JP3928111B2 - 棚板の取付構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、脱着自在な棚板の取付構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、キャビネット等に用いられる棚板として、実開平6−13625号公報に掲載された技術がある。この先願技術は、図6に示すように、棚板1の背面側に階段状に折り曲げ形成した受金具のフック片2を取り付け、これを取付パネル3に設けたスリット4に差し込むことで、脱着自在としている。なお、図6では、取付パネル3の表裏両面に棚板1を係止できるように、一方側のフック片2は左右両端側に位置し、他方側のフック片2は、前記左右両端側のフック片2,2どうしの間に位置するようにしている。
【0003】
また、従来にあっては、図7に示すように、便器本体5の後部上面に載置される洗浄タンク6を箱状のキャビネット7で覆い、このキャビネット7とトイレ室壁面8との間に、別の収納用のキャビネット9を配設し、この収納用のキャビネット9内にダボ(図示せず)等を用いて棚板を脱着自在に取り付けるようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
図6に示す従来の棚板の取付構造にあっては、階段状のフック片2をスリット4へ差し込んで取り付けるだけであり、差し込みを容易にするためにスリット4の大きさが予め大きく形成されているので、取り付け後に棚板1がガタツクという欠点があった。
【0005】
一方、図7に示す従来の技術にあっては、トイレ室の横幅寸法が建物の間取りや現場において異なるため、トイレ室壁面8とキャビネット7の側面板との間に収納キャビネット9等を配設する場合には、予め現場の寸法に合わせた収納キャビネット9の大きさに製造するか、若しくは寸法の異なる収納キャビネット9を複数種類準備しておき、選択して現場寸法に合わせるようにしなければならなかった。しかも、棚板は収納キャビネット9内にダボ等を用いて脱着自在に取り付けられるものであり、棚板のみが外部へ露呈して小物品等を簡単な構成で載置できるような構造ではなかった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は従来の前記課題に鑑みてこれを改良除去したものであって、ガタツキを伴うことなく、しかも簡単な構成で棚板を脱着自在に取り付けることのできる取付構造を提供せんとするものである。
【0007】
前記課題を解決するために本発明が採用した請求項1の手段は、取付パネルに棚板取付用の孔を穿設し、棚板の背面側に前記棚板取付用の孔へ挿通することのできる係止片を設けて成り、該係止片は棚板取付用孔の背面側上部の取付パネルに係止するフックと、棚板取付用の孔内面に当接する揺動防止用のリブとを備えていることを特徴とする棚板の取付構造である。
棚板取付用の係止片は、取付パネルの孔に挿通することが可能である。挿通した後において、係止片のフックが取付パネルの背面側に当接して係止するので、棚板の落下が防止される。また係止片には、取付用孔の内面に当接する摺動防止用のリブが設けられているので、棚板の左右方向の動きが規制され、ガタツクということがない。
【0008】
本発明が採用した請求項2の手段は、取付パネルに棚板取付用の孔を穿設し、棚板の背面側に前記棚板取付用の孔へ挿通することのできる係止片を設けて成り、該係止片は棚板取付用孔の背面側上部の取付パネルに係止するフックと、棚板取付用の孔内に当接する揺動防止用のリブと、棚板取付用孔の隙間を隠蔽するための閉塞用のリブとを有していることを特徴とする棚板の取付構造である。
この請求項2の発明によれば、棚板を取り付けた後に正面側から棚板取付用孔を見たときに、閉塞用のリブが前記孔の隙間を隠蔽するようになる。そのため、取付用の孔を直接見ることがなくなり、外観上の見栄えがよい。その他は請求項1の発明の場合と同じである。
【0009】
本発明の請求項3の手段は、前記請求項1の構成に加えて、係止片が棚板取付用孔の内周面に弾性的に当接し得る浮き上がり防止用の弾性片を備えている。
