JP3927090B2 - 建屋内の結露防止装置 - Google Patents

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Description

【0001】
本発明は,建屋内の結露防止装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
OA機器の電気配線などに利用される二重床チャンバに空調空気を供給し,床に設けた吹出し口から室内に給気する床吹出し方式の空調が行われている。このような床吹出し空調設備では,暖房時において,二重床チャンバの下面となるコンクリートスラブの表面に結露が発生することがある。特に寒冷地における暖房運転時に結露が多発しやすい。そして,この結露現象は,カビ発生等の要因となり,また,二重床チャンバに設けられた電気配線などに悪影響を及ぼす可能性がある。そこで二重床チャンバを備えた建屋では,このような冬季などの結露現象を防止するために,従来より,二重床チャンバのスラブ下面に発泡剤を吹付けて断熱する方法,スラブ上面に不透湿性の断熱材を貼る方法,スラブ上面を裸にして夜間に空調機から給気することによりスラブ上面温度を上昇させる方法などが採用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら,二重床チャンバのスラブ下面に発泡剤を吹付ける方法は,非常に有効であるが,スラブ上面が土間の上面であるような場合は,不可能な方法である。このため,建屋内の最下階については施工することができない。
【0004】
また,スラブ上面に断熱材を貼る方法は,断熱材にピンホールなどの透湿箇所が無い状態でスラブ上面に貼り付けなければ,二重床チャンバ内の水分がその箇所からスラブ上面側に移動し,結露を生じてしまう。しかし,二重床チャンバ内には床受け金具などが多数存在し,断熱材にピンホールが全くない状態で施工することが至難であり,また仮に施工できたとしても,二重床チャンバ内でのケーブル設置工事等の後工程により,断熱材を損傷させる可能性が高く,結局結露を生じさせてしまう。特にスラブ上面を断熱するいわゆる「内断熱」の場合,暖房時では,断熱材によって躯体への熱供給が小さくなり,躯体の温度即ちスラブ上面の温度はより外気側へ近づき,低温となる。このため,僅かなピンホールがあっても結露を生じてしまう。
【0005】
また,スラブ上面温度を夜間給気によって上昇させる方法は,結露は防げても,スラブ上面を加熱するために熱負荷が過大になり,エネルギーロスを生じてしまう。また,エネルギーロスにより,室内に供給する給気温度を設定温度に上昇させることができなくなり,空調の目的自体が達成できなくなる心配がある。
【0006】
このため,従来は結露を防ぐために,加湿の運転を中止もしくは中断せざるを得ない場合があった。
【0007】
本発明の目的は,省エネ性と空調機能を損なわずに建屋内の結露を防止できる装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば,床吹出し空調を行う二重床チャンバを備えた建屋内において,建屋内から排出される排気と外部から取り込まれる外気とを顕熱交換させる顕熱交換器を設け,二重床チャンバのスラブ上面を覆う仕切部材を二重床チャンバ内に設けて,顕熱交換器で排気と顕熱交換させた外気を,スラブ上面と仕切部材の間の空間に供給する流路を設けたことを特徴とする,建屋内の結露防止装置が提供される。仕切部材は二重床チャンバ内に設置されて,排気と顕熱交換された外気を二重床チャンバ内の空気と区画する。仕切部材には,小さな開口などはあっても良いが,仕切空間の内部(仕切部材とスラブ上面の間)が正圧に維持されることが望ましい。仕切部材に通気口を開口させ,この通気口を通じてスラブ上面と仕切部材の間の空間から二重床チャンバ内に外気を流出させる構成としても良い。また、仕切部材が金属板または膜材で構成されても良い。また、スラブ上面と仕切部材の間の空間の高さが5〜50mmであっても良い。
【0009】
前記スラブ上面は,土間の上面であっても良い。この場合,スラブの下面は,地上表面(地面)に直接接していても良いし,スラブの下面と直接接する地上表面(地面)に砂利などが敷いてあっても良い。また,排気と顕熱交換させた外気を,二重床チャンバに対して冷暖房装置で温度調節した空調空気を供給する位置のなるべく近くに供給しても良い。
