩素化合物とは、環境中において難分解性であることが知られている天然の或いは合成された化学物質を意味する。有機塩素化合物としては、例えばダイオキシン類を挙げることができる。ダイオキシン類とは、ポリ塩化ジベンゾパラジオキシン(PCDDsと言う場合もある)、ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDFsと言う場合もある)及びコプラナーポリ塩化ビフェニール(Co-PCBsと言う場合もある)を意味する。また、ダイオキシン類とは、PCDDs、PCDFs及びCo-PCBsにおいて塩素置換数、すなわち塩素原子の結合数と塩素原子の結合位置によって分類される多数の化合物も含む意味である。また、有機塩素化合物のハロゲン置換体とは、有機塩素化合物において、塩素原子がフッ素、臭素又はヨウ素に置換した化合物を意味する。なお、有機塩素化合物及び/又は有機塩素化合物のハロゲン置換体は全ての異性体及び/又は同族体を含む意味である。
特に、受託番号FERM P-18877で特定される白色腐朽菌を、5-アミノレブリン酸を添加した培地で培養することによって、有機塩素化合物及び/又は有機塩素化合物のハロゲン置換体を分解する能力を大幅に向上させることができる。培地に5-アミノレブリン酸を添加する時期としては、受託番号FERM P-18877で特定される白色腐朽菌を培養しながら培地中の窒素源濃度を測定し、窒素源が消費された後であることが好ましい。具体的に、培地に5-アミノレブリン酸を添加する時期としては、培地中の窒素源濃度が5ppm以下となった後であることが好ましい。
言い換えると、受託番号FERM P-18877で特定される白色腐朽菌の培地には、5-アミノレブリン酸を含む白色腐朽菌用培地添加剤を添加することによって、有機塩素化合物及び/又は有機塩素化合物のハロゲン置換体を分解する能力を大幅に向上させることができる。
5-アミノレブリン酸の添加量としては、培養液中の平均濃度0.1〜5mMの範囲であることが好ましく、0.1〜2mMの範囲であることがより好ましく、1mMであることが更に好ましい。5-アミノレブリン酸の添加量が0.1mM未満である場合には、受託番号FERM P-18877で特定される白色腐朽菌による分解活性を向上させることができない恐れがあり、5-アミノレブリン酸の添加量が5mMを超える場合には、当該白色腐朽菌の増殖阻害を生じる恐れがある。
有機塩素化合物等を分解する能力は、例えば、既知量のダイオキシン類等の有機塩素化合物を含む溶液にて上記白色腐朽菌を培養し、当該溶液中に残存する有機塩素化合物を定量し、有機塩素化合物の減少量に基づいて評価できる。なお、溶液中の有機塩素化合物の定量は、GC-MS等の公知の手法を用いて実施できる。また、有機塩素化合物を分解する能力は、例えば、有機塩素化合物の分解活性を有する酵素の酵素活性を測定することで評価することも可能である。有機塩素化合物としてダイオキシン類を用いた場合、ダイオキシン類の分解活性を有する酵素としては、例えば、リグニンペルオキシダーゼ(LIPと言う場合もある)及びマンガンペルオキシダーゼ(MnPと言う場合もある)を挙げることができる。
有機塩素化合物及び/又は有機塩素化合物のハロゲン置換体が含まれる環境としては、特に限定されないが、例えば、農地、焼却灰、焼却灰を含む焼却場周辺、工場跡地の土壌を挙げることができる。また、環境としては、河川の底泥を挙げることができる。さらに、環境としては、河川、農業用水、工業用水、湖沼、地下水、工場排水等の水環境を挙げることができる。なお、環境に含まれる有機塩素化合物及び/又は有機塩素化合物のハロゲン置換体は一種類であってもよいが複数種類であっても良い。
受託番号FERM P-18877で特定される白色腐朽菌は、上述した各種環境に含まれる有機塩素化合物及び/又は有機塩素化合物のハロゲン置換体を分解することができる。また、上記環境に含まれる有機塩素化合物及び/又は有機塩素化合物のハロゲン置換体を分解して当該環境を浄化する際には、この白色腐朽菌自体を用いても良いし、この白色腐朽菌を含む培養液(以下、単に「培養液」と呼ぶ)を用いても良い。
受託番号FERM P-18877で特定される白色腐朽菌を前培養する際の温度は10〜37℃の範囲、好ましくは25〜30℃である。また、培養時のpHは3〜7の範囲、好ましくは4〜5である。培養日数は、菌体の増殖と菌体外酵素が充分に産生されれば良く、通常3〜30日間の範囲である。また、静置、振とう、撹拌、通気のいずれの培養方法で良く、静置培養では7〜12日間、振とう、通気又は撹拌培養の場合は、4〜7日間が好ましい。
培養に用いる培地には、各種の炭素源、窒素源、無機塩類、ビタミン類を適宜添加する。炭素源としては、グルコース、フルクトース、マルトース、サッカロース、グリセリン、スターチ、糖蜜、廃糖蜜、マルツエキス、などの単糖類や多糖類が挙げられる。窒素源としては、肉エキス、ペプトン、グルテンミール、大豆粉、乾燥酵母、酵母エキス、硫酸アンモニウム、酒石酸アンモニウム塩、尿素、L-アスパラギン酸などが挙げられる。培地中には、上述した物質以外に、ナトリウム塩、マグネシウム塩、鉄塩、カルシウム塩、リン酸塩などの他の無機塩類や、イノシトール、ビタミンB1塩酸塩、ビオチンなどのビタミン類を添加しても良い。
以上のように前培養で増殖させた受託番号FERM P-18877で特定される白色腐朽菌の培養液を、同様の培地組成である新しい培養液に添加し本培養を行う。本培養の培養液量は、前培養液量の1〜100倍容の範囲、好ましくは5〜20倍容である。培養温度は10〜37℃の範囲、好ましくは25〜30℃である。また培養時のpHは3〜7の範囲、好ましくは4〜6である。なお、本培養での液体培地はオートクレーブ滅菌、蒸気滅菌、フィルター滅菌を行っても良く、非滅菌で用いることもできる。
本液体培地に前培養した培養液を混合後、通気又は/及び撹拌を行う。通気量は、培養液1L当たり0.1〜5L/L/minの範囲であることが好ましく、また0.3〜2L/L/minであることがより好ましい。
また、白色腐朽菌を含む培養液を用いて環境を浄化する際には、培地中に例えばMnSO4、MnCL2などの化合物の形で2価マンガンイオンを添加する。培地中の2価マンガンイオン濃度は0.01〜100mM、好ましくは0.1〜1mMの範囲である。培地中に2価マンガンイオンを存在させることによって、白色腐朽菌が産生するマンガンペルオキシダーゼ(MnP)が2価マンガンイオンを3価マンガンイオンに酸化し、この3価マンガンイオンが有機塩素化合物の分解に作用すると考えられる。
本培養においては、培養液中の窒素源濃度を測定し、培養液中の窒素源が消費された(例えば、窒素源濃度が5ppm以下となった)後に、5-アミノレブリン酸を添加する。窒素源としてアンモニアを使用した場合には、本培養しながらイオンクロマトグラフィーで培地中のアンモニア濃度を測定することができる。
5-アミノレブリン酸を添加してから培養液中のLIPおよびMnP活性を測定することで、当該培養液が、有機塩素化合物及び/又は有機塩素化合物のハロゲン置換体に対して優れた分解活性を示す時期を判別することができる。
