JP3925681B2 - マルチバンド画像出力方法および装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マルチバンド画像の出力方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、撮像技術の進歩により、多チャンネル撮影機(マルチバンドカメラ)、とくに、撮影対象の分光波形を実用上充分な精度で復元できる程度のチャンネル数を有する撮影機が実用化されつつある。これは、複数種類(多くは、4種類以上)の光を透過する波長領域(マルチバンド)で、被写体を撮影して複数の画像データ(マルチバンド画像データ)を得るカメラである。これらについては、宮川他、光学、11(6)、pp.573〜578(1982)等に記載されている。
このマルチバンドカメラにより撮影されたマルチバンド画像データは、画素毎に分光波形を持っているので、様々な応用が期待されている。
【0003】
また、マルチバンド画像データの出力についても、様々な出力方法が知られており、その代表的なものは、被写体の色度を再現する方法(以下、色度再現法という)と、被写体の分光波形を再現する方法(以下、波形再現法という)である。
以下、これらの画像出力方法について説明するが、話を簡単にするために、被写体をマルチバンドカメラで撮影し、カラープリンタで出力するものとする。そして、被写体の分光反射率をf0(λ)とし、プリントの分光反射率をf( λ)とし、等色関数をx- ( λ)、y- ( λ)、z- ( λ)とする。
【0004】
まず、色度再現法は、原画像(オリジナル)と複製画像の人間の見た目の一致を重視するものであり、次の式(1)を満たすf(λ)を選択するものである。
(f0 ,x- ) = (f ,x-
(f0 ,y- ) = (f ,y- ) ・・・(1)
(f0 ,z- ) = (f ,z-
なおここで、記号(A,B)は、λの関数A(λ)、B(λ)の内積を表すものであり、次の式(2)によって定義される。
(A,B) = ∫A(λ)B(λ)dλ ・・・(2)
【0005】
上記式(1)が成り立つようなf(λ)をなんらかの方法で選び出すのであるが、実際には、出力機(プリンタ)の色再現域の制約から、上記式(1)を厳密な意味で満足するf(λ)が存在するとは限らない。そこで、このような場合には、f0 ( λ)とf(λ)との距離‖f0 −f‖を、次の式(3)で定義して、この距離を最小にする分光波形f(λ)を選択して出力すればよい。
Figure 0003925681
もちろん上記式(1)が成立するときは、式(3)で表される距離は0となるのであるが、0にならずとも、なるべく0に近い、すなわちf0 (λ)に最も近いf(λ)を選ぼうというものである。
【0006】
一方これに対して波形再現法では、分光波形を一致させるために、距離‖f0−f‖として式(3)の代わりに、f0とfの差について全ての波長に関する積分を行う次の式(4)を用い、これを最小とするf(λ)を選んで出力するようにする。
‖f0−f‖={ ∫|f0(λ)−f(λ)|2dλ }1/2・・・(4)
あるいはまた、これ以外にも、距離‖f0−f‖として次の式(5)のように単に差の絶対値の積分を用いてもよいし、式(6)のように差の絶対値の上限(sup)を用いてもよい。
‖f0−f‖= ∫|f0(λ)−f(λ)|dλ ・・・(5)
‖f0−f‖= sup{ |f0(λ)−f(λ)| }・・・(6)
ただし、式(6)におけるsupは、すべての波長λについてとるものとする。また、実際の計算では離散的な値のみを扱うため、sup(上限)はmax(最大)でよい。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記色度再現法および波形再現法には、以下のような問題がある。
すなわち、色度再現法は、限られた光源の下で色再現を行う場合には、オリジナルと複製画像の間での高い見えの一致度を与えるが、観察光源等の観察条件が変わると、見えの一致度が大きく劣化するという問題がある。
また、波形再現法は、観察光源等の観察条件に依らない安定した見えの一致度を与えるが、限られた観察条件の下での一致度は色度再現法に劣るという問題がある。
【0008】
本発明は、前記従来の問題に鑑みてなされたものであり、マルチバンド画像データを出力する際、画像再現方法を連続的に切り換えて、原画像と複製画像の見えの一致度と、見えの安定性のどちらを優先して色再現するかといった目的に最も適合した画像再現方法で画像を出力することのできるマルチバンド画像出力方法および装置を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明の第一の態様は、マルチバンド画像データの出力方法であって、マルチバンドカメラによって撮影された画像の各画素毎の分光波形を、画像出力機に出力するための、前記画素毎の分光波形の色度再現と波形再現を含む複数の画像再現法に対応した複数の制御信号に変換し、この複数の制御信号を合成して、最終的な制御信号を得ることを特徴とするマルチバンド画像出力方法を提供する。
