JP4038416B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents

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JP4038416B2 JP2002276088A JP2002276088A JP4038416B2 JP 4038416 B2 JP4038416 B2 JP 4038416B2 JP 2002276088 A JP2002276088 A JP 2002276088A JP 2002276088 A JP2002276088 A JP 2002276088A JP 4038416 B2 JP4038416 B2 JP 4038416B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた電磁変換特性及び耐久性を有する磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
オーディオ用、ビデオ用、コンピュータ用などのテープ状磁気記録媒体及びフロッピーディスクなどのディスク状磁気記録媒体として、γ−酸化鉄、Co含有酸化鉄、酸化クロム、強磁性金属微粉末などの強磁性微粉末を結合剤中に分散させた磁性層を支持体上に設けた磁気記録媒体が用いられている。磁気記録媒体に用いられている支持体としては、一般にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどが用いられている。これらの支持体は延伸し高度に結晶化されているため機械的強度が強く耐溶剤性に優れている。
【0003】
強磁性微粉末を結合剤中に分散させた塗布液を支持体に塗布して得られる磁性層は、強磁性微粉末の充填度が高く破断伸びが小さく脆いため、機械的な力を加えることにより簡単に破壊され支持体から剥離することがある。そこで、支持体上に下塗り層を設けて、磁性層を支持体上に強く接着させることが行われている。
【0004】
例えば、電子線などの放射線により硬化する官能基をもつ化合物、即ち放射線硬化型化合物として、2官能の脂肪族系化合物を用いて下塗り層を形成した磁気記録媒体が知られている(特許文献1〜4参照)。これらの脂肪族系化合物は硬化後の塗膜のガラス転移温度が高いもので40℃程度であり、下塗り層を塗布した後の塗布工程で粘着故障を起こすことがあるという問題があった。
【0005】
これらの脂肪族系放射線硬化型化合物は、(メタ)アクリロイル官能基を増やすことで粘着故障を防止することが可能である。しかし、多官能化すると硬化収縮が大きくなり平滑な塗膜が得られないことやポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などの支持体との密着力が低くなり、十分な走行耐久性や電磁変換特性が得られないことがある。
【0006】
一方、下塗り層に、環状構造を有する電子線硬化型化合物(特許文献5及び6参照)、フタル酸とポリエ−テルポリオ−ルからなる電子線硬化型化合物(特許文献7参照)を用いた例が知られている。特許文献6では、ジイソシアネ−ト化合物に電子線硬化官能基とイソシネ−トと反応する基をもつ化合物を反応させたものが用いられている。ジイソシアネ−ト化合物はトリレンジイソシアネ−トなどの芳香環を有するものである。特許文献5及び6に記載の化合物は、硬化後の塗膜が脆くなりやすく、支持体との密着が不十分になり走行時の磁性塗膜が脱落しやすい欠点がある。
また、特許文献7に記載の電子線硬化型化合物は、エステル化合物であるため加水分解する等の保存性での欠点があった。
【0007】
近年、MR(磁気抵抗)を動作原理とする再生ヘッドが提案され、ハードディスク等で使用され始め、また、磁気テープへの応用が提案されている(特許文献8参照)。MRヘッドは誘導型磁気ヘッドに比較して数倍の再生出力が得られ、かつ誘導コイルを用いないため、インピーダンスノイズ等の機器ノイズが大幅に低下し、磁気記録媒体のノイズを下げることで大きなSN比を得ることが可能になってきた。換言すれば従来機器ノイズに隠れていた磁気記録媒体ノイズを小さくすれば良好な記録再生を行うことができ、高密度記録特性を飛躍的に向上させることができることになる。
【0008】
ところがMRヘッドは微小な熱の影響を受けてノイズ(サーマルノイズ)を発生するという問題があり、特に、磁性層表面にある突起に当たるとその影響で突発的に且つ持続してノイズが増大するという問題があり、ディジタル記録の場合エラー補正が不可能なほどの問題を起こすことがある。このサーマルノイズの問題は、記録密度が0.5Gbit/inch2 以上の記録信号を再生するシステムに供される磁気記録媒体において深刻となる。
このようなサーマルノイズを低減するには、磁性層の表面性を制御することが重要であり、そのための好適な手段が望まれていた。
【0009】
【特許文献1】
特開昭60−133529号公報
【特許文献2】
特開昭60−133530号公報
【特許文献3】
特開昭60−150227号公報
【特許文献4】
特開平5−57647号公報
【特許文献5】
特開昭61−13430号公報
【特許文献6】
特開昭58−146023号公報
【特許文献7】
特開昭61−13430号公報
【特許文献8】
特開平8−227517号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、塗膜の塗布工程での故障が少なく、優れた塗膜平滑性、電磁変換特性を有する磁気記録媒体であって、走行耐久性に優れた磁気記録媒体を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、
(1)非磁性支持体上に下塗り層並びに強磁性粉末及び結合剤を含む少なくとも一層の磁性層をこの順に有する磁気記録媒体であって、
前記下塗り層は、下記式1で示される化合物が放射線硬化されたものであることを特徴とする磁気記録媒体
によって達成される。
式1:B1−(A1)n−X1−(A1’)n’−B1’
式中、X1は、
【化1】
Figure 0004038416
であり、
A1は、
【化2】
Figure 0004038416
であり、
A1’は、
【化3】
Figure 0004038416
であり、
B1は、
【化4】
Figure 0004038416
であり、
B1’は、
【化5】
Figure 0004038416
であり、
n及びn’は、それぞれ独立に0〜6である。
【0012】
本発明の磁気記録媒体の好ましい態様は、以下の通りである。
) X1が、
【化44】
Figure 0004038416
である()に記載の磁気記録媒体。
) X1が
【化45】
Figure 0004038416
である()に記載の磁気記録媒体。
) X1が、
【化46】
Figure 0004038416
である()に記載の磁気記録媒体。
) A1が、
【化51】
Figure 0004038416
である()に記載の磁気記録媒体。
) A1が、
【化52】
Figure 0004038416
である()に記載の磁気記録媒体。
) A1’が、
【化53】
Figure 0004038416
である()に記載の磁気記録媒体。
) A1’が、
【化54】
Figure 0004038416
である()に記載の磁気記録媒体。
) B1が、
【化55】
Figure 0004038416
である()に記載の磁気記録媒体。
10) B1が、
【化56】
Figure 0004038416
である()に記載の磁気記録媒体。
11) B1’が、
【化57】
Figure 0004038416
である()に記載の磁気記録媒体。
12) B1’が、
【化58】
Figure 0004038416
である()に記載の磁気記録媒体。