培養液に含まれる各酵素活性の測定方法としては、LIPではベラトリルアルコール(以下VAと言う)と過酸化水素(以下 H2O2と言う)を用いてLIPの作用によって生成するベラトリルアルデヒド(以下VADと言う)の生成速度を310nmで測定する方法 (LIP測定法-1と言う)がある。また、青色素である Azure BとH2O2を用いてLIPの作用によって減少するAzure Bの減少速度を651nmで測定する方法(LIP測定法-2と言う)がある。この中で、LIP測定法-2はLIP活性を選択的に測定できるが、培養液のろ過、濃縮といった前処理と長時間の測定を要するためリアルタイムでの活性評価が困難である。一方、MnPの選択的な測定方法としては、黄色素であるフェノールレッド(以下PRと言う)とH2O2を用いてMnPの作用によって減少するPRの減少速度を431nmで測定する方法(以下MnP測定法と言う)がある。しかし、この方法もLIP測定法-2と同様に定量のためには培養液のろ過、濃縮といった前処理と測定時間を要するため短時間での活性の評価が困難である。そこで、LIPとMnP活性を直接測定するのではなく、これらの酵素活性に関与するベラトリルアルコールオキシダーゼ活性(以下VAOと言う)を測定する。この方法は、VAとろ過した培養液を用いて生成するVADを310nmで測定する方法であり、非常に短時間で測定することができる。
このように、培養液のVAO活性を連続的に測定し、VAO活性が定常または減少した時点で培養を停止する。すなわち、この時点における培養液は、有機塩素化合物及び/又は有機塩素化合物のハロゲン置換体に対して優れた分解活性を示すものとなる。なお、5-アミノレブリン酸を添加してから培養を停止するまでの期間は、おおよそ10〜250時間の範囲ある。
また、有機塩素化合物及び/又は有機塩素化合物のハロゲン置換体を分解して環境を浄化する際には、限定されないが、当該環境に対して上述した白色腐朽菌及び/又は培養液を添加する方法、上述した白色腐朽菌及び/又は培養液を保持するリアクターに浄化対象の土壌、水質等を接触させる方法等を挙げることができる。
ところで、上記環境に含まれる有機塩素化合物及び/又は有機塩素化合物のハロゲン置換体を分解して環境を浄化する際には、濾過や遠心分離などの手段により上記培養液から菌体を除去してなる無菌培養液を用いてもよい。また、この無菌培養液を塩析やカラムクロマトグラフィーなどの手段により、純粋な酵素液として使用することもできる。また、培養液から除去して得られた菌体を用いて環境を浄化してもよい。
白色腐朽菌を含まない無菌培養液を用いる場合であっても、当該白色腐朽菌が産生する酵素が当該無菌培養液に含まれているために有機塩素化合物を分解することができる。
例えば、浄化対象の環境が水環境である場合、以下の方法によって浄化することができる。
1)上記白色腐朽菌又は上記白色腐朽菌の培養液を添加する方法
この方法においては、浄化対象の水環境に対して上述した培地を添加する。このとき、浄化対象の水環境に対してアルカリ又は酸を添加し、白色腐朽菌の増殖及びダイオキシン分解酵素等の有機塩素化合物分化酵素の作用が好適になるpH範囲内に調整することが好ましい。ここで、水環境のpHは3〜7の範囲、好ましくは4〜5である。その後、前培養で調整した白色腐朽菌又は白色腐朽菌の培養液を用いて、浄化対象の水環境に植菌し、白色腐朽菌を水環境中で培養する。培養する際の温度は10〜37℃の範囲、好ましくは25〜28℃である。培養日数は特に限定はなく、浄化対象の水環境に含まれる有機塩素化合物及び/又は有機塩素化合物のハロゲン置換体を充分に分解できる日数である。なお、培養液中には、培養期間の経過とともに過酸化水素が生成される。過酸化水素が存在することでLIP及びMnPが作用し、特に、ダイオキシン類及び/又はダイオキシンのハロゲン置換体の分解が促進される。
2)上記白色腐朽菌が産生する酵素液を添加する方法
この方法においては、浄化対象の水環境における酵素の作用が好適になるように、アルカリ又は酸を添加し、水環境のpHを調製する。水環境のpHは3〜7の範囲、好ましくは4〜5である。あるいは、水環境に対してpH緩衝剤(バッファー)を添加することで、水環境のpHを調製することもできる。pH緩衝剤としては、pH3〜7の範囲、好ましくは4〜5で緩衝作用を示すものを使用することが好ましい。また、浄化対象の水環境に2価マンガンイオンを存在させることによって、ダイオキシン類及び/又はダイオキシンのハロゲン置換体の分解を促進することができる。したがって、浄化対象の水環境に対してMnSO4、MnCL2等を、浄化対象の水環境に含まれる2価マンガンイオン濃度が0.01〜100mM、好ましくは0.1〜1mMの範囲になるように添加する。その後、酵素液を添加し、温度20〜45℃の範囲、好ましくは30〜40℃で処理する。処理日数は特に限定はなく、有機塩素化合物及び/又は有機塩素化合物のハロゲン置換体が充分に分解できる日数である。
一方、浄化対象の環境が土壌(焼却灰を含む)である場合、以下の方法によって浄化することができる。
1)上記白色腐朽菌又は上記白色腐朽菌の培養液を添加する方法
この方法では、先ず、浄化対象の土壌を水に分散し懸濁液としたものを調製する。そして、上述した浄化対象が水環境の場合の処理に準じて、調製した懸濁液を処理する。また、上記白色腐朽菌又は白色腐朽菌の培養液を浄化対象の土壌に直接添加し、混合して処理することもできる。
2)上記白色腐朽菌が産生する酵素液を添加する方法
この方法においても、先ず、浄化対象の土壌を水に分散し懸濁液としたものを調製する。そして、上述した浄化対象が水環境の場合の処理に準じて、調製した懸濁液を処理する。
一方、本発明に係る灰又は土壌の処理方法は、白色腐朽菌及び/又は白色腐朽菌の培養液を用いて、酸性条件下で有機塩素化合物及び/又は有機塩素化合物のハロゲン置換体並びに重金属を含む灰又は土壌を処理する工程、及び上記工程で生成されたスラリーに不溶化剤を添加することによりスラリー中の重金属を不溶化する工程を含む、灰又は土壌の処理方法である。
本発明に係る灰又は土壌の処理方法の対象は、有機塩素化合物及び/又は有機塩素化合物のハロゲン置換体並びに重金属を含む灰又は土壌である。灰としては、例えば、都市ゴミや産業廃棄物等の焼却炉から排出される焼却灰及びその排ガスから捕集された飛灰が挙げられる。また、土壌としては、例えば、工場跡地の土壌が挙げられる。なお、重金属とは、比重4.5以上の金属を意味する。本発明に係る処理方法において、対象となる重金属としては、例えば、環境基準で規定されるカドミウム、鉛、クロム、砒素、水銀、銅、セレン等が挙げられる。
