JP3927632B2 - 搬送システム、およびこれを備えた試料検査装置 - Google Patents
搬送システム、およびこれを備えた試料検査装置 Download PDFInfo
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Description
【技術分野】
本願発明は、ベルトコンベア装置やプッシャコンベア装置などの所望の搬送装置を少なくとも2以上組み合わせて構成される搬送システム、およびこれを備えた試料検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
所望の物品を搬送するための搬送システムとしては、たとえば、図9に示すようなものがある。同図に示す搬送システムは、循環駆動自在な無端状のベルト90を備えた第1の搬送装置9Aと、水平方向に往復動自在なプッシャ91を備えた第2の搬送装置9Bとを組合せて構成されたものであり、第1の搬送装置9Aによって所望の搬送対象物mを矢印N1方向に搬送すると、この搬送対象物を上記第2の搬送装置9B上に供給載置できるように、上記2つの搬送装置9A,9Bが接続されている。また、これら2つの搬送装置9A,9Bは、搬送対象物の搬送方向が互いに直交している。
【0003】
このような構成によれば、第2の搬送装置9B上に搬送対象物m(m1)が存在する場合には、第1の搬送装置9A上の搬送対象物mを上記搬送対象物m(m1)に当接させることにより、上記第1の搬送装置9A上に多数の搬送対象物mをストックさせておくことができる。そして、第2の搬送装置9Bによって搬送対象物m(m1)を矢印N2方向に搬送する都度、第1の搬送装置9Aから空となった第2の搬送装置9B上に搬送対象物mを逐次供給することができる。したがって、複数の搬送対象物mを第1の搬送装置9A上にストックしながら、第2の搬送装置9Bによって上記搬送対象物mを1つずつ所定の位置へ搬送することができる。また、2つの搬送装置9A,9Bを、それらの長手方向に直列状に配列する構成ではないために、搬送システム全体が大きく嵩張ることも極力回避することができる。
【0004】
ところが、上記搬送システムにおいて、2つの搬送装置9A,9Bを単に接続しただけの構成では、たとえば図10に示すように、第2の搬送装置9B上の搬送対象物mを矢印N2方向へ前進させるにつれて、第1の搬送装置9A上の終端部に位置する搬送対象物m(m2)が、第2の搬送装置9B上へ一部移載されてしまう事態を生じる。これでは、第1の搬送装置9A上にストックされている複数の搬送対象物mの列が乱れてしまい、その後第2の搬送装置9Bによる搬送対象物の適正な搬送が困難となる。
【0005】
そこで、従来においては、上記不具合を解消する手段として、たとえば図11および図12に示すように、第1の搬送装置9Aの終端部分に、昇降自在なストッパ93を設けていた。このような手段によれば、第2の搬送装置9Bによって搬送対象物m(m1)を矢印N2方向に搬送するときには、ストッパ93を上昇させておくことにより、第1の搬送装置9A上にストックされている他の搬送対象物mの搬送を阻止することができ、これら複数の搬送対象物mの整列状態が乱れることを防止することができる。また、第2の搬送装置9Bによる搬送対象物m(m1)の搬送が終了した後には、上記ストッパ93を下降させることにより、第1の搬送装置9Aから第2の搬送装置9B上に搬送対象物を適切に供給することができる。上記ストッパ93は、エアシリンダ、あるいはモータなどのそれ専用の駆動源によって昇降自在となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の搬送システムでは、次のような不具合があった。
【0007】
