JP3929007B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体 Download PDF

Info

Publication number
JP3929007B2
JP3929007B2 JP18151399A JP18151399A JP3929007B2 JP 3929007 B2 JP3929007 B2 JP 3929007B2 JP 18151399 A JP18151399 A JP 18151399A JP 18151399 A JP18151399 A JP 18151399A JP 3929007 B2 JP3929007 B2 JP 3929007B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
magnetic recording
magnetic
recording medium
acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP18151399A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2001014650A (ja
Inventor
博司 橋本
康志 服部
順義 浅田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Priority to JP18151399A priority Critical patent/JP3929007B2/ja
Publication of JP2001014650A publication Critical patent/JP2001014650A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3929007B2 publication Critical patent/JP3929007B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Paints Or Removers (AREA)
  • Magnetic Record Carriers (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は支持体と磁性層の間に下塗り層を有する磁気記録媒体に関し、特に安定な下塗り層を有し、長期保存特性が優れた磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
オーディオ用、ビデオ用、コンピュータ用などのテープ状磁気記録媒体及びフロッピーディスクなどのディスク状磁気記録媒体としてγ酸化鉄、Co含有酸化鉄、酸化クロム、強磁性金属微粉末などの強磁性微粉末を結合剤中に分散させた磁性層を非磁性支持体上に設けた磁気記録媒体が用いられている。磁気記録媒体に用いられている非磁性支持体としては一般にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどが用いられている。これらの支持体は延伸し高度に結晶化されているため機械的強度が強く耐溶剤性に優れている。
【0003】
強磁性微粉末を結合剤中に分散させた塗布液を非磁性支持体に塗布して得られる磁性層は強磁性微粉末の充填度が高く破断伸びが小さく脆いため下塗り層を設けずに形成された磁性層は機械的な力を加えることにより簡単に破壊され非磁性支持体から剥離することがある。
そこで、非磁性支持体上に下塗り層を設けて、磁性層を非磁性支持体上に強く接着させることが行われている。
【0004】
例えば特許第2809287号公報には、メチルエチルケトンとシクロヘキサノンの混合溶剤への溶解性を規定した極性基含有下塗り樹脂層を設けた磁気記録媒体が記載されており、磁性層塗布溶剤に対する溶出速度を抑えた下塗り樹脂を用い磁性層を塗布する際に下塗り層が磁性層の塗布液の溶剤によって溶解することを防止することが提案されている。
【0005】
また、特開平1−245421号公報には、下塗り層用ポリエステル樹脂として、エチレングリコール、ジエチレングリコールなどとイソフタル酸、テレフタル酸からなるポリエステル樹脂を用いた磁気記録媒体が提案されており、走行性および走行耐久性を改善することができることを記載している。
【0006】
また、特開昭56−87233号公報には、SO3M 基含有ポリエステル樹脂の下塗り剤を用いた磁気記録媒体が提案されており、SO3M 基含有ポリエステル樹脂を用いることによって、磁性層の非磁性支持体への付着強度を大きくした磁気記録媒体が提案されている。
【0007】
一方、磁気記録媒体は、その使用目的に応じて各種の特性が要求されており、記録情報を正確に記録し再生が行われることはもちろん、耐久性、および長期間の保存後も高品質の記録情報が再生可能な磁気記録媒体が要求されている。
特に、S−VHS、8mmビデオ、Hi−8、ディジタルビデオ等の高密度記録用の磁気記録媒体にあっては記録波長が小さくなり、磁気記録媒体に要求される性能も一段と厳しいものとなっている。
こうした下塗り層を形成した磁気記録媒体は、磁気記録特性、走行性、走行耐久性等の面で優れた特性を有するものであるが、長期間保存後の再生信号には、ドロップアウトが生じることがあった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は優れた電磁変換特性、走行耐久性、保存性を有する磁気記録媒体を提供する事を課題とするものであり、特に優れた保存性を有し、長期間保存後にも劣化のない信号を再生することが可能な磁気記録媒体を提供することを課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、非磁性支持体と磁性層との間に下塗り層を設けてなる磁気記録媒体において、前記下塗り層がポリエステル樹脂を含み、該ポリエステル樹脂中に含まれる環状オリゴマー成分がイソフタル酸とエチレングリコールの環状2量体であって、その含有量が1重量%以下である磁気記録媒体である。
磁気記録媒体が最短記録波長1μm以下の磁気記録装置用である前記の磁気記録媒体である。
磁気記録媒体が最短記録波長0.7μm以下の磁気記録装置用である前記の磁気記録媒体である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明は、長期間保存後の磁気記録媒体におけるドロップアウトの増加が、長期間保存後の磁気記録媒体の表面層に存在する物質に起因し、とくに下塗り層として用いたポリエステル中に含まれている環状オリゴマー成分に起因することを見いだしたものである。
【0011】
