JP3929391B2 - 電動サーボプレスの加圧加工方法 - Google Patents

電動サーボプレスの加圧加工方法 Download PDF

Info

Publication number
JP3929391B2
JP3929391B2 JP2002343930A JP2002343930A JP3929391B2 JP 3929391 B2 JP3929391 B2 JP 3929391B2 JP 2002343930 A JP2002343930 A JP 2002343930A JP 2002343930 A JP2002343930 A JP 2002343930A JP 3929391 B2 JP3929391 B2 JP 3929391B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
slide
press
electric servo
eccentric shaft
die height
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2002343930A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004174559A (ja
Inventor
幸男 畑
均 桜井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Komatsu Ltd
Komatsu Industries Corp
Original Assignee
Komatsu Ltd
Komatsu Industries Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Komatsu Ltd, Komatsu Industries Corp filed Critical Komatsu Ltd
Priority to JP2002343930A priority Critical patent/JP3929391B2/ja
Publication of JP2004174559A publication Critical patent/JP2004174559A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3929391B2 publication Critical patent/JP3929391B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B30PRESSES
    • B30BPRESSES IN GENERAL
    • B30B1/00Presses, using a press ram, characterised by the features of the drive therefor, pressure being transmitted directly, or through simple thrust or tension members only, to the press ram or platen
    • B30B1/26Presses, using a press ram, characterised by the features of the drive therefor, pressure being transmitted directly, or through simple thrust or tension members only, to the press ram or platen by cams, eccentrics, or cranks
    • B30B1/263Presses, using a press ram, characterised by the features of the drive therefor, pressure being transmitted directly, or through simple thrust or tension members only, to the press ram or platen by cams, eccentrics, or cranks work stroke adjustment means

