JP3926152B2 - 熱処理設備、多孔性蓄熱体の設置方法、熱処理された物体の製造方法、多孔性蓄熱体の選定方法 - Google Patents

熱処理設備、多孔性蓄熱体の設置方法、熱処理された物体の製造方法、多孔性蓄熱体の選定方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多孔性蓄熱体を内蔵する直火式バーナを備える蓄熱型燃焼装置が複数個付設された加熱室を具備し、加熱室内で物体に熱処理を施す熱処理設備、かかる蓄熱型燃焼装置が複数個付設された加熱室内で物体に熱処理を施す際の多孔性蓄熱体の設置方法、及び、かかる熱処理設備を用いる熱処理された物体の製造方法、多孔性蓄熱体を内蔵する熱交換器が複数個付設された空間を具備する熱処理設備、かかる熱処理装置における多孔性蓄熱体の設置方法、及び、かかる熱処理設備を用いる熱処理された物体の製造方法に関し、詳しくは、それぞれ、複数個の直火式バーナ若しくは複数個の蓄熱型燃焼装置、又は、複数個の熱交換器における多孔性蓄熱体の実質的平均表層孔径を同一でないようにした熱処理設備、多孔性蓄熱体の設置方法、及び、熱処理された物体の製造方法に関するものである。又、本発明は、複数個の直火式バーナ若しくは複数個の蓄熱型燃焼装置、又は、複数個の熱交換器における多孔性蓄熱体の実質的平均表層孔径を同一にするための多孔性蓄熱体の選定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
以下において、特に区別して言及する場合を除いて、孔と擬似孔(後述の定義参照)とを総称して「孔」という。又、多孔性蓄熱体を内蔵する熱交換器を、この蓄熱体にガスが通流する限り、この蓄熱体を当該熱交換器の熱交換のために直接使用すると否とに拘わらず、便宜的に「蓄熱型熱交換器」(又は状況によっては単に「熱交換器」)という。
【0003】
1.多孔性蓄熱体の目詰まり現象
多孔性蓄熱体を内蔵する蓄熱式バーナを備える蓄熱型燃焼装置や蓄熱型熱交換器が複数個付設された加熱室を具備し、その加熱室内で物体に熱処理を施す熱処理設備はよく知られている。
【0004】
この種の熱処理設備の稼働時には、多孔性蓄熱体は低温ガスと高温ガスの交番的な通過を通じて熱交換を行う。このため、多孔性蓄熱体は当然厳しい熱衝撃環境に晒され、通過ガスによる機械的圧力にも熱環境下で晒される。又、加熱室で行われる熱処理の種類によっては多孔性蓄熱体は厳しい化学反応にも晒される。従って、多孔性蓄熱体は、かかる厳格な環境下での長時間使用に耐え得る安定な部材であることが要求される。尤も、このような要求は、加熱室の存在や燃焼バーナの存在を必ずしも前提とせず、蓄熱型熱交換器が厳格な環境下で使用される場合に当然要求される技術的事項である。例えば、工業用炉の副生ガスを高温源として多孔性蓄熱体に通過して熱交換を行うような場合において、工業用炉自体を「加熱室」と把握するのが不自然なときがこれに該当する(「加熱室」の用語の定義は改めて後述する)。
【0005】
しかし、熱処理設備に使用される多孔性蓄熱体の寿命は無限ではない。厳格な環境下で使用する以上、多孔性蓄熱体の定期的な又は非定期的な交換は不可避である。尤も、その交換の周期は、他の理由により更に短くなる。例えば、熱処理設備の外部から加熱室内に持ち込まれる物質(外来性目的外物質)や熱処理設備内の部材(多孔性蓄熱体を構成する部材自体を含む。)に由来して加熱室内に持ち込まれる物質(内来性目的外物質)が加熱室内で熱処理を受け、若しくは加熱室内の環境物質と化学反応を起こすことにより、又は、多孔性蓄熱体の材料そのものが加熱室内のその他の物質と化学反応を起こすことにより副産物が生ずる場合や、これらの目的外物質が完全には副産物に変化せずに未反応のまま一時的であれ長時間であれ加熱室内に残留する場合は、かかる副産物や残留した目的外物質が多孔性蓄熱体の孔内に生成乃至は付着することにより、孔の閉塞乃至は目詰まりを引き起こし(これを便宜的に、多孔性蓄熱体の「目詰まり現象」という。)、多孔性蓄熱体の特性や品質がその使用時間とともに本来望まれるレベルよりも低下してくる。この結果、加熱室内のガス圧の急激な上昇を将来し、又、直火式バーナの燃焼効率や蓄熱型熱交換器の熱交換効率や全体としての性能が低下するので、熱処理設備を効率的に運転する上での支障となる。蓄熱型熱交換器が設置される場所を中心に考えてみても、その場所に外部から持ち込まれる物質を外来性目的外物質とし、その場所内の物質に由来する物質を内来性目的外物質として副産物を考えれば、上記の例示的現象はそのまま加熱室を必須としない蓄熱型熱交換器に当てはまる。
【0006】
かくして、多孔性蓄熱体の交換の必要に迫られる。要すれば、多孔性蓄熱体の目詰まり現象を効果的に防止又は抑制しない限り、その耐用時間を延ばすことには限界があり、多孔性蓄熱体の点検・保守・交換・浄化(クリーニング処理)・その他のメンテナンス作業の周期を一定以上に大きくすることができにない、或いは、当該メンテナンス作業の頻度を一定以下に下げることができないことを意味する。
【0007】
ところで、この多孔性蓄熱体の目詰まり現象を防止又は抑制するための最も安易な方法は、熱処理設備の安全性を重視する余り、多孔性蓄熱体の耐用時間は端から有限であるものと割り切って、その耐用時間を実際より短く想定して、多孔性蓄熱体の定期的又は非定期的の点検・保守・交換・浄化(クリーニング処理)・その他のメンテナンス作業を頻繁に行うことである。確かに、頻繁に多孔性蓄熱体のメンテナンス作業を行えば目詰まり問題は解消できるであろう。
【0008】
しかし、それではメンテナンス作業に要する費用(人件費、管理費等を含む。)が増加してしまう。例えば、多孔性蓄熱体は無料ではないので、多孔性蓄熱体の交換頻度の増加は、熱処理設備の維持管理コストの増加に直結する。又、一部の多孔性蓄熱体のみのメンテナンス作業が必要なときであっても、熱処理設備の運転を停止してこの作業を行わなけれバーナらない場合もある。すると、結果的にメンテナンス作業の頻度は増加するのであり、加熱設備の操業に支障を来し、運転コスト面でも問題である。
【0009】
従って、多孔性蓄熱体の目詰まり現象に起因する上述のような一連の問題(便宜的に多孔性蓄熱体の目詰まり問題という。)を解消するためには、多孔性蓄熱体の交換頻度を極力減らすことができる技術を案出する必要がある。又、このような技術により実現される多孔性蓄熱体は、それが使用済みとなって交換される際には、従来に増して高い経費削減効果を奏するはずである。
【0010】
2.目詰まり現象の進行と目詰まり原因物質
多孔性蓄熱体の目詰まり問題を引き起こす目的外物質や熱処理の副産物(以下「目詰まり原因物質」と総称する。)は、肉眼で見える場合もあれば、顕微鏡でないと見えない場合もある。しかし、時間の経過とともに多孔性蓄熱体の目詰まり現象は進行し、その孔の開口径は小さくなってくるので、かかる孔の開口径の経時的変化により目詰まり現象の存在と進行度を知ることができる。又、目詰まりが進行すれば、多孔性蓄熱体を通流するガスの圧力や圧損が変化するので、これらを観測することで目詰まり現象の存在と進行度を知ることができる。要すれば、肉眼で観測できると否とに拘わらず、適当なパラメータを設定すると目詰まり現象の存在と進行度を知ることができる。本発明では、後述のように、このパラメータを「実質的平均表層孔径」という用語を使用して総括的に定義している。
【0011】
外来性目的外物質の例は、熱処理設備の周囲に存在する金属、セラミックス、ガラス、酸化物その他の物質でできたダストである。ダストは難反応性である場合が多いが、難反応性でなくても、熱処理の結果、不都合な副産物を生ずる物質も外来性目的外物質に含まれる。更に、直火型バーナの燃料や燃焼用空気中に含まれる物質も外来性目的外物質といえる。特に意図的に燃料に粉体や固体(例えば固体燃料)を混合し、これが燃焼しきらないで残留するような場合は、その残留物はまさにこれに該当する。このような残留物の中には先述の副産物の生成を特に助長し易いものがある。
【0012】
内来性目的外物質の典型例は、多孔性蓄熱体がその使用過程において機械的接触により磨耗したり破損してできた粉状、小(微)片状の残留物や加熱室に搬入された被処理体に熱処理を施した結果生ずる目的外物質である。後者、即ち、被処理体に由来する目的外物質の一例は、加熱室内の熱処理により生じた被処理体表面に生成した酸化物その他のスケールであって、加熱室内の通過ガスの機械的圧力、熱衝撃その他の環境条件により被処理体表面から離脱した小粒子である(特開平7−119958号)。直火式バーナや蓄熱型熱交換器がアレイ状に配置する場合は、前段に配置する多孔性蓄熱体の構成部材に由来する物質(特に後述の粉化物)が後段に配置する多孔性蓄熱体にとって内来性(又は設備の態様によっては外来性)目的外物質にもなる。
【0013】
加熱室内に残留する目的外物質が、しばらくしてから、多孔性蓄熱体の孔を物理的に塞ぐことがある。加熱室内で受ける熱による軟化、溶融又は気化(これもある意味では化学反応である。)もこの多孔性蓄熱体の孔を塞ぐ現象を助長する場合もある。蓄熱体には低温ガスが流れるし、特に、例えばメンテナンス作業のために設備の運転を停止する場合には蓄熱体の温度は下がる。このような場合、一旦軟化、溶融又は気化した目的外物質が固化、凝固又は凝結して多孔性蓄熱体の孔を閉塞し、「目詰まり問題」を引き起こす。
【0014】
尚、多孔性蓄熱体がハニカム型蓄熱体(定義は後述する。)である場合とボール型蓄熱体(定義は後述する。)である場合とを比較してみると、前者では孔が直線的であるので、ガスはよどみなくその孔を通過するが、後者では孔が非直線的な部分を有するのでガス流速が均一でなく、局所的にガスの流速が著しく低下するために目的外物質(特にダスト、紛状、小(微)片状の残留物)が停滞又は沈着し易い。但し、ハニカム型蓄熱体に比べてボール型蓄熱体の方が、少なくとも非直線的孔に着目する限り、実質的平均表層孔径が大きくなりがちである。それ故、目的外物質が停滞又は沈着し易い部分があるとしても、「目詰まり現象」がボール型蓄熱体の方が顕著であるとは必ずしも言えない。
【0015】
次に副産物であるが、これは、多くの場合、外来性又は内来性目的外物質、多孔性蓄熱体の材料(例えば、低量組成物や不純物)及び加熱室内の環境物質のうち少なくとも二つの物質間の化学反応により生ずると考えられる。この化学反応には加熱室内で起こる熱処理条件(例えば、バーナの燃料の含有物や組成、熱処理温度や熱処理雰囲気)に大きく関係しているはずである。多孔性蓄熱体において、特にその表面において副産物の生成反応が起こる場合には、副産物は多孔性蓄熱体の孔を徐々に塞いでゆく。多孔性蓄熱体の表面と接触している外来性又は内来性の目的外物質がある場合、たとえば先述のように停滞又は沈着するような目的外物質がある場合、両者の接触界面において副産物が徐々に生成し、成長し、多孔性蓄熱体の孔の目的外物質による閉塞を助長する場合もあり得る。又、熱処理雰囲気が副産物の生成を助長することもありうる。例えば、高炉その他の工業用炉の副生ガスのような清浄度の低い物質を燃料として使用する場合である。工業用炉の副生ガスと異なり、天然ガスのような比較的清浄度の高い物質を燃料として使用する場合は、副産物による「目詰まり現象」は相対的には顕著ではない。但し、清浄度の高い燃料物質を使用する場合であっても、他の原因物質による同現象は起こる。
【0016】
尚、上記の内来性目的物質の定義、即ち、「加熱室に搬入された被処理体に熱処理を施した結果生ずる目的外物質」からすれば、副産物も内来性目的物質に含めるのが妥当であろう。このように考えれば、燃料物質の清浄度の如何に拘わらず、「目詰まり現象」の原因物質を一括して説明できる利便もある。従って、以下においては、特に区別しない限り、内来性目的物質には副産物が含まれるものとする。
【0017】
3.「目詰まり問題」を解決するための従来技術:
多孔性蓄熱体の目詰まり問題を解決するために、従来は、例えば、次のような通りであった。
(1)蓄熱体を複数層に分け、燃焼ガス流入側の層を随時交換可能に構成する(特開平6−201276号、特開平8−94066号)。
(2)蓄熱体を擁する蓄熱室の排ガス導入側にサイクロン式ダスト捕集器を設置し、排ガスに含まれるスケール、ダストを遠心分離する(特開平6−241420号、特開平7−119958号)。
(3)熱処理により発生するNOxの濃度を低減するために、蓄熱体を通じて加熱室内に供給する水又は水蒸気により、当該蓄熱体を洗浄し、定期・不定期のメンテナンス作業のために設備を停止したり蓄熱体を取り外すことなくその孔を塞ぐ傾向のある物質を外部に取り出す(特公平4−70554号)。
(4)燃焼廃ガスと燃焼用空気の通過を互いに逆方向に繰り返す蓄熱体の廃ガス出口よりも後方に低沸点金属捕捉装置を設け、蓄熱体出口の廃ガス温度を、低沸点金属の沸点以上に保持するように熱処理設備を操業することで、廃ガス中に含まれる低沸点金属が凝縮が蓄熱体外で起こるようにする(特開平8−261421号)或いは蓄熱体に繋がる廃ガス流路の途中にミストキャッチャーを設ける(特開平8−86419号)。
(5)燃焼用空気供給系と排気系に対して蓄熱体を回転させることにより単一の燃焼バーナを連続燃焼させる形式の蓄熱式連続燃焼バーナにおいて、蓄熱体のガス流通路に、再生可能な高融点及び低融点金属捕捉カラムを設ける(特開平8−86419号)。
(6)加熱室を複数個の隙間のある仕切壁により上下にそれぞれ、実際に燃焼バーナが火炎を発する燃焼室と被処理体が溶融する溶融室とに分け、加熱室の下部に配置する溶融室に設けた補助煙道から、溶融室で発生するダストや低沸点金属を排出し、蓄熱体に通ずる上部の燃焼室へのこれらの物質の流入を防止する(特開平7−113579号)。
(7)蓄熱式交番燃焼バーナを煙道から離隔した位置に設置し、燃焼排ガスの一部が蓄熱体を通過せずに煙道から外部に排出されるように制御することで、低沸点金属等を含まないガスを主体とする燃焼排ガスのみが蓄熱体を通過するようにする(特開平8−247430号)。
(8)無酸化又は低酸素の環境下で被処理体を熱処理したり(特開平8−159664号、特開平7−258740号)、直火式バーナの火炎が被処理体に接触しないようにして(特開平7−102313号)、目詰まり原因物質である(余分な)スケールの発生を防止する。
【0018】
その他、熱処理設備に被処理体の予熱室を設けることで被処理体の急速加熱を防止して、被処理体の割れ、曲がり等を防止する技術(特開平8−210780号)も一旦発生したスケールの微粉化や飛散を防止する意味で、又、加熱室内のガス圧を調整することでスケールの発生量を低減する技術(特開平7−103461号)も、多孔性蓄熱体の目詰まり問題の対策となり得る。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