本発明に係る灰又は土壌の処理方法において使用する白色腐朽菌としては、細胞外にリグニンペルオキシダーゼ(LIP)、マンガンペルオキシダーゼ(MnP)、ラッカーゼ(Lac)の一つまたは複数を生成し、有機塩素化合物及び/又は有機塩素化合物のハロゲン置換体を分解できる白色腐朽菌が挙げられる。例えば、白色腐朽菌Phanarochaete chrysosporium、P.sordida、Bjerokandera andera sp.、Coriolus versicolor、Ganoderma colossus、Ganoderma zonatum、Ganoderma lobatum、Ganoderma oregonense、Inonoyus dryophilus、Inonoyus rickii、Pleurotus ostreatus、Perenniporia fraxinophila、Perenniporia ohiensis、Perenniporia medulla-panis、Perenniporia phloiphila、Phlebia radiata、Trametes versicolor、Tyromyces palustris及び受託番号FERM P-18877で特定される白色腐朽菌を使用することができる。受託番号FERM P-18877で特定される白色腐朽菌を使用することが好ましい。
上記白色腐朽菌の培養方法、有機塩素化合物等を分解する能力の測定方法及び上記白色腐朽菌の培養液に含まれる各酵素活性の測定方法等は、上述した受託番号FERM P-18877で特定される白色腐朽菌に関する方法を適用することができる。
本発明に係る灰又は土壌の処理方法は、例えば、図1に示すように工程1〜工程7によって実現することができる。図1は、上述した処理方法の各工程を模式的に示している。
工程1:白色腐朽菌の液体培養による前培養
工程2:白色腐朽菌の本培養
工程3:酵素液の回収
工程4:灰又は土壌のpH調整
工程5:酵素液混合による灰または土壌ダイオキシン類の分解
工程6:重金属の不溶化
工程7:固液分離および液、汚泥の後処理
また、上述した処理方法は、図1に示すように、白色腐朽菌及び/又は白色腐朽菌の培養液と、有機塩素化合物及び/又は有機塩素化合物のハロゲン置換体並びに重金属を含む灰又は土壌とを接触させる処理部1を備える処理装置によって実現することができる。処理部1としては、例えば、強制練りミキサ(KITAGAWA)、リボンミキサ((株)伊藤工作所)、オムニミキサ、フロージェットミキサ(千代田技研工業)、スパルダンリューサー、Vミキサー、リボンミキサー及びバクミキサー(PAUDAL)等が挙げられる。処理部1に用いる処理槽の形状は特に限定されないが、灰や土壌等のダイオキシン汚染物と培養液とが十分に接触できる構造のものであればいずれの形状のものであってよい。
処理部1における混合方法としては、例えば、方式として機械的な攪拌による混合、ガスの連続吹き込みによる混合等が挙げられる。
機械的攪拌による混合としては、建設工事で用いるモルタルミキサー等の使用や、処理槽への攪拌機の設置による混合等が挙げられる。また、ガスの連続吹き込みによる混合としては、コンプレッサ等の圧縮空気や窒素ガス等をスラリーに連続的に吹き込ませる方法が挙げられる。いずれの混合方法も、培養液中のLIPやMnP等の酵素と汚染物中のダイオキシン類との接触効率を上げられれば良く、攪拌方法は特に限定されない。なお、培養液中の酵素活性を高める場合には、処理槽にウォータージャケットやヒーター等を設置し、処理温度を酵素の至適温度範囲である25〜42℃に制御する。
図1の工程4から工程7に示すように、処理装置では、処理部1に投入された灰又は土壌を酸性条件下で白色腐朽菌及び/又は白色腐朽菌の培養液と接触させた後、処理部1に不溶化剤を添加して重金属を不溶化する。
本発明に係る灰又は土壌の処理方法では、まず白色腐朽菌及び/又は白色腐朽菌の培養液を用いて、酸性条件下で有機塩素化合物及び/又は有機塩素化合物のハロゲン置換体並びに重金属を含む灰又は土壌を処理する。該処理により灰又は土壌に含まれる有機塩素化合物及び/又は有機塩素化合物のハロゲン置換体を分解することができる。白色腐朽菌及び/又は白色腐朽菌の培養液を用いて処理する際には、限定されないが、当該灰又は土壌に対して上述した白色腐朽菌及び/又は培養液を添加する方法、上述した白色腐朽菌及び/又は培養液を保持するリアクターに処理対象の灰又は土壌を接触させる方法等を挙げることができる。
ところで、上記灰又は土壌に含まれる有機塩素化合物及び/又は有機塩素化合物のハロゲン置換体を分解する際には、濾過や遠心分離などの手段により上記培養液から菌体を除去してなる無菌培養液を用いてもよい。また、この無菌培養液を塩析やカラムクロマトグラフィーなどの手段により、純粋な酵素液として使用することもできる。なお、酵素液中のLIP、MnP、Lac等の酵素活性が低い場合には、濃縮して活性の高い酵素液を調製することができる。濃縮方法は、特に限定されるものではないが、例えば限外濾過膜を用いる方法が挙げられる。この限外濾過膜を用いる方法では、LIP、MnP、Lac等の酵素の分子量より小さい分画膜を用いて、加圧等の物理的手段によって当該酵素を含む酵素液を濃縮し、回収することができる。また、培養液から除去して得られた菌体を用いてもよい。
白色腐朽菌を含まない無菌培養液を用いる場合であっても、当該白色腐朽菌が産生する酵素が当該無菌培養液に含まれているために有機塩素化合物を分解することができる。
例えば、以下の方法によって白色腐朽菌又は白色腐朽菌の培養液を用いて上記灰又は土壌を処理することができる。
1)白色腐朽菌又は白色腐朽菌の培養液を添加する方法
この方法では、先ず、処理対象の灰又は土壌を水に分散し懸濁液としたものを調製する。そして、該懸濁液に対して白色腐朽菌の培養液を添加する。このとき、該懸濁液に対してアルカリ又は酸を添加し、白色腐朽菌の増殖及びダイオキシン分解酵素等の有機塩素化合物分化酵素の作用が好適になるpH範囲内に調整することが好ましい。ここでは、酸性条件下、すなわち、pHが1.0〜6.0の範囲、好ましくは3.5〜5.0である。その後、前培養で調整した白色腐朽菌又は白色腐朽菌の培養液を用いて、上記懸濁液と培地との混合物に植菌し、白色腐朽菌を培養する。培養する際の温度は10〜37℃の範囲、好ましくは25〜28℃である。培養日数は特に限定はなく、処理対象の灰又は土壌に含まれる有機塩素化合物及び/又は有機塩素化合物のハロゲン置換体を充分に分解できる日数である。なお、培養液中には、培養期間の経過とともに過酸化水素が生成される。過酸化水素が存在することでLIP及びMnPが作用し、特に、ダイオキシン類及び/又はダイオキシンのハロゲン置換体の分解が促進される。また、上記白色腐朽菌又は白色腐朽菌の培養液を処理対象の灰又は土壌に直接添加し、混合して処理することもできる。
2)上記白色腐朽菌が産生する酵素液を添加する方法
