JP3929566B2 - ショルダーベルトアンカー調節装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用シートベルト装置に用いられ、乗員の体格等に応じて肩ベルトの支持高さを調節することのできるショルダーベルトアンカー調節装置の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両の乗員等を座席に安全に保持するためのシートベルト装置としては、連続ウェビングを用いて三点式シートベルト装置としたものがある。この種のシートベルト装置では、乗員の体格に合わせてウェビングの有効長を調節すると共に、乗員の肩部分へ正確にウェビングを装着するために、センターピラーへ取り付けるスルーアンカーを上下方向に自由に移動させて肩ベルトの支持高さを調節可能としたショルダーベルトアンカー調節装置が種々採用されている。
【0003】
このようなショルダーベルトアンカー調節装置としては、例えば実開昭64−40751号公報、実開平4−62254号公報等に開示されているショルダーベルトアンカー調節装置がある。該ショルダーベルトアンカー調節装置は、複数の係止孔が設けられたガイドレールと、該ガイドレールに沿って移動可能とされスルーアンカーが取り付けられるスライドベースと、該スライドベースに支持され前記ガイドレールの係止孔と係合する係合位置と係止孔と係合しない非係合位置との間で移動可能なロックピンと、操作部と該操作部と当接するスライド部材とを有し、前記操作部が操作されたときに前記スライド部材がガイドレールへ接近する方向に移動することによって該ロックピンを係合位置から非係合位置へと移動させるロック解除部材と、前記スルーアンカーを覆うとともに前記ロック解除部材の操作部を支持する操作部カバーとを備えている。
【0004】
上記装置によれば、操作部を操作すると、前記スライド部がガイドレールへ接近する方向(車体側壁方向)に移動して、ロックピンと当接しているロック解除レバーがロック解除方向に移動する。このロック解除レバーの移動により、ロックピンがガイドレールの係合孔から抜き出され、ロック解除状態になる。
そこで、前記スライドベースの位置調節を行う際には、乗員が操作部を操作しながらスライドベースを所望の位置まで摺動させた後、操作部から手を放す。操作部から手を放すと、ばねによる付勢力によってロックピンがガイドレールの係合孔に復帰して、スライドベースがガイドレールに対して移動できないロック状態になる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記の如きショルダーベルトアンカー調節装置では、一般に、下側操作部カバーはスルーアンカーの金属板部にフックにより取り付けられており、下側操作部カバーとスライドベースとの間には、適度の隙間が存在している。そこで、車両の側面衝突等によって乗員等が操作部カバーに激しく当たると、下側操作部カバーのフックがスルーアンカーから外れ、前記隙間において下側操作部カバーがガイドレールに接近する方向に変位する。すると、下側操作部カバーに支持されているロック解除部材も下側操作部カバーとともにガイドレールに接近し、ロック解除方向に動いてしまい、緊急時のシートベルトによる乗員拘束が損なわれる恐れがあった。
【0006】
そこで、本発明の目的は上記課題を解消することにあり、乗員の衝突等によって操作部カバーにガイドレール方向への荷重がかかっても、ロック解除部材がロック解除方向に誤操作されることを防止することができて、緊急時のシートベルトによる乗員拘束が損なわれる恐れのないショルダーベルトアンカー調節装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、複数の係止孔が設けられたガイドレールと、
該ガイドレールに沿って移動可能とされスルーアンカーが取り付けられるスライドベースと、
該スライドベースに支持され前記ガイドレールの係止孔と係合する係合位置と係止孔と係合しない非係合位置との間で移動可能なロックピンと、
操作部と該操作部と当接するスライド部材とを有し、前記操作部が操作されたときに前記スライド部材がガイドレールへ接近する方向に移動することによって前記ロックピンを係合位置から非係合位置へと移動させるロック解除部材と、