この請求項3の発明によれば、請求項1の発明の構成に加えて、係止片が浮き上がり防止用の弾性片を備えている。そのため、弾性片は、係止片を棚板取付用孔内へ挿通すると、孔内面に対して弾性的に押圧された状態で装着される。従って、常に係止片を一方向へ付勢することになり、係止片の浮き上がりを防止することが可能である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の構成を図面に示す発明の実施の形態に基づいて説明すると次の通りである。図1乃至図4はトイレ室のキャビネット12へ棚板10を取り付けるようにした第1の実施の形態に係るものであり、図1の図(A)は棚板10の取付後の状態を示す側面図、図(B)は同底面図、図(C)は係止片11の部分を示す平面図、図(D)は図(A)のX−X線断面図、図3はトイレ室内へ組み込んだ状態を示すキャビネット12の正面図、図4の図(A)はキャビネット12の天板を取り除いた状態の平面図、図(B)は背板と左右の側面板との関係を示す背面側から見た斜視図、図(C)は扉の部分拡大横断面図である。同図に示す如く、トイレ室のキャビネット12は、背板13と、左右の側面板14A,14Bと、前面板15と、天板16とからなる。
【0011】
背板13は、図4の図(A)及び図(B)に示すように、トイレ室の背面側の壁面17Aの間柱18若しくは横桟等があればこれらの建物躯体の骨組みに固定される。そして、この背板13に対して左右の側面板14A,14Bがビス19等により固定される。固定の順序としては、背板13に左右の側面板14A,14Bを取り付けた後、背板13を建物躯体側へビス19等により固定するようにすればよい。左右の側面板14A,14Bの下端側は、L型金具等を用いて床に固定すればよい。なお、左右の側面板14A,14Bの背面壁17A側の下部には、配管スペース又は幅木用の逃がし14Cが切欠き形成されている。更に、左右の側面板14A,14Bの上部壁面よりには、壁面17Aへ既に設置してある横桟若しくは補強材などの逃がし14Dが形成されている。
【0012】
図3に示すように、前面板15は、上下に分割され、そのうちの下部側が更に左右に分割されており、上部分割片15Aと、下部左側分割片15Bと、下部右側分割片15Cとから成る。上下に分割する位置は、便器本体20のリム通水路21の下方側にしている。これは、上下の分割ラインHが便器本体20の上面よりも低い位置に形成され、安定した印象を与えるからである。また前面板15の上下の分割片15A〜15Cを、便器本体20の形状に沿わせるように製作することが容易となるからである。
【0013】
上部分割片15Aの場合は、便器本体20の後部上面に上方から跨がることのできるようにコ字状の突出部22A,22Bを形成し、矩形状の切欠き23を設ければよい。また下部側の左右の分割片15B及び15Cについては、内側端面をそれぞれ便器本体20の左右側面形状に倣った形状にすればよく、リム通水路21の下方側の凹部に対応する位置には、該凹部に向かって突出する凸部24A,24Bが形成されている。これにより、便器本体20の左右側面のそれぞれについて独立して製作できるので、その作業が極めて容易である。これらの各分割片15A〜15Cは、左右の側面板14A,14Bの木口にダボ嵌合方式又はビスなどにより固定されている。
【0014】
また下部側の分割片15B及び15Cの内側縁には、可撓性を有する緩衝材(図示せず)が取り付けられており、便器本体20の外周面との間に隙間が形成されないようになされている。
なお、天板16の上面に設けられた開口部には、洗浄タンク25の手洗い吐水管26を含めた手洗い吐水鉢部27が嵌合装着されている。
【0015】
またキャビネット12の左右側面には、それぞれ壁面17B,17Cとの間に形成された収納空間A及びBに、ABS樹脂等で成形された棚板10がそれぞれ上下に二段ずつ配設されている。棚板10は、取付パネルとしてのキャビネット側面板14A,14Bの取付用孔33に係止片11を差し込むことで脱着自在に取り付けられるようになっている。また棚板10は、水平な本体部28の周縁に下向きのスカート部29が突出形成されており、背面側のスカート部29Aは他の三周縁のスカート部29よりも長く形成されている。これは、取付後の状態において、スカート部29Aを側面板14A,14Bに接合させることによって、棚板10の先端側が水勢状態の姿勢から垂れ下がるのを防止するためである。棚板10の底面側には、補強用のリブ30が数条設けられている。
【0016】
更に、棚板10の先端側には、所定幅を以て切断除去しやすいように、切り込み31及び三周縁側にスカート部29Bを形成した切断用のブロック単体32A,32Bが一体的に形成されている。このブロック単体32A,32Bは、前記収納空間A及びBに対する棚板10の寸法調整を行うためのものであり、必要に応じて切り込み31の部分からブロック単体32Aの一つ又は32Aと32Bの双方を個切断除去して寸法調整を行うようになっている。
【0017】
