JP3929677B2 - パンヤ種子毛繊維混在繊維構造物及びそれを用いた被服製品 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パンヤ科に属する樹木から採れるパンヤ種子毛繊維が混在した繊維構造物及びそれから成る被服製品に関する。さらに詳しくは、軽量で、保温性、吸湿性、風合いに優れ、且つ耐光堅牢度に優れた、紡績糸、織編物等のパンヤ種子毛繊維混在繊維構造物、及びそれから成る被服製品に関する。
【0002】
【従来の技術】
パンヤ種子毛繊維は、パンヤ科に属する樹木から採れる種子毛繊維であって、例えばパンヤ科のカポック木から採れる種子毛繊維のカポック(Kapok)繊維や、キワタ木から採れるキワタ(Simal cotton)繊維等がある。これらに代表されるパンヤ種子毛繊維は、綿繊維に似るがよじれがなく、横断面は円形であるが細胞壁は薄く、中空断面形態の中空構造を有し、繊維長が10〜30mm、太さが約20〜45μで、綿繊維と同様にセルロースを主成分にした植物繊維である。中でもカポック繊維は、その中空性、親油性、撥水性に優れた特徴を有するため、従来より主として、詰め綿、充填材として救命道具や寝具類等にも使用されてきたが、綿繊維と比較し、繊維強力、伸度、見掛け比重等の点から可紡性に劣り、カポック繊維単体では紡績が困難とされ、紡績する際には綿繊維等のその他の有機繊維との混紡にて使用、紡出されるのが一般的である。また糸、織編物、不織布等の繊維構造物にしても、カポック繊維特有の化学的成分が染色加工の阻害要因となり、特に耐光堅牢度、白度等の点で不十分であり、繊維製品、特に衣料等の被服製品用途には不向きとされていた。
【0003】
上記カポック繊維に代表されるパンヤ種子毛繊維に関連する従来技術文献においては極めて少なく、紡績技術分野では、特公昭60−9139号公報に糸断面において外層にカポック繊維を偏在させた嵩高紡績糸が開示され、染色加工技術分野においては特開平8−246361号公報に特殊なカポック繊維の染色製造方法が開示されているのにすぎず、実際には、上記の通り、その可紡性、染色加工性における困難性から量産工業技術として確立されていないのが実状であった。
【0004】
【発明が解決しょうとする課題】
しかしながら、上記カポック繊維に代表されるパンヤ種子毛繊維は、中空構造を有することから、軽量であり、また保温性に優れることから上記した諸問題を解決すれば、従来の綿繊維等の有機繊維にない特徴を有する被服製品と成り得るものであり、本発明は、糸、織編物等の布帛、等の繊維構造物にカポック繊維等のパンヤ種子毛繊維を混在させても、染色加工上問題がなく、耐光堅牢度、白度に優れ、軽量で、保温性、吸湿性、風合いに優れたパンヤ種子毛繊維混在繊維構造物及びそれから成る被服製品を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、カポック繊維に代表されるパンヤ種子毛繊維が、約20質量%以上混在した繊維構造物であって、JIS L 0842法による染色堅牢度が3級以上であることを特徴とするパンヤ種子毛繊維混在繊維構造物である。また、少なくとも精錬、漂白加工された該繊維構造物中のリグニン残存率が約1.5質量%以下であることを特徴とするパンヤ種子毛繊維混在繊維構造物、を以て、上記課題を解決するものである。また前記繊維構造物が、20〜80質量%のパンヤ種子毛繊維と80〜20質量%のその他の有機繊維とから成ることが好ましい。また、前記繊維構造物が、その白度において85以上であることが好ましい。また、前記繊維構造物が、紡績糸又は布帛であることが好ましい。また、前記布帛が、織編物であることが好ましい。また前記布帛が、その見掛け密度にて0.5g/cm3 以下であって、該布帛の保温率が23%以上、且つ吸湿率が13%以上であることが好ましい。また前記繊維構造物が、少なくとも精練、漂白加工された染色加工品であることが好ましい。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について以下に詳細に説明する。
