JP3928183B2 - Icカードの製造方法および製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子部品等からなるICモジュールが搭載されたICカードの製造方法および製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、コンピュータおよびコンピュータを利用した電子機器の外部記録装置としては、フロッピーディスク、カセットテープ等の磁気記録媒体が広く利用されている。ところが近年では、小型化や取り扱い易さを図るべく、RAM、ROM等の半導体メモリを備えたカード状、あるいはパッケージ状の記録媒体が用いられてきている。一方、クレジットカード、IDカード、キャッシュカード等のカード状の記録媒体においては、磁気カードに代わるものとして、カード素材にマイクロプロセッサやRAM、ROM等の半導体メモリを含むICモジュールを搭載してなるいわゆるICカードが開発されてきている。この種のICカードは、接触型と非接触型があるが、いずれの場合も情報記憶容量が非常に大きく、かつ高いセキュリティ性を有するといった点で優れている。
【0003】
従来の主なICカードの製造方法を以下に例示する。
(1)コアシートの両面にオーバーシートを積層、ラミネートにより形成してなるカード基材にICモジュール埋設用の凹部を設け、その凹部にICモジュールを載置、接着固定する。
(2)予めICモジュール埋設用の凹部となる開口部が形成されたシートと、凹部の底面となるシートを積層し同時にダミーモジュールを埋設し、ラミネートによりカード基材を形成し、ダミーモジュールを除去した凹部にICモジュールを載置、接着する。
(3)コアシートの両面にオーバーシートの積層とラミネートによるカード基材の形成とICモジュールの埋設とを同時に行う。
(4)射出成型法によりカード基材とICモジュール埋設用の凹部を同時に形成し、その凹部にICモジュールを載置、接着固定する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の方法では、2回の工程を必要とするため生産効率に劣ったり、得られたカードにはまだ絵付けがなされていないので、成形後に化粧用ラミネートを貼付するなどして絵付けを行う工程が必要となるなどの欠点があった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、生産効率が向上するとともに高品位なカードを得ることができるICカードの製造方法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るICカードの製造装置は、ICカードの仕上がり寸法と等しい寸法の打ち抜き面を有する打ち抜き用金型と、当該打ち抜き用金型の外側にある枠金型とを有する射出成形用金型の組と、前記射出成形用金型の組を合わせることにより形成されるキャビティ内に配置されてICカードの基板を構成するフレームであって、その寸法が前記打ち抜き面の寸法よりも大であるフレームを前記打ち抜き面をなす範囲の外側で保持する保持手段とを具備することを特徴としている。
また、本発明に係るICカードの製造方法は、ICカードの仕上がり寸法と等しい打ち抜き面を有する打ち抜き用金型と、当該打ち抜き用金型の外側にある枠金型とを有する射出成形用金型の組であって、少なくとも一方の内面に絵付けラベルが装填された射出成形用金型の組を合わせることにより形成されるキャビティ内で、ICカードの基板を構成するフレームであって、その寸法が前記打ち抜き面の寸法よりも大であるフレームを前記打ち抜き面をなす範囲の外側で保持する保持手段を介して保持し、前記キャビティに樹脂を射出して前記フレームと前記絵付けラベルとを一体化させてカード素材を成形し、前記打ち抜き面に対して垂直方向に前記カード素材を打ち抜き、その内側部分をカードとして得ることを特徴としている。なお、前記絵付けラベルは、前記打ち抜き用金型と同寸法で該金型の打ち抜き面に対応して前記射出成形用金型に装填されていてもよい。
この装置によれば、射出成形用金型とフレームとの間に形成されたキャビティに樹脂を射出してフレームと絵付けラベルとを一体化させてカード素材を成形した後、打ち抜き用金型を作動させて保持手段の内側を打ち抜き、その内側部分をカードとして得る。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。
A.成形用金型