すなわち、従来のポリエステル樹脂を用いた下塗り層を支持体と磁性層あるいは非磁性層の間に設けた磁気記録媒体では、数年以上の長期間保存した場合には、下塗り層に用いたポリエステル中に含まれている微量成分である環状オリゴマーが、非磁性支持体上に形成した単層あるいは重層構造の磁性層を通過して磁性層表面に移動し、析出して微細な結晶を生成することがあり、この微小な析出物がドロップアウト故障を引き起こすことを見いだしたものである。
そして、このような現象は、特に記録波長が短い高密度記録用の磁気記録媒体において、影響が大きく重大な問題であることを見いだしたものである。
【0012】
本発明は、下塗り剤として用いるポリエステル樹脂中の環状オリゴマーを1重量%以下に抑制することによって長期間保存しても磁性層表面にドロップアウトの原因となる析出物の発生を抑制することが可能であることを見いだしたものである。
【0013】
ポリエステル樹脂中の環状オリゴマーは、ポリエステルの重合過程において生成するが、芳香族ジカルボン酸のなかでもイソフタル酸とエチレングリコールの環状2量体(分子量384)、3量体(分子量576)、4量体(分子量960)、テレフタル酸とエチレングリコールの環状3量体(分子量576)、4量体(960)がポリエステルを重合する際に生成しやすい。
【0014】
これらの環状オリゴマーは線状のオリゴマーと異なりOH基、COOH基などの末端官能基を持たないため塗膜の中で他の素材との反応や相互作用が少ないため移動しやすい。特に分子量の低い2量体は移動しやすく、かつ結晶性も高く磁性層表面で結晶化しやすい。これらの、環状オリゴマーの含有量を減少させることによって磁性層表面に析出しドロップアウトの原因となる物質の量を減少させるものである。
【0015】
本発明の下塗り層用のポリエステル樹脂はジカルボン酸成分とグリコール成分の縮合などによって得られる。ジカルボン酸成分としてはコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、などの脂肪族ジカルボン酸やオルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。
【0016】
グリコール成分としてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、ビスフェノールA、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
これらの中で好ましいのは芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールである。
【0017】
また、環状オリゴマーの生成を抑制するためにはイソフタル酸とエチレングリコールは同時に使用しない方が好ましい。
ポリエステル樹脂の好ましい分子量範囲は重量平均分子量で1万から20万、さらに好ましくは2万から5万である。
ポリエステル樹脂に導入する極性基は−SO3M、−SO4M、−OPO(OM)2、−PO(OM)2、−COOMなどが用いられる。これらのなかでも好ましくは、−SO3Naである。
また、極性基の好ましい含有量は1×10-6eq/g〜4×10-4eq/gである。
【0018】
そして、本発明の下塗り層に用いられるポリエステル樹脂は環状オリゴマーの含有率が1重量%以下のものであることが好ましい。更に好ましくは環状オリゴマーの含有量は0.5重量%以下である。
環状オリゴマーを1重量%以下にするためにはポリエステルを重合する段階で環状オリゴマーの発生を抑制しても良いし、重合後のポリエステル樹脂から環状オリゴマーを除去しても良い。
重合段階で環状オリゴマーの発生を抑制するには重合条件を穏やかな条件すなわち低温で行うことが考えられる。また環状オリゴマーを生成しやすいモノマー成分の含有率を下げても良い。
【0019】
例えば、ジカルボン酸成分ではイソフタル酸、テレフタル酸が、またグリコール成分ではエチレングリコールが環状オリゴマーを生成しやすいモノマー物質である。特に、イソフタル酸とエチレングリコールの2量体あるいは3量体、テレフタル酸とエチレングリコールの3量体などが生成しやすいのでこれらのモノマー組成比を調整することでも環状オリゴマーの生成を抑制することができる。
【0020】
重合後のポリエステルから環状オリゴマーを除去するにはポリエステルのガラス転移温度(Tg)以上の温度で一定時間熱処理し環状オリゴマーを昇華させたり、超臨界流体抽出によってポリエステルのペレットから環状オリゴマーを抽出除去してもよい。また限外濾過によって環状オリゴマーを分離抽出することもできる。
【0021】
例えば、重合後のポリエステル樹脂を、抽出槽中において超臨界流体と接触して、低分子成分を抽出除去することができる。
超臨界流体としては、温度および圧力がともに臨界点を超えた超臨界状態のものに限らず、温度圧力の少なくともいずれか一方が臨界点近傍にあって、臨界点を超えていない、一般には亜臨界状態と称される状態の流体も用いることができる。また、使用可能な超臨界流体には、二酸化炭素、六フッ化イオウ、エタン、プロパン、ジクロロジフルオロメタン、アンモニア、ブタン、エチルメチルエーテル、ジクロロテトラフルオロエタン、ジクロロフルオロメタン等が挙げられるが、とくに二酸化炭素が好ましく、臨界点が0℃〜200℃のものを使用することができるが、好ましくは、10℃〜140℃のものである。さらに好ましくは20℃〜100℃である。また、多成分を含む超臨界流体を使用する場合には、単独の臨界温度が上記の温度範囲を超えるものであっても、二酸化炭素、もしくは少なくとも一種以上の極性溶媒を含むものを用いることができる。
【0022】
超臨界流体として使用する二酸化炭素は単独で使用しても良いが、少なくとも一種の極性溶媒を混合して使用することが好ましい。
二酸化炭素に混合する極性溶媒は、メタノールを用いることが好ましい。メタノールの量は二酸化炭素の30重量%までの量であり、好ましくは1重量%〜20重量%であり、さらには5重量%〜15重量%が好ましい。
【0023】
また、限外濾過膜を用いた限外濾過によって低分子量成分を除去しても良い。限外濾過膜としては平均孔径が5nmから50nmのものを用いることができる。限外濾過膜で処理する場合、下塗り層用のポリエステル樹脂の粘度が40センチポイズ以下で、ポリエステル樹脂の溶液から透過する溶剤量を補充しながら処理し、ポリエステル樹脂の溶液に含まれる溶剤のうち、最も沸点の低い溶剤の沸点から5℃低い温度以下までに加温しながら処理することが好ましい。
【0024】
また、限外濾過膜の材質は耐溶剤性が必要とされ、特にアルミナ等を主成分とするセラミック製が耐久性を含めて好ましい。また、限外濾過で処理するポリエステル樹脂溶液の粘度は圧損を考慮すると低い方が好ましいが、低い濃度では低分子成分の除去を効率的に行うことができなくなるため実用上なるべく高い濃度で行う必要がある。そのため、ポリエステル樹脂溶液に含まれる溶剤のうち、最も沸点の低い溶剤の沸点より5℃程度低い温度まで加温して行うのが好ましい。また、限外濾過膜により低分子成分が除去されるとき随伴してポリエステル樹脂溶液から除去される溶剤と同量の溶剤を補充しながら処理するのが好ましい。