これらの従来技術の内、(1)の従来技術は、燃焼バーナに直接燃焼排ガスが導かれる直火式バーナにおいては、高温の被処理体のスケールや耐火物片などのダストといった内来的目的外物質が、燃焼排ガスと共に多孔性蓄熱体内の孔を通じてその内部に侵入して付着することが多く、しかもその付着が燃焼排ガスが導かれる側のある程度の幅を有する表面層に特に顕著に起こるという知見に基づき、目詰まりを起こした蓄熱体表面層の交換を容易にするための技術に関し、多孔性蓄熱体自体の形態を工夫することにより目詰まり問題の解決を図るアプローチを提示するものとして注目に値する。
【0020】
しかし、これは目詰まり現象自体を防止又は抑制するための技術に関するものではない。特に、この従来技術は、蓄熱式バーナや蓄熱型熱交換器単体が内蔵する多孔性蓄熱体の表面層を他の層とは異なる形状・形態にする技術ではあるが、複数個の蓄熱型燃焼装置又は蓄熱型熱交換器に係る複数個の蓄熱体における目詰まり挙動に関する新たな知見に基づき多孔性蓄熱体自体の形態を工夫した技術的思想とは無関係である。
【0021】
目詰まり現象自体を防止又は抑制するための技術という観点からすれば、むしろ、上述の(1)の従来技術よりは、(2)乃至(8)の従来技術の方が近い。しかし、これらの従来技術は、多孔性蓄熱体の形態に着目して、目詰まり現象自体を防止又は抑制する技術とは無関係であり、(1)の従来技術の場合と同様、複数個の蓄熱型燃焼装置又は蓄熱型熱交換器に係る複数個の蓄熱体における目詰まり挙動に関する新たな知見に基づき多孔性蓄熱体自体の形態を工夫した技術的思想とは無関係である。
【0022】
本発明は、熱処理設備が備える加熱室又はある種の空間に付設された複数個の蓄熱型燃焼装置又は蓄熱型熱交換器に係る複数個の多孔性蓄熱体における特異な目詰まり現象に着目して成されたもので、多孔性蓄熱体の目詰まり問題を、その蓄熱体自体の形態を工夫することで解決することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る第1の形態は、多孔性蓄熱体を内蔵する直火式バーナを備える蓄熱型燃焼装置が複数個付設された加熱室を具備し、その加熱室内の物体に熱処理を施す熱処理設備であって、複数個の直火式バーナ又は複数個の蓄熱型燃焼装置における多孔性蓄熱体の、孔の閉塞率からなる実質的平均表層孔径が、同一でない設備である。
【0028】
本発明に係る第の形態は、外部から搬入される物体に対して熱処理を施す加熱室に付設される複数個の蓄熱型燃焼装置の各々が備える直火式バーナが内蔵する多孔性蓄熱体の設置方法であり、複数個の直火式バーナ又は複数個の蓄熱型燃焼装置における多孔性蓄熱体の、孔の閉塞率からなる実質的平均表層孔径が、同一でないように多孔性蓄熱体を設置する方法である。
【0030】
本発明に係る第の形態は、特定の熱処理装置を運転して、当該熱処理設備が具備する加熱室内を通過させることで熱処理された物体を製造する方法である。この加熱室には多孔性蓄熱体を内蔵する直火式バーナを備える蓄熱型燃焼装置が複数個付設されており、外部から搬入される及び/又は外部へ搬出される物体を加熱室内に配置することにより、当該物体に熱処理を施すが、複数個の直火式バーナ又は複数個の蓄熱型燃焼装置における多孔性蓄熱体の、孔の閉塞率からなる実質的平均表層孔径を同一でないように設定する。
【0033】
本発明に係る第の形態は、ガスの流れる方向に沿って、多孔性蓄熱体を内蔵する熱交換器が複数個付設された空間を備える熱処理設備であって、複数個の前記熱交換器における多孔性蓄熱体の、孔の閉塞率、ガス圧又はガス圧損からなる実質的平均表層孔径が、同一でなく、しかも、ガスの流れる方向の上流側に配置する多孔性蓄熱体の方が下流に配置する多孔性蓄熱体よりも、又は、流れるガスの温度がより高温側に配置する多孔性蓄熱体の方がより低温側に配置する多孔性蓄熱体よりも、前記実質的平均表層孔径が大きい熱処理設備である。
【0034】
本発明に係る第の形態は、ガスの流れる方向に沿って、多孔性蓄熱体を内蔵する蓄熱型熱交換器が複数個付設された空間を備える熱処理設備における多孔性蓄熱体の設置方法であって、複数個の蓄熱型熱交換器における多孔性蓄熱体の、孔の閉塞率からなる実質的平均表層孔径が、同一でないように多孔性蓄熱体を設置する方法である。
【0035】
本発明に係る第の形態は、特定の熱処理装置を運転して、当該熱処理設備が具備する加熱室内で熱処理された物体を製造する方法である。この熱処理設備は、ガスの流れる方向に沿って、多孔性蓄熱体を内蔵する蓄熱型熱交換器が複数個付設された空間を備えており、複数個の蓄熱型熱交換器における多孔性蓄熱体の、孔の閉塞率からなる実質的平均表層孔径を同一でないように設定する。外部から搬入される及び/又は外部へ搬出される物体を加熱室内に配置することにより、当該物体に熱処理を施し、もって熱処理された物体を製造する。
【0036】
本発明に係る第の形態は、多孔性蓄熱体を内蔵する直火式バーナを備える蓄熱型燃焼装置が複数個付設された加熱室を具備し、その加熱室内の物体に熱処理を施す熱処理設備であって、複数個の直火式バーナ又は複数個の蓄熱型燃焼装置における多孔性蓄熱体の、孔の閉塞率、ガス圧又はガス圧損からなる実質的平均表層孔径が、鉛直方向においてより下部に配置するものほど大きくなるようにしたものである。
【0037】
本発明に係る第の形態は、ガスが通流する多孔性蓄熱体を内蔵する熱交換器が複数個付設され、複数個の前記熱交換器における多孔性蓄熱体の、孔の閉塞率、ガス圧又はガス圧損からなる実質的平均表層孔径が、鉛直方向においてより下部に配置するものほど大きく設定した熱処理設備である。
【0038】
本発明に係る第の形態は、蓄熱型燃焼装置が備える直火式バーナ又は熱交換器に内蔵される多孔性蓄熱体の選定方法であって、蓄熱型燃焼装置又は熱交換器の運転時間の増加に伴う多孔性蓄熱体の、孔の閉塞率、ガス圧又はガス圧損からなる実質的平均表層孔径の減少を測定し、その測定値と目標値との差に相当する分を予め上乗せした前記実質的平均表層孔径を有する多孔性蓄熱体を前記直火式バーナ又は熱交換器に内蔵する多孔性蓄熱体の選定方法である。
【0040】
【発明の実施の形態】
まず、本発明における用語の定義について説明する。
【0041】
1.「多孔性蓄熱体」:
多孔性蓄熱体とは、一又は二以上の部材から構成され、全体として蓄熱機能を有し、孔又は孔とみなせる隙間の連結路(以下「疑似孔」という。)を多数備える構造体を意味する。個々の部材としては、ブロック状、ボール状、小片状その他ナゲット状(例えば、実開平7−2739号、特開平8−94066号)と種々の形態がある。
【0042】
「多孔性」、「孔」或いは「疑似孔」という観点に着目すると、ハニカム状部材は、それ自体に多数の孔が形成されており、本発明における多孔性蓄熱体足り得る。但し、複数個のハニカム状部材の集合体が全体として蓄熱体として使用に供される場合は(例えば、特開平7−280239号、特開平8−247671号、特開平7−39761号、実開平7−2739号)、当該集合体が多孔性蓄熱体と認められる。このことは、コルゲート状部材(例えば、1977年フォードモーター社発行「セラミックス製蓄熱体の設計へのパフォーマンス及び信頼性の概念の応用」)においても同様である。
【0043】
ハニカム状部材やコルゲート状部材又はそれらの集合体から構成される蓄熱体(以下、総括的に「ハニカム型蓄熱体」と呼ぶ。)の場合、孔は、その長手方向では通常直線状に貫通しており、その断面は、殆どの場合一定であり、例えば四角(例えば、特開平10−122517号、実用新案登録第3049065号)である場合が多いが、これに限定されず、三角(例えば、特開平55−46338号)、六角形(例えば、特公平7−39913号)、多角形(例えば、特開平7−39761号)、略半円、略正弦波乃至波型(1976年10月米国フォードモータ社発行「自動車ガソリンタービンのセラミック蓄熱体の設計及び信頼性に関するプログラム」、雑誌「化学装置」1983年3月号、第59〜66頁)等の形をしている。
【0044】
一方、ボール状部材はそれ一個だけでは蓄熱体として使用に供されることは希であり、通常は、集合体全体で蓄熱体とされている(例えば、特開平10−176815号、特開平10−318529号)。ボール状部材の集合体では、ボール部材間の隙間の空間連結により疑似孔が形成される。この場合の疑似孔は、通常直線状であるとは限らないし、その断面についても、ボール径、異なるボール径の組み合わせ、或いは異形状のボール状部材の混在のさせ方により、一定にはならない。同様のことは、ボール状部材がハニカム状部材が混在する場合(例えば、特開平7−127983、特開平10−115408号)にも言える。ハニカム状部材が存在する領域では、孔は直線状かもしれないが、ボール状部材が存在する領域では、直線状とは言えない。更に、小塊状のハニカム状部材が多数集合して一つの蓄熱体を構成する場合(例えば、実開平7−2739号)は、個々の部材に着目すると孔は直線状かもしれないが、部材間の隙間の空間的連結により非直線状の疑似孔が形成される。疑似孔を複数個備える蓄熱体も多孔性構造(例えば、特公平4−70554号)を備えるので、多孔性蓄熱体に含まれる。これら疑似孔が形成される多孔性蓄熱体を、以下「ボール型蓄熱体」とまとめて呼ぶことにする。
【0045】
但し、小塊状のハニカム部材それ自体は、ハニカム型蓄熱体として機能するので、正確には、このようなハニカム部材は、ハニカム型蓄熱体にも属する点は付記しておく。
【0046】
結局、多数の孔又は疑似孔が存在することが多孔性蓄熱体であることの最低条件であり、本発明の目的、作用・効果を奏するものは、部材の形態や集合の仕方、孔や疑似孔の形態の如何を問わず、一切排除されない。
【0047】
孔又は疑似孔が「多数」であるかどうかの判定基準を決めることは難しいが、少なくとも2個以上であり、上限値を問わない。この場合もやはり本発明の目的、作用・効果を奏するものであるかどうを基準にして「多数」かどうかが判断される。
【0048】
尤も、多孔性蓄熱体が所定の装置の所定の場所に組み込まれる構造体である以上、一定の体積、形状、寸法、重量等の物理的制約が課され、更にその制約の枠内で所望の機械的強度、熱衝撃強度、耐熱性等の品質・特性を呈することが要求されるはずである。従って、現実には、多孔性蓄熱体又はそれを構成する個々の部材の有する孔の、断面方向や長手方向の孔の形状・寸法は無制限ではないことも付記しておく。
【0049】
尚、蓄熱体の中には触媒機能を備えるものもあるが(例えば、特開平7−127983号、特開平7−47233号)、多孔性蓄熱体を定義する上で、このような付加的機能の存否は本発明において特に問題にならない。
【0050】
2.「蓄熱型熱交換器」:
蓄熱型熱交換器とは、低温ガスと高温ガスとの給排気を交互に切り替えることで、蓄熱体により高温ガスの廃熱回収と低温ガスの予熱とを交互に行う装置をいう(例えば、特開平7−127983号、特開平7−83585号、特開平7−47233号、特開平6−313508号、特開平6−257972号、特開平6−213585号、特開平5−340683号、実開平7−2739号)。
【0051】
後述の直火式バーナは、燃焼バーナと蓄熱型熱交換器とが結合して構成されるので、蓄熱型熱交換器一種であると考えることができる。但し、本発明に係るある形態では、蓄熱型熱交換器は、後述の直火式バーナのように燃焼バーナと結合している必要はない。直火式バーナの場合は、燃焼バーナから発する高温の燃焼ガスの廃熱回収を、これと結合する蓄熱型熱交換器により行うのであるが、当該形態における蓄熱型熱交換器は、熱交換が可能な空間に設置されていればよいのであって、燃焼バーナとは別々に設置されていても構わず、又、燃焼バーナを熱源とする必要もなく、別の熱源により発生する高温ガスの廃熱回収を実現するものであっても構わない(例えば、実用新案登録第3049065号)。
【0052】
3.「蓄熱体を内蔵する直火式バーナ」:
蓄熱体を内蔵する直火式バーナ(以下、便宜的に、単に「直火式バーナ」と呼ぶ場合がある。)とは、燃焼バーナと蓄熱型熱交換器とが結合して構成され(例えば、実開平7−2739号)、且つ、被処理体の存在する場のガスが蓄熱体を通じて移動可能な装置をいう。かかる装置によれば、燃焼バーナと蓄熱型熱交換器とを結合したので、燃焼バーナの燃焼用空気と燃焼ガスと給排気を交互に切り替えることにより、蓄熱体により燃焼ガスの廃熱回収と燃焼用空気の予熱とを交互に行うことできるので、省エネルギー、高効率伝熱、高効率廃熱回収、NOx低減等を実現することができることは周知の通りである。
【0053】
本発明における「蓄熱体を内蔵する直火式バーナ」の典型例は、一対の燃焼バーナを交番燃焼させて、燃焼用空気を燃焼バーナに連結乃至内装した蓄熱体により燃焼ガスの廃熱回収と燃焼用空気の予熱とを交互に行う形式のいわゆる蓄熱式交番燃焼バーナ(例えば、特開平8−247671号、特開平6−228632号、特開平7−280208号、特開平10−176815号)や、燃焼用空気供給系と排気系に対して蓄熱体を相対的に回転させることによって、或いは、流路切替手段を用いて蓄熱体に対して流体の流れ方向を切り替えることによって、燃焼排ガスの廃熱を利用して燃焼用空気を高温に予熱したものを単一の燃焼バーナに連続的に供給し、連続燃焼させる形式のいわゆる蓄熱式連続燃焼バーナ(例えば、特開平8−166123号、特開平7−119937号、特開平7−27326号、特開平5−256423号、特開平7−113509号、特開平6−313508号、実開平6−65714号、特開平6−42730号、実開昭63−159622号、特開平8−285266号、特開平7−113509号)である。蓄熱式連続燃焼バーナを交番燃焼させる場合における燃焼バーナも本発明における「蓄熱体を内蔵する直火式バーナ」から排除されない。
【0054】
本発明のある形態では、被処理体の存在する場のガスが蓄熱体を通じて移動する構造のバーナ、即ち「直火式バーナ」に限定されるので、例えばラジアントチューブのような加熱管乃至輻射管を用いることにより(例えば、特開平1−219412号、特開平8−135936号、特開平8−247420号、特開平10−318528号、特開平10−115408号)のように被処理体の存在する場のガスが蓄熱体を通じて移動しない構造のバーナは、蓄熱式交番燃焼、蓄熱式連続燃焼その他の燃焼形式の如何を問わず、本発明のある形態において限定する「直火式バーナ」には含まれない。
【0055】
しかしながら、燃焼バーナの火炎が被処理体に直接接触する場合(例えば、特開平8−233251号、特開平7−258740号)は勿論、たとえ燃焼バーナの火炎が被処理体に直接接触しない場合(例えば、特開平7−113579号、特開平8−246041号、特開平8−159664号)であっても、被処理体の存在する場のガスが蓄熱体を通じて移動可能な燃焼装置であれば、その燃焼形式やバーナの火炎軸の方向を問わず、「直火式バーナ」に含まれる。
【0056】
直火式バーナにおいて使用する燃料や燃焼用空気の組成や混合物の有無は問わない。従って、燃料中に液体、固体、エマルジョン等が混合していても構わないし、空気を酸富化するかどうかも問わないし、燃料や空気清浄度の高低も問わない。