図1は、本実施形態のICカードの製造装置を構成する射出成形用金型1を示している。この金型1は、図中下側の固定側金型2に対して上側の移動側金型3が上下動することにより進退するもので、図示せぬ射出成形機に装置されている。さらにこの金型1は、外側の枠金型10と、この枠金型10の中央部に嵌め込まれた打ち抜き用金型20とが組み合わされたものであり、打ち抜き用金型20は、枠金型10の案内壁11に沿って上下に摺動自在となっている。枠金型10と打ち抜き用金型20からなる固定側および移動側金型2、3の内面には、射出された樹脂Pが充填される所定厚さのキャビティ4(図2参照)を形成する長方形状のキャビティ凹所5、6がそれぞれ形成されている。枠金型10は、打ち抜き用金型20から四方に分割可能に構成されており、少なくともそれらのうちの1つには、前記キャビティ4に樹脂を流入させるためのランナーおよびスプルーが形成されている。
【0008】
固定側金型2と移動側金型3の枠金型10には、内部に長方形状のフレーム30を保持するための複数の固定側および移動側保持ピン(保持手段)12、13が、互いに突き合わされるようにして挿入されている。これら保持ピン12、13は、カードの基板を構成する長方形状の平板なフレーム30の四隅を保持する位置に設けられている。この場合、移動側金型3の保持ピン13は、バネ14により弾性的に退出するよう移動側金型12に挿入されている。
上記射出成型用金型1と各保持ピン12、13により、本実施形態のICカードの製造装置が構成されている。
【0009】
図5はフレーム30を示しており、このフレーム30は、製造して得るべきカードの仕上がり寸法よりも大きく、その上面に、ICモジュール35が固定されている。ICモジュール35は、カードの仕上がり寸法の範囲内に収められ、前記各保持ピン12、13は、カードの仕上がり寸法の外側を保持するようになっている。また、上下の打ち抜き用金型20の内面には、所望の絵柄や文字等が印刷された絵付けラベル40、41が装填されるようになっている。これら絵付けラベル40、41は、打ち抜き用金型20の打ち抜き面と同寸法に切断されており、それら打ち抜き面にぴったりと合わせられる。打ち抜き面は、カードの仕上がり寸法と同じである。図6に、上記射出成形用金型1におけるキャビティ寸法と仕上がり寸法の相対的な配置関係を示す。
【0010】
B.製造方法
次に、上記製造装置の成形用金型1を用いて非接触型のICカードを製造する方法を手順にしたがって説明する。
(1)金型へのフレーム、ラベルのセット:図1参照
まず、フレーム30にICモジュール35を固定する。固定方法としては、接着剤による接着が一般的であるが、フレーム30がプリント配線板でICモジュール35からリードフレーム等が出ている場合には、はんだ付けで固定できる。また、ICモジュール35がすでにプリント配線板に実装されているか、あるいはICモジュール35からリードフレーム等が出ている場合で、ICモジュール35をフレーム30に載せた状態では高さが所望の寸法より大きくなってしまう場合には、次のようにするとよい。すなわち、ICモジュール35のプリント配線板、あるいはリードフレームを除く部分が入る程度の座ぐりあるいは穴をフレーム30に形成し、そこにICモジュール35をある程度埋め込むようにして固定する。
【0011】
ここでICモジュールについて若干言及しておくと、一実施形態のICモジュール35には、電磁波等を利用した非接触型用が用いられる。このICモジュールは、一般にアンテナ部とIC部とに分けられることが多い。アンテナ部は電線を巻いたものが一般的であるが、プリント配線板を用いスパイラルコイルで代用することも考えられる。この場合、プリント配線板の外周部分にダミー部分を設け、その部分をフレームに見立てて成形することが可能である。また、IC部をそのフレームに実装すれば、別途のIC部用のプリント配線板が不要となる。
【0012】
さて次に、上下の打ち抜き用金型20の各内面に、絵付けラベル40、41を吸着等の手段を用いて装填する。
上記のようにICモジュール35を固定したフレーム30を、固定側金型2の枠金型10に挿入された保持ピン12の上に載せる。
【0013】
(2)金型の型締め:図2参照
図2に示すように、移動側金型3を前進(図2で下降)させて射出成形用金型1全体を型締めする。この型締めにより、フレーム30は、その四隅が上下の保持ピン12、13で挟まれて保持され、射出成形用金型1内に位置決めされるとともに、固定側および移動側金型2、3のキャビティ凹所5、6が合わせられてキャビティ4が形成される。
