JP3925768B2 - 合成樹脂製蓋付き容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、チーズ、バターさらにはヨーグルト等の主に乳製品の収納容器として使用される、合成樹脂材料で射出成形された広口カップ状の薄壁容器本体と、この容器本体の開口部を覆って外嵌組付きする、同じく合成樹脂材料で射出成形された伏した深皿状の薄壁蓋体とから成る合成樹脂製蓋付き容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
チーズ、バターさらにはヨーグルト等の収納容器として多用されている合成樹脂製射出成形品である肉薄カップ状容器は、内容物を充填収納した後、直ちに開口部がシールシート等の溶着により密閉され、次いでシールシート等で密閉された容器本体の開口部に、この開口部を覆ってシールシートを保護する伏した皿状の蓋体を外嵌組付けするものとなっている。
【0003】
このように、この種の合成樹脂製蓋付き容器における蓋体は、単に機械的に弱いシールシートを機械的に保護するだけのものであったが、最近、この蓋体を伏した深皿状に構成して、蓋体をシールシートとの間に収納空間を形成し、この収納空間に、スプーン等の用具とかソース等の調味料を一体的に付帯させ、これにより内容物を簡単に、またさらには嗜好に合わせて飲食できるようにしている。
【0004】
そして、容器本体に対する蓋体の着脱自在な組付きは、主として容器本体側の開口部の、広口および薄壁と云う構造に従って、比較的簡単に発生する撓み変形を利用したアンダーカット結合により達成するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来技術にあっては、例えば蓋体を指先で側方から掴持するごとく、蓋体の周面に部分的に外力を作用させると、容器本体の開口部が簡単に部分的に撓み変形し、これによりアンダーカット結合が外れて蓋体が不正離脱することがある、と云う問題があった。
【0006】
この蓋体の不正離脱を防止して、容器本体に対する蓋体の安定した組付きを達成すべく、容器本体の開口部を撓み変形し難い構造に構成することも考えられるが、このように容器本体の開口部を撓み変形し難い構造とすると、蓋体の開放離脱操作が達成し難いものとなり、容器の使用時における蓋体の開閉操作が行い難い、またはそのままでは蓋体の開閉操作を行うことができない、と云う問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記した従来技術における問題点を解消すべく発明されたもので、容器本体の開口部の撓み変形のし易さを維持したまま、容器本体に対する蓋体の外嵌組付きを適正に保持できるようにすることを技術的課題とし、もって開放前の取扱い時の不正開放の発生を防止すると共に、所定の操作に従って、簡単に開放できるようにすることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記技術的課題を解決する本発明は、次のようである。
広口なカップ状の薄壁容器である容器本体と、この容器本体の開口部に外嵌着脱する伏した深皿状の蓋体と、から構成されること、
容器本体の開口部を形成する開口筒部を、外周面に係止片を突設して起立設された嵌合筒片の外周面下端部に、外鍔状にリング片を周設して構成すること、
蓋体の周端部に形成された組付き部を、容器本体の係止片を乗り越えて下方から係止する係止突片を内周面に突設し、容器本体の嵌合筒片に着脱可能に外嵌する嵌着筒片の内方に、この嵌着筒片との嵌合により内方に傾動撓み変形する容器本体の嵌合筒片が突き当たる複数の嵌合リブを、周方向に沿って間隔を開けて配置して構成すること、
少なくとも蓋体の係止突片の突出端内径を、容器本体の嵌合筒片の外径よりもわずかに小さい値に設定すること、
にある。
【0009】
容器本体の開口筒部に蓋体を上方から被せ、そのまま外嵌させて、蓋体の嵌着筒片が容器本体のリング片に突き当たるまで押し下げると、蓋体は、その係止突片を容器本体の係止片に下方から係止させた状態で、容器本体の開口部に外嵌組付きする。
【0010】