【0025】
本発明のポリエステル樹脂は支持体として用いられるポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂などとの接着力が高いことが必要であり、また、下塗り層の上に塗布される磁性層、あるいは非磁性層の塗布時に使用される溶剤に侵されないことが必要である。
このためにポリエステルの分子内にスルホン酸基、リン酸基、カルボン酸基、あるいはこれらと塩基とが結合したものなどの極性基を導入し溶剤への溶解性を調製しても良い。
【0026】
また、塗布工程中でのブロッキングを防ぐためにポリエステル樹脂のガラス転位温度Tgは比較的高いことが好ましく、好ましくは50℃以上、更には70℃以上であることが好ましい。
【0027】
本発明の磁気記録媒体に用いることのできる非磁性支持体としては二軸延伸を行ったポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、芳香族ポリアミド、ポリベンズオキシダゾール等の公知のものが使用できる。好ましくはポリエチレンナフタレート、芳香族ポリアミドである。これらの非磁性支持体はあらかじめコロナ放電、プラズマ処理、熱処理、などを行っても良い。また本発明に用いることのできる非磁性支持体は中心線平均表面粗さがカットオフ値0.25mmにおいて0.1〜20nm、好ましくは1〜10nmの範囲という優れた平滑性を有する表面であることが好ましい。また、これらの非磁性支持体は中心線平均表面粗さが小さいだけでなく1μm以上の粗大突起がないことがこのましい。
【0028】
そして、非磁性支持体上に環状オリゴマーを1重量%以下にしたポリエステル樹脂を塗布して下塗り層を形成し、次いで、下塗り層上に非磁性下層または磁性下層を形成した後に磁性層を形成するか、あるいは下塗り層上に直接に磁性層を形成して磁気記録媒体が作製される。
非磁性層、磁性下層、あるいは磁性層は、非磁性粉末、磁性粉末を結合剤中に分散した組成物を塗布することによって形成される。
【0029】
結合剤としてはポリウレタン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、スチレン、アクリロニトリル、メチルメタクリレートなどを共重合したアクリル系樹脂、ニトロセルロースなどのセルロース系樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアルキラール樹脂などから単独あるいは複数の樹脂を混合して用いることができる。
これらの中で好ましいのはポリウレタン樹脂、塩ビ系樹脂、アクリル系樹脂である。
結合剤には磁性体、非磁性粉体の分散性を向上させるためこれらの粉体表面に吸着する官能基(極性基)を持つことが好ましい。好ましい官能基としては−SO3M、−SO4M、−PO(OM)2、−OPO(OM)2 、−COOM、>NSO3M、>NRSO3M、−NR12 、−N+123- などがある。ここでMは水素又はNa、K等のアルカリ金属、Rはアルキレン基、R1、R2、R3 はアルキル基又はヒドロキシアルキル基又は水素、XはCl、Br等のハロゲンである。結合剤中の官能基の量は10μeq/g〜200μeq/gが好ましく、更には30μeq/g〜120μeq/gが好ましい。この範囲を超えても少なくても分散性が低下する。
【0030】
結合剤には吸着官能基のほかにイソシアネート硬化剤と反応して架橋構造を形成し塗膜強度を向上させるために−OH基などの活性水素を持つ官能基を付与することが好ましい。好ましい量は0.1meq/g〜2meq/gである。
結合剤の分子量は重量平均分子量で10000〜200000が好ましく、更に好ましくは20000〜100000である。この範囲より小さいと塗膜強度が不足し耐久性が低下する。大きいと分散性が低下する。
【0031】
好ましい結合剤であるポリウレタン樹脂は例えば「ポリウレタン樹脂ハンドブック」(岩田敬治 編、1986年 日刊工業新聞社)に詳しく記載されているが、通常、長鎖ジオール、短鎖ジオール(鎖延長剤と呼ばれることもある)とジイソシアネート化合物の付加重合によって得られる。長鎖ジオールは分子量500〜5000のポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリエーテルエステルジオール、ポリカーボネートジオール、ポリオレフィンジオールなどが用いられる。この長鎖ポリオールの種類によりポリエステルウレタン、ポリエーテルウレタン、ポリエーテルエステルウレタン、ポリカーボネートウレタン等と呼ばれる。
【0032】
ポリエステルジオールとしてはアジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等の脂肪族二塩基酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族二塩基酸とグリコールとの縮重合によって得られる。グリコール成分としてはエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1、3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールAなどがある。またポリエステルジオールにはこのほかε−カプロラクトン、γ−バレロラクトンなどのラクトンを開環重合したポリカプロラクトンジオール、ポリバレロラクトンジオールなども用いることができる。ポリエステルジオールは耐加水分解性の観点で分岐側鎖をもつもの、芳香族、脂環族の原料から得られるものが好ましい。
【0033】
ポリエーテルジオールとしてはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、やビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールP、水素化ビスフェノールAなどの芳香族グリコールや脂環族ジオールにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドを付加重合したものなどがある。
【0034】
これらの長鎖ジオールは複数の種類のものを併用、混合して用いることもできる。短鎖ジオールとしては上記ポリエステルジオールのグリコール成分に例示したものと同じ化合物群の中から選ぶことができる。また3官能以上の多価アルコール例えばトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどを少量併用すると分岐構造のポリウレタン樹脂が得られ溶液粘度を低下させたり、ポリウレタンの末端のOH基を増やすことでイソシアネート系硬化剤との硬化性を高めることができる。