【0010】
また,顕熱交換器で排気と顕熱交換させた外気を,スラブ上面と仕切部材の間の空間と窓近傍の室内側にそれぞれ分けて供給しても良い。この場合,同一の顕熱交換で温度上昇した低露点の外気を,スラブ上面と仕切部材の間と窓近傍に分けて供給すると良い。
【0011】
本発明にあっては,例えば冬季などにおいて,建屋内から排出される高温の排気と,外部から取り込まれる低温の外気とを顕熱交換器で熱交換させることにより,排気中からの水分の移動が無い状態で外気を温度上昇させ,低露点空気を作る。そして,この温度上昇した低露点空気を,建屋内において暖房時に結露を発生しやすい箇所である二重床チャンバのスラブ上面や窓面に供給し,それらの箇所での結露を防止する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下,本発明の好ましい実施の形態を図面を参照にして説明する。図1は,本発明の実施の形態にかかる結露防止装置1を備えた建屋2の概略的な構造を示す縦断面図であり,図2は,結露防止装置1の構成を示した斜視図である。
【0013】
建屋2の内部には,床吹出し方式によって空調が行われる室10が形成されている。図示の形態では,室10として,通常のオフイス空間などを例示している。天井11と床12の間に形成された室10の内部には,OA機器類などを操作する在室者13がいる。
【0014】
天井11には,冷暖房用の吸気口20,加湿用の吸気口21及び給気口22,排気用の吸気口23及び外気供給用の給気口24が設けてある。天井11の上方(天井裏)には,天井チャンバ25が形成されており,この天井チャンバ25の内部に,冷暖房装置26,加湿装置27,全熱交換装置28及び顕熱交換装置29が配置してある。
【0015】
建屋2の内部において,室10の一側方(図1に示す例では,室10の左側方)の外側には,給気ダクト30が形成されている。図示の例では,給気ダクト30は,室10の左側方の横幅いっぱいに形成されている。また,室10の他側面(図1に示す例では,室10の右側面)には,窓31が形成されている。窓31の外側には,外気が接触している。図2に示すように,室10の内部において,窓31の上方には,窓31の内面に沿って下向きに空気を流すためのスリット32が配置されている。後述するように,窓31の内面に沿って,このスリット32から温度上昇した低露点外気OA’を下向きに送風するようになっている。スリット32は窓31の幅とほぼ同じ長さ(幅)を有し,その吹出開口部は窓31に向けて引き絞られた形状とされ,窓31に沿ったコアンダ気流が形成されるようになっている。
【0016】
床12には,床吹出し空調用の給気口35が複数箇所に設けてある。床12の下方(床下)には,OA機器の電気配線などに利用される二重床チャンバ36が形成されている。二重床チャンバ36は,床12の下方全体に形成されている。二重床チャンバ36の一側方(図1に示す例では,二重床チャンバ36の左側方)は,前述の給気ダクト30の下部と連通している。二重床チャンバ36の下面となるスラブ37と床12の間には,床12を支えるための支持部材38が複数箇所に配置してある。そして,これら支持部材38によって,スラブ37の上面から適当な間隔を開けて上方に床12を支持している。図示の室10は,例えば建屋2の最下階であり,室10の下面(スラブ37の下面)が地上40に直接接することにより,スラブ37の上面は,いわゆる土間の上面になっている。なお,スラブ37の下面と直接接する地上40表面(地面)には,砂利などが敷いてある。
【0017】
スラブ37の上面は,仕切部材45によって覆われており,二重床チャンバ36の内部において,これらスラブ37と仕切部材45の間に空間46が形成されている。仕切部材45には,例えばアルミ板などの金属板,膜材などが利用できる。図示の例では,スラブ37の上面には,断熱材47が敷き詰められており,空間46は,この断熱材47の上面と仕切部材45の下面との間に形成されている。この空間46の厚さ(高さ)は,例えば5〜50mm程度である。
【0018】
