JP7138356B2 - 濾過装置、濾過システムおよび濾過方法 - Google Patents

濾過装置、濾過システムおよび濾過方法 Download PDF

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Description

本発明は、被処理液に含まれる難分解性物質を除去する濾過装置、濾過システムおよび濾過方法に関する。
POPs条約(残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約)では、残留性有機汚染物質(Persistent Organic Pollutants : POPs)の製造、使用の廃絶・制限、排出の削減等が規定されている。このPOPsは、環境中で分解されにくく、生物に蓄積されやくす、移動拡散性が高い化学物質の総称であり、この条約の付属書Aには、対象物質としてペルフルオロオクタン酸(PFOA)等が挙げられており、付属書Bには、対象物質としてペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)等が挙げられている。日本は2002年8月にこの条約に加入し、この条約の義務の履行が求めている。
POPs条約で指定された物質のうちの前記PFOSやPFOAは、2020年4月1日から日本の水質管理目標設定項目に位置付けられ、その目標値がこれら2物質の量の和として 0.00005mg/L(暫定)とされている。環境省も河川、湖沼、海域、地下水、湧水を調査している。このようにPFOSやPFOAなどのPOPsを除去する技術が一般社会から求められている現状がある。
また、POPs以外の難分解性物質(自然環境下で分解されにくい化学物質)についても、環境汚染(例えば水質悪化)の原因となり得るため、その除去が望まれている。なお、化学物質が良分解性物質か、または難分解性物質かの判定は、国が定めた「監視化学物質への該当性の判定等に係る試験方法及び判定基準」(最終改正平成23年4月22日)に記載された以下の基準を基本とする。すなわち、良分解性とは、(1)3つの試験容器のうち2つ以上でBODによる分解度が60%以上であり、かつ3つの平均が60%以上であること。(2)あわせてHPLC、GC等の直接分析法により分解生成物が生成していないことが確認されること。なお、通達で定められた試験方法による試験成績が上記の基準を満たさない場合であって、BOD曲線等から試験終了後も引き続き生分解していることが示唆される場合(上昇傾向等)には、OECDテストガイドライン302Cによる試験成績に基づいて判定を行うことができる。他方、難分解性とは、良分解性でないことをいう。
以上のような難分解性物質(POPsを含む。以下同じ。)を含む液体を浄化する方法としては、(1)RO膜処理法、(2)イオン交換樹脂吸着法、(3)活性炭吸着法、(4)オゾン酸化分解法、(5)紫外線/光触媒法などを挙げることができる。
また、本発明に関する先行技術として、特許文献1~5に開示された発明がある。
特許文献1には、浸漬型膜濾過装置を用いた水処理設備の運転方法が開示されている。この運転方法は、原水に予め粉末活性炭を添加した粉末活性炭混合水を膜濾過槽に流入させるか、または原水を膜濾過槽に流入させ粉末活性炭を添加して粉末活性炭混合水となして、原水中の微量有機物などの処理対象物質を粉末活性炭に吸着させるとともに、膜濾過槽内の粉末活性炭混合水を槽内に設置した浸漬型膜濾過装置により固液分離するものである。その際、膜濾過槽への流入水量に対する膜濾過水の取出量を99%以上として、粉末活性炭を膜濾過槽内に高濃度に保持することにより、処理対象物質の吸着を促進することができるという効果が開示されている。
特許文献2には、排水処理方法が開示されている。この方法は、原水に、溶解性の有害成分を吸着可能な吸着材を吸着材投入部から投入し、該吸着材に少なくとも溶解性の有害成分を吸着させた後、膜分離装置のようなろ過手段でろ過処理して有害成分を吸着した 吸着材及び固形有害成分を原水から分離し、次いで、前記ろ過手段の洗浄排水を促進酸化処理部に導入して促進酸化処理を施すことにより有害成分の無害化を行うというものである。この方法を用いることによって、排水中に含まれるダイオキシン類、PCB、クロロベンゼン、トリハロメタン等の有機塩素化合物や色素成分等の除去を効率よく低コストで行うことができるという効果が開示されている。
特許文献3には、難分解性物質を含有する汚染水の処理方法が開示されている。この方法は、難分解性物質を含有する汚染水に対して無機系吸着剤を添加し、当該無機系吸着剤を添加した汚染水をろ過膜によりろ過する処理を含むことを特徴とする難分解性物質を含有する汚染水の処理方法であり、必要により、汚染水を逆浸透膜に通過させて汚染水を分離処理した後に、当該逆浸透膜を通過しなかった液分に対して、無機系吸着剤を添加するようにしてもよいというものである。この方法によれば、汚染水に対して無機系吸着剤を添加して難分解性物質を当該吸着剤に吸着させた状態でろ過膜によりろ過処理するようにしており、反応系中に酸化分解反応を含むこともないため、重亜硫酸塩等の還元剤を含む排水にも適用できるとともに、含有される難分解性物質の性状に制限されず、効率よく低コストで難分解性物質を含む汚染水を無害化処理することができるという効果が開示されている。
特許文献4には、難分解性物質含有水の処理方法が開示されている。この方法は、下記工程:(B)難分解性物質含有水(処理原水)に吸着剤を添加し、該吸着剤に難分解性物質を吸着させる工程(吸着処理工程)、(C)該難分解性物質を吸着した吸着剤を、濾過膜を用いて分離し、難分解性物質を吸着した吸着剤が濃縮された水を得る工程(膜濾過処理工程)、(D)該分離された吸着剤に吸着された難分解性物質を、該吸着剤から脱着操作を行うことなく、該難分解性物質に対して過酸化物を接触させて、難分解性物質を化 学分解する工程(化学分解工程)、を含むものである。この方法によれば、汚染水(処理原水)に含まれるダイオキシン類等の難分解性物質を濃縮して無害化するにあたり、遊 離塩素を中和する重亜硫酸塩等の還元性物質を含む水にも適用できるとともに、含有される難分解性物質の性状に制限されず、効率よく低コストで無害化することができるという効果が開示されている。
特許文献5には、難分解性物質含有水の処理方法が開示されている。この方法は、下記工程:(B)難分解性物質含有水に吸着剤を添加し、該吸着剤に難分解性物質を吸着させる工程(吸着処理工程)、(C)濾過膜を用いて透過液を分離し、該難分解性物質を吸着した吸着剤を濃縮する工程(膜濾過処理工程)、(D)該濃縮された吸着剤に吸着された難分解性物質を分解する工程(難分解性物質分解工程)、(E)難分解性物質分解後の吸着剤を(B)吸着処理工程に返送する工程(吸着剤返送工程)を含むものである。この方法によれば、汚染水に含まれるダイオキシン類等の難分解性物質を濃縮して無害化するにあたり、固体に吸着されている難分解性物質を、脱着等の操作を行うことなく、そのままの状態で効果的に分解処理するクローズドシステムができる等の効果が開示されている。
特許文献6には、濾過装置および濾過装置を用いた濾過方法が開示されている。この濾過装置は、ケーシング内に濾過膜が収容されて原水から濾過水を濾過する濾過モジュールと、この濾過モジュールに接続されて濾過水を排出する濾過水排出手段と、濾過モジュールに原水が導入されていない状態で濾過モジュールに活性炭が懸濁した懸濁液を供給する活性炭懸濁液供給手段とを備えており、懸濁液を濾過膜によって濾過することにより濾 過膜に活性炭の膜あるいは層を形成し、しかる後に濾過モジュールに原水を導入して濾過を行うというものである。濾過膜に活性炭膜を確実かつ均一な膜厚で形成することにより、原水中の濁質等による濾過膜の目詰まりを効果的に防止して効率的な濾過処理を行うことができるという効果が開示されている。
特開平9-285779号公報 特開2003-266090号公報 特開2005-205300号公報 特開2006-192378号公報 特開2007-021347号公報 特開2005-193075号公報
しかしながら、前記RO膜(逆浸透膜)処理は、通水圧力が4MPa~7MPa程度は必要であるため、被処理液を輸送する輸送ポンプの動力を大きいものにしなければならず、ランニングコストが高いという問題がある。また、クロスフロー方式であり、RO膜1個当たりの通水量が少ないため、多くのRO膜を用意しなければならず、イニシャルコストが高いという問題もある。さらに、被処理液に含まれる難分解性物質以外の物質(例えば有機物)の影響によってRO膜が目詰りを起こしやすいため、定期的に目詰りを解消するためのメンテナンスが必要であるという問題もある。
前記イオン交換樹脂吸着法に用いられるイオン交換樹脂は、活性炭と比べて単位量当たりの難分解性物質の吸着量が多く、吸着性能に優れているが、単価が高いという問題がある。また、イオン交換樹脂は粒度が0.3mm~1mmΦ(ファイスケール)程度と細かいため、難分解性物質との接触効率が高く、難分解性物質の吸着効率が90%以上であるという利点があるが、その細かさ故に通水抵抗が大きい。通水抵抗が大きいと、通水速度を遅く必要があり、ある程度の量の被処理液を処理するためには、イオン交換樹脂を充填したボトルの本数を多くする必要があり、イニシャルコストがかかるという問題もある。また、被処理液に含まれる難分解性物質以外の物質(例えば有機物)の影響によって、イオン交換樹脂の吸着性能が劣化しやすいという問題もある。また、被処理液の濁度(濁りの程度をいい、JIS K0101に試験方法がある。)が高いと、イオン交換樹脂の粒子間の間隙が目詰まりしやすいため、イオン交換樹脂を備えた装置の前段に濁度を下げるためのフィルタを別途設けなければならないという問題もある。さらに、イオン交換樹脂を充填したボトルは高価であるため、ボトル交換によるランニングコストが高いとともに、使用済みボトルの廃棄処理コストも高いという問題もある。
前記活性炭吸着法は、活性炭をペレットにして充填した装置を用いるもの(ペレット充填層方式)が代表的である。しかし、このペレット充填層方式は、被処理液中の難分解性物質の濃度が低いときに、難分解性物質を吸着する効率(吸着効率)が悪いという問題がある。具体的には、空間速度(SV)が5~10(1/Hr)の場合に、50~70%程度の難分解性物質しか吸着することができず、難分解性物質の除去に関して不確実性が高い。また、活性炭ペレットの表面が、被処理液中の浮遊物質、懸濁物質、バイオフィルム等で覆われる(マスキングされる)と、活性炭ペレットの吸着性能が劣化する。このようなマスキングを防止するために、活性炭吸着層の前段にこれらの物質を除去するフィルタを別途設けたり、被処理液中に次亜塩素酸を注入したりしなければならず、イニシャルコストやランニングコストがかかるという問題がある。また、被処理液に含まれる難分解性物質以外の物質(例えば有機物)の影響によって、活性炭の吸着性能が劣化しやすいという問題もある。また、難分解性物質を除去するために必要となる活性炭ペレットの量が多く、コスト(イニシャルコストおよびランニングコスト)が高いという問題がある。また、活性炭充填層が大型になる傾向があり、大型の設備になるという問題がある。さらに、難分解性物質を吸着した活性炭を廃棄するために、後段に脱水装置や乾燥装置をもうけなければならないという問題がある。例えば、難分解性物質がPFOSである場合、PFOSは850度で2秒間加熱すると分解するため、活性炭充填層の後段にそのようなPFOSを分解するための装置を設けなければならない。
そのほか、前記オゾン酸化分解法や、紫外線/光触媒法などによって被処理液を処理することも可能であるが、設備費が高いとともに、電力などのランニングコストも高く、さらに難分解性物質を除去する効率も低いため、実効性がないという問題がある。