前記スルーアンカーを覆うとともに前記ロック解除部材の操作部を支持する操作部カバーと、
前記スライドベースを被覆するスライドベースカバーとを有するショルダーベルトアンカー装置において、
前記操作部カバー又は前記スライドベースカバーの少なくとも一方に、前記操作部カバーが前記ガイドレールへ接近するのを規制する規制部材が、スルーアンカーを支持しているボルトを中心とした周囲4箇所以上又は環状に設けられていることを特徴とするショルダーベルトアンカー調節装置により達成される。
【0008】
そして、上記構成によれば、乗員の衝突等によって操作部カバーにガイドレール方向への荷重がかかっても、操作部カバーとスライドベースとの間に設けられた規制部材が操作部カバーのガイドレールへの接近を規制する。
したがって、前記操作部カバーのガイドレールへの接近によってロックピンが非係合位置に誤操作されることを防止できて、緊急時のシートベルトによる乗員拘束が損なわれる恐れがない。
【0009】
なお、前記規制部材は、スルーアンカーが如何なる向きに回動していても、該規制部材による変位規制が有効となるように、スルーアンカーを支持しているボルトを中心とした周囲4カ所以上、あるいはスルーアンカーを支持しているボルトを中心とした環状に設けられる。この場合、規制部材は操作部カバーに一体に設けてもよく、またスライドベースを被覆しているスライドベースカバーに一体に設けてもよい。また、操作部カバーとスライドベースカバーの双方に規制部材を設ける場合は、スルーアンカーの回転動作時に、それぞれの規制部材同士の干渉により、スルーアンカーの回動動作を規制する構成とすることが好ましい。また、規制部材を単独の部材として構成し、これを操作部カバーとスライドベースとの間に配置してもよい。更に、規制部材、あるいは操作部カバーやスライドベース自体を、金属、樹脂、ゴムなどのエネルギ吸収材料で形成することが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施形態に係るショルダーベルトアンカー調節装置を詳細に説明する。
図1〜図4は本発明に係るショルダーベルトアンカー調節装置の第1実施形態を示したもので、図1及び図2は本発明の第1実施形態のショルダーベルトアンカー調節装置1の分解斜視図、図3は同ショルダーベルトアンカー調節装置1の縦断面図、図4は前記ショルダーベルトアンカー調節装置1における操作部カバーの底面図である。
【0011】
この一実施形態のショルダーベルトアンカー調節装置1は、ガイドレール17が長手方向を上下方向とし、その上端部および下端部を、車体側壁であるセンターピラー29にボルト12で締結して車体に固定されている。該ガイドレール17は、その底部には長手方向に配設された複数の係止部である係止孔11を有すると共に、その幅方向両端側には屈曲形成されたガイドフランジ17aを備えている。
【0012】
なお、該ガイドレール17の下端部には、スライド部材4がガイドレール17の下方より外れないようにするストッパ17bが形成されている。
前記ガイドレール17に案内されて上下方向へ移動可能に設けられるスライド部材4は、スライドベース2とスライダー3とが面接状態で固定され構成されている。前記スライドベース2は、ガイドレール17の底部とガイドフランジ17aとにより囲まれたガイドレール17の内部空間の厚みより薄い肉厚の金属平板を長方形に形成したもので、この内部空間内に位置し、幅方向端部がガイドフランジ17aに対向している。前記スライダー3は合成樹脂製の長方形の枠体で、中央部上面側における幅方向の両端部には長手方向へ延びる係合縁部3aが形成され、長手方向端部近傍の下面側における幅方向両端部には長手方向へ延びる係合縁部3bが形成されており、これらの係合縁部3a,3bと前記スライドベース2の幅方向端部とにより、前記ガイドレール17のガイドフランジ17aに遊嵌状態で嵌合し得るコ字状溝が形成される。これにより、スライドベース2は車室内方向(図3中の矢印X方向)に作用する荷重をガイドフランジ17aを介してガイドレール17に支持させることができる。
【0013】
前記スライドベース2の長手方向一端部には、後述するスルーアンカ組体42を構成するボルト9が螺着されるスリーブナット5が固着され、他端部には前記ロックピン6を支持するべくバーリング加工された支持孔2aが形成されている。