【0035】
ジイソシアネート化合物としてはMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)、2,4−TDI(トリレンジイソシアネート)、2,6−TDI、1,5−NDI(ナフタレンジイソシアネート)、TODI(トリジンジイソシアネート)、p−フェニレンジイソシアネート、XDI(キシリレンジイソシアネート)などの芳香族ジイソシアネート、トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)、IPDI(イソホロンジイソシアネート)、H6XDI(水素添加キシリレンジイソシアネート)、H12MDI(水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート)などの脂肪族、脂環族ジイソシアネートなどが用いられる。
【0036】
ポリウレタン樹脂中の長鎖ジオール/短鎖ジオール/ジイソシアネートの好ましい組成は(80〜15重量%)/(5〜40重量%)/(15〜50重量%)である。
ポリウレタン樹脂のウレタン基濃度は1meq/g〜5meq/gが好ましい。更には1.5〜4.5である。この範囲より少ないと力学強度が小さく、多すぎると溶液粘度が高く分散性が低下する。
ポリウレタン樹脂のガラス転移温度は0℃〜200℃が好ましく、更には40℃〜160℃である。
この範囲より低いと耐久性が低下し、高すぎるとカレンダー成形性が低下し電磁変換特性が低下する。
ポリウレタン樹脂に前述した吸着官能基(極性基)を導入する方法としては官能基を長鎖ジオールのモノマーの一部に用いる方法、短鎖ジオールの一部に用いる方法やポリウレタンを重合した後、高分子反応で極性基を導入する方法などがある。
【0037】
塩化ビニル系樹脂としては塩化ビニルモノマーに種々のモノマーと共重合したものが用いられる。共重合モノマーとしては酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどの脂肪酸ビニルエステル類、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどのアクリレート、メタクリレート類、アリルメチルエーテル、アリルエチルエーテル、アリルプロピルエーテル、アリルブチルエーテルなどのアルキルアリルエーテル類 その他スチレン、αメチルスチレン、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、エチレン、ブタジエン、アクリルアミド、更に官能基をもつ共重合モノマーとしてビニルアルコール、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、2−ヒドロキシプロピルアリルエーテル、3−ヒドロキシプロピルアリルエーテル、p−ビニルフェノール、マレイン酸、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、ホスホエチル(メタ)アクリレート、スルホエチル(メタ)アクリレート、p−スチレンスルホン酸、及びこれらのNa塩、K塩などが用いられる。なお、(メタ)アクリレートは、アクリレートおよびメタクリレートの少なくともいずれか一方を含有するものを意味する。
【0038】
塩化ビニル系樹脂中の塩化ビニルモノマーの組成は60〜95重量%が好ましい。これより少ないと力学強度が低下し、多すぎると溶剤溶解性が低下し、溶液粘度が高く分散性が低下する。
吸着官能基(極性基)、ポリイソシアネート系硬化剤との硬化性を高めるための官能基の好ましい量は前述したとおりである。これらの官能基の導入方法は上記の官能基含有モノマーを共重合しても良いし、塩化ビニル系樹脂を共重合した後、高分子反応で官能基を導入しても良い。好ましい重合度は200〜600、更に好ましくは240〜450である。この範囲より小さいと力学強度が低下し、高すぎると溶液粘度が高く分散性が低下する。
【0039】
本発明の結合剤を架橋、硬化させ塗膜の力学強度や耐熱性高めるために硬化剤を用いることができる。好ましい硬化剤としてポリイソシアネート化合物がある。ポリイソシアネート化合物は3官能以上のポリイソシアネートが好ましい。具体的にはトリメチロールプロパン(TMP)にTDI(トリレンジイソシアネート)を3モル付加した化合物、TMPにHDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)を3モル付加した化合物、TMPにIPDI(イソホロンジイソシアネート)を3モル付加した化合物、TMPにXDI(キシリレンジイソシアネート)を3モル付加した化合物、などアダクト型ポリイソシアネート化合物、TDIの縮合イソシアヌレート型3量体、TDIの縮合イソシアヌレート5量体、TDIの縮合イソシアヌレート7量体、及びこれらの混合物。HDIのイソシアヌレート型縮合物、IPDIのイソシアヌレート型縮合物。 さらにクルードMDIなどがある。これらの中で好ましいのはTMPにTDIを3モル付加した化合物、TDIのイソシアヌレート型3量体などである。
【0040】
イソシアネート系硬化剤以外に電子線あるいは紫外線などの放射線硬化型の硬化剤を用いても良い。この場合放射線硬化官能基としてアクリロイル基またはメタクリロイル基を分子内に2個以上、好ましくは3個以上有する硬化剤を用いることができる。例えばTMP(トリメチロールプロパン)のトリアクリレート、ペンタエリスリトールのテトラアクリレート、ウレタンアクリレートオリゴマーなどがある。この場合、硬化剤のほかに結合剤にも(メタ)アクリロイル基を導入するのが好ましい。紫外線硬化の場合はこのほかに光増感剤が併用される。
硬化剤は結合剤100重量部に対して0〜80重量部添加するのが好ましい。多すぎると分散性が低下する。
【0041】
本発明の磁気記録媒体に使用される強磁性粉末は、強磁性酸化鉄、コバルト含有強磁性酸化鉄又は強磁性合金粉末でSBET 比表面積が40〜80m2/g 、好ましくは50〜70m2/g である。結晶子サイズは12〜25nm、好ましくは13〜22nmであり、特に好ましくは14〜20nmである。長軸長は0.05〜0.25μmであり、好ましくは0.07〜0.2μmであり、特に好ましくは0.08〜0.15μmである。強磁性金属粉末としてはFe、Ni、Fe−Co、Fe−Ni、Co−Ni、Co−Ni−Fe等が挙げられ、金属成分の20重量%以下の範囲内で、アルミニウム、ケイ素、硫黄、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、銅、亜鉛、イットリウム、モリブデン、ロジウム、パラジウム、金、錫、アンチモン、ホウ素、バリウム、タンタル、タングステン、レニウム、銀、鉛、リン、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、テルル、ビスマスを含む合金を挙げることができる。また、強磁性金属粉末が少量の水、水酸化物または酸化物を含むものなどであってもよい。これらの強磁性粉末の製法は既に公知であり、本発明で用いる強磁性粉末についても公知の方法に従って製造することができる。