【0007】
パンヤ種子毛繊維であるカポック繊維の化学的成分としては、「化学商品要覧1」(発行、(株)フタバ書店)によると、セルロース成分65%、ペントサン成分24%、ワックス成分1%、リグニン成分18%、灰分3.5%、水分8%とされており、本発明においては特に染色加工性、耐光堅牢度における品質阻害要因がリグニン成分にあるのではという仮説の基に、リグニンに注目し鋭意研究の結果、本発明に至ったものであり、本発明のパンヤ種子毛繊維混在繊維構造物は、カポック繊維に代表されるパンヤ種子毛繊維が、約20質量%以上混在した繊維構造物であって、JIS L 0842法による染色堅牢度が3級以上であることを特徴とするパンヤ種子毛繊維混在繊維構造物であり、少なくとも精錬、漂白加工された該繊維構造物中のリグニン残存率を高々1.5質量%とすることが好ましい。
【0008】
パンヤ種子毛繊維の混在率が20質量%未満程度では、カポック繊維に代表されるパンヤ種子毛繊維の特徴である、軽量性、保温性の発現が困難となり、また独特の風合いを出すことが出来なくなる。また、リグニン残存率がおよそ1.5質量%より高残存率となると、染色加工性に劣り、染め斑、染色不良等の染色欠点が出やすくなるのみならず、耐光堅牢度や白度に劣り、被服製品としての実用性、商品価値に耐えないものとなる。リグニンは、植物の維管束細胞壁成分として存在する無定型高分子物質であって、フェニルプロパン系の構成単位が複雑に縮合したものであるが、前記リグニン残存率を約1.5質量%以下とするためには、例えば、染色加工工程の精練、漂白時において、化学的な塩素化、酸素酸化等の脱リグニン反応化等により、リグニン成分の分解、除去を図ることにより達成できる。ここで注意すべきは、他の有機繊維特性を損なわないようにすることであり、本願発明はパンヤ種子毛繊維混在率に応じて適宜脱リグニン反応等によるリグニン成分の分解、除去処理を制御し、該処理後のリグニン残存率を約1.5質量%以下とすることにより得られるものである。より好ましくは1.0質量%以下である。該リグニン成分の分解、除去処理後のリグニン残存率を約1.5質量%以下とすることにより、耐光堅牢度が3級以上の耐光性に優れた繊維構造物と成り得る。耐光堅牢度が4級以上とするためには上記リグニン残存率を1.0質量%以下とすることが好ましい。
【0009】
ここでいう「繊維構造物」とは、繊維を紡績して得られる紡績糸、これらを製織、製編して得られる織物、編物等の布帛、等の繊維から構成される構造物を示す。
【0010】
また、前記繊維構造物が、20〜80質量%のパンヤ種子毛繊維と80〜20質量%のその他の有機繊維とから成ることが好ましい。パンヤ種子毛繊維は上述の通り、綿繊維と比較し、繊維強力、伸度、見掛け比重等の点から可紡性に劣り、パンヤ種子毛繊維単体では紡績が不可能であるため、パンヤ種子毛繊維混在率における可紡上限値は多くとも80質量%である。反対にパンヤ種子毛繊維特有の前記特徴を発現させるためには、上記の通り下限値は少なくとも20質量%であるが、パンヤ種子毛繊維はその細胞壁が極めて薄いため繊維強力が弱く、紡績工程、織布工程、メリヤス工程、精練、漂白、染色、仕上げ加工等の工程中にて、工程を通過すればするほど、落下繊維として屑物になったり、また毛羽立ち、短繊維化し、剥離、飛散等にて散失しやすいことから、前記繊維構造物が最終製品に至るまでのどの工程での繊維構造物かによって、パンヤ種子毛繊維混在率を、最終工程に至るまでの散失相当分を考慮して幾分高率混在化しておく必要がある。よって、該散失相当分を考慮すれば、30質量%以上がより好ましい。また糸強力、製織性を考慮すれば、紡績糸の糸番手としては、40S 以下が好ましい。
【0011】
ここでいう「その他の有機繊維」とは、通常被服製品に使用される有機繊維であればよく、特に限定するものではなく、綿、羊毛、絹、麻等の天然繊維や、レーヨン、キュプラ等の再生繊維、ポリエステル、アクリル等の合成繊維のいずれであってもよい。
【0012】