図3は,二重床チャンバ36の部分的な拡大図である。この図3に示す例では,仕切部材45は,角波鋼板などで構成されており,そのような仕切部材45を,断熱材47の上に載せることにより,両者の間に空間46が形成されている。また,二重床チャンバ36内には,仕切部材45の上方に電気配線48などが設置されている。
【0019】
図2に示すように,二重床チャンバ36の内部において,仕切部材45の両側には,二重床チャンバ36の横幅いっぱいに形成された給気ヘッダ50が配置してある。後述するように,これら給気ヘッダ50を介して,断熱材47の上面と仕切部材45の下面の間に形成された空間46に,室10内空気の温度を取得して温度上昇した低露点外気OA’(以下,単に「低露点外気OA’」という)を供給するようになっている。仕切部材45のほぼ中央には,通気口51が適当箇所に開口している。後述するように,これらを通じて,空間46から二重床チャンバ36の内部に,温度上昇した低露点外気OA’が流出するようになっている。空間46は,低温となるスラブ37と,室10内を暖房すべく高温にされた空気との間を緩衝する空間として作用し,スラブ37の温度よりは高く,室10内を暖房する空気よりは低温の空気が,空間46の中に導入される。
【0020】
次に,室10上方の天井チャンバ25内に配置された冷暖房装置26は,温調器55とファン56を備えている。図示はしないが,温調器55には,熱媒が循環供給されている。ファン56の出口と給気ダクト30上部の間には,動圧回収器としてのディフューザ57が接続してある。そして,ファン56の稼動により,室10内の空気を,天井11に設けた吸気口20から冷暖房装置26内に引き込み,温調器55によって加熱もしくは冷却することにより温度調節し,こうして作った空調空気をディフューザ57を介して給気ダクト30の上部に供給するようになっている。給気ダクト30は,天井チャンバ25から二重床チャンバ36に連通する竪ダクトを形成している。
【0021】
ファン56の稼動で冷暖房装置26から吐出された空調空気は,末広がり形状のディフューザ57を通過する際に,徐々に減速されて室10の左側方の横幅いっぱいに広がったゆっくりとした流れとなり,運動エネルギを圧力エネルギに変換した状態で,給気ダクト30内に供給される。こうして供給された空調空気が,給気ダクト30内を横幅いっぱいに広がりながら下方にゆっくりと移動するようになっている。一方,給気ダクト30内を下まで移動した空調空気は,給気ダクト30の下部と連通している二重床チャンバ36内に移動する。こうして,冷暖房装置26で温度調節された空調空気が,二重床チャンバ36の内部全体に速やかに広がって,床12に設けられた給気口35から,室10内に給気SAされ,床吹き出し方式によって室10内の空調が行われるようになっている。
【0022】
加湿装置27は,エレメント60とファン61を備えている。エレメント60には,水が供給されている。そして,ファン61の稼動により,室10内の空気を,天井11に設けた吸気口21から加湿装置27内に引き込み,その空気をエレメント60に通過させることにより加湿し,加湿された空気を天井11に設けた給気口22から再び室10内に給気SAするようになっている。
【0023】
全熱交換装置28は,全熱交換器(素子)65と,給気用のファン66及び排気用のファン67を備えている。給気用のファン66の稼動により,外気OAを,流路68を介して全熱交換装置28内に引き込み,その空気を全熱交換器65に通過させることにより,排気EAと全熱交換させて熱回収し,これにより加熱もしくは冷却された空気を流路69に送って,天井11に設けた給気口24から室10内に給気SAするようになっている。また,排気用のファン67の稼動により,室10内の空気を,天井11に設けた吸気口23から流路70を介して全熱交換装置28内に引き込み,その空気を全熱交換器65に通過させることにより,外気OAと全熱交換させて熱回収させ,その後,流路71を介して排気EAするようになっている。
【0024】