強磁性粉末の形状に特に制限はないが、通常は針状、粒状、サイコロ状、米粒状および板状のものなどが使用される。とくに針状の強磁性粉末を使用することが好ましい。
【0042】
上記の樹脂成分、硬化剤および強磁性粉末を、通常磁性層塗布液の調製の際に使用されているメチルエチルケトン、ジオキサン、シクロヘキサノン、酢酸エチル等の溶剤と共に混練分散して磁性塗料とする。混練分散は通常の方法に従って行うことができる。
本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体上に上記した磁性層に用いるポリウレタン樹脂を含む結合剤と非磁性粉末または磁性粉末からなる非磁性下層塗布層、磁性下層塗布層を有していても良い。非磁性粉末には、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物、等の無機化合物から選択することができる。無機化合物としては例えばα化率90〜100%のα−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、コランダム、窒化珪素、チタンカーバイト、酸化チタン、二酸化ケイ素、酸化すず、酸化マグネシウム、酸化タングステン、酸化ジルコニウム、窒化ホウ素、酸化亜鉛、酸化カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二硫化モリブデンなどが単独または組合せで使用できる。特に好ましいのは二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、硫酸バリウムであり、さらに好ましいのは二酸化チタンである。これら非磁性粉末の平均粒径は0.005〜2μmが好ましいが、必要に応じて平均粒径の異なる非磁性粉末を組合せたり、単独の非磁性粉末でも粒径分布を広くして同様の効果をもたせることもできる。とりわけ好ましいのは非磁性粉末の平均粒径は0.01〜0.2μmである。非磁性粉末のpHは6〜9の間が特に好ましい。非磁性粉末の比表面積は1〜100m2/g 、好ましくは5〜50m2/g 、更に好ましくは7〜40m2/g である。非磁性粉末の結晶子サイズは0.01μm〜2μmが好ましい。DBPを用いた吸油量は5〜100ml/100g、好ましくは10〜80ml/100g、更に好ましくは20〜60ml/100gである。比重は1〜12、好ましくは3〜6である。形状は針状、球状、多面体状、板状のいずれでも良い。
【0043】
これらの非磁性粉末の表面にはAl23、SiO2 、TiO2 、ZrO2 、SnO2 、Sb23、ZnOで表面処理することが好ましい。特に分散性に好ましいのはAl23、SiO2 、TiO2 、ZrO2 、であるが、更に好ましいのはAl2 3 、SiO2 、ZrO2 である。これらは組合せて使用しても良いし、単独で用いることもできる。また、目的に応じて共沈させた表面処理層を用いても良いし、先ずアルミナで処理した後にその表層をシリカで処理する方法、またはその逆の方法を採ることもできる。また、表面処理層は目的に応じて多孔質層にしても構わないが、均質で密である方が一般には好ましい。
【0044】
下層塗布層に用いることが可能な磁性粉末としては、γ−Fe23、Co変性γ−Fe23、α−Feを主成分とする合金、CrO2 等が用いられる。特に、Co変性γ−Fe23が好ましい。本発明の下層に用いられる強磁性粉末は上層磁性層に用いられる強磁性粉末と同様な組成、性能が好ましい。ただし、目的に応じて、上下層で性能を変化させることは公知の通りである。例えば、長波長記録特性を向上させるためには、下層磁性層のHcは上層磁性層のそれより低く設定することが望ましく、また、下層磁性層のBrを上層磁性層のそれより高くすることが有効である。それ以外にも、公知の重層構成をとることによる利点を付与させることができる。
【0045】
本発明の磁性層あるいは下層塗布層に使用されるその他の添加剤としては潤滑効果、帯電防止効果、分散効果、可塑効果、などを持つものが使用される。二硫化モリブデン、二硫化タングステン、グラフアイト、窒化ホウ素、フッ化黒鉛、シリコーンオイル、極性基を持つシリコーン、脂肪酸変性シリコーン、フッ素含有シリコーン、フッ素含有アルコール、フッ素含有エステル、ポリオレフィン、ポリグリコール、アルキルリン酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、アルキル硫酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、ポリフェニルエーテル、フッ素含有アルキル硫酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、炭素数10〜24の不飽和結合を含んでも、また分岐していても良い一塩基性脂肪酸、および、これらの金属塩(Li、Na、K、Cuなど)または、炭素数12〜22の不飽和結合を含んでも、また分岐していても良い一価、二価、三価、四価、五価、六価アルコール、炭素数12〜22の不飽和結合を含んでも、また分岐していても良いアルコキシアルコール、炭素数10〜24の不飽和結合を含んでも、また分岐していても良い一塩基性脂肪酸と炭素数2〜12の不飽和結合を含んでも、また分岐していても良い一価、二価、三価、四価、五価、六価アルコールのいずれか一つとからなるモノ脂肪酸エステルまたはジ脂肪酸エステルまたはトリ脂肪酸エステル、アルキレンオキシド重合物のモノアルキルエーテルの脂肪酸エステル、炭素数2〜22の脂肪酸アミド、炭素数8〜22の脂肪族アミン、などが使用できる。これらの具体例としてはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ステアリン酸ブチル、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エライジン酸、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸アミル、ステアリン酸イソオクチル、ミリスチン酸オクチル、ステアリン酸ブトキシエチル、アンヒドロソルビタンモノステアレート、アンヒドロソルビタンジステアレート、アンヒドロソルビタントリステアレート、オレイルアルコール、ラウリルアルコールがあげられる。
【0046】