容器本体の開口部に蓋体が外嵌組付きした状態では、容器本体の係止片と蓋体の係止突片とがアンダーカット結合して、容器本体に対する蓋体の外嵌組付きを維持しているものの、容器本体の嵌合筒片が、その外径よりも蓋体の係止突片の突出端内径の方がわずかに小さいために、部分的に内方に傾動撓み変形し、これにより容器本体に対する蓋体のアンダーカット結合が、弱化し、不安定化することになる。
【0011】
しかしながら、蓋体の嵌合リブに対向した容器本体の嵌合筒片部分は、この嵌合リブに突き当たって、わずかに内方に撓み変形するだけであるので、容器本体の係止片と蓋体の係止突片との係止は、安定して強固な状態が確保され、これにより容器本体に対する蓋体の外嵌組付きが、強固に安定して維持される。
【0012】
蓋体の容器本体からの取外し、すなわち容器本体の開放は、蓋体の嵌着筒片の一部に引き上げ力を作用させることにより、この嵌着筒片部分を外方に傾動撓み変形させて、係止片に対する係止突片の係止を解除させ、引き続き引き上げ力を作用させることにより、係止片と係止突片との係止の解除を全周に拡げて達成される。
【0013】
また本願発明は、蓋体の嵌着筒片の内方に垂下設した内筒片の外側に、起立した板リブ状に嵌合リブを設け、この嵌合リブの外側端面を、内方に下降傾斜したガイド面としたこと、を加えたものである。
【0014】
この発明にあっては、容器本体の開口筒部に蓋体の組付き部を外嵌組付けする際に、内方に傾動撓み変形する容器本体の嵌合筒片が、嵌合リブに突き当たって、容器本体に対する蓋体の外嵌組付きを不能もしくは達成し難いものとするのを防止し、また容器本体の係止片を蓋体の係止突片が乗り越える際に発生する、容器本体の嵌合筒片の最大傾動撓み変形を、無理なく円滑に行うことができ、これにより容器本体に対する蓋体の装着が良好に達成できる。
【0015】
また本願発明は、蓋体の嵌着筒片の外周面下端部に、板片状の摘み片を側方に延出設したこと、を加えたものである。
【0016】
この発明にあっては、摘み片に指先を引っ掛けて引き上げることにより、蓋体の嵌着筒片の一部を外方に傾動撓み変形させると同時に、この部分に引き上げ力を作用させることができ、それゆえ蓋体の容器本体からの取り外し、すなわち容器本体の開放が、簡単にかつ確実に達成できる。
【0017】
また本願発明は、有底筒状の容器主体部の上端縁に、外鍔状に口部フランジを介して嵌合筒片を起立設したこと、を加えたものである。
【0018】
この発明にあっては、口部フランジが、容器主体部の開口部の周囲に平坦な載置面を形成することになるので、この口部フランジ上面を、容器主体部を密閉するシールシートの溶着載置面とすることができ、また容器本体同志をスタック(嵌合積み重ね)した際に、下位の容器本体の嵌合筒片の上端が、上位の容器本体の口部フランジの下面外周端部に下方から突き当たるので、安定した容器本体同志をスタック状態を得ることができる。
【0019】
また本願発明は、嵌着筒片の上端部に、この嵌着筒片の壁厚よりも大きい幅で縮径するスタック用段部を形成したこと、を加えたものである。
【0020】
この発明にあっては、スタック用段部が、蓋体の上面周端部に平坦な載置面を形成することになるので、蓋体同志をスタックした際に、上位の蓋体の嵌着筒片の下端部がスタック用段部に、下位の蓋体の上端部に外嵌状に載置するので、蓋体同志の安定したスタック状態を得ることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を、図面を参照しながら説明する。
蓋付き容器は、合成樹脂製のカップ状薄壁射出成形品である容器本体1と、この容器本体1の開口部に着脱自在に外嵌組付けされる、合成樹脂製の伏した深皿状の薄壁射出成形品である蓋体9とから構成されている。
【0022】
容器本体1は、下端を底壁で閉鎖して上方に拡径したテーパー円筒状の筒壁で構成される容器主体部2の上端に、外鍔状の口部フランジ8を介して、容器本体1の開口部を形成する開口筒部3を連設して構成され、内容物を充填した後、シールシート20を口部フランジ8に密溶着して、内容物の密封収納を達成する。
【0023】
開口筒部3は、口部フランジ8の外周端縁から起立設した円筒状の嵌合筒片4の外周面上部に係止片5を突周設すると共に、嵌合筒片4の外周面下部に、外周端縁から短円筒状のスカート筒片7を垂設した外鍔状のリング片6を周設して構成され、スカート筒7はリング片6を機械的に安定させるものとなっている。
