JP3928256B2 - 放電灯点灯装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、放電灯を高周波点灯させる放電灯点灯装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の放電灯点灯装置としては図28に示すような回路構成を有するものがある。本回路は、フィルタ回路Fを介して入力された交流電源(入力電源)Vsの電源電圧を全波整流する例えばダイオードブリッジからなる整流器DBと、整流器DBの脈流電圧を平滑するコンデンサC1と、コンデンサC1の直流電圧を高周波の交流電圧に変換して、例えば蛍光灯のような放電灯Laを含む負荷回路1に供給するインバータ回路INVとから構成される。インバータ回路INVは、コンデンサC1の両端間に接続されたバイポーラトランジスタからなる一対のスイッチング素子Q1,Q2の直列回路を備えており、直流カット用のコンデンサC3を介してハイサイドのスイッチング素子Q1の両端間に負荷回路1が接続された所謂ハーフブリッジ型のインバータ回路を用いている。また負荷回路1は、一端がスイッチング素子Q1,Q2の接続点に接続されたインダクタL1と、一方のフィラメント電極の電源側端子がインダクタL1の他端に接続されるとともに、他方のフィラメント電極の電源側端子がコンデンサC3に接続される放電灯Laと、放電灯Laの両フィラメント電極の非電源側端子間に接続されたコンデンサC2とから構成される。ここに、コンデンサC2及びインダクタL1から共振回路が構成される。
【0003】
また、スイッチング素子Q1,Q2にはそれぞれ回生用のダイオードD1,D2が逆並列に接続されており、スイッチング素子Q1,Q2は制御回路2から入力される制御信号H0,L0によって交互にオンオフされる。ここで、スイッチング素子Q1,Q2のオンデューティは任意に設定されており、例えば制御回路2は、一方のスイッチング素子Q1(Q2)のオンデューティを略一定とし、他方のスイッチング素子Q2(Q1)のオンデューティを変化させるか、又は、スイッチング素子Q1,Q2の駆動周波数を変化させることによって、製造段階でインバータ回路INVの出力を調整したり、整流器DBの出力電圧やコンデンサC1の直流電圧をフィードバック又はフィードフォワードして、スイッチング素子Q1,Q2のオンデューティを変化させることにより、交流電源Vsの電圧変動を補償したり、スイッチング素子Q1,Q2のオンデューティを変化させることによって調光制御したりしていた。
【0004】
このように、ハーフブリッジ型のインバータ回路INVは制御性が良く、しかもインバータ回路INVを構成する素子の数が少なくコストを低減できるので、放電灯Laの安定器として従来より採用されている。また、インバータ回路INVの出力を大きくする場合、負荷回路1に印加する電圧を高くし、且つ、負荷回路1に流れる電流を下げるためにフルブリッジ型のインバータ回路が用いられ、フルブリッジ型のインバータ回路も上述したハーフブリッジ型のインバータ回路INVと同様に制御性が良いという利点を有している(例えば、特開平4−141995号公報参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記構成の放電灯点灯装置では、一般に蛍光灯のような放電灯の両フィラメント電極間に直流電圧成分を重畳して点灯させると、放電灯の陽極側で輝度が低下する現象が発生する。この現象は、放電灯内の水銀イオンが陰極側に集まることに起因しており、電気泳動現象あるいはカタホリシス現象と呼ばれている(以下、カタホリシス現象という)。
【0006】
従来、このようなカタホリシス現象を防止するためには、放電灯の両フィラメント電極間に交流電圧を印加するのが有効であると考えられてきた。ところが、近年、インバータ回路により放電灯を高周波点灯させる技術が普及してくると、放電灯に高周波交流電圧を印加した場合にもカタホリシス現象が発生することが判明し、このカタホリシス現象は放電灯を点灯させる環境温度が低いほど顕著になることが判明している。
【0007】
本発明は上記問題点に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、カタホリシス現象の発生を抑制した放電灯点灯装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明では、放電灯と、ブリッジ接続され交互にオンオフされる複数のスイッチング素子を有し上記スイッチング素子で入力電源の電源電圧をスイッチングすることにより入力電源の電源電圧を高周波電圧に変換して上記放電灯に供給するインバータ回路と、各スイッチング素子のオンオフを制御する制御信号を各スイッチング素子に夫々出力する制御回路とを備え、上記制御回路が各スイッチング素子に出力する制御信号のオンデューティを異ならせて制御する放電灯点灯装置において、放電灯の両端間に発生する直流電圧成分をカタホリシス現象の発生しない程度まで減少させる直流電圧抑制手段を設け、当該直流電圧抑制手段は、入力電源の電源周期の1周期内で、スイッチング素子のオンデューティが50%よりも大きい期間と、スイッチング素子のオンデューティが50%よりも小さい期間とを設けており、オンデューティが50%よりも大きい期間と50%よりも小さい期間とでは放電灯の両端間に発生する直流電圧成分の極性が異なるので、オンデューティが50%よりも大きい期間に放電灯の両端間に発生する直流電圧成分と、オンデューティが50%よりも小さい期間に放電灯の両端間に発生する直流電圧成分とが相殺され、カタホリシス現象の発生を抑制することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