更にまた、棚板10の背面側には、側面板14A,14Bに設けられた棚板取付用の孔(丸孔)33に装入することのできる係止片11が所定間隔を開けて二カ所に一体成形で設けられている。係止片11は、後方へ突出する基部11Aと該基部11Aから斜め上方へ立ち上がる傾斜部11Bとを有している。傾斜部11Bの上部側には、棚板取付用孔33を貫通して側面板14A,14Bの背面側に当接係止させるためのフック34が立設されている。フック34と基部11Aとの境界部分(コーナー部)には、応力を分散させるための凹部35が形成されている。凹部35がないとコーナー部に応力が集中し、亀裂が発生しやすいからである。係止片11の両側面には、棚板取付用孔33の内周面と当接してその左右方向の揺動を防止するためのリブ36A,36Bが形成されている。また基部11Aと傾斜部11Bとの境界部分の上下方向面にも上下方向の揺動を防止するためのリブ37A,37Bが形成されている。更に、係止片11の基部11Aと棚板10の上面との境界部分には、棚板取付用の孔33の上半部を隠蔽するための閉塞用リブ38が半円状に突出形成されている。
【0018】
このように構成された棚板10は、収納空間A,Bの大きさに応じて切断用ブロック単体32Aの一つ又はそれに加えて32Bの双方が切断除去され、寸法調整が行われる。そして、この状態でキャビネット12の側面板14A,14Bの孔33へ棚板10の係止片11を差し込んで取り付ける。差し込みは、先ず、係止片先端の傾斜部11Bが、丸孔33の軸心線と平行になるように装入する。続いて、傾斜部11Bが側面板14A,14Bの背面側へ突き出た後は、次第に棚板10を押し下げて基部11Aが丸孔33の軸心線と平行になるように回動させて、図2で示すように、棚板10が水平状態となるようにする。
【0019】
このとき、傾斜部11Bの上部側に形成されたフック34が、丸孔33の上方に位置する側面板14A,14Bの背面側に当接し、また棚板10の背面側のスカート部29Aが丸孔33の下方に位置する側面板14A,14Bの前面側に当接し、棚板10の上下方向の揺動が抑制され、固定される。一方、係止片11の両側面に設けたリブ36A,36Bが丸孔33の内周面と当接し、左右方向の揺動を抑制する。それに加えて、係止片11の垂直方向のリブ37A,37Bが丸孔33の上下方向の内周面と当接し、上下方向の揺動を抑制する。更に、この図2に示す取付後の状態において、閉塞用のリブ38が棚板10の上方に位置する丸孔33を隠蔽するので、外部から丸孔33が直接見えることはなく、外観上の見栄えが良好である。
【0020】
ところで、この第1の実施の形態におけるキャビネット12の前面側の左右には、図4の図(A)及び図(C)に示すように、それぞれ壁面17B,17Cとの間に形成された収納空間A及びBを開閉するための開閉扉38及び39が設けられている。天板16は、キャビネット12と、収納空間A及びBを含めた左右の開閉扉38及び39の全体に被さるように一体的に形成されている。左右の開閉扉38,39はそれぞれ固定板38A,39Aと可動板38B,39Bとを備えており、可動板38B,39Bを固定板38A,39Aに対して移動させて、左右の壁面17A,17Bまでの寸法に合わせることができるようになされている。寸法調整は、図4の図(C)に示すように、可動板38B,39Bに長孔40を形成し、ビス41を緩めて可動板38B,39Bを固定板38A,39Aに対して進退させることにより行っている。開閉扉28及び39の開閉は、キャビネットの側面板14A,14Bに取り付けたヒンジ42を介して行うようになされている。開閉扉38及び39を開閉することにより、収納空間A及びBの棚板10に物を収納したり、これから取り出したりできるようになっている。
【0021】
図5は本発明の第2の実施の形態に係る棚板43を示すものであり、図(A)は側面図、図(B)は底面図、図(C)は背面図、図(D)は図(A)のY−Y線断面図である。同図に示す如く、この実施の形態にあっては、係止片44の後端側に下方へ折り返して一体成形された弾性片45を設けている。弾性片45はその先端部45Aが棚板43の上面に対して平行に形成されており、丸孔33へ装入されたときに、丸孔33の底部側に弾性的に当接し、棚板43を丸孔33の上部側へ押圧付勢することで、棚板43の上下方向のガタツキを防止するようにしている。その他の係止片44の構成並びに作用効果は、前記第1の実施の形態の係止片11の場合と同じである。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1の発明にあっては、取付パネルに棚板取付用の孔を穿設し、棚板の背面側に前記棚板取付用の孔へ挿通することのできる係止片を設けて成り、該係止片は棚板取付用孔の背面側上部の取付パネルに係止するフックと、棚板取付用の孔内面に当接する揺動防止用のリブとを備えている。これにより、棚板取付用の係止片は、取付パネルの孔に挿通することが可能であり、挿通した後において、係止片のフックが取付パネルの背面側に当接して係止するので、棚板の落下が防止される。また係止片には、取付用孔の内面に当接する揺動防止用のリブが設けられているので、棚板の左右方向の動きが規制され、ガタツクということがない。
