JPH09196445A - ビルの空調設備 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】空調のための設備コストを低減させかつ省エネ
ルギー化を図ると共に、建物の有効床面積を増大させ
る。 【構成】ビル１の各階フロアＦ１、Ｆ２… …Ｆｎを垂
直に貫通するように構築された給気用シャフト３及び排
気シャフト４と、前記各階フロアの天井に形成された給
気用チャンバ２と、ビルの屋上又は地下室に設置され前
記給気用シャフトに接続された空調機１２と、前記給気
用チャンバに配設され給気用シャフトから各階フロアに
空気を供給するための給気用ファン５、６と、前記給気
用シャフト又は排気用シャフト内に収納された各種配管
８、９及び電気配線１０と、前記給気用シャフトに配置
された圧力センサ１６と、前記各階フロアに配置された
温度センサ１８とを備え、前記圧力センサにより給気用
シャフト内を僅かに加圧するように空調機を制御し、前
記給気用ファンを前記温度センサにより制御する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、中規模ないし大規
模ビルに好適に適用される空調設備の技術分野に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】ビルの空調方式において、各階毎或いは
各部屋毎に空調機を設置する個別分散方式は、設備の台
数が増加し又各階毎或いは各部屋毎の最大負荷に対応可
能にするため設備コストが増大するという欠点を有し、
そのため、例えばビルの屋上に一台の空調機を設置する
とともに、ビルの屋上から１階まで垂直ダクトを設け、
空調機で製造された冷温風を垂直ダクトに供給し、各階
には、垂直ダクトから風量調整用ダンパの制御により供
給するセントラル方式が知られている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のセントラル方式においては、各階に所望の冷温風を
供給するためには、空調機で製造された冷温風を相当の
圧力で垂直ダクトに供給しなければならないため大きな
送風機動力が必要となり、また、送風経路の各所で冷温
風がリークしやすく無駄なエネルギーを消費するという
問題を有している。また、空調機から送られる冷温風は
周囲温度との温度差が大きいので、ダクトの断熱が不充
分であるとその温度差により結露が発生するという問題
を有している。

【０００４】一方で、高層ビルには各階床を貫通してエ
レベータ用、空調ダクト用、給排水用、電源、通信用等
のための幾つかのシャフトが設けられている。これらの
シャフトには、メンテナンスのために人間が出入りでき
る空間を設ける必要があるため、これらシャフト及びメ
ンテナンス空間の占有面積が増加し、建物の有効床面積
が減少してしまうという問題を有している。

【０００５】本発明は、上記問題を解決するものであっ
て、空調のための設備コストを低減させかつ省エネルギ
ー化を図ると共に、建物の有効床面積を増大させること
ができるビルの空調設備を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】そのために本発明のビル
の空調設備は、ビル１の各階フロアＦ１、Ｆ２… …Ｆ
ｎを垂直に貫通するように構築された給気用シャフト３
及び排気シャフト４と、前記各階フロアの天井に形成さ
れた給気用チャンバ２と、ビルの屋上又は地下室に設置
され前記給気用シャフトに接続された空調機１２と、前
記給気用チャンバに配設され給気用シャフトから各階フ
ロアに空気を供給するための給気用ファン５、６と、前
記給気用シャフト又は排気用シャフト内に収納された各
種配管８、９及び電気配線１０と、前記給気用シャフト
に配置された圧力センサ１６と、前記各階フロアに配置
された温度センサ１８とを備え、前記圧力センサにより
給気用シャフト内を僅かに加圧するように空調機を制御
し、前記給気用ファンを前記温度センサにより制御する
ことを特徴とする。なお、上記構成に付加した番号は、
本発明の理解を容易にするために図面と対比させるため
のもので、これにより本発明の構成が何ら限定されるも
のではない。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を図面を
参照しつつ説明する。図１および図２は本発明のビルの
空調設備の１例を示し、図１は全体構成を示す模式図、
図２は図１の空調設備の実際の例を示す水平断面図であ
る。

【０００８】図１及び図２において、ビル１は、各階フ
ロアＦ１、Ｆ２… …Ｆｎと、各階フロアＦ１〜Ｆｎの
天井の一部に形成された給気用チャンバ２と、各階フロ
アＦ１〜Ｆｎを垂直に貫通する給気用シャフト３及び排
気用シャフト４を有している。給気用シャフト３及び排
気用シャフト４は、ビル１の躯体コンクリート工事で予
め構築するもので、従来のスチール製ダクトと比較して
シャフト断面積を大きくすることが可能である。