まず、カタホリシス現象の発生する原因を、図19に示す回路を例にして説明する。尚、上述した図28の回路と同一の構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。本回路では、スイッチング素子Q1,Q2の接続点に一端が接続された直流カット用のコンデンサC3を介して、ローサイドのスイッチング素子Q2の両端間に負荷回路1を接続しており、負荷回路1は、一方のフィラメント電極の電源側端子がコンデンサC3の他端に接続された例えば蛍光灯のような放電灯Laと、放電灯Laの他方のフィラメント電極の電源側端子に一端が接続されると共に、スイッチング素子Q2と整流器DBとの接続点に他端が接続された共振用のインダクタL1と、放電灯Laの両フィラメント電極の非電源側端子間に接続された共振用のコンデンサC2とから構成される。
【0010】
ここで、制御回路2はスイッチング素子Q1,Q2を交互にオンオフしており、スイッチング素子Q1,Q2のオンデューティの比率を50:50に設定した場合の各部の波形を図20(a)〜(d)に示す。スイッチング素子Q1,Q2をオンオフする制御信号H0,L0の波形をそれぞれ図20(a)(b)に示し、放電灯Laに流れるランプ電流I1を図20(c)に示し、放電灯Laに印加されるランプ電圧V1を図20(d)に示す。なお、図20中のT1’はスイッチング素子Q1のオン期間、T2’はスイッチング素子Q2のオン期間、dt1は制御信号H0の立ち下がりから制御信号L0の立ち上がりまでのデッドタイム、dt2は制御信号L0の立ち下がりから制御信号H0の立ち上がりまでのデッドタイム、T1はランプ電流I1及びランプ電圧V1の正の期間(半サイクル)、T2はランプ電流I1及びランプ電圧V1の負の期間(半サイクル)、Tは制御信号H0の周期であり、T=T1+T2=T1’+dt1+T2’+dt2となる。
【0011】
ところで、スイッチング素子Q1,Q2のオンデューティの比率が50:50であれば、スイッチング素子Q1のオン期間T1’とスイッチング素子Q2のオン期間T2’とが略等しくなる(T1’=T2’)。すなわち、ランプ電流I1の正の期間T1と負の期間T2とが略等しくなり(T1=T2)、ランプ電流I1の正のピーク値Ipの大きさと負のピーク値(−Ip)の大きさも略等しくなるので、ランプ電流I1の電流波形は対称的な波形となり、同様にランプ電圧V1の電圧波形も対称的な波形となる。したがって、放電灯La内の水銀イオンが陰極側に集まるようなカタホリシス現象は発生しない。
【0012】
一方、スイッチング素子Q1,Q2のオンデューティを異ならせた場合(即ち、スイッチング素子Q1,Q2のオンデューティの比率が50:50ではなく、アンバランスな場合)の各部の波形を図21(a)〜(d)に示す。ここに、スイッチング素子Q1のオン期間T1’よりもスイッチング素子Q2のオン期間T2’が長い場合(T1’<T2’)、ランプ電流I1が正の期間T1よりも負の期間T2のほうが長くなり(T1<T2)、ランプ電流I1の負のピーク値(−Ip2)の大きさよりも正のピーク値Ip1の大きさの方が大きくなる(Ip1>Ip2)。ただし、直流カット用のコンデンサC3が設けられているので、ランプ電流I1の電流波形が非対称となっても、ランプ電流I1の正の範囲の面積S1と負の範囲の面積S2とは略等しくなる。すなわち、ランプ電流I1の正の期間T1及び負の期間T2にそれぞれ流れる電荷の総量は略等しくなる。一方、ランプ電圧V1の正の期間T1と負の期間T2とでは放電灯Laのランプ等価抵抗が異なるために、ランプ電圧V1の正のピーク値Vp1の大きさと負のピーク値(−Vp2)の大きさとが異なり、そのうえランプ電圧V1の正の範囲の面積S3と負の範囲の面積S4も異なってしまう。すなわち、ランプ電圧V1の正の範囲の面積S3と負の範囲の面積S4とが異なるために、ランプ電圧V1の平均値がゼロとならず、ランプ電圧V1に直流電圧成分(Vdc)が重畳されることになる。このように、スイッチング素子Q1,Q2のオンデューティをアンバランスに制御した場合、放電灯Laのランプ特性(ランプ等価抵抗)によってランプ電圧V1に直流電圧成分(Vdc)が重畳されてしまい、放電灯La内の水銀イオンが陰極側に集中して、陽極側で輝度が低下するカタホリシス現象が発生する。
【0013】
上述のように、カタホリシス現象の要因である放電灯Laのランプ電圧V1に重畳する直流電圧成分Vdcは、放電灯Laのランプ特性(ランプ等価抵抗)に起因しているので、放電灯Laに交流電力のみを供給できるように、例えば図22に示すように絶縁トランスTR1を介して放電灯Laに電力を供給したとしても、ランプ電圧V1に直流電圧成分が重畳して、カタホリシス現象が発生する恐れがある。この回路において、周囲温度が略(−10)℃の低温時に放電灯Laに流れるランプ電流I1と放電灯Laに印加されるランプ電圧V1とを図23に示す。なお、図23に示すランプ電流I1及びランプ電圧V1はそれぞれ直流成分を含んでいる。
【0014】
ここで、ランプ電流I1及びランプ電圧V1の正のピーク(図23の点A)付近及び負のピーク(図23の点B)付近における放電灯Laのランプ等価抵抗Rlaを算出する。図23より、正のピーク付近におけるランプ電圧V1は98V、ランプ電流I1はI1=26.0×200/10=520(mA)であるので、ランプ等価抵抗Rlaは、Rla=98/0.52≒188(Ω)となる。一方、負のピーク付近におけるランプ電圧V1は−148V、ランプ電流I1はI1=−32.0×200/10=−640(mA)であるので、ランプ等価抵抗Rla=148/0.64≒231(Ω)となり、ランプ電圧V1の正負でランプ等価抵抗Rlaが異なっている。
【0015】
次に、低温時において放電灯の両端に重畳する直流電圧成分を求める。図24は交流成分のみのランプ電圧V1’及びランプ電流I1’を示しており、正のピーク付近におけるランプ電圧V1’は106V、ランプ電流I1’は520mAであり、負のピーク付近におけるランプ電圧V1’は−142V、ランプ電流I1’は−640mAである。ここで、直流成分を含むランプ電流I1の正のピーク値(520mA)及び負のピーク値(−640mA)と、交流成分のみのランプ電流I1’の正のピーク値(520mA)及び負のピーク値(−640mA)とは全く同じ値となっており、放電灯Laに流れるランプ電流には直流成分は重畳していない。一方、直流成分を含むランプ電圧V1の正のピーク値(98V)及び負のピーク値(−148V)と、交流成分のみのランプ電圧V1’の正のピーク値(106V)及び負のピーク値(−142V)との間にはそれぞれ数Vの差が発生する。すなわち、直流成分を含むランプ電圧V1は、交流成分のみのランプ電圧V1’よりも、正のピーク値付近で略8V、負のピーク値付近で略6V大きくなっており、この差が放電灯Laの両端に重畳する直流電圧成分となる。
