JP3926297B2 - 人工漁場構築法 - Google Patents
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- Y02A40/81—Aquaculture, e.g. of fish
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、海底、湖底などに人工漁場を構築する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、日本列島の近海、内海、湾海あるいは湖沼などには多数の底棲生物や魚介類が棲息し、地域水産資源の宝庫であったが、近年、これらの水域での漁獲量や海藻類生産量は大幅に減少している。このような漁獲量激減の原因は未だ解明されてはいないが、水域底面に堆積する泥土により底質が悪化して底棲生物などが減少、死滅して底棲生物による水質浄化作用が失われて水質が悪化し、魚介類が棲息できなくなっていること、並びに底棲生物が減少したことにより、これらを食物とする魚介類が激減したことなどが原因ではないかと漁業関係者は指摘している。
【0003】
そこで、このような水域での漁獲量を回復するため、例えば、海岸に近接する海水域に潜堤を構築し、この潜堤で囲まれた領域の海底を人工的に改良することによって、比較的平坦で水深が浅く、海藻類、アワビ、サザエ、ウニ、ナマコなどの増繁殖に適した海域と、沖合に向かって緩やかに水深が深くなっていく沿岸性魚介類の増殖に適した海域とを設けることによって人工漁場を構築する技術がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
このような人工漁場を海岸付近の海水域に構築することにより、海藻類、貝類、ウニやナマコなどの棘皮動物、沿岸性有用魚介類などの増殖に適した海洋環境を形成することができる。
【0005】
【特許文献1】
特開平09−117234号公報(第2−6頁、第1図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に記載の人工漁場は、海岸に近接する海域の一部を人工的に改良するものであり、海岸の存在を前提とするものであるため、海岸から離れた海底部分においては構築することができない。また、この人工漁場は、海底に堆積した底泥などに起因する底質環境悪化を防止する機能は有していないので、底質環境悪化が進んでいる海底に構築した場合、時間の経過に伴って当該人工漁場内に底泥が徐々に堆積していき、魚介類などの棲息に適した環境が失われていくおそれがある。
【0007】
また、特許文献1に記載の人工漁場造成法は、海岸近傍の海域の海底上に石材を積み上げて潜堤を形成することによって外郭施設を構築し、この外郭施設によって囲まれた海底を浚渫土などの中詰土で嵩上げすることによって人工漁場を構築する、というものである。したがって、この人工漁場構築法は、海岸近傍の海域でなければ施工することができず、潜堤の築造に大量の石材を必要とするため、石材の搬入および積み上げ作業に多大な労力と時間が必要である。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、底泥堆積によって底質環境が悪化している海洋や湖沼の底面において、海岸や湖岸の存在を前提とすることなく、比較的短時間で容易に人工漁場を構築することのできる人工漁場構築法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の人工漁場構築法は、海洋または湖沼の底面に複数の堰堤部材を沈設する工程と、これらの堰堤部材同士を連結して前記底面より高く突出し平面視形状が閉じた図形をなす囲繞堤を形成する工程と、この囲繞堤で包囲された領域内の堆積底泥を除去して改質底面を形成する工程と、を備え、堰堤部材を沈設する工程の前に、底面における堰堤部材の沈設予定位置に堰堤部材係止用の支柱を立設する工程を設けたことを特徴とする。
【0010】
このような構成としたことにより、海洋などの底面に複数の堰堤部材を沈設するとともに、これらの堰堤部材同士を互いに連結して囲繞堤を形成し、この囲繞堤内の堆積底泥を除去して改質底面を形成するだけで人工漁場を構築することができる。したがって、石材の搬入および積み上げ作業は不要であり、海岸や湖岸の存在を前提とすることもなく、比較的短時間で容易に人工漁場を構築することができる。