前記スライダー3は、前記スライドベース2の支持孔2a及びスリーブナット5の各部位と対応した略方形の開口を有し、その側壁中央部の内側にはロック解除レバー7を回動可能に支持するためのレバー支持部3cが互いに対向するように突設されている。
【0014】
前記ロック解除レバー7は、前記スライダー3のレバー支持部3cに支持される中間部からスライド部材4の幅方向両端縁に沿って上方に延びる一対の作動片7a,7aと、中間部より下方で前記スリーブナット5の外周部を囲むように配置されて各作動片7a,7aを連結する押圧部7bとからなる略U字形状を有している。該ロック解除レバー7の中間部は、スライドベース2側に凸状となるように屈曲形成されており、ロック解除レバー7は該中間部を回転支点(回動中心)としてスライドベース2上で揺動回転可能である。そして、前記作動片7a,7aの各揺動先端部が後述するロックピン6の大径フランジ部6bに係合し、前記押圧部7bが前記スリーブナット5に遊嵌された円環状のカラー部材であるカムプレート(本発明におけるスライド部材)19に当接する。なお、該ロック解除レバー7は、弾性的な可撓性を有する材料で形成されており、スライド部材4の厚さ方向に撓むことができる。
【0015】
前記スライドベース2の支持孔2a内にはロックピン6が摺動自在に嵌合している。該ロックピン6は、前記ガイドレール17の係止孔11に係合し得る軸部6aと、頭部に形成した抜け止め用の大径フランジ部6bとを有する。そこで、該大径フランジ部6bの下面は、前記スライドベース2の上面との間に空間を画成し、該空間に配設された前記作動片7a,7aの各揺動先端部と係合している。なお、軸部6bは、支持孔2a及び係止孔11とスムーズに係合し、かつ、金属音が発生しないように合成樹脂製の被覆体で覆われている。
【0016】
そして、前記ロックピン6は、圧縮コイルばね8の付勢力により前記係止孔11との係合方向に付勢されている。そこで、通常状態では、ロックピン6の軸部6aがスライドベース2の支持孔2aを貫通してスライド部材4の外方へ突出し、ガイドレール17の係止孔11内に進入するようになっている。
【0017】
したがって、前記ロック解除レバー7は、作動片7a,7aの各揺動先端部がロックピン6の大径フランジ部6bに押圧されてセンターピラー側へ回動付勢されるので、押圧部7bが車室内側に回動され、前記カムプレート19の押圧部19aに当接する(図3参照)。
【0018】
前記スライド部材4の車室内側には、前記カムプレート19の外周部をスリーブナット5から脱落しないように押さえると共に、前記圧縮コイルばね8の端部を押さえるスライドベースカバー23がスライドベース2に固定される。即ち、スライドベースカバー23は、スライドベース2に取り付けられて該スライドベース2上に前記ロックピン6や圧縮コイルばね8などの部品の収容空間を画成している。
【0019】
前記スリーブナット5には、シートベルトの肩ベルトを支持するスルーアンカ組体42が取り付けられている。該スルーアンカ組体42は、ウェビング22を支持すべくボルト9の頸部に揺動自在に取り付けられたスルーアンカー21と、前記ロックピン6のロック状態を解除すべく前記カムプレート19をセンターピラー側に移動させ、前記ロック解除レバー7をロック解除方向に回動させる操作手段とによって構成されている。
【0020】
前記操作手段は、前記カムプレート19を車体側壁側に移動させることによって前記ロック解除レバー7をロック解除方向に回動させるもので、具体的には、ショルダーベルトアンカー調節装置1の幅方向に移動可能な操作ボタン13と、操作ボタン13を摺動可能に支持し、フックによって前記スルーアンカー21と固定されるロアカバー14とから構成されており、これらはロアカバー14に取り付けられるアッパーカバー27によって覆われている。
以上のロアカバー14とアッパーカバー27は、該操作手段を構成している操作ボタン13や前記ボルト9とスルーアンカー21との嵌合部を収容する操作部カバー50を構成している。
【0021】