この方法においても、まず処理対象の灰又は土壌を水に分散し懸濁液としたものを調製する。該懸濁液における酵素の作用が好適になるように、アルカリ又は酸を添加し、該懸濁液のpHを調製する。ここでは、該懸濁液のpHは、1.0〜6.0の範囲、好ましくは3.5〜5.0である。あるいは、該懸濁液に対してpH緩衝剤(バッファー)を添加することで、該懸濁液のpHを調製することもできる。pH緩衝剤としては、pH1.0〜6.0の範囲、好ましくは3.5〜5.0で緩衝作用を示すものを使用することが好ましい。その後、該懸濁液に酵素液を添加する。添加する酵素液の量は、灰または土壌重量に対して1〜20倍、好ましくは3〜7倍の範囲である。また、灰又は土壌に含まれるダイオキシン類の分解率を高めるために、硫酸マンガン及び/又はマロン酸を酵素液とともに添加しても良い。硫酸マンガンの添加量は、酵素液1L当たり0.01〜100mMの範囲であり、好ましくは0.1〜1mMである。また、マロン酸の添加量は、酵素液1L当たり5〜1,000mモルの範囲であり、好ましくは5〜100mモルである。さらに、LIP及びMnPを作用させるために、過酸化水素を添加する。添加濃度は全容量の平均値として0.0001〜1.0%であり、好ましくは0.01〜0.1%である。また、添加の方法は、初期に添加、間欠添加、連続添加のいずれの方法でも良い。
以上のように配合した後、機械的な撹拌、通気、または振とう等により、酵素液と懸濁液を十分に混練することでスラリーとする。混練する時間は特に限定されないが、10時間〜7日、好ましくは1日〜4日である。また、混練する際の温度はLIP、MnP、Lacの酵素が作用する温度であれば良く、10〜50℃、好ましくは25〜42℃の範囲である。
次いで、本発明に係る灰又は土壌の処理方法においては、上述した白色腐朽菌及び/又は白色腐朽菌の培養液を用いて有機塩素化合物及び/又は有機塩素化合物のハロゲン置換体並びに重金属を含む灰又は土壌を処理した後、生成されたスラリーに不溶化剤を添加することによりスラリー中の重金属を不溶化する。生成されたスラリーはpHが酸性であるため、重金属が液中に溶出する。これらの重金属を不溶化させる。該スラリーに添加する不溶化剤としては、特に限定されないが、例えば硫化剤、水酸化物、炭酸塩、鉄塩及びアルミニウム塩が挙げられる。硫化剤としては、例えば硫化ソーダ、水硫化ソーダ及びチオ硫酸ソーダ等が挙げられる。特に硫化ソーダ及び水硫化ソーダが好ましい。水酸化物としては、例えば水酸化カルシウム及び水酸化ナトリウム等が挙げられる。特に、生成した重金属汚泥の沈殿性や脱水性から水酸化ナトリウムが好ましい。炭酸塩としては、例えば炭酸カルシウム及び炭酸ナトリウム等が挙げられる。また、鉄塩及びアルミニウム塩としては、例えば凝集沈殿効果が期待できる塩化第二鉄及び硫酸アルミニウム等が挙げられる。なお、以上に挙げた不溶化剤は、対象となる重金属の種類に応じて用いることができる。
上記スラリーを十分混合しながら不溶化剤を添加し、スラリーのpHが中性となった段階で添加を終了する。なお、最終pHは中性域であれば良く、約7.0〜8.6の範囲である。また、不溶化剤として硫化剤を添加する際の温度は、室温から60℃の範囲、好ましくは30〜60℃である。また、反応時間は1〜24時間、好ましくは2〜6時間である。
重金属を不溶化した後、スラリーの固液分離及び液分、汚泥の後処理を行う。まず、スラリーに凝集剤を添加し固液分離を行う。なお、凝集剤を添加しても沈降分離が不十分な場合には、遠心分離、振動篩、ベルトプレス等の脱水を行ってもよい。分離された液分は、砂濾過及び/又は活性炭処理により処分される。一方、汚泥は、灰の場合には最終処分され、土壌の場合には、最終処分または埋め戻しあるいは再利用のいずれかの方法で処分/再利用される。
以上のように本発明に係る灰又は土壌の処理方法によれば、灰又は土壌に含まれる有機塩素化合物及び/又は有機塩素化合物のハロゲン置換体を分解し、かつ重金属を不溶化させることができる。従って、灰又は土壌に含まれる有機塩素化合物及び/又は有機塩素化合物のハロゲン置換体や重金属による環境への影響を極めて低減することができる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕白色腐朽菌MS-325株株のスクリーニング
国内森林から採取した白色腐朽菌群52株からダイオキシン類の分解能力を持つ株(山口県岩国市岩国城)のスクリーニングを行った。表1に示すポテトデキストロース液体培地を5mL含む15mL試験管に各白色腐朽菌を植菌し振とう培養を10日間行った(30℃、160rpm)。
Figure 2005034057
その後、超音波ホモジナイザーにて菌体を処理し、この細胞懸濁液の200μLを表2に示す液体培地(pH5.9)を含む試験管に植菌した。
Figure 2005034057
さらに、エタノールに溶解させた無塩素化ジベンゾフランを500mg/lになるよう添加し振とう培養を行った。培養2、4、12週後に培養液を採取し、残存するジベンゾフランをGC-MSにて分析した。分析の結果、ジベンゾフランを明確に分解する1株(MS-325)を獲得した。MS-325株は、ジベンゾフランの優れた生分解性を示し、培養2週間で54%、4週間で88%、12週間で99%のジベンゾフランを分解した。
〔実施例2〕白色腐朽菌MS-325株の系統分類1
実施例2では、実施例1で得られたMS-325について以下のように系統分類を行った。
先ず、実施例1でスクリーニングした白色腐朽菌52株をPDA培地で増殖させた。その後、各菌株を1.5mLのエッペンドルフチューブに分注し、SoL.I(ISOPLANT DNA抽出キット、ニッポンジーン社)を300μL添加した。十分にミキシングし、菌体塊を完全に溶解させた後、Sol.II(ISOPLANT DNA抽出キット、ニッポンジーン社)を150μL添加し撹拌後、50℃で15分間インキュベートした。さらに、Sol.III(ISOPLANT DNA抽出キット、ニッポンジーン社)を150μL添加し、氷上で15分放置した後、遠心分離(12,000rpm、15min、4℃)を行った。得られた水層部分を回収し新しい1.5mLのエッペンドルフチューブに移し、フェノール及びクロロホルム処理により除タンパクした。さらに、水層部分の1/10量の3M 酢酸ナトリウムおよび2倍量の99.5%エタノールを添加し、-20℃で静置した。遠心分離(15,000rpm、15min、4℃)により濃縮し、70%エタノールで洗浄後エタノールを完全に除去した。得られたDNAを100μLのTE bufferに溶解し、2μLのrDNA(1mg/mL)を添加し、37℃で30分間培養しRNAを完全に除去した。得られたDNAは-20℃で保存した。
抽出したゲノムDNAを鋳型として18S rDNAのPCRを行った。プライマーは18S rDNAの保存領域をターゲットとしたユニバーサルプライマーのS1(5'-TACCTGGTTGATCCTGCCAG-3';配列番号1)、およびSR12(5'-CCTTCCGCAGGTTCACCTAC-3';配列番号2)を使用しPCR System 9600(Perkin Elmer社)を用いてPCRを行った。反応条件は、プレヒートを94℃で10分行い、94℃1分、58℃1分及び72℃1分を1サイクルとして35サイクルの繰り返し反応を行った後、72℃の伸長反応を10分間行った。