【0011】
また、本発明の人工漁場構築法は、海洋または湖沼の底面の一定領域内の堆積底泥を除去して改質底面を形成する工程と、改質底面の周囲に複数の堰堤部材を沈設する工程と、堰堤部材同士を連結して底面より高く突出し平面視形状が閉じた図形をなす囲繞堤を形成する工程と、を備え、堰堤部材を沈設する工程の前に、底面における堰堤部材の沈設予定位置に堰堤部材係止用の支柱を立設する工程を設けたことを特徴とする。
【0012】
このように、海洋または湖沼の底面の一定領域内の堆積底泥を予め除去して改質底面を形成した後、堰堤部材を沈設する構成とすることも可能であり、前述と同様、海岸や湖岸の存在を前提とすることなく、比較的短時間で容易に人工漁場を構築することができる。この場合、囲繞堤を形成する前に堆積底泥の除去作業を行うこととなるので、囲繞堤が前記除去作業の邪魔になったり、前記除去作業中に囲繞堤が損傷したり、移動したりすることがなく、作業性が良好である。
【0013】
ここで、本発明の人工漁場構築法においては、前記堰堤部材を沈設する工程の前に、底面における堰堤部材の沈設予定位置に堰堤部材係止用の支柱を立設する工程を設けている。堰堤部材の沈設予定位置に予め支柱を立設しておけば、濁った水域中においても、堰堤部材の沈設予定位置を容易かつ正確に把握することができるので作業性が向上し、作業時間の短縮化を図ることができる。また、堰堤部材が支柱に係止されることによって底面に確実に固定されるため、海流や波浪による堰堤部材の移動を防止することができ、耐久性も向上する。
【0014】
この場合、前記底面における堰堤部材同士の連結予定位置に支柱を立設することが望ましい。このような連結予定位置に支柱を立設すれば、堰堤部材を隣接順番に沿って順次沈設していくことが可能となり、堰堤部材の沈設位置決めも容易となるため、濁った水域中においても設計通りの正確な形状の囲繞堤を形成することができる。また、1本の支柱に複数の堰堤部材を係止することが可能となるため、支柱の使用本数を低減することができ、工期短縮にも有効である。
【0015】
一方、前記堰堤部材を、略水平方向に配列した複数の土嚢と、これらの複数の土嚢を保持する枠状体とで形成することが望ましい。このような堰堤部材を用いることにより、枠状体で保持された複数の土嚢を同時に底面に沈設して囲繞堤を形成していくことが可能となるため、作業効率が向上し、比較的短時間のうちに囲繞堤を形成することができる。また、複数の土嚢と枠状体とからなる堰堤部材を用いることにより、濁った水域中においても、設計通りの正確な形状の囲繞堤を形成することができる。
【0016】
なお、前記土嚢として、例えば、周辺海域を浚渫して得られた底泥を脱水し、柔軟な合成樹脂シート製の袋体に充填して形成したものを用いれば、浚渫作業で発生する底泥を再利用できるため、産業廃棄物としての投棄を減らすことが可能となり環境保護の観点からも好都合であり、元々周辺海域に存在していた底泥を再び底面に沈めることとなるため、地上にある石材などを運び込んで沈設する場合に比べると、周辺の自然環境への影響を最小限に抑制することができる。
【0017】
この場合、複数の土嚢を枠状体に着脱可能に保持して形成した堰堤部材を用いれば、堰堤部材を底面に沈設した後、土嚢から枠状体を離脱させて水面上に引き揚げ、土嚢のみで囲繞堤を形成することも可能となる。これにより、土嚢を離脱させて空になった枠状体は水面上に引き揚げて再利用することもできるようになるため、枠状体の反復使用が可能となり、資材削減を図ることができる。
【0018】
また、前記囲繞堤で包囲された領域内の少なくとも一部を覆う網状体を敷設すれば、網状体の網目より大きな生物の侵入を阻止できるので、囲繞堤で包囲された領域内に棲息する生物に危害を加えるおそれのある魚介類などの侵入を阻止することができる。この場合、網状体の網目の大きさは侵入を阻止したい魚介類の大きさによって定めることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施の形態である人工漁場構築法によって構築した人工漁場を示す平面図であり、図2(a)は図1に示す人工漁場を構成する堰堤部材を示す平面図であり、図2(b)は前記堰堤部材を示す側面図である。図3(a)は図3に示す堰堤部材の右側面図であり、図3(b)は図2(b)におけるA−A線断面図である。図4は図2に示す堰堤部材の連結部分を示す側面図である。