顕熱交換装置29は,顕熱交換器(素子)75と,給気用のファン76及び排気用のファン77を備えている。給気用のファン76の稼動により,外気OAを,流路78を介して顕熱交換装置29内に引き込み,その空気を顕熱交換器75に通過させることにより,排気EAと顕熱交換させて熱回収させる。そして,これにより加熱もしくは冷却された空気(低露点外気OA’を含む)を,流路79及び流路80を通して,二重床チャンバ36の内部に形成された断熱材47の上面と仕切部材45の下面の間の空間46に供給すると共に,流路81を通して,スリット32から窓31の内面に沿って下向きに送風し,窓31近傍の室10内側に空気を供給するようになっている。また,排気用のファン77の稼動により,室10内の空気を,天井11に設けた吸気口23から流路85を介して顕熱交換装置29内に引き込み,その空気を顕熱交換器75に通過させることにより,外気OAと顕熱交換させて熱回収し,その後,流路86を介して排気EAするようになっている。顕熱交換器75は,金属壁等の伝熱性に優れ,かつ透湿性のない隔壁で隔てられた空気/空気の熱交換器であり,外気OAと排気EAを,水分を移動させずに熱交換させることが可能である。
【0025】
さて,以上のような結露防止装置1を備えた建屋2において,例えば冬季などに暖房運転を行う場合,天井チャンバ25内に配置された冷暖房装置26では,温調器55に温熱媒が循環供給される。そして,ファン56の稼動により,室10内の空気を天井11に設けられた吸気口20から吸い込んで温調器55によって加熱し,その加熱された空調空気を給気ダクト30を介して二重床チャンバ36内に供給する。これにより,二重床チャンバ36内が陽圧となって,床12に設けられた給気口35から室10内に給気SAされ,床吹き出し方式によって室10内の暖房空調が行われる。この場合,ファン56出口と給気ダクト30上部の間にディフューザ57が接続されていることにより,損失の少ない状態で運動エネルギを圧力エネルギに変換することができ,給気ダクト30内を横幅いっぱいに広がりながら流下した空調空気を,二重床チャンバ36の内部全体に円滑に供給することができる。これにより,室10内全体をむらなく床吹き出し方式によって暖房空調することができる。
【0026】
また,加湿装置27では,ファン61の稼動により,室10内の空気を天井11に設けた吸気口21から吸い込み,エレメント60に通過させることにより加湿し,加湿された空気を天井11に設けた給気口22から再び室10内に給気SAする。これにより,室10内を加湿し,室10内雰囲気を適度な湿度に保つ。
【0027】
また,全熱交換装置28では,給気用のファン66の稼動により,外気OAを流路68を介して吸い込み,一方で,排気用のファン67の稼動により室10内の空気を吸気口23,流路70を介して全熱交換器65に通過させた後,流路71を介して建屋2の外部に排気EAする。これにより,全熱交換器65にて外気OAと排気EAと全熱交換させて排気EAから温熱を回収し,加熱された空気を流路69を通って天井11に設けた給気口24から室10内に給気SAする。こうして,室10内の換気が行われる。
【0028】
そして,顕熱交換装置29では,給気用のファン76の稼動により,外気OAを流路78を介して吸い込み,一方で,排気用のファン77の稼動により,室10内の空気を吸気口23,流路85から顕熱交換器75に通過させた後,流路86を介して排気EAする。こうして,顕熱交換器75にて外気OAと排気EAを顕熱交換させて排気EAから温熱を回収する。冬季などにあっては,外気OAは低温,低湿であるため,低湿度の外気OAを顕熱交換器75にて排気EAと顕熱交換させ,排気EAから外気OAへの水分の移動のない状態で外気OAを加熱することにより,温度上昇した低露点外気OA’を作り出すことができる。この場合,空気乾球温度は,外気OAの温度TOA<低露点外気OA’の温度TOA’<顕熱交換前の排気EAの温度(室温)Tとなる。例えば,顕熱交換器75の外気OA側効率を70%,外気OAの温度TOAが−5℃,室温Tが22℃であれば,低露点外気OA’の温度TOA’=(T−TOA)×0.70+TOA=(22+5)×0.7−5≒13.9℃となる。こうして得た低露点外気OA’を,流路79及び流路80を通して,二重床チャンバ36の内部に形成された断熱材47の上面と仕切部材45の下面の間の空間46に供給する。これにより,二重床チャンバ36の下面となるスラブ37の上面は,低湿度に保たれ,結露発生が防止される。こうして,カビ発生や電気配線48などの破損などを回避できるようになる。
【0029】