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Presses And Accessory Devices Thereof (AREA)
  • Press Drives And Press Lines (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動サーボモータで、クランク軸やエキセン軸などの偏心軸による回転機構、または回転駆動とリンク機構を介してスライドを駆動する電動サーボプレスの加圧加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、プレスの深絞り加工には、加工ストローク全域に亘って高仕事量加工が可能なことから、主として油圧プレスが用いられている。また、モータによりクランク軸やエキセン軸などの偏心軸による回転機構、または回転駆動とリンク機構を介してスライドを上下動自在に駆動する機械プレスは、下限加工ストローク付近での高仕事量加工を主力としていることから、比較的浅い絞り加工に通常用いられている。
【0003】
機械プレスではスライドに取付けられた上金型と、ボルスタ(またはベッド)上に設置された下金型の間でプレス加工を行うように構成され、そのスライドには、金型の下死点位置調整、またはプレス各部の機械的変位や熱変位の補正などの必要性から、電動モータ回転によるダイハイト調節装置を有しているのが一般的である。以下に、特許文献1に記載のような従来技術に係るダイハイト調節装置が設けられたCフレームプレスの構成を、その側面図を示す図8により説明する。
【0004】
この図8において、プレス機械101は、側面視でC字形状を成す本体フレーム101aを有するCフレーム機械プレスであり、モータ114により、それぞれフライホイール113、クラッチブレーキ111、ピニオンギヤ112、メインギヤ110を順に駆動して、偏芯軸104を回転させ、コンロッド116をクランク回転させて、プランジャ108およびこれに螺合されたねじ軸118を介してスライド120をボルスタ101bに対向して昇降駆動している。
また、スライド120は本体フレーム101aの略中央部に上下動自在に設けられており、スライド120の上部に形成された穴内には、ダイハイト調節用のねじ軸118の本体部が抜け止めされた状態で回動自在に挿入されている。ねじ軸118のねじ部118aは、その上方に設けたプランジャ108の下部の雌ねじ部に螺合している。ねじ軸118の本体部外周には、スライド120の背面部に取付けたインダクションモータ124によりウォーム(図示せず)を介して回されるウォームホイール107が取付けられている。そして、これらにより、プランジャ108に対してスライド120を上下動させてダイハイト量を調節するダイハイト調節装置が構成されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−25099号公報(第2−3頁、第3図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
中小型プレス加工において、その高精度化、高速化の要求から、最近では、電動サーボモータでボールネジを介して直接スライドを昇降駆動する、機械プレス(以後直動プレスと略称)が開発され、市場に受け入れられてきている。また、電動サーボモータで、クランク軸やエキセン軸などの偏心軸による回転機構を介してスライドを駆動する、機械プレス(以後エキセンプレスと略称)や、回転駆動とリンク機構を介してスライドを駆動する機械プレス(以後リンクプレスと略称)も採用されつつある。後者のサーボプレスは、スライドモーションの全体は高速、高荷重を得意とするメカニカルな構成で、かつその加工ストローク域は電動サーボモータによりある程度スライドモーションに変化を持たせ得る、各利点を併せ持つプレスとして開発されてきたのである。
【0007】
ところで、深絞り加工を、これらの高精度なプレス加工を得意とする電動サーボプレスにより行なった場合、高精度な深絞り加工製品が期待できるはずであるが、しかし、以下の問題が生じるため、従来の加工方法によったのではその実用化が困難となっている。
【0008】
先ず、直動プレスにより深絞り加工を行なう場合、深絞りがその全加工ストロークに亘って高仕事量を要するので、直動プレスの電動サーボモータは高容量で、大型とならざるを得ず、設備コストが嵩む。
【0009】
また、電動サーボモータを用いた前述のエキセンプレスやリンクプレスで、深絞り加工のように長ストロークに亘って高荷重を連続的に必要とする、高仕事量の加工を行なう場合、これらエキセンプレスやリンクプレスは、下死点付近以外のストローク域では加工能力が小さいので、深絞り加工に対応するためには、高いストローク位置からでも高負荷加工が可能な、より大型のプレスを採用する必要が生じる。従って、設備コストが嵩む。
【0010】
さらに、全てのストロークに亘って高仕事量加工が可能との理由から、従来の油圧プレスを用いた場合、油脂をエネルギー媒体として使用している関係上、常に完全なメンテナンスを継続しなければ、配管の緩み、油圧機器の接続個所からの油洩れによる油汚れ、環境汚染の問題が発生し、作業環境の劣悪な職場となってしまう。このため、メンテナンス費用が非常に嵩むという問題がある。
【0011】
本発明は、上記の問題点に着目してなされ、電動サーボモータで、クランク軸やエキセン軸などの偏心軸による回転機構、または回転駆動とリンク機構とを介してスライドを駆動する電動サーボプレスにおいて、大型のプレスによることなく、容易に深絞り加工ができる加圧加工方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
本発明の目的を達成するために、第1発明は、電動サーボプレスの加圧加工方法において、電動サーボモータで、クランク軸やエキセン軸などの偏心軸による回転機構、または回転駆動とリンク機構とを介してスライドを駆動する電動サーボプレスにより、スライドの下死点に対応する前記偏心軸の角度を挟んで偏心軸を複数回往復動させて、スライドを複数回昇降させる加圧加工方法であって、前記下死点に対応する偏心軸の角度を挟む偏心軸の往動と復動のそれぞれの加圧前に、スライドのダイハイトを調整するダイハイト調整手段によりダイハイトを所定量ずつ下げ、このスライドの往復動を繰り返すことで、スライドの追込み加圧を行う加圧加工方法としている。
【0013】
第1発明によると、電動サーボモータ駆動のエキセンプレスまたはリンクプレスを用いての加工の際に、下死点に対応する偏心軸角度を挟んで偏心軸を複数回往復動させるとき、その往動および復動のそれぞれの加圧前に、ダイハイト調整手段によりダイハイトを所定量ずつ下方に調整して、スライドを所定距離ずつ下方に追込み、追込んだ毎にスライドを往動または復動させる。これにより、エキセンプレスまたはリンクプレス等のように、スライドの下死点近傍でのみ大きな荷重をかけられるプレスを用いた追込み加圧ができるので、次の効果が得られる。
【0014】
常に、下死点付近の最大荷重で(つまり、プレスの最大負荷能力で)、ダイハイト調整手段のアジャスト量だけ絞り続けることができるので、仕事量の大きな加圧加工(高仕事量加工)が可能となる。従って、従来困難視されていた機械プレスでの深絞り加工を、比較的許容仕事量の小さい電動サーボプレスによってでも行うことができる。
また、従来の電動サーボ式のエキセンプレスまたはリンクプレスの機械構造のまま、簡易な制御機器および制御ソフトの追加のみで、深絞り機能を付加することが可能となり、機械の多機能性が増し、その結果生産性を向上できる。
【0015】
第2発明は、電動サーボプレスの加圧加工方法において、電動サーボモータで、クランク軸やエキセン軸などの偏心軸による回転機構、または回転駆動とリンク機構とを介してスライドを駆動する電動サーボプレスにより、スライドを所定上限位置と下死点手前付近に設けた所定下限位置との間で複数回往復動させる加圧加工方法であって、前記所定上限位置からの往動のそれぞれの加圧前に、スライドのダイハイトを調整するダイハイト調整手段によりダイハイトを所定量ずつ下げ、このスライドの往復動を繰り返すことで、スライドの追込み加圧を行う加圧加工方法としている。
【0016】
第2発明によると、電動サーボモータ駆動のエキセンプレスまたはリンクプレスを用いての加工の際に、上限位置と下死点手前付近に設けた下限位置との間で複数回往復動させるとき、上限位置からの往動のそれぞれの加圧前に、ダイハイト調整手段によりダイハイトを所定量ずつ下方に調整して、スライドを所定距離ずつ下方に追込み、この後スライドを往復動させるようにした。これにより、エキセンプレスまたはリンクプレス等のように、スライドの下死点近傍でのみ大きな荷重をかけられるプレスを用いた追込み加圧ができるので、第1発明と同様な効果が得られる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施形態を、図1〜図6を参照して詳細に説明する。
ここで、図1は、本発明に係るプレスの下死点を挟んで往復動する追込み加圧の説明図であり、図2は本発明に係るプレスの上下限間を往復動する追込み加圧の説明図であり、図3は本発明に係る電動サーボプレスの基本モーションの説明図である。また、図4、図5はそれぞれ本発明が適用される電動サーボプレスの側面一部断面図および背面一部断面図であり、図6は本発明に係る電動サーボプレスの制御構成ブロック図である。