13) 前記磁性層において、原子間力顕微鏡(AFM)で測定される高さで10〜20nmの表面微小突起数が5〜1000個/100μm 2 であることを特徴とする(1)〜(12のいずれかに記載の磁気記録媒体。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の磁気記録媒体は、環状エーテル骨格を有し、かつ分子中に2個以上の放射線硬化官能基を有する化合物、又は環状構造及びエーテル基を有し、かつ分子中に2個以上の放射線硬化官能基を有する化合物(但し、エステル結合を有する芳香族化合物を除く)が放射線硬化されている下塗り層を有することを特徴とする。これら化合物は、放射線、例えば、電子線、紫外線などによるエネルギーが与えられると重合乃至架橋して高分子化し、硬化する性質を有する。よって、電子線を照射しない限り、反応が進まないため、この化合物を含む塗布液は、放射線を照射しない限り、粘度が安定しているため、高い塗膜平滑性を得ることができる。また、放射線による高いエネルギーにより、瞬時に反応が進み、高い塗膜強度を得ることができる。上記化合物は、数mPa・s〜200mPa・sと比較的低粘度の放射線硬化型化合物である。よって、この化合物を含む下塗り層を塗布すると、そのレベリング効果により、支持体表面の突起を遮断することができるため、その上に磁性層を塗布することで、塗膜表面の平滑性に優れた磁性層を得ることができる。この効果は、厚み0.05〜2.0μmと比較的薄い磁性層において特に顕著である。また、近年の高記録密度化に伴い使用されているMRヘッドを用いた磁気記録媒体において、ノイズとなりやすい磁性層表面の微小突起を低減できる効果がある。
【0014】
また、上記化合物は、環状構造を有するので、従来下塗り層に使用されていた脂肪族系化合物に比べて、下塗り層の弾性率を向上させることができ、下塗り層塗布後の工程において、ロール等への粘着故障が発生しないという利点もある。更に、環状構造を有することにより、硬化収縮を低減できるため、支持体との密着性を向上させることができるという特徴もある。これにより、磁性層の脱落等の走行耐久性の低下を抑制することができる。
更に、本発明における下塗り層と支持体との密着性の高さは、上記化合物がエーテル基を有することにより、適度な伸性が付与されることにも起因すると考えられる。
また、上記化合物は、エステル基を含まないため、加水分解する等の保存性での問題が生じないという利点もある。
【0015】
上記化合物は、環状エーテル構造を有するジオール化合物や環状構造及びエーテル基を有するジオール化合物に、アクリル酸やメタクリル酸を反応させて得ることができる。
環状エーテル構造を有するジオール化合物としては、例えば、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン、ジオキシン、ジオキセン、ジオキソラン等の構造を有するジオール化合物を用いることができる。環状エ−テル構造を有するジオール化合物の具体例としては、テトラヒドロフランジメタノール、テトラヒドロピランジメタノール、1,3ジオキサン2エタノール5エチル5ヒドロキシメチルββジメチル、1,3ジオキソラン2エタノール5エチル5ヒドロキシメチルββジメチル、3,9ビス(1,1ジメチル2ヒドロキシエチル)2,4,8,10テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等が挙げられる。
【0016】
環状構造及びエ−テル基を有するジオール化合物としては、例えば、シクロヘキサン環、ビスフェノール、水素化ビスフェノール、ビフェニル、ビフェニルエーテル等の環構造を有するジオールを重縮合して得られるものや、前記の環状構造を有するジオールにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等を付加したもの等を用いることができる。環状構造を有するジオールの具体例としては、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールS、水素化ビスフェノールS、ビスフェノールF、水素化ビスフェノールF、ビスフェノールP、水素化ビスフェノールP、ジフェニルビスフェノールA、ジフェニルビスフェノールS、ジフェニルビスフェノールF、5,5’(1−メチルエチリデン)ビス−(1、1’ビシクロヘキシル)2オール、4,4’(1−メチルエチリデン)ビス−2メチルシクロヘキサノール、5,5’(1,1’シクロヘキシリデン)ビス−(1,1’ビシクロヘキシル)2オール、5,5’(1,1’シクロヘキルメチレン)ビス−(1,1’ビシクロヘキシル)2オール等が挙げられる。
【0017】
本発明において、環状エーテル骨格を有し、かつ分子中に2個以上の放射線硬化官能基を有する化合物、又は環状構造及びエーテル基を有し、かつ分子中に2個以上の放射線硬化官能基を有する化合物のエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドの付加数は、分子中に2〜6モルであることが好ましい。2モル以上であれば、支持体との密着力が良好であり、6モル以下であれば、得られる下塗り層の弾性率が高く、塗布工程で粘着故障が生じにくい。
【0018】
上記化合物に導入される放射線硬化官能基としては、アクリロイル基やメタクリロイル基を用いることができ、アクリロイル基を用いることが好ましい。前記放射線硬化官能基は、分子中に2個以上含まれる。特に、放射線硬化官能基が、分子中に2個含まれることが好ましい。
【0019】
上記化合物の分子量は、250〜1000であることが好ましく、更に好ましくは250〜500である。分子量が上記範囲内であれば、レベリング効果が高く、高い平滑性を有する磁気記録媒体を得ることができる。
【0020】
本発明において、環状エーテル骨格を有し、かつ分子中に2個以上の放射線硬化官能基を有する化合物としては、B1−(A1)n−X1−(A1’)n’−B1’(式1)で示される化合物を用いることができる。
式1中、X1は、
【化67】
Figure 0004038416
であり、
A1は、
【化68】
Figure 0004038416
であり、
A1’は、
【化69】
Figure 0004038416
であり、
B1は、
【化70】
Figure 0004038416
であり
B1’は、
【化71】
Figure 0004038416
であり、n及びn’は、それぞれ独立に0〜6であり、好ましくは0〜4である。n及びn’が6を超えると、下塗り層の弾性率が低くなり、塗布工程において粘着故障を起こし易い。
【0021】
式1で示される化合物としては、例えば、テトラヒドロフランジメタノールジアクリレート、テトラヒドロピランジメタノールジアクリレート、3,9ビス(1,1ジメチル2ヒドロキシエチル)2,4,8,10テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカンジアクリレート、5エチル2(2ヒドロキシ1,1’ジメチルエチル)5(ヒドロキシメチル)1,3ジオキサンジアクリレート、テトラヒドロフランジメタノールジメタクリレート、テトラヒドロピランジメタノールジメタクリレート、3,9ビス(1,1ジメチル2ヒドロキシエチル)2,4,8,10テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカンジメタクリレート、5エチル2(2ヒドロキシ1,1’ジメチルエチル)5(ヒドロキシメチル)1,3ジオキサンジメタクリレート及びこれらのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。これらの中で好ましいものは、5エチル2(2ヒドロキシ1,1’ジメチルエチル)5(ヒドロキシメチル)1,3ジオキサンジアクリレート、テトラヒドロフランジメタノールジアクリレート、レート、3,9ビス(1,1ジメチル2ヒドロキシエチル)2,4,8,10テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカンジアクリレートである。
【0022】
本発明において、環状構造及びエーテル基を有し、かつ分子中に2個以上の放射線硬化官能基を有する化合物としては、B2−(A2)m−X2−(A2’)m’−B2’(式2)で示される化合物を用いることができる。
式2中、X2は、
【化72】
Figure 0004038416
であり、
A2は、
【化73】
Figure 0004038416
であり、
A2’は、
【化74】
Figure 0004038416
であり、
B2は、
【化75】
Figure 0004038416
であり
B2’は、
【化76】
Figure 0004038416