また,顕熱交換器75で作られた低露点外気OA’を,流路81を介してスリット32から吐出させ,室10内において窓31の内面に沿って下向きに送風する。これにより,窓31内面の結露発生も防止できるようになる。このように,顕熱交換器75を出た低露点空気OA’は,断熱材47の上面と仕切部材45の下面の間の空間46と,窓31の室10内側近傍に,それぞれ分けて供給される。
【0030】
なお,二重床チャンバ36内に設けた空間46に低露点外気OA’を供給する場合,断熱材47の上面と仕切部材45の下面の間の距離(空間46の厚さ)を5〜50mm程度にしておけば,空間46に対して低露点外気OA’を少量送風することで,スラブ37上面の結露発生を有効に防止することができる。顕熱交換装置29の処理能力は,室10内に換気として取り込まれる外気量の1/20〜1/5程度で良く,その他の外気の処理は全熱交換装置28で処理すれば良い。また,こうして空間46に供給された低露点外気OA’は,仕切部材45のほぼ中央に開口した通気口51から二重床チャンバ36の内部に流出するが,前述したようにスラブ37の上面を断熱材47で覆っておくことにより,空間46を流通する低露点外気OA’の温度低下が軽減される。この場合,空間46内から二重床チャンバ36内に流出する低露点外気OA’は少量であるため,低露点外気OA’は,通気口51から出た後,二重床チャンバ36の内部において速やかに昇温され,二重床チャンバ36内の温度均一性が保たれる。このように空間46への低露点外気OA’の供給量を少なくし,その温度低下を軽減させることで,暖房運転時における熱負荷をより少なくすることができるようになる。
【0031】
また,流路79及び流路80から空間46に低露点外気OA’を供給する場合,図2に示したように,二重床チャンバ36の横幅いっぱいに形成された給気ヘッダ50から空間46に低露点外気OA’を供給することにより,断熱材47の上面と仕切部材45の下面の間に形成された空間46全体に,低露点外気OA’を薄い空気層として速やかに供給することができる。これにより,少ない供給量であっても,空間46内全体にむらなく低露点外気OA’を行渡らせることができ,スラブ37上面全体について結露発生を効率良く防止できるようになる。この場合,仕切部材45としてアルミニウムなどの金属製のものを適用すると良い。仕切部材45は,空調空気に曝露され続け,しかも断熱材47の上面に敷設されているため,ここで結露する心配はない。なお,給気ヘッダ50と仕切部材45の接合部は次のように処理できる。量産品とする場合は,仕切部材45の形状にあわせ給気ヘッダ50を型抜きして製造する。あるいは,仕切部材45の山部の高させ合わせて給気ヘッダ50の壁部を形成し,その後,仕切部材45の谷部を底板とパテで塞ぐ,などといった構成としても良い。
【0032】
また,空間46に対して低露点外気OA’を供給する位置は,冷暖房装置26から二重床チャンバ36内に空調空気を供給する位置に近いなるべく上流側に設定すると,気流方向の温度ムラに対して良好である。即ち,冬季などの暖房運転時において,冷暖房装置26にて加熱した空調空気を二重床チャンバ36内に供給する場合,二重床チャンバ36内の空調空気中における温度分布は,空調空気の供給位置に近い上流側では高温となり,空調空気の供給位置から離れた下流側(二重床チャンバ36の奥側)では低温となる。二重床チャンバ36内に供給された空調空気と二重床チャンバ36の下面となるスラブ37上面との温度差について考えれば,二重床チャンバ36に対する空調空気の供給位置に近い上流側ほど温度差が大きいため,スラブ37上面に結露を生じやすくなり,空調空気の供給位置から離れた下流側ほど温度差が小さくなって結露を生じにくくなる。空間46に対して低露点外気OA’を供給する位置を,冷暖房装置26から二重床チャンバ36内に空調空気を供給する位置に近い位置に設定すれば,そのような温度差を緩和することができ,結露発生を防止できる。
【0033】