すなわち、従来においては、ストッパ93を2つの搬送装置9A,9Bの駆動源とは別個の駆動源によって昇降させているために、ストッパ93を動作させるための専用の駆動源を必要とする分だけ搬送システム全体の装置構成が複雑化するばかりか、ストッパ93を第2の搬送装置9Bのプッシャ91の動作に対応させて昇降させるためには、プッシャ91の移動を検知するためのセンサや、ストッパ93の昇降動作を検知するためのセンサなどが必要となり、装置構成がより一層複雑化する。また、上記ストッパ93の駆動源として、たとえばエアシリンダを用いたような場合には、そのエア圧が低下することにより、ストッパ93が不用意に下降動作するといった事態も生じ、このような不具合を解消するための手段を別途講じる必要もある。したがって、システム全体の構成が非常に複雑となって、その製造コストが高価となる不具合があった。また、従来では、上記複数のセンサからの検知信号に基づいて、上記ストッパ93の昇降タイミングを設定する必要もあり、その設定作業も非常に煩雑なものとなっていた。
【0008】
本願発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、相互に接続された2つの搬送装置間においてストッパを利用した適正な搬送対象物の受け渡しを行わせる場合に、上記ストッパの動作制御に要する装置構成を簡易にしてその製造コストの低減化を図り、しかもその動作タイミングの調整作業も容易に行えるようにして搬送システムの取扱いを容易なものにすることをその課題としている。
【0009】
【発明の開示】
上記の課題を解決するため、本願発明では、次の技術的手段を講じている。
【0010】
すなわち、本願発明の第1の側面によれば、搬送システムが提供される。この搬送システムは、所望の搬送対象物を搬送可能であり、かつ水平な第1の搬送路を有する第1の搬送装置と、上記第1の搬送路を搬送されてくる搬送対象物を受け取り可能であるとともにこの搬送対象物を上記第1の搬送路と直交する方向に搬送可能であり、かつ水平な第2の搬送路、およびこの第2の搬送路に沿って往復移動し、一方方向へ移動する際に第2の搬送路上の搬送対象物を押動する移動部材を有する第2の搬送装置と、上記第1の搬送路を搬送されてくる搬送対象物と当接することによってこの搬送対象物の上記第2の搬送路上への搬送を阻止するストッパと、を具備する搬送システムであって、上記ストッパは、上記第1の搬送路を搬送されてくる搬送対象物に当接する位置と当接しない位置とに動作可能に設けられており、かつ、上記第2の搬送装置の移動部材には、この移動部材の一方方向への移動に連動させて上記ストッパを上記搬送対象物に当接する位置に切り換え、他方方向への移動に連動させて上記ストッパを上記搬送対象物に当接しない位置に切り換えるように、上記ストッパに当接する当接用部材が設けられていることに特徴づけられる。
【0011】
上記第1の搬送装置としては、ベルトコンベア装置を適用でき、また上記第2の搬送装置としては、搬送対象物を押動するプッシャを備えたプッシャコンベア装置を適用することができる。第1の搬送装置としてベルトコンベア装置を用いれば、そのベルト上に複数の搬送対象物をストックさせる点で有利となる。
【0012】
本願発明においては、第2の搬送装置の移動部材には当接用部材が設けられており、この当接用部材は、上記移動部材の移動に伴って移動する。そして、この当接用部材が移動することにより、この当接用部材がストッパに当接してこのストッパを動作させる結果、このストッパは、第1の搬送路を搬送される搬送対象物に当接する位置と当接しない位置とに切り換わる。したがって、第2の搬送装置を駆動させて、第2の搬送路上の搬送対象物を一方方向に搬送するときには、上記移動部材に伴って移動する当接用部材によってストッパを動作させて、このストッパを第1の搬送路の搬送対象物に当接する位置へ動作させることにより、第1の搬送装置から第2の搬送装置に搬送対象物が不当に供給されることを阻止することができる。また、第2の搬送装置による搬送対象物の搬送が終了し、次の搬送作業を開始する態勢に復帰させるときには、やはりその際にも上記移動部材に伴って他方方向へ移動する当接用部材によって上記ストッパを動作させ、このストッパを第1の搬送路の搬送対象物と当接しない位置に切換え動作させることができる。これにより、第1の搬送装置から第2の搬送装置への搬送対象物の適切な受け渡しを行うことができる。このように、本願発明では、第1の搬送装置から第2の搬送装置への搬送対象物の受渡し、ならびにその受渡しの停止を的確に行うことができる。
【0013】
