JP2001157891A - 塩素化ダイオキシン類の分解方法 - Google Patents

塩素化ダイオキシン類の分解方法

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JP2001157891A
JP2001157891A JP34280199A JP34280199A JP2001157891A JP 2001157891 A JP2001157891 A JP 2001157891A JP 34280199 A JP34280199 A JP 34280199A JP 34280199 A JP34280199 A JP 34280199A JP 2001157891 A JP2001157891 A JP 2001157891A
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ash
soil
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surfactant
water
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Hideo Miyamoto
秀夫 宮本
Takahiro Kawabata
孝博 川端
Genshi Suzuki
源士 鈴木
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 都市ゴミや産業廃棄物の焼却設備などから
排出される塩素化ダイオキシン類により汚染された土壌
や灰、水に含有される塩素化ダイオキシン類を、多大の
設備費や操業経費をかけることなく分解して無害化する
方法を提供する。 【解決手段】塩素化ダイオキシン類を含有する土壌や灰
または水に、界面活性剤を添加し、かつ土壌や灰の水分
含量を15重量%以上に保持して塩素化ダイオキシン類
の分解能を有する微生物の増殖または該微生物の生産酵
素と接触をさせるか、あるいは土壌や灰の水分含量を1
0重量%以上に保持して酸化チタンを添加し、波長40
0nm以下の光を照射する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、都市ゴミや産業廃
棄物の焼却設備などから排出される塩素化ダイオキシン
類によって汚染された土壌や灰、水に含まれる塩素化ダ
イオキシン類を分解して無害化する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】人体に有害な物質としてよく知られてい
る塩素化ダイオキシン類やコプラナーPCB類は、都市
ごみや産業廃棄物の焼却設備や様々な燃焼設備、機器類
などから自然界に排出され、大きな社会問題となってい
る。
【0003】これら塩素化ダイオキシン類には、種々の
化学構造を有するものがあり、多塩素化ジベンゾ−p−
ダイオキシン類や多塩素化ジベンゾフランがあり、この
他にも類縁体化合物であるコプラナーPCB類などが知
られている。
【0004】これら塩素化ダイオキシン類やコプラナー
PCB類は、生物により分解され難いことから、多くの
生物の体内に吸収され、食物連鎖により、最終的には動
物体内に蓄積されて濃縮され、催奇形成性を示すことが
知られている。
【0005】そこで、これら塩素化ダイオキシン類やコ
プラナーPCB類に汚染された土壌や灰または水を浄化
する方法が検討されている。例えば、焼却炉などから排
出される飛灰やその降灰で汚染された土壌を1300℃
以上の極めて高い温度において燃焼する方法が提案され
ているが、そのような焼却炉の建設や改修には多大の設
備費を要するほか、操業経費もかさむという問題点があ
る。また、大気中に放出された塩素化ダイオキシン類や
コプラナーPCB類は、降灰や雨水、雪とともに地上に
降りて土壌や水域に蓄積される。このように、自然界に
放置された塩素化ダイオキシン類やコプラナーPCB類
により汚染された土壌や灰、水を浄化して無害化するた
めの有効な手段は見出されていない。
【0006】近年、塩素化ダイオキシン類など自然界で
は分解されがたい化学物質の微生物による分解に関する
研究がなされ、ある種の微生物が産生するリグニン分解
酵素が塩素化ダイオキシン類を分解することが報告され
ている〔BIO INDUSTRY VOL.15 NO.2 P5-13(1998):化学
VOL.52 NO.10 P24-25(1997)〕。
【0007】これら報告では、さらに、微生物が産生す
るリグニン分解酵素による塩素化ダイオキシン類の分解
に関し、担子菌類に属する木材腐朽菌のうちの白色腐朽
菌が産生するリグニン分解酵素が、塩素化ダイオキシン
類など様々な化学物質を分解する。この白色腐朽菌は、
木材中の主成分である多糖類のセルロースやヘミセルロ
ースを栄養源として生育し、これをエネルギーとして木
材中のリグニンを分解する旨が述べられている。したが
って、この白色腐朽菌が棲息する森林地帯においては、
大気中から雨水などとともに地上に降り注いだ塩素化ダ
イオキシン類は、白色腐朽菌の産生するリグニン分解酵
素によって徐々に分解される。
【0008】ところで、この白色腐朽菌が棲息する森林
地帯以外の多くの地域においては、塩素化ダイオキシン
類のさらなる蓄積が進行して、生物への影響が深刻な問
題となるおそれが大きい。そこで、焼却設備などから自
然界に排出される塩素化ダイオキシン類などにより汚染
された土壌や灰、水に蓄積された塩素化ダイオキシン類
などを、多大な経費をかけることなく分解して無害化す
るための技術の開発が強く要望されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、焼却設備な