例えば図1に基いて説明すると,二重床チャンバ36の内部において,冷暖房装置26で加熱された空調空気が供給される左側(上流側)では,空調空気とスラブ37上面との温度差が大きくなって結露を生じやすく,右側(下流側)では,温度差が小さくなって結露を生じにくい。そこで,二重床チャンバ36に対して空調空気が供給される位置に近いなるべく上流側(図示の例では,二重床チャンバ36の左側)において,顕熱交換装置29によって温度上昇させた低露点外気OA’を空間46に供給することが望ましい。そうすれば,スラブ37上面に最も結露を生じやすい位置である空調空気の供給位置に,顕熱交換装置29によって温度上昇させた低露点外気OA’を,未だ高温の状態で供給することにより,空調空気の供給位置における結露発生も有効に防止できるようになる。また,例えば図1について言えば,給気ダクト30に近い流路79を流れる空気量を,流路80のそれより多くするとよい。
【0034】
また,このように二重床チャンバ36に対する空調空気の供給位置に近い上流側にて空間46に供給された低露点外気OA’は,その後,スラブ37上面で冷却されて徐々に温度低下しながら空間46内を移動し,仕切部材45のほぼ中央に形成された通気口51から二重床チャンバ36の内部に流出することとなる。このため,二重床チャンバ36に対する空調空気の供給位置から離れた位置では,低露点外気OA’の温度は,空間46に供給された直後の温度(顕熱交換装置29によって温度上昇させられたままの,未だ高温の状態の低露点外気OA’の温度)に比べて低温となる。しかしながら,二重床チャンバ36内に供給された空調空気も,二重床チャンバ36内を移動する間に温度低下を生じ,二重床チャンバ36に対する空調空気の供給位置から離れるに従って二重床チャンバ36内の空調空気の温度も低下する。これにより,二重床チャンバ36に対する空調空気の供給位置から離れるに従って空調空気とスラブ37上面との温度差も小さくなり,結露を生じにくくなる。このため,温度低下した低露点外気OA’によっても充分に結露を防止することができるようになる。なお,図1に示す例では,二重床チャンバ36の内部において,冷暖房装置26で加熱された空調空気が供給される左側(上流側)の他,空調空気の供給位置と反対となる位置(右側)においても空間46に対して低露点外気OA’を供給しているが,いずれにしても,冷暖房装置26から二重床チャンバ36内に空調空気を供給する位置に近いなるべく近い上流側において,空間46に対して低露点外気OA’を供給するのが良い。
【0035】
また,この実施の形態で示したように,全熱交換装置28と顕熱交換装置29を用いて外気OAを処理する場合,例えば冬季などの暖房時において,室10内の空調運転中,顕熱交換装置29は継続して運転を行うことにより,空間46内に低露点外気OA’を供給し続ける。一方で,全熱交換装置28は,室10内のCO濃度や人員数によって適宜運転をON/OFFし,全熱交換装置28の運転を必要に応じて制御しても良い。この場合,CO濃度センサなどの検出値により全熱交換装置28の運転を自動発停すると便利である。また,全熱交換装置28が複数台数あるような場合は,その稼動台数を制御しても良い。
【0036】
以上,本発明の一例を説明したが,本発明はここに例示した形態に限定されない。例えば,二重床チャンバ36の内部において,スラブ37の上面に空間46を形成するための仕切部材45は,図3で説明したような角波鋼板や波形鋼板などに限られない。例えば図4に示すように,二重床チャンバ36の内部において,フッ素樹脂などの不燃材シートからなる仕切部材45によってスラブ37の上面を覆い,スラブ37と仕切部材45の間に空間46を形成することもできる。この場合,スラブ37と仕切部材45の密着を防いで適度な空間46を形成できるように,スラブ37と仕切部材45の間に,パイプなどのクリアランス部材100を介在させると良い。また,仕切部材45の上面には,適当な重し101を載せて,クリアランス部材100が不用意に剥れないようにすると良い。このような不燃材シートを用いた空間46は,既存の二重床チャンバ36の内部においても容易に施工でき,メンテナンスも容易である。仕切部材45として用いる不燃材シートは,帯電防止性能を有することが望ましい。そうすれば,ごみの付着を少なくできる。
【0037】
このようにスラブ37の上面において,各種波形鋼板や不燃材シートを用いて形成される空間46の厚さ(高さ)は,二重床チャンバ36全体の高さにもよるが,5〜50mm程度とし,外気OA’の供給量を少なくすることが好ましい。また,仕切部材45の気密性を良くすれば,外気OA’の供給量をより少なくすることができる。このため,各種波形鋼板や不燃材シートの継目部分は,アルミテープなどで目張りすると良い。また,床12を支えるための支持部材38などが二重床チャンバ36内に存在する場合は,それらの周りも目張りを施すと良い。