本願発明においては、第2の搬送装置の移動部材に設けた当接用部材をストッパに当接させることによって、ストッパに所定の切換え動作を行わせる構成であるために、従来とは異なり、ストッパを動作させるための専用の駆動源が不要となり、システムの構成を簡易にすることができる。また、第2の搬送装置の移動部材が適切に移動する限りは、当接用部材を移動させてストッパを適切に切換え動作させることができるために、従来のたとえば専用のエアシリンダを用いてストッパを昇降させていた手段のように、エア圧の減圧によりストッパが不用意に下降することを阻止するための特別な手段を設ける必要もなくなり、システムの構成をより簡易にすることができる。さらに、ストッパを搬送対象物に当接する位置と当接しない位置とに切換え動作させるタイミングの設定は、移動部材に設ける当接用部材とストッパとの物理的または機械的な設定によって行えばよく、従来のように複数のセンサを用いるような必要もない。したがって、センサを不要にできる分だけ、システム全体の構成を一層簡易にでき、製造コストの大幅な低減化が図れ、さらには上記ストッパを所定の状態に切換え動作させるためのタイミング設定も非常に容易なものとすることができ、搬送システムの取扱いを容易にすることもできる。
【0014】
本願発明の好ましい実施の形態では、上記ストッパは、上記第1の搬送路よりも下方に設けられた軸体によって回転可能に支持されているとともに、このストッパの回転動作によって上記第1の搬送路の下方から上方への突出動作とその没入動作とを行うストッパ片部を具備しており、かつ、上記当接用部材は、上記移動部材の移動時に上記ストッパを所定方向に回転させるように上記ストッパの一部に当接可能である。
【0015】
このような構成によれば、当接用部材をストッパの一部に当接させることにより、上記ストッパを回転させることができる。そして、このストッパの回転動作によって、ストッパ片部を第1の搬送路の下方から上方へ出没させることができる。上記ストッパ片部が上記第1の搬送路に突出した状態では、第1の搬送装置による搬送対象物の搬送が阻止されることとなり、また上記ストッパ片部が上記第1の搬送路の下方へ没入したときには、第1の搬送装置による搬送対象物の搬送が可能となる。このように、上記構成では、第2の搬送装置の移動部材に設けた当接用部材をストッパに当接させて、このストッパを回転させるだけの簡単な構成によって、第1の搬送装置によって搬送される搬送対象物の搬送とその停止を適切に行うことができる。
【0016】
本願発明の他の好ましい実施の形態では、上記ストッパ片部が上記突出動作と没入動作とをそれぞれ行ったときに、それらの各姿勢を保持するように上記ストッパの回転動作を阻止する方向に上記ストッパに弾発力を付与する弾性部材を具備している。
【0017】
このような構成によれば、上記ストッパ片部の突出動作時、および上記ストッパ片部の没入動作時のいずれの時期においても、ストッパの姿勢を弾性部材の弾発力によって保持することができる。したがって、ストッパの回転姿勢の設定を確実なものにできる。
【0018】
本願発明の第2の側面によれば、試料検査装置が提供される。この試料検査装置は、上記第1の側面によって提供される搬送システムと、試料分析装置とを具備しており、かつ上記搬送システムによって搬送される搬送対象物は、上記試料分析装置によって分析される試料を収容した容器であることに特徴づけられる。
【0019】
本願発明においては、搬送システムの第1の搬送装置および第2の搬送装置によって搬送される容器内の試料を、試料分析装置によって順次分析していくことができる。この場合、既述したとおり、上記搬送システムは、その構成が簡易であり、かつストッパの動作調整も容易に行えるため、この試料検査装置の管理なども容易となる。また、上記搬送システムでは、複数の容器を第1の搬送路上にストックさせた状態において、このストックされた容器を第1の搬送路から第2の搬送路へ受け渡して試料分析装置に順次供給させてゆくことが可能であるから、多数の試料を連続して分析処理するのに好都合となる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
【0021】