また、前記繊維構造物が、その白度において85以上であることが好ましい。これは一般的に、晒布、オフホワイトと称される繊維構造物が対象となるが、白度が85未満では被服製品としての実用性、商品価値に劣るものとなる。より好ましくは、白度が90以上である。白度を85以上とするためには、例えば、上記リグニン残存率をより低率化(1質量%未満)すること、上記脱リグニン反応等によるリグニン成分の分解、除去処理後に酸化還元、中和処理を併用することにより得られる。
【0013】
また、前記布帛が、その見掛け密度にて0.5g/cm3 以下であって、該布帛の保温率が23%以上、且つ吸湿率が13%以上であることが好ましい。見掛け密度が0.5g/cm3 以上であれば、風合いの硬い布帛となり、特に衣料用途においては肌触り、着心地性に劣り、また保温率が23%未満、吸湿率が13%未満であれば、通常の綿100%素材と比較し体感性において差別化されないものとなる。より好ましくは、保温率が30%以上、吸湿率が14%以上である。見掛け密度が0.5g/cm3 以下であって、保温率が23%以上、且つ吸湿率が13%以上とするためには、例えば、上記染色加工後に、常法にて柔軟処理し、さらに揉み加工を施すことによって達成できる。この際、繊維構造物中に混在するパンヤ種子毛繊維の中空構造を回復させることが重要であり、該中空構造を復元、高めることにより、より軽量で、保温性、吸湿性に優れた繊維構造物、及びそれから成る被服製品と成り得る。尚、前記布帛は織編物が好ましい。糸を製織又は製編して得られる織編物は引張強力に優れ、汎用の揉み加工工程を採用できるからである。該織編物は、パンヤ種子毛繊維混紡糸や、撚糸等の紡績糸、等から構成され、その他の有機繊維から成る糸との交織、交編されたもので有ってもよい。
【0014】
また、前記繊維構造物が、少なくとも精練、漂白加工された染色加工品であることが好ましい。すでに上述の通り、上記諸条件を満たすためには、染色加工工程における精練、漂白工程にて前記脱リグニン反応等によるリグニン成分の分解、除去処理を行うことが好ましい。該繊維構造物が糸の形態であれば、例えばソフト捲きチーズ形態としチーズ染色加工、又は枷状形態とし枷染色加工、等の一般的な先染め加工段階にて上記反応化処理を行えばよく、そうすることにより、例えばシャンブレー等のシャツ地用途にも展開可能となる。また織編物等の布帛においても、連続式、浸漬式等の常法の染色加工処理を採用することができる。いずれも少なくとも精練、漂白時に脱リグニン反応化処理を行うことにより、パンヤ種子毛繊維を混在した繊維構造物であっても、耐光堅牢度や白度に優れ、さらには軽量で、保温性、吸湿性、風合いに優れた繊維構造物と成り得る。また染色加工とは、精練工程及び/又は漂白工程にて加工される、一般的に晒加工と称される加工のみであってもよく、精練、漂白後、染色工程を経る加工であってもよい。
【0015】
また、上記のパンヤ種子毛繊維がカポック繊維であることが好ましい。カポック繊維は上述の通り、枕、布団、椅子等の家具用充填材や、救命器の充填材として従来より使用されており、原料が安定して調達し易く、また前記リグニン成分が比較的少なく、前記その他の有機繊維に過酷な影響を与えることなく、通常の染色加工工程にて脱リグニン反応化処理等によるリグニン成分の分解、除去が実施できるからである。
【0016】
また、本願発明の上記パンヤ種子毛繊維混在繊維構造物から成る被服製品とは、ジャケット、シャツ、ボトム、インナー等の衣服に代表される身体を覆う物、帽子、靴、襟巻き、手袋等に代表される身体に付ける物又は付属品、及び、ハンカチ、タオル、シーツ、布団側地等に代表される身体に当接する物を総称するものである。
【0017】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はかかる実施の形態に限定されず、本発明の範囲内でその具体的構成に種々の変更を加えてもよいことはいうまでもない。
【0018】
【実施例】
以下に具体的な実施例、比較例にてその効果について説明する。尚、本発明における評価方法は以下による。
(リグニン残存率)