【0038】
また,二重床チャンバ36の高さに余裕がある場合は,図5に示すように,スラブ37の上面に複数枚の仕切部材45を重ねて配置することにより,スラブ37の上面に空間46を複数層に形成し,顕熱交換装置29にて作り出した低露点外気OA’を,流路79を通して,最も下層となる空間46に供給するように構成すると良い。こうして供給された低露点外気OA’は,最も下層の空間46内全体を移動した後,順次上層の空間46内全体を移動してから,二重床チャンバ36の内部に流出することとなる。このようにスラブ37の上面に空間46を複数層に形成することにより,顕熱交換器75の熱交換効率を低下させても,スラブ37上面の結露発生をより確実に防止できるようになり,省エネ性も向上する。例えば空間46を5〜10層とすれば,イセンシー(効率)η=0でも結露発生を防止できるようになる。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば,例えば冬季などの暖房運転時において,スラブ上面や窓面での結露を,省エネルギで防止することができ,カビ発生やケーブル破損などの問題も回避できる。また,結露による水分低下が無いので,室内湿度を上昇させることができ,冬季などの静電気問題も軽減される。また,土間上スラブにおいても結露発生を防止でき,土間上の部屋でも二重床チャンバを形成して,床吹出し方式の空調が可能となる。このため,部屋の使用用途が広がる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかる結露防止装置を備えた建屋の概略的な構造を示す縦断面図である。
【図2】本発明の実施の形態にかかる結露防止装置の構成を示した斜視図である。
【図3】二重床チャンバの部分的な拡大図である。
【図4】不燃材シートからなる仕切部材によってスラブ上面に空間を形成した二重床チャンバの部分的な拡大図である。
【図5】スラブの上面に空間を複数層に形成した本発明の実施の形態にかかる結露防止装置の構成を示した斜視図である。
【符号の説明】
OA 外気
OA’ 温度上昇した低露点の外気
EA 排気
SA 給気
1 結露防止装置
2 建屋
10 室
11 天井
12 床
25 天井チャンバ
26 冷暖房装置
27 加湿装置
28 全熱交換装置
29 顕熱交換装置
30 還気ダクト
31 窓
32 ノズル
36 二重床チャンバ
37 スラブ
40 地上
45 仕切部材
46 空間
47 断熱材
50 給気ヘッダ
57 ディフューザ
65 全熱交換器
68,69,70,71,78,79,80,85,86 流路
75 顕熱交換器

Claims (6)

  1. 床吹出し空調を行う二重床チャンバを備えた建屋内において,建屋内から排出される排気と外部から取り込まれる外気とを顕熱交換させる顕熱交換器を設け,スラブ上面を覆う仕切部材を二重床チャンバ内に設けて,顕熱交換器で排気と顕熱交換させた外気を,スラブ上面と仕切部材の間に供給する流路を設けたことを特徴とする,建屋内の結露防止装置。
  2. 仕切部材に通気口を開口させ,この通気口を通じてスラブ上面と仕切部材の間の空間から二重床チャンバ内に外気を流出させる構成としたことを特徴とする,請求項1に記載の建屋内の結露防止装置。
  3. 仕切部材が金属板または膜材で構成されることを特徴とする,請求項1又は2に記載の建屋内の結露防止装置。
  4. スラブ上面と仕切部材の間の空間の高さが5〜50mmであることを特徴とする,請求項1〜3のいずれかに記載の建屋内の結露防止装置。
  5. 排気と顕熱交換させた外気を,二重床チャンバに対して冷暖房装置で温度調節した空調空気を供給する位置のなるべく近くに供給することを特徴とする,請求項1〜4のいずれかに記載の建屋内の結露防止装置。
  6. 顕熱交換器で排気と顕熱交換させた外気を,スラブ上面と仕切部材の間の空間と窓近傍の室内側にそれぞれ分けて供給することを特徴とする,請求項1〜5のいずれかに記載の建屋内の結露防止装置。
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