また、前記特許文献1~5に係る方法は、被処理液に活性炭等を混合させて、活性炭等に難分解性物質等を吸着させた後、その液体をフィルタで濾過するというものである。しかし、これらの方法では、活性炭(粒子)の周囲にある難分解性物質は吸着されるが、活性炭(粒子)から離れた位置にある難分解性物質は吸着されない。一般的に被処理液はスムーズにフィルタへ運ばれ、被処理液中で激しく攪拌されながらフィルタまで運ばれるようなことはないため、活性炭(粒子)から離れた位置にある難分解性物質は、除去されずにそのままフィルタを通過してしまうという問題がある。
前記特許文献6に係る方法は、原水中の濁質等による濾過膜の目詰まりを効果的に防止して効率的な濾過処理を行うために濾過膜を形成したものであり、濾過膜によって難分解性物質を除去することを目的としたものではない。この特許文献6では濾過膜として中空糸膜を用いている。内圧型の中空糸膜は、中空糸膜の内部を通る懸濁液の流速が速くなるため、中空糸膜の内部に活性炭粉体を添着しにくく、添着したとしても速く流れる懸濁液によって剥離してしまい、実質的に活性炭粉体の添着が困難である。他方、外圧型の中空糸膜は、一般的に隣接する中空糸膜間の隙間が最大0.5mm程度であり、原水の通路を確保するため、実質的に活性炭を添着できる厚さは最大0.15mm程度であることから、難分解性物質を吸着させるには不十分であって用をなさない。また、一般的に1本の中空糸膜の表面積は50m2程度であり、その中空糸膜の表面に添着される活性炭の厚さが0.15mmと仮定すると、1本の中空糸膜に保持される活性炭粉体の量は4kg程度である。そのため、多くの難分解性物質を除去しようとすると、大量の中空糸膜を用意しなければならず、イニシャルコストが高くなってしまう。また、活性炭を添着する際は、最大で100mg/Lの低濃度でプレコーティングすることが開示されており、仮に1本の中空糸膜に活性炭を4kg添着し、その中空糸膜の数が25本あると仮定すると、100000g/0.1g/25LMH/50m2/25本=32時間かかることになり、活性炭の添着時間がかかりすぎて現実的ではない。さらに、添着する活性炭の平均粒径は20~200μmにすることが望ましいことが開示されているが、この平均粒径では接触効率が悪い。また、外圧型の中空糸膜を洗浄する際は、エアスクラビング洗浄を行っているが、この洗浄方式では濾過水を用いて逆洗を行うため、濾過水の消費が非常に多く、無駄が多い。以上のように、この特許文献6は、中空糸膜の表面に活性炭粒子を薄く添着し、その活性炭粒子を濾過助剤として使用するものであり、難分解性物質の吸着・除去に必要な活性炭層(活性炭量)を形成していない。
以上のように、被処理液中の難分解性物質の濃度の高低に関わらず、難分解性物質を高い確率で除去し、かつ、経済的に優れた処理方法は確立されていないというのが現状である。特に、難分解性物質のうちのPFOSについては、河川、井戸水、湧水の汚染濃度が、国が定めた基準の数倍~170倍程度の箇所もあり、また、基地、港湾、空港等で用いられる泡消火剤(PFOSが用いられている)の現液や希釈液の濃度は国が定めた基準の数千倍と想定されるため、難分解性物質を除去する装置や方法のニーズが非常に高いという現実がある。
そこで、本発明が解決しようとする主たる課題は、難分解性物質を除去する効果が高い濾過装置や濾過方法を提供することにある。
前記課題を解決するために、以下の各態様を採ることができる。
(第1の態様)
被処理液に含まれる難分解性物質を除去する濾過装置であって、
被処理液の供給口と処理液の排出口を有する濾過容器と、
前記濾過容器の内部に設けられ、外面が濾過面とされ内部が処理液の通路とされ、平坦な濾材を蛇腹状に折り曲げて複数の襞を形成しつつ、筒状に形成したプリーツフィルタと、を有し、
濾過前の状態で、前記プリーツフィルタの外面に吸着剤層を有し、
前記吸着剤層は前記難分解性物質を吸着する吸着剤を積層したものであることを特徴とする濾過装置。
(作用効果)
第1の態様は、被処理液を濾過する前の状態で、濾過フィルタの外面に吸着剤層が形成されていることを特徴とする。このような構成にすることで、被処理液を濾過したときに、被処理液中の難分解性物質の大部分を濾過フィルタの表面に形成された吸着剤層の吸着剤に吸着することができ、被処理液中の難分解性物質を高い割合で除去することができる。
前述したように、前記先行特許文献1~5の方法によれば、被処理液に吸着剤を混ぜて、被処理液に含まれている難分解性物質を吸着剤に吸着させた後にフィルタ等で濾過するため、被処理液中の難分解性物質のうち、吸着剤粒子の近くあるものは捕捉されやすいが、吸着剤粒子から遠く離れたものは捕捉されづらい。そのため、吸着剤粒子に捕捉されなかった難分解性物質は、濾過フィルタを通って、処理液中に残ることになってしまう。すなわち、被処理液中の難分解性物質を除去する効果は決して高いものではない。
他方、本態様では、すべての被処理液が濾過フィルタを通ることを利用する構成とした。すなわち、濾過フィルタの外面に吸着剤層を形成したことで、被処理液中の難分解性物質は、濾過フィルタを通過する前に吸着剤層を通り抜けなければならなくなり、吸着剤層を通り抜ける間に吸着剤に吸着されてしまう。そのため、前記先行特許文献1~5の方法で発生していた、吸着剤粒子に接触することなく、濾過フィルタを通過してしまう難分解性物質を減らすことができ、高い割合で被処理液中の難分解性物質を除去することができる。
また、前記先行特許文献6の装置では、濾過膜として中空糸膜を用いているため、その表面に吸着剤層を極めて薄くしか形成できない(試算によると最大0.15mm程度)。そのため、被処理液中の難分解性物質を除去する性能が極めて低いものとなる。そこで、本発明では濾過膜としてプリーツフィルタを用いる。プリーツフィルタを用いることにより、その表面に吸着剤層をより厚く形成することができるようになり(試算によると最大4mm程度)、その結果被処理液中の難分解性物質を除去する性能を十分に確保することができる。一般的に、被処理液中の難分解性物質を十分に吸収するためには、吸着剤層の厚さを1mm以上にする必要がある。また、吸着剤層の厚さが厚すぎると圧力が大きくなりすぎるため、3mm以下にすることが好ましい。
また、濾材を折り曲げていない単なる平坦な濾過フィルタと比べて、プリーツフィルタを用いることで、表面積が大きくなるため、被処理液中の難分解性物質の除去能力が格段に高くなる。
さらに、吸着剤層を構成する吸着剤が難分解性物質を吸着した後は、その吸着剤を除去・排出して、新たな吸着剤を濾過膜に添着しなおさなければならない。しかし、前述のようにプリーツフィルタは表面積が大きいため、プリーツフィルタに付着する吸着剤の量を多くすることができる。その結果、難分解性物質を除去できる量が増え、吸着剤の除去・排出、再添着が必要になる時期を遅くすることができる。すなわち、より長く濾過処理を連続継続することができる。発明者の試算によると、プリーツフィルタを用いた場合、吸着剤の除去・排出、再添着をしなくとも、1年以上連続して濾過処理することが可能である。
(第2の態様)
前記吸着剤層は複数層からなり、
前記吸着剤層の内側に位置する第1吸着剤層の第1吸着剤の平均粒径が、前記吸着剤層の外側に位置する第2吸着剤層の第2吸着剤の平均粒径よりも大きい前記第1の態様の濾過装置。
(作用効果)
吸着剤は難分解性物質を吸着するにつれて吸着能力が低下する。そのため、吸着能力が一定の水準以下まで下がったときに、プリーツフィルタの表面から吸着剤層を剥離・排出し、その後、新たな吸着剤層を再度形成する必要がある。一般的に吸着剤の平均粒径は小さいものが多いため、吸着剤がプリーツフィルタの間隙に入り込んで剥離しづらい場合がある。
以上のような不都合を回避するため、本態様では吸着剤層の内側に位置する第1吸着剤層の第1吸着剤の平均粒径を吸着剤層の外側に位置する第2吸着剤層の第2吸着剤の平均粒径よりも大きくした。このようにプリーツフィルタの傍に位置する第1吸着剤層の第1吸着剤の平均粒径を大きくすることによって、プリーツフィルタの間隙に第1吸着剤が入り込みづらくなり、吸着剤層を剥離する際に、剥離しやすいという利点がある。他方、吸着剤層の外側に位置する第2吸着剤層の第2吸着剤の平均粒径を小さくすることによって、第2吸着剤の比表面積が増えるため、第2吸着剤の難分解性物質の除去性能を高めることができる。以上のように、本態様によれば、吸着剤層を剥離しやすく、しかも吸着剤層による難分解性物質の除去性能を高くすることができる。
特に、濾過膜として用いたプリーツフィルタは、襞と襞の隙間の谷部にへばりついた吸着剤を剥離しづらいという特徴がある。それが粒径の小さな吸着剤であれば猶更である。そこで、プリーツフィルタの傍に位置する第1吸着剤層の第1吸着剤の平均粒径を大きくすることによって剥離が容易になり、特にその谷部の吸着剤層の剥離が容易になることが大きな利点である。
なお、本態様のように第1吸着剤層を設けるのではなく、剥離を容易にする剥離剤を含む溶液をプリーツフィルタに通液して、プリーツフィルタと吸着剤層の間に剥離層を設けることも考えられる。しかし、このような剥離層は難分解性物質を除去するためのものでなく、吸着剤層を剥離するため以外に用途がないものである。プリーツフィルタの外面に積層する吸着剤層が厚くなると被処理液の通液性能が低下してしまうため、吸着剤層の厚みを所定の厚み以下にしなければならないところ、この剥離層を設けた場合、この剥離層の厚みの分だけ吸着剤層の厚みを薄くしなければならず、その結果難分解性物質の除去効果が落ちてしまう。本態様では、剥離の役割を務める第1吸着剤層でも難分解性物質を除去する効果があるため、剥離層を設けた場合と比べて、難分解性物質の除去効果が高いという利点がある。
また、本態様は吸着剤層を2層にするものに限ったものではなく、3層以上にすることも含むものである。吸着剤層を3層以上にした場合、内側に位置する吸着剤層の吸着剤の平均粒径が外側に位置する吸着剤層の吸着剤の平均粒径よりも大きくすればよい。例えば吸着剤層を3層から構成し、積層された吸着剤層を内側(プリーツフィルタ側)から外側へ向かって順番に第1吸着剤層、第2吸着剤層、第3吸着剤層とした場合、最も内側に位置する第1吸着剤層の第1吸着剤の平均粒径を、第1吸着剤層と第3吸着剤層の間に位置する第2吸着剤層の第2吸着剤の平均粒径よりも大きくするようにすればよい。
(第3の態様)
第2の態様の濾過装置を有する濾過システムであって、
前記第1吸着剤を含む第1溶液を貯留する第1溶液貯留槽と、
前記第1溶液貯留槽の第1溶液を前記濾過容器へ送る第1溶液輸送ルートと、
前記第2吸着剤を含む第2溶液を貯留する第2溶液貯留槽と、
前記第2溶液貯留槽の第2溶液を前記濾過容器へ送る第1溶液輸送ルートと、を有することを特徴とする濾過システム。
(作用効果)
第2の態様に示すような複数層からなる吸着剤層を形成する場合、例えば、第1吸着剤層を形成するために第1吸着剤を含む溶液を濾過容器へ送り、第2吸着剤層を形成するために第2吸着剤を含む溶液を濾過容器へ送る必要がある。同じ種類の吸着剤を含む液体は、その吸着剤の粒径に関わらず、同一の貯留槽に貯留することが一般的である。そのため、第1吸着剤を含む第1溶液も第2吸着剤を含む第2溶液も同一の貯留槽に貯留することが一般である。
しかし、プリーツフィルタの外面に設ける吸着剤層を複数層にするためには、第1溶液を濾過容器へ送るタイミングと第2溶液を濾過容器へ送るタイミングをずらす必要がある。そのため、第1吸着剤を含む第1溶液も第2吸着剤を含む第2溶液も同一の貯留槽に貯留する場合、例えば、貯留槽(第1溶液を貯留した貯留槽)から濾過容器へ第1溶液を送った後、その貯留槽の中を空にして、空になった貯留槽の内部に第2溶液を生成し、その後に貯留槽から濾過容器へ第2溶液を送るというような工夫をしなければならない。しかし、第1溶液を送り終えた後から第2溶液を送り始める前までのタイムラグが大きく、非効率である。