【0010】
ここで、前記複数の画像再現法に対するプライオリティを設定し、前記複数の制御信号を前記プライオリティに基づいて合成することが好ましい。
また、前記プライオリティが、対話的に設定されることが好ましい。
【0013】
また、前記課題を解決するために、本発明の第二の態様は、マルチバンドカメラによって撮影された画像から得られるマルチバンド画像データを入力するデータ入力手段と、画素毎の分光波形を画像出力機に出力するための画素毎の分光波形の色度再現と波形再現を含む複数の画像再現法に対応した制御信号に変換する制御信号変換手段と、
この制御信号変換手段により変換された前記複数の制御信号を合成し、最終的な制御信号を得る制御信号合成手段とを備えたことを特徴とするマルチバンド画像出力装置を提供する。
【0014】
また、前記複数の画像再現法に対するプライオリティを設定する手段を有し、前記制御信号合成手段が、前記制御信号変換手段により変換された前記複数の制御信号を、前記プライオリティに基づいて合成し、最終的な制御信号を得ることが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るマルチバンド画像出力方法について、添付の図面に示される好適実施形態を基に、詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明のマルチバンド画像出力装置を組み込んだ画像再現システムの概略を示すブロック図である。
図1に示すように、本システムは、撮影対象(被写体)10を画像入力部12よりマルチバンド画像データとして取り込み、撮影対象10の分光波形を推定し、これを画像出力部(画像出力装置)14において目的に応じた画像を出力するための制御信号に変換し、この制御信号によりレーザプリンタ16から複製画像18として出力するものである。
【0017】
限定された観察条件の下での、原画像と複製画像の見えの一致度が求められる場合には、色度再現が適している。一方、観察条件が変わっても見え方が大きく変化しないという、複数の観察条件の下での見えの安定性が求められる場合には、波形再現が適している。
本実施形態は、見えの一致度と、見えの安定性のいずれを優先するかという画像再現の目的に応じて、画像再現方法を切り換えてその目的に適合した画像を出力するようにしたものである。
【0018】
本実施形態においては、画像入力部12は、マルチバンドカメラによるマルチバンド写真法により撮影された複数の画像をデジタル画像データに変換して画像出力部14に送るものである。本システムにおいては、マルチバンド画像を用いて撮影対象10全面の分光反射率を測定する。
【0019】
図2に示すように、例えば人物をスタジオ撮影する場合を例にとり、マルチバンド写真法の原理を説明する。図2に示すように、撮影対象(被写体)10に所定の光源20をあて、撮影対象10の色情報を、異なる透過波長帯域を持つ8つのフィルタ22を用いて、分光感度の異なる複数のチャンネルを通して、レンズ24により、可視波長域においてほぼ均一な分光感度を持った白黒フィルム26上に結像させ、8枚の写真を撮影する。この8枚の画像を入力装置(例えばスキャナ)で読み取り、デジタルデータに変換し、その情報から撮影対象10の分光反射率を復元する。図3に、各チャンネルごとに得られた相対感度を示す。これらのデータから、補間技法を用いることにより、撮影対象10の分光反射率f0 (λ)が推定できる。
【0020】
また、例えば、撮影用レンズおよび結像した光の像を光電的に読み取るCCDセンサを有し、上記撮影用レンズの前に複数個、少なくとも4個のカラーフィルタからなるバンドパスフィルタを配し、撮影時にこのバンドパスフィルタを順次取り替えながら同一被写体を撮影する方法も挙げられる。
また、撮影用レンズと、分光感度特性の異なる少なくとも4種の波長域で結像した画像を光電的に読み取ることのできる少なくとも4種のCCDセンサを有した、上記バンドパスフィルタを用いない撮影法も挙げることができ、この場合CCDセンサにバンドパスフィルタが組み込まれているものでもよい。また、バンドパスフィルタは液晶チューナブルフィルタでもよい。
【0021】