また、アルキレンオキサイド系、グリセリン系、グリシドール系、アルキルフエノールエチレンオキサイド付加体、等のノニオン界面活性剤、環状アミン、エステルアミド、第四級アンモニウム塩類、ヒダントイン誘導体、複素環類、ホスホニウムまたはスルホニウム類、等のカチオン系界面活性剤、カルボン酸、スルホン酸、リン酸、硫酸エステル基、リン酸エステル基、などの酸性基を含むアニオン界面活性剤、アミノ酸類、アミノスルホン酸類、アミノアルコールの硫酸またはリン酸エステル類、アルキルベダイン型、等の両性界面活性剤等も使用できる。これらの界面活性剤については、「界面活性剤便覧」(産業図書株式会社発行)に詳細に記載されている。これらの潤滑剤、帯電防止剤等は必ずしも純粋ではなく、主成分以外に異性体、未反応物、副反応物、分解物、酸化物、等の不純分が含まれてもかまわない。これらの不純分は30重量%以下が好ましく、さらに好ましくは10重量%以下である。
【0047】
本発明で使用されるこれらの潤滑剤、界面活性剤は非磁性層、磁性層でその種類、量を必要に応じ使い分けることができる。例えば、非磁性層、磁性層で融点の異なる脂肪酸を用い表面へのにじみ出しを制御する、沸点や極性の異なるエステル類を用い表面へのにじみ出しを制御する、界面活性剤量を調節することで塗布の安定性を向上させる、潤滑剤の添加量を非磁性層で多くして潤滑効果を向上させるなどが考えられ、無論ここに示した例のみに限られるものではない。また本発明で用いられる添加剤のすべてまたはその一部は、磁性層あるいは下層用の塗布液の製造時のいずれの工程で添加してもよい。例えば、混練工程前に強磁性粉末と混合する場合、強磁性粉末と結合剤と溶剤による混練工程で添加する場合、分散工程で添加する場合、分散後に添加する場合、塗布直前に添加する場合などがある。
【0048】
本発明で使用されるこれら潤滑剤としては、具体的には日本油脂製:NAA−102、ヒマシ油硬化脂肪酸、NAA−42、カチオンSA、ナイミーンL−201、ノニオンE−208、アノンBF、アノンLG、ブチルステアレート、ブチルラウレート、エルカ酸、関東化学製:オレイン酸、竹本油脂製:FAL−205、FAL−123、新日本理化製:エヌジエルブOL、信越化学製:TA−3,ライオンアーマー社製:アーマイドP、ライオン社製、デュオミンTDO、日清製油製:BA−41G、三洋化成製:プロフアン2012E,ニューポールPE61,イオネットMS−400などがあげられる。
【0049】
以上の材料により調製した塗布液を非磁性支持体上に塗布して下層塗布層あるいは磁性層を形成する。
本発明の磁気記録媒体の製造方法は、例えば、走行下にある非磁性支持体の表面に磁性層塗布液を好ましくは磁性層の乾燥後の層厚が0.05〜5μmの範囲内、より好ましくは0.07〜1μmになるように塗布する。ここで複数の磁性層塗布液を逐次あるいは同時に重層塗布してもよく、下層塗布液と磁性層塗布液とを逐次あるいは同時に重層塗布してもよい。
上記磁性塗布液もしくは下層塗布液を塗布する塗布機としては、エアードクターコート、ブレードコート、ロッドコート、押出しコート、エアナイフコート、スクイズコート、含浸コート、リバースロールコート、トランスファーロールコート、グラビヤコート、キスコート、キャストコート、スプレイコート、スピンコート等が利用できる。 これらについては例えば株式会社総合技術センター発行の「最新コーティング技術」(昭和58年5月31日)を参考にできる。
【0050】
本発明を二層以上の構成の磁気記録媒体に適用する場合、塗布する装置、方法の例として以下のものを提案できる。
(1)磁性層塗布液の塗布で一般的に適用されるグラビア、ロール、ブレード、エクストルージョン等の塗布装置により、まず下層を塗布し、下層が未乾燥の状態のうちに特公平1−46186号公報、特開昭60−238179号公報、特開平2−265672号公報等に開示されているような支持体加圧型エクストルージョン塗布装置により、上層を塗布する。
(2)特開昭63−88080号公報、特開平2−17971号公報、特開平2−265672号公報に開示されているような塗布液通液スリットを2個有する一つの塗布ヘッドにより上下層をほぼ同時に塗布する。
(3)特開平2−174965号公報に開示されているようなバックアップロール付きのエクストルージョン塗布装置により、上下層をほぼ同時に塗布する。
【0051】
本発明で用いる非磁性支持体の磁性塗料が塗布されていない面にバックコート層(バッキング層)が設けられていてもよい。バックコート層は、非磁性支持体の磁性塗料が塗布されていない面に、研磨材、帯電防止剤などの粒状成分と結合剤とを有機溶剤に分散したバックコート層形成塗料を塗布して設けられた層である。粒状成分として各種の無機顔料やカーボンブラックを使用することができ、また結合剤としてはニトロセルロース、フェノキシ樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン等の樹脂を単独またはこれらを混合して使用することができる。
バックコート層に用いるポリウレタン樹脂として本発明のポリウレタン樹脂を用いることによって、さらに耐久性を向上することができる。
なお、非磁性支持体の磁性塗料およびバックコート層形成塗料の塗布面に接着剤層が設けられいてもよい。
【0052】
磁性層塗布液の塗布層は、磁性層塗布液の塗布層中に含まれる強磁性粉末を磁場配向処理を施した後に乾燥される。
このようにして乾燥された後、塗布層に表面平滑化処理を施す。表面平滑化処理には、たとえばスーパーカレンダーロールなどが利用される。表面平滑化処理を行うことにより、乾燥時の溶剤の除去によって生じた空孔が消滅し磁性層中の強磁性粉末の充填率が向上するので、電磁変換特性の高い磁気記録媒体を得ることができる。
カレンダー処理ロールとしてはエポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等の耐熱性プラスチックロールを使用する。また金属ロールで処理することもできる。
【0053】
本発明の磁気記録媒体は、表面の中心線平均粗さが、カットオフ値0.25mmにおいて0.1〜5nm、好ましくは1〜4nmの範囲という極めて優れた平滑性を有する表面であることが高密度記録用の磁気記録媒体として好ましい。
その方法として、例えば上述したように特定の強磁性粉末と結合剤を選んで形成した磁性層を上記カレンダー処理を施すことにより行われる。カレンダー処理条件としては、カレンダーロールの温度を60〜100℃の範囲、好ましくは70〜100℃の範囲、特に好ましくは80〜100℃の範囲であり、圧力は100〜500kg/cmの範囲であり、好ましくは200〜450kg/cmの範囲であり、特に好ましくは300〜400kg/cmの範囲の条件で作動させることによって行われることが好ましい。