【0016】
ここに、図25は、直流成分を含むランプ電圧V1及びランプ電流I1の測定値と、交流成分のみのランプ電圧V1’及びランプ電流I1’の測定値とを重ね合わせた図であり、上述のように放電灯Laに印加されるランプ電圧には略6〜8V程度の直流電圧が重畳しているので、交流成分のみのランプ電圧V1’の波形は、直流成分を含むランプ電圧V1の波形を図25中の下方に平行移動したような波形となっている。
【0017】
ところで上述の説明では、説明を簡単にするためにランプ電流I1及びランプ電圧V1の1周期について説明を行っているが、より正確をきすためには、放電灯Laの両端間に発生する直流電圧成分を交流電源Vsの半周期を含む期間にわたって測定するのが望ましく、放電灯Laの両端に重畳する直流電圧成分は平均値であるので、直流成分を含むランプ電圧V1の平均値と交流成分のみのランプ電圧V1’の平均値とをそれぞれ測定し、両者の差分を求めることにより放電灯Laの両端に重畳する直流電圧成分を測定するのが望ましい。
【0018】
図26及び図27は、それぞれ、直流成分を含むランプ電圧V1及び交流成分のみのランプ電圧V1’を交流電源Vsの半周期を含む期間にわたって測定した結果を示しており、直流成分を含むランプ電圧V1の正のピーク値は106V、負のピーク値は−150V、平均値は−5.6Vである。一方、交流成分のみのランプ電圧V1’の正のピーク値は112V、負のピーク値は−144V、平均値は600mVである。したがって、放電灯Laの両端間に発生する直流電圧成分は、直流成分を含むランプ電圧V1の平均値(−5.6V)と交流成分のみのランプ電圧V1’の平均値(600mV)との差分となり、略6.2Vとなる。すなわち、図22に示すように絶縁トランスTR1を介して放電灯Laに電力供給するような回路でも、放電灯Laの両端間に直流電圧成分が発生して、カタホリシス現象の発生する恐れがある。
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0020】
(参考例1)
先ず本発明の参考例の放電灯点灯装置の回路図を図1に示す。本回路は、フィルタ回路Fを介して入力された交流電源(入力電源)Vsの電源電圧を全波整流する例えばダイオードブリッジからなる整流器DBと、整流器DBの脈流電圧を平滑するコンデンサC1と、コンデンサC1の直流電圧を高周波の交流電圧に変換して、例えば蛍光灯のような放電灯Laを含む負荷回路1に供給する他励式のインバータ回路INVと、インバータ回路INVを構成する後述のスイッチング素子Q1,Q2を交互にオンオフする制御回路2とから構成される。
【0021】
インバータ回路INVは、コンデンサC1の両端間にバイポーラトランジスタからなる一対のスイッチング素子Q1,Q2の直列回路が接続された所謂ハーフブリッジ型のインバータ回路からなり、スイッチング素子Q1,Q2にはそれぞれ回生用のダイオードD1,D2が逆並列に接続されている。ハイサイドのスイッチング素子Q1の両端間には、直流カット用のコンデンサC3を介して負荷回路1が接続されており、負荷回路1は、一端がスイッチング素子Q1,Q2の接続点に接続されたインダクタL1と、一方のフィラメント電極の電源側端子がインダクタL1の他端に接続されるとともに、他方のフィラメント電極の電源側端子がコンデンサC3に接続される放電灯Laと、放電灯Laの両フィラメント電極の非電源側端子間に接続されたコンデンサC2とから構成される。ここに、コンデンサC2及びインダクタL1から共振回路が構成される。なお、スイッチング素子Q1,Q2は制御回路2から入力される制御信号H0,L0によって交互にオンオフされる。
【0022】
図2(a)〜(f)は、インバータ回路INVのスイッチング素子Q1,Q2をオンオフするための制御信号H0,L0の波形を示している。従来回路では、図2(a)(b)に示すように、スイッチング素子Q1をオンオフする制御信号H0のオンデューティをDT0(%)、スイッチング素子Q2をオンオフする制御信号L0のオンデューティを(100−DT0)(%)、制御信号H0,L0の周波数をf0としており、スイッチング素子Q1,Q2のオンデューティDT0,(100−DT)を異ならせている(アンバランスに制御している)ので、放電灯Laの両端間に直流電圧成分が発生して、カタホリシス現象が発生する恐れがある。
【0023】
そこで本参考例では、直流電圧抑制手段としての制御回路2が、図2(c)(d)に示すように、制御信号H0のオンデューティをDT0(%)よりも小さいDT1(%)、制御信号L0のオンデューティを(100−DT1)(%)、制御信号H0,L0の周波数をf0としている。このように、制御回路2がスイッチング素子Q1のオンデューティを従来回路に比べて小さくすることにより(DT1<DT0)、ランプ電圧V1の正の面積と負の面積との差が小さくなり、ランプ電圧V1に重畳する直流電圧成分が低減される。したがって、放電灯Laの両端に重畳する直流電圧成分がカタホリシス現象の発生しない程度まで減少するように、制御回路2がスイッチング素子Q1のオンデューティDT1を制御することにより、カタホリシス現象の発生を抑制することができる。
【0024】
さらに図2(e)(f)に示すように、制御回路2が制御信号H0のオンデューティをDT1(%)、制御信号L0のオンデューティを(100−DT1)(%)としたうえで、制御信号H0,L0の周波数をf0よりも高いf1に設定すれば、オンデューティをDT0からDT1に低減したことによるインバータ回路INVの出力の増加を補償することができる。
【0025】
そして本参考例の回路において、放電灯Laの両端間に発生する直流電圧成分が略5V以下になるように、制御回路2が制御信号H0,L0のオンデューティを制御してあり、カタホリシス現象の発生を完全に抑制することはできないが、放電灯Laの両端間に発生する直流電圧成分が低減され、カタホリシス現象の発生を抑制することができる。