であり、m及びm’は、それぞれ独立に2〜6であり、好ましくは2〜4である。m及びm’が2未満では、支持体との密着力が不足し、6を超えると、下塗り層の弾性率が低くなり、塗布工程において粘着故障を起こし易い。
【0023】
式2で示される化合物としては、例えば、シクロヘキサンジメタノ−ルエチレンオキサイド付加物ジアクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物ジアクリレ−ト、水素化ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物ジアクリレート、ヒドロキシビフェニルエチレンオキサイド付加物ジアクリレート、ビスフェノールSエチレンオキサイド付加物ジアクリレート、水素化ビスフェノールSエチレンオキサイド付加物ジアクリレート、ビスフェノールFエチレンオキサイド付加物ジアクリレート、水素化ビスフェノールFエチレンオキサイド付加物ジアクリレート、ビスフェノールPエチレンオキサイド付加物ジアクリレート、水素化ビスフェノールPエチレンオキサイド付加物ジアクリレート、ジフェニルビスフェノールAエチレンオキサイド付加物ジアクリレート、ジフェニルビスフェノールSエチレンオキサイド付加物ジアクリレート、ジフェニルビスフェノールFエチレンオキサイド付加物ジアクリレート、5,5’(1−メチルエチリデン)ビス−(1、1’ビシクロヘキシル)2オールエチレンオキサイド付加物ジアクリレート、4,4’(1−メチルエチリデン)ビス−2メチルシクロヘキサノールエチレンオキサイド付加物ジアクリレート、5,5’(1,1’シクロヘキシリデン)ビス−(1,1’ビシクロヘキシル)2オールエチレンオキサイド付加物ジアクリレート、5,5’(1,1’シクロヘキルメチレン)ビス−(1,1’ビシクロヘキシル)2オールエチレンオキサイド付加物ジアクリレート、シクロヘキサンジメタノ−ルプロピレンオキサイド付加物ジアクリレート、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物ジアクリレ−ト、水素化ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物ジアクリレート、ヒドロキシビフェニルプロピレンオキサイド付加物ジアクリレート、ビスフェノールSプロピレンオキサイド付加物ジアクリレート、水素化ビスフェノールSプロピレンオキサイド付加物ジアクリレート、ビスフェノールFプロピレンオキサイド付加物ジアクリレート、水素化ビスフェノールFプロピレンオキサイド付加物ジアクリレート、ビスフェノールPプロピレンオキサイド付加物ジアクリレート、水素化ビスフェノールPプロピレンオキサイド付加物ジアクリレート、ジフェニルビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物ジアクリレート、ジフェニルビスフェノールSプロピレンオキサイド付加物ジアクリレート、ジフェニルビスフェノールFプロピレンオキサイド付加物ジアクリレート、5,5’(1−メチルエチリデン)ビス−(1、1’ビシクロヘキシル)2オールプロピレンオキサイド付加物ジアクリレート、4,4’(1−メチルエチリデン)ビス−2メチルシクロヘキサノールプロピレンオキサイド付加物ジアクリレート、5,5’(1,1’シクロヘキシリデン)ビス−(1,1’ビシクロヘキシル)2オールプロピレンオキサイド付加物ジアクリレート、5,5’(1,1’シクロヘキルメチレン)ビス−(1,1’ビシクロヘキシル)2オールプロピレンオキサイド付加物ジアクリレート、シクロヘキサンジメタノ−ルエチレンオキサイド付加物ジメタクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物ジメタクリレ−ト、水素化ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物ジメタクリレート、ヒドロキシビフェニルエチレンオキサイド付加物ジメタクリレート、ビスフェノールSエチレンオキサイド付加物ジメタクリレート、水素化ビスフェノールSエチレンオキサイド付加物ジメタクリレート、ビスフェノールFエチレンオキサイド付加物ジメタクリレート、水素化ビスフェノールFエチレンオキサイド付加物ジメタクリレート、ビスフェノールPエチレンオキサイド付加物ジメタクリレート、水素化ビスフェノールPエチレンオキサイド付加物ジメタクリレート、ジフェニルビスフェノールAエチレンオキサイド付加物ジメタクリレート、ジフェニルビスフェノールSエチレンオキサイド付加物ジメタクリレート、ジフェニルビスフェノールFエチレンオキサイド付加物ジメタクリレート、5,5’(1−メチルエチリデン)ビス−(1、1’ビシクロヘキシル)2オールエチレンオキサイド付加物ジメタクリレート、4,4’(1−メチルエチリデン)ビス−2メチルシクロヘキサノールエチレンオキサイド付加物ジメタクリレート、5,5’(1,1’シクロヘキシリデン)ビス−(1,1’ビシクロヘキシル)2オールエチレンオキサイド付加物ジメタクリレート、5,5’(1,1’シクロヘキルメチレン)ビス−(1,1’ビシクロヘキシル)2オールエチレンオキサイド付加物ジメタクリレート、シクロヘキサンジメタノ−ルプロピレンオキサイド付加物ジメタクリレート、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物ジメタクリレ−ト、水素化ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物ジメタクリレート、ヒドロキシビフェニルプロピレンオキサイド付加物ジメタクリレート、ビスフェノールSプロピレンオキサイド付加物ジメタクリレート、水素化ビスフェノールSプロピレンオキサイド付加物ジメタクリレート、ビスフェノールFプロピレンオキサイド付加物ジメタクリレート、水素化ビスフェノールFプロピレンオキサイド付加物ジメタクリレート、ビスフェノールPプロピレンオキサイド付加物ジメタクリレート、水素化ビスフェノールPプロピレンオキサイド付加物ジメタクリレート、ジフェニルビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物ジメタクリレート、ジフェニルビスフェノールSプロピレンオキサイド付加物ジメタクリレート、ジフェニルビスフェノールFプロピレンオキサイド付加物ジメタクリレート、5,5’(1−メチルエチリデン)ビス−(1、1’ビシクロヘキシル)2オールプロピレンオキサイド付加物ジメタクリレート、4,4’(1−メチルエチリデン)ビス−2メチルシクロヘキサノールプロピレンオキサイド付加物ジメタクリレート、5,5’(1,1’シクロヘキシリデン)ビス−(1,1’ビシクロヘキシル)2オールプロピレンオキサイド付加物ジメタクリレート、5,5’(1,1’シクロヘキルメチレン)ビス−(1,1’ビシクロヘキシル)2オールプロピレンオキサイド付加物ジメタクリレートが挙げられる。中でも好ましいものは、シクロヘキサンジメタノ−ルエチレンオキサイド付加物ジアクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物ジアクリレ−ト、水素化ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物ジアクリレート、ジヒドロキシビフェニルエチレンオキサイド付加物ジアクリレートである。
【0024】
式1又は式2で示される化合物は、環状エーテルを有するジオール化合物や、環状構造及びエーテル基を有するジオール化合物に、アクリル酸やメタクリル酸を反応させて得ることができる。両末端に導入する置換基は、アクリロイル基であることが好ましい。
【0025】
本発明では、下塗り層において、前記化合物のほかに1官能のアクリレ−ト、メタクリレ−ト化合物を反応性希釈剤として併用することができる。反応性希釈剤は、下塗り剤の物性や下塗り剤の硬化反応を調整する機能を有する。好ましい構造は脂環式炭化水素骨格をもつアクリレ−ト化合物である。具体的な例としては、シクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、イソボニル(メタ)アクリレ−ト、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレ−トを挙げることができる。反応性希釈剤の配合量は、前記化合物100質量部に対して10質量部〜100質量部であることが好ましい。