どから排出された塩素化ダイオキシン類によって汚染さ
れた土壌や灰、水に含有される塩素化ダイオキシン類
を、多大な設備費や操業経費をかけることなく分解する
ことのできる塩素化ダイオキシン類の分解方法を提供す
ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、塩素化ダイオ
キシン類を含有する土壌や灰、水に、界面活性剤を添加
し、ついで塩素化ダイオキシン類の分解能を有する微生
物、該微生物の生産酵素または酸化チタンを用いて塩素
化ダイオキシン類の分解を行うことにより、塩素化ダイ
オキシン類とこれら微生物、酵素または酸化チタンとの
接触の場を近づけることができ、そのことによって、こ
れら微生物や酵素、酸化チタンの作用をより高め得るこ
とを見出し、これら知見に基づいて本発明を完成させる
に至った。
【0011】すなわち、本発明の要旨は、下記のとおり
である。 (1)土壌や灰または水に含有される塩素化ダイオキシ
ン類を分解する方法において、塩素化ダイオキシン類を
含有する土壌や灰または水に、界面活性剤を添加しかつ
該土壌または灰中の水分含量を15重量%以上に保持し
て、塩素化ダイオキシン類の分解能を有する微生物を好
気条件下に増殖させることを特徴とする塩素化ダイオキ
シン類の分解方法。 (2)土壌や灰または水に含有される塩素化ダイオキシ
ン類を分解する方法において、塩素化ダイオキシン類を
含有する土壌や灰または水に、界面活性剤を添加しかつ
該土壌または灰中の水分含量を15重量%以上に保持し
て、塩素化ダイオキシン類の分解能を有する微生物生産
酵素を接触させることを特徴とする塩素化ダイオキシン
類の分解方法。 (3)土壌や灰または水に含有される塩素化ダイオキシ
ン類を分解する方法において、塩素化ダイオキシン類を
含有する土壌や灰または水に、界面活性剤を添加した
後、酸化チタンを配合しかつ該土壌または灰中の水分含
量を10重量%以上に保持して、波長400nm以下の
光を照射することを特徴とする塩素化ダイオキシン類の
分解方法。 (4)界面活性剤が、ノニオン系界面活性剤である前記
(1)〜(3)のいずれかに記載の塩素化ダイオキシン
類の分解方法。 (5)ノニオン系界面活性剤が、ポリオキシエチレンソ
ルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタ
ンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノ
パルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステ
アレートおよびポリオキシエチレンソルビタントリオレ
エートの群から選択される1種または2種以上の混合物
である前記(4)に記載の塩素化ダイオキシン類の分解
方法。
【0012】
【発明の実施の形態】本願における第一の発明は、土壌
や灰または水に含有される塩素化ダイオキシン類を分解
する方法において、塩素化ダイオキシン類を含有する土
壌や灰または水に、界面活性剤を添加しかつ該土壌また
は灰中の水分含量を15重量%以上に保持して、塩素化
ダイオキシン類の分解能を有する微生物を好気条件下に
増殖させることを特徴とする塩素化ダイオキシン類の分
解方法である。
【0013】ここで、本発明でいう塩素化ダイオキシン
類とは、ジベンゾ−p−ダイオキシンやジベンゾフラ
ン、ビフェニルが有する2個のベンゼン環における水素
原子が塩素原子により置換された化合物の総称である。
そして、この塩素原子の置換数やベンゼン環における置
換位置には多種多様な化合物が存在する。これら塩素原
子を有するダイオキシン類の中でも、1分子中に塩素原
子を4個以上有する多塩素化物が特に人体に対する毒性
が高く、そのような化合物としては、例えば、ジベンゾ
−p−ダイオキシンの多塩素化物としては、2,3,
7,8−テトラクロロジベンゾ−p−ジオキシン、1,
2,3,7,8−ペンタクロロジベンゾ−p−ジオキシ
ン、1,2,3,4,7,8−ヘキサクロロジベンゾ−
p−ジオキシン、1,2,3,4,6,7,8−ヘプタ
クロロジベンゾ−p−ジオキシン、1,2,3,4,
6,7,8,9−オクタクロロジベンゾ−p−ジオキシ
ンなどの化合物がある。
【0014】また、ジベンゾフランの多塩素化物として
は、2,3,7,8−テトラクロロジベンゾフラン、
1,2,3,7,8−ペンタクロロジベンゾフラン、
2,3,4,7,8−ペンタクロロジベンゾフラン、
1,2,3,4,7,8−ヘキサクロロジベンゾフラ
ン、1,2,3,6,7,8−ヘキサクロロジベンゾフ
ラン、1,2,3,7,8,9−ヘキサクロロジベンゾ
フラン、2,3,4,6,7,8−ヘキサクロロジベン
ゾフラン、1,2,3,4,6,7,8−ヘプタクロロ
ジベンゾフラン、1,2,3,4,6,7,8,9−オ
クタクロロジベンゾフランなどの化合物がある。
【0015】さらに、ビフェニルの多塩素化物について
は、オルト位以外に塩素原子が置換したコプラナー(C
oplanar)PCB類があり、具体的には3,
3’,4,4’−テトラクロロビフェノール、3,
3’,4,4’,5−ペンタクロロビフェノール、3,
3’,4,4’,5,5’−ヘキサクロロビフェノール
などの化合物がある。これら多くの塩素化物の中でも、
最も毒性の高い化合物は、2,3,7,8−テトラクロ
ロジベンゾ−p−ジオキシンである。
【0016】つぎに、本発明において塩素化ダイオキシ
ン類を含有する土壌や灰または水に添加する界面活性剤
としては、ノニオン系界面活性剤を好適に用いることが