得られた磁気記録媒体は、裁断機などを使用して所望の大きさに裁断して使用することができる。
【0054】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明を説明する。
実施例中の「部」の表示は「重量部」を示す
実施例1〜4、比較例1〜4
(下塗り層用ポリエステル樹脂の製造)
温度計、撹拌機、部分還流式冷却器を備えた反応容器に、表1にモル%で記載のジカルボン酸成分の各ジメチルエステルとグリコール成分を総量800gを仕込み、さらに三酸化アンチモン0.1g、酢酸亜鉛0.15gを加えて40℃から220℃まで昇温させ3時間エステル交換反応させた。更に1時間をかけて1mmHgまで減圧し、更に1時間をかけて0.2mmHgまで減圧して縮合させて下塗り層用のAないしGのポリエステル樹脂の共重合体を得た。
【0055】
得られたポリエステル樹脂の重量平均分子量が1000以下の環状オリゴマー成分の割合を「Mw≦1000」として重量%で示し、イソフタル酸とエチレングリコールからなる環状オリゴマーの2量体の割合を「IPA/EG2量体」として重量%で示した。また、得られたポリエステル樹脂のガラス転位温度および重量平均分子量を、Tg(℃)およびMwで表1に示した。なお重量平均分子量はゲルパーミーエーションクロマトグラフィー(GPC)によって標準ポリスチレンスを基準に測定した値である。
【0056】
(上層用磁性塗料の調製)
強磁性合金粉末A(組成:Fe 100原子%に対して Co 20原子%、Al 9原子%、Y 6原子% Hc:2000Oe、結晶子サイズ15nm、SBET比表面積59m2/g、長軸径0.09μm、針状比7、σs140emu/g)100部 をオープンニーダーで10分間粉砕し、次いで
塩化ビニル/酢酸ビニル/グリシジルメタクリレート/2−ヒドロキシプロピルアリルエーテル=86/5/5/4の共重合体に
ヒドロキシエチルスルホネートナトリウム塩を付加した化合物( SO3Na=6×10-5eq/g、エポキシ=10-3eq/g、重量平均分子量30,000)を7.5部 及びポリウレタン樹脂(SO3Na基7×10-5eq/g含有、末端OH基含有、重量平均分子量40000、ガラス転位温度Tg90℃のポリエステルポリウレタン)5部(固形分)、及びシクロヘキサノン60部を添加して60分間混練し、次いで
アルミナ(粒子サイズ0.3μm) 2部
カーボンブラック(粒子サイズ 40nm) 2部
メチルエチルケトン/トルエン=1/1 200部
を加えてサンドミルで120分間分散した。これに
ポリイソシアネート(日本ポリウレタン製 コロネート3041) 5部(固形分)
ブチルステアレート 2部
ブトキシエチルステアレート 1部
ステアリン酸 1部
オレイン酸 1部
メチルエチルケトン 50部
を加え、さらに20分間撹拌混合したあと、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、上層用磁性塗料を調製した。
【0057】
(下層用非磁性塗料の調製)
酸化チタン(平均粒径0.035μm、結晶型ルチル、TiO2 含有量90%以上、表面処理層;アルミナ、SBET比表面積35〜42m2/g、真比重4.1、pH6.5〜8.0)85部をオープンニーダーで10分間粉砕し、次いで塩化ビニル/酢酸ビニル/グリシジルメタクリレート=86/9/5の共重合体にヒドロキシエチルスルホネートナトリウム塩を付加した化合物(SO3Na=6×10-5eq/g、エポキシ=10-3eq/g、重量平均分子量 30,000)を11部及びスルホン酸含有ポリウレタン樹脂(東洋紡製UR8700)10部(固形分)、及びシクロヘキサノン60部を添加して60分間混練し、次いで
メチルエチルケトン/シクロヘキサノン=6/4 200部
を加えてサンドミルで120分間分散した。
【0058】
これに
ポリイソシアネート(日本ポリウレタン製 コロネート3041) 5部(固形分)
ブトキシエチルステアレート 2部
ステアリン酸 1部
オレイン酸 1部
メチルエチルケトン 50部
を加え、さらに20分間撹拌混合したあと、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、非磁性塗料を調製した。
【0059】
(磁気記録媒体の作製)
次いで、厚さ6μmのポリエチレンテレフタレート支持体の表面に表1のポリエステル樹脂を乾燥厚みが0.1μmになるように塗設し、その上に非磁性塗料を1.0μmに、さらにその直後に磁性塗料を乾燥後の厚さが0.2μmになるように、同時重層塗布した。磁性塗料が塗布された非磁性支持体を、磁性塗料が未乾燥の状態で3000ガウスの磁石で磁場配向を行ない、さらに乾燥後、金属ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロールの組み合せによるカレンダー処理を速度100m/m、線圧300kg/cm、温度90℃で行なった。
これを6.35mm幅に裁断しデジタルビデオテープレコーダ(DVC)用の試料テープの作製し、以下の測定方法によって評価を行いその結果を表2に示す。
【0060】
(測定方法)
(1)50℃90%RH1ヶ月保存によるドロップアウト増加
試料テープにDVC(松下電器製:NV−BJ1)を用いて記録波長0.5μmの信号を記録し再生した。15μs以上の時間、−10dBよりも大きく出力が低下したドロップアウト個数を調べた。
次いで、試料テープを50℃90%RH雰囲気に1ヶ月保存した後、保存前と同様に再生し、同様にドロップアウト個数を調べた。
(2)50℃90%RH1ヶ月保存による磁性層表面の析出物観察
試料テープ表面を光学顕微鏡で観察し、析出物の有無を調べた。
(3)接着力
ガラス板上に両面接着テープ(スリーエム製SPLICING TAPE)の一方の粘着面を貼り付け、他方の粘着面に試料テープの一端の10mmを貼り付けて、180°の方向に剥離する際の荷重を測定して接着力(gf)とした。
【0061】
【表1】
Figure 0003929007
【0062】
表1において、ポリエステル原料は、以下のとおりである。
OPA:オルソフタル酸
IPA:イソフタル酸
TPA:テレフタル酸
SIPA:5−ナトリウムスルホイソフタル酸
APA:アジピン酸
BPA:ビスフェノールA
EG:エチレングリコール
DEG:ジエチレングリコール
TEG:トリエチレングリコール
NPG:ネオペンチルグリコール
【0063】
【表2】
Figure 0003929007
ただし、表2において波長はそれぞれ記録波長を意味する。
【0064】
【発明の効果】
下塗り層のポリエステル樹脂として環状オリゴマーの量が一定の量以下のものを用いたので、保存安定性の高い磁気記録媒体を提供することができ、保存後の磁性層表面の析出物の発生が少なく、保存後のドロップアウトの少ない磁気記録媒体を提供できた。