【0026】
上記の化合物を含む下塗り剤は、必要により溶媒に溶解して用いることができる。下塗り剤の粘度は、25℃において5〜200mPa・sであることが好ましく、更に好ましくは5〜100mPa・sである。上記範囲内の粘度であれば、下塗り層を塗布した後のレベリング効果により、支持体の突起を遮断して、平滑な磁性層を得ることができる。溶媒としては、メチルエチルケトン(MEK)、メタノール、エタノール、トルエン等が好ましい。
【0027】
下塗り剤は、支持体上に塗布、乾燥後に放射線照射され、硬化する。その下塗り層の硬化後のガラス転移温度Tgは、80〜150℃であることが好ましく、更に好ましくは100〜130℃である。80℃以上であれば、塗布工程で粘着故障を起こすことがなく、150℃以下であれば、塗膜強度が高く好ましい。
【0028】
上記下塗り層の厚みは、0.1〜1.0μmであることが好ましく、更に好ましくは0.5〜0.7μmである。0.1μm以上であれば、十分な平滑性を得ることができ、1.0μmであれば、塗膜が乾燥し易く、粘着故障を起こすことがない。
【0029】
本発明の磁気記録媒体において、支持体としては、二軸延伸を行ったポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリアミドイミド、芳香族ポリアミド等の公知のものを使用することができる。好ましくはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミドである。これらの支持体には、あらかじめコロナ放電、プラズマ処理、易接着処理、熱処理などを行ってもよい。支持体の粗さはカットオフ値0.25mmにおいて3〜10nmであることが好ましい。
【0030】
上記支持体上に塗布、乾燥された下塗り層には、放射線が照射され、前記化合物を硬化させる。
本発明において使用される放射線としては、電子線や紫外線を用いることができる。紫外線を使用する場合には、前記の化合物に光重合開始剤を添加することが必要となる。電子線硬化の場合は重合開始剤が不要であり、透過深さも深いので好ましい。
【0031】
電子線加速器としては、スキャニング方式、ダブルスキャニング方式又はカーテンビーム方式を採用することができる。好ましくは、比較的安価で大出力が得られるカーテンビーム方式である。電子線特性としては、加速電圧が30〜1000kVであることが好ましく、より好ましくは50〜300kVであり、吸収線量として0.5〜20Mradであることが好ましく、より好ましくは2〜10Mradである。加速電圧が30kV以上であれば十分なエネルギーの透過量が得られ、1000kV以下であれば重合に使われるエネルギーの効率が高く経済的である。電子線を照射する雰囲気は窒素パージにより酸素濃度を200ppm以下にすることが好ましい。酸素濃度が高いと表面近傍の架橋、硬化反応が阻害される。
【0032】
紫外線光源としては、水銀灯を用いることができる。水銀灯としては、例えば20〜240W/cmのランプを用いることができ、速度0.3m/分〜20m/分で使用することができる。基体と水銀灯との距離は一般に1〜30cmであることが好ましい。
紫外線硬化に用いる光重合開始剤として、光ラジカル重合開始剤を用いることができる。詳細は例えば「新高分子実験学第2巻 第6章 光・放射線重合」(共立出版1995発行、高分子学会編)に記載されている。具体例としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、アントラキノン、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルメチルケタール、ベンジルエチルケタール、ベンゾインイソブチルケトン、ヒドロキシジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−2ジエトキシアセトフェノンなどが挙げられる。芳香族ケトンの混合比率は、放射線硬化化合物100質量部に対し0.5〜20質量部であることが好ましく、より好ましくは2〜15質量部、さらに好ましくは3〜10質量部である。
放射線硬化装置、条件などについては、「UV・EB硬化技術」(株)総合技術センタ−発行)や「低エネルギー電子線照射の応用技術」(2000、(株)シーエムシー発行)などに記載されている公知のものを用いることができる。
【0033】
本発明の磁気記録媒体は、原子間力顕微鏡(AFM)によって測定される高さが10〜20nmである突起数が、磁性層表面100μm2当たり5〜1000個であることが好ましい。上記下塗り層を設けることにより、磁性層表面突起数を上記範囲内に制御することができる。
原子間力顕微鏡(AFM)で測定される高さとは、原子間力顕微鏡にて求められる中心面(平面と磁性層表面の粗さ曲面で囲まれた体積が平面に対し上下で等しくかつ最小になる平面)を基準面とした高さと定義する。
従って、磁性層表面100μm2当たりの高さが10〜20nmの突起数(以下、PNとも記す)とは、この基準面以上の高さが10〜20nmである突起の10μm角当りの総数で突起密度を示す。PNは5〜100個/100μm2であることが更に好ましい。このPNが5以上であれば、摩擦係数が低く、1000個以下であれば、出力が高く、ドロップアウト(DO)個数も少なくなる傾向がある。
【0034】
本発明の磁気記録媒体は、上記下塗り層を形成し、次いで、下塗り層上に非磁性下層または磁性下層を形成した後に磁性層を形成するか、あるいは下塗り層上に直接に磁性層を形成して作製することができる。下塗り層は支持体の少なくとも一方に設けられ、両方に設けることもできる。非磁性層、磁性下層、又は磁性層は、非磁性粉末、磁性粉末を結合剤中に分散した組成物を塗布することによって形成することができる。
【0035】
結合剤としては、ポリウレタン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、スチレン、アクリロニトリル、メチルメタクリレートなどを共重合したアクリル系樹脂、ニトロセルロースなどのセルロース系樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアルキラール樹脂などから単独あるいは複数の樹脂を混合して用いることができる。これらの中で好ましいものは、ポリウレタン樹脂、塩ビ系樹脂、アクリル系樹脂である。結合剤には磁性体、非磁性粉体の分散性を向上させるため、これらの粉体表面に吸着する官能基(極性基)を持つことが好ましい。好ましい官能基としては−SO3M、−SO4M、−PO(OM)2、−OPO(OM)2、−COOM、R12NSO3M、R12NRSO3M、−NR12、−N+123 などが挙げられる。ここでMは水素又はNa、K等のアルカリ金属、Rはアルキレン基、R1、R2、R3はアルキル基又はヒドロキシアルキル基又は水素を表し、R1とR2は一緒になって環を形成してもよい。XはCl、Br等のハロゲンである。結合剤中の官能基の量は10μeq/g〜200μeq/gであることが好ましく、更には30μeq/g〜120μeq/gであることが好ましい。この範囲内であれば、分散性が良好である。
【0036】
結合剤には、吸着官能基のほかにイソシアネート硬化剤と反応して架橋構造を形成し、塗膜強度を向上させるために−OH基などの活性水素を持つ官能基を付与することが好ましい。好ましい量は0.1meq/g〜2meq/gである。結合剤の分子量は質量平均分子量で10000〜200000であることが好ましく、更に好ましくは20000〜100000である。質量平均分子量が10000以上であれば、塗膜強度が高く耐久性が良好である。また、200000以下であれば、分散性が良好である。
【0037】
好ましい結合剤であるポリウレタン樹脂は、例えば「ポリウレタン樹脂ハンドブック」(岩田敬治 編、1986年 日刊工業新聞社)に詳しく記載されており、通常、長鎖ジオール、短鎖ジオール(鎖延長剤と呼ばれることもある)とジイソシアネート化合物との付加重合によって得ることができる。長鎖ジオールとしては、分子量500〜5000のポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリエーテルエステルジオール、ポリカーボネートジオール、ポリオレフィンジオールなどを用いることができる。この長鎖ポリオールの種類によりポリエステルウレタン、ポリエーテルウレタン、ポリエーテルエステルウレタン、ポリカーボネートウレタン等と呼ばれる。