できる。このノニオン系界面活性剤の中でも、特に好ま
しいのは、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエー
ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポ
リオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオ
キシエチレンソルビタンモノステアレートおよびポリオ
キシエチレンソルビタントリオレエートから選択される
1種または2種以上の混合物を主成分とする界面活性剤
である。
【0017】そして、この界面活性剤は、その添加量
を、塩素化ダイオキシン類を含有する土壌または灰1リ
ットル当たり純物質換算で0.1〜20g、好ましくは
0.5〜10gとする。また汚染水に対しては、この水
1リットル当たり純物質換算で0.1〜20g、好まし
くは0.5〜10gとする。これは、この界面活性剤の
添加量が上記範囲未満であると、塩素化ダイオキシン類
の分解促進効果が十分に発揮されないことがあり、ま
た、上記範囲を超えて界面活性剤を添加しても、その添
加効果のさらなる向上は得られないからである。
【0018】そして、本発明の方法においては、塩素化
ダイオキシン類を含有する土壌や灰または水に、上記の
添加割合において界面活性剤を加えるとともに、これら
土壌や灰についてはそれらの水分含量を15重量%以上
に保持して塩素化ダイオキシン類の分解能を有する微生
物を好気条件下に増殖させるようにする。この土壌また
は灰中の水分含量は、20〜70重量%の範囲とするの
がより好ましい。これは、この土壌や灰中の水分含量が
15重量%未満であると、塩素化ダイオキシン類の分解
能を有する微生物の増殖ができなくなるからである。ま
た、これら微生物は、いずれも好気性菌であることか
ら、該土壌中での増殖時は、通気条件下に行うようにす
る。この通気は、強制通気の必要はなく自然通気でよ
い。
【0019】つぎに、上記塩素化ダイオキシン類の分解
能を有する微生物としては、リグニンパーオキシダー
ゼ、マンガンパーオキシダーゼまたはラッカーゼを生産
する微生物が用いられる。そして、これら酵素の生産を
する微生物としては、具体的にはシゾフィラム(Sch
izophyllum)属、トラメテス(Tramet
es)属、プレウロタス(Pleurotus)属、ア
スペルギルス(Aspergillus)属に属する微
生物が挙げられる。
【0020】そして、これらシゾフィラム(Schiz
ophyllum)属、トラメテス(Tramete
s)属、プレウロタス(Pleurotus)属、アス
ペルギルス(Aspergillus)属に属する微生
物の培養方法については、通常の微生物と同様に行うこ
とができる。例えば、少量の培養では、ポテトデキスト
ロース培地で5日間、20〜40℃で培養すればよく、
また大量に培養する場合には、タンクによる液体培養
や、大麦や小麦の全粒やフスマなど植物由来の固体成
分、糖のほか、窒素やリン、ミネラルなどを含浸させた
無機多孔質担体などを用いて固体培養してもよい。
【0021】そして、この場合の微生物の培養において
は、得られる培養物の菌濃度が、植物性有機物乾燥重量
1gあたり、1×102 cfu(コロニー形成単位)以
上、好ましくは1×102 〜1×108 cfu、より好
ましくは1×103 〜1×107 cfuの範囲とする。
このような菌濃度とするのは、上記濃度未満であると、
これら微生物の培養物を塩素化ダイオキシン類による汚
染土壌や灰、水に接種した際に、短期間のうちに優先的
に繁殖させるのが難しいことがあるからである。また、
これら菌の培養に際しては、菌糸体、胞子のいずれも使
用できるが、通常は、培養が容易な菌糸体を用いる。
【0022】つぎに、このように培養して得られた上記
微生物の培養物を、上記汚染土壌や灰、水の中で増殖さ
せて、汚染土壌や灰、水に含まれている塩素化ダイオキ
シン類を分解するにあたっては、汚染土壌や灰、水の温
度を10〜85℃、好ましくは20〜50℃とする。こ
れら微生物を増殖させる際の温度が10℃未満である
と、これら微生物の増殖が遅くなり、またこの温度が8
5℃を超えると、微生物が死滅するおそれがあるからで
ある。
【0023】また、これら微生物を増殖させる汚染土壌
や灰、水のpHは3〜11、好ましくは3.5〜10.
5である。したがって、この汚染土壌や灰、水のpHが
3〜11の範囲を外れている場合には、無機または有機
の酸やアルカリ物質を添加して、そのpHを調整し、上
記微生物の増殖を円滑に進行させるようにするのがよ
い。
【0024】さらに、この微生物の培養物を接種して増
殖させるに際して、この汚染土壌や灰、水に、予め該微
生物の栄養源を添加しておくことが効果的である。この
ような栄養源としては、大麦や小麦、米、トウモロコシ
などの穀物類やその副産物であるフスマ、米ぬか、コー
ンブロス、オカラなどが好ましい。また、セルロース資
源として木材チップやココヤシの繊維などが用いられ、
この他にカンキツ類の皮、多孔質粘土鉱物に吸着させた
コーンスティープリカー、肉エキス、ジャガイモエキス
などが用いられる。これら栄養源の添加量は、汚染土壌
または灰に対して、1〜50重量%、好ましくは5〜4
0重量%である。
【0025】つぎに、本願における第二の発明は、土壌
や灰または水に含有される塩素化ダイオキシン類を分解
する方法において、塩素化ダイオキシン類を含有する土
壌や灰または水に、界面活性剤を添加しかつ該土壌や灰
の水分含量を15重量%以上に保持して、塩素化ダイオ
キシン類の分解能を有する微生物生産酵素を接触させる