【0020】
図1に示す人工漁場1は、6個の堰堤部材3を海底面2に沈設し、これらの堰堤部材3同士を支柱4を介して連結することによって海底面2より高く突出し平面視形状が閉じた図形の一つである六角形をなす囲繞堤5を形成し、この囲繞堤5で包囲された領域6内の堆積底泥を除去して改質底面7を形成することによって構築したものである。
【0021】
堰堤部材3は、図2,図3に示すように、H形鋼およびL形鋼を縦横に組み合わせて形成した比較的長い略直方体形の枠状体3aと、枠状体3a内に吊り下げ保持された複数の土嚢3bとで形成されている。枠状体3aの上面には、その長手方向に沿って土嚢3bを吊り下げるための水平部材3cが配置されている。また、枠状体3aの上面の、水平部材3cを挟んで対向する位置には、クレーンなどで枠状体3aを吊り下げる際にワイヤなどの吊下材を引っ掛けるための係止具3dが合計4個設けられている。さらに、枠状体3aの左側面の上端部分には支柱4を貫通させるための支柱孔3eを有する連結部材3fが水平方向に突設され、枠状体3aの右側面の高さ方向の中央付近には同じく支柱孔3eを有する連結部材3gが水平方向へ突設されている。
【0022】
図2,図3に示すように、複数の土嚢3bは枠状体3aの内部に、その長手方向に沿って略水平方向に直列配置した状態で収容され、それぞれの土嚢3bの上方に設けられた吊り下げ用のロープ3hを介して枠状体3aの水平部材3cに着脱可能に吊り下げられている。土嚢3bは、柔軟な合成樹脂シートで形成されたフレキシブルコンテナと呼ばれる袋体内に、予め海底面2から浚渫して脱水した底泥を充填して形成したものである。
【0023】
前述したように、堰堤部材3の左右両側面には、それぞれ高さの異なる連結部材3f,3gが突設されているため、図1に示す囲繞堤5における堰堤部材3同士の連結部分は、図4に示すように、一方の堰堤部材3の連結部材3gの上方に他方の堰堤部材3の連結部材3fが位置しており、海底面4に立設された支柱4がこれらの連結部材3f,3gの支柱孔3eを垂直方向に連通した状態となっている。
【0024】
次に、図5,図6を参照して、図1で示した人工漁場1の構築法について説明する。まず、図5(a)に示すように、海底面2における人工漁場の構築予定領域1aを包囲するように複数の支柱14を立設する。これらの支柱14を立設することによって人工漁場の構築予定領域を位置決めすることができる。
【0025】
次に、図5(b)に示すように5、海底面2から支柱14を取り外した後、支柱4を堰堤部材3の連結予定位置に立設する。本実施形態では六角形の囲繞堤5を形成するので、六角形の頂点となる位置にそれぞれ支柱4を立設していき、合計6本の支柱4を海底面2に立設する。この場合、隣り合う支柱4の間隔は、堰堤部材3の両側にある連結部材3f,3gの連結孔3dの間隔と等しくする必要がある。
【0026】
このように堰堤部材3の沈設予定位置に予め支柱4を立設しておけば、堰堤部材3の沈設予定位置を容易かつ正確に把握することができるので、濁った水域中であっても、作業性が低下することがなく、作業時間の短縮化も図ることができる。また、堰堤部材3が支柱4に係止されることによって海底面2に確実に固定されるため、海流や波浪による堰堤部材3の移動を防止することができ、耐久性も向上する。
【0027】
本実施形態のように、海底面2における堰堤部材3同士の連結予定位置に支柱4を立設すれば、堰堤部材3を隣接順番に沿って順次沈設していくことができ、堰堤部材3の沈設位置決めも容易となるため、濁った水域中であっても、設計通りの正確な形状の囲繞堤5を形成することができる。また、1本の支柱4に2個の堰堤部材3を係止することができるため、支柱3の使用本数は少なくてすみ、資材削減および工期短縮に有効である。
【0028】
この後、図5(c)に示すように、隣り合う支柱4の間、すなわち六角形の辺に相当する部分に、図2で示した堰堤部材3を沈設する。沈設作業は、図6に示すように、施工現場に係留したクレーン船SのワイヤWを枠状体3aの係止具3dに引っ掛けて堰堤部材3を吊り下げ、クレーン船Sのクレーン機構を利用して行う。この場合、堰堤部材3の連結部材3f,3gの支柱孔3eにそれぞれ支柱3を貫通させた状態で海底面2まで徐々に沈設する。隣り合う支柱4の間に全て堰堤部材3が沈設されると、平面視が六角形の囲繞堤5が形成される。
【0029】