【0038】
ポリエステルジオールは、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等の脂肪族二塩基酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族二塩基酸とグリコールとの縮重合によって得ることができる。グリコール成分としてはエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1、3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールAなどを用いることができる。またポリエステルジオールには、このほかε−カプロラクトン、γ−バレロラクトンなどのラクトンを開環重合したポリカプロラクトンジオール、ポリバレロラクトンジオールなども用いることができる。ポリエステルジオールは耐加水分解性の観点で分岐側鎖をもつもの、芳香族、脂環族の原料から得られるものであることが好ましい。
【0039】
ポリエーテルジオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、やビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールP、水素化ビスフェノールAなどの芳香族グリコールや脂環族ジオールにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドを付加重合したものなどを用いることができる。
【0040】
これらの長鎖ジオールは、複数の種類のものを併用、混合して用いることもできる。短鎖ジオールとしては、上記ポリエステルジオールのグリコール成分に例示したものと同じ化合物群の中から選ぶことができる。また3官能以上の多価アルコール、例えばトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどを少量併用すると分岐構造のポリウレタン樹脂が得られ溶液粘度を低下させたり、ポリウレタンの末端のOH基を増やすことでイソシアネート系硬化剤との硬化性を高めることができる。
【0041】
ジイソシアネート化合物としては、MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)、2,4−TDI(トリレンジイソシアネート)、2,6−TDI、1,5−NDI(ナフタレンジイソシアネート)、TODI(トリジンジイソシアネート)、p−フェニレンジイソシアネート、XDI(キシリレンジイソシアネート)などの芳香族ジイソシアネート、トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)、IPDI(イソホロンジイソシアネート)、H6XDI(水素添加キシリレンジイソシアネート)、H12MDI(水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート)などの脂肪族、脂環族ジイソシアネートなどを用いることができる。
【0042】
ポリウレタン樹脂中の長鎖ジオール/短鎖ジオール/ジイソシアネートの好ましい組成は、(80〜15質量%)/(5〜40質量%)/(15〜50質量%)である。ポリウレタン樹脂のウレタン基濃度は1〜5meq/gであることが好ましい。更には1.5〜4.5meq/gであることが好ましい。ウレタン基濃度が1meq/g以上であれば、力学強度が高く、5meq/g以下であれば、溶液粘度が低く分散性が良好である。ポリウレタン樹脂のガラス転移温度は0〜200℃であることが好ましく、更には40〜160℃であることが好ましい。0℃以上であれば耐久性が高く、200℃以下であればカレンダー成形性が良好で電磁変換特性が向上する。ポリウレタン樹脂に前述した吸着官能基(極性基)を導入する方法としては、官能基を長鎖ジオールのモノマーの一部に用いる方法、短鎖ジオールの一部に用いる方法やポリウレタンを重合した後、高分子反応で極性基を導入する方法などがある。
【0043】
塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニルモノマーに種々のモノマーと共重合したものを用いることができる。共重合モノマーとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどの脂肪酸ビニルエステル類、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどのアクリレート、メタクリレート類、アリルメチルエーテル、アリルエチルエーテル、アリルプロピルエーテル、アリルブチルエーテルなどのアルキルアリルエーテル類 その他スチレン、αメチルスチレン、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、エチレン、ブタジエン、アクリルアミド、更に官能基をもつ共重合モノマーとしてビニルアルコール、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、2−ヒドロキシプロピルアリルエーテル、3−ヒドロキシプロピルアリルエーテル、p−ビニルフェノール、マレイン酸、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、ホスホエチル(メタ)アクリレート、スルホエチル(メタ)アクリレート、p−スチレンスルホン酸、及びこれらのNa塩、K塩などを用いることができる。なお、(メタ)アクリレートは、アクリレートおよびメタクリレートの少なくともいずれか一方を含有するものを意味する。
【0044】
塩化ビニル系樹脂中の塩化ビニルモノマーの組成は60〜95質量%であることが好ましい。60質量%以上であれば力学強度が高く、95質量%いかであれば溶剤溶解性が高く、溶液粘度が低く分散性が良好である。吸着官能基(極性基)、ポリイソシアネート系硬化剤との硬化性を高めるための官能基の好ましい量は前述したとおりである。これらの官能基の導入方法は上記の官能基含有モノマーを共重合しても良いし、塩化ビニル系樹脂を共重合した後、高分子反応で官能基を導入しても良い。好ましい重合度は200〜600、更に好ましくは240〜450である。重合度が200以上であれば力学強度が高く、600以下であれば溶液粘度が低く分散性が良好である。
【0045】
本発明において、結合剤を架橋、硬化させ塗膜の力学強度や耐熱性高めるために硬化剤を用いることができる。好ましい硬化剤としてポリイソシアネート化合物が挙げられる。ポリイソシアネート化合物としては、3官能以上のポリイソシアネートが好ましい。具体的にはトリメチロールプロパン(TMP)にTDI(トリレンジイソシアネート)を3モル付加した化合物、TMPにHDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)を3モル付加した化合物、TMPにIPDI(イソホロンジイソシアネート)を3モル付加した化合物、TMPにXDI(キシリレンジイソシアネート)を3モル付加した化合物、などアダクト型ポリイソシアネート化合物、TDIの縮合イソシアヌレート型3量体、TDIの縮合イソシアヌレート5量体、TDIの縮合イソシアヌレート7量体、及びこれらの混合物、HDIのイソシアヌレート型縮合物、IPDIのイソシアヌレート型縮合物、さらにクルードMDIなどが挙げられる。これらの中で好ましいものは、TMPにTDIを3モル付加した化合物、TDIのイソシアヌレート型3量体などである。
【0046】
イソシアネート系硬化剤以外に電子線又は紫外線などの放射線硬化型の硬化剤を用いても良い。この場合、放射線硬化官能基としてアクリロイル基またはメタクリロイル基を分子内に2個以上、好ましくは3個以上有する硬化剤を用いることができる。例えばTMP(トリメチロールプロパン)のトリアクリレート、ペンタエリスリトールのテトラアクリレート、ウレタンアクリレートオリゴマーなどが挙げられる。この場合、硬化剤のほかに結合剤にも(メタ)アクリロイル基を導入することが好ましい。紫外線硬化の場合は、このほかに光増感剤が併用される。硬化剤は結合剤100質量部に対して0〜80質量部添加するのが好ましい。多すぎると分散性が低下する。