【0014】
(3)樹脂の射出:図3
固定側金型2の枠金型10のスプルー16から所定量の溶融樹脂Pを射出してランナー15からキャビティ4にその溶融樹脂Pを充填し、カード素材7を成形する。樹脂Pの充填性を向上させる目的で、射出圧縮成形法により樹脂Pを充填してもよい。
(4)カードの打ち抜き:図4
溶融樹脂Pの固化を待ってから、上側の打ち抜き金型20を前進させることにより上下の打ち抜き金型20を同時に前進させてカード素材7の中央部を打ち抜き、この後、枠金型10を分割して型開きし、さらに上下の打ち抜き金型20を型開きし、最終製品として図7に示すカード8を得る。
【0015】
上記一実施形態のICカードの製造方法によれば、射出成形用金型1の中にフレーム30を保持するにあたっては、最終的に製品とはならないカード素材7の外縁部である四隅を保持ピン12、13で挟んで保持するので、製品のカード8には、それら保持ピン12、13の痕跡は全く残らない。したがって、高品位のカードが得られる。また、射出工程は1回のみであり、打ち抜き工程への移行は樹脂Pが固化次第行え、しかも、射出工程と打ち抜き工程は同じ金型1内で行うので、製造時間がきわめて短くて済み、生産効率が大幅に向上する。
また、絵付けラベル40、41は、打ち抜き用金型20の打ち抜き面と同寸法でこの打ち抜き用金型20の打ち抜き範囲すなわち内面に対応して装填されているので、絵付けラベル40、41が打ち抜かれることはなく、材料の無駄が抑えられる。
【0016】
C.変更例
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、たとえば次のような変更が可能である。
イ.上下の保持ピン12、13は、フレーム30の四隅を保持すべく互いに突き合わされる状態に配置するとは限らず、カードの仕上がり寸法より外側であってフレーム30を保持できる数および箇所であればよい。たとえば、フレーム30の剛性が高ければ突き合わせる必要がない。また、フレーム30を変形させてカードに収めたい場合、保持ピン12、13の配置および突出長さを調節することによってそれを実現できる。
ロ.保持ピン12、13のようにピンで保持する手段以外にも、プレート状のもの等、いかなる形状のものでもよい。
ハ.絵付けラベルは、表面側のみ1枚装填するだけでもよい。
【0017】
【実施例】
以下に、上記一実施形態に基づく、より具体的な実施例を説明する。符号は、上記一実施形態(図1ないし図7)に準じる。
「表面側の絵付けラベル40」
厚さ50μm白色塩化ビニルシート上に、オフセット印刷法により膜厚1μmの絵柄印刷層を設け、その上に、オフセット印刷法により膜厚2μmの保護層をシート全面に設けて表面ラベル(絵付けラベル)40を得た。
「裏側の絵付けラベル41」
厚さ50μmの白色塩化ビニルシート上に、オフセット印刷法により膜厚1μmの文字印刷層を設け、その上に、オフセット印刷法により膜厚2μmの保護層をシート全面に設けて裏面ラベル(絵付けラベル)41を得た。
「フレーム30とICモジュール35」
フレーム上にウレタン系接着層を設け、この接着層により、エポキシ封止したICモジュール35をフレーム30上に接着して固定した。
【0018】
表面ラベル40を移動側金型3の打ち抜き用金型20の内面に、裏面ラベル41を固定側金型2の打ち抜き用金型20の内面に、それぞれ印刷面をそれら内面に向け、吸着によって装填した。また、フレーム30を固定側金型2の枠金型10の保持ピン12の上に載せた。
この状態から、移動側金型3を前進させて射出成形用金型1を型締めし、その内部にキャビティ4を形成するとともに、上下の保持ピン12、13でフレーム30を挟んで保持する。
【0019】
次いで、スプルー16からキャビティ4に、溶融させたアクリロニトリル一ブタジエン一スチレン樹脂Pを射出・充填し、冷却して固化させることによりカード素材7を成形した後、打ち抜き用金型20を前進させてカード8を得た。
打ち抜き金型20に装填した表面ラベル40および裏面ラベル41には、あらかじめ絵柄や文字等の印刷が施されており、さらに射出成形用金型1には打ち抜き用金型20が備えられているので、1回の射出工程の後に打ち抜きを行うことにより、速やかな工程で、保持ピン12、13の痕跡の無い高品位なカードを得ることができた。
【0020】
【発明の効果】