前記カムプレート19は、略環状で、ロアカバー14とスリーブナット5に案内されてボルト9の軸方向に移動可能に支持されている。また、該カムプレート19の外周部には、半径方向外方へ突出した一対の軸部19aが形成されている。
一方、前記操作ボタン13は、圧縮コイルばね18によって外方に向けて付勢されている。そして、図1に示すように、この操作ボタン13には、操作部カバー50の内方に押し込むと、前記軸部19aに当接して前記カムプレート19をボルト9に沿ってスライド部材4側(センターピラー側)に移動させる傾斜面13bが設けられている。
【0022】
以上のショルダーベルトアンカー調節装置1において、前記操作部カバー50を構成しているロアカバー14は、前記スライドベースカバー23に対向する底壁部に、スライドベースカバー23側への変位を規制する規制突起51が設けられている。
この規制突起51は、図4に示すように、前記ボルト9に対して同心のリング状を呈している。
【0023】
次に、上記ショルダーベルトアンカー調節装置1の位置調整方法について説明する。
スルーアンカー21に支持されているウェビング22の位置を調節するためには、前記操作ボタン13を操作部カバー50の内方に押し込めばよい。操作ボタン13を操作部カバー50の内方に押し込むと、傾斜面13bがカムプレート19の軸部19aと摺接しながら該カムプレート19をセンターピラー側に押し下げる。
【0024】
そして、センターピラー側に押し下げられたカムプレート19は、図4に示すように押圧部19aがロック解除レバー7の押圧部7bをセンターピラー側に押圧する。そこで、図3に示すように、中間部を回転支点としてレバー支持部3cに回動可能に支持されたロック解除レバー7は、作動片7a,7aの各揺動先端部が圧縮コイルばね8の付勢力に抗して車室内側に回動する。そして、作動片7a,7aの各揺動先端部と大径フランジ部6bで係合しているロックピン6が車室内側に持ち上げられ、軸部6aがガイドレール17の係止孔11から抜き出されて、ガイドレール17の長手方向(車両の上下方向)に移動自在になる。
そして、操作ボタン13を押圧した状態のまま、所望の高さにショルダーベルトアンカー調節装置1を移動させた後、操作ボタン13から手を放せば、操作ボタン13は圧縮コイルばね18の付勢力により復帰し、また、ロックピン6も前記圧縮コイルばね8の付勢力により係止孔11に嵌合して、ロック状態になる。
【0025】
そして、以上のショルダーベルトアンカー調節装置1では、乗員の衝突等によって操作部カバー50(スルーアンカ組体42)にスライドベース2側への荷重がかかっても、前記ロアカバー14の底部に設けられた規制突起51が、直ぐにスライドベースカバー23に当接して、操作部カバー50のスライドベースカバー23側への変位を規制する。
したがって、前記操作部カバー50のスライドベースカバー23側への変位によってロック解除レバー7がロック解除方向に誤操作されることを防止することができて、緊急時のシートベルトによる乗員拘束が損なわれる恐れがない。
【0026】
また、以上の実施形態では、前記規制突起51は、リング状の構造のため、前記スルーアンカー21がどの向きに回動していても、良好に、変位を規制する効果が得られる。
なお、ロアカバー14に設ける規制突起51は、リング状に限定するものではない。例えば、図5及び図6に示すように、前記ボルト9の周囲に、周方向に等間隔で複数箇所に、独立した突起として設けても良い。その場合、規制突起51の数としては、前記スルーアンカ組体42がボルト9の周囲に旋回した時に、規制突起51がスライドベースカバー23上から外れてしまうことのないように、4カ所またはそれ以上の複数箇所に設けることが好ましい。
【0027】
また、前記規制突起51を設ける位置は、ロアカバー14に限らない。例えば、図7及び図8に示すように、スライドベースカバー23側に設けても良い。
そして、スライドベースカバー23上に規制突起51を設ける場合にも、例えば図7及び図8に示すように、ボルト9を挟んで、規制突起51を2カ所あるいはそれ以上の適宜箇所に設けてもよいし、また、図9に示すように角筒状、あるいは図10に示すようにボルト9と同心のリング状に形成してもよい。
【0028】