【0024】
蓋体9は、平板状の蓋主体部10と、この蓋主体部10の周端に連設された組付き部11とから、伏した深皿状に構成されている。
【0025】
組付き部11は、蓋主体部10の周端縁から垂設され、嵌合筒片4に外嵌する径寸法の短円筒状となった嵌着筒片12の内周面下部に、突出端内径が嵌合筒片4の外径よりもわずかに小さい係止突片13を突周設し、嵌着筒片12の下端縁に、リング片6上に載置し、一部に摘み片19を延出設した搭載リング板14を外鍔状に連設し、嵌着筒片12の上端部に、嵌着筒片12の壁厚よりも大きい幅で上方に向いたスタック用段部15を形成し、嵌着筒片12の内側に、この嵌着筒片12との間に一定の隙間を設けて、起立した板片状の複数(図示実施例の場合、5個)の嵌合リブ16を周方向に沿って間隔を開けて垂設し、この嵌合リブ16を、嵌着筒片12の内方に垂設した短円筒状の内筒片18で補強して構成されている。
【0026】
係止突片13は、搭載リング板14がリング片6上に載置する装着限位置で、係止片5を乗り越えて下方から係止するが、この装着状態において、嵌合筒片4を内方に押圧して、この嵌合筒片4を縮径方向に傾動撓み変形させる。
【0027】
嵌合リブ16は、その外側端面上部の嵌着筒片12との間の隙間を設定された一定値にした状態で、外側端面を斜め下方の縮径方向に傾斜したガイド面17とし、係止突片13が係止片5を乗り越える際に、嵌合筒片4が大きく縮径方向に傾動撓み変形しても、この嵌合筒片4の上端部が、嵌着筒片12と嵌合リブ16との間の隙間に円滑にかつ確実に侵入するようにしている。
【0028】
容器本体1の開口筒部3に対する蓋体9の組付き部11の装着に際して、嵌合筒片4に対する嵌着筒片12の嵌装の進行に従って、係止突片13により嵌合筒片4が縮径方向に傾動撓み変形するが、嵌合リブ16に対向した嵌合筒片4部分だけは、この嵌合リブ16への突き当たりにより、その撓み変形程度が規制されるので、この規制の程度に従って係止片5と係止突片13との係止が強くなり、その分、容器本体1に対する蓋体9の組付きを強固で安定したものとする。
【0029】
開放操作は、摘み片19を引き上げることにより、蓋体9の嵌着筒片12の一部(摘み片19が設けられた部分)に、引き上げ方向と拡径方向とに同時に力が作用して、嵌着筒片12の各部を順に拡径方向に傾動撓み変形させるので、これに従って係止片5に対する係止突片13の係止が順に解除されることになる。
【0030】
図4は、空の容器本体1同志をスタックした際の、開口筒部3の組付き状態を示す、部分拡大図で、上位の容器本体1は、その口部フランジ8の周端部を、下位の容器本体1の嵌合筒片4の上端に載置させた状態となっており、それゆえ上下の容器本体1は、その容器主体部2同志を、密接嵌合させることなく、間に隙間を形成した状態でスタックするので、スタック状態からの分離が確実にかつ速やかに達成される。
【0031】
同様に、図5は、蓋体9同志をスタックした際の、組付き部11の組付き状態を示す、部分拡大図で、上位の蓋体9は、その嵌着筒片12の下端縁を、下位の蓋体9のスタック用段部15に載置させた状態となっており、それゆえ上位の蓋体9は、その下端開口部に下位の蓋体9の上端部を緩く嵌入させた状態でスタックするので、スタック状態からの分離が確実にかつ速やかに達成され、またスタック状態が安定して維持される。
【0032】
【発明の効果】
本発明は、上記した構成となっているので、以下に示す効果を奏する。
請求項1記載の発明にあっては、周方向に沿って間隔を開けて配置した嵌合リブにより、この嵌合リブに対向した部分での容器本体と蓋体との係止力を強化させたので、容器本体に対する蓋体の組付きを強固でかつ安定したものとすることができ、もって不正開放を生じることなく、開放前の取扱いを安全なものとすることができる。
【0033】
蓋体の組付き部を構成する嵌着筒片は、単純な短筒形状となっているだけであるので、局部に作用する外力により無理なく簡単に撓み変形することができ、それゆえ嵌着筒片の係止解除方向への部分的な撓み変形を、順に移動発生させることにより、蓋体の開放を簡単にかつ円滑に達成させることができる。