そこで、本態様においては、たとえ第1溶液と第2溶液に含まれる吸着剤の種類が同じ場合であっても、第1溶液に含まれる第1吸着剤の平均粒径と第2溶液に含まれる第2吸着剤の平均粒径が異なることに意味があると考えて、第1溶液と第2溶液を異なる貯留槽で保管することとした。そして、第1溶液貯留槽から第1溶液輸送ルートを経て濾過容器へ第1溶液を送った後、第2溶液貯留槽から第2溶液輸送ルートを経て濾過容器へ第2溶液を送るようにした。このような構成にすることで、第1溶液を送り終えた後から第2溶液を送り始める前までのタイムラグを小さくすることが可能となり、効率性の高い濾過システムとなる。
本態様は、吸着剤を含む溶液を貯留するための貯留槽の数を2つに限定したものではなく、3つ以上の貯留槽を設けても良い。例えば、第1溶液を貯留する第1貯留槽、第2溶液を貯留する第2貯留槽、第3溶液を貯留する第3貯留槽と、3つの貯留槽を設けるようにしてもよい。
(第4の態様)
前記第1の態様の濾過装置を複数個設け、それらを並列に配置した濾過システムであって、
各濾過装置の後段に設けられ、各濾過装置から排出された処理液をそれぞれ抽出する複数の抽出経路と、
前記複数の抽出経路を集合させた集合部と、
前記集合部に設けられ、前記処理液に含まれる難分解性物質を検出する検出器と、を有することを特徴とする濾過システム。
(作用効果)
濾過装置が複数個ある場合、各濾過装置の濾過処理が正常に機能しているかどうかを監視する必要がある。例えば、濾過装置が故障したり、吸着剤層の吸着剤が難分解性物質を多量に取り込んで吸着能力が低下したりした場合、濾過装置から排出される処理液に多量の難分解性物質が含まれる事態の発生が危惧される。このような不具合の発生を防止するため、各濾過装置から排出された処理液をそれぞれ抽出し、その処理液中の難分解性物質の量に異常がないかどうか(難分解性物質の含有量が所定値よりも高くないかどうか)を検出するため、濾過装置の数と同数の検出器を設ける必要がある。このように1つの濾過装置に対して1つの検出器を設けた場合、イニシャルコストが高くなるという問題がある。
そこで本態様においては、各濾過装置から排出される処理液を抽出する抽出経路(例えば、処理液が内部を通る管)を設け、その抽出経路を後段で集合させ(集合した部分を集合部という)、その集合部に処理液中の難分解性物質を検出する検出器が設ける構成とした。このような構成にすることで、濾過装置の数と同数の検出器を設ける必要がなくなり、イニシャルコストを削減することができる。例えば、濾過装置を複数台設けた場合であっても、検出器を1つ設けるだけで、各濾過装置から排出される処理液に含まれる難分解性物質の量に異常がないかどうかを監視することが可能になる。
(第5の態様)
前記第1の態様の濾過装置を複数個設け、それらを並列に配置した濾過システムであって、
各濾過装置における濾過開始からの経過時間をモニタリングする計時器と、
一部の濾過装置で濾過開始から所定時間が経過した段階で、その濾過装置に被処理液の供給を停止する被処理液供給ポンプと、を有することを特徴とする濾過システム。
(作用効果)
濾過装置が複数個ある場合、各濾過装置で難分解性物質を適切に除去できているかどうかを監視する必要がある。吸着剤層の吸着剤は、難分解性物質を吸着するにつれて難分解性物質の吸着能力が低下する。そのため、難分解性物質を一定量吸着した吸着剤は、新たな吸着剤と交換する必要がある。
各濾過装置における吸着剤の吸着能力は、吸着剤層を通過した被処理液の量(通液量)が増えるにつれて低下する。この通液量は、被処理液を濾過装置に送る速度(送液速度)と、吸着剤層に被処理液を通し始めてから経過した時間(通液時間)によって決まる。なお、前記通液時間は、濾過を開始してからの経過時間と同じ(ほぼ同じ)であるため、通液時間を濾過時間ともいう。
以上の関係を利用するために、本態様においては、計時器と制御装置を設けることとした。例えば、送液速度と通液時間と吸着能力の低下度合いの関係性についてシミュレーションで予め確認した上で、計時器によって実際の通液時間を計測し、通液時間が予め定めた時間(一定時間)に達した時点で、制御装置によって、濾過装置に対して被処理液の供給を停止するように制御することができる。
第3の態様とは異なり、計時器を用いて被処理液の供給を停止するタイミングを決める方式にすることで、第3の態様よりも安価なシステムとすることができる。一般的に第3の態様で用いる難分解性物質の検出器は高価である一方、計時器は汎用のものを用いることによって検出器よりも安価になるためである。
(第6の態様)
外面が濾過面とされ内部が処理液の通路とされ、平坦な濾材を蛇腹状に折り曲げて複数の襞を形成しつつ筒状に形成したプリーツフィルタに、難分解性物質を吸着する吸着剤を含む溶液を通して、そのプリーツフィルタの外面に吸着剤層を形成する吸着剤層形成工程と、
前記吸着剤層を形成した前記プリーツフィルタに被処理液を通し、前記吸着剤層に前記難分解性物質を吸着させながら濾過する吸着・濾過工程と、
を有することを特徴とする濾過方法。
(作用効果)
前記第1の態様と同様の作用効果を奏する。
(第7の態様)
前記吸着剤層形成工程は、
第1吸着剤を含む第1溶液を前記プリーツフィルタに通して、前記プリーツフィルタの外面に第1の吸着剤層を形成する第1吸着剤層形成工程と、
前記第1吸着剤よりも平均粒径が小さい第2吸着剤を含む第2溶液をプリーツフィルタに通して、前記第1吸着剤層の外面に第2吸着剤層を形成する第2吸着剤層形成工程と、
を有する前記第6の態様の濾過方法。
(作用効果)
前記第2の態様と同様の作用効果を奏する。
本発明によれば、難分解性物質を除去する効果が高い濾過装置や濾過方法を提供することができる。
本発明に係る濾過装置の構造図である。(A)は正面図、(B)は平面図(プリーツフィルタは存在するが、図面ではプリーツフィルタの表示を省略した)である。 濾過フィルタの説明図である(洗浄装置は図示省略)。 洗浄手段の変形例の説明図である。(C)は平面図、(D)は突出部の拡大図、(E)は正面図である。 本発明の第一実施形態に係る濾過システムの構造図である。 本発明の第二実施形態に係る濾過システムの構造図である。 本発明の第三実施形態に係る濾過システムの構造図である。 (7A)第一実施形態および第二実施形態における濾過フィルタの一部の断面図である。(7B)第三実施形態における濾過フィルタの一部の断面図である。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、以下の説明及び図面は、本発明の一実施形態を示したものにすぎず、本発明の内容をこの実施形態に限定して解釈すべきでない。
(被処理液A)
本発明に係る濾過装置10によって濾過される被処理液Aとしては、難分解性物質Eを含む液体であり、例えば、河川や湖沼の水、海水、地下水、湧水、工場(半導体製造工場や写真フィルム製造工場など)からの排水、艦艇や船舶からの排水等を挙げることができる。
(難分解性物質E)
難分解性物質Eとは良分解性物質でないものをいう。本発明において、難分解性物質Eか良分解性物質かの判定は、日本国が定めた「監視化学物質への該当性の判定等に係る試験方法及び判定基準」(最終改正平成23年4月22日)に記載された前記基準を基に行う。
本発明の対象となる難分解性物質Eとして、例えばPOPs条約の以下の対象物質を挙げることができる。具体的には、POPs条約の付属書Aのアルドリン、アルファーヘキサクロロシクロヘキサン、ベーターヘキサクロロシクロヘキサン、クロルデン、クロルデコン、デカブロモジフェニルエーテル、ディルドリン、エンドリン、ヘプタクロル、ヘキサブロモビフェニル、ヘキサブロモシクロドデカン、ヘキサブロモジフェニルエーテル、ヘプタブロモジフェニルエーテル、ヘキサクロロベンゼン、ヘキサクロロブタジエン、リンデン、マイレックス、ペンタクロロベンゼン、ペンタクロロフェノール、その塩及びエステル類、ポリ塩化ビフェニル(PCB)、ポリ塩化ナフタレン(塩素数2~8のものを含む)、短鎖塩素化パラフィン(SCCP)、エンドスルファン、テトラブロモジフェニルエーテル、ペンタブロモジフェニルエーテル、トキサフェン、ジコホル、ペルフルオロオクタン酸(PFOA)とその塩及びPFOA関連物質、付属書Bの1, 1, 1-トリクロロ-2, 2-ビス(4-クロロフェニル)エタン(DDT)、ペルフルロオクタンスルホン酸(PFOS)とその塩、ペルフルオロオクタンスルホニルフオリド(PFOSF)、付属書Cのヘキサクロロベンゼン(HCB)、ヘキサクロロブタジエン、ペンタクロロベンゼン(PeCB)、ポリ塩化ビフェニル(PCB)、ポリ塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシン(PCDD)、ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)、ポリ塩化ナフタレン(塩素数2~8のものを含む)を挙げることができる(なお、付属書Aと付属書Cには重複しているものが存在する)。
本発明において、特に対象となる難分解性物質Eとしては、PFOSとその塩、PFOAとその塩及びPFOA関連物質、PFHxS(ペルフルオロヘキサンスルホン酸)とその塩及びPFHxS関連物質、PFHxA(パーフロロヘキサン酸)を例示することができる。
(吸着剤N)
難分解性物質Eを吸着するための吸着剤Nを用いることが好ましい。この吸着剤Nは、除去したい難分解性物質Eの種類に応じて適宜異なった種類のものを用いることが好ましい。例えば、PFOSとその塩、PFOAとその塩及びPFOA関連物質、PFHxSとその塩及びPFHxS関連物質、PFHxAを除去したい場合は、吸着剤Nとして活性炭を用いることが好ましい。他の吸着剤Nと比べて安価で入手しやすいとともに、これらの難分解性物質Eの吸着能力が高いからである。そして、この活性炭の粒子は、粒径(投影円相当径(粒子の投影面積に等しい円の直径)をいい、各粒子の投影円相当径の平均値(平均粒径)のことをいう。この平均粒径は、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(例えば、商品LA-960V2シリーズ、株式会社堀場製作所製)を用いて粒度分布を測定し、累積体積が50%に相当する時の粒子径を平均粒径として定める。以下同じ。)が1~30μmのものを用いることが好ましく、粒径が5~9μmのものを用いることがより好ましい。活性炭粒子の粒径が1μmよりも小さいと、活性炭粒子間の間隙が狭すぎるため、被処理液Aの濾過処理速度が著しく遅くなってしまう。他方、活性炭粒子の粒径が30μmよりも大きいと、活性炭粒子間の間隙が広くなり、難分解性物質Eが活性炭に吸着されずに、活性炭粒子間の間隙を通りぬけて、処理液Bに多く混入してしまう。なお、前記各先行特許文献に記載されているように、難分解性物質Eを吸着するために活性炭を用いることもあるが、この場合は一般的に4~6mm程度の粒径の活性炭を用いることが多いが、本実施形態ではこれよりも明らかに小さな粒径の活性炭を用いている。このような小さい粒径の活性炭を用いることで、難分解性物質Eと活性炭の接触効率が高くなり、その結果、難分解性物質Eの除去性能を飛躍的に高めることができる。具体的には、前記4~6mm程度の粒径の活性炭粒子を用いた場合と比べて、活性炭粒子の比表面積を8万~10万倍程度にすることができるため、難分解性物質Eと活性炭の接触効率を著しく向上することができる。活性炭の比表面積を高めて、難分解性物質Eと活性炭の接触効率を向上させ、難分解性物質Eの除去効果をより高めるためには、前述のように粒径が5~9μmの活性炭を用いることがより好ましい。