図1は、本願発明に係る搬送システムA、およびこの搬送システムAを備えた試料検査装置Bの一例を示す斜視図である。図2は、図1のX1−X1断面図である。図3は、図2のX2−X2断面図である。
【0022】
図1において、この搬送システムAは、試料検査装置Bで検査される試料を収容した試験管状の複数本の容器20を搬送対象物の一例とするものである。ただし、これら複数本の容器20は、その搬送が適切に行えるように、ラック2に収容されて起立保持されており、このラック2も搬送対象物としている。上記試料としては、たとえば人間の血液や尿などが適用され、また上記ラック2としては、たとえば全体の概略形状がブロック状のものが適用される。
【0023】
上記搬送システムAは、第1の搬送装置1A、第2の搬送装置1B、および第3の搬送装置1Cを具備して構成されている。本願発明が適用される搬送システムは、第1の搬送装置と第2の搬送装置との少なくとも2つの搬送装置を具備していればよく、これらに加えて他の搬送装置が含まれていてもよい。
【0024】
上記第1の搬送装置1Aおよび第3の搬送装置1Cのそれぞれは、同一方向に循環駆動自在な2つの平行なベルト10,10を1組として構成されたベルトコンベア装置であり、これら2つのベルト10,10上に上記ラック2の長手方向両端部が載置されることにより、上記ラック2を矢印Na,Ncのそれぞれの方向に移送する。上記2つのベルト10,10の相互間には、ベルト10,10上にラック2を載置したときの安定性を高めるなどの観点から平板11が適宜配置されている。したがって、第1の搬送装置1Aの搬送路(第1の搬送路)12は、上記平板11および2つのベルト10,10上に形成されている。また、上記第3の搬送装置1Cの搬送路についても同様である。
【0025】
上記第1の搬送装置1Aの前段には、この第1の搬送装置1A上にラック2を順次供給するための装置として、補助の搬送装置1Dが適宜設けられる。ただし、上記第1の搬送装置1A上にラック2を供給する手段は、これに限定されず、たとえば手作業などによって複数のラック2を第1の搬送装置1A上に載置供給してもかまわない。
【0026】
上記第2の搬送装置1Bは、第1の搬送装置1Aによって矢印Na方向に搬送されてガイド板33の手前位置に供給されてきたラック2を、上記ガイド板33の長手方向に沿って矢印Nb方向に搬送するためのものである。この第2の搬送装置1Bによって上記矢印Nb方向に搬送されたラック2は、上記第3の搬送装置1Cによってその後矢印Nc方向に搬送されて排出される。
【0027】
上記第2の搬送装置1Bは、支持板31上に載置されたラック2を押動するためのプッシャ30を備えたプッシャコンベア装置として構成されている。この第2の搬送装置1Bの搬送路(第2の搬送路)32は、上記支持板31上に形成されており、この第2の搬送路32において搬送対象物が搬送される方向(矢印Nb方向)は、上記第1の搬送路12において搬送対象物が搬送される方向(矢印Na方向)と略直交する方向である。図2および図3によく表れているように、上記第2の搬送装置1Bは、上記プッシャ30や支持板31に加え、上記プッシャ30を支持する移動体34、この移動体34に連結されたピン35、および上記移動体34を上記第2の搬送路32に沿って直線往復動させるためのベルト駆動機構36をも具備している。
【0028】
上記ベルト駆動機構36は、タイミングベルト36a、このタイミングベルト36aが掛け回されたプーリ36b、およびこのプーリ36bを間欠回転させるための正逆両方向に回転自在なパルスモータ(図示略)などを具備して構成されており、上記パルスモータの駆動動作によってタイミングベルト36aを所定ピッチずつ間欠移動させることができる。上記移動体34は、上記タイミングベルト36aと平行に設けられた2本のガイド杆37,37にガイドされており、その下面部は上記タイミングベルト36aに止着されている。上記移動体34は、パルスモータによってタイミングベルト36aが駆動されることにより、上記ガイド杆37,37にガイドされ、上記第2搬送路32に沿って水平方向に往復動自在である。
【0029】