JIS P 8008、リグニン試験方法に基づき、ソックスレー抽出器を用いて、エタノール、ベンゼン(1:2/容積比)混合溶液で6〜8時間脱脂し、脱脂試料を風乾後、約1gを精秤して100ml容ビーカーに移し、約20℃の72%硫酸水溶液15mlを加えてよく攪拌した後、20℃で4時間放置する。これを1000ml容三角フラスコに蒸留水560mlを用いて洗い移し、(この時点で硫酸濃度は3%となる)還流冷却管をつけて4時間沸騰させ、不溶性残留物が沈降したら質量既知のガラス濾過器で吸引濾過後、熱水で洗浄後、105℃で恒重になるまで乾燥した後、秤量して得られた残留物の質量を試料の絶乾質量で除し、質量百分率にて示したもの。
(耐光堅牢度)
JIS L 0842、カーボンアーク灯光に対する染色堅牢度試験(20時間照射)による。
(白度)
クラボウテクノシステム(株)製、AU−Colour10AによるL値(明度)、a値(赤み値)、b値(黄み値)を測定後、次式、(F.Scofieldの式)により白度W(単位なし)を算出した。
W=100−((100−L)2 +(a2 +b2 ))1/2
(目付)
JIS L 1096、織物の標準状態における単位面積当たりの質量試験法による。
(厚み)
JIS L 1096、厚さ試験法による。
(見掛け密度)
上記の厚みと目付から、単位体積当たりの質量を算出したもの。
(保温率)
カトーテック(株)製、KES−F7(サーボラボ2)により保温率を測定。
(吸湿率)
一定面積(20cm×20cm)の試料を30℃×90%RH雰囲気下にて3時間放置後の質量F1と絶乾後の質量F0を測定し、次式により吸湿率H(%)を算出した。
H=((F1−F0)/F0)×100
【0019】
(実施例1) カポック繊維を50質量%、綿繊維を50質量%とを混綿し、常法の紡績法にて、カポック/綿混紡糸8S を紡出し、これを経糸、緯糸に使用し、経糸密度70本/インチ、緯糸密度42本/インチのカポック繊維混在平織物を織成した。該織物を常法にて毛羽焼き、糊抜き、精練を実施し、お湯で洗浄後、亜塩素酸ナトリウム水溶液に浸漬後、80℃で30分スチームし、中和、水洗して漂白処理を実施後、さらに過酸化水素漂白を行い、リグニン成分を分解、除去処理し、本発明のパンヤ種子毛繊維混在繊維構造物(織物)実施例1を得た。得られたパンヤ種子毛繊維混在繊維構造物(織物)実施例1のリグニン残存率が0.7質量%、耐光堅牢度が4級、白度が93.4、目付が272g/m2 、厚みが0.56mm、見掛け密度が0.486g/cm3 、保温率が32.7%、吸湿率が14.3%であった。
【0020】
(比較例1) 実施例1で織成されたカポック繊維混在平織物を、実施例同様に、常法にて毛羽焼き、糊抜き、精練を実施後、過酸化水素漂白を行い、パンヤ種子毛繊維混在繊維構造物(織物)比較例1を得た。得られたパンヤ種子毛繊維混在繊維構造物(織物)比較例1のリグニン残存率が2.99質量%、耐光堅牢度が1級、白度が79.4、目付が270g/m2 、厚みが0.53mm、見掛け密度が0.509g/cm3 、保温率が32.0%、吸湿率が14.2%であった。
【0021】
(比較例2) 比較例1のカポック/綿混紡糸8S を綿100%糸8S とした以外は比較例1と同様にして精練、漂白加工処理し、綿100%織物1を得た。得られた綿100%織物1のリグニン残存率が0%、耐光堅牢度が4級以上、白度が92.4、目付が361g/m2 、厚みが0.67mm、見掛け密度が0.539g/cm3 、保温率が18.3%、吸湿率が12.6%であった。
【0022】
(実施例2) 実施例1で得られたパンヤ種子毛繊維混在繊維構造物(織物)実施例1布に常法にてシルケット加工し、常法の染色加工法にて青色染色加工、柔軟処理を施した後、ドラム式ワッシャーによる揉み込み(60℃で30分処理後、エアタンブラーにより乾燥)処理し、本発明のパンヤ種子毛繊維混在繊維構造物(揉み込み加工布)実施例2を得た。得られたパンヤ種子毛繊維混在繊維構造物(揉み込み加工布)実施例2のリグニン残存率が0.68質量%、耐光堅牢度が4級、目付が290g/m2 、厚みが0.67mm、見掛け密度が0.433g/cm3 、保温率が32.7%、吸湿率が14.4%であった。