なお、活性炭以外の吸着剤Nとして、例えば、イオン交換樹脂等の有機質多孔体、ゼオライト、珪藻土、酸性白土、活性白土、カーボンブラック等の無機質多孔体、二酸化チタン等の金属酸化物や金属粉末、プルシアンブルー(紺青)などの物質を、難分解性物質Eの種類に応じて適宜用いてもよい。すなわち、除去したい難分解性物質Eの種類に応じて、その難分解性物質Eの吸着能力が高い吸着剤Nに適宜変えることが好ましい。
(吸着剤層47)
被処理液Aの濾過を開始する前に、濾過フィルタ12の外面に吸着剤層47を形成することが好ましい。吸着剤層47を形成しておくことで、被処理液Aを濾過したときに、被処理液中Aの難分解性物質Eの多くを吸着剤層47(を構成する吸着剤N)に吸着することができるため、被処理液A中の難分解性物質Eを高い割合で除去することができる。すなわち、濾過フィルタ12の外面に吸着剤層47を形成することで、被処理液A中の難分解性物質Eは、濾過フィルタ12の間隙を通過する前に、吸着剤層47を通り抜けなければならないため、その吸着剤層47を通り抜ける間に、被処理液A中に含まれる難分解性物質Eの大部分を吸着剤Nに吸着させることができる。
この吸着剤層47の厚みは任意に設定することができるが、1~4mm程度にすることが好ましく、1.5~4mm程度にすることがより好ましく、3~4mm程度にすることがさらに好ましい。吸着剤層47の厚みが1mmよりも薄いと、被処理液A中の難分解性物質Eが吸着剤層47を構成する吸着剤粒子の間隙を通過しやすくなり、その結果、処理液B中に含まれる難分解性物質Eの濃度が高くなってしまう。例えば、PFOSを吸着・除去するために、平均粒径が10μm程度の活性炭粒子を用いる場合、活性炭層47の厚みを1.5mm以上、好ましくは3mm以上にしないと、PFOSを高効率で除去することが困難である。他方、吸着剤層47の厚みが4mmよりも厚いと、被処理液Aを吸着剤層47の粒子間の間隙に通すための抵抗が大きくなりすぎるため、被処理液Aを圧送するためのポンプ(8a)の負荷が大きいとともに、濾過処理のスピードが著しく落ちてしまう。なお、吸着剤層47の厚みはプリーツフィルタの隣接する襞と襞の間の距離(襞ピッチ)と関係している。すなわち、襞と襞の間の隙間空間を吸着剤Nで埋めてしまわないためには、襞ピッチが小さい場合には吸着剤層47の厚みを薄くしなければならず、襞ピッチが大きい場合は吸着剤層47の厚みを厚くすることが可能である。以上のように、襞ピッチが小さいと吸着剤層47の厚みが薄くなる(吸着剤Nを添着する量が制限される)が、プリーツフィルタの表面積(吸着剤Nを添着した面積)が大きくなるため、被処理液Aの通液流量を多くすることができる。
(濾過装置10)
実施形態に係る濾過装置10は、密閉された濾過容器11内で、被処理液Aを濾過フィルタ12で濾過し、処理液B(例えば濾液。以下、「濾液B」という。)、吸着剤層47を構成していた吸着剤N、および吸着剤層47の外面に形成されたケーキKを排出する全量濾過(デッドエンド濾過)型の装置である。
(濾過容器11)
濾過装置10は濾過フィルタ12を格納する濾過容器11を備えている。この濾過容器11の下部にはケーキ排出シュート11Sが設けられ、ケーキ排出シュート11Sの上方に筒状の濾過フィルタ内蔵部11Uが連続する形状になっている。この濾過容器11の形状は、前記の形状に限られるものではなく、ケーキ排出シュート11Sがない形状など、任意の形状に変更しても良い。
(筒状体12s)
濾過容器11内には、壁面に濾液Bの透過孔が形成され、内部に濾液通路12rが形成された筒状体12sが設けられる。図に示したものは円筒形であって、その中心軸が濾過容器11の上下方向に沿う姿勢で、濾過容器11内に配されている。筒状体12sの形状や姿勢は特に限定されず、筒状体12sの形状を角筒形等の任意の公知形状に変更しても良いし、筒状体12sの姿勢を筒状体12sの中心軸が水平方向になるように濾過容器11内に設置しても良い。なお、図示した筒状体12sは、パンチングメタルなどの透過孔を有する平板を円筒状に成形したものであり、筒状体12s内の空間は濾液通路12rとなる。
(濾過膜12m)
前記筒状体12sの壁面の外側には、濾過膜12mが設けられている。この濾過膜12mとしては、表面積(濾過面積)が大きいことから、平坦な濾材をジグザグに(蛇腹状に)折り曲げつつ、筒状体12sの外周面に巻き付けて、円筒状に形成したプリーツフィルタを用いることが好ましい。濾材を折り曲げていない単なる平坦な濾過フィルタと比べて、プリーツフィルタを用いることで、フィルタの表面積が大きくなるため、被処理液Aの単位時間当たりの処理能力を格段に高くすることができる。被処理液A中の難分解性物質Eをできるだけ多く除去するためには、被処理液Aが濾過フィルタ12を通る速度をできる限り遅くする必要があるため、一般的に単位時間当たりの濾過処理量が少なくなる傾向がある。しかし、そのような場合であっても、平坦なフィルタではなく、プリーツフィルタを用いることで、被処理液Aの濾過処理量が少なくなってしまうことを抑止できる。
なお、前記のように濾材をジグザグに折り曲げることで複数の襞を形成することができる。このプリーツフィルタは、隣り合う襞と襞の壁面間の間隔が内側から外側へ向かって次第に広くなるため、ケーキKを剥離・排出しやすいという利点がある。なお、隣り合う襞と襞の先端部間の長さL1は、例えば6mmにすることができ、襞の先端から基端までの長さL2は、例えば100mmにすることができる。
濾過膜12mは、単層または多層にすることができる。この濾過膜12mの素材(濾材)としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(別名「テフロン」(登録商標))、ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ナイロン、ステンレス等を用いることができる。濾過膜12mの膜厚は、好ましくは0.3mm~0.7mm、より好ましくは0.6mmである。また、濾材の繊維径(投影面積円相当径、Heywood径をいう。以下、同じ。)は、好ましくは0.1μm~3μmであり、より好ましくは0.1μmである。繊維径が0.1μmより細い繊維を用いると、濾過時の抵抗が大きくなるとともに、見かけの表面積が狭くなってしまう。また、繊維径が3μmよりも太い繊維を用いると、吸着剤N粒子(例えば、活性炭粒子)が濾過膜12mの繊維間の隙間を透過してしまう。したがって、繊維径が0.1μm~3μmの濾材を用いて、ある程度の目の粗さを持つ濾過膜12mを形成することが好ましい。このような濾過膜12mによって、濾過時に、濾過膜12mの表面に付着した被処理液A中の懸濁粒子が、吸着剤Nとともに、濾過層として作用する。なお、この濾過膜12mの長手方向の長さは、例えば300mm~2000mmにすることができる。
本形態において、濾過膜12mの表面12fとは、濾過容器11と向かい合う面をいい、被処理液Aと接する面をいう。一方、濾過膜12mの裏面12bとは、筒状体12sと向かい合う面をいい、濾液Bと接する面をいう。
また、濾過膜12mの表面12fに洗浄用の粉粒体Fが噴き付けられるため、濾過膜12mが噴き付けられた粉粒体Fの衝撃波で破損しないように、所定の強度以上の濾過膜12mを用いることが好ましい。例えば、JIS L‐1906の測定方法において、引張強度(N/5cm)タテ:1200、ヨコ:700、破裂強力(kgf/cm2)タテ:25のものを用いると良い。
(フィルタ支持体29)
襞の内面に(濾過膜12mの裏面12bと接するように)、その襞形状に沿うように、ハニカムメッシュや金網等をジグザグに折り曲げた支持板(フィルタ支持体29)を配することが好ましい。濾過膜12mの表面12fにケーキKが積層するにつれて、プリーツフィルタの襞が押し潰され、襞内の空間が無くなる「閉塞」の生じる可能性があるが、フィルタ支持板29を設けることでこの閉塞を防ぐことができる。
(被処理液Aの供給)
濾過容器11の側面に被処理液Aの供給口4を設けることができる。図1の実施形態では、この供給口4を濾過容器11の下部に設けているが、濾過容器11の上部または中間部(濾過容器11の高さ方向LDにおける上部と下部の間の部分)に設けたりするなど、任意の箇所に変更することができる。
なお、被処理液Aを貯留する貯留槽7と濾過容器11の間は、供給管13、14によって繋がれており、被処理液Aは圧送ポンプ8(8a)によって貯留槽7から濾過容器11へ送られる。より詳しくは、被処理液Aは供給管13を通ってストレーナ9へ送られ、被処理液A中のゴミなどの異物が除去された後、供給管14を通って、濾過容器11へと送られる。なお、本実施形態では1台の圧送ポンプ8(8a)を設置しているが、被処理液Aの供給量を増やしたい場合などには、2台以上に増設すると良い。また、貯留槽7に図示しないレベル計を設け、貯留槽7内の被処理液Aが規定値よりも少なくなったときに、外部から補充する構造としてもよい。
(濾液Bの排出)
濾過容器11の上部には、濾過容器11の外に濾液Bを排出する排出口15が設けられている。濾液Bは、濾液通路12rの上端開口から排出口15を経て排出管16へ導かれる。なお、前述のように図1の実施形態では、濾液Bの排出口15を濾過容器11の上部に設けたが、濾過容器11の下部または中間部に設けたりするなど、任意の箇所に変更することができる。
(フィルタ洗浄装置35)
濾過装置10で濾過を行うと、被処理液A中の難分解性物質Eが吸着剤層47の吸着剤Nに吸着されるが、吸着剤Nが吸着できる難分解性物質Eの量には限界があり、次第に難分解性物質Eを吸着できなくなる。そのため、難分解性物質Eの吸着力が低下した吸着剤層45を濾過フィルタ12から剥離して、濾過装置10から排出する必要がある。
また、濾過装置10で濾過を行うと、被処理液A中の懸濁粒子(主に難分解性物質E以外の懸濁粒子。以下同じ。)が吸着剤層47の外面に堆積し、ケーキKが形成される。詳しくは、濾過を開始した直後の段階では、被処理液A中の懸濁物質の一部が吸着剤層47の内部に保持されるが、濾過が進むにつれて吸着剤層47内の間隙が懸濁物質で埋められて少なくなるため、被処理液A中の懸濁物質の大部分が吸着剤層47の外面に堆積し始めて、吸着剤層47の外側にケーキKを形成する。ケーキKが形成されると、被処理液Aが吸着剤層47や濾過フィルタ12まで到達しにくくなり、濾過能力が低下する。そのため、ケーキKが所定の厚みに達した時点で、ケーキKを剥離して、濾過装置10から排出する必要がある。
そこで、このような吸着剤層47やケーキKを剥離するために、フィルタ洗浄装置35を設けることが好ましい。この洗浄装置35は、濾過装置10の一部品として製造しても良いし、濾過装置10とは別製品として製造し、濾過装置10に後付けしても良い。
洗浄装置35は、濾過フィルタ12の外側に配置される。
図1に示した洗浄装置35は、濾過容器11の外側に配置した洗浄液タンク36と、洗浄液タンク36のうち、濾過フィルタ12と対面する側に設けられた吹き出し口37を有している。この吹き出し口37は、対面する濾過フィルタ12の軸方向に沿って延在するスリットにすることが好ましい。
洗浄液タンク36は、少なくとも濾過フィルタ12と対面する側を濾過フィルタ12の軸方向に沿って延在する形状にすることが好ましい。図示した洗浄液タンク36の形状は、中空の角柱が濾過フィルタ12の軸方向と同じ方向に延在している。しかし、このような形状に限られるものではなく、円柱などの任意の公知形状に変更することもできる。