Claims (3)

  1. 非磁性支持体と磁性層との間に下塗り層を設けてなる磁気記録媒体において、前記下塗り層がポリエステル樹脂を含み、該ポリエステル樹脂中に含まれる環状オリゴマー成分がイソフタル酸とエチレングリコールの環状2量体であって、その含有量が1重量%以下であることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 磁気記録媒体が最短記録波長1μm以下の磁気記録装置用であることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  3. 磁気記録媒体が最短記録波長0.7μm以下の磁気記録装置用であることを特徴とする請求項記載の磁気記録媒体。
JP18151399A 1999-06-28 1999-06-28 磁気記録媒体 Expired - Lifetime JP3929007B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18151399A JP3929007B2 (ja) 1999-06-28 1999-06-28 磁気記録媒体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18151399A JP3929007B2 (ja) 1999-06-28 1999-06-28 磁気記録媒体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001014650A JP2001014650A (ja) 2001-01-19
JP3929007B2 true JP3929007B2 (ja) 2007-06-13

Family

ID=16102083

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP18151399A Expired - Lifetime JP3929007B2 (ja) 1999-06-28 1999-06-28 磁気記録媒体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3929007B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP2001014650A (ja) 2001-01-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4243054B2 (ja) 磁気記録媒体
US7381484B2 (en) Magnetic recording tape
JP2005129184A (ja) 磁気記録媒体
JP3494309B2 (ja) 磁気記録媒体
JPH08293115A (ja) 磁気記録媒体用結合剤および磁気記録媒体
EP1640976B1 (en) Magnetic recording medium
JP3781291B2 (ja) 磁気記録媒体
JPH0969222A (ja) 磁気記録媒体
JP3929007B2 (ja) 磁気記録媒体
JP2009070551A (ja) 磁気記録媒体
JP3900747B2 (ja) 磁気記録媒体
JP3815748B2 (ja) 磁気記録媒体
JP2001014651A (ja) 磁気記録媒体
JP4038416B2 (ja) 磁気記録媒体
JP4321431B2 (ja) 磁気記録媒体
JP2002117528A (ja) 磁気記録媒体
JP4162158B2 (ja) 磁気記録媒体
JP2002117527A (ja) 磁気記録材料
JP2004362714A (ja) 磁気記録媒体
JP2002117526A (ja) 磁気記録媒体
JP2003346324A (ja) 磁気記録媒体
JP4045491B2 (ja) 磁気記録媒体
JP2003257012A (ja) 磁気記録媒体
JP2001023146A (ja) 磁気記録媒体
JP2001338414A (ja) 磁気記録媒体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040802

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20061109

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20061117

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20061206

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070115

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070119

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070302

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070305

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100316

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110316

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110316

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120316

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120316

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130316

Year of fee payment: 6