塩素化ダイオキシン類の分解方法である。
【0026】そして、この場合に用いる界面活性剤につ
いても上記界面活性剤と同様のものが好適である。ま
た、この場合の汚染土壌や灰の水分含量は、15重量%
以上、好ましくは、20重量%〜飽和状態に保持する。
これは、これらの水分含量が15重量%未満であると、
この微生物生産酵素の作用が充分に発揮されないことが
あるからである。
【0027】また、塩素化ダイオキシン類の分解能を有
する微生物の生産酵素としては、リグニンパーオキシダ
ーゼ、マンガンパーオキシダーゼまたはラッカーゼが挙
げられる。これら酵素は、上記微生物が生産した粗酵素
液や、酵素をイオン交換樹脂を用いる分離法などにより
培養液から分離した酵素を用いるようにしてもよい。さ
らに、これら微生物の生菌体と、これら菌体の培養液か
ら分離した酵素との混合物を用いてもよい。
【0028】ここで、上記菌体の培養液から分離した酵
素を用いる場合には、この酵素の活性を最大限発揮させ
るためにメディエーターを添加することが好ましい。こ
のメディエーターとしては、例えば、1−ヒドロキシベ
ンゾトリアゾールなどのフェノール性化合物や、2,
2’−アジノビス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−
スルホン酸)などのアニリン系化合物が好適に用いられ
る。
【0029】さらに、これら微生物生産酵素の添加量
は、汚染土壌や灰または水1リットルに対して、0.0
1〜10gとするのが適切であり、また、これらの接触
時の温度は、10〜85℃、好ましくは20〜80℃と
する。ここでの接触温度は、10℃未満であると酵素の
作用が充分に発揮されないことがあり、また、85℃を
超えると酵素が失活するおそれが大きくなるからであ
る。
【0030】さらに、本願における第三の発明は、土壌
や灰または水に含有される塩素化ダイオキシン類を分解
する方法において、塩素化ダイオキシン類を含有する土
壌や灰または水に、界面活性剤を添加した後、酸化チタ
ンを配合しかつ該土壌または灰中の水分含量を10重量
%以上に保持して、波長400nm以下の光を照射する
ことからなる塩素化ダイオキシン類の分解方法である。
【0031】そして、この場合に用いる界面活性剤につ
いても上記界面活性剤と同様のものが好適である。ま
た、この場合の汚染土壌や灰の水分含量は、10重量%
以上、好ましくは、15重量%〜飽和状態に保持する。
これは、これらの水分含量が10重量%未満であると、
酸化チタンと水の反応が充分に促進されないことがある
からである。
【0032】つぎに、こここで用いる酸化チタンとして
は、アモルファス型の二酸化チタンが特に好適である。
そして、この酸化チタンを汚染された土壌や灰または水
の中に均一に分散させるためには、その平均粒径の小さ
いものが好都合であり、この酸化チタンの平均粒径が
0.001〜100μm、好ましくは0.005〜50
μmであるものが好ましい。
【0033】また、このアモルファス型の二酸化チタン
の製造方法については、特に制約はなく、一般的な製造
方法により製造されたものを用いることができる。たと
えば、原料としてテトラエトキシチタンなどの有機チタ
ン化合物の微細な液体粒子を、気流中において焼成した
後に急冷する方法により微粒子として得られるものが好
適に用いられる。さらに、この酸化チタンの汚染土壌や
灰または水への添加量は、これら汚染土壌や灰または水
1リットル当たり0.01〜10g、好ましくは0.0
2〜5gである。そして、この範囲において、予め測定
した塩素化ダイオキシン類の汚染濃度により増減すれば
よい。
【0034】さらに、この酸化チタンの添加時には、汚
染土壌または灰の水分含有割合が全固形物の重量に対し
て、10重量%以上、好ましくは20重量%〜飽和状態
とする。そして、このようにして汚染土壌や灰に酸化チ
タンを添加し、かつ水分含有割合の調整をした後、その
上から波長400nm以下の光を照射する。この光の照
射量は、1〜1,000μW/cm2 の範囲とすればよ
い。ここで照射に用いる波長400nm以下の光は、照
明器具により照射してもよいが、自然の太陽光線による
こともできる。したがって、夏期に照射すると好都合で
ある。この光照射は地面やシートなどの上に広げた汚染
土壌や灰の表面層に対して有効であることから、例えば
一週間に一度程度の頻度で汚染土壌や灰の切り返しをす
ることで、塩素化ダイオキシン類の分解がより促進され
る。このように、汚染土壌や灰に酸化チタンを添加しか
つ水分含有割合の調整をして、波長400nm以下の光
を照射することにより、酸化チタンが水を活性化させて
ラジカルを発生させ、このラジカルが塩素化ダイオキシ
ン類を分解するのである。
【0035】
【実施例】つぎに、実施例および比較例により、本発明
をさらに具体的に説明する。 〔実施例1〕内容積500ミリリットルのマイヤーフラ
スコに、培地成分として、フスマ2gと、米ぬか2g、
サクラおが屑1g、ナラおが屑1gを入れ、これに水道
水100ミリリットルを加えた。ついで、これに界面活
性剤として、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエ
ート〔花王社製:Tween80〕を0.05容量%の
濃度になるように添加し、シリコセンをしてオートクレ
ーブ内において、121℃で15分間の殺菌処理をし
た。
【0036】つぎに、塩素化ダイオキシン類として2,
4,8−トリクロロジベンゾフラン25mgをエタノー
ル100ミリリットルに溶解させた溶液1ミリリットル
を加えた。