尚、本発明の場合は、蓄熱体が多孔性蓄熱体に限定されることは言うまでもない。
【0057】
4.「蓄熱体を内蔵する直火式バーナを備える蓄熱型燃焼装置」:
蓄熱体を内蔵する直火式バーナを備える蓄熱型燃焼装置とは、上述の蓄熱体を内蔵する直火式バーナを備える燃焼装置を意味する。
【0058】
直火式バーナの燃焼形式に応じて1個の蓄熱型燃焼装置を構成する直火式バーナの数が異なる。例えば、蓄熱式交番燃焼バーナの場合はその1対(2個)が、蓄熱式連続燃焼バーナの場合はその1個が、又、蓄熱式連続燃焼バーナを交番燃焼させる場合はその1対(2個)が、それぞれ1個の蓄熱型燃焼装置を構成する。仮に蓄熱式交番燃焼バーナ1対と蓄熱式連続燃焼バーナ1個が存在する場合は、2個の蓄熱型燃焼装置が存在することになる。
【0059】
5.「蓄熱型燃焼装置が複数個」、「蓄熱型熱交換器が複数個」:
蓄熱型燃焼装置が複数個ある場合とは、少なくとも次のような類型を含む。
第1類型:蓄熱型燃焼装置が蓄熱式交番燃焼バーナ又は交番燃焼する蓄熱式連続燃焼バーナのみで構成されている場合は、蓄熱式交番燃焼バーナ又は交番燃焼する蓄熱式連続燃焼バーナが少なくとも2対(従って4個)ある。
第2類型:蓄熱型燃焼装置が(交番燃焼しない)蓄熱式連続燃焼バーナのみで構成されている場合は、蓄熱式連続燃焼バーナが少なくとも2個ある。
第3類型:蓄熱型燃焼装置が蓄熱式交番燃焼バーナ又は交番燃焼する蓄熱式連続燃焼バーナ、及び、(交番燃焼しない)蓄熱式連続燃焼バーナにより構成されている場合は、蓄熱式交番燃焼バーナ又は交番燃焼する蓄熱式連続燃焼バーナが少なくとも1対(従って2個)、及び、(交番燃焼しない)蓄熱式連続燃焼バーナが少なくとも1個ある場合である。換言するならば、蓄熱式交番燃焼バーナが少なくとも2個及び蓄熱式連続燃焼バーナが少なくとも1個あるか、蓄熱式連続燃焼バーナが少なくとも3個ある。
【0060】
蓄熱型熱交換器が複数個ある場合とは、文字通り、少なくとも2個ある場合を意味する。尚、蓄熱型燃焼装置は、多孔性蓄熱体を熱交換器として使用している装置であるから、蓄熱型熱交換器、即ち、本願の請求項における「多孔性蓄熱体を内蔵する熱交換器」の概念に包含され、その上で本発明の第乃至第並びに第の各形態が解釈される。
【0061】
6.(蓄熱型燃焼装置又は蓄熱型熱交換器が複数個)「付設された加熱室」:
「加熱室」とは、被処理体に対して所望の熱処理を施す所定の場所、空間乃至は隔室であって、後述の「熱処理設備」が備えるものをいう。これを燃焼室と呼ぶ例もある(例えば、特開平8−159664号)。本発明に係るある形態では、熱処理に供される熱源は蓄熱型燃焼装置が備える直火式バーナである。
【0062】
尤も、本発明における別の形態では、燃焼バーナを具有しない蓄熱型熱交換器が対象になっている点に注意を要する。そもそも蓄熱型熱交換器が設置される場所とは、熱交換が行われる場所、空間ないしは隔室(以下「熱交換室」という。)であり、被処理体に対して所望の熱処理を施す所定の場所、空間乃至は隔室である必要はない。この意味から、本発明に係る第乃至第の形態における、蓄熱型熱交換器が複数個付設された「空間」とは、加熱室、加熱室とは区別される熱交換室その他を包括的に表現する場所、空間ないし隔室を意味する。又、第乃至第の形態における「ガス」は、物体に熱処理を施す加熱室から外部に排出される又は外部から加熱室に供給されるガスであっても構わないし、加熱室から熱交換室に流れ込むガスであっても構わない。又、加熱室の存在とは無関係に本発明は成立するが、蓄熱型熱交換器を設置して熱交換を行う以上、本発明が設備として限定されることは当然であるので、第の形態では、この限定を熱処理設備までとしている。
【0063】
熱処理時に水蒸気、不活性ガスその他の物質を導入する場合も、単位隔室が一個だけで構成される場合や複数個の空間若しくは複数個の空間の連結(この場合ば単位隔室が一個だけの場合といえる。)により構成される場合も、本発明における加熱室や熱交換室の概念から排除されない。
【0064】
加熱室に複数個の蓄熱型燃焼装置が付設してあるのは、加熱室内に所望の温度分布を作り出し、時にはこの温度分布に時間的変化を与えるためである。これにより、被処理体に所定の温度履歴を与え、所望の熱処理を施すことができる。例えば、被処理体が外部から加熱室内へ、或いは、加熱室内から外部へ搬送されるときは、被処理体は急激な温度変化に晒される。
【0065】
この際受ける熱衝撃により、被処理体に欠陥ができるなど引き続く熱処理への悪影響や熱処理された被処理体の製品品質への悪影響が懸念される場合があるので、通常は、外部との境界近くの加熱炉内の温度分布が外部温度に対して緩やかに変化するように蓄熱型燃焼装置の稼働条件を調整する。
【0066】
しかし、熱処理の種類によっては、急激な温度勾配を外部との境界近くの加熱室内やそれ以外の加熱室内に作り出す必要があり、又、それを回避することが運転若しくは操業上困難である場合もある。
【0067】
加熱室内における温度分布は、所望の到達温度に向けて温度勾配を作り出す必要がある場合、個々の蓄熱型燃焼装置の稼働条件を調整する。加熱室が複数個の単位隔室の結合により構成される場合は、単位隔室毎に調整する。これらの調整には、個々の蓄熱型燃焼装置の稼働条件を一定に維持するいわば静的制御、室外若しくは室内又は単位隔室内に設けたセンサにより温度計測を行いながら、或いは、別の蓄熱型燃焼装置(例えば隣接する蓄熱型燃焼装置)の稼働状況を監視しながら、その結果を正帰還又は負帰還させるいわば動的制御、その他静的制御と動的制御の組み合わせがある。これらの制御には多くの場合、コンピュータが用いられるが、可能ならば、更に原始的な装置を用いてこれらの制御を行っても構わない。
【0068】
本発明の場合、所望の温度分布を加熱室内に作り出すための方法に制限はない。
【0069】
「付設」とは、一般に、加熱室内のガス又は熱交換に供されるガスが蓄熱体を通じて移動可能になるように蓄熱型燃焼装置又は蓄熱型熱交換器を配置することを意味する。更に、限定する意図なく具体的に説明すると、「付設」とは、加熱室への燃焼装置の取り付け方式の一種であるが、被処理体の存在する場、具体的には加熱室内のガスが蓄熱体を通じて移動可能になるように燃焼装置又は熱交換器が加熱室に取り付けられていれば、その方式を問わず、又、加熱室内に配置する被処理体と蓄熱体との間の距離の大小や両者を繋ぐガス流路の形態の如何によらず、付設に該当する。即ち、加熱室が形成する空間内のガスが蓄熱体を通じて移動可能な状態に蓄熱型燃焼装置又は蓄熱型熱交換器を配置することを意味し、加熱室が形成する空間に蓄熱体が面するように配置する場合はもとより、加熱室に取り付けた通気路が形成する空間に蓄熱体が面するように配置する場合も含み、又、燃焼装置や熱交換器の本体の一部又は全部が加熱室壁面に埋設される形式で配置する場合、或いは燃焼装置や熱交換器の本体と加熱室とが配管又は通気路により接続しながら配置する場合も含む。
【0070】
尚、蓄熱型燃焼装置又は蓄熱型熱交換器の多孔性蓄熱体を通流するガスの流れる方向は、一定であっても逆転しても構わない。例えば、加熱室に付設された蓄熱型燃焼装置が交番燃焼する場合であっても、加熱室外のガスが加熱室内に向かって流れる場合とその逆に加熱室内のガスが外部に向かって流れる場合において、蓄熱体内のガス流の向きが逆転する必要はない。ガス配管及びその切替えを工夫すれば、蓄熱体内のガス流の向きが同一のままで、又は異方向に変更若しくは反転させることなく、加熱室外から加熱室内に向かうガスの流路や蓄熱体におけるガスの通過位置を変更できるからである。熱交換室に付設される蓄熱型熱交換器の場合も、同様に、ガス配管及びその切替えを工夫すれば、蓄熱体内のガス流の向きが同一のままで、又は異方向に変更若しくは反転させることなく、熱交換室外から熱交換室内に向かうガスの流路や蓄熱体におけるガスの通過位置を変更できる。
【0071】
複数個ある蓄熱型燃焼装置及び/又は蓄熱型熱交換器の配置の形式については、例えば、被処理体の移動方向に沿うアレイ状の配置形式(例えば、特開平7−4853号、特開平8−210780号、特開平7−97617号)、加熱室内部空間を構成する壁面(通常は炉壁)に当該内部空間を取り囲むように配置する形式(例えば、特開平6−94368号)、加熱室から外部に排出するガスの通路若しくは通路に相当する別空間に(例えば、特開昭53−120861号)若しくは別空間に沿って又は当該別空間を取り囲むように配置する形式(例えば、実用新案登録第3049065号、特開平7−280239号、特開平7−258740号)等がある。又、アレイ状の配置形式の中でも、数個の蓄熱型燃焼装置及び/又は蓄熱型熱交換器の群(1個の場合も含む。)を1ユニット又は1ゾーンとする複数ユニット又は複数ゾーンを直列配置する形式もある(例えば、特開平6−200329号、特開平8−209234号、特開平6−238317号、特開平7−97617号、特開平8−159453号)。本発明では配置形式をこれらに限定するものでなく、例えばバーナの火炎軸が交差するような配置形式、その他種々の配置形式を広く包含する。
【0072】
7.「熱処理設備」及び「通路」:
「熱処理設備」としては、本発明の適用可能性がある、或いは、本発明の適用が排除されないすべての炉をいう。例えば、加熱炉(例えば、特開平6−238317号)、焼却炉(例えば、特開平10−197159号)、灰溶融炉(例えば、特開平8−68519号)、溶解炉(例えば、特開平10−246585号)、熱処理炉、灼熱炉及び溶湯保持炉(例えば、特開平8−128620号)、脱臭炉、化学反応炉、その他の工業用炉(例えば、特開平8−166123号、特開平8−166124号における工業炉の列記を参照)がこれに該当する。熱処理の種類に応じた熱処理設備の種類が考えられる。
【0073】
尤も、本発明に係る第の形態においては、蓄熱型熱交換器を備える設備として限定する必要から単に熱処理設備を問題にするものもある点には注意を要する。この場合、熱処理設備やそこで行われる熱処理の具体的内容を限定する意味はない。
【0074】
熱処理設備には、外部から加熱室内に被処理体が搬入される入口と搬入路(即ち被処理体が搬入される経路)が設けられ、熱処理設備が具備する加熱室にはこの搬入路と直結する入口部(即ち入口及びその近傍の領域)が存在し、又、加熱室内から外部に熱処理が施された被処理体が搬出される出口と搬出路(即ち被処理体が搬出される経路)が設けられ、加熱室にはこの搬出路と直結する出口部(即ち出口及びその近傍の領域)が存在するものがある。更に、搬入路や搬出路には、開閉扉乃至は開閉装置が設けられていてもよい(例えば、特開平6−238317号)。この場合、搬入路の側の扉を開けて被処理体を加熱室に向けて搬入後、これを閉じて外部と加熱室とを遮断し、又、搬出路の側の扉を開けて熱処理が施された被処理体を外部に搬出した後、これを閉じて外部と加熱室とを遮断する。
【0075】
熱処理設備には、更に、加熱室内と外部とを繋ぐ通気路(即ち気体が通流する経路)が設けられ、加熱室にはこの通気路と直結する通気路口(即ち気体が通流する経路のうち加熱室内と外部とを繋ぐ出口及びその近傍又は入口及びその近傍の領域)が存在するものもある。このような通気路の例としては、加熱室内のガスを外部に排気するための煙突、煙道乃至ダクトがある。この通気路は、外部と加熱室とを適時、必要に応じて接続する装置、例えば開閉扉や開閉弁を備えていてもよい。煙突等に設けられたダンパにより適時、必要に応じて外部と加熱室とを接続し、排気を行い加熱室のガス圧乃至特定のガス分圧を制御することもある(例えば、特開平6−238317号、特開平7−103361号、特開平8−210780号、特開平6−200329号)。
【0076】
尚、被処理体の搬入路や搬出路は、加熱室とは別空間を構成する煙道、ダクト等と同様に、加熱室の内部空間とは別の空間を構成している場合もあれば(例えば、特開平8−210780号、特開平7−258740号、特開平8−135936号)、加熱室の内部空間と一体化していて弁別できない場合もある(例えば、特開平7−103659号、特開平6−200329号)。このような場合、搬入路や搬出路は観念的には想起できても、現実にはその場所を格別に画定して指摘することは困難になり、例えば、外部から加熱室内に被処理体が搬入される入口と加熱室にあるはずの入口部とは、極めて近接したいわば背中合わせの位置関係になる。加熱室内から外部へ被処理体を搬出する出口と加熱室にあるはずの出口部との関係も同様である。本発明では、搬入路や搬出路を現実的に画定できるか、これらを観念的にしか想起できないかを問わない。
【0077】
「通路」とは物質又は物体が通過する経路であり、「通路口」とは、複数の空間を横切る通路における、一つの空間とそれとは別の空間とを繋ぐ出口又は入口である。上述の搬入路、搬出路及び通気路並びに入口部、出口部及び通気路口は、それらの機能に鑑みるに、それぞれ、広くは通路並びに通路口に含まれると言える。従って、本発明においては、特に明記して区別しない限り、通路とは搬入路、搬出路及び/又は通気路を、通路口とは入口部、出口部及び/又は通気路を含むものとする。
【0078】
8.「被処理体」及び「物体」:
本発明において、被処理体及び物体は、特に明記して区別する場合を除き、両者ともに熱処理を施すべき又は施した対象物を意味する。かかる被処理体又は物体としては、金属鉱石、スラブ、ビュレット等の鋼片(例えば、特開平7−258740号、特開平8−143949号)、金属ストリップ(例えば、特開平8−159664号、特開平7−102326号)、鋼材(例えば、特開平7−97617号、特開平6−200328号)、焼却灰(例えば、特開平8−261421号)、下水汚泥(特開平7−280239号、特開平7−280475号)、ガラス(例えば、特開平6−94368号、特開平8−208240号)、セラミックス、プラスチック、生ゴミ、木材その他の可燃性廃棄物を例示できるが、これらに限定されない。例えば排気ガス中に含まれる有害物質や悪臭物質又は非芳香物質その他の物質を除去するために当該排気ガスに対して何らかの熱処理を施す場合には、当該排気ガスが被処理体乃至物体に相当する。
【0079】
9.「多孔性蓄熱体の実質的平均表層孔径」:
「多孔性蓄熱体の実質的平均表層孔径」とは、本明細書において格別に定義した用語であり、詳しくは後述する。
【0080】
10.「同一でない」:
多孔性蓄熱体の実質的平均表層孔径が「同一でない」とは、多孔性蓄熱体を内蔵する直火式バーナ若しくは蓄熱型熱交換器又はその群が少なくとも2個ある場合、従って、異なる直火式バーナ又は熱交換器に内蔵される多孔性蓄熱体又はその群が複数個ある場合において、一方の直火式バーナ若しくは熱交換器に内蔵される多孔性蓄熱体又はその群と他方の直火式バーナ若しくは熱交換器に内蔵される多孔性蓄熱体又はその群とを比べた場合、多孔性蓄熱体の実質的平均表層孔径が、単一の値でないことを意味する。具体的には次のように説明できる。
【0081】