洗浄液タンク36を配置する際は、洗浄液タンク36の濾過フィルタ12側が、濾過膜表面12fと平行に、または略平行となるようにすることが好ましい。これは、濾過膜表面12fの延在方向(濾過膜12mの周方向と直交する方向)において、吹き出し口37と濾過膜表面12fの間の距離をできる限り等しくすることにより、前記延在方向における洗浄斑を少なくするためである。また、洗浄液タンク36の中心軸の長さは、濾過膜12mの中心軸の長さと同じにすることが好ましく、例えば300mm~2000mmにすることができる。
洗浄液タンク36の濾過フィルタ12側の外面は、濾過容器11の外面と接しており(パッキン等を挟む形態でも良い)、その接合部分において、濾過容器11にも吹き出し口37と同様の孔(図示しない)が設けられている。洗浄液Cは、吹き出し口37および濾過容器11の孔を通って、濾過フィルタ12の外面へ吹き出される。吹き出された洗浄液Cは、衝撃波となってケーキK、吸着剤層47および濾過フィルタ12に衝突し、その衝撃によって濾過フィルタ12からケーキKと吸着剤層47を剥離する。
なお、濾過時においては、濾過膜の表面で吸着剤Nが表面濾過されている状態であるため、濾過膜の外面から濾過膜内に吸着剤Nが侵入する可能性は低い。また、剥離時においては、濾過膜の表面は剥離しやすくなっているため(特に、濾過膜がPTFE膜である場合に顕著である)、剥離層を形成する必要はない。
(粉粒体F)
洗浄液Cには粉粒体Fを混入させることが好ましい。洗浄液C中の粉粒体FがケーキK、吸着剤層47および濾過フィルタ12に衝突することで、濾過フィルタ12からケーキKと吸着剤層47を剥離しやすくなる。
粉粒体Fとは、粉体及び粒体を意味し、例えば、球状プラスチックビーズや球状パーライトビーズ等のビーズ、球状塩ビスポンジ等の球状スポンジ、珪砂等の砂などを用いることができる。ただし、粉粒体Fは洗浄液Cに混入された状態で濾過フィルタ12に吹き付けられるものである。したがって、濾過フィルタ12の劣化を防止するという観点からは、粉粒体Fが砂等の角を有する粒子であるのは好ましくなく、球体状の粒子、楕円体状の粒子等の丸みを帯びた粒子であるのが好ましい。また、同様に観点から、粉粒体Fは,硬度が高くない方がよい。具体的には、粉粒体Fの硬度は、好ましくはR20~R110である。さらに、粉粒体Fは、洗浄液C中において均一に分散しているのが好ましい。したがって、粉粒体Fの比重は、例えば、0.8~1.2g/cm3であるのが好ましい。加えて、粉粒体Fは、回収再利用、つまり分級に適する粒径であるのが好ましい。具体的には、粒径が0.2mm~1mmであるのが好ましく、0.4mm~0.7mmであるのがより好ましいが、上記粒径の粒子でも、粉粒体Fとして十分に使用することができる。なお、粉粒体Fの粒径は、JIS Z8800に準拠して測定した値である。
(洗浄液C)
洗浄液Cとしては水道水などの浄化された液体を用いてもよいが、濾過フィルタ12の洗浄に用いた後の洗浄液Cを濾過などによって浄化する必要があるため、経済性や効率性の観点から被処理液Aを用いることが好ましい。
(間隙50)
なお、濾過フィルタ12の洗浄は、濾過容器11と濾過フィルタ12の間の間隙50から被処理液Aを排出した状態で行うことが好ましい。間隙50から被処理液Aを排出した後は、その間隙50に気体が充満した状態になるため、洗浄液Cの噴射時の勢いがそれほど落ちることなく、洗浄液CがケーキK、吸着剤層47および濾過フィルタ12に当たることになる。そのため、ケーキKおよび吸着剤層47の剥離力が高いものになる。反対に、間隙50に被処理液Aが充満した状態で洗浄液Cを噴射すると、洗浄液Cの噴射時の勢いが間隙50にある被処理液Aによって減衰するため、ケーキKおよび吸着剤層47の剥離力が弱くなる。
(整流バッフル51)
洗浄液タンク36の供給口48の近傍には、平板をV字状に折り曲げた整流バッフル51を、洗浄液タンク36の上端から下方へ向かって延在するように設けることが好ましい。このとき、図示したように、折り曲げ部分を供給口48側に、先端部分をスリット37側に配置すると良い。この整流バッフル51を設けることにより、供給口48から洗浄液タンク36内に供給された洗浄液Cが、整流バッフル51に当たって、その流れ方向を変える。具体的には、洗浄液Cの一部は、整流バッフル51の側面を回ってスリット37の上部から吹き出るが、洗浄液Cの他部は、洗浄液タンク36の下方へ向かって流れ、スリット37の中部または下部から吹き出る。このように整流バッフル51を設けることで、スリット37から吹き出される洗浄液C量を、スリット37の上部、中部、下部に関わらず、均質にすることができる。
(その他)
スリットノズル37の差圧(洗浄タンク36と濾過容器11の差圧)は、80kPa~150kPaが好適である。80kPaより低い場合は、ケーキKが剥離しづらい。また、150kPaよりも高い場合は、洗浄液Cが当たった衝撃によって濾過膜12mが痛んでしまう。この吹き出し圧力は、ケーキKの付着力(ケーキKを構成する粒子の種類、ケーキKの含水量等)を考慮して決めると良い。
また、ケーキKを万遍なく剥離するため、洗浄液Cを濾過フィルタ12の外周面全体に当てることが望ましい。そのため、洗浄時には、濾過装置10の上部に設けたモータMによって、濾過フィルタ12の軸心を中心に、濾過フィルタ12を回転させると良い。
(変形例)
図3に示すように、スリット37の周縁部が、濾過フィルタ12に向かって突出した形状にしても良い。より好適には、スリット37の周縁部のうち、横方向の両端部を濾過フィルタ12へ向かって突出させ、突出部45の両端部の隙間Sが、濾過フィルタ12へ向かうにつれて狭くなる構造にすると良い。そして、この突出部45の両端部の隙間のうち、最も濾過フィルタ12に近い先端部の長さを0.5mm~1.5mm、より好ましくは1mmにすることが好ましい。このような構造にすることで、ケーキKを効果的に剥離することができる。また、洗浄液Cによって、洗浄タンク36の内側から外側へ向かって常に圧力がかかるため、その内圧によってスリット37の幅Sが広がりやすいが、スリット37を突出形状にすることで、内圧に対する抵抗力が上がり、幅Sの広がりを抑えることができる。
(濾過方法)
以下に図4を参照しながら濾過方法の一例を説明する。
(混合液生成工程)
まず、混合液貯留槽24に吸着剤Nと希釈液Hを入れ、ハンドミキサー65(ミキサー以外の攪拌装置を用いてもよい)でそれらを攪拌して混合液Gを生成する。この希釈液Hとしては水道水や被処理液Aなどを用いることができる。希釈液Hとして水道水を用いるよりも被処理液Aを用いる方が、ランニングコストが安いという利点がある。ただし、被処理液A中には難分解性物質Eが含まれているため、吸着剤層47を形成しようとして混合液Gを濾過フィルタ12へ送ると、混合液G中の難分解性物質Eが濾過フィルタ12を通り抜けてしまうおそれがある。このような不都合を防止するため、混合液貯留槽24内において、希釈液H(被処理液A)中の難分解性物質Eのほぼすべてを吸着剤Nに吸着させた後で、混合液Gを濾過フィルタ12へ送るようにすることが好ましい。このようにすることで、希釈液H(被処理液A)中に含まれていた難分解性物質Eを吸着した吸着剤Nが濾過フィルタ12の外面に留め置かれるため、混合液G中の難分解性物質Eが濾過フィルタ12を通り抜けてしまう不都合を解消することができる。なお、希釈液H(被処理液A)中の難分解性物質Eのほぼすべてを吸着剤Nに吸着させるためには、混合液貯留槽24内に入れる吸着剤Nの量を多くしたり、ミキサー65によって攪拌を十分に行ったりすることが有効である。以上のように、吸着剤Nと希釈液Hを混合して混合液を生成する工程を混合液生成工程という。
(吸着剤層形成工程)
次に、吸着剤層47を生成する(吸着剤層生成工程)。この吸着剤層47は、濾過フィルタ12の外面全体(全面)に満遍なく形成することが好ましい。濾過フィルタ12の外面に吸着剤層47が形成されていない部分があると、被処理液Aを濾過装置20内に供給したときに、吸着剤層47が形成されていない部分では、被処理液A中の難分解性物質Eが吸着剤Nに吸着されずに濾過フィルタ12を通り抜け、処理液Bの中に入った状態で排出されてしまうからである。また、吸着剤層47は濾過フィルタ12の外面全体(全面)に均一な厚さ(均一な密度)で形成することが好ましい。吸着剤層47の厚さにムラがある場合、吸着剤層47の厚さが厚い部分では被処理液Aがあまり通液できないため、被処理液Aは吸着剤層47の厚さが薄い部分を通過しようとする傾向がある。そして、吸着剤層47の厚さが薄い部分には吸着剤Nの量が十分にないため、被処理液A中の難分解性物質Eの一部が吸着剤Nに吸着されずに濾過フィルタ12を通り抜けてしまうおそれがある。
濾過フィルタ12の外面全体(全面)に満遍なく、かつ均一な厚さで吸着剤層47を形成するため、例えば以下の操作を行う。まず、供給管14(図1の濾過システムでは、被処理液Aと混合液Gの供給管として、共通の供給管14を用いているが、別々の供給管としてもよい。)に設置したバルブV1と、排出管16に設置したバルブV2を開き、その他のバルブV3~V5を閉じる。そして、混合液供給ポンプ8bを駆動し、混合液貯留槽24中の混合液Gを供給管14へ送る。そして、混合液供給ポンプ8bの駆動を開始した直後に、被処理液供給ポンプ8aを駆動し、被処理液貯留槽7内の被処理液Aも供給管14へ送る。そして、供給管14内で被処理液Aと混合液Gを混合し、混合液Gを被処理液Aで希釈し、希釈した混合液Gを濾過装置10へ送る。
なお、供給管14内で被処理液Aと混合液Gを混合し、混合液Gを被処理液Aで希釈し、希釈した混合液Gを濾過装置10へ送る理由は次のとおりである。すなわち、プリーツフィルタ12の外面に形成する活性炭層47の厚さ(密度)をプリーツフィルタ12のすべての外面でほぼ均一にするためには、プリーツフィルタの外側と内側の差圧を大きくする必要がある。このフィルタの差圧は通液量と関係し、清水の場合は100LMHで10KPa程度、300LMHで30KPa程度であるが、プリーツフィルタに活性炭Nが添着した状態では100LMHで30KPa程度、300LMHで80KPa程度にまで上昇する。300LMHほどで活性炭Nの添着量が均一化できるが、このような差圧を実現するためには流量を15m3/Hと大流量にする必要があり、混合液Gのみではその流量を賄なうことができないため、被処理液Aと混合液Gを混合して流量を増やし、この希釈した混合液Gを用いて活性炭Nを添着することが好ましい。
以上のようにして、濾過装置10へ送られる希釈された混合液Gは、混合液G中の吸着剤Nの濃度が3000~5000mg/L程度となるようにすることが好ましい。この濃度にするために、混合液供給ポンプ8bによる混合液Gの輸送量と被処理液供給ポンプ8aによる被処理液Aの輸送量を調整するとよい。濾過装置10に供給された混合液Gのうち、混合液Gに含まれる吸着剤Nは濾過フィルタ12の外面に堆積されて吸着剤層47を形成する。なお、吸着剤層47を形成する際、濾過フィルタ12の外側(上流側)と内側(下流側)では大きな差圧が発生している。このような差圧の発生により、濾過フィルタ12に対する吸着剤Nの添着量のムラが生じることを抑制することができ(吸着剤Nが多く添着する場所と少なく添着する場所の発生が少なくなる)、吸着剤層47の厚みを均一化することができる。すなわち、吸着剤層47を形成する過程で、吸着剤Nの添着量が少ない場所が一時的にできたとしても、その場所を通過する混合液Gの量が自然に増えるため、吸着剤層47の厚みが自然に均一化される。そして、混合液Gの液体部分は、濾過フィルタ12を通過し、残液J(混合液Gから吸着剤Nが除去された液体)の排出管16(図1の濾過システムでは、処理液Bと残液Hの排出管として、共通の排出管16を用いているが、別々の排出管としてもよい。)を通って、濾過システム外に排出される。吸着剤層47の厚みが所定の厚さに達したら、ポンプ8bの運転を止めて、混合液Gの輸送を停止し、吸着剤層形成工程を終える。吸着剤層47の厚みは特に限定されず、任意に定めることができる。吸着剤層47の厚みの望ましい値については前述したので、ここでは記載を省略する。