【0037】そして、このフラスコに、さらに塩素化ダ
イオキシン類の分解能を有する微生物として、シゾフィ
ラム・コムネ〔Schizophyllum comm
une;IFO6505〕をオートミール寒天培地に生
育させた種菌を、1白金耳植菌し、これを28℃、毎分
150回転の条件において、8日間にわたり振とう培養
した。
【0038】培養の終了後、得られた培養液よりトルエ
ンにより、残存する2,4,8−トリクロロジベンゾフ
ランを抽出し、ガスクロマトグラフィー質量分析によっ
て定量した。
【0039】そして、ここでの2,4,8−トリクロロ
ジベンゾフランの分解率を、上記で求めた2,4,8−
トリクロロジベンゾフランの残存量と、別途、シゾフィ
ラム・コムネ菌を接種しないほかは上記と同様にしたと
きの2,4,8−トリクロロジベンゾフランの残存量を
定量して、次式により算出した。
【0040】
【数1】
【0041】この結果、本例での2,4,8−トリクロ
ロジベンゾフランの分解率は、32%であった。これら
結果を第1表に示す。なお、第1表中の2,4,8−T
CDFは、2,4,8−トリクロロジベンゾフランを表
わす。
【0042】〔実施例2〜12〕実施例1において用い
た界面活性剤の種類と添加量を、第1表に示すとおりに
変更した他は、実施例1と同様にした。結果を第1表に
示す。
【0043】〔比較例1〕界面活性剤を添加しなかった
他は、実施例1と同様にした。結果を第1表に示す。
【0044】
【表1】
【0045】〔実施例13〜24〕実施例1において用
いた界面活性剤の種類と添加量を、第2表に示すとおり
に変更するとともに、シゾフィラム・コムネ菌に代え
て、トラメテス・ベルシカラー〔Trametes v
ersicolor:IFO4941〕を用いた他は、
実施例1と同様にした。結果を第2表に示す。
【0046】〔比較例2〕界面活性剤を添加しなかった
他は、実施例13と同様にした。結果を第2表に示す。
【0047】
【表2】
【0048】〔実施例25〕 (1)塩素化ダイオキシン類の分解能を有する微生物の
培養 直径18cmのガラスシャーレーに、培地成分として大
麦全粒90gを入れ、これに水道水60ミリリットルを
入れて、蓋をした後、8時間放置した。
【0049】つぎに、この培地成分をオートクレーブに
おいて、121℃で15分間の条件下に殺菌処理し、室
温に冷却後、シゾフィラム・コムネ〔Schizoph
yllum commune;IFO6505〕をオー
トミール寒天培地に生育させた種菌を、1白金耳植菌
し、これを25℃で20日間静置培養した。
【0050】(2)塩素化ダイオキシン類の分解 内容積500ミリリットルのマイヤーフラスコに、水道
水100ミリリットルを入れた。ついで、界面活性剤と
して、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートを
0.2容量%の濃度となるように添加し、シリコセンを
して、オートクレーブにおいて121℃、15分間の殺
菌処理をした。
【0051】つぎに、このフラスコに、塩素化ダイオキ
シン類として2,4,8−トリクロロジベンゾフラン1
0mgをエタノール100ミリリットルに溶解した溶液
1ミリリットルを加えた。
【0052】そして、このフラスコ内に、さらに上記
(1)で得られた培養物5gを加え、25℃において、
7日間振とう培養した。培養の終了後、得られた培養液
よりトルエンにより、残存する2,4,8−トリクロロ
ジベンゾフランを抽出し、ガスクロマトグラフィー質量
分析によって定量した。この分析結果より、実施例1と
同様にして、2,4,8−トリクロロジベンゾフランの
分解率を算出した。結果を第3表に示す。
【0053】〔実施例26〜28〕実施例25において
用いた界面活性剤の種類と添加量を、第3表に示すとお
りに変更した他は、実施例25と同様にした。結果を第
3表に示す。
【0054】〔比較例3〕界面活性剤を添加しなかった
他は、実施例25と同様にした。結果を第3表に示す。
【0055】
【表3】
【0056】〔実施例29〕実施例25において用いた
界面活性剤の添加量を0.05容量%とし、かつ塩素化
ダイオキシン類として2,7−ジクロロジベンゾ−p−
ジオキシンを同量用いた他は、実施例25と同様にし
た。結果を第4表に示す。
【0057】〔実施例30〜36〕実施例29において
用いた界面活性剤の種類と添加量を、第4表に示すとお
りに変更した他は、実施例29と同様にした。結果を第
4表に示す。
【0058】〔比較例4〕界面活性剤を添加しなかった
他は、実施例29と同様にした。結果を第4表に示す。
なお、第4表中の2,7−DCDDは、2,7−ジクロ
ロジベンゾ−p−ジオキシンを表わす。
【0059】
【表4】
【0060】〔実施例37〕実施例29において用いた
シゾフィラム・コムネ菌に代えて、トラメテス・ベルシ
カラー〔Trametes versicolor:I
FO4941〕を用いた他は、実施例29と同様にし
た。結果を第5表に示す。
【0061】〔実施例38〜45〕実施例37において
用いた界面活性剤の種類と添加量を、第5表に示すとお
りに変更した他は、実施例37と同様にした。結果を第
5表に示す。
【0062】〔比較例5〕界面活性剤を添加しなかった
他は、実施例37と同様にした。結果を第5表に示す。
【0063】
【表5】
【0064】〔実施例45〕 (1)塩素化ダイオキシン類の分解能を有する微生物の
培養 内容積500ミリリットルのマイヤーフラスコに、培地
成分として、クヌギおが屑5重量部とブナおが屑5重量
部、フスマ2重量部、米ぬか2重量部およびコーンブラ
ン2重量部の混合物を5g入れ、さらに水道水100ミ