図11に矢印(イ)で示すように、操作部カバー50は、ウェビング22に作用する張力等によりボルト9を中心に旋回する。その際、例えば、前述したような規制突起51を設けておらず、前記操作部カバー50とスライドベースカバー23との間に隙間が存在している従来構造の場合には、引張荷重入力時、ウェビング22に作用する張力によって、図12に矢印(ロ)で示すように、前記ボルト9とスルーアンカー21との嵌合部に、捻れが発生し、そのために、操作部カバー50がボルト9回りに滑らかに旋回できず、ジャミングが発生してウェビングが切れてしまうことがある。また、操作部カバー50がボルト9回りに滑らかに旋回せず、エネルギー吸収時にウェビング22の引き出しがスムーズにできなくなる。
ところが前述したように、規制突起51を設けることによって、前記操作部カバー50がスライドベースカバー23側に変位できなくされていれば、前述のような不都合が発生しない。
なお、前記規制突起51により操作部カバー50の円滑な旋回を確保する場合には、前記規制突起51としては、摺動性に優れた摩擦係数の小さな樹脂等を使用することが好ましい。
【0029】
また、ロアカバー14とスライドベースカバー23との双方に規制突起を設けてもよい。
図13は、ロアカバー14には、前記ボルト9を挟んで対向する2カ所に規制突起52を設け、スライドベースカバー23にはロアカバー14上の一方の規制突起52を挟むように、一対の規制突起53を設けた場合を示している。そして、これらの規制突起52,53は、図14に示すように、先端を傾斜面52a,53aとして、スルーアンカー21がボルト9回りに旋回したとき、それぞれの規制突起52,53は、矢印(ハ)方向の移動時には、相手の規制突起を乗り越えできるが、逆向きには乗り越えできないようにしている。
なお、矢印(ハ)の方向は、車両の前方にスルーアンカー21が旋回する向きである。
このように設定することによって、前記スルーアンカー21の旋回角を規制することができ、図15に示したようにスルーアンカー21が車両の前方側に旋回した後に、図16に示すようにスルーアンカー21が逆方向に旋回して、スルーアンカー21に挿通しているウェビング22にジャミングが発生するという不都合を防止することができる。
【0030】
更に、ロアカバー14とスライドベースカバー23との双方に規制突起を設ける場合、一方の規制突起は、他方の規制突起と衝突して、所定以上の荷重が入力すると塑性変形して、衝撃吸収をする構成としてもよい。
図17は、ロアカバー14側の規制突起52に塑性変形を引き起こすエネルギー吸収材料を使用し、スライドベースカバー23側の規制突起52には強度の高い材料を使用した例を示している。
このような構成では、ウェビング22に作用する張力で操作部カバー50が高速に旋回し、前記規制突起52,53相互に所定以上の荷重が入力すると、図18に示すように、規制突起52が規制突起53に衝突した際に塑性変形して、乗員にかかる衝撃を吸収・緩和することができる。
【0031】
なお、ウェビング22に作用する張力によってスルーアンカー21が急激な旋回動作する時に、衝撃吸収を図る構造としては、図19(a)に示すように、ロアカバー14あるいはスライドベースカバー23のいずれか一方には、強度の高い材料からなる規制突起51を設け、他方には、前記規制突起51の外径よりも狭いスリット状の案内溝55を設けておいて、図19の(b),(c)に示すように規制突起51が案内溝55の溝壁を塑性変形させながら進むことで、所定のエネルギー吸収を実現するようにしてもよい。
更に、図20の(a),(b)に示すように、一方の規制突起52は衝突時の衝撃を緩和する傾斜面を有した単一の突起状にし、他方の一対の規制突起53は前記規制突起52が段階的に乗り越える鋸刃状に形成してもよい。
なお、以上の図19(b)、図20(a)は衝突前、図19(c),図20(b)は衝突後の状態を示している。
【0032】
また、以上の図17〜図19では、スルーアンカー21のボルト9回りの旋回動作に対して、エネルギー吸収を図る構成であったが、ショルダーベルトアンカー調節装置1の操作部カバー50に乗員が衝突した時に、衝撃を吸収して乗員の負担を軽減することも考えられる。
以下の図21〜図28は、いずれも、操作部カバー50に乗員が衝突した時に、衝突エネルギーを吸収するように配慮したものである。なお、以下の図21〜図28において、(a)は衝突前、(b)は衝突後の状態を示している。