PCRにより得られた目的DNA断片は、QIAEX II gel exttaction kit(Quiagen社)を用いて精製した。精製DNAをテンプレートとしてABI Big Dye Terminator cycle sequencing readey raction kit(Perkin-Elmer社)によりPCRを行い、PCR生成物をABI 377 DNA sequencer(Perkin-Elmer社)を用いてPCRにより得られた目的DNA断片(18S rDNA)の塩基配列を決定した。得られた塩基配列のアライメントはCllustal W version 1.7を用いて行った。系統樹はNeighbor-joining法により作成した。また、得られた遺伝子配列によりBasic BLAST researchを用いて相同性検索を行った。
取得した52株のゲノムDNAの中でPCR反応により30株の目的DNA断片の増幅が認められた。しかしながら、各株の解読できたDNA断片長が大きく異なったため、30株を一様に比較することはできなかった。そこで30株の中からダイオキシン類の分解能が高いと予測される19株をピックアップし、既知の白色腐朽菌13株とを用いて系統樹の作成を試みた。これらの結果より、ジベンゾフランの分解能が明確に確認されたMS-325株と既知白色腐朽菌との相同性を検索した。相同性検索の結果、MS-325株に関しては、表3に示すように、ダイオキシン分解菌として知られるPhanarochaete chrysosporiumと99.1%の高い相同性が見られた。
Figure 2005034057
しかし、表3に示すように、MS-325株とPhanarochaete chrysosporiumとは、18S rDNAの塩基配列が完全に一致しておらず、MS-325株が新種のダイオキシン分解菌である可能性が示唆された。
〔実施例3〕白色腐朽菌MS-325株の系統分類2
実施例3では、実施例2において新種のダイオキシン分解菌である可能性が資されたMS-325株について、18S rDNA塩基配列に基づく相同性検索結果を補うため、別途系統分類解析を実施した。すなわち、実施例3では、白色腐朽菌 MS-325の28S rDNA D1/D2領域の塩基配列約600bpを決定し、類縁関係推定を行った。
具体的には、先ず、MS-325株をポテトデキストロース寒天培地(表1)で25℃にて7日間培養し、FastPrep FP120(Qbiogene, Illkirch Cedex, France)とFastDNA Kit(Qbiogene, Illkirch Cedex, France)を用いてゲノムDNA分離を行った。このゲノムDNAをテンプレートとして28S rDNAフラグメントのPCR増幅を行った。PCRはReady-To-Go PCR Beads(Amersham Pharmacia Biotech, NJ)とプライマーNL1およびNL4を用い、GeneAmp PCR System 9600(Applied Biosystems, CA)上でサーマルサイクルを行った。得られたDNAフラグメントはQIAquick PCR Purification Kit(QIAGEN, Hilden , Germany)を用いて精製し、サイクルシークエンシング反応に供した。サイクルシークエンシング反応は とプライマーNL1、NL2、NL3およびNL4(O' Donnell、Fusarium and its near relatives. In Reynolds, DR and Taylor, J.W. (Eds) The Fungal Holomorph Mitotic, Meitotic and Pleomorphic Speciation in Fungal Systematic, CAB International, Wallingford, UK, pp.225-233, 1993)を用い、GeneAmp PCR System 9600(Applied Biosystems, CA)上で反応を行った。反応生成物はCentriSep(Princeton Separation, CA) を用いて精製し、ABI PRISM 377 DNA Sequencer (Applied Biosystems, CA)で配列解読を行い、AutoAssembler(Applied Biosystems, CA)を用いて各シークエンス断片を結合し、目的塩基配列を得た。
類似の塩基配列をGenBank(GenBank/EMBL/DDBJ国際DNAデータベース)から検索するため、いわゆるBLASTによる相同性検索を行った。また、BLAST相同性検索の結果を参考にデータセットを作成し、UPGMA法を用いてクラスタ解析を行った。
MS-325株における28S rDNA D1/D2領域の塩基配列決定の結果、603塩基の塩基配列を得た。また、BLAST相同性検索の結果、Bjerkandera adusta が最近縁であるものの、その配列一致率は97.8%あるいはn(=a, c, g, or T)、y(=t or c )を考慮しても98.3%と低く、28S rDNA D1/D2領域における別種判断基準の1%を大きく上回った。
さらに、クラスタ解析において、やはり白色腐朽菌MS-325は B. adusta とクラスタを形成したが、両者間の距離は大きく、他のクラスタとの比較においても同種とは判断できなかった。以上の結果より、現在公開されているデータに依存した解析からは、MS-325株はB. adusta に比較的近縁ではあるものの別種であると結論づけられた
〔実施例4〕振とう培養での5-アミノレブリン酸の添加効果
ポテトデキストローススラント寒天培地(9.6g/L)で4℃にて保存した受託番号FERM P-18877で特定される白色腐朽菌を、表4〜6に示す液体培地100 mLを含む500 mL三角フラスコ3本に各々等量植菌した。なお、表4は本例で使用した液体培地の組成を示し、表5は表4における「Bsasal III」の組成を示し、表6は表4及び表5における「Trace elements」(微量元素)の組成を示している。
以上のように植菌した培養液を含む三角フラスコを28℃の振とう培養器にセットし、120rpm(振とう幅25mm)にて回転振とう培養を開始した。定期的に培養液を採取し、0.2μm のメンブレンフィルターにてろ過した。ろ過液中のグルコース濃度、アンモニア窒素を測定するとともに、LIPおよびMnP活性を測定した。
培養液中のLIP活性は、651nmにおけるAzure B色素の脱色速度から算定した。MnP活性は、431nmにおけるフェノールレッド色素の脱色速度から算定した。
Figure 2005034057
Figure 2005034057
Figure 2005034057
5-アミノレブリン酸を無添加の条件で培養したときの培地中のNH4濃度及びグルコース濃度を図2aに示し、LIP活性を図2bに示し、MnP活性を図2cに示す。また、培養初期に5-アミノレブリン酸を1mM添加した条件で培養したときの培地中のNH4濃度及びグルコース濃度を図3aに示し、LIP活性を図3bに示し、MnP活性を図3cに示す。さらに、培地中のアンモニア窒素が消費された時点(7日目)に5-アミノレブリン酸を1mM添加した条件で培養したときの培地中のNH4濃度及びグルコース濃度を図4aに示し、LIP活性を図4bに示し、MnP活性を図4cに示す。