リリットルを加えて、密栓をした後、オートクレーブに
おいて、121℃で20分間の条件下に殺菌処理した。
【0065】ついで、この殺菌処理済の液体培地を室温
まで冷却後、シゾフィラム・コムネ〔Schizoph
yllum commune;IFO6505〕をオー
トミール寒天培地に生育させた種菌を、1白金耳植菌
し、これを25℃で6日間静置培養した。
【0066】(2)塩素化ダイオキシン類の分解 上記(1)で得られた培養物に、界面活性剤として、ポ
リオキシエチレンソルビタンモノラウレートを0.2容
量%の濃度となるように添加した。
【0067】つぎに、このフラスコに、塩素化ダイオキ
シン類として2,4,8−トリクロロジベンゾフラン1
0mgをメタノール100ミリリットルに溶解した溶液
1ミリリットルを加えた。
【0068】そして、このフラスコの内容物を25℃、
100rpmの条件下で、7日間振とう培養した。この
振とう培養中にフラスコ壁面に固形物が付着するので、
1日に1回の頻度で付着物を水中にかき落とした。培養
の終了後、得られた培養液よりトルエンにより、残存す
る2,4,8−トリクロロジベンゾフランを抽出し、ガ
スクロマトグラフィー質量分析によって定量した。この
分析結果より、実施例1と同様にして、2,4,8−ト
リクロロジベンゾフランの分解率を算出した。結果を第
6表に示す。
【0069】〔実施例46〕実施例45において用いた
界面活性剤に代えて、ポリオキシエチレンソルビタンモ
ノパルミテートを同量用いた他は、実施例45と同様に
した。結果を第6表に示す。
【0070】〔比較例6〕界面活性剤を添加しなかった
他は、実施例45と同様にした。結果を第6表に示す。
【0071】〔実施例47〕実施例45において用いた
塩素化ダイオキシン類に代えて、2,7−ジクロロジベ
ンゾ−p−ジオキシンを同量用いた他は、実施例45と
同様にした。結果を第6表に示す。
【0072】〔実施例48〕実施例45において用いた
塩素化ダイオキシン類に代えて、2,7−ジクロロジベ
ンゾ−p−ジオキシンを用い、かつ界面活性剤としてポ
リオキシエチレンソルビタンモノパルミテートを同量用
いた他は、実施例45と同様にした。結果を第6表に示
す。
【0073】〔比較例7〕界面活性剤を添加しなかった
他は、実施例47と同様にした。結果を第6表に示す。
【0074】〔実施例49〕実施例45において用いた
シゾフィラム・コムネ菌に代えて、トラメテス・ベルシ
カラー〔Trametes versicolor:I
FO4941〕を用いた他は、実施例45と同様にし
た。結果を第6表に示す。
【0075】〔実施例50〕実施例49において用いた
界面活性剤に代えて、ポリオキシエチレンソルビタンモ
ノパルミテートを同量用いた他は、実施例49と同様に
した。結果を第6表に示す。
【0076】〔比較例8〕界面活性剤を添加しなかった
他は、実施例49と同様にした。結果を第6表に示す。
【0077】〔実施例51〕実施例45において用いた
シゾフィラム・コムネ菌に代えて、プレウロタス・パル
モナリス〔Pleurotus pulmonari
s;IFO−31345〕を用いた他は、実施例45と
同様にした。結果を第6表に示す。
【0078】〔実施例52〕実施例51において用いた
界面活性剤に代えて、ポリオキシエチレンソルビタンモ
ノパルミテートを同量用いた他は、実施例51と同様に
した。結果を第6表に示す。
【0079】〔比較例9〕界面活性剤を添加しなかった
他は、実施例51と同様にした。結果を第6表に示す。
【0080】
【表6】
【0081】〔実施例53〕実施例45において用いた
2,4,8−トリクロロジベンゾフランを添加した培養
物に代えて、塩素化ダイオキシン類に汚染された水分含
有量が36重量%の無殺菌土壌〔2,830ピコグラム
−TEQ/g土壌(乾物換算)〕15gを用い、かつ界
面活性剤の添加量を0.4容量%に変更した他は、実施
例45と同様にした。なお、土壌添加後の振とう培養
は、50rpmの条件下に実施した。結果を第7表に示
す。
【0082】〔実施例54〕実施例53において用いた
界面活性剤に代えて、ポリオキシエチレンソルビタント
リオレエートを同量用いた他は、実施例53と同様にし
た。結果を第7表に示す。
【0083】〔比較例10〕界面活性剤を添加しなかっ
た他は、実施例53と同様にした。結果を第7表に示
す。
【0084】
【表7】
【0085】〔実施例55〕 (1)塩素化ダイオキシン類の分解能を有する微生物の
培養 内寸30cm×45cmで深さが10cmであって、蓋
に無菌フィルターを備えたステンレスバットに、培地成
分としてクヌギおが屑8重量部とフスマ1.5重量部お
よび米ぬか1重量部からなりかつ水分含有率65%に調
整した培地を、その底面から3cmの深さに均一に敷き
つめた後、オートクレーブにおいて、121℃で20分
間の条件下に殺菌処理した。
【0086】ついで、この殺菌処理済の培地を室温まで
冷却後、シゾフィラム・コムネ〔Schizophyl
lum commune;IFO6505〕をオートミ
ール寒天培地に生育させた種菌を、1白金耳植菌し、こ
れを30℃で30日間静置培養した。培養終了後、ナイ
フによりステンレスバット内に生成した菌床を、一辺3
cmのブロックに切断した。
【0087】(2)塩素化ダイオキシン類の分解 内容積500ミリリットルのマイヤーフラスコに、塩素
化ダイオキシン類に汚染された水分含有量が28重量%
の土壌〔2,830ピコグラム−TEQ/g土壌(乾物
換算)〕60gを入れた。ついで、このフラスコに水道
水100ミリリットルを入れ、さらに界面活性剤とし