このときチャンネルの数は、多ければ多い程、高精度で撮影対象の分光反射率を復元できるが、装置の簡便さと撮影時間の短縮を考えると、6〜20チャンネル程度の方がよい。コンピュータでのシミュレーションによれば、チャンネル数の増大による改善の度合いが8チャンネル程度で飽和することから、8チャンネル程度で充分であることが分かっている。
【0022】
画素毎の分光波形が推定されたマルチバンド画像データは、画像出力部14により、目的に応じた画像を出力するための制御信号に変換される。画像出力部14の概略構成を図4に示す。図4に示すように、画像出力部14は、画像入力部12より推定された画素毎の分光波形を受け取るデータ入力手段30、該データから、見えの一致度が得られるような波形を求める色度再現による分光反射率算出手段32、見えの安定性が得られるような波形を求める波形再現による分光反射率算出手段34、これら各波形をそれぞれ画像を出力するための制御信号に変換する制御信号変換手段36、目的に応じて色度再現と波形再現のどちらを優先するかというプライオリティを指定するプライオリティ設定手段38および上で得られた各制御信号をプライオリティに応じて合成し、画像出力用の一つの制御信号を作成する制御信号合成手段40とを含んでいる。
【0023】
色度再現による分光反射率算出手段32は、撮影対象10の分光反射率f0 (λ)から、見えの一致度が得られるプリントの分光反射率f(λ)を算出する。これは、前記式(3)を最小とするような波形f(λ)として求められる。
一方、波形再現による分光反射率算出手段34は、撮影対象10の分光反射率f0 (λ)から、見えの安定性が得られるプリントの分光反射率f(λ)を算出する。これは、前記式(4)を最小とするような波形f(λ)として求められる。もっとも、波形再現の場合、式(4)の代わりに式(5)あるいは式(6)を用いてもよい。
【0024】
次に制御信号変換手段36では、レーザプリンタ16が印画紙にR、G、Bのレーザビームをあてて画像露光する際の制御信号(R、G、B)と分光反射率f(λ)との関係を示すルックアップテーブル(LUT)により、上で求めた各分光反射率f(λ)をそれぞれ制御信号に変換する。
このLUTは、予めシステムに与えておいてもよいし、システムで作成してもよい。作成する場合には、例えば、レーザプリンタ16から複数のパッチを出力し、それを分光測色計等で読み取り、レーザプリンタ16がパッチを出力する際の制御信号と測定された分光反射率との関係を求めるようにすればよい。
色度再現によって得られた分光反射率を変換した制御信号を(R0 ,G0 ,B0 )とし、波形再現によって得られた分光反射率を変換した制御信号を(R1 ,G1 ,B1 )とする。
【0025】
また、画像の用途等により、見えの一致を重視する場合や、見えの安定性が必要とされる場合があり、それぞれの目的に従ってどちらをより優先するかを示すプライオリティkをプライオリティ設定手段38により設定する。
そして、制御信号合成手段40により、プライオリティkを用いて、上で得られた2つの制御信号(R0 ,G0 ,B0 )と(R1 ,G1 ,B1 )を合成して1つの画像出力用の制御信号(Rk ,Gk ,Bk )を得る。この合成は、次の式(7)によって行われる。
Figure 0003925681
ここで、制御信号の右肩のtは転置(transpose)を表す。
【0026】
上記式(7)によって最終的な制御信号が与えられる場合には、プライオリティkは、任意の実数値をとり得るが、好ましい範囲は、0≦k≦1である。
このように、プライオリティkを導入することにより、見えの一致度を求める場合には、kを0とすれば色度再現(R0 ,G0 ,B0 )が得られ、見えの安定性を求める場合には、kを1とすれば波形再現(R1 ,G1 ,B1 )が得られ、kにその他の値を入れることにより中間的な再現も可能となる。
これをまとめると次の表1のように表される。
Figure 0003925681
この表で、・・・の部分は中間的な再現を表している。
こうして目的に適合した色再現の行われた画像がレーザプリンタ16より出力される。このとき必要に応じた各種画像処理が施されるがそれについては説明を省略する。
【0027】
なお、プライオリティ設定手段38は、実際には本システムの主要部をなす画像出力装置を構成するパーソナルコンピュータに接続されたキーボード等であり、オペレータがこれからプライオリティkを打ち込む。そして、変換後の出力画像をパーソナルコンピュータのディスプレイ等に表示して、オペレータがそれを見ながらプライオリティkを設定し直す等して、求める画像が得られるように対話的に処理を進めることが好ましい。
【0028】