【0026】
(参考例2)
本参考例の放電灯点灯装置の回路図を図3に示す。尚、図1の回路と同様の構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0027】
本回路は、ハーフブリッジ型のインバータ回路INVを備えており、インバータ回路INVは、整流器DBの直流出力端子間にダイオードD5,D6の直列回路を介して接続された例えばMOSFETよりなるスイッチング素子Q1,Q2の直列回路から構成されており、スイッチング素子Q2側のダイオードD6にはコンデンサC4が並列接続されている。スイッチング素子Q1,Q2の接続点とダイオードD5,D6の接続点との間には直流カット用のコンデンサC3を介してリーケージトランスLT1の一次巻線が接続され、リーケージトランスLT1の二次巻線には放電灯Laの両フィラメント電極の電源側端子が接続され、放電灯Laの両フィラメント電極の非電源側端子間にはコンデンサC2が接続されている。また、ハイサイドのスイッチング素子Q1の両端には、インダクタL2と平滑用コンデンサC1との直列回路がダイオードD3を介して接続されており、ローサイドのスイッチング素子Q2の両端間にはダイオードD3を介してダイオードD4が接続され、スイッチング素子Q1,Q2の直列回路と並列にコンデンサC5が接続されている。ここに、コンデンサC2,C3、リーケージトランスLT1及び放電灯Laから共振回路が構成される。
【0028】
また、スイッチング素子Q1,Q2のオンオフを制御する制御回路2は、スイッチング素子Q1,Q2を駆動する制御信号H0,L0の周波数を制御する周波数制御回路2aと、制御信号H0,L0のオンデューティを制御するデューティ制御回路2bと、周波数制御回路2a及びデューティ制御回路2bにより決定された周波数及びオンデューティでスイッチング素子Q1,Q2を駆動するドライブ回路2cとから構成される。
【0029】
ここで、周波数制御回路2aは、整流器DBの低電位側の電圧に応じてスイッチング素子Q1,Q2の周波数を変化させており、整流器DBの低電位側の出力電圧が零の時に基本周波数で発振し、整流器DBの低電位側の電圧が高くなるにつれて発振周波数を高くする。また、デューティ制御回路2bは、整流器DBの高電位側の出力電圧に応じてスイッチング素子Q1,Q2のオンデューティを制御しており、整流器DBの高電位側の電圧が零の時のオンデューティを基本デューティとし、整流器DBの高電位側の電圧が高くなるにつれてオンデューティを大きくする。
【0030】
以下に本回路の動作を簡単に説明する。制御回路2の制御信号H0によってスイッチング素子Q1がオンすると、交流電源Vs→フィルタ回路F→整流器DB→スイッチング素子Q1→コンデンサC3→リーケージトランスLT1→ダイオードD5→整流器DB→フィルタ回路F→交流電源Vsの経路で電流が流れる。
【0031】
その後、制御回路2の制御信号H0,L0により、スイッチング素子Q1がオフし、スイッチング素子Q2がオンすると、共振回路に蓄積されたエネルギが放出され、リーケージトランスLT1→コンデンサC4→スイッチング素子Q2の寄生ダイオード(図示せず)→コンデンサC3→リーケージトランスLT1の経路で電流が流れて、コンデンサC4に電荷が蓄積される。この時、コンデンサC4の両端電圧と整流器DBの出力電圧(すなわち整流器DBの直流出力端子間に接続されたコンデンサC6の両端電圧)との和がコンデンサC5の両端電圧Vc5よりも大きくなると、コンデンサC4,C6に蓄積された電荷によりダイオードD5を介してコンデンサC5が充電される。その後、コンデンサC3を電源として、コンデンサC3→スイッチング素子Q2→コンデンサC4→リーケージトランスLT1→コンデンサC3の経路で電流が流れ、コンデンサC4の充電電圧が0Vになると、ダイオードD6が導通する。
【0032】
さらに、制御回路2の制御信号H0,L0により、スイッチング素子Q2がオフして、スイッチング素子Q1がオンすると、スイッチング素子Q2のオン時にリーケージトランスLT1に蓄積されたエネルギが放出され、リーケージトランスLT1→コンデンサC3→スイッチング素子Q1の寄生ダイオード(図示せず)→コンデンサC5→ダイオードD6→リーケージトランスLT1の経路で電流が流れる。その後、コンデンサC5→スイッチング素子Q1→コンデンサC3→リーケージトランスLT1→コンデンサC4→コンデンサC5の経路で電流が流れ、コンデンサC4が充電される。ここで、コンデンサC6の両端電圧(即ち整流器DBの出力電圧)とコンデンサC4の両端電圧との和の電圧が、コンデンサC5の両端電圧Vc5よりも大きくなると、コンデンサC6,C4の電荷によりコンデンサC5が充電され、交流電源Vs→フィルタ回路F→整流器DB→スイッチング素子Q1→コンデンサC3→リーケージトランスLT1→ダイオードD5→整流器DB→フィルタ回路F→交流電源Vsの経路で再び入力電流が流れる。
【0033】
上述のように、スイッチング素子Q1,Q2のオンオフによりコンデンサC4が充放電を繰り返し、コンデンサC4の両端電圧及びコンデンサC6の両端電圧(即ち整流器DBの出力電圧)の和と、コンデンサC5の両端電圧Vc5との大小に応じて、ダイオードD5がスイッチングすることによって、交流電源Vsから入力電流が供給される。
【0034】
また、スイッチング素子Q2がオンすると、交流電源Vs→フィルタ回路F→整流器DB→インダクタL2→コンデンサC1→ダイオードD3→スイッチング素子Q2→ダイオードD6→ダイオードD5→整流器DB→フィルタ回路F→交流電源Vsの経路で平滑用のコンデンサC1に充電電流が流れ、コンデンサC1が略一定電圧に充電される。ここで、コンデンサC1への充電動作はコンデンサC1の両端電圧よりも整流器DBの出力電圧が高い期間にのみ行われる。また、コンデンサC1の放電は、コンデンサC1の両端電圧よりも整流器DBの出力電圧が低い期間に行われ、コンデンサC1からダイオードD4を介してコンデンサC5に電荷が放出され、コンデンサC5の両端電圧Vc5を電源としてインバータ回路INVが動作する。