【0033】
図21は、ショルダーベルトアンカー調節装置1のロアカバー14に設けた規制突起51の変形によりエネルギー吸収を実現する例である。
図22は、ショルダーベルトアンカー調節装置1のスライドベースカバー23に設けた規制突起51の変形によりエネルギー吸収を実現する例である。
図23は、ショルダーベルトアンカー調節装置1のロアカバー14自体がスライドベースカバー23に設けた規制突起51との衝突により破損するようにした例である。
図24は、ショルダーベルトアンカー調節装置1のスライドベースカバー23自体がロアカバー14に設けた規制突起51との衝突により破損するようにした例である。
図25は、ショルダーベルトアンカー調節装置1のロアカバー14に設けた規制突起51自体を変形し易い構造に改良した例である。なお、変形し易い構造に改良した規制突起51は、スライドベースカバー23側に設けることも可能である。
図26は、ショルダーベルトアンカー調節装置1のスライドベースカバー23自体をエネルギー吸収材料で形成した例である。
図27は、ショルダーベルトアンカー調節装置1のアッパーカバー27自体をエネルギー吸収材料で形成し、規制突起51を強固に形成した例である。
図28は、ショルダーベルトアンカー調節装置1のアッパーカバー27の頂部内部にエネルギー吸収部材としてのリブ56を設け、規制突起51を強固に形成した例である。
図27及び図28に示す構成は、ショルダーベルトアンカー調節装置に対する荷重をエネルギー吸収部材に確実に伝えるため、強固な規制突起51を付けたものである。これらの構成によれば、エネルギー吸収部材以外の撓み、座屈、変形をできるだけ少なくできるので、エネルギー吸収部材の狙い値を計算だけで出すことができ、狙い値の調整を行いやすい。
【0034】
【発明の効果】
本発明のショルダーベルトアンカー調節装置によれば、乗員の衝突等によって操作部カバーにスライドベース側への荷重がかかっても、操作部カバーとスライドベースとの間に設けた規制部材が操作部カバーのガイドレールへの接近を規制する。
したがって、前記操作部カバーのガイドレールへの接近によってロック解除レバーがロック解除方向に誤操作されることを防止することができて、緊急時のシートベルトによる乗員拘束が損なわれる恐れがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るショルダーベルトアンカー調節装置の第1実施形態の分解斜視図である。
【図2】本発明に係るショルダーベルトアンカー調節装置の第1実施形態の分解斜視図である。
【図3】図1及び図2に示したショルダーベルトアンカー調節装置の縦断面図である。
【図4】図1及び図2に示したショルダーベルトアンカー調節装置における操作部カバーの底面図である。
【図5】本発明に係るショルダーベルトアンカー調節装置における規制部材の第2実施例を示す要部側面図である。
【図6】図5に示した操作部カバーの底面図である。
【図7】本発明に係るショルダーベルトアンカー調節装置における規制部材の第3実施例を示す要部側面図である。
【図8】図7に示したB−B線に沿う矢視図である。
【図9】本発明に係るショルダーベルトアンカー調節装置における規制部材の第4実施例を示す要部平面図である
【図10】本発明に係るショルダーベルトアンカー調節装置における規制部材の第5実施例を示す要部平面図である
【図11】従来構造の場合の不具合を示す正面図である。
【図12】図11におけるC矢視図である。
【図13】本発明に係るショルダーベルトアンカー調節装置における規制部材の第6実施例を示す操作部カバーの底面図である。
【図14】図13のD矢視図である。
【図15】従来構造の場合の不具合を示す操作部カバー正面図である。
【図16】従来構造の場合の不具合を示す操作部カバー正面図である。
【図17】本発明に係るショルダーベルトアンカー調節装置における規制部材の第7実施例の構成を示す操作部カバーの正面図、および規制部材相互の干渉による作用説明図である。
【図18】図17に示した規制部材によるエネルギー吸収動作時の説明図である。
【図19】本発明に係るショルダーベルトアンカー調節装置における規制部材の第8実施例の構成及び作用説明図である。