なお、プリーツフィルタを用いた場合、懸濁濃度5000mg/L、300LMHで通水プレコーティングするため、100000/5g/300LMH/50m2=1.33時間でコーティングが完成し、前記特許文献6よりも圧倒的に早くコーティングを完成させることができる。
(吸着・濾過工程)
濾過フィルタ12の表面に吸着剤層47を形成し終えた後、被処理液Aの濾過を行う。具体的には、バルブV1~V5の開閉を特に変更せずに、被処理液貯留槽7中に設置された被処理液供給ポンプ8aを起動する。すると、被処理液Aが被処理液Aの供給管13を介してストレーナ9へ送られ、ストレーナ9内で被処理液Aに含まれるゴミなどが除去される。その後、ストレーナ9から排出された被処理液Aは、供給管14を介して、濾過容器11内に供給される。なお、濾過容器11内に供給される被処理液Aの流速は、例えば0.001m/s~0.004m/s(FLUXが50LMH~200LMH)程度とすることが好ましく、0.0017m/s~0.0025m/s程度にすることがより好ましい。吸着剤Nが難分解性物質Eを吸着する効率(吸着効率)の高低は、吸着剤Nの粒子と被処理液Aの接触効率が重要な因子となる。この接触効率は、吸着剤Nの粒子と被処理液Aの接触面積と接触時間(すなわち被処理液Aの流速)に依存する。そのため、吸着効率を高めるためには、吸着剤Nの粒子の粒径(平均粒径)を小さくするとともに、被処理液Aの流速を遅くして、被処理液Aが吸着剤層47を通過する速度を遅くする必要がある。そのため、前述のように、被処理液Aの流速を遅くすることが好ましい。
このようにして濾過容器11内に到達した被処理液Aは、濾過フィルタ12によって濾過される。より詳しくは、被処理液A中の難分解性物質Eが吸着剤層47の吸着剤Nに捕捉され、難分解性物質Eが除去された被処理液Aが濾過フィルタ12によって濾過される。この濾過によって、被処理液Aの液体は濾過膜12mを通って濾液通路12rへ移動し、濾液Bとして排出口15から排出される。排出口15から排出された濾液Bは、排出管16を通って系外へ排出される。他方、被処理液Aの固体(懸濁粒子)は濾過膜12mの表面12fに付着して堆積し、結果としてケーキKが形成される。なお、濾過フィルタ12の単位面積当たりの通液抵抗は、通液積算量(すなわち、被処理液Aから分離される固形分量)に比例して大きくなる。
濾過フィルタ12の表面に形成されたケーキKは、ある程度の通液性を有しており、濾過フィルタ12を補助する補助フィルタとして機能するという利点を有するが、ケーキが厚くなるにつれて通液性が悪くなるという不利益が生じる。すなわち、ケーキが厚くなるにつれて、通液抵抗が比例して大きくなってしまう。そのため、一定量のケーキKが堆積したら、濾過フィルタ12の通液抵抗を減らして、濾過流量を増やす必要がある。そこで、ケーキKの生成量が所定レベルまで増えたとき、すなわち濾過フィルタ12が目詰まりしたときに、濾過工程を終了する。
ケーキKの生成量は、被処理液Aの濁度と通水積算量(すなわち、被処理液Aから分離される固形分量)に比例するため、濾過工程を開始してから、濾過フィルタ12が目詰まりし、洗浄工程を行うというタクトタイムは、ケーキKの生成時間で決定する。なお、フィルタ目詰耐圧は、例えば200kPaである。
ケーキKの生成を原因として濾過処理を停止する際には、例えば、濾過容器11の被処理液Aの供給口4の内圧を圧力計(図示しない)で計測するとともに、処理液Bの排出口15の内圧を圧力計(図示しない)で計測し、その差圧が一定値以上になったときに、濾過工程を終了する構成とすることができる。その他の方法によって濾過処理を停止するか否かを決定してもよい。例えば、流量計(図示しない)によって、単位時間当たりの濾液Bの排出量を計測し、その量が一定値を下回った場合に、濾過工程を終了するようにしてもよい。また、濾過工程を開始してから所定時間が経過したか否かで判定したり、ケーキKの厚さを計測して、ケーキ厚が約1mm~2mmになった時点で、ケーキKが濾過不可能な状態になったと判定したりしても良い。
また、濾過装置10で濾過を行うと、被処理液A中の難分解性物質Eが吸着剤層47の吸着剤Nに吸着されるが、吸着剤Nが吸着できる難分解性物質Eの量には限界があり、次第に難分解性物質Eを吸着できなくなる。そのため、難分解性物質Eの吸着力がある程度低下したら、吸着剤層45を濾過フィルタ12から剥離して排出するため、濾過工程を終了させる。
吸着剤層47における難分解性物質Eの吸着性能の低下を原因として濾過処理を停止する際には、例えば、処理液Bの排出管16に、処理液B中の難分解性物質Eの濃度を計測する濃度計25を設け、処理液B中の難分解性物質Eの濃度が許容値を超えたときに、濾過工程を終了させることができる。この濾過工程を終了するタイミングは、その他の方法によって決めても良い。例えば、濾過工程を開始してから所定時間が経過したか否かで判定したりしてもよい。
前述のように、濾過の停止が必要となる要因として、(1)ケーキKの形成、(2)吸着剤Nによる難分解性物質Eの吸着能力の低下を挙げることができる。この2つの要因のうち、特に重要なのは前記(2)の要因である。処理液B中の難分解性物質Eが予め定めた許容値を超えることは、最も防ぐべき優先事項だからである。そのため、吸着剤Nの吸着能力が低下して許容できない状態になった場合は、直ちに濾過工程を終了させることが好ましい。また、吸着剤層47の吸着能力にまだ余力がある場合でも、ケーキKが所定の厚み以上となり、被処理液Aの濾過処理速度が許容できないほど遅くなった場合は、その段階で濾過工程を終了させてもよい。
以上のとおり、被処理液A中の難分解性物質Eが吸着剤層47に吸着されることと、被処理液Aを濾過フィルタ12で濾過することが、同時に行われる。この工程を吸着・濾過工程という。
なお、図面には流量センサー46を示している。この流量センサー46は、パイプ16内を通る処理液Bの単位時間当たりの流量や、濾過を開始してからの処理液Bの積算流量を検知することができる。処理液Bの単位時間当たりの流量が異常に少なかったり、濾過を開始してからの処理液Bの積算流量が所定値を超えたりした場合に、ポンプ8aの駆動を停めて、濾過処理を停止させるなどの制御を行うことができる。
(パージ工程)
次に、濾過工程の後に行う、気体を用いたパージ(purge)工程(「気体パージ工程」ともいう。)について説明する。
まず、バルブV1、V2、V4を閉じ、バルブV3、V5を開いて、コンプレッサー6を起動する。コンプレッサー6の圧力は、例えば20kPa程度にすることができる。すると、コンプレッサー6から送られた気体D(例えば空気。空気を用いた場合は、エアパージという。また、空気に換えて窒素等の他の気体を用いても良い。)は、送気管19、16(送気管16は濾液Bの排出管を兼ねている。)を経て、濾液通路12r内へ導かれる。濾過工程の終了直後は、濾液通路12r内に濾液Bが残存しているが、送られた気体Dにより、濾液Bが濾過膜12mの内側から外側へ押し出される。その結果、濾液Bは濾過容器11の下部に落下した後、排出管22を通って洗浄液貯留タンク30へ返送される。このパージ工程が進むにつれて、濾過容器11内の濾液通路12rやプリーツフィルタ12の外側の空間(間隙50)に、気体Dが充満した状態となる。
なお、このパージ工程の時間は5秒~15秒にすることができる。具体的には、コンプレッサー6の送風能力が2.5L/min、濾過容器11の容積(濾過フィルタ12の下端よりも下側の部分を除く)が190Lである場合、パージが完了するまでに、190L÷2500×60秒=4.56秒が必要となり、バルブV2、V3を開く時間や、フィルタ12の空気抵抗などを考慮すると、約10秒でパージ工程が終了する。このエアパージ工程によって、濾過容器11内を気体で満たした状態を作り出すことにより、後工程の洗浄工程において、気体中で洗浄を行えるようにしている。
(洗浄工程)
次に、パージ工程後の洗浄工程について説明する。
洗浄工程では、濾過膜表面12fに形成されたケーキK、吸着剤層47を剥離して濾過膜表面12fを初期状態に戻す。この洗浄工程では、コンプレッサー6の運転を継続し、バルブV1、V2、V5を閉じ、バルブV3、V4を開ける。洗浄液供給ポンプ8cにより、洗浄液貯留タンク30に貯留された洗浄液Cは、洗浄液供給管30を通って、洗浄液タンク36へ送られる。洗浄液タンク36には、洗浄液Cが一時的に充満するが、充満した洗浄液Cは、ポンプ8の圧力によって、スリット37から濾過フィルタ12へ向かって吹き出される。このとき、スリットノズル37の差圧(洗浄タンク36と濾過容器11の差圧)は、80kPa~150kPaとすることが好適である。差圧が80kPaの時のノズル噴流速度は8m/s、120kPaの時のノズル噴流速度は12m/とすることが好ましい。なお、ケーキKや吸着剤層47が厚い場合は、洗浄液Cの吹き出し圧力を強める必要があり、例えばケーキ厚が2mm(2000g/m2)のときは、150kPa(15m/s)の圧力が必要となる。吹き出された洗浄液Cは、濾過フィルタ12に衝突し、その衝撃によって濾過フィルタ12に付着したケーキKや吸着剤Nを剥離する。また、前記洗浄液Cには粉粒体Fが含まれているため、ケーキKや吸着剤Nの剥離効果が高いものとなる。なお、スリット37は洗浄液タンク36の延在方向に延在しているため、洗浄液Cがスリット37から平板状に吹き出され、濾過フィルタ12の軸方向に沿ってライン状に当たり、ケーキKや吸着剤Nを漏れなく剥離することができる。
濾過フィルタ12に付着したケーキKのうち、洗浄液タンク36のスリット37の位置から離れたケーキKに対しては、衝撃を与えることができない。そのため、濾過フィルタ12をその軸心を中心として回転させることが好ましい。濾過フィルタ12を1回転させるために必要な時間は、濾過フィルタ12の直径、襞数(プリーツフィルタの場合)や、表面積で決定し、例えば、直径400mm(表面積50m2)の濾過フィルタ12を0.5RPMで回転させる(120秒間で1回転させる)ようにしても良い。濾過フィルタ12を回転させながら、スリット37から洗浄液Cを吹き出すことで、濾過フィルタ12の全周に付着したケーキKを剥離することができる。なお、濾過フィルタ12の回転機構を設けない場合は、洗浄液タンク36が濾過フィルタ12の周囲を回転する機構にしても良い。また、濾過容器11の周方向に沿って、洗浄液タンク36を複数設け、360度の方向から洗浄液Cを吹き出すことで、回転機構を設けた場合と同様の効果を得るようにしても良い。
濾過容器11の排出シュート11Sに落下したケーキKや吸着剤Nは、洗浄液Cとともに、返送管22を経て、洗浄液貯留タンク30へ送られる。なお、剥離したケーキKや吸着剤Nを即時に洗浄液貯留タンク30へ送っても良いが、ケーキ排出シュート11Sに溜めて、ある程度の量が溜まった後に送るようにしても良い。
なお、洗浄工程においても、コンプレッサー6から送られた気体は、濾液通路12rに導かれた後、濾過膜12mの内側から外側へ排気される。したがって、濾過膜表面12fに形成されたケーキKは、濾過膜外側から受ける洗浄液Cの衝撃力によって剥離されるほか、濾過膜内側から外側へ排出される気体Dによっても剥離されるため、洗浄液Cだけを用いる場合と比べて、ケーキKや吸着剤Nを剥離しやすくなる。また、濾過容器11内に気体Dが充満した状態で洗浄液Cを吹き付けているため、濾過容器11内に液体(被処理液A)が充満している従来例と比べて、洗浄液Cの衝撃力が大きくなり、ケーキKや吸着剤Nの剥離量が多くなる。さらに、洗浄液Cの吹き出し力が強い場合であっても、濾過膜内側から外側に気体Dが排出されているため、洗浄液Cや洗浄液中の粉粒体Fが濾過通路12r内に入り込むケースが少なく、仮に入り込んだとしても直ぐに間隙50に押し戻すことができる。 以上のようにして、ケーキKを全て排出したときに、洗浄工程を終了とする。