本発明のICカードの製造方法によれば、射出成形用金型の中にフレームを保持するにあたって最終的に製品とはならないカード素材の外縁部である四隅を保持ピンで挟んで保持するので、その保持ピンの痕跡が全く無い高品位のカードが得られる。また、射出工程は1回のみであり、打ち抜き工程への移行は樹脂が固化次第行え、しかも、射出工程と打ち抜き工程は同じ金型内で行うので、製造時間がきわめて短くて済み生産効率が大幅に向上する。
また、絵付けラベルは、打ち抜き用金型と同寸法でこの打ち抜き用金型の打ち抜き範囲に対応して装填されているので、絵付けラベルが打ち抜かれることはなく材料の無駄が抑えられる。
また、本発明のICカードの製造装置によれば、上記方法を的確に行うことができ、生産効率の大幅な向上に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態のカードの製造方法の第1段階を示す側断面図である。
【図2】 同第2段階の側断面図である。
【図3】 同第3段階の側断面図である。
【図4】 同第4段階の側断面図である。
【図5】 ICモジュールが固定されたフレームの側断面図である。
【図6】 射出成形用金型におけるキャビティ寸法と仕上がり寸法の相対的な配置関係を示す図である。
【図7】 製品のICカードの斜視図である。
【符号の説明】
1…射出成形用金型、2…固定側金型、3…移動側金型、4…キャビティ、7…カード素材、8…ICカード、12、13…保持ピン(保持手段)、20…打ち抜き用金型、30…フレーム、35…ICモジュール、40、41…絵付けラベル。
Claims (3)
- ICカードの仕上がり寸法と等しい寸法の打ち抜き面を有する打ち抜き用金型と、当該打ち抜き用金型の外側にある枠金型とを有する射出成形用金型の組と、
前記射出成形用金型の組を合わせることにより形成されるキャビティ内に配置されてICカードの基板を構成するフレームであって、その寸法が前記打ち抜き面の寸法よりも大であるフレームを前記打ち抜き面をなす範囲の外側で保持する保持手段と
を具備することを特徴とするICカードの製造装置。 - ICカードの仕上がり寸法と等しい打ち抜き面を有する打ち抜き用金型と、当該打ち抜き用金型の外側にある枠金型とを有する射出成形用金型の組であって、少なくとも一方の内面に絵付けラベルが装填された射出成形用金型の組を合わせることにより形成されるキャビティ内で、ICカードの基板を構成するフレームであって、その寸法が前記打ち抜き面の寸法よりも大であるフレームを前記打ち抜き面をなす範囲の外側で保持する保持手段を介して保持し、
前記キャビティに樹脂を射出して前記フレームと前記絵付けラベルとを一体化させてカード素材を成形し、
前記打ち抜き面に対して垂直方向に前記カード素材を打ち抜き、その内側部分をカードとして得る
ことを特徴とするICカードの製造方法。 - 前記絵付けラベルは、前記打ち抜き用金型と同寸法で該金型の打ち抜き面に対応して前記射出成形用金型に装填されている
ことを特徴とする請求項2に記載のICカードの製造方法。
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JP27409595A JP3928183B2 (ja) | 1995-10-23 | 1995-10-23 | Icカードの製造方法および製造装置 |
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JPH09109581A JPH09109581A (ja) | 1997-04-28 |
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ID=17536924
Family Applications (1)
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JP27409595A Expired - Fee Related JP3928183B2 (ja) | 1995-10-23 | 1995-10-23 | Icカードの製造方法および製造装置 |
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JP (1) | JP3928183B2 (ja) |
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1995
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