【０００９】各階の給気用チャンバ２には、給気用シャ
フト３から空気を吸引し、各階フロアＦ１、Ｆ２… …
Ｆｎに空気を送り込むための給気用ファン５、６を配設
し、また、排気用シャフト４には、各階フロアＦ１、Ｆ
２… …Ｆｎの空気を排気するための排気用ファン７を
配設している。なお、排気用ファン７を設けなくてもよ
い。給気用シャフト３内には、給水管８、排水管９、電
源、通信用等の電気配線１０及び端子盤等を収納すると
共に、給気用シャフト３及び排気用シャフト４内には、
各階フロアＦ１、Ｆ２… …Ｆｎに連通するメンテナン
ス用デッキ１１を設けている。なお、各種配管および電
気配線を排気用シャフト４に収納してもよく、また、両
方に分けて収納するようにしてもよい。

【００１０】ビル１の屋上又は地下室には空調機１２が
設置され、給気用シャフト３には空調機１２から空調エ
アが供給され、排気用シャフト４には排気用ファン１３
が接続される。空調機１２の外気吸引側には、全熱交換
器１４を配置し、外気と排気の顕熱及び潜熱を熱交換さ
せるように構成している。給気用シャフト３には圧力セ
ンサ１６を配置すると共に、各階フロアＦ１、Ｆ２…
…Ｆｎには温度センサ１８を配置し、空調機１２から給
気用シャフト３への送風量のコントロールは、給気用フ
ァン１５を圧力センサ１６により制御することにより行
い、各階フロアＦ１、Ｆ２… …Ｆｎの必要個所への送
風量のコントロールは、給気用ファン、５、６を温度セ
ンサ１８により制御することにより行う。

【００１１】なお、上記実施例においては、空調機１２
を屋上に設けているが地下に設けてもよく、各階フロア
Ｆ１、Ｆ２… …Ｆｎに空調機を設ける場合と比較して
メンテナンス及び更新が容易となる。また、空調機１２
は１台に限定されるものではなく、ビルの熱負荷により
決定され、その場合、需要に応じて台数を増減させるこ
とも可能である。なお、図２において、１９はエレベー
タシャフトを示す。

【００１２】上記構成からなる本発明の作用について説
明する。本発明においては、給気用シャフト３内を僅か
に加圧するよう空調機１２の給気用ファン１５を制御
し、給気用ファン５、６により各階フロアＦ１、Ｆ２…
…Ｆｎの必要個所にエアを供給する。従って、従来の
ように相当の圧力で給気用シャフト３に供給する方式と
比較して、送風経路の各所での冷温風のリークがなくな
り、結露の発生を防止できると共に、無駄なエネルギー
消費をなくすことができる。また、給気用シャフト３お
よび給気用チャンバ２内を加圧する方式であるため、火
災時においては煙が各階フロアＦ１、Ｆ２… …Ｆｎか
ら排気用シャフト４に排煙され、煙が避難経路に流れる
のを防止することができる。

【００１３】また、冬季、外気と室内の空気の比重差お
よびビルの高さに起因する煙突効果により、外気の侵入
量が多く暖房が効かない問題や、侵入した外気はエレベ
ータシャフトに強力な勢いで吸い込まれるため、不快な
気流感や鳴音の発生、或いはエレベータ扉の開閉障害が
問題となっているが、本発明によれば、ビル内全体を加
圧制御する方式であるため、これらの弊害を防止するこ
とができる。

【００１４】さらに、本発明においては、給気用シャフ
ト３及び排気用シャフト４のいずれかに、各種配管およ
び電気配線を収納すると共に、各階フロアＦ１、Ｆ２…
…Ｆｎに連通するメンテナンス用デッキ１１を設けて
いるので、従来のように各種配管および電気配線毎にシ
ャフト及びデッキ空間を設ける場合と比較して、建物の
有効床面積を増大させることができる。また、各種配管
および電気配線の増設、更新への対応も容易となる。

【００１５】図３は、本発明のビルの空調設備の他の例
である全体構成を示す模式図である。なお、図１の例と
同一の構成については同一番号を付けて説明を省略す
る。本例においては、空調機を冷温風発生用の空調機１
２Ａと冷温水発生用の熱源機１２Ｂの２系統とし、各給
気用チャンバ２の入口に冷温水コイル２０を配置すると
共に、給気用シャフト３内に冷温水配管２１、２２を配
設し、各冷温水コイル２０を冷温水配管２１、２２を介
して冷温水ポンプ２３に接続するように構成している。