【0047】
本発明の磁気記録媒体に使用される強磁性粉末としては、強磁性酸化鉄、コバルト含有強磁性酸化鉄又は強磁性合金粉末を用いることができる。BET法による比表面積(SBET)は、通常、40〜80m2/gであり、好ましくは50〜70m2/gである。結晶子サイズは通常、12〜25nmであり、好ましくは13〜22nmであり、特に好ましくは14〜20nmである。長軸長は通常、0.05〜0.25μmであり、好ましくは0.07〜0.2μmであり、特に好ましくは0.08〜0.15μmである。強磁性金属粉末としては、Fe、Ni、Fe−Co、Fe−Ni、Co−Ni、Co−Ni−Fe等が挙げられ、金属成分の20質量%以下の範囲内で、アルミニウム、ケイ素、硫黄、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、銅、亜鉛、イットリウム、モリブデン、ロジウム、パラジウム、金、錫、アンチモン、ホウ素、バリウム、タンタル、タングステン、レニウム、銀、鉛、リン、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、テルル、ビスマスを含む合金を挙げることができる。また、強磁性金属粉末は、少量の水、水酸化物または酸化物を含むこともできる。これらの強磁性粉末の製法は既に公知であり、本発明で用いる強磁性粉末についても公知の方法に従って製造することができる。強磁性粉末の形状に特に制限はないが、通常は針状、粒状、サイコロ状、米粒状および板状のものなどが使用される。特に針状の強磁性粉末を使用することが好ましい。
【0048】
上記の樹脂成分、硬化剤および強磁性粉末を、通常磁性層塗布液の調製の際に使用されているメチルエチルケトン、ジオキサン、シクロヘキサノン、酢酸エチル等の溶剤と共に混練分散して磁性塗布液を調製することができる。混練分散は通常の方法に従って行うことができる。本発明の磁気記録媒体は、非磁性粉末または磁性粉末を含む非磁性下層塗布層、磁性下層塗布層を有していても良い。非磁性粉末は、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物、等の無機化合物から選択することができる。無機化合物としては例えばα化率90〜100%のα−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、コランダム、窒化珪素、チタンカーバイト、酸化チタン、二酸化ケイ素、酸化すず、酸化マグネシウム、酸化タングステン、酸化ジルコニウム、窒化ホウ素、酸化亜鉛、酸化カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二硫化モリブデンなどを、単独または組合せで使用することができる。特に好ましいものは、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、硫酸バリウムであり、さらに好ましいものは二酸化チタン、酸化鉄である。これら非磁性粉末の平均粒径は0.005〜2μmであることが好ましいが、必要に応じて平均粒径の異なる非磁性粉末を組合せたり、単独の非磁性粉末でも粒径分布を広くして同様の効果をもたせることもできる。とりわけ好ましくは、非磁性粉末の平均粒径は0.01〜0.2μmである。非磁性粉末のpHは6〜9の間が特に好ましい。非磁性粉末の比表面積は通常、1〜100m2/gであり、好ましくは5〜50m2/g、更に好ましくは7〜40m2/gである。非磁性粉末の結晶子サイズは0.01μm〜2μmであることが好ましい。DBPを用いた吸油量は通常、5〜100ml/100gであり、好ましくは10〜80ml/100g、更に好ましくは20〜60ml/100gである。比重は通常、1〜12であり、好ましくは3〜6である。形状は針状、球状、多面体状、板状のいずれでも良い。
【0049】
これらの非磁性粉末の表面には、表面処理が施されてAl23、SiO2、TiO2、ZrO2、SnO2、Sb23、ZnOが存在することが好ましい。特に分散性に好ましいものはAl23、SiO2、TiO2、ZrO2であり、更に好ましいものはAl23、SiO2、ZrO2である。これらは組合せて使用しても良いし、単独で用いることもできる。また、目的に応じて共沈させた表面処理層を用いても良いし、先ずアルミナで処理した後にその表層をシリカで処理する方法、またはその逆の方法を採ることもできる。また、表面処理層は目的に応じて多孔質層にしても構わないが、均質で密である方が一般には好ましい。
【0050】
下層塗布層に用いることが可能な磁性粉末としては、γ−Fe23、Co変性γ−Fe23、α−Feを主成分とする合金、CrO2等が挙げられる。特に、Co変性γ−Fe23が好ましい。本発明において、下層に用いられる強磁性粉末は上層磁性層に用いられる強磁性粉末と異なる組成、性能を有することが好ましい。例えば、長波長記録特性を向上させるためには、下層磁性層のHcは上層磁性層のそれより低く設定することが望ましく、また、下層磁性層のBrを上層磁性層のそれより高くすることが有効である。それ以外にも、公知の重層構成をとることによる利点を付与させることができる。
【0051】
本発明において、磁性層又は下層塗布層に使用されるその他の添加剤としては、潤滑効果、帯電防止効果、分散効果、可塑効果、などを持つものを使用することができる。二硫化モリブデン、二硫化タングステン、グラフアイト、窒化ホウ素、フッ化黒鉛、シリコーンオイル、極性基を持つシリコーン、脂肪酸変性シリコーン、フッ素含有シリコーン、フッ素含有アルコール、フッ素含有エステル、ポリオレフィン、ポリグリコール、アルキルリン酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、アルキル硫酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、ポリフェニルエーテル、フッ素含有アルキル硫酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、炭素数10〜24の不飽和結合を含んでも、また分岐していても良い一塩基性脂肪酸、および、これらの金属塩(Li、Na、K、Cuなど)または、炭素数12〜22の不飽和結合を含んでも、また分岐していても良い一価、二価、三価、四価、五価、六価アルコール、炭素数12〜22の不飽和結合を含んでも、また分岐していても良いアルコキシアルコール、炭素数10〜24の不飽和結合を含んでも、また分岐していても良い一塩基性脂肪酸と炭素数2〜12の不飽和結合を含んでも、また分岐していても良い一価、二価、三価、四価、五価、六価アルコールのいずれか一つとからなるモノ脂肪酸エステルまたはジ脂肪酸エステルまたはトリ脂肪酸エステル、アルキレンオキシド重合物のモノアルキルエーテルの脂肪酸エステル、炭素数2〜22の脂肪酸アミド、炭素数8〜22の脂肪族アミン、などを使用することができる。これらの具体例としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ステアリン酸ブチル、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エライジン酸、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸アミル、ステアリン酸イソオクチル、ミリスチン酸オクチル、ステアリン酸ブトキシエチル、アンヒドロソルビタンモノステアレート、アンヒドロソルビタンジステアレート、アンヒドロソルビタントリステアレート、オレイルアルコール、ラウリルアルコールが挙げられる。
【0052】