これら図2〜4から判るように、培地中のアンモニア(窒素源)が消費された段階で5-アミノレブリン酸を添加した条件では、培地中のLIPおよびMnP活性が飛躍的に向上した。特に、LIP活性については、培地中のアンモニア窒素が消費された段階で5-アミノレブリン酸を添加することによる著しい効果が確認された。
〔実施例5〕通気撹拌培養での5-アミノレブリン酸の添加効果
滅菌した3L培養ポットを3基用いた。これに、フィルター滅菌したBasal III液体培地を各々1.4L混合するとともに、7日間振とう培養(120rpm、28℃)により前培養した受託番号FERM P-18877で特定される白色腐朽菌培養液を100mLずつ添加した。
培養液をマグネチックスターラーで撹拌しながら、表7に示す条件に基づき除菌空気を連続的に供給した。培養4日目に5-アミノレブリン酸(表4中ALAと表記する)を1mMになるように各培養液に添加した後、必要に応じて通気量を変化させた。なお、培養は28℃の恒温室にて実施した。
Figure 2005034057
定期的に各培養液を採取し、pH、グルコース、NH4およびLIP、MnP活性を測定した。各通気条件で培養した培養液中のLIP活性を測定した結果を図5に示し、MnP活性を測定した結果を図6に示す。培養液への通気量が最も高いNo.1の条件では、LIPおよびMnP活性とも5-アミノレブリン酸の添加後に急激に上昇した。
〔実施例6〕通気撹拌培養で用いる空気処理のLIPおよびMnPへの影響
実施例5に示したとおり、受託番号FERM P-18877で特定される白色腐朽菌は、通気撹拌培養でもLIP及びMnPの生産が可能であり、さらに培地中のアンモニアの消費時に5-アミノレブリン酸を添加することによって、24時間後には高活性の培養液が得られた。一方、培地中にかなりのH2O2が生成されており、これらの影響によりコンタミネーションの少ない培地環境となっている可能性が示唆された。そこで、上記表4に示した最も高活性の培養液が得られたNo.1に基づき、供給する空気を除菌、非除菌の条件で通気撹拌培養を試みた。それぞれの条件下でLIP活性を測定した結果を図7に示し、MnP活性を測定した結果を図8に示す。
図7及び8から培地中に供給する空気を除菌するとしないとに拘わらず、LIP活性及びMnP活性ともに高い値を示す培養液の生産が可能であることがわかった。
〔実施例7〕培養液中のVAO活性測定によるLIP、MnP活性のモニタリング
表4〜6に示したBasal III液体培地を450mL含む500mL容のメスシリンダーを2本(No.1、No.2)用いた。これに、7日間振とう培養(120rpm、28℃)により前培養した受託番号FERM P-18877で特定される白色腐朽菌培養液を各々50mLずつ添加した。培養温度30℃、通気量1.0VVMの条件で通気培養を開始した。No.2の条件では、培養88時間目に5-アミノレブリン酸を1mMになるように添加した。なお、No.1は5-アミノレブリン酸を添加しない条件とした。
各培養液におけるLIP活性及びMnP活性を定期的に採取した。LIP活性及びMnP活性は、培養液を0.2μmメンブレンフィルターでろ過するとともに、10KDa以上を限外ろ過膜遠心チューブで濃縮した。
さらに、前述のLIP測定法-2(LIPの作用によって減少するAzure Bの減少速度を651nmで測定する方法)、MnP測定法(MnPの作用によって減少するPRの減少速度を431nmで測定する方法)に基づき、培養液中のLIP、MnP活性を測定した。また、同様に採取した培養液を0.2μmメンブレンフィルターでろ過し、濃縮することなく培養液中のVAO活性を測定した。具体的にVAO活性は、50μMのベラトリルアルコールを含む50mMコハク酸バッファー500μL、ろ過液100μLを混合し石英セルに入れ、37℃の恒温で310nmの吸光度の上昇速度をVAO活性とした。
No.1におけるLIP活性、MnP活性及びVAO活性を経時的に測定した結果を図9に示し、No.2におけるLIP活性、MnP活性及びVAO活性を経時的に測定した結果を図10に示す。
図9より、5-アミノレブリン酸を添加しないNo.1の条件では、培養から160時間後にMnPおよびVAO活性がほぼ同様の傾向で低下した。なお、LIP活性は260時間後には低下した。一方、図10より、培養88時間後に5-アミノレブリン酸を添加したNo.2の条件では、LIP、MnP活性とも急激に上昇したが、VAO活性がほぼ定常となった時期に低下する傾向が確認された。このように、培地中のVAO活性は、LIPおよびMnP活性、特にMnP活性の上昇または減少とほぼ同様の挙動を示すことがわかった。また、VAO活性はLIPやMnP活性と比較して簡単かつ短時間で評価することができることから、培養液中のLIP、MnP活性のモニタリングの指標としてVAO活性を利用することができる。
〔実施例8〕培養液を用いた処理時の最適条件
受託番号FERM P-18877で特定される白色腐朽菌をBasal III液体培地で製造した培養液を用いた。培養液中のLIP活性、MnP活性及びMIP(マンガン非依存性ペルオキシダーゼ)活性に及ぼす温度の影響を検討した。
培養液中のLIP活性は、651nmにおけるAzure B色素の脱色速度から算定した。MnP活性は、431nmにおけるフェノールレッド色素(200μM硫酸マンガンを含む)の脱色速度から算定した。MIP 活性は、431nmにおけるフェノールレッド色素(200μM硫酸マンガンを含むず)の脱色速度から算定した。VAO活性は、310nmにおけるベラトリルアルコールの酸化で生じるベラトリルアルデヒドの生成速度から算定した。
培養液中のLIP活性、MnP活性及びMIP活性を測定した結果を図11に示す。図11より、LIP活性で30℃、MnP活性で55℃、MIP活性で60℃、VAO活性で45℃が至適温度であることがわかった。この結果、受託番号FERM P-18877で特定される白色腐朽菌の培養温度を調整することによって、所望の酵素を選択的に活性化させることができることが判った。したがって、汚染物と培養液とスラリー処理する際の設定温度を調整することによって効果的に分解処理を行えることが明らかとなった。特にダイオキシン類を分解する目的においては、分解の初期段階でLIPが主要な働きをするため、LIP活性が十分得られる温度に設定することが好ましい。したがって、ダイオキシン類を分解する場合、分解の初期段階で20〜45℃、好ましくは30〜37℃に調節すれば良いことが明らかとなった。
次に、LIP活性及びMnP活性に及ぼすH2O2の最適濃度について検討した。H2O2濃度を変化させたときのLIP活性及びMnP活性を測定した結果を図12に示す。LIPについては、広い範囲のH2O2濃度で活性を示したが、MnPについては、至適範囲が狭く平均H2O2濃度で1,000〜10,000μMの範囲であった。この結果、LIP及びMnPの両酵素を作用させるのに最適なH2O2濃度は1,000〜5,000μMの範囲であることが判った。
〔実施例9〕培養液を用いた灰ダイオキシン類の分解及び灰中の重金属の不溶化