この後、図5(d)に示すように、囲繞堤5内の堆積底泥を除去し、底質改良材8を散布した後、図5(e)に示すように、耕耘装置9を用いて耕耘を施すことによって改質底面7を形成し、支柱4を撤去すれば、人工漁場1が完成する。なお、囲繞堤5内にエイなどの有害魚介類が侵入するのを防止するために、図5(f)に示すように、改質底面7の表面に網状体10を張設することもできる。また、網状体10を張設することによって、海流や波浪による改質底面7の散逸を抑制することもできる。
【0030】
本実施形態においては、図5(e)に示す耕耘作業が終わった段階で支柱4を撤去し、堰堤部材3同士の連結部分をチェーン(図示せず)を用いて結合しているが、周辺の海流が緩やかな場所であれば、結合しない状態であってもよい。また、人工漁場1の位置を示すために必要であれば、支柱4をそのまま残しておくこともできる。
【0031】
このようにして構築された人工漁場1は、堆積底泥が除去され底質改良材が散布混合された改質底面7を、これより高く突出した囲繞堤5で囲い込んだ構造となるため、周囲の底面2付近の浮泥や底泥の動きは囲繞堤5で阻止され、これらの浮泥や底泥が囲繞堤5で囲まれた領域6内へ流入するのを抑制できるので、底泥の堆積を大幅に低減することができる。
【0032】
したがって、囲繞堤5で囲まれた領域6内の底質が大幅に改善され、改質底面7では魚介類の餌となる各種底棲生物の棲息、繁殖が活発化して生態系が徐々に回復していくので、人工漁場1の構築後は魚介類や海藻類などの棲息に適した環境を長期間に亘って確保することができる。
【0033】
また、人工漁場1は、海底面2に堰堤部材3を順番に沈設して平面視形状が閉じた図形の一つである六角形状の囲繞堤5を形成し、堆積底泥を浚渫除去した後、改質底面7を形成すればよいので、底泥の堆積によって底質が悪化している海域であっても、岸辺の存在を前提とすることなく比較的容易に構築することができる。なお、人工漁場1は前記と逆の手順、即ち、海底面2の所定領域内の堆積底泥を浚渫除去して改質底面7を形成した後、その回りに支柱4を立設し、堰堤部材3を沈設して六角形状の囲繞堤5を形成するという工程をとることによっても構築することができる。
【0034】
また、本実施形態の場合、囲繞堤5で包囲された改質底面7は耕耘装置9による耕耘を施したことにより、底質層が十分に撹拌、混合され、海水中の溶存酸素も供給されるので、底棲生物の活性化が図られ、魚介類や海藻類の棲息環境が向上するという効果も得られる。
【0035】
なお、本実施形態においては、支柱4の上端が海面11より下に位置するように立設しているが、図6に示すように、上端が海面11より上に位置するような比較的長い支柱4aを立設して構築工事を行うこともできる。この場合、海面11から支柱4aの上端が突出した状態で沈設作業を行うことができるため、支柱4aに対する、堰堤部材3の連結部材3f,3gの支柱孔3eの位置合わせが容易となり、作業性が大幅に向上する。
【0036】
以上のように、本実施形態の人工漁場構築法によれば、海底面2に複数の堰堤部材3を沈設するとともに、これらの堰堤部材3同士を互いに連結して囲繞堤5を形成し、この囲繞堤5内の堆積底泥を除去して改質底面7を形成するだけで人工漁場1を構築することができる。したがって、石材の搬入および積み上げ作業は不要であり、海岸の存在を前提とする必要もなく、比較的短時間で容易に人工漁場1を構築することができる。
【0037】
また、本実施形態では、人工漁場1を構成する囲繞堤4の平面視形状を、この海域の潮流を考慮し、潮流方向に沿った長い略六角形状としているため、自然発生する潮流などへの影響を最小限に抑制するとともに、浮泥などの流入を大幅に抑制することができる。もし、潮流によって運ばれた浮泥などが囲繞堤5内へ流入することがあっても、その潮流によって速やかに外部へ排出されるため、改質底面7上に浮泥が堆積することもない。
【0038】
【発明の効果】
本発明により、以下に示す効果を奏する。
【0039】
(1)海洋または湖沼の底面に複数の堰堤部材を沈設する工程と、これらの堰堤部材同士を連結して底面より高く突出し平面視形状が閉じた図形をなす囲繞堤を形成する工程と、この囲繞堤で包囲された領域内の堆積底泥を除去して改質底面を形成する工程とを備えたことにより、海岸や湖岸の存在を前提とすることなく、比較的短時間で容易に人工漁場を構築することができる。
【0040】