また、アルキレンオキサイド系、グリセリン系、グリシドール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加体、等のノニオン界面活性剤、環状アミン、エステルアミド、第四級アンモニウム塩類、ヒダントイン誘導体、複素環類、ホスホニウムまたはスルホニウム類、等のカチオン系界面活性剤、カルボン酸、スルホン酸、リン酸、硫酸エステル基、リン酸エステル基、などの酸性基を含むアニオン界面活性剤、アミノ酸類、アミノスルホン酸類、アミノアルコールの硫酸またはリン酸エステル類、アルキルベダイン型、等の両性界面活性剤等も使用できる。これらの界面活性剤については、「界面活性剤便覧」(産業図書株式会社発行)に詳細に記載されている。これらの潤滑剤、帯電防止剤等は必ずしも純粋ではなく、主成分以外に異性体、未反応物、副反応物、分解物、酸化物、等の不純分が含まれてもかまわない。これらの不純分は30質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは10質量%以下である。
【0053】
本発明で使用されるこれらの潤滑剤、界面活性剤は、非磁性層、磁性層でその種類、量を必要に応じ使い分けることができる。例えば、非磁性層、磁性層で融点の異なる脂肪酸を用い表面へのにじみ出しを制御する、沸点や極性の異なるエステル類を用い表面へのにじみ出しを制御する、界面活性剤量を調節することで塗布の安定性を向上させる、潤滑剤の添加量を非磁性層で多くして潤滑効果を向上させるなどが考えられ、無論ここに示した例のみに限られるものではない。また本発明で用いられる添加剤のすべてまたはその一部は、磁性層又は下層用の塗布液の製造時のいずれの工程で添加してもよい。例えば、混練工程前に強磁性粉末と混合する場合、強磁性粉末と結合剤と溶剤による混練工程で添加する場合、分散工程で添加する場合、分散後に添加する場合、塗布直前に添加する場合などがある。
【0054】
本発明で使用されるこれら潤滑剤としては、具体的には日本油脂製:NAA−102、ヒマシ油硬化脂肪酸、NAA−42、カチオンSA、ナイミーンL−201、ノニオンE−208、アノンBF、アノンLG、ブチルステアレート、ブチルラウレート、エルカ酸、関東化学製:オレイン酸、竹本油脂製:FAL−205、FAL−123、新日本理化製:エヌジェルブOL、信越化学製:TA−3、ライオンアーマー社製:アーマイドP、ライオン社製:デュオミンTDO、日清製油製:BA−41G、三洋化成製:プロフアン2012E、ニューポールPE61、イオネットMS−400などが挙げられる。
【0055】
以上の材料により調製した塗布液を支持体上の下塗り層表面に塗布することにより、下層塗布層又は磁性層を形成することができる。本発明の磁気記録媒体の製造方法は、例えば、走行下にある支持体上の下塗り層表面に磁性層塗布液を磁性層の乾燥後の層厚が0.05μm〜2.0μmの範囲内、より好ましくは0.07〜1μmになるように塗布する。ここで複数の磁性層塗布液を逐次又は同時に重層塗布してもよく、下層塗布液と磁性層塗布液とを逐次又は同時に重層塗布してもよい。上記磁性塗布液又は下層塗布液を塗布する塗布機としては、エアードクターコート、ブレードコート、ロッドコート、押出しコート、エアナイフコート、スクイズコート、含浸コート、リバースロールコート、トランスファーロールコート、グラビヤコート、キスコート、キャストコート、スプレイコート、スピンコート等が利用できる。 これらについては例えば株式会社総合技術センター発行の「最新コーティング技術」(昭和58年5月31日)を参考にすることができる。
【0056】
本発明を下層(非磁性層または磁性層)を有する構成の磁気記録媒体に適用する場合、塗布する装置、方法の例として以下のものを提案できる。
(1)磁性層塗布液の塗布で一般的に適用されるグラビア、ロール、ブレード、エクストルージョン等の塗布装置により、まず下層を塗布し、下層が未乾燥の状態のうちに特公平1−46186号公報、特開昭60−238179号公報、特開平2−265672号公報等に開示されているような支持体加圧型エクストルージョン塗布装置により、上層を塗布する。
(2)特開昭63−88080号公報、特開平2−17971号公報、特開平2−265672号公報に開示されているような塗布液通液スリットを2個有する一つの塗布ヘッドにより上下層をほぼ同時に塗布する。
(3)特開平2−174965号公報に開示されているようなバックアップロール付きのエクストルージョン塗布装置により、上下層をほぼ同時に塗布する。
【0057】
本発明で用いる支持体の磁性塗布液が塗布されていない面にバック層が設けられていてもよい。バック層は、支持体の磁性塗布液が塗布されていない面に、研磨剤、帯電防止剤などの粒状成分と結合剤とを有機溶剤に分散したバック層形成塗料を塗布して設けられた層である。粒状成分として各種の無機顔料やカーボンブラックを使用することができ、また結合剤としてはニトロセルロース、フェノキシ樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン等の樹脂を単独またはこれらを混合して使用することができる。なお、支持体上のバック層形成塗料の塗布面に本発明の下塗り層又は公知の下塗り層が設けられていてもよい。
【0058】
磁性層塗布液の塗布層は、磁性層塗布液の塗布層中に含まれる強磁性粉末に磁場配向処理を施した後に乾燥される。このようにして乾燥された後、塗布層に表面平滑化処理を施すことができる。表面平滑化処理には、例えばスーパーカレンダーロールなどを利用することができる。表面平滑化処理を行うことにより、乾燥時の溶剤の除去によって生じた空孔が消滅し磁性層中の強磁性粉末の充填率が向上するので、電磁変換特性の高い磁気記録媒体を得ることができる。カレンダー処理ロールとしてはエポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等の耐熱性プラスチックロールを使用することができる。また金属ロールで処理することもできる。
【0059】
本発明の磁気記録媒体は、表面の中心線平均粗さが、カットオフ値0.25mmにおいて0.1〜5nm、好ましくは1〜4nmの範囲という極めて優れた平滑性を有する表面であることが高密度記録用の磁気記録媒体として好ましい。その方法として、例えば上述したように特定の強磁性粉末と結合剤を選んで形成した磁性層に、上記カレンダー処理を施すことにより行われる。カレンダー処理条件としては、カレンダーロールの温度が60〜100℃の範囲、好ましくは70〜100℃の範囲、特に好ましくは80〜100℃の範囲、圧力が100〜500kg/cm(98〜490kN/m)の範囲、好ましくは200〜450kg/cm(196〜441kN/m)の範囲、特に好ましくは300〜400kg/cm(294〜392kN/m)の範囲の条件で作動させることによって行われることが好ましい。得られた磁気記録媒体は、裁断機などを使用して所望の大きさに裁断して使用することができる。
【0060】
【実施例】
以下、本発明を具体的に実施例に基づき説明するが、本発明はこれに限定されて解釈されるべきものではない。なお、以下の「部」とは「質量部」のことである。
[実施例1]
強磁性合金粉末(組成:Fe 89atm%、Co 5atm%、Y 6atm%、Hc 159kA/m(2000Oe)、結晶子サイズ 15nm、BET比表面積 59m2/g、長軸径 0.12μm、針状比7、σs 150A・m2/kg(150emu/g))100部をオープンニーダーで10分間粉砕し、次いでSO3Na含有ポリウレタン溶液(固形分30%、SO3Na含量70μeq/g、重量平均分子量4万)を10部(固形分)加え、更にシクロヘキサノン30部を加えで60分間混練した。
次いで
研磨剤 (Al23;粒子サイズ0.3μm) 2部
カーボンブラック (粒子サイズ 40μm) 2部
メチルエチルケトン/トルエン=1/1 200部
を加えてサンドミルで120分間分散した。これに
ポリイソシアネート(日本ポリウレタン製 コロネート3041) 5部
(固形分)
ブチルステアレート 2部
ステアリン酸 1部
メチルエチルケトン 50部
を加え、さらに20分間撹拌混合した後、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、磁性塗布液を調製した。
【0061】
次いで表1に示した化合物を30質量%メチルエチルケトン溶液に調製したものを、乾燥後の厚さが0.5μmになるようにコイルバーを用いて厚さ7μmのポリエチレンテレフタレ−ト支持体の表面に塗布した後、乾燥させ、塗膜表面に加速電圧175kV、ビ−ム電流5mAで吸収線量が5Mradになるように電子線を照射した。