異なる直火式バーナ又は熱交換器に内蔵される多孔性蓄熱体が2個ある場合は、当該2個の多孔性蓄熱体の実質的平均表層孔径が異なることを意味する。
【0082】
異なる直火式バーナ又は熱交換器に内蔵される多孔性蓄熱体が3個以上(M個)ある場合は、M個すべての多孔性蓄熱体の実質的平均表層孔径が単一の値にならないことを意味し、次の場合がこれに該当する。
N個(0<N<M−1)の多孔性蓄熱体は共通の実質的平均表層孔径の値をとるが、残る(M−N)個の多孔性蓄熱体はそれとは異なる共通の値をとる場合。
M個の多孔性蓄熱体が、異なる実質的平均表層孔径の値をとるP個(2<P<M)の群に分けられる場合(ある値をとる多孔性蓄熱体が1個だけの場合も1個の群と数える)。
M個の多孔性蓄熱体のすべてが互いに異なる実質的平均表層孔径の値をとる場合。
【0083】
以上の説明について、限定する意図なく説明すると、異なる直火式バーナ又は熱交換器に属する多孔性蓄熱体が複数個あり、その内、実質的平均表層孔径が他のものよりも小さい又は大きな多孔性蓄熱体が存在するならば、本発明において、多孔性蓄熱体の実質的平均表層孔径が「同一でない」と言える。
【0084】
従って、多孔性蓄熱体を内蔵する直火式バーナ、かかる直火式バーナを備える蓄熱型燃焼装置、多孔性蓄熱体を内蔵する蓄熱型熱交換器の意味に鑑みるに、実質的平均表層孔径が、ある直火式バーナの方が別の直火式バーナよりも大きい場合や、ある蓄熱型燃焼装置の方が別の蓄熱型燃焼装置よりも大きい場合、更には、ある蓄熱型熱交換器の方が別の蓄熱型燃焼装置よりも大きい場合は、「同一でない」場合に含まれる。又、交番燃焼をする一対の直下式バーナを備える蓄熱型燃焼装置において、一方の直火式バーナが内蔵する多孔性蓄熱体と、他方の直下式バーナのそれとを比較したとき、実質的平均表層孔径が異なる場合も、「同一でない」の定義に含まれる。
【0085】
次に、本発明を限定する意図なくより具体的に説明するために、直火式バーナ又は蓄熱型燃焼装置を備えた熱処理設備について、加熱炉を一例として、これを図面を参照しながら説明する。
【0086】
図1は、加熱炉を示す概略縦断面図、図2は、加熱炉を示す概略側面図、図3は、上部バーナを図示した加熱炉を示す概略平面図、図4は、下部バーナを図示した加熱炉を示す概略側面図である。
【0087】
図1において、1は、加熱炉本体、2a、2bは、直火式バーナ、3a、3bは、蓄熱体、4a、4bは、燃料遮断弁、5は、燃料空気の供給と燃焼排ガスの吸引とを切り替えるための四方弁、6は、燃焼排ガス排気口、7は、厚鋼板等の被処理体である。
【0088】
一方のバーナ2aが燃焼状態にある場合に、蓄熱体3aに供給される燃焼空気の温度は例えば、30℃であり、それが蓄熱体3aにより加熱されて、1250℃の予熱空気となってバーナaに供給される。予熱空気は、燃焼ガスと共に燃焼して加熱炉本体1内に供給される。又、燃焼排ガスの一部は、バーナbを経て1350℃の温度で蓄熱体3bに吸引されて、蓄熱体3bを加熱して200℃の燃焼排ガスとして排気される。更に、残余の燃焼ガスは、排気口6から炉外に排気される。バーナ2a、2bの切り替えは、燃料遮断弁4a、4bと燃焼空気及び燃焼排ガス切り替え四方弁5の切り替えと連動して行われる。尚、バーナ2a、2bを切り替える周期(交番周期)は、約10から30秒程度の高周期が好ましいが、これに限定されない。
【0089】
この種の加熱炉には、短時間に蓄熱と放熱とを繰り返してなされる廃熱回収システムが組み込まれ、蓄熱体3a、3bを設けることにより、熱回収効率を高める。
【0090】
蓄熱体3a、3bは、単位容積当たりの熱交換面積が大きく、且つ、ガス通過面積が大きく、更に、流体通過時の圧力損失の小さな構造体が望ましい。例えば、ハニカム状構造体が適している。このような理由から直火式バーナの蓄熱体には、ハニカム型蓄熱体が用いられる。又、ハニカム型蓄熱体の材質は、例えば、1300℃以上の高温の燃焼ガスが通過するために、高温で溶融しないセラミックが用いられる。このようなセラミックハニカムは、押出し成形した材料を焼結することによって製造される。従って、セラミックハニカムによる蓄熱体は、ハニカムの断面形状が流路方向で一定である。
【0091】
図2から図4に示す加熱炉は、上記バーナが被処理体の通路を挟んで上下に2段設けられているものであり、A1からA19が上部バーナ、B1からB19が下部バーナである。A1からA3及びB1からB3の領域が第1予熱帯、A4からA8及びB4からB8の領域が第2予熱帯、A9からA13及びB9からB13の領域が加熱帯、そして、A14からA19及びB14からB19の領域が均熱帯となっている。なお、図3に示す煙道は、上記燃焼排ガス排気口6でありダンパーによって開閉可能になっている。加熱炉の典型例は、鉄鋼用加熱設備であり、特に高炉の副生ガスを燃料として使用する設備が好適である。
【0092】
次に、本発明の原理について説明する。
【0093】
本発明では、目詰まり原因物質が付着し易い領域に配置する直火式バーナ若しくは蓄熱型燃焼装置又は蓄熱型熱交換器が擁する多孔性蓄熱体の形態を工夫して構成し、これが付着しにくくする若しくは付着しても目詰まり現象が顕在化しないようにする。このため、目詰まり現象に起因する種々の問題の発生を防止又は抑制することができる。
【0094】
多孔性蓄熱体を内蔵する直火式バーナ、蓄熱型燃焼装置又は蓄熱型熱交換器を複数個備える熱処理設備において被処理体に熱処理を施す場合、又は、蓄熱型熱交換器を複数個備える熱処理設備において熱交換室にガスを通流して熱交換を行う場合、多孔性蓄熱体のすべてにおいて均一に目詰まり現象が進行する訳でない。本発明は、かかる知見に基づき成された発明である。即ち、直火式バーナ、蓄熱型燃焼装置又は蓄熱型熱交換器が内蔵する多孔性蓄熱体の実質的平均表層孔径をすべての同じにならないようにし、目詰まり現象が相対的に起こりやすい領域に配置する多孔性蓄熱体に対して目詰まり現象の進行が全体として遅くなるようにする。
【0095】
例えば、外来性目的外物質が入り込む通路口に近い領域に配置する直火式バーナ又は蓄熱型熱交換器が備える多孔性蓄熱体の方がそうでない領域に配置するものよりも目詰まり現象の進行が速い。これはおそらく目詰まり現象を最も助長する原因物質は、外来性目的外物質であり、続いて内来性目的外物質であるため、及び/又は、通路口近傍では外部と熱処理設備内部との温度差が大きく、内来性目的外物質が発生し易いからであろう。
【0096】
又、直火式バーナ又は蓄熱型熱交換器が付設された加熱室において、被処理体が外部から搬入される入口部に近い領域の方が、これが搬出される出口部に近い領域よりも、各領域に配置する直火式バーナ又は蓄熱型熱交換器が擁する多孔性蓄熱体における目詰まり現象の進行が速い。これはおそらく加熱室内のガス流が入口部から出口部に向かって流れるために入口部の方が出口部よりも外来性目的外物質が入り込み易いためであろう。これら2個の領域の何れにも属しない領域が設定できる場合は、これら2個の領域の方が残る領域よりも目詰まり現象の進行が速いことになる。この「残る領域」が設定できるかどうかは、加熱室の形態(特に、通路を構成する長さ、室内ガスの流速に変化を与える構造、或いは室内で急激な温度差を与える構造の有無)、出口部や入口部以外に通路口が存在するかどうか等によって異なり、結局は熱処理設備の種類、特徴その他の条件によって異なる。
【0097】
熱処理設備が具備する加熱室に向かってその外部からガスが流れ込む場合には、そのガス流に沿って配置する直火式バーナ若しくは蓄熱型燃焼装置又は蓄熱型熱交換器が内蔵する多孔性蓄熱体の目詰まり現象は、上流に配置するものほど起こりやすい。これは、外来性目的外物質の密度が上流ほど高いからであると考えられる。このようなガス流の上流と下流における目詰まり現象の進行度の相違は、程度の違いはあり得るが、加熱室の存否には無関係であり、熱交換室に複数個付設された蓄熱型熱交換器おいても生ずる。
【0098】
熱処理設備が具備する加熱室からその外部に向かってガスが流れ出す場合には、そのガス流に沿って配置する直火式バーナ又は蓄熱型熱交換器が備える多孔性蓄熱体の目詰まり現象は、上流に配置するものほど起こりやすい場合がある。これは、外来性目的外物質に加えて内来性目的外物質の密度が上流、即ち、加熱室側の方が高いからであると考えられる。
【0099】
その他の原因として考えられるのは、温度差である。入口部と出口部のそれぞれに近い領域は、外部との温度差が大きい領域であるが、入口部では内部の高温ガスが外部に向かって排出されるというよりはむしろ低温の外気が熱処理設備内に入り込むが、逆に出口部では外気が入り込むというよりは外部に向かって高温ガスが排出される。それ故、内来性目的外物質の発生の原因となる温度差は入口部の方が大きい。この結果、入口部に近い領域の目詰まり現象の進行が速くなると考えられる。
【0100】
尤も、熱処理装置内においても多孔性蓄熱体の目詰まり現象に進行速度に違いが生ずる場合がある。後述するように、熱処理装置内、特に加熱室内の温度プロファイルが急激に変動し、相対的に大きな温度差が生じている位置(例えば、鋼材の連続式熱処理装置においては予熱領域と加熱領域との境界位置、或いは、加熱領域と均熱領域との境界位置)又はその近傍の領域に配置する直火式バーナ又は蓄熱型熱交換器が備える多孔性蓄熱体では、そうでないものよりも相対的に目詰まり現象の進行が速い。これは、たとえ熱処理装置内であっても温度差が大きければ内来性目的外物質が発生するからであろう。要すれば、温度差が大きい場所は、入口部や出口部だけでなく、加熱室内或いは熱処理設備内にも認められる。
【0101】
多孔質蓄熱体における目詰まり現象の更に別の原因として考えられるのは、重力である。加熱室内ではガス流が形成されているので微粒子又はそうでなくても軽量な目的物質は、ガス圧により吹き飛ばされ、種々の方向に飛散している推察される。しかし、外来性であれ内来性であれ目的外物質は、大なり小なり重力が作用しているので、加熱室の存否に拘わらず、重力の作用により基本的に上から下に移動する傾向にある。従って、より下部に配置する多孔性蓄熱体ほど目詰まり現象を起こしやすいことになる。例えば、図2から図4に示す加熱炉では、同じ水平位置にあるのならば、上部バーナより下部バーナの方が多孔性蓄熱体の目詰まり現象が起こりやすいことになる。
【0102】
又、ある種の熱処理設備(例えば、ごみ焼却炉設備)では、蓄熱式バーナ又は蓄熱型熱交換器が備える多孔性蓄熱体の目詰まり現象への寄与は、外来性目的外物質よりも内来性目的外物質の方が大きい。これは、外部よりも遥かに温度が高い焼却炉の加熱室で発生する目的外物質の量の方が膨大で且つそれが小(微)粒状であるが故に完全除去は難しく、従って、目詰まり原因物質としては、内来性目的外物質の方が外来性目的外物質よりも量的に上回るからであると考えられる。このような場合であっても、より高温側又はガスの通流方向の上流側に配置する多孔性蓄熱体ほど目詰まり現象は起こりやすいので、本発明が意図する熱処理設備である。
【0103】
尚、外来性及び内来性目的外物質以外の目詰まり原因物質である副産物は、基本的に、外来性及び内来性目的外物質が目詰まり現象を起こす多孔性蓄熱体において目詰まり現象の原因となる。従って、通路口に近い領域、ガス流の上流の領域、大きな温度差の生じている領域、ガス流の温度がより高い領域、大きな温度差の生じている領域、入口部よりも出口部に近い領域等において、外来性及び/又は内来性目的外物質とともに目詰まり現象の進行を助長する。
【0104】
かくして、多孔性蓄熱体の実質的平均表層孔径をすべて同じにならないようにすれば、通常の場合よりも目詰まり現象が起こりにくくすることができる。
【0105】
以上、本発明の原理を整理して目詰まり現象の起こりやすい領域を具体的に特定すると、(1)外部に向けて開口している又は開口し得る通路口がある領域及び急峻な温度勾配が印加される領域、(2)ガス流により目的外物質が搬送される場合、そのガス流のより上流に位置する領域又はより高温のガスが流れ領域、及び(3)目的外物質が自然法則に従って移動しやすい、鉛直方向においてより下方に位置する領域、ということになる。尚、(1)及び(2)については、例えばガス流方向という観点に着目すると、ガス流の最上流及び最下流の領域は、外部に向けて開口している又は開口し得る領域であり、外部の温度と比べて高温であり温度勾配が急激に変化する傾向があるので、定義上重複する場合がある。又、(2)については、焼却炉設備から蓄熱型熱交換器を用いて熱回収したり、その熱源として蓄熱式バーナを使用するような場合には、焼却炉の加熱室で発生する内来性目的外物質を量的に上回り、目詰まり現象への寄与が相対的に多くなる場合がある。この場合には、ガスの流れの上流であると否とに拘わらず、ガス流の温度がより高い側の方が、目詰まり現象が起こりやすい。それ故、(2)は、ガス流の方向に沿ってより上流側の領域とより高温側の領域とが一致する場合がある。更に、(1)の通路口は、入口部、出口部、及びこれら以外の通路口に分けられるが、入口部及びこれに近い領域、出口部及びこれに近い領域及びこれらに以外の通路口及びこれに近い領域の順に目詰まり現象が起こりやすい。
【0106】
尚、蓄熱型燃焼装置が交番燃焼する1対の直火式バーナから成る場合や、1対の多孔性蓄熱体をガスがその通流方向を交互に変えながら熱交換を行う蓄熱型熱交換器、或いは、交番燃焼する1対の蓄熱型燃焼装置においては、一つの蓄熱型燃焼装置、蓄熱型熱交換器又は1対の蓄熱型燃焼装置内に少なくとも2個の多孔性蓄熱体が存在することになる。これら少なくとも2個(特に2個だけ)の多孔性蓄熱体の実質的平均表層孔径が異なる場合も、本発明に包含され、排除されないことを説明ておく。
【0107】
図25()〜()において、 C1とC1の対、C2とC2の対、D1とD1の対、D2とD2の対は、それぞれ、加熱室や加熱室以外の空間(例えば熱交換室)に付設された交番燃焼する1対の直火式バーナ、ガスが交互に方向を変えて流れる1対の熱交換器又は交番燃焼する1対の蓄熱型燃焼装置である。図25()()において、X方向は、通路口側、通流するガスの上流側又は高温側であり、Y方向は、通路口側からより離隔した領域側、通流するガスの下流側又は低温側を示す。図25()において、C1とC1の対及びC2とC2の対は同じ側(右側又は左側の何れか一方)に配置するが、図25()においては、C1とC1の対及びC2とC2の対は対局の側(右側と左側)に配置する。図25()において、D1とD1の対及びD2とD2の対は同じ側(右側又は左側の何れか一方)に配置するが、上部室と下部室に分かれて配置する。図25()において、D1とD1の対及びD2とD2の対は対局の側(右側と左側)に配置するとともに、上部室と下部室に分かれて配置する。
【0108】
本発明によれば、図25()()におけるX側のC1及びC2の多孔性蓄熱体の実質的平均表層孔径と、Y側のC1及びC2のそれとを異なるように設定する。特に、前者の実質的平均表層孔径を後者のよれよりも大きく設定する。又、本発明によれば、図25()()における下部室に付設されたD1及びD2の多孔性蓄熱体の実質的平均表層孔径と、上部室に付設されたD1及びD2のそれとを異なるように設定する。特に、前者の実質的平均表層孔径を後者のそれよりも大きく設定する。