【0018】
先ず、図4、図5を参照して、本発明が適用される電動サーボプレスの機械構成について説明する。ここでは、ダイハイト調節装置を有し、電動サーボモータで回転機構とトグルリンク機構を介してスライドを駆動する電動サーボプレスの例を挙げて説明する。
電動サーボプレス1の本体フレーム2の略中央部には、電動サーボモータ21により駆動されるスライド3が上下動自在に支承されており、このスライド3に対向する下部には、ベッド4上に取付けられたボルスタ5が配設されている。またスライド3の上部に形成された穴内には、ダイハイト調節用のねじ軸7の本体部が抜け止めされた状態で回動自在に挿入されている。ねじ軸7のねじ部7aは上方に向けてスライド3から露出し、ねじ軸7の上方に設けたプランジャ11の下部の雌ねじ部に螺合している。
【0019】
ねじ軸7の本体部外周にはウォームギヤ8のウォームホイール8aが装着されており、このウォームホイール8aに噛合したウォーム8bはスライド3の背面部に取付けたインダクションモータ9の出力軸にギヤ9aを介して連結されている。インダクションモータ9は、軸方向長さを短くしてフラット形状に、コンパクトに設けられている。
そして、これらインダクションモータ9、ギヤ9a、ウォーム8b、ウォームホイール8a、ねじ軸7およびプランジャ11によりダイハイトの調整を行なうダイハイト調節装置18(ダイハイト調整手段)が構成されている。
【0020】
前記プランジャ11の上部は、第1リンク12aの一端部とピン11aにより回動自在に連結されており、この第1リンク12aの他端部と、本体フレーム2に一端部が回動自在に連結されている第2リンク12bの他端部との間には、三軸リンク13の一側に設けた2つの連結孔がピン14a,14bにより回動自在に連結されている。三軸リンク13の他側の連結孔は、スライド駆動部20の偏心軸28に回動自在に連結されている。これら第1リンク12a、第2リンク12bおよび三軸リンク13により、トグルリンク機構を構成している。
【0021】
本体フレーム2の側面部にはスライド駆動用の電動サーボモータ21が軸心をプレス左右方向に向けて取付けられており、該電動サーボモータ21の出力軸に取付けた第1プーリ22aと、電動サーボモータ21の上方に軸心をプレス左右方向に向けて回動自在に設けている中間シャフト24に取付けた第2プーリ22bとの間にはベルト23(通常はタイミングベルトで構成される)が巻装されている。また、中間シャフト24の上方の本体フレーム2には駆動軸27が回動自在に支承されており、駆動軸27の一端側に取付けたギヤ26は中間シャフト24に取付けたギヤ25と噛合している。そして、駆動軸27の軸方向中間部には偏心軸28が形成されており、この偏心軸28の外周部に前記三軸リンク13の他側が回動自在に連結されている。
【0022】
また、スライド3内には前記ねじ軸7の下端面部との間に密閉された油室6が形成されており、この油室6はスライド3内に形成されている油路6aを経由して切換弁16に接続されている。切換弁16は、油室6内への操作油の給排を切り換えるものである。切換弁16を通して油室6内に給油された操作油は、プレス加工時には、油室6内に閉塞され、加圧時の押圧力を油室6内の油を介してスライド3に伝達するようにしている。スライド3に過負荷が加わり、油室6内の油圧が所定の値を越えると油が図示しないリリーフ弁からタンクへ戻され、スライド3が所定量クッションし、スライド3および金型が破損しないようになっている。
【0023】
また、スライド3の背面部には、上下2箇所から本体フレーム2の側面部に向けて突出した1対のブラケット31,31が取付けてあり、上下1対のブラケット31,31間に位置検出ロッド32が取付けられている。この位置検出ロッド32には、位置検出用のスケール部が設けられており、リニアスケール等のスライド位置センサ33の本体部が上下動自在に嵌挿している。このスライド位置センサ33は、本体フレーム2の側面部に設けられている補助フレーム34にその脚部を固定されている。また、この補助フレーム34は上下方向に縦長に形成されており、下部がボルト35によりベッド近傍の本体フレーム2側面部に取付けられ、上部が図示しない上下方向長孔内に挿入されたボルト36により上下方向摺動自在に支持され、側部が前後1対の支持部材37,37により当接、支持されている。
【0024】
補助フレーム34は、上下いずれか一側(本例では下側)のみを本体フレーム2に固定し、他側を上下動自在にして支持する構造としているため、本体フレーム2の温度変化による伸縮の影響を受けないようになっている。これにより、前記スライド位置センサ33は、本体フレーム2の温度変化による伸縮の影響を受けずに、スライド位置及びダイハイトを正確に検出可能としている。
【0025】
次に、本発明に係る制御装置について説明する。図6は本発明に係る制御装置のハード構成ブロック図であり、この図により制御構成を説明する。
本制御装置は制御器10、モーション設定手段17、メモリ10a、スライド位置センサ33、サーボアンプ45およびスライド駆動用の電動サーボモータ21を備えている。
モーション設定手段17はスライドモーションを設定可能となっており、スライドストローク長さ及びスライドストローク数(SPM) を設定するためのテンキー等のスイッチ、または予め設定されたスライドモーションデータを記憶したICカード等の外部記憶媒体からのデータ入力装置を有している。なお、無線や通信回線を介してデータを送受信する通信装置により構成してもよい。
【0026】
メモリ10aは上記設定されたスライドモーションデータ(ストローク長さ及びストローク数等)を記憶すると共に、スライド制御のためのモータ回転角度とスライド位置との関係データを記憶している。このモータ回転角度とスライド位置との関係データは、前記トグルリンク機構の各リンク12a,12b,13の長さ、偏心軸28の偏心長さ、および偏心軸28の回転中心位置とトグルリンクとの関係などの機械的寸法によって決まる関数式で求まるものであり、この関数式自体を記憶してもよいし、または関数式をテーブルデータとして記憶してもよい。
【0027】
前記スライド位置センサ33は、検出したスライド位置を制御器10に出力している。
制御器10はコンピュータ装置やPLC(プログラマブルロジックコントローラ、所謂プログラマブルシーケンサである)等の高速演算装置から構成されている。制御器10は、前記メモリ10aに記憶したモータ回転角度とスライド位置との関係データを参照して、前記モーション設定手段17により設定されたスライドストローク長さ及びスライドストローク数のデータに基づいて、スライドが前記設定されたモーションに沿って移動するように、電動サーボモータ21の速度指令を求めてサーボアンプ45に出力する。
【0028】
サーボアンプ45には、図示しないサーボモータ回転角度センサからのモータ回転角度がフィードバックされている。サーボアンプ45は、制御器10からの速度指令とこのモータ回転角度から求まる速度フィードバック信号との偏差値を演算し、求めた偏差値に基づき、該偏差値を小さくするように電動サーボモータ21を制御する。これにより、スライドの位置および速度が精度良く制御される。
【0029】
次に、本発明の第1実施形態につき説明する。
第1実施形態は、前述の電動サーボプレス1で、ダイハイトを所定量ずつ毎回下げつつ、スライド3の下死点を挟んで電動サーボモータ21を往復駆動する追込み加圧の加工方法である。
先ず、本発明に係るサーボ式リンクプレスの基本スライドモーションの説明図である図3を参照して、第1実施形態の、スライド下死点に対応する位置をはさんで偏心軸28を正逆回転で往復駆動する基本の(通常の)スライドモーションにつき説明する。
【0030】
図3において、横軸は偏芯軸28の回転角度θを、また縦軸はスライド3の位置を表わしている。またここで、スライドモーションの下死点に対応する偏心軸28の回転角度をθd(通常、180度より大きい)と呼び、上死点に対応する偏心軸28の回転角度をθu(通常、360度より小さい)と呼ぶ。第1実施形態では、スライド3は、この角度θdからマイナス方向(以下、逆転方向と言う)に所定角度θ1離れた回転角度に対応するU1位置と、プラス方向(以下、正転方向と言う)に所定角度θ2離れた回転角度に対応するU2位置との間で偏心軸28を往復駆動することにより、下死点をはさんで往復駆動される。
【0031】
次に、第1実施形態のスライドモーションにつき、図1を参照して説明する。図1は、前述の電動サーボプレス1(リンクプレス)を採用した、下死点をはさんでの前記基本往復スライドモーション(図3参照)に基づいた、第1実施形態のスライドモーションを表わしており、ここで、横軸は偏芯軸回転角度θを、また縦軸はスライド位置(スライドストローク)を示している。
図1に示すように、スライド3は、前記モーションを基本として、下死点から逆転方向に所定角度θ1離れた角度に対応する上限位置U1を開始位置として、下死点から正転方向に所定角度θ2離れた角度に対応する一方の上限位置と、下死点から逆転方向に所定角度θ3離れた角度に対応する他方の上限位置との間で、下死点をはさんで連続で往復駆動するように、制御される。そしてこの各回の往復動毎に、ダイハイト調節装置18によりダイハイトを所定量ずつ下げ、最大追込み量Mmax に至るまで追込み加圧を行なうようにしている。ここで、下死点と上限位置U1との距離、および下死点と上限位置U2との距離が、それぞれ設定ストローク長さS1、S2に対応する。