上記プッシャ30は、たとえば断面略L字状に形成されており、その上部が上記支持板31よりも上方に位置するように、上記移動体34に取付けられている。このプッシャ30は、上記移動体34が移動することにより、支持板31の長手方向に水平移動し、第2搬送路32に存在するラック2の後端部を押動可能である。上記ピン35は、本願発明にいう当接用部材の一例に相当するものであり、上記プッシャ30と同様に、移動体34の移動に伴って水平方向に移動するが、その移動時には後述するストッパ4,4(4A,4B)の所定の部位に当接するように上記移動体34の一側面から水平方向に突出して設けられている。
【0030】
上記第1の搬送路12の終端部分には、一対のストッパ4,4(4A,4B)が設けられている。これらの各ストッパ4は、図4に示すように、2枚のストッパ板40,41を、2本の軸体42,43を用いて相互に連結したものである。一方のストッパ板40は、上部に側面視略円弧状のストッパ片部44を形成したものである。他方のストッパ板41は、その一端部の下部に下向き状の突起部45を具備するものであり、この突起部45と、このストッパ板41の他端部側の下部46とは、後述するように、上記ピン35によって押圧される被押圧部として機能することとなる。
【0031】
上記ストッパ4は、図2に示すように、第1の搬送路12の下方に配置された支持体5によって支持されている。具体的には、支持体5に内装されたベアリングによって上記軸体42が支持されることにより、上記ストッパ4は上記軸体42を中心として上下方向に回転可能に設けられている。上記支持体5は、ブロック状などの適当な形状のものであり、たとえばチャンネル部材50などの適当な固定部材に固定して設けられている。また、上記ストッパ4は、上記軸体42を中心として上下方向に回転することにより、上記ストッパ片部44が第1の搬送路12上に突出した状態(図2に示す状態)と、上記第1の搬送路12よりも下方へ没入した状態とに切換え動作されるように設定されている。このようなストッパ片部44の出没動作は、第1の搬送装置1Aの平板11に貫通孔11aを設けておくことによって、この貫通孔11aから上記ストッパ片部44が上記平板11の上方へ出没するように構成することができる。本実施形態においては、第1の搬送路12の途中位置にストッパ4を配しているが、本願発明はこれに限定されない。本願発明では、たとえば第1の搬送路12の終端と第2の搬送路32との間に適当な隙間が設けられているような場合には、この隙間部分に上記ストッパ4を配してもよい。
【0032】
上記ストッパ4は、上記ピン35が移動体34に伴って水平方向に移動する際には、このピン35が上記突起部45または下部46に当接するように設定されている。具体的には、たとえば図5に示すように、ストッパ4のストッパ片部44が第1の搬送路12に突出した姿勢状態にあるときには、突起部45が下向き突出状態にあり、この突起部45にピン35が当接するように設定されている。この場合には、同図仮想線に示すように、ピン35が矢印Nd方向へ移動すると、このピン35が上記突起部45を押動する結果、ストッパ4は軸体42を中心として矢印Ne方向に回転し、図6に示すようにストッパ片部44が第1の搬送路12の下方へ没入する姿勢となる。また、ストッパ4が図6に示す姿勢のときには、上記突起部45に代わり、ストッパ4の下部46が下向突出状態になり、この下部46に上記ピン35が当接可能である。この場合には、同図仮想線に示すように、ピン35が矢印Nf方向に移動すると、このピン35が上記下部46を押動する結果、ストッパ4は軸体42を中心として矢印Ng方向に回転し、図5に示す状態に回転復帰する。
【0033】
上記図5および図6によく表れているように、上記ストッパ4にはバネ6が連結されている。このバネ6は、一端部6aが支持体5に支持されているとともに、他端部6bがストッパ4に支持されている。図5に示すように、ストッパ片部44が第1の搬送路12へ突出した状態においては、上記バネ6はストッパ4の回転中心である軸体42よりも上方に位置し、ストッパ4に矢印Nh方向の引張力を付与する。したがって、上記ストッパ4が図5に示す角度姿勢にあるときには、ストッパ片部44が下降する方向へストッパ4が回転することが上記バネ6の引張力によって阻止されることとなる。また、その際ストッパ4の軸体43は、支持体5の下面部5aに当接するように設定されており、これにより上記ストッパ4が同図矢印Neの反対方向へそれ以上回転することが阻止されている。これに対し、図6に示すように、ストッパ片部44が第1の搬送路12の下方へ没入しているときには、上記バネ6はストッパ4の回転中心である軸体42よりも下方に位置した状態で、ストッパ4に矢印Ni方向の引張力を付与する。したがって、このような状態においてもストッパ4の上下方向の回転は上記引張力によって阻止されることとなり、ストッパ4はその姿勢を維持することとなる。