【0109】
図26において、上部室及び下部室のXY方向に付設されたE1(上部室の右側)とE1(下部室の左側)の対、E2(下部室の右側)とE2(上部室の左側)の対、F1(上部室の左側)とF1(下部室の右側)、F2(下部室の左側)とF2(上部室の右側)の対は、それぞれ、加熱室や加熱室以外の空間(例えば熱交換室)に付設された交番燃焼する1対の直火式バーナ、ガスが交互に方向を変えて流れる1対の熱交換器又は交番燃焼する1対の蓄熱型燃焼装置である。この図のように多孔性蓄熱体が配置し、これら4対の多孔性蓄熱体が存在するという模式的状況を考えると、本発明によれば、上部室及び下部室のそれぞれにおいて、X側の多孔性蓄熱体の実質的平均表層孔径と、Y側のそれとを異なるように設定する。特に、前者の実質的平均表層孔径を後者のそれよりも大きく設定する。又、下部室に付設された多孔性蓄熱体の実質的平均表層孔径と、上部室に付設されたそれとを異なるように設定する。特に、前者の実質的平均表層孔径を後者のそれよりも大きく設定する。この結果、図26()(図26()における断面S−S)におけるE2、F2の多孔性蓄熱体の実質的平均表層孔径が最も大きく設定され、図26()(図26()における断面T−T)におけるE2、F2の多孔性蓄熱体の実質的平均表層孔径が最も小さく設定されることになる。
【0110】
これら(1)乃至(3)の3種類の領域の組合せにより目詰まり現象の起こりやすい領域は更に細かく分けることができるが、本発明は、次に説明するように、かかる組合せによる領域をその技術的範囲から排除するものではない。発明のカテゴリーにこそ相違はあるが、大雑把に言って、本発明に係る第1乃至第の形態は、加熱室を備える熱処理設備において上記(1)に相当し、本発明に係る第乃至第の形態は、加熱室及び加熱室以外の空間(例えば熱交換室)を備える熱処理設備において上記(2)に相当し、第の形態は、これを具体的に特定したものに相当する。本発明に係る第及び第の形態は、前者が、加熱室を備える熱処理設備において上記(3)に相当し、後者が、加熱室、熱交換室等の存否に拘わらず上記(3)に相当する。
【0111】
従って、本発明によれば、目詰まり現象を起こしやすい領域において、蓄熱式バーナ、蓄熱型燃焼装置又は蓄熱型熱交換器が内蔵する多孔性蓄熱体における当該現象を解消又は抑制することができる。詳しくは、第1の形態(現請求項1に対応)によれば、加熱室内の目詰まり現象を起こしやすい領域において、当該現象が起こりにくくなりような直火式バーナ又は蓄熱型燃焼装置を備える熱処理設備を実現でき、第の形態(現請求項に対応)によれば、熱処理設備が備える加熱室内の目詰まり現象を起こしやすい領域において、当該現象が起こりにくくなりような直火式バーナ又は蓄熱型燃焼装置が内蔵する多孔性蓄熱体の設置方法を実現することができる。第の形態(現請求項に対応)によれば、加熱室内の目詰まり現象を起こしやすい領域において、当該現象が起こりにくくなりような直火式バーナ又は蓄熱型燃焼装置を備える熱処理設備を用いて熱処理を施した物体を製造する方法を実現することができる。
【0112】
本発明に係る第の形態(現請求項に対応)によれば、ガス流が形成される加熱室、熱交換室その他の空間内の目詰まり現象を起こしやすい領域(特にガス流のより上流側の領域)において、当該現象が起こりにくくなりような蓄熱型熱交換器を備える熱処理設備を実現でき、第の形態(現請求項に対応)によれば、ガス流が形成される加熱室、熱交換室その他の空間内の目詰まり現象を起こしやすい領域において、当該現象が起こりにくくなりような蓄熱型熱交換器が内蔵する多孔性蓄熱体の設置方法を実現することができる。第の形態(現請求項に対応)によれば、ガス流が形成される加熱室、熱交換室その他の空間内の目詰まり現象を起こしやすい領域(特に第の形態では、ガス流のより上流側の領域)において、当該現象が起こりにくくなりような蓄熱型熱交換器を備える熱処理設備を用いて熱処理を施した物体を製造する方法を実現することができる。
【0113】
又、本発明に係る第及び第の形態(現請求項及び第にそれぞれ対応)によれば、目詰まり現象を起こしやすい、鉛直方向のより下部の領域(特に第の形態では、加熱室内の領域)において、当該現象が起こりにくくなりような蓄熱型熱交換器を備える熱処理設備を実現できる。
【0114】
更に、本発明に係る第の形態(現請求項に対応)によれば、目詰まり現象が起こりやすい領域において、当該現象が起こりにくくなるような多孔性蓄熱体の選定方法を実現できる。
【0116】
このように本発明によると、目詰まり現象が相対的に起こりやすい領域において、多孔性蓄熱体における目詰まり現象を防止又はその進行を抑制することができるので、多孔性蓄熱体における目詰まりの進行や顕在化を熱処理装置又はその運転・操業全体として遅らせることができ、更に多孔性蓄熱体の延命化や交換周期の延長化により、蓄熱式バーナ若しくは蓄熱型燃焼装置の燃焼効率又は蓄熱型熱交換器の熱交換効率、ひいてはこれらを具備する熱処理設備の運転効率を高いまま維持し、熱処理設備のメンテナンス作業に関連する設備管理コストの低減を図ることができる。
【0117】
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明する。
【0118】
図2及び図3は、本発明に係る熱処理設備の一種である加熱炉の概略縦断面図及び概略横断面図をそれぞれ示す。
【0119】
図2において、物体の搬入用開閉扉と搬出用開閉扉近傍の加熱室の領域が、それぞれ、入口部及び出口部に相当する。搬入要開閉扉及び搬出用開閉扉は、それぞれ、外部から物体が入口部に向けて搬送される場合及び出口部から外部に搬送される場合にのみ開き、それ以外の場合は通常閉じている。
【0120】
加熱室は要するに加熱炉の核をなし、上部バーナA1からA19で構成される上部炉と下部バーナB1からB19で構成される下部炉とに分けることができる。上部炉及び下部炉は、図2及び図3から分かるように、上部バーナ及び下部バーナのそれぞれの19個の対で構成されている。図2及び図3に示されている第1予熱帯、第2予熱帯、加熱帯、均熱帯の4つの領域は、熱処理条件の相違、特に図中に例示した上部炉及び下部炉それぞれにおける入熱条件により実現される。これら4つの領域のそれぞれを隔室と考えれば、この加熱炉における加熱室は、4個の隔室から構成されていると考えることもできれば、4個の加熱室が連なっていると考えることもできる。
【0121】
なお、図2乃至図4は直火式バーナの火炎の方向(バーナ軸)が、物体の移動方向に対して垂直の場合を例示しているが、バーナ軸が物体の移動方向に対して平行の場合(例えば、特開平8−210780号、特開平7−97619号)を本発明において排除する趣旨ではない。本発明は、バーナ軸が、物体の移動方向に対して非垂直である場合も含む。
【0122】
先ず、実質的平均表層孔径について説明する。詳細は以下で説明するが、本発明における実質的平均表層孔径とは、目詰まり現象を可能な限り客観的に把握するために定義される評価指標である。本発明を限定する意図なく、分かり易さのために具体的に言えば、実質的平均表層孔径とは、多孔性蓄熱体の表面から一定の深さまでの範囲の表層において定義される、当該蓄熱体の有する孔(疑似孔を含む。)の大きさのことである。しかし、本発明においては、改めて後述するが、バーナが備える多孔性蓄熱体を通過するガスの圧力や圧損の変化のように目詰まり現象の進行と相関関係を有するパラメータも、一見して蓄熱体の有する孔の大きさとは無関係ではあるが、実質的平均表層孔径の定義から排除されない。
【0123】
多孔性蓄熱体の目詰まり現象とは、その発生プロセスは種々あると考えられるが、一次的には、目的外物質の孔内部への付着による閉塞現象といってよい。かかる閉塞現象は、長期にわたって観測すれば蓄熱体内の孔内部全域にわたって起こる現象といえる。しかし、実際の目詰まり現象は、多孔性蓄熱体の表面から一定の深さまでの表層で顕著に起こり、孔内部全域にわたる程目詰まり現象が進行する頃にはもはや使用に耐えない程表層部分の目詰まり現象が進んでいる。使用に耐えない程目詰まり現象が進行しているかどうかは、実際問題、この表層は、蓄熱体表面から数cmから10cmの範囲でこれを定めれば十分である。目詰まり現象の発生の有無を知るだけならば、数cm程度或いは3〜4cmの薄い表層を設定すれば良いし、蓄熱体の寿命を長期にわたり評価する場合には、10cmに及ぶ厚い表層を設定し、そこで起こる目詰まり現象を検討すればよい。但し、条件によっては、数10cmに及び厚い表層を設定する必要がある可能性を排除するものではない。例えば、スケール飛来物が主たる目詰まり原因物質である場合は、蓄熱体上部の高温側で目詰まり現象が起こるので、表層から数センチ(例えば2〜3cm)で実質的平均表層孔径を設定すれば十分である。蓄熱体と目的外物質との反応により生成する副産物が目詰まり現象の主たる原因である場合は、表層から10cm 程度でそれを設定する。蓄熱体の低温部における(従って蓄熱体下部)、ガス化していた目的外物質の露結が無視できない場合は、この低温部を含む程の厚い表層を設定する必要があり、例えば、数cm〜10cm或いはそれ以上で実質的平均表層孔設定する。
【0124】
複数個の構成部材が積み重なって一つの多孔性蓄熱体を構成している場合(蓄熱体内のガス通流方向に沿って、構成部材の材質を意図的に変える場合を含む。)は、上記のように設定した表層の厚さの範囲内に存在する構成部材を幾つかサンプリングして、実質的平均表層孔径を求めても構わない。例えば、高さが2.5cmのハニカム構成部材が多段に積まれて成るハニカム型蓄熱体の上部側(高温側)から1段目(2.5cm)又は2段目まで(5cm)のハニカム構成部材を採取して、実質的平均表層孔径を求める。
【0125】
要するに、目詰まり現象の程度やその内容、着目する目詰まり原因物質の種類、蓄熱体構成部材の段組み状態その他を考慮して、個別的に表層の厚さを設定し、実質的平均表層孔径を定義することになる。
【0126】
ところで、使用に耐えない程目詰まり現象が進行した状態とは、目的外物質の付着により孔が完全に閉塞している状態ではなく、それ以前のある水準に達する程度の孔の閉塞状態である。ここで、孔の閉塞が進めば蓄熱体内を通流するガスの圧力は上昇し、熱処理設備の安定・安全運転上問題が生ずる。しかし、孔の閉塞状態を解消するために頻繁に蓄熱体の点検・交換を行えば設備管理コストが増加してしまう。それ故、孔の閉塞状態と対比すべき「ある水準」とは、これら相反する要請の調和点として経験的に定める臨界値として設定される。要すれば、実質的平均表層孔径とは、蓄熱体表面から一定の深さまでの表層において設定される孔の閉塞状態と相関関係を有するパラメータであり、目詰まり現象を定量化することを目的として設定される。このパラメータが「ある水準」に達した場合には、目詰まり現象が起こった蓄熱体はもはや使用に耐えない状態にあるのであり、蓄熱体としての寿命に達している故に、メンテナンス作業を通じて交換が必要になる。
【0127】
蓄熱体の表層で起こる目詰まり現象を定量化するためのパラメータであれば、実質的平均表層孔径として採用できる。目詰まり現象を定量的に評価するための指標として最も簡単なものの一つは、孔の閉塞率(ρ)である。これは、初期の孔と目詰まり現象が起こった孔との断面積の変化の割合として定義できる。図6はハニカム型蓄熱体(図6())におけるガス通過端面の一角を構成する蓄熱体構成部材(図6())の内、任意の単位セルCmを選択したとき、その単位セルCmを構成する孔の断面積Scを示す(図6())。尚、図6では、たまたま単位セルの断面が正方形で描かれているが、閉塞率を考える場合には、単位セルの断面は正方形に限定されるものではなく、略半円形、長方形、円形その他の形状であっても構わない。
【0128】
ハニカム型蓄熱体の場合は、その内部を通過するガスの流れに沿った直線状の孔が概ね同じ形態で存在するので、単位セルや当該単位セルを構成する孔は一義的に定まると言ってよい。このような場合の閉塞率(ρ)は、
ρ(%)=[(Sc(0)−Sc(t))/Sc(0)]×100
のように比較的簡単に定義できる。尚、Sc(0)とは目詰まり現象が起こっていない初期のScを意味し、Sc(t)は、時間tが経過して目詰まり現象が進行した段階におけるScを意味する。
【0129】
一方、例えばボール型蓄熱体のような場合には、直線状の孔ではなく多くのボールが一塊になった場合にボール間の隙間の連結により孔、要するに疑似孔が構成され、単位セルや当該単位セルを構成する孔の断面積、ひいては閉塞率を定義することは、図6の場合のように簡単ではない。ボール型蓄熱体が同じ寸法の球状の部材の集合体であれば比較的簡単に閉塞率を幾何学的に定義できるであろうが、形態が異なる構成部材が集合して蓄熱体を構成するような場合はその定義は難しい。
【0130】
そこで、便法として、最近接の4個の構成部材(B1、B2、B3、B4)を単位セルQmとみなし、各構成部材の中心位置(概ね中心といえる位置で構わない)(a、b、c、d)を線分で接続して得られる四角形から、各構成部材を当該四角形と同一平面上に投影した面との重複を除いて得られる残りの面積を、単位セルQmの断面積Sqとする。このSqをもって孔(疑似孔)の閉塞率ρを、
ρ(%)=[(Sq(0)−Sq(t))/Sq(0)]×100
のように定義できる。尚、Sq(0)とは目詰まり現象が起こっていない初期のScを意味し、Sq(t)は、時間tが経過して目詰まり現象が進行した段階におけるSqを意味する。
【0131】
所望の表層の中の代表としてB1、B4を設定すればSqの代表性は高まるが、これが難しい場合は、単位セルQmを複数個設定してその平均値をもってSqとし、閉塞率の算定に供する。尚、目詰まり現象を評価するために疑似孔の断面積をより正確に定義することもできる。上述のSqの設定方法は飽くまでも例示であって、疑似孔の断面積をより正確に定義することを排除する趣旨ではない。
【0132】
図7は、Qm、Sqを比較的設定しやすいボール型蓄熱体の場合を示す。この例では、表層は、P1からP6の6層から成るものとしており(図7())、構成部材は規則正しく各層上に配置し、各層が規則正しく空間位相をずらして積層しているものとした(図7())。この結果、単位セルQmは理想的には正方形(a、b、c、d)となり、そこから構成部材であるボールの赤道面の断面積を差し引いた値がSqとなる(図7())。
【0133】