【0032】
次に、第1実施形態の追込み加圧のスライド動作を、図1を参照して説明する。その第1実施形態の追込み加圧動作は、次の手順で行われる。
(I)先ず、予め前記モーション設定手段17により下死点通過往復動追込加圧制御モードを設定しておく。尚、この下死点通過往復動追込加圧制御モードとは、図1に示すように、スライド位置U1を起点として、下死点を挟んで所定のスライド位置U2からUnまでの往動と復動との間に、ダイハイト調整手段によりダイハイトを所定量Mずつ下げて、この往復動を繰り返すことで、電動サーボプレスで追込み加圧を行なう制御モードである。
【0033】
(II)次に、この下死点通過往復動追込加圧制御モードによるスライド制御、すなわち、ダイハイト調整手段によりダイハイトを所定量Mずつ下げて、下死点を挟んだ往復動を繰り返すことで製品の追込み加圧加工を行なう。
このときの制御器10の制御処理手順は、以下の通りである。プレスを運転起動させて、図1に示すスライド往復動作により、プレスの上金型と下金型との間で製品の加圧加工を行なう。この際、スライド3を前記設定されたモーションに沿って移動させるため、前記制御器10は、前記メモリ10aに記憶したモータ回転角度とスライド位置との関係データを参照して、前記モーション設定手段17により設定されたスライドストローク長さ及びスライドストローク数のデータに基づき、スライド3が前記設定されたモーションに沿って移動するように、電動サーボモータ21の速度指令を求めてサーボアンプ45に出力する。そして、この出力により、電動サーボモータ21の速度及び回転位置をそれぞれ制御し、該モータ21の出力軸と機械的に連結した回転偏芯軸28を回転駆動して、前述のトグルリンク機構を介して上下運動に変換し、スライド3の昇降動作が行われる。なお、前記モータ速度指令は、前記スライドモーションに基づくスライド位置目標値と、スライド位置センサ33により検出したスライド位置との偏差値を小さくするように、該求めた偏差値に基づき演算されるものである。
【0034】
(III)最後に、加圧加工完了後、スライド3を、最終の下死点位置CnからストロークS1だけ上昇させた位置U1'に戻す。そしてその後、ダイハイト調節装置によりダイハイト調整量を、スライドの毎回追込みの累計分、つまり加工開始時点の元の値に戻すことにより、スライド3を前記位置U1'から最初の加工開始位置U1に上昇、復帰させ、次加工の準備をする。
また、全製品加工が完了すれば、スライド3を上記位置U1から所定の待機位置Aに戻す。
【0035】
ここで、前記(II)の第1実施形態の追込み加圧の動作を、図1を用いて、以下に詳細に説明する。
スライド3のモーションは、予め設定されメモリ10aに記憶された所定のモーションカーブに従い、下記の手順で制御される。
(1)先ず、加工の開始位置U1から下死点を経て第1回目の停止位置U2に至る往路で、加圧動作および高速上昇動作を行う。
スライド3は、起動スイッチの起動信号により、前記待機位置Aから所定位置U1まで急速下降して停止し、この位置U1を加工開始位置とする。ここで、下死点C1から加工開始位置U1までのスライドストロークは、図中S1である。なお、偏心軸28の回転角度において、下死点に対応するその角度θdから所定角度θnだけ離れた角度まで正転方向(または逆転方向)へ回転するときのスライドのストロークを、以降、正転方向(または逆転方向)へ角度θnまでのストロークと略称し、また反対に、前記所定角度θnだけ離れた角度から前記角度θdまで正転方向(または逆転方向)へ回転するときのスライドのストロークを、正転方向(または逆転方向)へ角度θnから角度θdまでのストロークと略称する。
【0036】
次に、押しボタンなどの操作により加工開始指令が出力されると、スライド3が開始位置U1から下降を開始し、往路の加圧開始位置A1までは高速で下降し、次いで、前記加圧開始位置A1から加圧完了位置(すなわち、今回の下死点位置であり、以後も同様)C1までの往路の加圧加工域(正転方向へ角度θ4から角度θdまでのストローク)は、各ワーク種別に対する加工それぞれに最適に制御されたスライド位置及び速度により加圧加工を行なう。そして、加工完了後に、この加圧完了位置C1から停止位置U2まで(正転方向へ角度θ2までのストローク)の往路の戻り(上昇行程)を高速で行う。
【0037】
(2)そして、停止位置U2に到達後スライド3を停止させ、その後ダイハイト調節装置18を作動させて、スライド3を前記停止位置U2から次回の加工開始位置U3まで下降させることにより、所定量Mだけ追込む。
このMの値の設定は、前回の加圧加工時(加圧開始位置A1から加圧完了位置C1までの往路の加圧加工域)のモータ電流の測定値から、電動サーボモータ21の負荷荷重を求め、この求めた負荷荷重とその荷重の発生する下死点からのストローク量との関係に基づき、この加圧加工で電動サーボモータ21が過負荷とならないダイハイト追込み量Mを求めることで行なう。
このダイハイト追込み量Mは、前記のように実ワークの加圧加工時におけるモータ電流の測定値から算出して求めるのではなく、過去の類似製品加工時におけるモータ電流の測定データから割出して設定した値を用いても、何ら差し支えはない。経験的には、ダイハイト追込み量Mの値は、電動サーボモータ21の能力限界荷重に相当するスライドのストロークが6mmであるとすると、その1/2程度の約3mmに設定するのが望ましい。
【0038】
(3)そして次に、加工開始位置U3から第2回目の停止位置U4に至る復路の加圧動作が行われる。
電動サーボモータ21への指令により、スライド3が加工開始位置U3から下降を開始し、復路の加圧開始位置B3までは高速で下降し、次いで、前記加圧開始位置B3から加圧完了位置(下死点位置)C3までの復路の加圧加工域(逆転方向へ角度θ5から角度θdまでのストローク)は、各ワーク種別に対する加工それぞれに最適に制御されたスライド位置及び速度により加圧加工を行なう。そして、加工完了後に、この加圧完了位置C3から停止位置U4まで(逆転方向へ角度θ3までのストローク)の復路の戻りを高速で上昇させる。
なお、このときのスライドの追込み量Mは、加圧開始位置B3から加圧完了位置(下死点位置)C3までの復路の加圧加工域(逆転方向へ角度θ5から角度θdまでのストローク)でのスライドストロークに相当する。
【0039】
(4)そして、停止位置U4で、ダイハイト調節装置18を作動させ、スライド3を前記停止位置U4から次回の加工開始位置U5まで下降させて、所定量Mだけ追込む。なお、この際の所定量Mの設定は、前述のように前回の加圧加工時の測定値から求めてもよい。
【0040】
(5)そして次に、加工開始位置U5から第3回目の停止位置U6に至る往路の加圧動作が行われる。
電動サーボモータ21への指令により、スライド3が加工開始位置U5から下降を開始し、往路の加圧開始位置A5までは高速で下降し、次いで、前記加圧開始位置A5から加圧完了位置(下死点位置)C5までの往路の加圧加工域(正転方向へ角度θ6から角度θdまでのストローク)は、前記同様に最適に制御されたスライド位置及び速度により加圧加工を行なう。そして、加工完了後に、この加圧完了位置C5から停止位置U6まで(正転方向へ角度θ2までのストローク)の往路の戻りを高速で上昇させる。
なお、このときのスライドの追込み量Mは、前記加圧開始位置A5から加圧完了位置(下死点位置)C5までの往路の加圧加工域でのスライドストロークに相当する。
【0041】
(6)そして続いて、停止位置U6で、ダイハイト調節装置18を作動させ、スライド3を前記停止位置U6から次回の加工開始位置U7まで下降させて、所定量Mだけ追込む。そして続いて次に、加工開始位置U7から第4回目の停止位置U8に至る復路の加圧動作を行なう。以下同様に、上記の追込み加圧を繰り返す。
【0042】
(7)所定回数繰り返した後、続いて、加工開始位置Un-2から停止位置Un-1に至る往路の加圧動作を行なう。
スライド3が加工開始位置Un-2から下降を開始し、往路の加圧開始位置An-2までは高速で下降し、次いで、前記加圧開始位置An-2から加圧完了位置(下死点位置)Cn-1までの往路の加圧加工域(正転方向へ角度θ6から角度θdまでのストローク)は、前記同様に最適に制御されたスライド位置及び速度により加圧加工を行なう。そして、加工完了後に、この加圧完了位置Cn-1から停止位置Un-1まで(正転方向へ角度θ2までのストローク)の往路の戻りを高速で上昇させる。
【0043】
(8)そして続いて、停止位置Un-1で、ダイハイト調節装置18を作動させ、スライド3を前記停止位置Un-1から次回の加工開始位置Unまで下降させて、所定量M'だけ追込む。
【0044】
(9)そして次に、加工開始位置Unから停止位置U1'に至る復路の加圧動作を行なう。
スライド3は加工開始位置Unから下降を開始し、復路の加圧開始位置Bnまでは高速で下降し、次いで、前記加圧開始位置Bnから加圧完了位置(下死点位置)Cnまでの復路の加圧加工域(逆転方向へ角度θ5または追込量M'に対応した角度θ5'から角度θdまでのストローク)は、前記同様に最適に制御されたスライド位置及び速度により加圧加工を行なう。そして、スライド3は加工完了後に、この加圧完了位置Cnから停止位置(最初の開始位置に相当)U1'まで(正転方向へ角度θ1までのストローク)高速で上昇し、復路の戻りを終える。