(スラリー脱水工程)
前述のような各工程を経て、洗浄液貯留タンク30には、ケーキK、吸着剤N、粉粒体F、被処理液Aおよび濾液Bなど(これらを廃液Uという。以下同じ。)が供給される。また、この洗浄液貯留タンク30の近傍には粉粒体Fを分級する粉粒体分級装置34が設けられている。洗浄液貯留タンク30内に供給された廃液Uは、廃液輸送ポンプ8dによって、粉粒体回収管33を通って粉粒体分級装置34へ送られ、その粉粒体分級装置34で廃液U中の粉粒体Fが回収される。回収された粉粒体Fは、洗浄液貯留タンク30内へ戻される。そして、粉粒体分級装置34によって粉粒体Fが除去された廃液Uは、廃液輸送ポンプ8dによって、廃液排出管31を介して脱水装置27へ送られる。脱水装置27は種々のフィルタやフィルタープレスなどからなり、この脱水装置27で廃液U中のケーキKや吸着剤Nが捕捉される。脱水装置27で捕捉されたケーキKや吸着剤Nは、この濾過システムの外へ排出されて、廃棄される。以上の工程をスラリー脱水工程という。なお、洗浄液貯留タンク30の廃液Uのすべてを粉粒体分級装置34へ送るのではなく、廃液Uの一部は洗浄液貯留タンク30に残したままにすることが好ましい。洗浄液貯留タンク30内の廃液Uは、洗浄工程で、洗浄液Cとして利用するからである。
その後は、前記吸着剤層形成工程に戻り、また一連の各工程を実施する。なお、混合液貯留槽24に混合液が無くなっている場合や少なくなっている場合は、吸着剤層形成工程ではなく、混合液生成工程に戻ることとする。また、脱水装置27によって、ケーキKや吸着剤Nが除去された液体(浄化液)は、新たな吸着・濾過工程で、浄化液輸送ポンプ8eの駆動により、スラリー脱水装置27から排出され、浄化液排出管32を経て、処理液供給管14を流れる被処理液Aと合流し、濾過装置10へ送られて吸着・濾過される。
(縦型脱水乾燥装置と横型脱水乾燥装置)
上記の説明では、濾過フィルタ12の軸心が縦になる縦型濾過装置10について説明したが、濾過フィルタ12の軸心が横になる横型濾過装置10であっても良い。この横型濾過装置10では、洗浄液タンク36を濾過フィルタ12の下側に配置し、洗浄液Cを下側から噴き付けるようにすると良い。濾過フィルタ12から剥離したケーキKが、重力によって排出口11Sに落下しやすいからである。
(複数台の濾過装置10)
濾過装置10の設置数は1台に限られるものではなく、図5に示した第二実施形態のように、複数台の濾過装置10を用いることもできる。そして、複数個の濾過装置10を並列に配置した濾過システムを用いた濾過方法であって、吸着・濾過工程の後に、濾過処理によって難分解性物質Eを吸着した吸着剤Nを濾過フィルタ12から剥離し、剥離した吸着剤Nを濾過容器11内から排出する剥離・排出工程と、を有し、複数の濾過装置10のうちの一部の濾過装置10が吸着剤層形成工程または剥離・排出工程を実施しているときに、他の濾過装置10が吸着・濾過工程を実施し、濾過システム全体で被処理液Aの濾過処理を継続するようにしてもよい。
濾過装置10を複数台設けた場合、一部の濾過装置10が剥離・排出工程を行っている間に、その他の濾過装置10が吸着・濾過工程を行う構成とすることが好ましい。すなわち、複数台の濾過装置10において、吸着剤層形成工程、吸着・濾過工程、剥離・排出工程等の各工程の実行時期をそれぞれずらすようにすることが好ましい。このように、一部の濾過装置10が吸着剤層47の形成や、吸着剤層47の剥離や、吸着剤Nの排出を行っているときであっても、その他の濾過装置10が吸着・濾過を行うことによって、濾過システム全体としては、被処理液Aの吸着・濾過処理を停止させずに継続することができるという利点がある。
複数台の濾過装置10において、吸着剤層形成工程、吸着・濾過工程、剥離・排出工程の各工程の実行時期を全く同じにした場合に、濾過システム全体として被処理液Aの吸着・濾過処理を停止させないようにするためには、例えば、吸着剤層47の形成と吸着・濾過を同時に行わざるを得ない。このように、吸着剤層形成工程と吸着・濾過工程を同時に行う場合、濾過フィルタ12の表面に十分な吸着剤層47が形成できていない状態で被処理液Aを濾過処理することから、処理液B中に含まれる難分解性物質Eの量が増えてしまうおそれがある。図5の態様においては、このような不具合の発生を防止することができる。
また、濾過装置10が複数台ある場合、各濾過装置10の濾過処理が正常に機能しているか否かを監視する必要がある。例えば、濾過装置10が故障したり、吸着剤層47の吸着剤Nが難分解性物質Eを多量に取り込んで吸着能力が低下したりした場合、濾過装置10から排出される処理液Bに多量の難分解性物質Eが含まれる事態の発生が危惧される。このような不具合の発生を防止するため、各濾過装置10から排出された処理液をそれぞれ抽出し、その処理液B中の難分解性物質Eの量に異常がないかどうか(難分解性物質Eの含有量が所定値よりも高くないかどうか)を検出するため、各濾過装置10から排出される処理液Bを抽出する抽出管42を設け、その抽出管42を後段で集合させ、その集合部43(または集合部43の後段)に処理液B中の難分解性物質Eを検出する検出器44を設けることが好ましい。このような構成にすることで、濾過装置10の台数と同数の検出器を44設ける必要がなくなり、イニシャルコストを削減することができる。例えば、濾過装置10を複数台設けた場合であっても、検出器44を1つ設けるだけで、各濾過装置10から排出される処理液Bに含まれる難分解性物質Eの量に異常がないかどうかを監視することが可能になる。
また、濾過装置10が複数台ある場合に、各濾過装置10で難分解性物質Eを適切に除去できているかどうかについて、別の方法によって判定してもよい。
各濾過装置10における吸着剤Nの吸着能力は、吸着剤層47を通過した被処理液Aの量(通液量)が増えるにつれて低下する。この通液量は、被処理液Aを濾過装置10に送る速度(送液速度)と、吸着剤層47に被処理液Aを通し始めてから経過した時間(通液時間)によって決まる。
そこで、例えば、送液速度と通液時間と吸着能力の低下度合いの関係性についてシミュレーションで予め確認した上で、計時器61によって実際の通液時間を計測し、通液時間が予め定めた時間(一定時間)に達した時点で、制御装置62がポンプ8aの駆動を停止し、濾過装置10に対して被処理液Aの供給を停止するように制御するようにするとよい。前述のように、処理液B中の難分解性物質Eの濃度を検出する機器よりも、計時器61の方が安価であるため、濾過システム全体のイニシャルコストを下げることができるという利点がある。
(第三実施形態)
図7の7Bに示すように、吸着剤層47を複数の層から構成してもよい。7Bに示した例では、吸着剤層47を2層構造にしている。このとき、吸着剤層47の内側に位置する第1吸着剤層47Aの第1吸着剤N1の平均粒径を、吸着剤層47の外側に位置する第2吸着剤層47Bの第2吸着剤N2の平均粒径よりも大きくすることが好ましい。
具体的には、第1吸着剤N1の平均粒径を20~50μm程度とすることが好ましく、20~30μm程度とすることがより好ましい。第1吸着剤N1の平均粒径が20μmよりも小さいと、第1吸着剤N1がプリーツフィルタ12の間隙の奥深くに入り込み、プリーツフィルタ12から剥離しにくくなる。他方、第1吸着剤N1の平均粒径が50μmよりも大きいと、第2吸着剤N2が第1吸着剤層47Aの間隙を通り抜けて、第2吸着剤N2がプリーツフィルタ12の間隙の奥深くに入り込み、プリーツフィルタ12から剥離しにくくなる。このように、第1吸着剤N1の平均粒径は、プリーツフィルタ12の間隙に入り込まない程度にすることが好ましいため、第1吸着剤N1の平均粒径はプリーツフィルタ12の間隙の5倍~20倍程度にすることが好ましく、5倍~10倍程度にすることがより好ましい。
なお、プリーツフィルタ12には無数の間隙が設けられているが、その各間隙の大きさの平均値を0.1~3μm2程度にすることが好ましく、0.15~0.5μm2程度にすることがより好ましい。前記間隙の大きさが0.1μm2よりも小さいと、被処理液Aがプリーツフィルタ12の間隙を通り抜けづらくなり、被処理液Aの濾過処理に時間がかかりすぎてしまう。また、前記間隙の大きさが3μm2よりも大きいと、被処理液A中の懸濁物質がプリーツフィルタ12の間隙を通り抜けて、処理液B中に多量に混入してしまうおそれがある。
第2吸着剤N2の平均粒径は1~15μm程度とすることが好ましく、5~9μm程度とすることがより好ましい。第2吸着剤N2の平均粒径が1μmよりも小さいと、第2吸着剤N2が第1吸着剤層47Aの間隙を通り抜けて、第2吸着剤N2がプリーツフィルタ12の間隙の奥深くに入り込み、プリーツフィルタ12から剥離しにくくなる。他方、第2吸着剤N2の平均粒径が15μmよりも大きいと第2吸着剤N2の比表面積が大きいため、難分解性物質Eを吸着する吸着能力が低くなってしまう。このように、第2吸着剤N2の平均粒径は、第2吸着剤N1が第1吸着剤層47Aを通り抜けない程度にすることが好ましいため、第2吸着剤N2の平均粒径は第1吸着剤層47の間隙の1.5倍~5倍程度にすることが好ましく、1.5倍~3倍程度にすることがより好ましい。すなわち、第2吸着剤N2の平均粒径は、第1吸着剤N1の平均粒径の1.5分の1~5分の1程度にすることが好ましく、1.5分の1~3分の1程度にすることがより好ましい。
また、第1吸着剤層47Aの厚み(厚み方向の長さ)は0.05~0.1mm程度にすることが好ましく、0.07~0.1mm程度にすることがより好ましい。第1吸着剤層47Aの厚みが0.05mmよりも薄いと、第2吸着剤N2がプリーツフィルタ12の間隙に入り込む可能性が高くなる。他方、第1吸着剤N1は比表面積が第2吸着剤N2よりも小さく、難分解性物質Eの吸着能力が第2吸着剤N2よりも低いため、第1吸着剤層47Aの厚みが0.1mmよりも厚いと、吸着剤層47全体としての難分解性物質Eの吸着能力が低くなってしまうおそれがある。
以上のような吸着剤層47を形成する際には、図6に示すように、まず第1溶液貯留槽24Aに第1吸着剤N1と希釈液Hを投入し、ハンドミキサー65で攪拌して第1溶液G1を生成する。同様に、第2溶液貯留槽24Bに第2吸着剤N2と希釈液Hを投入し、ハンドミキサー65で攪拌して第2溶液G2を生成する。ここで第1吸着剤N1の平均粒径は第2吸着剤N2の平均粒径よりも大きいものをものとする。
次に、第1溶液供給ポンプ8bAを作動させ、第1溶液供給ルート23Aと混合液供給管14を介して、第1溶液貯留槽24A内の第1溶液G1を濾過容器11へ送る。このとき、被処理液輸送ポンプ8aを作動させて、被処理液貯留槽7内の被処理液Aも混合液供給管14へ送り、混合液供給管14の内部で第1溶液G1を被処理液Aで希釈することが好ましい。このようにして、濾過容器11の内部に入った第1溶液G1は、プリーツフィルタ12を外側から内側へ通り抜け、それによってプリーツフィルタ12の外面に第1吸着剤層47Aが形成される。具体的には、例えば、平均粒径が15~30μm程度の第1吸着剤N1をプリーツフィルタ12の外面に70~100g/m2程度添着させることが好ましい。