容器本体と蓋体の組付け時に、容器本体の嵌合筒片が大きく傾動撓み変形しても、嵌合筒片を確実に嵌着筒片と嵌合リブとの間の隙間に侵入させることができ、もって嵌合リブの作用による容器本体と蓋体との強固で安定した組付きを確実にかつ安定して達成することができる。
容器本体同志を、簡単にかつ確実に分離できる状態でスタックさせることができると共に、容器本体を密閉するシールシートの密溶着を簡単にかつ好適に達成することができる。
【0034】
請求項2記載の発明にあっては、指先で摘み片に引き上げ力を作用させるだけで、蓋体の嵌着筒片の一部に引き上げ力と外方への引っ張り力とを同時に作用させることができ、これにより嵌着筒片を部分的に撓み変形させながら、容器本体と蓋体との係止を簡単に解除させることができる。
【0037】
請求項3記載の発明にあっては、蓋体同志を、簡単にかつ確実に分離できる状態でスタックさせることができると共に、このスタック状態を安定して維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施例を示す、蓋体を組み付けた状態の半縦断全体正面図。
【図2】図1に示す実施例における組付き部分を示した、要部拡大断面図。
【図3】図1に示す実施例における蓋体の、全体底面図。
【図4】図1に示す実施例における容器本体をスタックした際の、要部拡大断面図。
【図5】図1に示す実施例における蓋体をスタックした際の、要部拡大断面図。
【符号の説明】
1 ; 容器本体
2 ; 容器主体部
3 ; 開口筒部
4 ; 嵌合筒片
5 ; 係止片
6 ; リング片
7 ; スカート筒片
8 ; 口部フランジ
9 ; 蓋体
10; 蓋主体部
11; 組付き部
12; 嵌着筒片
13; 係止突片
14; 搭載リング板
15; スタック用段部
16; 嵌合リブ
17; ガイド面
18; 内筒片
19; 摘み片
20; シールシート
Claims (3)
- 薄壁容器で、広口なカップ状の容器本体(1)と、該容器本体(1)の開口部に着脱自在に組み付けられる、伏した深皿状の蓋体(9)から構成した蓋付き容器において、
前記容器本体(1)は、有底筒状の容器主体部(2)と、該容器主体部(2)の上端縁に、該上端縁の外方に向けて設けられた口部フランジ(8)と、該口部フランジ(8)の外周端に設けられた、前記容器本体(1)の開口部を形成する開口筒部(3)からなり、
該開口筒部(3)を、前記口部フランジ(8)の外周端に嵌合筒片(4)を縦方向に設け、該嵌合筒片(4)の外周面に係止片(5)を形成するとともに該嵌合筒片(4)の外周面であって前記係止片(5)の下方に、該嵌合筒片(4)の外方に向けて外鍔状に延びるリング片(6)を設けて形成し、
前記蓋体(9)は、外周端に、前記開口筒部(3)に組み付く組付き部(11)を具え、
該組付き部(11)を、前記嵌合筒片(4)の外側に着脱可能に嵌合する嵌着筒片(12)と、嵌着筒片(12)の内側に縦方向に設けた内筒片(18)と、前記内筒片(18)の外周面に、該外周面の周方向に沿って間隔をあけて設けられた複数の嵌合リブ(16)から形成し、
前記嵌着筒片(12)の内周面に、前記係止片(5)を乗り越えて下方から係止する係止突片(13)を設け、該嵌着筒片(12)の下端に、該嵌着筒片(12)の外方に延びる搭載リング片(14)を設け、該搭載リング片(14)が前記リング片(6)の上面に載置された状態で前記係止突片(13)が前記係止片(5)に係止し、
更に前記嵌合リブ(16)の外側端面を、内方に下降傾斜したガイド面(17)とするとともに前記係止突片(13)の突出端内径を、前記嵌合筒片(4)の外径よりもわずかに小さい値に設定し、前記嵌着筒片(12)と嵌合して該容器本体(1)の内側に撓み変形した嵌合筒片(4)が嵌合リブ(16)の最外周面に突き当たるように構成した合成樹脂製蓋付き容器。 - 搭載リング片(14)の一部を、蓋体(9)の外周方向に延ばし、板片状の摘み片(19)を前記蓋体(9)に設けた請求項1に記載の合成樹脂製蓋付き容器。
- 嵌着筒片(12)の上端部に、該嵌着筒片(12)の壁厚よりも大きい幅で縮径するスタック用段部(15)を形成した請求項1または2に記載の合成樹脂製蓋付き容器。
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