【0035】
ところで、図7(a)〜(c)は本回路の各部の波形を示しており、図7(a)は交流電源Vsの電圧波形、図7(b)はコンデンサC5の両端電圧Vc5の電圧波形、図7(c)は整流器DBの低電位側の出力電圧波形を示している。上述のように周波数制御回路2aは、整流器DBの低電位側の電圧が零の時の周波数を基本周波数とし、低電位側の電圧が高くなるにつれてスイッチング素子Q1,Q2の動作周波数を高く制御しているので、図4(b)に示すように周波数制御回路2aを設けた場合、交流電源Vsの電源電圧の上昇に伴って整流器DBの低電位側の電圧が大きくなるから、周波数制御回路2aを設けていない場合[図4(a)参照]に比べて、制御回路2の制御信号H0の周波数が高く、且つ、オンデューティが大きくなる。また、デューティ制御回路2bは、整流器DBの高電位側の電圧が零の時のオンデューティを基本デューティとし、高電位側の電圧が高くなるにつれてオンデューティを大きくしているので、図5(b)に示すようにデューティ制御回路2bを設けた場合、交流電源Vsのゼロクロス付近で整流器DBの低電位側の電圧が高くなるから、デューティ制御回路2bを設けていない場合[図5(a)参照]に比べて、制御信号H0の周波数はそのままで、オンデューティのみが大きくなる。さらに、図6(b)に示すように周波数制御回路2aとデューティ制御回路2bとを両方共に設けた場合、周波数制御回路2a及びデューティ制御回路2bを設けていない場合[図6(a)参照]に比べて、制御回路2の制御信号H0の周波数が高く、且つ、オンデューティが大きくなる。
【0036】
ここで、交流電源Vsの電源電圧が電源電圧の1周期内で図7(a)に示すように変化すると、コンデンサC5の両端電圧Vc5は図7(b)に示すように変化し、電圧Vc5が高くなるとデューティ制御回路2bがスイッチング素子Q1,Q2のオンデューティの差を大きくして、放電灯Laに流れるランプ電流I1の変動を抑制する。一方、整流器DBの低電位側の出力電圧は、コンデンサC5の低電位側を基準とすると、図7(c)に示すように交流電源Vsのゼロクロス付近で最大となるため、周波数制御回路2aが、整流器DBの低電位側の出力電圧に応じて、制御信号H0の周波数を高くすることにより、交流電源Vsのゼロクロス付近におけるランプ電流I1の変動が抑制される。
【0037】
ところで、制御信号H0のオンデューティDT1を例えば60%或いは70%とした場合、低温環境下で放電灯Laを一定時間連続点灯させると、カタホリシス現象が確実に発生し、しかもカタホリシス現象の程度が大きくなる。このようなカタホリシス現象を抑制するには、制御信号H0のオンデューティをできるだけ50%に近づければ良いが、製品間の性能のばらつきや調整作業の容易さなどを考慮すると、制御信号H0のオンデューティを実使用上問題のない範囲、例えば50〜55%とするのが望ましく、本参考例では、デューティ制御回路2bが交流電源Vsの定格電圧時における制御信号H0のオンデューティDT1を略55%以下に制御することにより[DT1≦55(%)]、放電灯Laの両端に重畳する直流電圧成分が低減されて、カタホリシス現象の発生を抑制することができる。また、デューティ制御回路2bは、交流電源Vsの電源電圧が定格電圧の略150%に上昇した時に、制御回路2の制御信号H0のオンデューティが100%を越えることのないよう、すなわち制御信号H0がパルス状の波形でなくなることがないように制御信号H0のオンデューティを制御するとともに、交流電源Vsの電源電圧が定格電圧の略90%に低下した時に、制御信号H0のオンデューティが略50%となるように、制御信号H0のオンデューティを制御している。
【0038】
(実施形態1)
本実施形態では、図3に示す回路において、交流電源Vsの電源周期の1周期内で、スイッチング素子Q1をオンオフする制御信号H0のオンデューティDT1が略50%以上の期間と、オンデューティDT1が略50%以下の期間とが存在するように、デューティ制御回路2bが制御信号H0のオンデューティDT1を制御している。尚、本実施形態の回路構成は上述した参考例2の回路と同様であるので、その説明は省略する。
【0039】
すなわち、図7(a)〜(c)に示すように、交流電源Vsの電源周期の1周期内で、コンデンサC5の両端電圧Vc5(すなわち、整流器DBの高電位側の出力電圧)と整流器DBの低電位側の出力電圧とがそれぞれ変化しているので、周波数制御回路2a及びデューティ制御回路2bは、それぞれ、整流器DBの低電位側の出力電圧及び整流器DBの高電位側の出力電圧に応じて、制御信号H0,L0の周波数及びオンデューティを変化させる。したがって、交流電源Vsの電源周期の1周期内で、制御回路2の制御信号H0,L0の信号波形はそれぞれ変化し、制御信号H0のオンデューティDT1が略50%以上となる期間と、オンデューティDT1が略50%以下となる期間とを設けることができる。なお、制御信号L0のオンデューティDT2についても同様である。
【0040】
このように、デューティ制御回路2bは、交流電源Vsの電源周期の1周期内で、制御信号H0,L0のオンデューティDT1,DT2が略50%以上になる期間と、オンデューティDT1,DT2が略50%以下になる期間とを設けることにより、放電灯Laの両端間に発生する直流電圧成分を相殺することができ、カタホリシス現象の発生を抑制することができる。
【0041】
(参考例3)
本参考例の放電灯点灯装置の回路図を図8に示す。尚、上述した図1の回路と同一の構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0042】
本装置では、制御回路2に抵抗R0とスイッチSW1との直列回路を設けており、制御回路2はスイッチSW1のオンオフに応じて制御信号H0,L0の周波数を変化させ、放電灯Laを段調光制御している。すなわち、スイッチSW1をオフすると、制御回路2はスイッチSW1のオン時に比べて制御信号H0,L0の周波数を低くし、スイッチング素子Q1,Q2の駆動周波数を低くすることによって、インバータ回路INVの出力を高くする(高出力時)。一方、スイッチSW1をオンすると、制御回路2は制御信号H0,L0の周波数を高くし、スイッチング素子Q1,Q2の駆動周波数を高くすることによって、インバータ回路INVの出力を低くする(定格出力時)。