1 培養方法および酵素活性測定方法
5Lスケールのジャーファメンタを用いた。オートクレーブ滅菌したジャーにフィルター滅菌したBasal III液体培地を2.7L無菌的に添加した。これに、同様の液体培地で回転振とう培養(30℃、120rpm)した受託番号FERM P-18877で特定される白色腐朽菌の培養液300mLを無菌的に植菌し本培養を開始した。培養条件としては、温度を30℃、通気量を1.0VVM、撹拌速度を1800rpmとし、pH、DOその他の制御は行わなかった。
培養4日目に培養液に平均濃度が1mMになるように5-アミノレブリン酸を添加するとともに、経時的に培養液を採取した。0.2μmメンブレンフィルターでろ過するとともに、得られたろ液を10kDaの限外ろ過膜遠心チューブで8倍濃度まで濃縮した(7,500g×50min)。この濃縮液中のLIP活性、MnP活性及びVAO活性を以下の手順で追跡分析した。
(1)LIP活性
濃縮液20μLを、16μM Azure Bを含む50mM コハク酸バッファー(pH4.5)500μLと混合し、37℃恒温の分光光度計セルに設置した。さらに、0.031% H2O2水溶液10μLを添加した後、651nmの吸光度の減少速度を活性とした(モル吸光係数;84,600 M-1cm-1)。1分間に1μmolのAzure Bを減少させる速度を1Uとした。
(2)MnP活性
濃縮液20μLを、60μM フェノールレッドと200μM MnSO4を含む50mM マロン酸バッファー(pH4.5)500μLと混合し、37℃恒温の分光光度計セルに設置した。さらに、0.031% H2O2水溶液10μLを添加した後、431nmの吸光度の減少速度を活性とした(モル吸光係数;22,985,000 M-1cm-1)。1分間に1μmolのフェノールレッド(黄)を減少させる速度を1Uとした。
(3)VAO活性
50mM ベラトリルアルコールを含む50mM コハク酸バッファー(pH4.5)500μLと濃縮液20μLを混合し、37℃恒温の分光光度計セルに設置した。ベラトリルアルコールの酸化で生じるベラトリルアルデヒドを310nmの吸光度にて測定し上昇速度を活性として算定した(モル吸光係数;9,300 M-1cm-1)。1分間に1μmolのベラトリルアルデヒドを生成させる速度を1Uとした。
培養液中のLIP活性、MnP活性及びVAO活性を測定した結果を図13に示す。なお、図13から最大活性と考えられた5-アミノレブリン酸添加27時間後に培養を停止した。得られた培養液を5Cのガラスフィルターでろ過することによって菌体を除去し、得られたろ液を、後述する灰スラリー処理実験に用いた。なお、本培養により製造した培養液中のLIP活性、MnP活性及びVAO活性を表8にまとめて示す。
Figure 2005034057
2 灰スラリー処理実験
(供試灰)
A市焼却処分場から採取した飛灰を用いた。供試飛灰を乳鉢にてさらに微粉砕した後、灰中のダイオキシン含量を分析した。ダイオキシンは、特別管理一般廃棄物及び特別管理産業廃棄物に係わる基準の検定方法に準じて分析定量した。分析結果を図14に示す。本飛灰のダイオキシン含量は実測濃度で532ng/g、毒性等量で8.4ng-TEQ/gであった。また、図14に示すように、供試飛灰におけるPCDDs、PCDFsは、ともに多塩素置換数の同族体が高比率で存在した。
(実験方法)
100mL密閉バイアル瓶12本に粉体化した供試飛灰を10gずつ入れた。これに30%塩酸水溶液を5.4ml添加することによって、pHを3.5に調整した。その後、表9に示す条件にて培養液その他を添加し、全量を80mLとした。
Figure 2005034057
No.1では、培養液を添加しないブランクとした。No.2、No.3では配合する培養液量を各々10mL、50mLとするとともに、スラリー中の平均H2O2濃度を0.001%に設定した。また、No.4の条件では、添加する培養液量をNo.3と同様の50mLとしたが、スラリー中の平均H2O2濃度はワンオーダー濃い0.01%とした。
37℃恒温の往復振とう培養器に各密閉バイアル瓶を設置し、180/minの速度で3日間振とう処理を行った。その後、各スラリーから前述した方法にてダイオキシン類を全量抽出し残存量を測定した。
(実験結果)
各サンプル中のダイオキシン類の実測濃度を図15に示す。ブランクであるNo.1では、PCDDsで176ng/g、PCDFsで357ng/gであった。一方、培養液を10、50mL添加したNo.2、No.3では、培養液量の増加に伴ってPCDDs、PCDFsともに明確に低下した。さらに、培養液を50mLとし、スラリーの平均H2O2濃度を0.01%としたNo.4では、同量の培養液を混合したNo.3と比較して分解性の向上が見られた。
各サンプル中のダイオキシン類の毒性等量を図16に示す。図16から判るように、図15に示した実測濃度と同様に、培養液量の増加に伴い毒性等量も減少した。また、スラリーの平均H2O2濃度をNo.3の10倍としたNo.4では、実測濃度と同様に毒性の減少量も多いことがわかった。
3 灰中の重金属の不溶化
(供試スラリー)
表9に示したNo.4の実験条件で得られた飛灰スラリーを用いた。No.4では、培養液を混合することによって、実測濃度532ng/g、毒性等量8.4ng-TEQ/gの飛灰中のダイオキシン類が各々147ng/g、1.59ng-TEQ/gまで分解された。一方、重金属は飛灰スラリーの酸性化により液中に溶出し、総水銀0.47mg/L、カドミウム24mg/L、鉛427mg/L、総クロム2.0mg/Lが検出された。
(実験結果)
培養液混合によりダイオキシン類を分解させた上記のスラリーのpHを測定しながら、水硫化ソーダを滴下した。スラリー中のpHが7.0になった段階で水硫化ソーダの滴下を停止した。その後、3時間往復振盪による混合を継続した。最終的に遠心分離機でスラリーを固液分離するとともに、分離された液分中の総水銀、カドミウム、鉛、総クロムをICP分析計にて定量した。その結果を表10に示す。
Figure 2005034057
表10から判るように、全ての重金属とも液中には全く検出されなかった。
次に、固液分離した固形分からの重金属溶出を平成3年環境庁告示第46号(JIS K 0102 61.2)に準じて行った。その結果を表11に示す。
Figure 2005034057
表11から判るように、鉛が0.4mg/L検出されたものの、総水銀、カドミウム及び総クロムは全く検出されなかった。
以上のように、ダイオキシン分解が終了したスラリーに硫化剤を滴下することによって、溶出した重金属イオンを硫化物の形態で不溶化できることがわかった。