て、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートを
0.2容量%の濃度となるように添加した。
【0088】つぎに、このフラスコを60rpmの回転
振とう機にかけて、30分間振とうした後、フラスコを
傾けて上澄み液を得た。さらに、フラスコ内の沈殿物に
水道水100ミリリットルを加え、再び30分間振とう
した後、フラスコを傾けて上澄み液を得た。ここで得ら
れた2つの上澄み液は混合した。また、フラスコ内に残
存する土壌には、水道水100ミリリットルを加えた。
【0089】そして、上記(1)で得られたシゾフィラ
ム・コムネ菌の菌床ブロック20gを、土壌の残存する
フラスコに入れ、150rpmの回転振とう機にかけ、
25℃において14日間振とう培養した。また、上記の
上澄み液にも、シゾフィラム・コムネ菌の菌床ブロック
20gを加えて、150rpmの回転振とう機にかけ、
25℃において14日間振とう培養した。
【0090】ここで得られた上澄み液についての培養物
は、残存土壌についての培養物の入っているフラスコに
加えた。そして、これら培養物全量についての残存塩素
化ダイオキシン類をガスクロマトグラフィー質量分析に
より定量し、2,3,7,8−テトラクロロジベンゾ−
p−ジオキシン毒性等量〔TEQ〕を求めた。これら結
果を第8表に示す。
【0091】〔実施例56〜58〕界面活性剤の種類お
よび添加量を第8表に示すとおりに変更した他は、実施
例55と同様にした。結果を第8表に示す。
【0092】〔比較例11〕界面活性剤を添加しなかっ
た他は、実施例55と同様にした。結果を第8表に示
す。
【0093】
【表8】
【0094】〔実施例59〕 (1)塩素化ダイオキシン類の分解能を有する微生物の
培養 内容積500ミリリットルのマイヤーフラスコに、培地
成分としてフスマ2.5gと、クヌギオガクズ7.5g
および水15ミリリットルを加え、121℃で20分間
殺菌した培地に、トラメテス・ベルシカラー〔Tram
etes versicolor:IFO4937〕を
植菌し、30℃において18日間にわたって培養し、菌
床を得た。
【0095】(2)塩素化ダイオキシン類の分解 内容積2リットルのマイヤーフラスコに、塩素化ダイオ
キシン類に汚染された水分含有量が3.2重量%の都市
ゴミ燃焼灰〔9,240ピコグラム−TEQ/g灰(乾
物換算)〕10g〔塩素化ダイオキシン類の含有量=8
9,443−TEQ〕と、ダイオキシン類に汚染されて
いない黒ボク土壌90g〔水分含有率=14.3重量
%〕を入れた。ついで、このフラスコに水道水100ミ
リリットルを加えて灰および土壌と混合し、この混合物
を85℃において3時間加熱し殺菌処理した。
【0096】そして、この灰と土壌および水の混合物
に、予め、ビーカーにクヌギオガクズ4g、フスマ4
g、米ぬか2gおよび水20ミリリットルを入れて攪拌
し、アルミニウムホイルで覆って121℃で20分間殺
菌処理しておいた栄養源を加えて攪拌した。さらに、こ
れら混合物に、水道水20ミリリットルに界面活性剤と
してポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート2g
を懸濁させた水溶液を添加した。
【0097】つぎに、このようにして得られた界面活性
剤と栄養源を含む灰と土壌および水の混合物に、上記
(1)で得た菌床5gを加えて混和し、シリコセンをし
て、30℃において、2ケ月間培養した。この培養期間
中、10日毎に、水道水10ミリリットルを補給した。
【0098】上記培養期間の終了後、灰や土壌などの混
合物全量について、これに残存する塩素化ダイオキシン
類を、ガスクロマトグラフィー質量分析により定量し、
その結果より、2,3,7,8−テトラクロロジベンゾ
−p−ジオキシンの活性に対する毒性等量(TEQ)を
求めた。この結果、これら混合物中には、37,930
ピコグラム−TEQの塩素化ダイオキシン類が残存して
いた。したがって、当初の都市ゴミ燃焼灰に含まれてい
た塩素化ダイオキシン類の分解率は、約58%であっ
た。
【0099】〔比較例12〕界面活性剤を添加しなかっ
た他は、実施例59と同様にした。その結果、培養期間
の終了後の灰や土壌などの混合物全量に残存する塩素化
ダイオキシン類は、45,200ピコグラム−TEQで
あった。したがって、当初の都市ゴミ燃焼灰に含まれて
いた塩素化ダイオキシン類の分解率は、約49%であっ
た。
【0100】〔実施例60〕 (1)塩素化ダイオキシン類の分解能を有する微生物の
培養 ポテトデキストロース培地10ミリリットルに、トラメ
テス・ベルシカラー〔Trametes versic
olor:IFO9791〕を植菌し、28℃におい
て、毎分300往復で振とう培養した。
【0101】(2)塩素化ダイオキシン類の分解 直径20cm、深さ15cmの上蓋付き石英ガラス容器
に、都市ゴミ焼却灰からの浸出水1リットル〔6,89
0ピコグラム−TEQ/リットル〕を入れた。ついで、
この容器に、栄養源として溶性デンプン15gとポリペ
プトン10gを加えた後、2規定濃度の塩酸を加えてp
Hを5.8に調整した。
【0102】そして、この容器に、界面活性剤としてポ
リオキシエチレンソルビタンモノオレエート10gと、
酸化チタン〔石原産業社製:ST−1〕10gを加え、
さらに攪拌のためのマグネット回転棒を入れて、121
℃で15分間殺菌した。その後、この容器を室温まで冷
却して、これに、上記(1)で得られた培養液の全量を
加えて混合した。
【0103】つぎに、この容器をマグネットスターラー
の上に置き、屋外の太陽光〔紫外線(波長365nm)