【0034】
図1において、上記試料検査装置Bは、上記搬送システムAの第2の搬送装置1Bによって搬送される容器20に収容されている試料の成分分析を行うための試料分析装置(図示略)を具備している。この試料分析装置としては、液体クロマトグラフィ等の手法によって試料の所定成分の分析を行うように構成されたものが適用され、たとえば試料が人間の血液などである場合には、血液中のグルコースの濃度を測定するための測定装置、あるいは、血液中のヘモグロビンの種類を分析してその比率を特定するための測定装置などとして構成されている。
【0035】
上記試料検査装置Bには、試料分析装置を用いての試料の分析作業を補助するための装置として、チャッキング装置7や、サンプリング装置8も具備している。上記チャッキング装置7は、容器20をラック2から持ち上げて、容器20の外周面に表示されたバーコードなどを読み取りセンサ70を用いて読み取る作業に利用される。上記バーコードは、試料となる検体の持ち主などを特定するデータを表示するものである。また、上記チャッキング装置7は、容器20に収容された試料を攪拌する作業にも利用される。一方、上記サンプリング装置8は、中空状のニードル80を液送ポンプ81に連結し、これらを水平方向ならびに鉛直方向に移動自在に設けた構成である。容器20内の試料をサンプリングする場合には、上記ニードル80を容器20の上部に装着されたゴム製などの栓体21(たとえば図2参照)に突き刺してその先端部を容器20内に配置させてから、液送ポンプ81の吸引負圧作用によって、容器20内の試料を上記ニードル80内に一定量だけ吸引して取り出すようになっている。
【0036】
次に上記構成の搬送システムA、および試料検査装置Bの作用について説明する。
【0037】
図1に示すように、上記搬送システムAにおいては、第1の搬送装置1A上に複数のラック2が順次供給されることにより、これらのラック2は矢印Na方向に搬送され、第2の搬送装置1B上に順次供給される。第1の搬送装置1Aから第2の搬送装置1Bにラック2が供給されるときには、ストッパ4,4が出没し、ラック2の受け渡し動作が制御される。このようなストッパ4,4の具体的な動作を以下に説明する。
【0038】
まず、図7に示すように、第2の搬送装置1Bの第2の搬送路32に、第1の搬送装置1Aによって搬送されてきたラック2(2a)が存在する場合には、第1の搬送装置1Aによって第2の搬送装置1B側に搬送されてくる他のラックは、上記ラック2(2a)に当接することによってその搬送が阻止される。したがって、このような状態では、図7に示すように、各ストッパ4のストッパ片部44を第1の搬送路12の下方へ没入させておいても何ら不具合はない。なお、本実施形態においては、第1の搬送路12と第2の搬送路32とは略同一高さレベルに設定されている。
【0039】
次いで、このような状態において、第2の搬送装置1B上のラック2をプッシャ30によって矢印Nb方向に搬送すべく移動体34を同方向に移動させる。すると、この移動体34の移動に伴ってピン35が同方向に前進して、このピン35が一方のストッパ4(4A)の下部46に当接し、この下部46を上記矢印Nb方向に押動することとなる。このようにしてストッパ4(4A)が押動されると、図6において説明したとおり、このストッパ4(4A)は回転し、図8に示すように、そのストッパ片部44は第1の搬送路12に突出することとなる。したがって、第1の搬送装置1A上の他のラックは、上記ストッパ片部44に当接することとなるために、第1の搬送装置1Aから第2の搬送装置1B上へ他のラックが不当に供給されることが阻止される。