【0043】
ところで、定格出力時と高出力時とで制御信号H0のオン幅(オン時間)が同じであれば、制御信号H0の周波数は定格出力時よりも高出力時の方が低いので、定格出力時における制御信号H0(スイッチング素子Q1)のオンデューティDT1a[図9(a)参照]は、高出力時における制御信号H0のオンデューティDT1b[図9(b)参照]よりも高くなる。ここで、制御回路2は、定格出力時における制御信号H0のオンデューティDT1aを略50%よりも大きく、且つ、高出力時における制御信号H0のオンデューティDT1bを略50%よりも小さくなるように、制御信号H0のオンデューティを制御している。すなわち、図10に示すように、制御回路2は高出力時における制御信号H0のオンデューティDT1bと低出力(定格出力)時における制御信号H0のオンデューティDT1aとの間に制御信号H0のオンデューティが略50%となる制御ポイントを設定している。
【0044】
上述のように、制御回路2は、低出力(定格出力)時における制御信号H0のオンデューティDT1aを略50%よりも大きく、且つ、高出力時における制御信号H0のオンデューティDT1bを略50%よりも小さく制御しており、いずれの出力でも放電灯Laの両端間に直流電圧成分が発生するため、カタホリシス現象の発生を完全に抑制することはできないが、放電灯の両端間に発生する直流電圧成分が一方の出力(定格出力時又は高出力時)に偏って発生することがなく、カタホリシス現象がいずれか一方の出力時のみで発生しやすくなるのを防止できる。
【0045】
(参考例4)
本参考例の放電灯点灯装置の回路図を図11に示す。尚、図1に示す回路と同一の構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0046】
本回路では、整流器DBの出力電圧から交流電源Vsのオンオフを検出するとともに、交流電源Vsをオンオフする毎に制御回路2からスイッチング素子Q1,Q2に制御信号H0,L0を入れ換えて出力させる出力切換回路2dを設けている。ここで、スイッチSW2により交流電源Vsからの電源供給を遮断(オフ)した後、再投入(オン)すると、出力切換回路2dは交流電源Vsのオンオフを検出して制御信号H0,L0を入れ換える切換信号を制御回路2に出力し、制御回路2は、出力切換回路2dからの切換信号に応じて、制御信号H0,L0を入れ換えてスイッチング素子Q1,Q2に出力する。なお本装置では、制御回路2及び出力切換回路2dから直流電圧抑制手段が構成される。
【0047】
すなわち、制御回路2がスイッチング素子Q1のベースに制御信号H0を出力するとともに、スイッチング素子Q2のベースに制御信号L0を出力している状態で、スイッチSW2を一旦オフして交流電源Vsを遮断した後、再びスイッチSW2をオンして交流電源Vsを再投入すると、制御回路2は出力切換回路2dからの切換信号に応じて制御信号H0,L0を入れ換え、スイッチング素子Q1のベースに制御信号L0を出力するとともに、スイッチング素子Q2のベースに制御信号H0を出力する。
【0048】
ここで、制御信号H0,L0のオンデューティが異なっている場合、スイッチング素子Q1,Q2をそれぞれ制御信号H0,L0(又は制御信号L0,H0)によりオンオフすると、放電灯Laの両端間に直流電圧成分が発生するが、上述のように、交流電源Vsがオンオフする毎に、制御回路2が、出力切換回路2dからの切換信号に応じて、スイッチング素子Q1のベースに制御信号H0,L0を交互に出力するとともに、スイッチング素子Q2のベースに制御信号L0,H0を交互に出力しているので、放電灯Laの両端間に発生する直流電圧成分の極性が反転して、カタホリシス現象の発生を遅らせることができる。
【0049】
(参考例5)
上述した図1に示す放電灯点灯装置では、放電灯Laの点灯時に周囲温度が変化すると、スイッチング素子Q1,Q2の温度特性によって制御回路2から出力される制御信号H0,L0のオンデューティが変動する。
【0050】
そこで本参考例では、図1に示す回路において、制御回路2が、略(−10)℃以上、且つ、略0℃以下の温度範囲で、制御信号H0,L0のオンデューティを略50%とする制御ポイントを設定している。制御信号H0,L0のオンデューティを略50%とすれば、ランプ電流、ランプ電圧の正の期間及び負の期間が略等しくなり、放電灯Laの両端間に発生する直流電圧成分が低減される。したがって、カタホリシス現象が顕著となる低温時[(−10)℃〜0℃]において、制御信号H0,L0のオンデューティを略50%とする制御ポイントを設けることにより、低温時にカタホリシス現象が発生するのを抑制することができる。
【0051】
(参考例6)
本参考例の放電灯点灯装置の回路図を図12に示す。尚、図1に示す回路と同一の構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0052】
本回路では、制御回路2にコンデンサCt及び負の温度特性を有するNTCサーミスタThからなる並列回路を設け、制御回路2は、周囲温度の変化によるサーミスタThの抵抗値変化に応じて、制御信号H0,L0のオンデューティを制御している。周囲温度が約(−10)℃の場合、サーミスタThの抵抗値は常温時に比べて大きくなるので、制御回路2は、図13(a)(b)に示すように、サーミスタThの抵抗値の変化に応じて、制御信号H0又はL0のオンデューティが小さくなるように制御している(正の温度特性を持たせている)。尚、図13(a)は常温時[周囲温度が約25℃]における制御信号H0の信号波形を示し、図13(b)は低温時[周囲温度が約(―10℃)]制御信号H0の信号波形を示している。
【0053】