【0045】
以上のように本第1実施形態によれば、電動サーボプレスにおいて、下死点を挟んでの複数回の往復動における1サイクル毎に、ダイハイトを下降方向に突出させてスライドを追込み、この動作を所定の絞り加工深さになるまで繰り返して追込み加圧する方法とした。この方法により、下死点近傍のみでしか最大荷重の出せない、電動サーボモータ駆動によるリンクプレスであっても、この下死点近傍の最大荷重のみを繰返し採用して(すなわち、常に最大負荷能力で加圧し)、スライド3の下面に設けた上金型を下金型へ追込み加圧し、これら上下金型間に挟持した素材の深絞りを行うことができる。よって、小型電動サーボモータの駆動によるリンクプレスにおいても、全ストロークに亘って高負荷荷重を必要とする深絞り加工を容易に行うことが可能となる。
【0046】
次に、本発明の第2実施形態につき説明する。
第2実施形態では、電動サーボモータで回転駆動とリンク機構を介してスライドを駆動する前述のリンクプレスにより、所定の上限位置と下死点付近に設けた所定の下限位置との間で、ダイハイトを所定量ずつ毎回下げつつ、往復動を繰り返すことで行なう、追込み加圧の加工方法を示している。
【0047】
先ず、本発明に係るサーボ式リンクプレスの基本スライドモーションの説明図である図3を参照して、本第2実施形態の、所定の上限位置とスライド下死点付近の下限位置との間で、偏心軸28の正逆回転により往復駆動する、基本の(通常の)スライドモーションにつき説明する。
図3に示すように、第2実施形態では、このリンクプレスの基本スライドモーション線上において、下死点角度θdから逆転方向に所定角度θ1離れた回転角度(図示のスライド位置D1に対応)と、同様にθdから逆転方向に所定の角度θ11(<所定角度θ1)離れた回転角度(すなわち下死点角度θdの近傍で、図示のスライド位置D2に対応)との間で偏心軸28を往復駆動する。即ち、この偏心軸28を正逆回転により往復駆動させ、スライド3を所定の上限位置D1と下死点付近の下限位置D2との間で、往復駆動させる動作を基本とする。
【0048】
次に、第2実施形態のスライドモーションについて、図2を参照して説明する。図2は、前述の電動サーボプレス1(リンクプレス)を採用し、前記基本スライドモーション(図3参照)線上における、所定の上限位置D1と下死点付近の下限位置D2との間でスライド3を往復動させる、第2実施形態のスライドモーションを表わしており、ここで、横軸は偏芯軸28の回転角度θを、また縦軸はスライド位置(スライドストローク)を示している。
【0049】
本実施形態のスライドは、前記モーションを基本として、図2に示すように、下死点から逆転方向に所定角度θ1離れた角度に対応する一方の上限位置D1を開始位置として、下死点から逆転方向に所定角度θ12離れた角度に対応する上限位置と、下死点から逆転方向に所定角度θ11離れた角度に対応する下限位置との間で、連続で往復駆動するようにしている。そしてこの往復動毎に、ダイハイト調節装置18により、ダイハイトを所定量Mずつ下げ、最大追込み量Mmaxに至るまで追込み加圧を行なっている。ここで、下死点と開始位置D1との距離、および下死点と上限位置D2との距離が、それぞれ設定ストローク長さS1、S2に対応する。
【0050】
次に、第2実施形態の追込み加圧のスライド動作を、図2を参照して説明する。その第2実施形態の追込み加圧動作は、次の手順で行なわれる。
(I)先ず、予め前記モーション設定手段17により上下限往復動追込加圧制御モードを設定しておく。尚、この上下限往復動追込加圧制御モードとは、図2に示すように、スライド位置D1を起点として、上限位置D2から下限位置Dnまでの往動と復動との間に、ダイハイト調整手段によりダイハイトを所定量Mずつ下げて、この往復動を繰り返すことで、電動サーボプレスで追込み加圧を行なう制御モードである。
【0051】
(II)次に、この上下限往復動追込加圧制御モードによるスライド制御、すなわち、ダイハイト調整手段によりダイハイトを所定量Mずつ下げて、上下限往復動を繰り返すことで製品の追込み加圧加工を行なう。
このときの制御器10の制御処理手順は、以下の通りである。プレスを運転起動させて、図2に示すスライド往復動作により、プレスの上金型と下金型との間で製品の加圧加工を行なう。この際、スライド3を前記設定されたモーションに沿って移動させるため、第1実施形態と同様に、前記制御器10は、前記メモリ10aに記憶したモータ回転角度とスライド位置との関係データを参照して、前記モーション設定手段17により設定されたスライドストローク長さ及びスライドストローク数のデータに基づき、スライド3が前記設定されたモーションに沿って移動するように、電動サーボモータ21の速度指令を求めてサーボアンプ45に出力する。そして、この出力により、電動サーボモータ21の速度及び回転位置をそれぞれ制御し、該モータ21の出力軸と機械的に連結した回転偏芯軸28を回転駆動して、前述のトグルリンク機構を介して上下運動に変換し、スライド3の昇降動作が行われる。
【0052】
(III)最後に、加圧加工完了後、スライド3を、最終の下死点位置FnからストロークS1だけ上昇させた位置D1'に戻す。そしてその後、ダイハイト調節装置によりダイハイト調整量を、スライドの毎回追込みの累計分、つまり加工開始時点の元の値に戻すことにより、スライド3を前記位置D1'から最初の加工開始位置D1に上昇、復帰させ、次加工の準備をする。
また、全製品加工が完了すれば、スライド3を上記位置D1から所定の待機位置Aに戻す。
【0053】
ここで、前記(II)の本第1実施形態の追込み加圧の動作を、図2を用いて、以下に詳細に説明する。
スライド3のモーションは、予め設定されメモリ10aに記憶された所定のモーションカーブに従い、下記の手順で制御される。
(1)先ず、加工の開始位置D1から第1回目の停止位置D2に至る往路で加圧動作を行い、その後、下限位置D2から上限位置D3までの復路で高速上昇動作を行う。
スライド3は、起動スイッチの起動信号により、前記待機位置Aから所定位置D1まで急速下降して停止し、この位置D1を加工開始位置とする。ここで、下死点F1から加工開始位置D1までのスライドストローク(逆転方向へ角度θ1までのストローク)は、図中S1である。
【0054】
次に、押しボタンなどの操作により加工開始指令が出力されると、スライド3が開始位置D1から下降を開始し、往路の加圧開始位置E1までは高速で下降し、次いで、前記加圧開始位置E1から加圧完了位置の下限位置D2までの往路の加圧加工域(正転方向へ角度θ13から角度θdまでのストロークと、正転方向へ角度θ11から角度θdまでのストロークとの差)は、前述同様に各ワーク種別に対する加工それぞれに最適に制御されたスライド位置及び速度により加圧加工を行い、加工完了後にこの下限位置D2で停止する。その後、この下限位置D2から上限位置D3まで(逆転方向へ角度θ11までのストロークと、逆転方向へ角度θ12までのストロークとの差)の復路の戻り(上昇行程)を高速で行う。
【0055】
(2)そして、上限位置D3でスライド3を停止させ、その後ダイハイト調節装置18を作動させ、スライド3を前記上限位置D3から次回の上限位置(加工開始位置)D4まで下降させて所定量Mだけ追込む。
このMの値の設定は、第1実施形態と同様に前回の加圧加工時(加圧開始位置E1から加圧完了位置D2までの往路の加圧加工域)のモータ電流の測定値から、電動サーボモータ21の負荷荷重を求め、この求めた負荷荷重とその荷重の発生する加圧加工域のストローク量との関係から、この加圧加工で電動サーボモータ21が過負荷とならないダイハイト追込み量Mを求めることで行なう。
このダイハイト追込み量Mは、前記同様に、実ワークの加圧加工時のモータ電流の測定値から算出して求める方法に限定されず、過去の類似製品加工時のモータ電流の測定データから割出して設定しても構わない。経験的には、この際のダイハイト追込み量Mの値は、電動サーボモータ21の能力限界荷重に相当するスライドのストローク量が6mmであるとすると、その1/2程度の約3mmに設定するのが望ましい。
【0056】
(3)そして次に、上限位置D4から第2回目の下限位置D5に至る往路で加圧動作を行い、その後、下限位置D5から上限位置D6までの復路で高速上昇動作を行う。
電動サーボモータ21への指令により、スライド3が上限位置D4から下降を開始し、往路の加圧開始位置E4までは高速で下降し、次いで、前記加圧開始位置E4から加圧完了位置の下限位置D5までの往路の加圧加工域は、前述同様に最適に制御されたスライド位置及び速度により加圧加工を行う。ここで上記加圧加工域は、前記ダイハイト追込み量Mに相当するスライドストロークであり、正転方向へ角度θ14から角度θdまでのストロークと、正転方向へ角度θ11から角度θdまでのストロークとの差である。(以後も同様とする)。その後、加工完了後、下限位置D5で停止し、この下限位置D5から上限位置D6(前記上限位置D4と同じ)までの復路の戻りを高速上昇させる。
【0057】
(4)そして続いて、上限位置D6でスライド3を停止させ、その後ダイハイト調節装置18を作動させ、スライド3を前記上限位置D6から次回の上限位置(加工開始位置)D7まで下降させて所定量Mだけ追込む。そして、この上限位置D7から第3回目の下限位置D8に至る往路の加圧動作を行う。以下同様にして、上記の追込み加圧を繰り返す。