【図20】本発明に係るショルダーベルトアンカー調節装置における規制部材の第9実施例の構成及び作用説明図である。
【図21】本発明に係るショルダーベルトアンカー調節装置における規制部材の第10実施例の構成及び作用説明図である。
【図22】本発明に係るショルダーベルトアンカー調節装置における規制部材の第11実施例の構成及び作用説明図である。
【図23】本発明に係るショルダーベルトアンカー調節装置における規制部材の第12実施例の構成及び作用説明図である。
【図24】本発明に係るショルダーベルトアンカー調節装置における規制部材の第13実施例の構成及び作用説明図である。
【図25】本発明に係るショルダーベルトアンカー調節装置における規制部材の第14実施例の構成及び作用説明図である。
【図26】本発明に係るショルダーベルトアンカー調節装置における規制部材の第15実施例の構成及び作用説明図である。
【図27】本発明に係るショルダーベルトアンカー調節装置における規制部材の第16実施例の構成及び作用説明図である。
【図28】本発明に係るショルダーベルトアンカー調節装置における規制部材の第17実施例の構成及び作用説明図である。
【符号の説明】
1 ショルダーベルトアンカー調節装置
2 スライドベース
3 スライダー
4 スライド部材
5 スリーブナット
6 ロックピン
7 ロック解除レバー
8 圧縮コイルばね
9 ボルト
11 係止孔
13 操作ボタン
14 ロアカバー
17 ガイドレール
18 圧縮コイルばね
19 カムプレート
21 スルーアンカー
22 ウェビング
23 スライドベースカバー
27 アッパーカバー
42 スルーアンカー組体
50 操作部カバー
51,52,53 規制部材
Claims (1)
- 複数の係止孔が設けられたガイドレールと、
該ガイドレールに沿って移動可能とされスルーアンカーが取り付けられるスライドベースと、
該スライドベースに支持され前記ガイドレールの係止孔と係合する係合位置と係止孔と係合しない非係合位置との間で移動可能なロックピンと、
操作部と該操作部と当接するスライド部材とを有し、前記操作部が操作されたときに前記スライド部材がガイドレールへ接近する方向に移動することによって前記ロックピンを係合位置から非係合位置へと移動させるロック解除部材と、
前記スルーアンカーを覆うとともに前記ロック解除部材の操作部を支持する操作部カバーと、
前記スライドベースを被覆するスライドベースカバーとを有するショルダーベルトアンカー装置において、
前記操作部カバー又は前記スライドベースカバーの少なくとも一方に、前記操作部カバーが前記ガイドレールへ接近するのを規制する規制部材が、スルーアンカーを支持しているボルトを中心とした周囲4箇所以上又は環状に設けられていることを特徴とするショルダーベルトアンカー調節装置。
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JP27735797A JP3929566B2 (ja) | 1997-10-09 | 1997-10-09 | ショルダーベルトアンカー調節装置 |
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JP27735797A JP3929566B2 (ja) | 1997-10-09 | 1997-10-09 | ショルダーベルトアンカー調節装置 |
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JP3929566B2 true JP3929566B2 (ja) | 2007-06-13 |
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Family Applications (1)
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-
1997
- 1997-10-09 JP JP27735797A patent/JP3929566B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
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