ここで、制御回路2が、例えば(−10)℃における制御信号H0,L0のオンデューティDT1,DT2を略45%以上、且つ、略55%以下に制御することにより[45(%)≦DT1,DT2≦55(%)]、周囲温度が(−10)℃において放電灯Laの両端に重畳する直流電圧成分が低減され、カタホリシス現象の発生を抑制することができる。
【0054】
(参考例7)
本参考例の放電灯点灯装置の回路図を図14に示す。尚、図1に示す回路と同一の構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0055】
本装置では、インバータ回路INVの動作によって放電灯Laの両端間に発生する直流電圧成分の極性(図14の矢印A)と逆向きに同等の電圧値を発生する直流電圧重畳手段たる電池Eを放電灯Laと並列に接続している。
【0056】
したがって、図15(a)(b)に示すように、制御回路2が、スイッチング素子Q1,Q2をオンオフする制御信号H0,L0のオンデューティをアンバランスに制御することにより、放電灯Laの両端間に直流電圧成分が発生したとしても、この直流電圧成分と逆極性の直流電圧を電池Eが放電灯Laの両端間に重畳しているので、インバータ回路INVの動作によって放電灯Laの両端間に発生する直流電圧成分が電池Eによって相殺され、カタホリシス現象の発生を抑制することができる。
【0057】
(参考例8)
本参考例の放電灯点灯装置の回路図を図16に示す。尚、上述した図1の回路と同一の構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0058】
本装置では、放電灯Laの正側或いは負側の各半周期における電圧をそれぞれ検出する電圧検出手段4a,4b、及び、各電圧検出手段4a,4bが検出した電圧の差分すなわち放電灯Laの両端間に発生する直流電圧成分を求める差分アンプ4cからなる検出回路4と、検出回路4の検出結果に基づいて放電灯Laの両端間に発生する直流電圧成分が略0Vとなるように制御回路2から出力される制御信号H0,L0のオンデューティを変化させる補償回路3とを設けている。ここに、検出回路4からカタホリシス現象検出手段が構成され、制御回路2及び補償回路3から直流電圧抑制手段が構成される。
【0059】
したがって、負荷変動や周囲温度の変化によって、放電灯Laの両端に直流電圧成分が重畳したとしても、この直流電圧成分を検出回路4が検出し、放電灯Laの両端に重畳する直流電圧成分が略0Vとなるように、補正回路3が検出回路4の検出結果に基づいて制御信号H0,L0のオンデューティを制御しているので、放電灯Laの両端に発生する直流電圧成分を低減して、カタホリシス現象の発生を抑制することができる。
【0060】
このように、検出回路4は放電灯Laの両端間に発生する直流電圧成分を検出しているので、直流電圧成分の検出値からカタホリシス現象の発生を確実に検出することができる。
【0061】
(参考例9)
本参考例の放電灯点灯装置の回路図を図17に示す。尚、図1の回路と同一の構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0062】
本装置では、制御回路2に、抵抗Rt及び負の温度特性を有するサーミスタThの直列回路と、コンデンサCtとから構成されるタイマ回路2fを設けており、制御回路2は、コンデンサCtの静電容量と抵抗Rt及びサーミスタThの合成抵抗とで決まるタイマ回路2fの時定数に応じて、制御信号H0,L0の周波数を決定している。
【0063】
ここで、周囲温度が低くなるとサーミスタThの抵抗値が増加するため、タイマ回路2fの時定数が大きくなり、制御回路2は制御信号H0,L0の周波数を低下させる。また、放電灯Laの温度特性により、低温時には常温時に比べて放電灯Laの出力が低下するが、本装置では、周囲温度の低下によりサーミスタThの抵抗値が増加すると、ランプ温度上昇手段たる制御回路2が、制御信号H0,L0の周波数を常温時に比べて低くするので、インバータ回路INVから負荷回路1に供給される電力が大きくなり、放電灯Laのランプ温度が上昇する。
【0064】
ところで、カタホリシス現象の発生する要因としては、放電灯Laの水銀蒸気圧が低下することと、放電灯Laの両端間に直流電圧成分が発生することとがあり、両方の要因が揃うことによってカタホリシス現象が顕著になるのであるが、本装置では、低温時に放電灯Laのランプ温度を上昇させることによって、放電灯Laの水銀蒸気圧が低下するのを防止している。したがって、放電灯Laの両端間に直流電圧成分が発生したとしても、この直流電圧成分によって発生するカタホリシス現象を抑制できる程度まで、制御回路2が放電灯Laのランプ温度を上昇させることにより、カタホリシス現象の発生を抑制することができる。
【0065】
なお、周囲温度の変化に応じて制御回路2が制御信号H0,L0の周波数を大きく変化させ、放電灯Laのランプ温度が大きく変化すれば、放電灯Laの両端間により大きな直流電圧成分が発生したとしても、カタホリシス現象の発生を抑制することができる。
【0066】
(参考例10)
本参考例の放電灯点灯装置の回路図を図18に示す。尚、図1に示す回路と同一の構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0067】
本参考例では、外部から入力される調光信号S0を受信する調光信号受信回路5と、調光信号受信回路5が受信した調光信号S0に基づいてスイッチング素子Q1,Q2をオンオフする制御信号H0,L0のオンデューティや周波数を変化させ放電灯Laを調光制御する制御回路2とを設けている。ここで、調光の度合いが深くなると、放電灯Laから放射される光束を減少させるために、制御回路2は、スイッチング素子Q1,Q2をオンオフする制御信号H0,L0のオンデューティを異ならせ、アンバランスに制御する。
【0068】
また、制御回路2には負の温度特性を有するNTCサーミスタThが設けられており、制御回路2はサーミスタThと内部の抵抗(図示せず)との直列回路に一定電圧を印加し、サーミスタThの両端電圧と所定のしきい値との大小関係を比較する。ここで、周囲温度が所定温度以下になり、サーミスタThの両端電圧がしきい値を越えると、制御回路2は、調光信号受信回路5から入力される調光信号S0を遮断、或いは、ある一定値までに制限して、放電灯Laの調光制御を停止するとともに、インバータ回路INVの出力を所定の出力に制御している。