次いで下塗り層の上に、乾燥後の厚さが1.0μmになるように、リバースロールを用いて磁性塗布液を塗布した。塗布された磁性塗布液が未乾燥の状態で0.5T(5000ガウス)のCo磁石と0.4T(4000ガウス)のソレノイド磁石で磁場配向を行い、塗布したものに、金属ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロールの組み合せによるカレンダー処理を、速度100m/min、線圧300kg/cm、温度90℃で行った後、3.8mm幅にスリットした。
【0062】
[実施例2、3及び比較例1〜5]
表1に示した下塗層用化合物を用いて、実施例1と同様の方法で作製した。
【0063】
[実施例
上層用磁性塗布液は実施例1の磁性塗布液を用いた。
下層用非磁性塗布液の調製
α−Fe23(平均粒径 0.15μm、SBET 52m2/g、表面処理 Al23、SiO2、pH 6.5〜8.0)100部をオープンニーダーで10分間粉砕し、次いで塩ビ/酢ビ/グリシジルメタクリレート=86/9/5の共重合体にヒドロキシエチルスルフォネートナトリウム塩を付加した化合物(SO3Na=6×10−5eq/g、エポキシ=10−3eq/g、Mw 30,000)7.5部及びSO3Na含有ポリウレタン溶液(固形分 30%、SO3Na含量 70μeq/g、重量平均分子量 4万)10部(固形分)を加え、更にシクロヘキサノンを30部を加えて60分間混練した。
次いで
メチルエチルケトン/シクロヘキサノン=6/4 200部
を加えてサンドミルで120分間分散した。これに
ポリイソシアネート(日本ポリウレタン製 コロネート3041) 5部(固形分)
ブチルステアレート 2部
ステアリン酸 1部
メチルエチルケトン 50部
を加え、さらに20分間撹拌混合した後、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、下層用塗布液を調製した。
【0064】
次いで表に示した化合物を30質量%メチルエチルケトン溶液に調製したものを乾燥後の厚さが0.5μmになるようにコイルバーを用いて厚さ7μmのポリエチレンテレフタレート支持体の表面に塗布した後、乾燥させ、塗膜表面に加速電圧175kV、ビーム電流5mAで吸収線量が5Mradになるように電子線を照射した。
その後下塗り層の上に下層塗布液を、乾燥後の厚みが1.5μmになるように、さらにその直後に上層磁性塗布液を乾燥後の厚さが0.1μmになるように、リバースロールを用いて同時重層塗布した。磁性塗布液が未乾燥の状態で、0.5T(5000ガウス)のCo磁石と0.4T(4000ガウス)のソレノイド磁石で磁場配向を行い、塗布したものに、金属ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロールの組み合せによるカレンダー処理を、速度100m/min、線圧300kg/cm、温度90℃で行った後3.8mm幅にスリットした。
【0065】
(実施例5〜8、比較例6〜14)
下塗り層化合物及び磁性層厚みを表2に示したように変更した以外は実施例と同様の方法で作製した。
【0066】
測定方法
▲1▼下塗り層の弾性率
東洋精機製引っ張り試験機ストログラフV1Cを用いてロードセル10kgf、引っ張り速度50mm/min、サンプル長50mm、試験環境23℃50%RHで引っ張り試験を行い、弾性率を求めた。
▲2▼微小突起数
Digital Instrument社製NanoscopeIII(AFM:原子間力顕微鏡)を用い、稜角70゜の四角錐のSiN探針を使って10μm平方(100μm2)中の微小突起高さ20nmまで5nmごとに突起数を測定した。
▲3▼電磁変換特性
DDS4ドライブにて4.7MHzの単一周波数信号を最適記録電流で記録し、その再生出力を測定した。比較1の再生出力を0dBとした相対値で示した。▲4▼ドロップアウト個数
23℃70%RH環境下でDDS4ドライブを用いてテ−プを走行させながらドロップアウトカウンタ−で1分間測定し、5sec以上初期出力に対して−5dB低下したものをドロップアウトとし、その個数を調べた。
▲5▼粘着故障
下塗り層を塗布した後、パスロ−ルへの粘着性を目視で判定した。パスロ−ルにはりついたものを「故障あり」、パスロ−ルにはりつかなかったものを「故障なし」とした。
▲6▼保存性
テ−プをリール状態で60℃90%RH環境下に1ヶ月間保存した後、テ−プを巻きほぐした際の粘着性を目視判定した。粘着が見られなかったものを「優秀」、粘着が発生し、巻きほぐすと磁性層が剥離してしまうものを「不良」とした。
【0067】
【表1】
Figure 0004038416
【0068】
【化77】
Figure 0004038416
【0069】
【表2】
Figure 0004038416
【0070】
評価結果
式1で示される化合物を下塗り層に含む実施例1〜8は、いずれも塗膜弾性率及び出力が高く、ドロップアウト個数が少なく、粘着故障もなく、保存性も良好であった。また、磁性層表面の突起数は、いずれも5〜1000個/μm2の範囲内であり、塗膜平滑性も良好であった。
下塗り層に、化合物I〜L(脂肪族系)、又は化合物M(エステル結合を有する芳香族化合物)を含む比較例1〜14は、いずれも実施例に比べて塗膜弾性率及び出力が低く、DO個数が多かった。また、粘着故障が生じ、保存性にも劣っていた。また、磁性層表面の突起数が1000個を超え、塗膜平滑性にも劣っていた。
【0071】
【発明の効果】
本発明により、塗膜平滑性に優れ、高い電磁変換特性を有する磁気記録媒体を提供することができる。本発明の磁気記録媒体は、剥離強度が向上し、ドロップアウトが低減された。また、塗布工程での粘着故障がなく、保存性にも優れている。

Claims (13)

  1. 非磁性支持体上に下塗り層並びに強磁性粉末及び結合剤を含む少なくとも一層の磁性層をこの順に有する磁気記録媒体であって、
    前記下塗り層は、下記式1で示される化合物が放射線硬化されたものであることを特徴とする磁気記録媒体。
    式1:B1−(A1)n−X1−(A1’)n’−B1’
    式中、X1は、
    Figure 0004038416
    であり、
    A1は、
    Figure 0004038416
    であり、
    A1’は、
    Figure 0004038416
    であり、
    B1は、
    Figure 0004038416
    であり、
    B1’は、
    Figure 0004038416
    であり、
    n及びn’は、それぞれ独立に0〜6である。
  2. X1が、
    Figure 0004038416
    である請求項に記載の磁気記録媒体。
  3. X1が
    Figure 0004038416
    である請求項に記載の磁気記録媒体。
  4. X1が、
    Figure 0004038416
    である請求項に記載の磁気記録媒体。
  5. A1が、
    Figure 0004038416
    である請求項に記載の磁気記録媒体。
  6. A1が、
    Figure 0004038416
    である請求項に記載の磁気記録媒体。
  7. A1’が、
    Figure 0004038416
    である請求項に記載の磁気記録媒体。
  8. A1’が、
    Figure 0004038416
    である請求項に記載の磁気記録媒体。
  9. B1が、
    Figure 0004038416
    である請求項に記載の磁気記録媒体。
  10. B1が、
    Figure 0004038416
    である請求項に記載の磁気記録媒体。
  11. B1’が、
    Figure 0004038416
    である請求項に記載の磁気記録媒体。
  12. B1’が、
    Figure 0004038416
    である請求項に記載の磁気記録媒体。
  13. 前記磁性層において、原子間力顕微鏡(AFM)で測定される高さで10〜20nmの表面微小突起数が5〜1000個/100μm 2 であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
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