なお、出力機(プリンタ)にとって、色度再現と波形再現との相違は撮影対象の分光波形f0 (λ)とプリントの分光波形f(λ)の近さを表す距離‖f0 −f‖の定義の相違(上の場合、式(3)を用いるか(色度再現)、式(4)を用いるか(波形再現)の違い)に過ぎない。従って、例えば式(3)や式(4)の他に前記式(5)若しくは式(6)あるいは他の距離の定義を用い、これら複数の与えられた距離の数だけ制御信号(Ri ,Gi ,Bi )を求めて、各制御信号毎にプライオリティki を与えて、次の式(8)のように、これらの制御信号を合成して出力機に供給することもできる。
(R,G,B)t =Σki ・(Ri ,Gi ,Bi )t /Σki ・・・(8)
ここで、Σは異なる距離の数i(i=0,・・・,n)だけ加えられる。
従って、目的が同じであっても、距離の定義が異なっていれば、上のように与えられた距離の数だけ制御信号を求めて、式(8)で合成して出力するようにしてもよい。
上記式(8)で最終的な制御信号が与えられる場合には、各プライオリティki は、任意の実数値をとり得るが、好ましい範囲は、非負の実数である。
このように本実施形態によれば、目的に応じて再現方法を連続的に切り換えることができる。
【0029】
以下、具体的な実施例について説明する。
(実施例1)
本実施例では、マルチバンドカメラにより、人物をスタジオ撮影し、得られた複数チャンネルの画像データから、補間技法により画素毎の分光反射率を推定する。この補間技法は、特に限定されるものではなく、通常よく知られた補間方法でよい。
次に、富士写真フイルム社製プリンタPictrography3000により、9×9×9通りのプリントパッチを出力、作成する。そして、このプリントパッチの分光反射率を日立製作所製カラーアナライザC2000により、測定する。
前記プリントパッチを出力する際の制御信号と、前記プリントパッチの分光反射率を同時に参照して、制御信号と分光反射率の関係を示すルックアップテーブルLUTを作成する。
【0030】
前記画素毎の分光反射率に対し、前記式(3)を最小とする分光反射率f(λ)を求め、これを前記LUTを用いて、制御信号(第一制御信号)(R0 ,G0 ,B0 )に変換する。
また、前記式(4)を最小とする分光反射率f(λ)を求め、同様に前記LUTを用いて、制御信号(第二制御信号)(R1 ,G1 , 1 )に変換する。
【0031】
そしてプライオリティk(0≦k≦1)を設定し、前記第一制御信号と第二制御信号を前記式(7)により合成し、出力画像データとして出力する。
ここでプライオリティkは、出力画像がある一定の基準光源の下でしか観察されないものであれば、プライオリティkを0とすれば、式(3)を用いた色度再現による第一制御信号により見えの一致度が得られるし、様々な観察光源の下で観察されるものである場合には、プライオリティkを1とすれば、前記式(4)を用いた波形再現による前記第二制御信号により見えの安定性が得られる。また、プライオリティkを0と1の中間の値とすれば、中間の色再現が得られる。例えば、見えの安定性は必要だが、多少安定性は落としても見えの一致度もほしいという場合には、プライオリティkを例えば0.8にする等の再現方法の切り換えを容易に行うことができる。
【0032】
(実施例2)
本実施例では、次のような構成で製作されたマルチバンドカメラを用いる。
すなわち、本実施例のマルチバンドカメラは、CCDカメラ部、分光フィルタ部およびパーソナルコンピュータから構成される。
CCDカメラは、DALSA社製CA−D4−1024A、PCI I/Fを用いた。このCCDカメラはモノクロで、ピクセル数1024×1024(pixel)、ピクセルサイズ12×12(μ)である。
分光フィルタは、CRI社製の液晶チューナブルフィルタ、Varispec Tunable Filter RS232C I/Fを用いた。これは、波長範囲400〜720nm、で中心波長を任意に選択可能であり、波長半値幅30nm、透過率6〜60%(波長に依存)である。
また、パーソナルコンピュータは、PROSIDE社製のブック型PC(Windows95)C++であり、CPUは166MHz、RAMは128Mbyteである。
【0033】
上のようなマルチバンドカメラを用いて、次のような撮影条件で、被写体としてマクベスチャートおよび人物顔を撮影した。
撮影条件は、光源としては、被写体照度12000lux のメタルハライドランプを用い、レンズは、Nikomart(f=50mm、F1.4)で、F2.8を使用した。また、紫外および赤外カットフィルタを用いて、410nm以下および730nm以上の波長帯域をカットし、波長範囲410nm〜710nmを波長間隔20nmで分割した、図5に示すような16の波長(チャンネル)に関するデータ(デジタルデータ)として、16枚のスペクトル画像を得た。なお、撮影時間は、1ショットの露出時間は25msecで、トータルの撮影時間は3sec である。