その後、第2溶液供給ポンプ8bBを作動させ、第2溶液供給ルート23Bと混合液供給管14を介して、第2溶液貯留槽24B内の第2溶液G2を濾過容器11へ送る。このとき、被処理液輸送ポンプ8aを作動させて、被処理液貯留槽7内の被処理液Aも混合液供給管14へ送り、混合液供給管14の内部で第2溶液G2を被処理液Aで希釈することが好ましい。このようにして、濾過容器11の内部に入った第2溶液G2は、第1吸着剤層47Aおよびプリーツフィルタ12を外側から内側へ通り抜け、それによって第1吸着剤層47Bの外面に第2吸着剤層47Bが形成される。具体的には、例えば、平均粒径が5~9μm程度の第2吸着剤N2を第1吸着剤層47Aの外面に1000~2000g/m2程度添着させることが好ましい。
なお、第1吸着剤N1と第2吸着剤N2は同一の種類の吸着剤を用いても良いし、異なる種類の吸着剤を用いても良い。例えば、第1吸着剤N1として活性炭を用いるとともに、第2吸着剤N2として活性炭(第1吸着剤N1の活性炭よりも平均粒径の小さい活性炭)を用いても良いし、第1吸着剤N1としてプルシアンブルーを用い、第2吸着剤N2として活性炭(第1吸着剤N1のプリシアンブルーよりも平均粒径の小さい活性炭)を用いても良い。
なお、第1吸着剤N1および第2吸着剤N2等の吸着剤Nの粒径とは、投影円相当径(粒子の投影面積に等しい円の直径)をいい、各粒子の投影円相当径の平均値(平均粒径)のことをいう。この平均粒径は、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(例えば、商品LA-960V2シリーズ、株式会社堀場製作所製)を用いて粒度分布を測定し、累積体積が50%に相当する時の粒子径を平均粒径として定める。
なお、図6に示した第3実施形態では、第1溶液G1と第2溶液G2を異なる混合液貯留槽24(溶液貯留槽24)に貯留した例を示したが、この例に限られるものではない。例えば、溶液貯留槽24にまず第1溶液G1を貯留し、その第1溶液G1の一部を濾過容器11へ輸送する。その後、溶液貯留槽24内に残された第1溶液G1をミキサー65でさらに攪拌して、その攪拌力によって第1溶液G1中の第1吸着剤N1を砕く。このようにして平均粒径が小さくなった第1吸着剤N1を第2吸着剤N2として利用する。すなわち、ミキサー65で攪拌することによって、第1吸着剤N1を第2吸着剤N2に変換し、このようにして生成された第2吸着剤N2を含む第2溶液を濾過容器11へ送るようにしてもよい。
また、第1吸着剤層47Aと第2吸着剤層47B以外に、第3吸着剤層47C等を設け、吸着剤層47を三層以上にしてもよい。この場合、最も内側に位置する吸着剤層が第1吸着剤層47Aであり、第1吸着剤層47Aの外側に隣接する吸着剤層が第2吸着剤層47Bであり、第2吸着剤層47Bの外側に隣接する吸着剤層が第3吸着剤層47Cであり…というように、吸着剤層47の内側から外側へ向かって順番に第1、第2、第3…と数えるものとする。吸着剤層47を第1吸着剤層47Aと第2吸着剤層47Bの2層にした場合、第1吸着剤層47Aの第1吸着剤N1の平均粒径は、プリーツフィルタ12の間隙よりも大きくすることが好ましい。また、第2吸着剤層47Bの第2吸着剤N2の平均粒径は、第1吸着剤層47Bの間隙よりも大きくすることが好ましい。そのため、第2吸着剤層47Bの第2吸着剤N2の平均粒径を小さくしようと試みても必然的な制約がある。なお、吸着剤Nの平均粒径が小さくなるほど、吸着剤Nの比表面積が大きくなるため、難分解性物質Eの吸着能力が高めることができる。そのため、難分解性物質Eの吸着能力の向上という観点からは、吸着剤層47を構成する吸着剤Nの平均粒径をできるだけ小さくすることが好ましいが、吸着剤層47を2層にした場合は前述のような制約がある。そこで、第2吸着剤層47Bの外側に、第2吸着剤N2よりも平均粒径が小さい第3吸着剤N3を用いた第3吸着剤層47Cをさらに設けることによって、難分解性物質Eの吸着能力をさらに高めるようにしてもよい。同様に、第3吸着剤層47Cの外側に、第3吸着剤N3よりも平均粒径が小さい第4吸着剤N4を用いた第4吸着剤層47Dをさらに設けると、難分解性物質Eの吸着能力をさらに高めることができる。このように吸着剤層47を構成する層の数を増やすことによって、難分解性物質Eの吸着能力を高めることができる。このとき、吸着剤層47を構成する各層(第1吸着剤層47A、第2吸着剤層47B、第3吸着剤層47C…)の吸着剤N(第1吸着剤N1、第2吸着剤N2、第3吸着剤N3…)の平均粒径は、吸着剤層47の内側から外側へ向かって次第に小さくなるようにすることが好ましい。
(本発明の効果)
被処理液A中の難分解性物質Eの濃度に関係なく、難分解性物質Eを高い確率で除去できる。また、PFOS以外の難分解性物質(例えば、PFOA、PFHxS、ビスフェノールA、トリハロメタン、PCB、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、DDT、ベンゼンなど)も、PFOSとは分子量が異なるが、分子量の違いに関わらず、吸着・除去が可能である。また、濾過フィルタ12としてプリーツフィルタを用いることで、濾過装置全体がコンパクトになるため、フットプリントを小さくすることができる。また、吸着剤Nとして活性炭を用いた場合、活性炭Nが難分解性物質Eを吸着する効率(吸着効率)が高く、活性炭Nが難解性物質Eを吸着しても吸着能力が低下しにくい利点がある。また、活性炭Nの通液抵抗も低いため、輸送ポンプの動力の消費を抑えることができ、ランニングコストを低いものにすることができる。また、吸着剤Nとして活性炭を用いた場合、その活性炭は可燃物になるため、廃棄処理が容易である。さらに、濾過システム全体を全自動で運転することが可能であり、省力化が可能である。
4…供給口、6…コンプレッサー、7…(被処理液)貯留槽、8a…被処理液供給ポンプ、8b…溶液(混合液)供給ポンプ、8bA…第1溶液(第1混合液)供給ポンプ、8bB…第2溶液(第2混合液)供給ポンプ、8c…洗浄液供給ポンプ、8d…廃液輸送ポンプ、8e…浄化液輸送ポンプ、9…ストレーナ、10…濾過装置、11…濾過容器、11S…排出シュート、11U…フィルタ内蔵部、12…濾過フィルタ、12b…濾過膜の裏面(濾過フィルタの内面)、12f…濾過膜の表面(濾過フィルタの外面)、12m…濾過膜、12r…濾液通路、12s…筒状体、13…(被処理液の)供給管、14…(被処理液の)供給管(混合液の供給管を兼ねてもよい)、15…(濾液の)排出口、16…排出管(送気管を兼ねてもよい)、19…送気管、23…(混合液の)供給管、23A…第1溶液供給管(第1溶液供給ルート)、23B…第2溶液供給管(第2溶液供給ルート)、24…溶液(混合液)貯留槽、24A…第1溶液(第1混合液)貯留槽、24B…第2溶液(第2混合液)貯留槽、25…濃度計、29…フィルタ支持体、30…洗浄液供給管、31…廃液排出管、32…浄化液排出管、33…粉粒体回収管、34…粉粒体分級装置、35…洗浄装置、36…洗浄液タンク、37…吹き出し口(スリット)、42…抽出管、43…集合部、44…検出器、45…突出部、46…流量センサー、47…吸着剤層、47A…第1吸着剤層、47B…第2吸着剤層、48…供給口、50…間隙、51…整流バッフル、61…計時器、62…制御装置、65…(ハンド)ミキサー、66…洗浄液貯留タンク、A…被処理液、B…処理液(濾液)、C…洗浄液、D…気体、E…難分解性物質、F…粉粒体、G…溶液(混合液)、G1…第1溶液(第1混合液)、G2…第2溶液(第2混合液)、H…希釈液、J…残液、K…ケーキ、M…モータ、N…吸着剤、N1…第1吸着剤、N2…第2吸着剤、U…廃液、V1~V5…バルブ、LD…高さ方向、US…(高さ方向の)上側、DS…(高さ方向の)下側、TD…厚み方向、IS…(厚み方向の)内側、OS…(厚み方向の)外側

Claims (7)

  1. 被処理液に含まれる難分解性物質を除去する濾過装置であって、
    被処理液の供給口と処理液の排出口を有する濾過容器と、
    前記濾過容器の内部に設けられ、外面が濾過面とされ内部が処理液の通路とされ、平坦な濾材を蛇腹状に折り曲げて複数の襞を形成しつつ、筒状に形成したプリーツフィルタと、
    前記プリーツフィルタの外側に配置され、前記プリーツフィルタの外面に向かって洗浄液を吹き出す洗浄装置と、を有し、
    濾過前の状態で、前記プリーツフィルタの外面に吸着剤層を有し、
    前記吸着剤層は前記難分解性物質を吸着する吸着剤を積層したものであり、
    前記吸着剤層は複数層からなり、
    前記吸着剤層は、
    前記難分解性物質を吸着する第1吸着剤の粒子を積層した第1吸着剤層の外面に、前記難分解性物質を吸着する第2吸着剤の粒子を積層した第2吸着剤層が積層されており、
    前記第1吸着剤層の第1吸着剤の粒子の平均粒径が前記第2吸着剤層の第2吸着剤の粒子の平均粒径よりも大きく、
    前記第1吸着剤層の第1吸着剤の粒子の平均粒径は前記プリーツフィルタの間隙よりも大きい、ことを特徴とする濾過装置。
  2. 前記第1吸着剤は活性炭であり、前記第2吸着剤は前記第1吸着剤の活性炭よりも平均粒径の小さい活性炭である請求項1記載の濾過装置。
  3. 前記第1吸着剤はプルシアンブルーであり、前記第2吸着剤は前記第1吸着剤のプルシアンブルーよりも平均粒径の小さい活性炭である請求項1記載の濾過装置。
  4. 請求項1に記載した濾過装置を複数個設け、それらを並列に配置した濾過システムであって、
    各濾過装置の後段に設けられ、各濾過装置から排出された処理液をそれぞれ抽出する複数の抽出経路と、
    前記複数の抽出経路を集合させた集合部と、
    前記集合部に設けられ、前記処理液に含まれる難分解性物質を検出する検出器と、を有することを特徴とする濾過システム。
  5. 請求項1に記載した濾過装置を複数個設け、それらを並列に配置した濾過システムであって、
    各濾過装置における濾過開始からの経過時間をモニタリングする計時器と、
    一部の濾過装置で濾過開始から所定時間が経過した段階で、その濾過装置に被処理液の供給を停止する被処理液供給ポンプと、を有することを特徴とする濾過システム。
  6. 外面が濾過面とされ内部が処理液の通路とされ、平坦な濾材を蛇腹状に折り曲げて複数の襞を形成しつつ筒状に形成したプリーツフィルタに、難分解性物質を吸着する吸着剤を含む溶液を通して、そのプリーツフィルタの外面に吸着剤層を形成する吸着剤層形成工程と、
    前記吸着剤層を形成した前記プリーツフィルタに被処理液を通し、前記吸着剤層に前記難分解性物質を吸着させながら濾過する吸着・濾過工程と、
    前記プリーツフィルタの外側に配置された洗浄装置から前記プリーツフィルタの外面に向かって洗浄液を吹き出し、前記プリーツフィルタの外面に形成されたケーキおよび前記吸着剤層を剥離する洗浄工程と、を有し、
    前記吸着剤層形成工程は、
    前記プリーツフィルタの間隙よりも平均粒径が大きい第1吸着剤の粒子を含む第1溶液を前記プリーツフィルタに通して、前記プリーツフィルタの外面に前記第1吸着剤の粒子が積層された第1吸着剤層を形成する第1吸着剤層形成工程と、
    前記第1吸着剤の粒子よりも平均粒径が小さい第2吸着剤の粒子を含む第2溶液を前記プリーツフィルタに通して、前記第1吸着剤層の外面に前記第2吸着剤の粒子が積層された第2吸着剤層を形成する第2吸着剤層形成工程と、を有することを特徴とする濾過方法。
  7. 前記吸着・濾過工程の終了後、かつ前記洗浄工程の開始前に、
    前記プリーツフィルタの内部の処理液の通路へ気体を供給し、前記処理液の通路、および前記プリーツフィルタの外面と濾過容器の間の間隙を気体で充満させるパージ工程と、 を有する請求項6の濾過方法。
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