【0069】
上述のように、カタホリシス現象の発生する要因としては、放電灯Laの水銀蒸気圧が低下することと、放電灯Laの両端間に直流電圧成分が発生することとがあり、周囲温度が所定温度以下の低温環境下で、制御回路2がスイッチング素子Q1、Q2のオンデューティを異ならせて放電灯Laを調光制御する場合は、両方の要因(放電灯Laの水銀蒸気圧の低下、放電灯Laの両端間に直流電圧成分が発生)が重なるために、放電灯Laからの光束が著しく低下する。
【0070】
そこで、本参考例では周囲温度が所定温度以下になり、サーミスタThの両端電圧がしきい値を越えると、制御回路2が調光制御を停止し、インバータ回路INVの出力を所定の出力に制御しており、低温時に調光制御を行うというカタホリシス現象の発生しやすい状態をなくし、低温時においても放電灯Laからの光出力を維持している。
【0071】
尚、上述の実施形態ではインバータ回路INVとしてハーフブリッジ型のものを例に説明を行ったが、インバータ回路INVをハーフブリッジ型のものに限定する趣旨のものではなく、フルブリッジ型のものを用いても良い。また、インバータ回路INVとして他励式のものを例に説明を行ったが、インバータ回路INVを他励式のものに限定する趣旨のものではなく、自励他制のものを用いても良い。
【0072】
【発明の効果】
上述のように、請求項1の発明は、放電灯と、ブリッジ接続され交互にオンオフされる複数のスイッチング素子を有し上記スイッチング素子で入力電源の電源電圧をスイッチングすることにより入力電源の電源電圧を高周波電圧に変換して上記放電灯に供給するインバータ回路と、各スイッチング素子のオンオフを制御する制御信号を各スイッチング素子に夫々出力する制御回路とを備え、上記制御回路が各スイッチング素子に出力する制御信号のオンデューティを異ならせて制御する放電灯点灯装置において、放電灯の両端間に発生する直流電圧成分をカタホリシス現象の発生しない程度まで減少させる直流電圧抑制手段を設け、当該直流電圧抑制手段は、入力電源の電源周期の1周期内で、スイッチング素子のオンデューティが50%よりも大きい期間と、スイッチング素子のオンデューティが50%よりも小さい期間とを設けており、オンデューティが50%よりも大きい期間と50%よりも小さい期間とでは放電灯の両端間に発生する直流電圧成分の極性が異なるので、オンデューティが50%よりも大きい期間に放電灯の両端間に発生する直流電圧成分と、オンデューティが50%よりも小さい期間に放電灯の両端間に発生する直流電圧成分とが相殺され、カタホリシス現象の発生を抑制することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考例1の放電灯点灯装置を示す回路図である。
【図2】 (a)〜(f)は同上の動作を説明する波形図である。
【図3】 実施形態1及び参考例2の放電灯点灯装置を示す回路図である。
【図4】(a)(b)は同上の動作を説明する波形図である。
【図5】(a)(b)は同上の別の動作を説明する波形図である。
【図6】(a)(b)は同上のまた別の動作を説明する波形図である。
【図7】(a)〜(c)は同上の動作を説明するための波形図である。
【図8】 参考例3の放電灯点灯装置を示す回路図である。
【図9】(a)(b)は同上の動作を説明する波形図である。
【図10】 同上のスイッチング素子のオンデューティの設定を説明する図である。
【図11】 参考例4の放電灯点灯装置を示す回路図である。
【図12】 参考例6の放電灯点灯装置を示す回路図である。
【図13】(a)(b)は同上の動作を説明する波形図である。
【図14】 参考例7の放電灯点灯装置を示す回路図である。
【図15】(a)(b)は同上の動作を説明する波形図である。
【図16】 参考例8の放電灯点灯装置を示す回路図である。
【図17】 参考例9の放電灯点灯装置を示す回路図である。
【図18】 参考例10の放電灯点灯装置を示す回路図である。
【図19】 カタホリシス現象を説明するための放電灯点灯装置の回路図である。
【図20】(a)〜(d)は同上の動作を示す各部の波形図である。
【図21】(a)〜(d)は同上の別の動作を示す各部の波形図である。
【図22】 同上の別の放電灯点灯装置の回路図である。
【図23】 同上の直流成分を含むランプ電流及びランプ電圧を説明する図である。
【図24】 同上の交流成分のみのランプ電流及びランプ電圧を説明する図である。
【図25】 同上のランプ電流及びランプ電圧を説明する図である。
【図26】 同上の直流成分を含むランプ電圧を説明する図である。
【図27】 同上の交流成分のみのランプ電圧を説明する図である。
【図28】 従来の放電灯点灯装置を示す回路図である。
【符号の説明】
1 負荷回路
2 制御回路
C1,C3 コンデンサ
DB 整流器
INV インバータ回路
La 放電灯
Q1,Q2 スイッチング素子
Claims (1)
- 放電灯と、ブリッジ接続され交互にオンオフされる複数のスイッチング素子を有し上記スイッチング素子で入力電源の電源電圧をスイッチングすることにより入力電源の電源電圧を高周波電圧に変換して上記放電灯に供給するインバータ回路と、各スイッチング素子のオンオフを制御する制御信号を各スイッチング素子に夫々出力する制御回路とを備え、上記制御回路が各スイッチング素子に出力する制御信号のオンデューティを異ならせて制御する放電灯点灯装置において、放電灯の両端間に発生する直流電圧成分をカタホリシス現象の発生しない程度まで減少させる直流電圧抑制手段を設け、当該直流電圧抑制手段は、入力電源の電源周期の1周期内で、スイッチング素子のオンデューティが50%よりも大きい期間と、スイッチング素子のオンデューティが50%よりも小さい期間とを設けることを特徴とする放電灯点灯装置。
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