尚、ボール型蓄熱体の閉塞率を定義する便法として、上記の場合は「最近接の4個の構成部材を単位セルQmとみなし、各構成部材の中心位置を線分で接続して得られる四角形から、各構成部材を当該四角形と同一平面上に投影した面との重複を除いて得られる残りの面積を、単位セルQmの断面積Sqとする」としたが、蓄熱体を構成する部材の稠密度が高い場合には、最近接の3個の構成部材が、互いに接触しつつ、各構成部材の中心位置が丁度三角形の頂点位置になるように配置するようになる。このような場合も含め、3個の構成部材により単位セルQmとみなせるときは「最近接の3個の構成部材を単位セルQmとみなし、各構成部材の中心位置を線分で接続して得られる三角形から、各構成部材を当該三角形と同一平面上に投影した面との重複を除いて得られる残りの面積を、単位セルQmの断面積Sqとする」と良い。(図8参照)これも閉塞率を定義する一例である。
【0134】
図9は、単位セルにおける目詰まり現象の進行の模式図である。図9()は単位セルQmに関し、同図()は単位セルCmに関する。何れの場合も、時間tに伴い目的外物質の付着量が増し、目詰まり現象が進行し、最終的に、もはや使用に耐えない程の閉塞率(臨界閉塞率)になることとを示している。この最終段階が熱処理設備における多孔性蓄熱体の交換時期であり、多孔性蓄熱体の寿命(臨界寿命)を意味する。
【0135】
かくして、目詰まり現象に着目して孔及び疑似孔に関連して設定される単位セルの孔の断面積の値(Sc(t)、Sq(t): t≧0)を多孔性蓄熱体の実質的平均表層孔径と定義できる。
【0136】
以上においては、孔の大きさ(又は孔の閉塞の進行度若しくは閉塞率(ρ))という観点から実質的平均表層孔径を定義したが、孔の大きさの変化(従って閉塞率)は、蓄熱体を通過するガスの圧力又は圧力損失の変化と相関関係があるということは容易に理解できる。すると、ガス圧又はガス圧損の変化と閉塞率との関係を検量することにより、閉塞率をガス圧又はガス圧損の変化に換算することができ、臨界閉塞率に対応して定まる臨界ガス圧値又は臨界ガス圧損値を設定すれば、ガス圧又はガス圧損の変化から、多孔性蓄熱体の臨界寿命や交換時期を知ることができる。又、ガス圧又はガス圧損と実質的平均表層孔径との関係を検量することにより、実質的平均表層孔径をガス圧又はガス圧損に換算することができ、ガス圧又はガス圧損の変化から、実質的平均表層孔径の変化である閉塞率を算定し、臨界閉塞率に達したか否かを基準にして多孔性蓄熱体の臨界寿命や交換時期を知ることもできる。これらのことは、結局、本発明の各形態において「実質的平均表層孔径が同一でない」ようにすることと、「目詰まり現象と相関関係を有するガス圧又はガス圧損のようなパラメータを同一でない」ようにすることとは、相互に変換可能且つ変換容易な、本質的に同じ技術的事項を別表現で記述しているに過ぎないことを意味している。すなわち、本発明における実質的平均表層孔径とは、孔の閉塞率、ガス圧又はガス圧損からなる。
【0137】
本発明がパラメータを「孔の大きさ」に限らない点で特に重要なのは、ボール型蓄熱体とハニカム型蓄熱体が並存する場合である。これら2種類の蓄熱体のそれぞれの実質的平均表層孔径Sc(t)及びSq(t)に基づく閉塞率の変化を同一基準で相互に比較することは不可能ではないにせよ難しいのが普通である。市販されているボール型蓄熱体構造部材の集合により形成される疑似孔と、ハニカム型蓄熱体(又はその構成部材)の孔とは、例えば寸法・形態の観点からして、前者はその定義に際して近似が入るが、後者では基本的に定義に際して近似は不要である。これらのような性格の異なる孔を比較するための有益な方法は、蓄熱体を通流するガスの圧力や圧損又はその変化に着目することである。例えば、実質的平均表層孔径というパラメータではなく、圧損というパラメータに着目して、この圧損が同一レベルにある孔と疑似孔とを比較して、目詰まり現象を評価する手法は合理的である。
【0138】
又、ボール型蓄熱体及びハニカム型蓄熱体のそれぞれの構成部材の市販品の寸法や形態を検討してみても、又、それぞれにおいて起こるガス圧損又はその変化を観察してみても、ボール型蓄熱体の疑似孔の方がハニカム型蓄熱体(又はその構成部材)の孔よりも、定性的に言って、目詰まり現象は起こりにくい場合が多い。これを実質的平均表層孔径の概念に投影して考えてみると、(1)ボール型蓄熱体とハニカム型蓄熱体とは、実質的平均表層孔径が「同一でない」ことを意味し、(2)しかも、前者の方が後者よりも、実質的平均表層孔径が大きいことを意味している。従って、ボール型蓄熱体とハニカム型蓄熱体とが同一の熱処理設備内に設置又は熱処理設備が備える加熱室に付設されている場合においても、本発明の各形態が成立することを明記しておく。更に、本発明の第の形態は、ガス流の上流にはボール型蓄熱体を下流にはハニカム型蓄熱体をそれぞれ配置する具体例を含み、第の形態は、鉛直方向の上部をハニカム型蓄熱体を、下部をボール型蓄熱体を設置する具体例を含む。
【0139】
図10は、図2及び図3に例示された入熱条件により加熱室内で実現される温度プロファイルを示す。加熱炉内で移動する物体は、この温度プロファイルに対応した熱処理を受け、特に第2予熱帯後半から加熱帯にわたる範囲で[B]に示す急激な加熱を受ける。この結果、副産物に代表される内来性目的外物質に起因する多孔性蓄熱帯の目詰まり現象が起こる。
【0140】
今、搬入用開閉扉を開くと、入口部の温度は[A]に示すように急激に降下する。又、搬出用開閉扉が開くと、出口部の温度は[D]に示すように急激に降下する。更に、加熱帯領域にある煙道のダンパーを開くと[C]に示すように加熱帯領域の温度が急激に降下する。それぞれ[A]、[D]、[C]における温度降下の程度は、開閉扉やダンパーの開放時間に依存するが、開放により外来性目的外物質の加熱室内への侵入や、温度降下による内来性目的外物質の生成が起こり目詰まり現象を引き起こす。
【0141】
図11は、加熱炉の実際の運転により、上部炉において発生した多孔性蓄熱体の目詰まり問題を示す。因みに、図11は加熱帯領域にある煙道のダンパーのみを必要に応じて開閉し、その他の煙道のダンパーは閉じたままにして加熱炉を運転して得た結果である。又、加熱室内での熱処理は、図1に示すような1対の直火式バーナで構成される蓄熱型燃焼装置の交番燃焼により行ったが、この直火式バーナには、ハニカム型蓄熱体を装填した。
【0142】
図11中のスケール詰まり現象とは、スケールが原因となる目詰まり現象であり、蓄熱体構成部材の高温粉化現象とは、図1に示すような1対の直火式バーナで構成される蓄熱型燃焼装置の交番燃焼動作により、1300℃を越える高温に晒される蓄熱体部材が徐々に粉化し、その粉が原因になる多孔性蓄熱体の目詰まり現象である。この高温粉化現象は、例えば熱処理設備の運転条件や蓄熱体構成部材の材質や品質にかなり依存する。加熱室内の温度プロファイルを急峻に変化させるような運転を行ったり、昇温・降温を頻繁に繰り返すような運転をする場合には、熱衝撃により蓄熱体部材は粉化し易くなる。又、この部材の耐熱特性、耐環境性若しくは耐反応性が不十分であるか、加熱室内雰囲気が予想を上回るほど厳しいものであった場合には、同様に粉化し易くなる。このように生成する粉が蓄熱体の孔表面に付着、沈着又は堆積して、例えば蓄熱体構成部材の成分や環境ガスと反応して固着することを繰り返し、目詰まり現象を引き起こしてゆく。粉体は、蓄熱体の孔を通過する際、流速が低下する箇所に残留し易い。最近、熱処理設備において使用されているハニカム型蓄熱体とボール型蓄熱体とを比較すると、Sq(0)の方がSc(0)よりも大きいのが普通である。しかし、疑似孔が直線状でないボール型蓄熱体では、各構成部材の接触領域及びその近傍において流速が低下する箇所が多数存在するので、粉化に起因する目詰まり現象は、ボール型蓄熱体においても無視し難いものがある。
【0143】
又、蓄熱体構成部材の浮上現象とは、目詰まり進行し、孔の断面積が小さくなった蓄熱体構成部材が通気圧増加に耐えきれず浮き上がり、蓄熱体全体としてその形態を崩す現象である。スケール詰まり現象は、入口部及び出口部側で起こりやすく、加熱室内部では起こりにくいことが分かる。蓄熱体構成部材の粉化現象は、加熱室内でも温度の高い領域で起こっている。蓄熱体構成部材の浮上現象は、目詰まり現象の進行の程度が大きい領域で起こっている。
【0144】
又、臨界閉塞率を例えば50%とした場合、それに達した段階をもって蓄熱体の臨界寿命乃至交換周期を定義することができる。そこで、入口部近傍のA1からA2の領域、第1予熱帯から加熱帯にまで及ぶA3からA10の領域、煙道近傍であるがより後段寄りの加熱帯にあるA11からA13の領域、均熱帯にあるA14からA18の領域及び出口部近傍のA19の領域(一部A18を含む。)において蓄熱体の臨界寿命乃至交換周期を測定してみると、それらは種々の値を示し、その内容から次のことが分かる。
(1)入口部及び出口部の各近傍では目詰まり現象の進行が速い。
(2)煙道の開放を伴う位置の近傍では目詰まり現象の進行が速い。
(3)温度勾配の大きな加熱室内の領域では目詰まり現象の進行が速い。
(4)入口部近傍の方が出口部近傍よりも目詰まり現象の進行が速い。
【0145】
尚、臨界閉塞率は、熱処理設備の操業への支障の有無、メンテナンス作業に要する費用その他の設備維持管理コストへの影響、蓄熱体の孔の寸法、形状その他の形態及び材質、蓄熱体の使用環境その他種々の条件を考慮して所望の値に設定することができる。
【0146】
図12は、加熱炉の実際の運転により、下部炉において発生した多孔性蓄熱体の目詰まり問題を示す。この図と図11とは同じ熱処理設備を同じ条件で運転して同時に得られたものである。上部炉において起こった目詰まり現象は、下部炉においても同様に起こっていることが分かる。又、図11における蓄熱体の臨界寿命に関する結論は、定性的に下部炉においても同様に当てはまる。
【0147】
図11と図12とを比較すると、蓄熱体の臨界寿命については、領域B11からB13の方が領域A11からA13よりもが短い、即ち、この領域では下部炉の方が上部炉よりも目詰まり現象が起こり易いことが分かる。又、蓄熱体構成部材の浮上現象については、下部炉の方が上部炉よりも当該現象が起こる範囲が広い、即ち、やはり下部炉の方が上部炉よりも目詰まり現象が起こり易いことが分かる。
【0148】
上部炉と下部炉における多孔性蓄熱体の目詰まり現象を更に細かく分析して得たのが図13である。この図は、同時に目詰まり現象を防止又は抑制するための実質的平均表層孔径の設定方法の説明図でもある。この図13から、蓄熱体の臨界寿命は、領域B11からB13と領域A11からA13との間で大きな差があり、その他の領域では上部炉と下部炉との間で大差はないが、基本的には下部炉の方が上部炉よりも蓄熱体の臨界寿命が短いことが分かる。加熱室内の目的外物質に働く重力の影響と考えられる。領域B11からB13と領域A11からA13との間の差が他の領域の場合と比べて著しく大きいのは、煙道のダンパーの開放が原因と考えられる。
【0149】
図13は、同時に、目詰まり現象を防止又は抑制するための実質的平均表層孔径の設定方法の説明図でもある。
【0150】
領域A11からA13に配置する多孔性蓄熱体の臨界寿命を約1年8ヶ月(約540日)になるように設計しようとする場合を例示的に考えてみると、臨界的閉塞率を50%とすると、約540日の臨界寿命を与える閉塞率と設備運転時間との関係は、図中の直線「L540」により設定される。すると、領域A11からA13の閉塞率と設備運転時間との関係において臨界閉塞率に対応する臨界寿命は約250日なので、残り約290日の寿命を延ばすためには、領域A11からA13の閉塞率と設備運転時間の関係を「L540」という目標値に近づけるように閉塞率を下げてやればよい。このことは、領域A11からA13の当初の(目詰まり現象が起こる前の)実質的平均表層孔径を予め25%分だけ大きくしておけばよいことを意味する。このようにすれば、ある領域に配置する多孔性蓄熱体の寿命を所望の長さになるような実質的平均表層孔径を備える蓄熱体を設計又は選定することができる。
【0151】
このようにして設計又は選定した多孔性蓄熱体により、熱処理設備に既に設置されている多孔性蓄熱体と交換する場合には、その既設の蓄熱体の全部を交換しても構わないが、目詰まり現象が起こった部位(少なくとも実質的平均表層孔径を定義するために要した多孔性蓄熱体の表面から一定の深さの範囲)の蓄熱体構成部材のみを交換しても構わない。このような部分交換は、上述の設計又は選択方法を実施したのと本質的に同じであるからである。
【0152】
尚、実質的平均表層孔径を調整するだけで非常に短い臨界寿命を過度に長くする設計には自ずと限界があることは言うまでもない。例えば、その熱処理設備において本来的に要望される直火式バーナ又は蓄熱型燃焼装置の蓄熱性能から自ずと定まる孔径の限界値があるにも拘わらず、臨界寿命の延長を重視する余り、実質的平均表層孔径を過度に大きすると、必要な熱処理ができない。従って、「L540」に可能な限り近い挙動を示す多孔性蓄熱体を選定して、その上で実質的平均表層孔径を調整するのが望ましい。
【0153】
図13では、「L540」は直線で表現されているが、目詰まり現象は必ずしも熱処理設備の運転時間に対して直線的に進行する訳ではない。同図中に示した各領域における閉塞率は、設備運転時間に対して加速度的に増加する様相を呈している。従って、「L540」も正確には直線ではなく曲線であると推察される。どの程度直線から外れる「L540」を設定すべきかは、目標値の修正の程度の問題であって、経験則に基づき決定すれば足り、直線から外れる分に応じて実質的平均表層孔径を若干設計又は選定しなおせばよい。
【0154】
次に、直火式バーナの他の形態について説明する。図5において、11はバーナ、12はバーナ11のバーナ本体で、周知の耐火物で公正されている。13aは第1空気流路、13bは第2空気流路で、これら空気流路13a、13bはバーナ本体12を前後に貫通して形成されている。14a、14bは蓄熱体で、セラミックスなどの耐火材からなるハニカム状或いは多数のセラミックスペレットを収容した容器状の通気性の部材からなり、空気流路13a、13bに接続した連結管15a、15bに蓄熱器ボックス16a、16bにそれぞれ収容されている。図面上蓄熱ボックス16a、16bは互いに分離されているが、一つの蓄熱器ボックスを隔壁で仕切ることによりそれぞれの蓄熱体14a、14bの収容部を形成してもよい。17は中央空気流路で、空気流路13a、13bの中間にバーナ本体12を貫通して形成されており、後端に連結管18が設けてある。19は燃料のずるで、連結管18の後端を貫通して中央空気流路17に挿入されている。110は火炎監視窓で、中央空気流路17の側部に設けてある。このような構成を有するバーナ11は、空気流路13a、13bの全部を加熱室乃至炉の内部に向けて炉壁に取り付けられ、図14に示すように配管が接続される。即ち、燃料ノイズ19は、遮断弁111と調節弁112を備えるガス供給ライン113を介してガス供給源114に接続される。中央空気流路17の連結管18は、遮断弁115を備えるエア供給ライン116を介してエア供給機117に接続される。第1空気流路13aの連結管15aは、切替弁118aを備えるエア供給ライン119aを介してエア供給機117に接続されるとともに、切替弁120aを備える排ガスライン121aを介して誘引ファン122に連結される。同様に、第2空気流路13bの連結管15bは、切替弁118bを備えるエア供給ライン119bを介してエア供給機117に接続されるとともに、切替弁120bを備える排ガスライン121bを介して誘引ファン122に連結される。