【0040】
また、図8に示す状態からなおも移動体34が矢印Nb方向に移動すると、他方のストッパ4(4B)も、上記一方のストッパ4(4A)と同様に、ピン35によって押動されて、回転することとなる。その結果、図3に示すように、2つのストッパ4,4(4A,4B)の各ストッパ片部44が第1の搬送路12に突出することとなり、第2の搬送装置1Bによるラック2(2a)の搬送が終了した後においても、第1の搬送装置1Aから第2の搬送装置1B上に他のラックが不当に供給されることが阻止される。上記2つのストッパ4,4の各ストッパ片部44が上方へ突出した姿勢は、図5において説明したバネ6の弾発力によって適切に保持されることとなり、第2の搬送装置1B上への他のラックの不当な供給が確実に防止されることとなる。
【0041】
上記のようにして、第2の搬送装置1Bによってラック2(2a)の搬送が終了した後には、移動体34を上記とは逆向きに移動させ、プッシャ30およびピン35を元の初期位置に復帰させる。この復帰動作時には、ピン35が各ストッパ4の突起部45に当接し、この部分を上記矢印Nb方向とは逆方向(すなわち図5における矢印Nd方向)に押動することとなるために、上記各ストッパ4は、上記バネ6の弾発力に抗して回転する。その結果、移動体34が初期位置に復帰した際には、先の図7に示したように、ストッパ片部44が第1の搬送路12の下方へ没入するように設定される。またこの状態は、バネ6の弾発力によって確実に保持される。このようにして、一対のストッパ4の各ストッパ片部44が没入すれば、第1の搬送路12に存在するラックが第2の搬送路32に供給されることなり、その後第2の搬送装置1Bによってそのラックを所望の位置へ適切に搬送することができる。
【0042】
上記構成の搬送システムAでは、ストッパ4の姿勢制御を、第2の搬送装置1Bの移動体34に連結したピン35によって行わせているために、プッシャ30を動作させるための専用の駆動手段は不要となり、しかもその姿勢制御も非常に容易に行うことが可能となる。移動体34、ピン35、およびストッパ4などの各部の相対的な位置関係を設定しておけば、ストッパ4や移動体34などの位置検出を行うためのセンサなどを何ら必要とすることなく、プッシャ30によるラック2の搬送タイミングに合わせてストッパ4を所定の適正なタイミングで回転させることができ、そのタイミング設定も非常に容易となる。
【0043】
なお、上記第2の搬送装置1Bは、ラック2を矢印Nb方向に所定ピッチずつ間欠移送するが、この間欠移送時には、チャッキング装置7によって容器20がラック2から個々に持ち上げられてバーコートの読み取りなどの所定の処理がなされ、さらにはサンプリング装置8によって容器20内の試料が所定量だけサンプリングされて試料分析装置に供給される。上記搬送システムAでは、第1の搬送装置1A上に複数のラック2をストックさせながら、それらのラック2をひとつずつ第2の搬送装置1B上に供給し、これをチャッキング装置7やサンプリング装置8の設置箇所に供給することができる。したがって、多数の容器20内に収容された大量の試料の分析処理を連続して効率よく実行することができる。
【0044】
上記実施形態においては、第1の搬送装置としてベルトコンベア装置を適用し、また第2の搬送装置としては、プッシャコンベア装置を適用したが、本願発明はこれに限定されない。本願発明では、第1の搬送装置と第2の搬送装置との具体的な種類は限定されない。したがって、本願発明でいう移動部材は、プッシャコンベア装置のプッシャ、あるいはこのプッシャを動作させるための部材に限定されず、それ以外のたとえばベルトコンベア装置のベルトなどであってもかまわない。
【0045】
また、上記実施形態においては、ストッパを第1の搬送路の下方から上方へ出没自在に設けているが、やはり本願発明はこれに限定されない。本願発明では、たとえばストッパを上下方向に出没させるのではなく、ストッパを水平方向に動作可能に設けたうえで、このストッパを第1の搬送路において搬送対象物と当接する位置から当接しない位置へ移動するように設けてもかまわない。
【0046】