(2)海洋または湖沼の底面の一定領域内の堆積底泥を除去して改質底面を形成する工程と、改質底面の周囲に複数の堰堤部材を沈設する工程と、堰堤部材同士を連結して底面より高く突出し平面視形状が閉じた図形をなす囲繞堤を形成する工程とを備えたことにより、前記(1)と同様、海岸や湖岸の存在を前提とすることなく、比較的短時間で容易に人工漁場を構築することができ、底泥の除去作業性も良好である。
【0041】
(3)堰堤部材を沈設する工程の前に、底面における堰堤部材の沈設予定位置に堰堤部材係止用の支柱を立設する工程を設けることにより、濁った水域中であっても堰堤部材の沈設予定位置を容易かつ正確に把握することが可能となるので作業性が向上し、作業時間の短縮化を図ることができる。また、海流や波浪による堰堤部材の移動を防止することができるため、耐久性も向上する。
【0042】
(4)底面における堰堤部材同士の連結予定位置に前記支柱を立設することにより、堰堤部材を隣接順番に沿って順次沈設していくことが可能となり、堰堤部材の沈設位置決めも容易となるため、濁った水域中であっても、設計通りの正確な形状の囲繞堤を形成することができ、支柱の使用本数を低減することができ、工期短縮にも有効である。
【0043】
(5)前記堰堤部材を、略水平方向に配列した複数の土嚢と、これらの複数の土嚢を保持する枠状体とで形成することにより、枠状体で保持された複数の土嚢を同時に底面に沈設して囲繞堤を形成していくことが可能となるため、濁った水域中においても、作業効率が向上し、比較的短時間のうちに囲繞堤を形成することができる。また、設計通りの正確な形状の囲繞堤を形成することができる。
【0044】
(6)複数の土嚢を枠状体に着脱可能に保持して形成した堰堤部材を用いれば、土嚢を離脱させて空になった枠状体は水面上に引き揚げて再利用可能となり、枠状体の反復使用ができるようになるため、資材削減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態である人工漁場構築法によって構築した人工漁場を示す平面図である。
【図2】 (a)は図1に示す人工漁場を構成する堰堤部材を示す平面図であり、(b)は前記堰堤部材を示す側面図である。
【図3】 (a)は図3に示す堰堤部材の右側面図であり、(b)は図2(b)におけるA−A線断面図である。
【図4】 図2に示す堰堤部材の連結部分を示す部分側面図である。
【図5】 本発明の実施の形態である人工漁場構築法を示す工程図である。
【図6】 図5に示す人工漁場構築法における堰堤部材の沈設工程を示す説明図である。
【符号の説明】
1 人工漁場
1a 構築予定領域
2 海底面
3 堰堤部材
3a 枠状体
3b 土嚢
3c 水平部材
3d 係止具
3e 支柱孔
3f,3g 連結部材
3h ロープ
4,4a 支柱
5 囲繞堤
7 改質底面
8 底質改良材
9 耕耘装置
10 網状体
11 海面
S クレーン船
W ワイヤ
Claims (5)
- 海洋または湖沼の底面に複数の堰堤部材を沈設する工程と、前記堰堤部材同士を連結して前記底面より高く突出し平面視形状が閉じた図形をなす囲繞堤を形成する工程と、前記囲繞堤で包囲された領域内の堆積底泥を除去して改質底面を形成する工程と、を備え、前記堰堤部材を沈設する工程の前に、前記底面における前記堰堤部材の沈設予定位置に前記堰堤部材係止用の支柱を立設する工程を設けたことを特徴とする人工漁場構築法。
- 海洋または湖沼の底面の一定領域内の堆積底泥を除去して改質底面を形成する工程と、前記改質底面の周囲に複数の堰堤部材を沈設する工程と、前記堰堤部材同士を連結して前記底面より高く突出し平面視形状が閉じた図形をなす囲繞堤を形成する工程と、を備え、前記堰堤部材を沈設する工程の前に、前記底面における前記堰堤部材の沈設予定位置に前記堰堤部材係止用の支柱を立設する工程を設けたことを特徴とする人工漁場構築法。
- 前記底面における前記堰堤部材同士の連結予定位置に前記支柱を立設する請求項1または2記載の人工漁場構築法。
- 前記堰堤部材を、略水平方向に配列した複数の土嚢と、複数の前記土嚢を保持する枠状体とで形成した請求項1〜3のいずれかに記載の人工漁場構築法。
- 前記堰堤部材が、複数の前記土嚢を前記枠状体に着脱可能に保持して形成したものである請求項4記載の人工漁場構築法。
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