【0155】
以上のように接続されたバーナ11は、外部制御信号に基づいて、4つの切替弁118a、118b、120a、120bのそれぞれの開閉に対応した2種類の運転モードを所定時間後とに交互に繰り返して運転される。第1の運転モードは、切替弁118a、120bが開状態で切替弁118b、120aが閉状態にある場合であり、第2の運転モードはその逆の場合に相当する。
【0156】
バーナ燃焼時には、運転モードに拘わらず、燃焼ノズル19にはガス供給ライン113を通じてガス供給源14より燃料ガスが供給され、中央空気流路17にはエア供給ライン116を通じてエア供給機117より燃焼空気の一部が供給される。燃焼ノズル19から噴射された燃料ジェットが中央空気流路17から噴射されるエアと混合しながら、13a、13bの空気通路から噴出する高温予熱空気と接触することにより火炎Fが安定的に供給される。第1の運転モードにおいては、第1空気流路13aにエア供給ライン119aを通じてエア供給機117より燃焼用空気が供給され、この燃焼用空気が上記燃料ガスと混合燃焼されて火炎Fが形成される。又、誘引ファン122の駆動に基づいて加熱室若しくは炉内の排ガスが第2空気流路13bより排ガスライン121bに吸引され、煙突123から大気中に排出される。更に連結管16bの蓄熱体14bを通過する高温の排ガスとの接触により加熱される。第2の運転モードに切り替わると、第2空気流路13bにエア供給ライン119bを通じてエア供給機117より燃焼用空気が供給され、この燃焼用空気が上記燃料ガスと混合燃焼されて火炎Fが形成される。又、誘引ファン122の駆動に基づいて加熱室若しくは炉内の排ガスが第2空気流路13aより排ガスライン121aに吸引され、煙突123から大気中に排出される。更に連結管16aの蓄熱体14aを通過する高温の排ガスとの接触により加熱される。かくして、第1の運転モードの際に蓄熱体14bが加熱され、この蓄熱体14bに蓄えられた熱によって第2の運転モードの再の燃焼用空気が予熱される。逆に、第2の運転モードの際に蓄熱体14aが加熱され、この蓄熱体14aに蓄えられた熱によって第1の運転モードの際の燃焼用空気が予熱され、以後これを繰り返えされる。
【0157】
図5に示す直火式バーナは、燃料ガスの供給が途切れることなく連続して火炎Fの形成に供される点で、図1に示した1対の直火式バーナから構成される蓄熱型燃焼装置における各直火式バーナの運転動作と異なる。しかし、図5に示す直火式バーナは、蓄熱体における燃焼ガスからの潜熱回収と燃焼用空気の予熱という動作モードが交互に繰り返される点で図1に示す直火式バーナと変わらない。従って、図5に示す直火式バーナ1対で蓄熱型燃焼装置を構成し、図1に示す蓄熱型燃焼装置の代わりに、図2乃至図4に示す加熱炉に設置した場合であっても、多孔性蓄熱体の目詰まり問題は生ずる。このことは、図5に示す直火式バーナ1対で構成した蓄熱型燃焼装置において、当該1対の直火式バーナを外部制御信号に基づき交番燃焼させた場合であっても同様であり、図5に示す直火式バーナを複数個組み合わせて1個の蓄熱型燃焼装置を構成し、当該複数個の直火式バーナを種々のモードで動作させても同様に問題になる。従って、図1に示す直火式バーナを用いるか、図5に示す直火式バーナを用いるかに拘わらず、複数個の直火式バーナ又は複数個の蓄熱型熱交換器を使用する場合に本発明は成立すると言える。
【0158】
図5に示す直火式バーナをウォーキングビーム式加熱炉に適用した例を図15に示す。この図に示すウォーキングビーム式加熱炉125では、炉床壁126を貫通する複数の可動ポスト127と、これら可動ポスト127を連結したスキッドパイプ128でウォーキングビーム129が構成されている。可動ポスト127が矢印Xで示す矩形運動を行なうことにより被処理体Mが矢印Y方向に搬送される。又、上記ウォーキングビーム式加熱炉125では、炉側壁130と、天井壁131の一部を下方に折り曲げて形成された材料搬送方向と略垂直を成す垂直壁132とに、バーナ11が設置されている。従って、ウォーキングビーム式加熱炉125では、炉内で形成される火炎は熱拡散した後バーナ11の排気用空気流路に還流される。このため、燃焼排ガスが炉の出口に向かって一様に流動するようにした従来のウォーキングビーム式加熱炉と比べると、熱風ダクトや排ガスダクトを特別に設ける必要はなく、スペースの効率化やコスト低減を実現できる。同様の効果は、加熱炉125の下部帯の側壁にバーナを取り付けた場合にも得られる。
【0159】
ウォーキングビーム式加熱炉125において、被処理体Mの移動方向の上流側又は炉内ガス流方向にも相当する矢印Y方向の上流側に設置された直火式バーナが擁する多孔性蓄熱体の実質的平均表層孔径を、より下流側に設置された直火式バーナよりも大きくする。特に、ウォーキングビーム式加熱炉の入口部近傍に設置された直火式バーナが擁する多孔性蓄熱体の実質的平均表層孔径をより大きく設定する。更に、下部帯の側壁にもバーナを取り付ける場合には、上部帯のバーナよりも下部帯のそれの、多孔性蓄熱体の実質的平均表層孔径を大きく設定する。これにより、多孔性蓄熱体の目詰まり現象を防止又はその進行を抑制することができる。又、垂直壁132に取り付けられたバーナ11の多孔性蓄熱体の実質的平均表層孔径は他のバーナのそれと比較しても大きく設定する。これは、ウォーキングビーム式加熱炉125では炉内で形成される火炎は熱拡散した後バーナ11の排気用空気流路に還流される構成を取っているので、多くの目的外物質がこのバーナ11の多孔性蓄熱体に向かって移動し、目詰まり現象がより顕著に起こるからである。図15に示すような炉内ガス流が特定のバーナ又は熱交換器の擁する多孔性蓄熱体に集中して流れるような加熱炉では本発明により特に効果的に目詰まり現象が防止又はその進行を抑制することができる。
【0160】
物体を移動させる過程で熱処理を施し燃焼させる焼却設備の要部を図16に示す。この図において(a)は当該焼却設備の要部の側面図、(b)はその平面図を示す。図17は、当該焼却設備の全様を示すブロック図である。尚、この焼却設備の焼却燃焼室には、ファイバーマット加熱して、そこからの輻射熱の放出により焼却対象物を燃焼させる表面燃焼バーナ(たとえば、特許2550419号参照)を用いた燃焼設備(たとえば焼却炉飛灰を対象物とする加熱装置として、特開平5−185057号がある。)を備えている。しかし、本発明の理解の便のため、何れの図面にも描写していない。
【0161】
図16に示すように、焼却燃焼室には、室内の燃焼排ガスを外部に取り出すため合計10個の連結部Cx1及びCx2(x=1〜5)とが設けられている。又、焼却物の予熱するための空気を供給する予熱用空気供給路、燃焼排ガスを取り出す排煙路が設置され、更に焼却物の効率的燃焼を促進するための燃焼用空気を補助的に供給するための燃焼用空気供給通路も設置されている。又、焼却燃焼室内で焼却物を移動させるための搬送台も設置されている。搬送台は自らが可動して焼却物を搬送する場合もあれば、単に焼却物を載せる台座として機能し、現実の焼却物の移動は、焼却燃焼室外に設けた機械的機構(焼却物押込装置)により、又は単に重力の作用により行われる場合もある。何れにせよ、焼却燃焼室内のガス流は焼却物の移動方向と同じである。
【0162】
この焼却設備では、図17に示すように、V印で示す複数個のバルブの制御により連結部Cx1及びCx2から交互に焼却燃焼室内の燃焼排ガスを外部に取り出し、一方の蓄熱器を経由して燃焼排ガスを多段集塵機に送っているときは、他方の蓄熱器を経由して給気機から導入される燃焼用空気を焼却燃焼室に供給する。この際、当該他方の蓄熱器は加熱装置により加熱されており、燃焼用空気の補助的予熱を可能にする。次に動作モードをバルブVを制御して切り替え、当該他方の蓄熱器を経由して燃焼排ガスを多段集塵機に送っているときは、当該一方の蓄熱器を経由して給気機から導入される燃焼用空気を焼却燃焼室に供給する。当該一方の蓄熱器は、先の動作モードにおいて燃焼排ガスの潜熱を回収しているので、燃焼用空気の予熱を行なうことができる。又、加熱装置による熱供給による補助的予熱も可能である。尚、燃焼排ガスを多段集塵機に向けて排出する際には、蓄熱器はある程度高温に維持されているので、これを通過する燃焼排ガス中のダストの乾燥も合わせて行なうことができる。多段集塵機により集塵されたガスは、図示しない事後処理を施された後、煙突を通じて系外に排出される。蓄熱器で使用した多孔性蓄熱体は、ハニカム型蓄熱体であるが、ボール状、ナゲット状等の種類は格別問題にはならない。
【0163】
連結部Cx1、Cx2から取り出される燃焼排ガスは、バルブVの制御により、蓄熱器を経由することなく、集塵機に送られ、集塵処理が施された後、焼却燃焼室内に搬送された焼却物の予熱に供される。集塵機で集められたダストは最終的にホッパーに送られる。集塵機としてはサイクロン型、バグフィルター型等公知の設備を使用環境や使用条件等を考慮した上で任意に選択できる。尚、図16に示す排煙路を通じて外部に取り出される排煙は、図17では示されていないが、多段集塵機に送られ、最終的に煙突から系外に放出される。
【0164】
この設備では、蓄熱器は、燃焼排ガスから回収した潜熱により燃焼用空気を予熱するという熱交換を主目的として設置されている。図17に示すように、連結部Cx1、Cx2(合計5対)の各対に対して一対の蓄熱器が設置されているので、この焼却設備では、複数個の蓄熱器の対が存在する。
【0165】
そこで、図16に示す焼却設備において、焼却燃焼室内のガス流方向のより上流、特に焼却物の搬入口に近い領域に配置する直火式バーナの、多孔性蓄熱体の実質的平均表層孔径を相対的に大きく設定する。又、焼却灰その他の残留物を焼却燃焼室から外部に搬出する搬出口に近い領域に配置する直火式バーナの、多孔性蓄熱体の実質的平均表層孔径を相対的に大きく設定する。但し、搬入口近傍の領域に配置するバーナの多孔性蓄熱体の実質的平均表層孔径を、搬出口近傍の領域に配置するバーナのそれよりも大きくする。これにより、多孔性蓄熱体の目詰まり現象がより起こりやすいガス流の上流側、特に搬入口近傍の領域、次いでこの現象が起こりやすい搬出口近傍の領域において、効果的に当該現象を防止又はその進行を抑制することができる。
【0166】
なお、図16及び図17に示す焼却設備では集塵機を複数設けて目詰まり原因物質をかなり取り除いており、目詰まり現象の進行をかなり遅らせることができる。しかし、このような設備でも、非常に小さな目的外物質まで除去するのはコスト的観点からも難しく、結局、これが多孔性蓄熱体の目詰まり現象の主因、特に副産物の付着の原因物質となる。
【0167】
図18は、別の焼却設備のブロック図を示す。この設備の特徴は、焼却燃焼室で焼却物を燃焼装置F1〜F3により燃焼することで発生する排ガス中に含まれるNoxやダイオキシン等の有害物質の事後処理により取り除くための再燃焼室を設けた点にある。勿論、排ガスの潜熱の回収のための熱回収室を再燃焼室の代わりに又はそれと共に設けてもよい。何れの場合であれ、再燃焼室及び/又はに多孔性蓄熱体を擁する直火式バーナ、蓄熱型燃焼装置及び蓄熱型熱交換器の内少なくとも一種を4個設置する。図18ではこれをE1〜E4で表記している。E1〜E4が具備する多孔性蓄熱体は、ボール型蓄熱体であるが、その他の形態、例えばハニカム型蓄熱体であっても構わない。
【0168】
図18に示す焼却設備において、焼却物投入口から被処理体が焼却燃焼室内に装入される。それ以外のときは、原則として投入口は閉じられている。上方から下方に焼却物が移動する過程で熱処理が施され、最終的に焼却灰その他の残留物が排出口から系外に取り出される。燃焼を完全にして有害物質の発生を極小にするために焼却燃焼室内に給気機により補助的に供給される場合もあるが、それとは別に排煙は、一旦集塵機に送られた後(ただし、この集塵機を通過させることは任意である)、再燃焼室乃至は熱回収室に送られる。再燃焼室に送られる場合は、再燃焼室における燃焼処理を促進するための燃焼用空気が室内に供給される。再燃焼室乃至は熱回収室を通過した又はそこで新たに発生した燃焼排ガスは集塵機を通過した後煙突から系外へ排出される。
【0169】
多孔性蓄熱体を擁する直火式バーナ、蓄熱型燃焼装置及び蓄熱型熱交換器の少なくとも1種がガス流方向に沿ってE1〜E4の合計4個設置されている。このため、燃焼排ガスの潜熱を回収した多孔性蓄熱体により空気を予熱することができる。予熱された空気は、集塵機(任意)を経過した後、焼却燃焼室に還流されて焼却物等の予熱用気体として使用される。集塵機で集められた塵は、最終的にホッパーに送られ、最終的に系外に搬出される。
【0170】
焼却燃焼室に対して別に設けた再燃焼室乃至熱回収室は、焼却燃焼室とは別に設けられた空間と考えることができ、焼却燃焼室から取り出される排煙(排ガス)のガス流方向の上流から下流に沿ってE1〜E4が配置されている。焼却燃焼室から再燃焼室乃至熱回収室に送られてくる排ガスは集塵処理が施されているとはいえ、目詰まり原因物質の存在密度は、ガス流の上流側の方が下流側よりも高いのが通常である。それゆえ、再燃焼室乃至熱回収室の入口部近傍の領域に配置するE1が擁する多孔性蓄熱体の実質的平均表層孔径を、他の領域に配置するものよりも大きく設定する。これにより、多孔性蓄熱体の目詰まり現象を防止又はその進行を遅らせることができる。
【0171】
既述の通り、目詰まり現象は、例えば熱処理設備の運転条件や蓄熱体構成部材の材質や品質にかなり依存する。逆に言えば、熱処理設備の運転条件や蓄熱体構成部材の材質や品質を工夫すれば、限界はあるにせよある程度は、目詰まり現象を抑制することができることを意味している。そのような工夫(特に蓄熱体構成部材の材質の改善)により、図10乃至13の場合よりは目詰まり現象が起こりにくくなるように設定した加熱炉における目詰まり現象について、以下に説明する。
【0172】
図19乃至図21は、図1乃至図5にわたり示したものと同様の加熱炉(以下「第2加熱炉」と便宜的に呼ぶ。)における概略側面図並びに上部炉及び下部炉の概略平面図をそれぞれ示す。図1乃至図5にわたり示した加熱炉(以下「第1加熱炉」と便宜的に呼ぶ。)では、図2乃至図4から分かるように、上部バーナ及び下部バーナのそれぞれの19個の対で構成されている。しかし、第2加熱炉では、上部バーナA1からA12で構成される上部炉と下部バーナB1からB12で構成される下部炉からなり、従って、上部バーナ及び下部バーナのそれぞれの12個の対で構成されている。両加熱炉は、第1予熱帯、第2予熱帯、加熱帯、均熱帯の4つの領域で区分される点、煙道やダンパーが設置されている点で共通するが、蓄熱式バーナの入熱量は異なる。
【0173】