【0034】
このようにして得られた16枚の各波長の入力画像中にあるマクベスチャートのグレーチャートの中から6段を選び、そのデジタルデータ値を抜き取る。このデジタルデータ値と、既に得られているマクベスチャートグレー6段の分光反射率とを対比して1次元のルックアップテーブル(1DLUT)を作成する。
そして、この各波長ごとの1DLUTを用いて、入力画像のデジタルデータ値をすべて分光反射率に変換する。そして、画素毎の分光反射率を得る。
【0035】
以下前記実施例1と同様に、画素毎の分光反射率に対し、前記式(3)を最小とする分光反射率を求め、これを前記実施例1のLUTを用いて(第一)制御信号へと変換する。
また一方、前記式(4)を最小とする分光反射率を求め、これも同様に前記LUTを用いて(第二)制御信号に変換する。
そして、プライオリティk(0≦k≦1)を設定し、前記第一制御信号と第二制御信号とを式(7)により合成して、出力画像データとして出力する。
【0036】
以上説明したように、本実施形態によれば、画像再現の目的に応じて、画像再現方法を連続的に切り換えることが可能となる。その結果、原画像と複製画像の見えの一致度と、見えの安定性のどちらを優先して色再現するかといった目的に最も適合した画像再現方法で画像を出力することができる。
【0037】
以上、本発明のマルチバンド画像の画像出力方法および装置について詳細に説明したが、本発明は、以上説明したものには限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、様々な改良や変更を行ってもよいのはもちろんである。
【0038】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明によれば、画像再現の目的に応じて、画像再現方法を連続的に切り換えることができ、原画像と複製画像の見えの一致度と、見えの安定性のどちらを優先して色再現するかといった目的に最も適合した画像再現方法で画像を出力することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のマルチバンド画像出力装置を組み込んだ画像再現システムの概略を示すブロック図である。
【図2】 マルチバンド写真法の原理を示す説明図である。
【図3】 マルチバンド写真法によって得られた各チャンネルごとの相対感度を示す線図である。
【図4】 本実施形態における画像出力装置の概略を示すブロック図である。
【図5】 実施例2におけるマルチバンドカメラで撮影する16チャンネルごとの各感度を示す線図である。
【符号の説明】
10 撮影対象
12 画像入力部
14 画像出力部(画像出力装置)
16 レーザプリンタ
18 複製画像
20 光源
22 フィルタ
24 レンズ
26 白黒フィルム
30 データ入力手段
32 色度再現による分光反射率算出手段
34 波形再現による分光反射率算出手段
36 制御信号変換手段
38 プライオリティ設定手段
40 制御信号合成手段

Claims (5)

  1. マルチバンド画像データの出力方法であって、
    マルチバンドカメラによって撮影された画像の各画素毎の分光波形を、画像出力機に出力するための、前記画素毎の分光波形の色度再現と波形再現を含む複数の画像再現法に対応した複数の制御信号に変換し、
    この複数の制御信号を合成して、最終的な制御信号を得ることを特徴とするマルチバンド画像出力方法。
  2. 前記複数の画像再現法に対するプライオリティを設定し、前記複数の制御信号を前記プライオリティに基づいて合成する請求項に記載のマルチバンド画像出力方法。
  3. 前記プライオリティが、対話的に設定される請求項に記載のマルチバンド画像出力方法。
  4. マルチバンドカメラによって撮影された画像から得られるマルチバンド画像データを入力するデータ入力手段と、
    画素毎の分光波形を画像出力機に出力するための画素毎の分光波形の色度再現と波形再現を含む複数の画像再現法に対応した制御信号に変換する制御信号変換手段と、
    この制御信号変換手段により変換された前記複数の制御信号を合成し、最終的な制御信号を得る制御信号合成手段と、
    を備えたことを特徴とするマルチバンド画像出力装置。
  5. 前記複数の画像再現法に対するプライオリティを設定する手段を有し、前記制御信号合成手段が、前記制御信号変換手段により変換された前記複数の制御信号を、前記プライオリティに基づいて合成し、最終的な制御信号を得ることを特徴とする請求項に記載のマルチバンド画像出力装置。
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