灰又は土壌の処理方法の各工程を示す模式図である。 5-アミノレブリン酸を無添加の条件で培養したときの培地中のNH4濃度及びグルコース濃度と、LIP活性と、MnP活性とを示す特性図である。 培養初期に5-アミノレブリン酸を1mM添加した条件で培養したときの培地中のNH4濃度及びグルコース濃度と、LIP活性と、MnP活性とを示す特性図である。 培地中のアンモニア窒素が消費された時点(7日目)に5-アミノレブリン酸を1mM添加した条件で培養したときの培地中のNH4濃度及びグルコース濃度と、LIP活性と、MnP活性とを示す特性図である。 各通気条件で培養した培養液中のLIP活性を測定した結果を示す特性図である。 各通気条件で培養した培養液中のMnP活性を測定した結果を示す特性図である。 空気を除菌、非除菌の条件で通気撹拌培養したときのLIP活性を測定した結果を示す特性図である。 空気を除菌、非除菌の条件で通気撹拌培養したときのMnP活性を測定した結果を示す特性図である。 実施例7のNo.1におけるLIP活性、MnP活性及びVAO活性を経時的に測定した結果を示す特性図である。 実施例7のNo.2におけるLIP活性、MnP活性及びVAO活性を経時的に測定した結果を示す特性図である。 実施例8の培養液中のLIP活性、MnP活性及びMIP活性を測定した結果を示す特性図である。 H2O2濃度を変化させたときのLIP活性及びMnP活性を測定した結果を示す特性図である。 実施例9の培養液中のLIP活性、MnP活性及びVAO活性を測定した結果を示す特性図である。 灰中のダイオキシン含量を、特別管理一般廃棄物及び特別管理産業廃棄物に係わる基準の検定方法に準じて分析定量した結果を示す特性図である。 供試飛灰を処理した後の各サンプル中に含まれるダイオキシン類の実測濃度を測定した結果を示す特性図である。 供試飛灰を処理した後の各サンプル中に含まれるダイオキシン類の毒性等量を測定した結果を示す特性図である。
符号の説明
1 処理部
配列番号1及び2は合成DNAである。

Claims (27)

  1. 5-アミノレブリン酸を含み、受託番号FERM P-18877で特定される白色腐朽菌によるリグニンペルオキシダーゼ活性を向上できる、白色腐朽菌用培地添加剤。
  2. 実質的に窒素源を含まない培地に対して添加することを特徴とする請求項1記載の白色腐朽菌用培地添加剤。
  3. 窒素源が5ppm以下である培地に対して添加することを特徴とする請求項1記載の白色腐朽菌用培地添加剤。
  4. 5-アミノレブリン酸を含む培地で、受託番号FERM P-18877で特定される白色腐朽菌を培養する培養方法。
  5. 受託番号FERM P-18877で特定される白色腐朽菌を培養する際に培地中の窒素源濃度を測定し、
    培地中の窒素源が消費された後に5-アミノレブリン酸を培地中に添加することを特徴とする請求項4記載の培養方法。
  6. 培地中の窒素源濃度が5ppm以下となった後、5-アミノレブリン酸を添加することを特徴とする請求項4記載の培養方法。
  7. 5-アミノレブリン酸を含む培地で培養した受託番号FERM P-18877で特定される白色腐朽菌及び/又は当該白色腐朽菌の培養液を用いて、有機塩素化合物及び/又は有機塩素化合物のハロゲン置換体を含む環境を浄化することを特徴とする環境浄化方法。
  8. 上記白色腐朽菌を培養する際に窒素源濃度を測定し、培地中の窒素源が消費された後に5-アミノレブリン酸を添加することで調整された白色腐朽菌及び/又は当該白色腐朽菌の培養液を用いることを特徴とする請求項7記載の環境浄化方法。
  9. 5-アミノレブリン酸の添加から5時間から5日間経過した後の上記白色腐朽菌及び/又は当該白色腐朽菌の培養液を用いることを特徴とする請求項8記載の環境浄化方法。
  10. 上記培養液の窒素源濃度が5ppm以下であることを特徴とする請求項7記載の環境浄化方法。
  11. 受託番号FERM P-18877で特定される白色腐朽菌及び/又は当該白色腐朽菌の培養液と、5-アミノレブリン酸とを含む環境浄化剤。
  12. 上記培養液中が実質的に窒素源を含まないことを特徴とする請求項11記載の環境浄化剤。
  13. 上記培養液中の窒素源濃度が5ppm以下であることを特徴とする請求項11記載の環境浄化剤。
  14. 白色腐朽菌及び/又は白色腐朽菌の培養液を用いて、酸性条件下で有機塩素化合物及び/又は有機塩素化合物のハロゲン置換体並びに重金属を含む灰又は土壌を処理する工程、及び
    上記工程で生成されたスラリーに不溶化剤を添加することによりスラリー中の重金属を不溶化する工程、
    を含む、灰又は土壌の処理方法。
  15. 上記白色腐朽菌は5-アミノレブリン酸を含む培地で培養した受託番号FERM P-18877で特定される白色腐朽菌であり、上記白色腐朽菌の培養液は受託番号FERM P-18877で特定される白色腐朽菌を5-アミノレブリン酸を含む培地で培養したものであることを特徴とする請求項14記載の灰又は土壌の処理方法。
  16. 上記白色腐朽菌を培養する際に窒素源濃度を測定し、培地中の窒素源が消費された後に5-アミノレブリン酸を添加することで調整された白色腐朽菌及び/又は当該白色腐朽菌の培養液を用いることを特徴とする請求項14記載の灰又は土壌の処理方法。
  17. 5-アミノレブリン酸の添加から5時間から5日間経過した後の上記白色腐朽菌及び/又は当該白色腐朽菌の培養液を用いることを特徴とする請求項16記載の灰又は土壌の処理方法。
  18. 上記培養液の窒素源濃度が5ppm以下であることを特徴とする請求項15記載の灰又は土壌の処理方法。
  19. 上記酸性条件は、pH1.0〜6.0であることを特徴とする請求項14記載の灰又は土壌の処理方法。
  20. 上記不溶化剤は、硫化剤であることを特徴とする請求項14記載の灰又は土壌の処理方法。
  21. 白色腐朽菌及び/又は白色腐朽菌の培養液と、有機塩素化合物及び/又は有機塩素化合物のハロゲン置換体並びに重金属を含む灰又は土壌とを接触させる処理部を備え、
    上記処理部に投入された灰又は土壌を酸性条件下で処理した後、上記処理部に不溶化剤を添加して重金属を不溶化する灰又は土壌の処理装置。
  22. 上記白色腐朽菌は5-アミノレブリン酸を含む培地で培養した受託番号FERM P-18877で特定される白色腐朽菌であり、上記白色腐朽菌の培養液は受託番号FERM P-18877で特定される白色腐朽菌を5-アミノレブリン酸を含む培地で培養したものであることを特徴とする請求項21記載の灰又は土壌の処理装置。
  23. 上記白色腐朽菌を培養する際に窒素源濃度を測定し、培地中の窒素源が消費された後に5-アミノレブリン酸を添加することで調整された白色腐朽菌及び/又は当該白色腐朽菌の培養液を用いることを特徴とする請求項21記載の灰又は土壌の処理装置。
  24. 5-アミノレブリン酸の添加から5時間から5日間経過した後の上記白色腐朽菌及び/又は当該白色腐朽菌の培養液を用いることを特徴とする請求項23記載の灰又は土壌の処理装置。
  25. 上記培養液の窒素源濃度が5ppm以下であることを特徴とする請求項22記載の灰又は土壌の処理装置。
  26. 上記酸性条件は、pH1.0〜6.0であることを特徴とする請求項21記載の灰又は土壌の処理装置。
  27. 上記不溶化剤は、硫化剤であることを特徴とする請求項21記載の灰又は土壌の処理装置。
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