図22は、第2加熱炉が具備する加熱室内で実現される温度プロファイルを示す。加熱室内で熱処理する物体の材質が同じこともあり、第2加熱炉と第1加熱炉とは、概ね同じ温度プロファイルとなるように運転した。この図22から、横軸に示したバーナ番号に対応する位置は異なるものの、図10に示した[A]、[B]、[C]、[D]と同様の現象が第2加熱炉内の加熱室でも起こることが分かる。即ち、第2加熱炉内で移動する物体は、第2予熱帯後半から加熱帯にわたる範囲で[B]に示す急激な加熱を受ける。この結果、副産物に代表される内来性目的外物質に起因する多孔性蓄熱帯の目詰まり現象が起こる。搬入用開閉扉を開くと、入口部の温度は[A]に示すように急激に降下する。搬出用開閉扉が開くと、出口部の温度は[D]に示すように急激に降下する。更に、加熱帯領域にある煙道のダンパーを開くと[C]に示すように加熱帯領域の温度が急激に降下する。それぞれ[A]、[D]、[C]における温度降下の程度は、開閉扉やダンパーの開放時間に依存するが、開放により外来性目的外物質の加熱室内への侵入や、温度降下による内来性目的外物質の生成が起こり目詰まり現象を引き起こす。
【0174】
図23は、第2加熱炉における第1予熱帯、第2予熱帯、加熱帯及び均熱帯を含む加熱室内で起こる目詰まり現象の程度を棒グラフで示したものである。この目詰まり現象の程度は、多孔性蓄熱体の閉塞率(ρ)によれば理解しやすいが、この図では、閉塞率(ρ)と正比例関係はないが、正の相関関係を有する「蓄熱体の交換頻度」を縦軸に設定している。多孔性蓄熱体としてハニカム型蓄熱体を採用している。この図から、上部炉及び下部炉における目詰まり現象の進行度を比較すると、入口部付近のA1(B1)からA3( B3)の領域、煙道付近であるA8(B8)からA8(B8)の領域、出口部近傍であるA12( B12)の領域において、目詰まり現象の程度が顕著であること(本発明を適用する前の蓄熱体交換頻度が高いこと又は臨界寿命が短いこと)、並びに、温度勾配が顕著なA6(B6)からA7(B7)の領域では、目詰まり現象の進行度は、顕著ではないが、相対的に高めではあることが分かる。又、この図から、上部炉よりも下部炉の方が目詰まり現象が起こりやすいことが分かる。
【0175】
図24は、多孔性蓄熱体の閉塞率(ρ)と熱処理設備(即ち第2加熱炉)の運転時間との関係を示し、同時に目詰まり現象を防止又は抑制するための実質的平均表層孔径の設定方法の説明図でもある。図13では縦軸を閉塞率(ρ)とし、臨界閉塞率を50%にしたが、この図24では、閉塞率比(閉塞率/臨界閉塞率)を縦軸にしている。これにより、単純に閉塞率とする場合に比べて、目詰まり現象をより一般的に理解することができる。尤も、現実に臨界閉塞率を設定するときは、50〜60%(状況によって異なるが、60%程度を上限値であろう。)とするのが普通であり、それ以下では交換頻度が高くなり過ぎてコスト的に適当でなく、それ以上の値に臨界閉塞率を設定することは、通流するガス圧が過大になり、蓄熱体構成部材の浮上、衝突、破損が起こりやすくなり、目的外物質の発生量が増加するどころか、蓄熱式バーナ、蓄熱型燃焼装置、熱交換器、ひいては熱処理設備の動作不全、故障、破壊、その他のトラブルが起こりかねないので、運転・操業の安全面から避けるべきである。この図において閉塞率比が1を超えている測定点が存在するが、このような運転は可能であるにしても基本的には望ましいものではない。
【0176】
図24において、約800日の臨界寿命を与える閉塞率比と設備運転時間との関係は、第1加熱炉に関する図12における「L540」の場合に倣って、直線「L800」と設定することができる。すると、領域A1の閉塞率比と設備運転時間との関係において臨界閉塞率(即ち閉塞率比が1になる位置)に対応する臨界寿命は約410日なので残り約390日の寿命を延ばすためには、領域A1の閉塞率比と設備運転時間との関係を「L800」という目標値に近づけるように閉塞率比を下げてやればよい。このことは、領域A1の当初の(目詰まり現象が起こる前の)実質的平均表層孔径を予め約50%分だけ大きくしておけばよいことを意味する。又、領域B1の閉塞率比と設備運転時間との関係において臨界閉塞率(即ち閉塞率比が1になる位置)に対応する臨界寿命は約290日なので残り約510日の寿命を延ばすためには、領域A2場合と同様に考えて、領域B1の当初の実質的平均表層孔径を予め約60%分だけ大きくしておけばよいことを意味する。このようにすれば、ある領域に設置する多孔性蓄熱体の寿命を所望の長さになるような実質的平均表層孔径を備える蓄熱体を設計又は選定することができる。
【0177】
尚、このようにして設計又は選定した多孔性蓄熱体により、熱処理設備に既に設置されている多孔性蓄熱体と交換する場合には、その既設の蓄熱体の全部を交換しても構わないが、目詰まり現象が起こった部位(少なくとも実質的平均表層孔径を定義するために要した多孔性蓄熱体の表面から一定の深さの範囲)の蓄熱体構成部材のみを交換しても構わない。このような部分交換は、上述の設計又は選択方法を実施したのと本質的に同じであるからである。
【0178】
ところで、複数個の直火式バーナ、複数個の蓄熱型燃焼装置又は複数個の熱交換器に内蔵される多孔性蓄熱体の実質的平均表層孔径を同一でないようにして使用するにせよ、いずれは臨界寿命に達して使用済みとして交換又は浄化(クリーニング処理)せざるを得ない。しかし、かくして多孔性蓄熱体の構成部材を交換するということは、この構成部材を十分長時間使い切り、従って、従来にない高い経費削減効果(熱処理設備のメンテナンス作業に関連する設備管理コストの削減効果を含む。)を奏することを意味している。
【0179】
以上の本発明に係る実施例では、燃料物質が気体である場合について専ら説明しきたが、多孔性蓄熱体の「目詰まり現象」が起こり得る限り、本発明の各形態においては燃料物質は気体に限定されず、液体であっても構わない。又、脱硫、脱硝、脱ダイオキシンその他特殊な目的を達成する物質を燃料物質に混入させる場合であっても、本発明の各形態から除外されるものではない。
【0180】
【発明の効果】
本発明によれば、目詰まり原因物質が付着しやすい領域に配置する直火式バーナ、蓄熱型燃焼装置又は蓄熱型熱交換器が内蔵する多孔性蓄熱体の形態を工夫して、これが付着しにくする、又は、付着しても目詰まり現象が顕著化しないようにすることができるので、多孔性蓄熱体の延命化や交換周期の延長化により、蓄熱式バーナ若しくは蓄熱型燃焼装置の燃焼効率又は蓄熱型熱交換器の熱交換効率、ひいてはこれらを具備する熱処理設備の運転効率を高いまま維持し、熱処理設備のメンテナンス作業に関連する設備管理コストを含む経費削減を図ることができる等、工業上有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 加熱炉を示す概略縦断面図である。
【図2】 加熱炉を示す概略側面図である。
【図3】 加熱炉の上部炉におけるバーナの配置を示した概略平面図である。
【図4】 加熱炉の下部炉におけるバーナの配置を示した概略平面図である。
【図5】 直火式バーナを示す図であり、()は断面図、()は側面図である。
【図6】 ハニカム型蓄熱体の単位セルの説明図であり、()は蓄熱体の斜視図、()多孔性蓄熱体の構成部材の斜視図、()は単位セルが有する孔の断面積の説明図であり、Cmは、孔毎に定義される単位セル、Sqは、Cmの孔の断面積である。
【図7】 ボール型蓄熱体の単位セルの説明図であり、()は蓄熱体の斜視図、()蓄熱体構成部材の斜視図、()は単位セルが有する孔の断面積の説明図であり、Pnは、n番目の層、Qmは、Pn層上の任意の隣接する4個の部材の中心位置(a、b、c、d)で定義される単位セル、Sqは、Qmと部材B1、B2、B3、B4で画定される擬似孔の断面積である。
【図8】 他のボール型蓄熱体の単位セルの説明図であり、Pnは、n番目の層、Qmは、Pn層上の任意の隣接する3個の部材の部材B1、B2、B3の中心位置(a、b、c)で定義される単位セル、Sqは、Qmと部材B1、B2、B3で画定される擬似孔の断面積である。
【図9】 目詰まり現象の進行を示す説明図であり、(A)は単位セル(Qm)における目詰まり現象の進行の説明図であり、(B)は単位セル(Cm)における目詰まり現象の進行の説明図である。そして、(a)は、使用に耐えない程の閉塞化の限界点(臨界閉塞率、臨界寿命)である。
【図10】 加熱炉の具備する加熱室内の温度プロファイルとその変化を示す図であり、[A]は、搬入用開閉扉を開くことによりA1乃至A3(B1乃至B3)の領域に生じる急激な温度降下、[B]は、加熱室内の熱処理によりA6乃至A10(B6乃至B10)の領域に生じる急激な温度上昇、[C]は、A11乃至A12上のダンパーを開くことによりA11乃至A14(B11乃至B14)の領域に生じる急激な温度降下、[D]は、搬出用開閉扉を開くことによりA18乃至A19(B18乃至B19)の領域に生じる急激な温度降下を示す。
【図11】 上部炉における目詰まり現象の説明図である。
【図12】 下部炉における目詰まり現象の説明図である。
【図13】 加熱炉における閉塞率と運転時間との関係を示す図である。
【図14】 図5に示す直火式バーナの配管図である。
【図15】 ウォーキングビーム式加熱炉の部分断面図である。
【図16】 焼却設備の説明図であり、(a)は側面図であり、(b)は平面図である。
【図17】 他の焼却設備を示す説明図である。
【図18】 更に他の焼却設備を示す説明図であり、E1〜E4は、蓄熱型燃焼装置、蓄熱式バーナ、蓄熱型熱交換器のうちの少なくとも1つ、F1〜F3は、燃焼装置(蓄熱体を備えると否とを問わない)である。
【図19】 別の加熱炉を示す概略側面図である。
【図20】 別の加熱炉の上部炉におけるバーナの配置を示した概略平面図である。
【図21】 別の加熱炉の下部炉におけるバーナの配置を示した概略平面図である。
【図22】 別の加熱炉が具備する加熱室内の温度プロファイルとその変化を示す図であり、[A]は、搬入用開閉扉を開くことによりA1乃至A3(B1乃至B3)の領域に生じる急激な温度降下、[B]は、加熱室内の熱処理によりA5乃至A8(B5乃至B8)の領域に生じる急激な温度上昇、[C]は、A8乃至A9上のダンパーを開くことによりA8乃至A10(B8乃至B10)の領域に生じる急激な温度降下、[D]は、搬出用開閉扉を開くことによりA12(B12)の領域に生じる急激な温度降下を示す。
【図23】 別の加熱炉の上部炉及び下部炉における目詰まり現象の説明図である。
【図24】 別の加熱炉における閉塞率又は蓄熱体交換頻度と運転時間との関係を示す図である。
【図25】 蓄熱型燃焼装置の配置を示す説明図であり、()、()は、平面図、()、()は、断面図である。
【図26】 蓄熱型燃焼装置の別の配置を示す説明図であり、()、()は、平面図、()、()は、断面図である。
【符号の説明】
1:加熱炉本体
2a、2b:直火式バーナ
3a、3b:蓄熱体
4a、4b:燃料遮断弁
5:四方弁
6:燃焼排ガス排気口
7:被処理体

Claims (9)

  1. 多孔性蓄熱体を内蔵する直火式バーナを備える蓄熱型燃焼装置が複数個付設された加熱室を具備し、その加熱室内の物体に熱処理を施す熱処理設備であって、複数個の直火式バーナ又は複数個の蓄熱型燃焼装置における多孔性蓄熱体の、孔の閉塞率からなる実質的平均表層孔径が、同一でないことを特徴とする熱処理設備。
  2. 外部から搬入される物体に対して熱処理を施す加熱室に付設される複数個の蓄熱型燃焼装置の各々が備える直火式バーナが内蔵する多孔性蓄熱体の設置方法であって、
    複数個の直火式バーナ又は複数個の蓄熱型燃焼装置における多孔性蓄熱体の、孔の閉塞率からなる実質的平均表層孔径が、同一でないように多孔性蓄熱体を設置することを特徴とする、多孔性蓄熱体の設置方法。
  3. 多孔性蓄熱体を内蔵する直火式バーナを備える蓄熱型燃焼装置が複数個付設された加熱室を具備する熱処理装置において、外部から搬入される及び / 又は外部へ搬出される物体を加熱室内に配置することにより、熱処理された物体を製造する方法であって、複数個の直火式バーナ又は複数個の蓄熱型燃焼装置における多孔性蓄熱体の、孔の閉塞率からなる実質的平均表層孔径を同一でないように設定し、もって熱処理設備を運転することを特徴とする、熱処理された物体を製造する方法。
  4. ガスの流れる方向に沿って、多孔性蓄熱体を内蔵する熱交換器が複数個付設された空間を備える熱処理設備であって、複数個の前記熱交換器における多孔性蓄熱体の、孔の閉塞率、ガス圧又はガス圧損からなる実質的平均表層孔径が、同一でなく、しかも、ガスの流れる方向の上流側に配置する多孔性蓄熱体の方が下流に配置する多孔性蓄熱体よりも、又は、流れるガスの温度がより高温側に配置する多孔性蓄熱体の方がより低温側に配置する多孔性蓄熱体よりも、前記実質的平均表層孔径が大きいことを特徴とする熱処理設備。
  5. ガスの流れる方向に沿って、多孔性蓄熱体を内蔵する熱交換器が複数個付設された空間を備える熱処理設備における多孔性蓄熱体の設置方法であって、
    複数個の熱交換器における多孔性蓄熱体の、孔の閉塞率からなる実質的平均表層孔径が、同一でないように多孔性蓄熱体を設置することを特徴とする、多孔性蓄熱体の設置方法。
  6. ガスの流れる方向に沿って、多孔性蓄熱体を内蔵する熱交換器が複数個付設された空間を備える熱処理設備において、外部から搬入される及び / 又は外部へ搬出される物体を加熱室内に配置することにより、熱処理された物体を製造する方法であって、複数個の前記熱交換器における多孔性蓄熱体の、孔の閉塞率からなる実質的平均表層孔径を同一でないように設定し、もって熱処理設備を運転することを特徴とする、熱処理された物体を製造する方法。
  7. 多孔性蓄熱体を内蔵する直火式バーナを備える蓄熱型燃焼装置が複数個付設された加熱室を具備し、その加熱室内の物体に熱処理を施す熱処理設備であって、複数個の直火式バーナ又は複数個の蓄熱型燃焼装置における多孔性蓄熱体の、孔の閉塞率、ガス圧又はガス圧損からなる実質的平均表層孔径が、鉛直方向においてより下部に配置するものほど大きいことを特徴とする熱処理設備。
  8. ガスが通流する多孔性蓄熱体を内蔵する熱交換器が複数個付設され、複数個の前記熱交換器における多孔性蓄熱体の、孔の閉塞率、ガス圧又はガス圧損からなる実質的平均表層孔径が、鉛直方向においてより下部に配置するものほど大きいことを特徴とする熱処理設備。
  9. 蓄熱型燃焼装置が備える直火式バーナ又は熱交換器に内蔵される多孔性蓄熱体の選定方法であって、蓄熱型燃焼装置又は熱交換器の運転時間の増加に伴う多孔性蓄熱体の、孔の閉塞率、ガス圧又はガス圧損からなる実質的平均表層孔径の減少を測定し、その測定値と目標値との差に相当する分を予め上乗せした前記実質的平均表層孔径を有する多孔性蓄熱体を前記直火式バーナ又は熱交換器に内蔵することを特徴とする多孔性蓄熱体の選定方法。
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