【００１６】本例によれば、空調機機１２Ａによる冷温
風を冷温水コイル２０により冷却又は加熱するので、給
気用シャフト３内の温度を冷房時には高めに、暖房時に
は低めという中間温度に設定でき、その結果、周囲との
温度差が減少し結露防止のための給気用シャフト３の断
熱工事を省略することができ、また、中間温度の給気用
シャフト３内に冷温水配管２１、２２を配設するため、
冷温水配管２１、２２を断熱材で巻く必要もなくなると
いう効果を有する。

【００１７】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
においては、空調機を各階フロアに設けずに集中配置す
るため、メンテナンス及び更新が容易となり、また、需
要に応じて台数を増減させることが可能となる。また、
給気用シャフト内の送風量を僅かに加圧するよう制御す
るので、垂直シャフトの断熱性、気密性を特別に高めな
くても（即ち建築工事で構築したダクトを用いても）送
風経路の各所での冷温風のリークが少なくなり、結露の
発生を防止できると共に、無駄なエネルギー消費をなく
すことができる。さらに、火災時においては煙が避難経
路に流入することを防止する加圧防煙システムとしても
作用させることができる。

【００１８】さらに、本発明においては、給気用シャフ
ト及び排気用シャフトのいずれかに、各種配管および電
気配線を収納すると共に、各階フロアに連通するメンテ
ナンス用デッキを設けているので、建物の有効床面積を
増大させることができると共に、各種配管および電気配
線の増設、更新への対応も容易となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のビルの空調設備の１例である全体構成
を示す模式図である。

【図２】図１の空調設備の実際の例を示す水平断面図で
ある。

【図３】本発明のビルの空調設備の他の例である全体構
成を示す模式図である。

【符号の説明】

１…ビル、２…給気用チャンバ、３…給気用シャフト、
４…排気用シャフト ５、６、１５…給気用ファン、７、１３…排気用ファ
ン、８、９…給排水管 １０…電気配線、１１…メンテナンス用デッキ、１２…
空調機 １４…全熱交換器、１６…圧力センサ、１８…温度セン
サ １２Ａ…冷温風発生用の空調機、１２Ｂ…冷温水発生用
の熱源機 ２０…冷温水コイル、２１、２２…冷温水配管、２３…
冷温水ポンプ

フロントページの続き (72)発明者 熊野直人 東京都港区芝浦一丁目２番３号 清水建設 株式会社内 (72)発明者 芳賀陽一 東京都港区芝浦一丁目２番３号 清水建設 株式会社内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ビルの各階フロアを垂直に貫通するように
   構築された給気用シャフト及び排気シャフトと、前記各
   階フロアの天井に形成された給気用チャンバと、ビルの
   屋上又は地下室に設置され前記給気用シャフトに接続さ
   れた空調機と、前記給気用チャンバに配設され給気用シ
   ャフトから各階フロアに空気を供給するための給気用フ
   ァンと、前記給気用シャフト又は排気用シャフト内に収
   納された各種配管及び電気配線と、前記給気用シャフト
   に配置された圧力センサと、前記各階フロアに配置され
   た温度センサとを備え、前記圧力センサにより給気用シ
   ャフト内を僅かに加圧するように空調機を制御し、前記
   給気用ファンを前記温度センサにより制御することを特
   徴とするビルの空調設備。
2. 【請求項２】ビルの各階フロアを垂直に貫通するように
   構築された給気用シャフト及び排気シャフトと、前記各
   階フロアの天井に形成された給気用チャンバと、ビルの
   屋上又は地下室に設置され前記給気用シャフトに接続さ
   れた冷温風発生用の空調機と、ビルの屋上又は地下室に
   設置された冷温水発生用の熱源機と、前記給気用チャン
   バに配設され給気用シャフトから各階フロアに空気を供
   給するための給気用ファンと、前記給気用チャンバに配
   設され前記冷温水発生用の熱源機に接続された冷温水コ
   イルと、前記給気用シャフト内に収納された各種配管及
   び電気配線と、前記給気用シャフトに配置された圧力セ
   ンサと、前記各階フロアに配置された温度センサとを備
   え、前記圧力センサにより給気用シャフト内を僅かに加
   圧するように空調機を制御し、前記給気用ファンを前記
   温度センサにより制御することを特徴とするビルの空調
   設備。