照射量=270μW/cm2 〕の当たる場所に設置し
て、1日に1回、60rpmの回転速度で1分間の攪拌
をした。この操作を30日間行った。また、この容器の
内壁には、温度計を取り付けて水温の測定をした。30
日間での最高温度は32℃、最低温度は18℃であっ
た。
【0104】そして、30日間経過後に、容器内の水中
の塩素化ダイオキシン類を、ガスクロマトグラフィー質
量分析により定量し、その結果より、2,3,7,8−
テトラクロロジベンゾ−p−ジオキシンの活性に対する
毒性等量(TEQ)を求めた。この結果、この水中に
は、1,620ピコグラム−TEQ/リットルの塩素化
ダイオキシン類が残存していた。したがって、当初の都
市ゴミ燃焼灰からの浸出水中の塩素化ダイオキシン類の
分解率は、約76%であった。
【0105】〔比較例13〕界面活性剤を添加しなかっ
た他は、実施例60と同様にした。その結果、30日間
経過後の容器内の水中には、2,860ピコグラム−T
EQ/リットルの塩素化ダイオキシン類が残存してい
た。したがって、当初の都市ゴミ燃焼灰からの浸出水中
の塩素化ダイオキシン類の分解率は、約58%であっ
た。
【0106】
【発明の効果】本発明によれば、汚染土壌中に、界面活
性剤を添加しておくことにより、塩素化ダイオキシン類
の分解能を有する微生物やその微生物生産酵素または酸
化チタンによる塩素化ダイオキシン類の分解活性を向上
させできるという効果が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09K 17/14 C09K 17/48 H 4D040 17/18 C12N 1/00 R 4G069 17/48 1/14 G 4H026 C12N 1/00 C12P 1/00 A 1/14 B01J 21/06 M C12P 1/00 35/02 J // B01J 21/06 (C12N 1/14 G 35/02 C12R 1:645) (C12N 1/14 C09K 101:00 C12R 1:645) B09B 3/00 ZABE C09K 101:00 A Fターム(参考) 2E191 BA12 BA13 BB01 BC05 BD20 4B064 AH19 CA21 CB11 CD12 DA16 4B065 AA71X AC20 BB09 BB26 CA56 4D004 AA41 AB07 AC07 CA19 CA43 CC05 CC07 CC11 DA03 DA10 4D037 AA11 AB14 BA16 BB08 CA07 4D040 DD01 DD11 4G069 AA02 BA04A BA04B BA48A BB04A BB04B CA04 CA05 CA07 CA10 CA19 4H026 AA07 AA08 AA11 AB03

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 土壌、灰または水に含有される塩素化ダ
    イオキシン類を分解する方法において、塩素化ダイオキ
    シン類を含有する土壌、灰または水に、界面活性剤を添
    加しかつ該土壌または灰中の水分含量を15重量%以上
    に保持して、塩素化ダイオキシン類の分解能を有する微
    生物を好気条件下に増殖させることを特徴とする塩素化
    ダイオキシン類の分解方法。
  2. 【請求項2】 土壌、灰または水に含有される塩素化ダ
    イオキシン類を分解する方法において、塩素化ダイオキ
    シン類を含有する土壌、灰または水に、界面活性剤を添
    加しかつ該土壌または灰中の水分含量を15重量%以上
    に保持して、塩素化ダイオキシン類の分解能を有する微
    生物生産酵素と接触させることを特徴とする塩素化ダイ
    オキシン類の分解方法。
  3. 【請求項3】 土壌、灰または水に含有される塩素化ダ
    イオキシン類を分解する方法において、塩素化ダイオキ
    シン類を含有する土壌、灰または水に、界面活性剤を添
    加した後、酸化チタンを配合しかつ該土壌または灰中の
    水分含量を10重量%以上に保持して、波長400nm
    以下の光を照射することを特徴とする塩素化ダイオキシ
    ン類の分解方法。
  4. 【請求項4】 界面活性剤が、ノニオン系界面活性剤で
    ある請求項1〜3のいずれかに記載の塩素化ダイオキシ
    ン類の分解方法。
  5. 【請求項5】 ノニオン系界面活性剤が、ポリオキシエ
    チレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレン
    ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビ
    タンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタン
    モノステアレートおよびポリオキシエチレンソルビタン
    トリオレエートの群から選択される1種または2種以上
    の混合物である請求項4に記載の塩素化ダイオキシン類
    の分解方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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JP2008036538A (ja) * 2006-08-07 2008-02-21 Japan Organo Co Ltd 地下水の浄化方法

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