その他、本願発明に係る搬送システムおよび試料検査装置の各部の具体的な構成は、上記実施形態に限定されず、種々に設計変更自在である。本願発明に係る搬送システムでは、搬送対象物となる物品の具体的な種類は限定されない。また、ストッパやこのストッパに当接させるための当接用部材の具体的な形状なども限定されない。さらに、本願発明に係る試料検査装置では、試料分析装置の具体的な構成もとくに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明に係る搬送システム、およびこの搬送システムを備えた試料検査装置の一例を示す斜視図である。
【図2】図1のX1−X1断面図である。
【図3】図2のX2−X2断面図である。
【図4】本願発明に係る搬送システムに適用されるストッパの一例を示す分解斜視図である。
【図5】本願発明に係る搬送システムに適用されるストッパの動作状態を示す要部側面図である。
【図6】本願発明に係る搬送システムに適用されるストッパの動作状態を示す要部側面図である。
【図7】本願発明に係る搬送システムの動作状態の一例を示す側面断面図である。
【図8】本願発明に係る搬送システムの動作状態の一例を示す側面断面図である。
【図9】従来の搬送システムの一例を示す平面説明図である。
【図10】図9に示す搬送システムの動作状態の一例を示す平面説明図である。
【図11】従来の搬送システムの他の例を示す平面説明図である。
【図12】図11のX3−X3要部断面図である。
【符号の説明】
1A 第1の搬送装置
1B 第2の搬送装置
2 ラック(搬送対象物)
4 ストッパ
6 バネ(弾性部材)
12 第1の搬送路
20 容器(搬送対象物)
30 プッシャ
32 第2の搬送路
34 移動体(移動部材)
35 ピン(当接用部材)
42 軸体
44 ストッパ片部
A 搬送システム
B 試料検査装置
Claims (5)
- 所望の搬送対象物を搬送可能であり、かつ水平な第1の搬送路を有する第1の搬送装置と、
上記第1の搬送路を搬送されてくる搬送対象物を受け取り可能であるとともにこの搬送対象物を上記第1の搬送路と直交する方向に搬送可能であり、かつ水平な第2の搬送路、およびこの第2の搬送路に沿って往復移動し、一方方向へ移動する際に第2の搬送路上の搬送対象物を押動する移動部材を有する第2の搬送装置と、
上記第1の搬送路を搬送されてくる搬送対象物と当接することによってこの搬送対象物の上記第2の搬送路上への搬送を阻止するストッパと、を具備する搬送システムであって、
上記ストッパは、上記第1の搬送路を搬送されてくる搬送対象物に当接する位置と当接しない位置とに動作可能に設けられており、かつ、
上記第2の搬送装置の移動部材には、この移動部材の一方方向への移動に連動させて上記ストッパを上記搬送対象物に当接する位置に切り換え、他方方向への移動に連動させて上記ストッパを上記搬送対象物に当接しない位置に切り換えるように、上記ストッパに当接する当接用部材が設けられていることを特徴とする、搬送システム。 - 上記第1の搬送装置は、ベルトコンベア装置であり、かつ上記第2の搬送装置は、搬送対象物を押動するプッシャを備えたプッシャコンベア装置である、請求項1に記載の搬送システム。
- 上記ストッパは、上記第1の搬送路よりも下方に設けられた軸体によって回転可能に支持されているとともに、このストッパの回転動作によって上記第1の搬送路の下方から上方への突出動作とその没入動作とを行うストッパ片部を具備しており、かつ、
上記当接用部材は、上記移動部材の移動時に上記ストッパを所定方向に回転させるように上記ストッパの一部に当接可能である、請求項1または2に記載の搬送システム。 - 上記ストッパ片部が上記突出動作と没入動作とをそれぞれ行ったときに、それらの各姿勢を保持するように上記ストッパの回転動作を阻止する方向に上記ストッパに弾発力を付与する弾性部材を具備している、請求項3に記載の搬送システム。
- 請求項1ないし4のいずれかに記載の搬送システムと、試料分析装置とを具備しており、かつ上記搬送システムによって搬送される搬送対象物は、上記試料分析装置によって分析される試料を収容した容器であることを特徴とする、試料検査装置。
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