【0058】
(5)そして続いて、上限位置Dn-4から所定回目の下限位置Dn-3に至る往路で加圧動作を行い、その後、下限位置Dn-3から上限位置Dn-2までの復路で高速上昇動作を行う。
すなわち、スライド3が上限位置Dn-4から下降を開始し、往路の加圧開始位置En-4までは高速で下降し、次いで、前記加圧開始位置En-4から加圧完了位置の下限位置Dn-3までの往路の加圧加工域は、前述までと同様に最適に制御されたスライド位置及び速度により加圧加工を行い、加工完了後、下限位置Dn-3で停止し、この下限位置Dn-3から上限位置Dn-2(前記上限位置Dn-4と同じ)までの復路の戻りを、高速上昇させる。
【0059】
(6)そして、上限位置Dn-2でスライド3を停止させ、その後ダイハイト調節装置18を作動させ、スライド3を前記上限位置Dn-2から次回の上限位置(加工開始位置)Dn-1まで下降させて所定量M'だけ追込む。
【0060】
(7)さらに続いて、上限位置Dn-1から下限位置Dnに至る往路で加圧動作を行い、その後、下限位置Dnから停止位置(最初の開始位置に相当)D1'までの復路で高速上昇動作を行う。
この時、スライド3は上限位置Dn-1から下降を開始し、往路の加圧開始位置En-1までは高速で下降し、次いで、前記加圧開始位置En-1から加圧完了位置の下限位置Dnまでの往路の加圧加工域は、前述までと同様に最適に制御されたスライド位置及び速度により加圧加工を行う。そして、スライド3は加圧加工完了後に、下限位置Dnから停止位置D1'まで高速で上昇し、復路の戻りを終える。
【0061】
以上のように本第2実施形態によれば、電動サーボプレスにおいて、上限位置と下限位置との間で複数回の往復動をさせ、その各1往復毎に、ダイハイトを下降方向にシフトさせる調整を行ってスライド3を追込み、この動作を所定の絞り加工深さになるまで繰り返して追込み加圧する方法とした。この方法により、下死点近傍のみでしか最大荷重の出せない、電動サーボモータ駆動によるリンクプレスであっても、この下死点近傍の最大荷重のみを繰返し採用して(すなわち、常に最大負荷能力で加圧し)、スライド3の下面に設けた上金型を下金型へ追込み加圧し、これら上下金型間に挟持した素材の深絞り加工を行うことができる。よって、小型電動サーボモータの駆動によるリンクプレスにおいても、全ストロークに亘って高負荷荷重を必要とする深絞り加工を、容易に行うことが可能となる。
【0062】
ところで、本発明の第1実施形態の往路および復路、および第2実施形態の往路の加圧加工域においては、電動サーボモータ21の負荷トルク(モータトルク)にはトルク制限が掛けられている。このトルク制限値は、成形に必要な目標トルク値以上ではあるが、機械および金型の理想的な保護を行えるよう、モータトルク最大許容値(例えばモータ定格トルクの300%)よりも少なくした値(例えばモータ定格トルクの250%)に設定している。よって、この追込み加圧加工は、正常な運転時にはトルク制限値以下の負荷トルクで行われるので、スライド3が電動サーボモータ21の過負荷異常により停止することはなく、円滑に行われる。
ここで、これらのトルク設定値はあくまで実施の1例であり、本発明の実機への適用時には、必ずしも本実施形態の上記数値に限定されることなく、例えばトライアンドエラー等により最適な数値を設定すべきであるのは言うまでもない。
【0063】
尚、以上の第1実施形態および第2実施形態においては、電動サーボプレスの追込み加圧方法において、電動サーボモータで、回転駆動とリンク機構を介してスライドを駆動するリンクプレスを例にとり説明した。しかしこのプレスは、電動サーボモータで、クランク軸やエキセン軸などの偏心軸による回転機構を介してスライドを駆動するエキセンプレスを用いてもよいのは勿論である。例えばこのエキセンプレスとしては、前述の特許文献1に記載のようなCフレームプレスにおいて、その駆動モータを電動サーボモータとし、スライド位置センサを設けて、スライドをNC制御できる構成としたプレスの1例も考えられる。
【0064】
また、上記実施形態では、ダイハイト調整によるスライド追込みのタイミングを、第1実施形態の場合には下死点を挟んだ往動の完了後で、復動開始前とし、第2実施形態の場合には上限位置に到達後で、往動の下降開始前としているが、これに限定するものではなく、要は次回の加圧加工行程の前であればよい。
【0065】
さらに、ダイハイト調整手段は、前記実施形態に開示したダイハイト調節装置のみに限定されるものではなく、スライドのストローク長さを自動的に調整できる構成、即ちボルスタ高さに対するスライドの下限位置を自動で調整できる構成の装置であれば、その構成は問わない。例えば、ボルスタを所定のストローク範囲で上下方向に移動可能に構成してもよい。
【0066】
また、例えば、スライドのストローク長さを調整できる装置の1例として、プレスの長さ可変型コンロッドの模式図である図7に概略的に示したように、エキセンシャフト203によりコンロッド201を介してスライド204を昇降させるプレスの駆動装置において、このコンロッド長さを可変とする構成が挙げられる。このコンロッド長さを調整可能とする構成としては、図7において、エキセンシャフト203とコンロッド201との間に、その回転中心O4をエキセンシャフト203の回転の中心O3に対し例えばHだけ偏芯させた偏芯リング202を嵌挿し、この偏芯リング202をエキセンシャフト203と自動的に相対回転させるようにしたものである。即ち、このダイハイト調整手段は、前記偏芯リング202の自動的な回転により、前記エキセンシャフト203の回転中心O3と、コンロド201のスライド204への駆着中心O2との距離をアジャスト(最大2Hの範囲内)することでダイハイト調整を行う、コンロッド長さ可変方式の構成となっている。
【0067】
以上説明したように、本発明によれば、次のような特有の効果が得られる。
本発明の追込み加圧の加工方法は、下死点近辺の小ストローク部分のみにしか最大荷重(最大負荷能力)の発生しない電動サーボモータ駆動のエキセンプレスまたはリンクプレスにおいて、その最大荷重部分のみを繰り返し利用して、常に最大荷重で、ダイハイト調整手段の最大アジャスト量まで連続してスライドを追込み、加圧を続けることができる加圧加工方法である。従って、従来その加工が困難視されていた、中小型の電動サーボプレスのような、比較的許容仕事量の小さいプレスにおいても、仕事量の大きな加工(つまり、連続高荷重での長ストローク加工)である深絞り加工が可能となる。
【0068】
また、従来の電動サーボ式のエキセンプレスまたはリンクプレスの機械構造のまま、簡易な制御機器および制御ソフトの追加のみで、深絞り機能を付加することが可能となり、機械側に大幅な改造を加える必要が無いので、極めて容易に、かつ低コストで本発明の実施ができる。
そして、この深絞り機能を付加することにより、従来の電動サーボ式の機械プレスでも、機械の多機能性が増し、その生産性を向上できる。
しかも、この理由から、機械の付加価値が騰がり、商品価値を向上できる。さらに、深絞り加工に際し、電動サーボ式の機械プレスを採用しているので、従来の油圧プレスのような油汚れによる職場環境汚染は全く無く、作業環境を改善できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る追込み加圧加工方法の説明図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る追込み加圧加工方法の説明図である。
【図3】本発明に係る電動サーボプレスの基本モーションの説明図である。
【図4】本発明が適用される電動サーボプレスの側面一部断面図である。
【図5】本発明が適用される電動サーボプレスの背面一部断面図である。
【図6】本発明に係る電動サーボプレスの制御構成ブロック図である。
【図7】本発明に係るダイハイト調整手段の他実施例の模式図である。
【図8】従来技術に係るダイハイト調節装置が設けられたプレスの側面図である。
【符号の説明】
1…電動サーボプレス、2…本体フレーム、3…スライド、4…ベッド、5…ボルスタ、6…油室、7…ねじ軸、7a…ねじ部、8…ウォームギヤ、8a…ウォームホイール、8b…ウォーム、9…インダクションモータ、9a…ギヤ、10…制御器、10a…メモリ、11…プランジャ、11a…ピン、12a…第1リンク、12b…第2リンク、13…三軸リンク、14a,14b…ピン、16…切換弁、17…モーション設定手段、18…ダイハイト調節装置(ダイハイト調整手段)、20…スライド駆動部、21…電動サーボモータ、22a…第1プーリ、22b…第2プーリ、23…ベルト、24…中間シャフト、25…ギヤ、26…ギヤ、27…駆動軸、28…偏心軸、31…ブラケット、32…位置検出ロッド、33…スライド位置センサ、34…補助フレーム、35…ボルト、37…支持部材、45…サーボアンプ、101…プレス機械、101a…本体フレーム、101b…ボルスタ、104…偏芯軸、107…ウォームホイール、108…プランジャ、110…メインギヤ、111…クラッチブレーキ、112…ピニオンギヤ、113…フライホイール、114…モータ、116…コンロッド、118…ねじ軸、118a…ねじ部、120…スライド、124…インダクションモータ、201…コンロッド、202…偏芯リング、203…エキセンシャフト。