【0023】
上記実施例1、2、及び比較例1、2に記載の通り、本発明のパンヤ種子毛繊維混在繊維構造物は、従来から染色加工不適とされていたにもかかわらず、耐光堅牢度が3級以上の耐光性に優れ、被服製品としても実用上問題のない商品価値を有したものとであることが確認された。また、リグニン残存率が1.5質量%以下のため、従来より染色が困難とされていたものを可能とするのみならず、耐光堅牢度が3級以上の耐光性に優れた、また白度に優れた繊維構造物と成り得る。また、本発明の繊維構造物はパンヤ種子毛繊維が少なくとも20質量%以上混在し、さらに揉み加工により、綿繊維100%織物と比較し、軽量で、保温性に優れた繊維構造物と成り得る。また、驚くべきことに本来撥水性の特徴を有するパンヤ種子毛繊維が混在していても優れた吸湿性を有する効果が確認された。これは、本発明に至るリグニン成分の分解、除去作用において、ワックス成分もまた分解、除去されているものと想定される。また官能検査ではあるが、手触りによる判断によると、柔らかさを有しながら、ハリ、コシのある独特の風合いを備えたものであった。更にTシャツ被服製品とし、着用試験を実施した結果、その優れた吸湿性、保温性と相まって、従来にない着心地、肌触り、触感を体感させるものであった。
【0024】
【発明の効果】
本願発明のパンヤ種子毛繊維混在繊維構造体により、従来不適とされていた被服製品用途にも展開可能な耐光堅牢度に優れた繊維構造物と成り得る。また染色加工性に優れ、耐光堅牢度のみならず、晒布の白度においても実用性、商品価値を備えたものと成り得る。また、本願発明のパンヤ種子毛繊維混在繊維構造体を用いた被服製品は、綿100%布帛に比較し、軽量で、綿のような柔らかさを有しながら、ハリ、コシのある独特の風合いを持ち、更に優れた吸湿性、保温性と相まって、従来にない着心地、肌触り、触感を備えた被服製品と成り得る。

Claims (10)

  1. パンヤ種子毛繊維が、20質量%以上混在した繊維構造物であって、少なくとも精錬、漂白加工された該繊維構造物中のリグニン残存率が1.5質量%以下であることを特徴とするパンヤ種子毛繊維混在繊維構造物。
  2. JIS L 0842法による耐光堅牢度が3級以上であることを特徴とする請求項1記載のパンヤ種子毛繊維混在繊維構造物。
  3. 繊維構造物が、20〜80質量%のパンヤ種子毛繊維と80〜20質量%のその他の有機繊維とから成ることを特徴とする請求項1又は2記載のパンヤ種子毛繊維混在繊維構造物。
  4. 繊維構造物が、その白度において85以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のパンヤ種子毛繊維混在繊維構造物。
  5. 繊維構造物が、紡績糸又は布帛であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のパンヤ種子毛繊維混在繊維構造物。
  6. 布帛が、織編物であることを特徴とする請求項5記載のパンヤ種子毛繊維混在繊維構造物。
  7. 布帛が、その見掛け密度にて0.5g/cm3 以下であって、該布帛の保温率が23%以上、且つ吸湿率が13%以上であることを特徴とする請求項5又は6記載のパンヤ種子毛繊維混在繊維構造物。
  8. 繊維構造物が、少なくとも精練、漂白加工された染色加工品であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のパンヤ種子毛繊維混在繊維構造物。
  9. パンヤ種子毛繊維が、カポック繊維であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のパンヤ種子毛繊維混在繊維構造物。
  10. 請求項1〜9記載のパンヤ種子毛繊維混在繊維構造物から成る被服製品。
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