【0023】
また請求項2の発明にあっては、取付パネルに棚板取付用の孔を穿設し、棚板の背面側に前記棚板取付用の孔へ挿通することのできる係止片を設けて成り、該係止片は棚板取付用孔の背面側上部の取付パネルに係止するフックと、棚板取付用の孔内に当接する揺動防止用のリブと、棚板取付用孔の隙間を隠蔽するための閉塞用のリブとを有している。この発明では、棚板を取り付けた後に正面側から棚板取付用孔を見たときに、閉塞用のリブが前記孔の隙間を隠蔽するようになる。そのため、取付用の孔を直接見ることがなくなり、外観上の見栄えがよい。その他は請求項1の発明の場合と同じである。
【0024】
更に、請求項3の発明にあっては、係止片が棚板取付用孔の内周面に弾性的に当接し得る浮き上がり防止用の弾性片を備えている請求項1又は2に記載の棚板の取付構造である。この請求項3の発明によれば、弾性片は、係止片を棚板取付用孔内へ挿通すると、孔内面に対して弾性的に押圧された状態で装着され、常に係止片を一方向へ付勢するようになる。これにより、係止片の浮き上がりを防止することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るものであり、図(A)は棚板の取付後の状態を示す側面図、図(B)は同底面図、図(C)は係止片の部分を示す平面図、図(D)は図(A)のX−X線断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るものであり、図1の図(A)の部分拡大図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るものであり、トイレ室内へ組み込んだ状態を示すキャビネットの正面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係るものであり、図(A)はキャビネットの天板を取り除いた状態の平面図、図(B)は背板と左右の側面板との関係を示す背面側から見た斜視図、図(C)は扉の部分拡大横断面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る棚板を示すものであり、図(A)は側面図、図(B)は底面図、図(C)は背面図、図(D)は図(A)のY−Y線断面図である。
【図6】従来の棚板取付構造の一例を示す斜視図である。
【図7】従来のトイレ室のキャビネットを示す斜視図である。
【符号の説明】
10…棚板、11…係止片、11A…基部、11B…傾斜部、12…キャビネット、14A,14B…側面板、29…スカート部、29A…背面側スカート部、33…棚板取付用孔、34…フック、35…凹部、36A,36B…左右方向の揺動防止用リブ、37A,37B…上下方向の揺動防止用リブ、38…閉塞用のリブ、45…弾性片
Claims (3)
- 取付パネルに棚板取付用の孔を穿設し、棚板の背面側に前記棚板取付用の孔へ挿通することのできる係止片を設けて成り、該係止片は棚板取付用孔の背面側上部の取付パネルに係止するフックと、棚板取付用の孔内面に当接する揺動防止用のリブとを備えていることを特徴とする棚板の取付構造。
- 取付パネルに棚板取付用の孔を穿設し、棚板の背面側に前記棚板取付用の孔へ挿通することのできる係止片を設けて成り、該係止片は棚板取付用孔の背面側上部の取付パネルに係止するフックと、棚板取付用の孔内に当接する揺動防止用のリブと、棚板取付用孔の隙間を隠蔽するための閉塞用のリブとを有していることを特徴とする棚板の取付構造。
- 取付パネルに棚板取付用の孔を穿設し、棚板の背面側に前記棚板取付用の孔へ挿通することのできる係止片を設けて成り、該係止片は棚板取付用孔の背面側上部の取付パネルに係止するフックと、棚板取付用の孔内に当接する揺動防止用のリブと、棚板取付用孔の内周面に弾性的に当接し得る浮き上がり防止用の弾性片とを有していることを特徴とする棚板の取付構造。
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