Claims (2)

  1. 電動サーボプレスの加圧加工方法において、
    電動サーボモータ(21)で、クランク軸やエキセン軸などの偏心軸(28)による回転機構、または回転駆動とリンク機構とを介してスライド(3)を駆動する電動サーボプレス(1)により、スライド(3)の下死点に対応する前記偏心軸(28)の角度を挟んで偏心軸(28)を複数回往復動させて、スライド(3)を複数回昇降させる加圧加工方法であって、
    前記下死点に対応する偏心軸(28)の角度を挟む偏心軸(28)の往動と復動のそれぞれの加圧前に、スライド(3)のダイハイトを調整するダイハイト調整手段(18)によりダイハイトを所定量ずつ下げ、
    このスライド(3)の往復動を繰り返すことで、スライド(3)の追込み加圧を行う
    ことを特徴とする電動サーボプレスの加圧加工方法。
  2. 電動サーボプレスの加圧加工方法において、
    電動サーボモータ(21)で、クランク軸やエキセン軸などの偏心軸(28)による回転機構、または回転駆動とリンク機構とを介してスライド(3)を駆動する電動サーボプレス(1)により、スライド(3)を所定上限位置と下死点手前付近に設けた所定下限位置との間で複数回往復動させる加圧加工方法であって、
    前記所定上限位置からの往動のそれぞれの加圧前に、スライド(3)のダイハイトを調整するダイハイト調整手段(18)によりダイハイトを所定量ずつ下げ、
    このスライド(3)の往復動を繰り返すことで、スライド(3)の追込み加圧を行う
    ことを特徴とする電動サーボプレスの加圧加工方法。
JP2002343930A 2002-11-27 2002-11-27 電動サーボプレスの加圧加工方法 Expired - Fee Related JP3929391B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002343930A JP3929391B2 (ja) 2002-11-27 2002-11-27 電動サーボプレスの加圧加工方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002343930A JP3929391B2 (ja) 2002-11-27 2002-11-27 電動サーボプレスの加圧加工方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004174559A JP2004174559A (ja) 2004-06-24
JP3929391B2 true JP3929391B2 (ja) 2007-06-13

Family

ID=32705599

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002343930A Expired - Fee Related JP3929391B2 (ja) 2002-11-27 2002-11-27 電動サーボプレスの加圧加工方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3929391B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102004051993B4 (de) * 2004-10-25 2008-11-27 Müller Weingarten AG Antriebssystem einer Umformpresse
JP4032313B2 (ja) 2006-02-16 2008-01-16 好高 青山 プロジェクション溶接用ボルトおよびその溶接方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2004174559A (ja) 2004-06-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TW542783B (en) Slide-driving device in press machine and its driving method
KR20030053011A (ko) 프레스 기계
US10160175B2 (en) Press machine and method for controlling slide of press machine
JP3169247B2 (ja) プレス機械の加圧力自動制御方法とその装置
US20100064907A1 (en) Die changing method of press machine and press machine
JP3929362B2 (ja) サーボプレス、およびそれを用いた加工方法とその制御方法
TW548182B (en) Control method for protection from overload in press machine
US20030200879A1 (en) Die height adjusting device for pressing machine
JP3929391B2 (ja) 電動サーボプレスの加圧加工方法
JP3558679B2 (ja) 板材加工機におけるラム駆動装置
CN112873986A (zh) 一种具有预加速功能的压力机液压拉伸垫
JPS63286297A (ja) プレス、特に粉末材料から寸法どおりのプレス成形品を製造するためのプレスおよびこのプレスの運転方法
TW200400108A (en) Overload protection method of motor in servo press machine
JP2004174562A (ja) 電動サーボプレスの過負荷脱出方法
JP3992600B2 (ja) 電動サーボプレスの機械保護方法
JP2000254799A (ja) プレス機械
JP4046598B2 (ja) 電動サーボプレスの加圧方法
JP4109775B2 (ja) プレス機械
JP3929354B2 (ja) サーボプレスのスライド制御装置およびその制御方法
JP4171435B2 (ja) 機械プレスの制御方法及びその制御装置
JP4584861B2 (ja) シャットハイト調整機構を備えた鍛造プレス
JP7401485B2 (ja) プレス装置およびプレス装置の制御方法
JP4323025B2 (ja) プレスにおける駆動装置
JP3929368B2 (ja) プレス機械のダイハイト検出方法
TWI763528B (zh) 應用伺服馬達於沖壓模墊之預加速參數設計方法及預加速控制方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050712

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20061102

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070306

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070306

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100316

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110316

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120316

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130316

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140316

Year of fee payment: 7

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees