JP3925420B2 - 携帯無線機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は携帯無線機に関し、例えば携帯電話機に適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、携帯電話機のアンテナにおいては、図9に示すように、携帯電話機20の筐体内部に収納及び引出し可能なホイップアンテナ21や、筐体に内蔵された逆Fアンテナ22が主流である。
【0003】
逆Fアンテナ22は、地板(図示せず)上に放射導体22Aを平行に設置して構成され、良好なアンテナ特性を確保するためには放射導体22Aを地板から所定間隔離す必要がある。このため逆Fアンテナはある程度の厚みを必要とし、逆Fアンテナを内蔵する携帯電話機は筐体を薄型化することが困難であるという問題がある。
【0004】
かかる問題を解決する方法として、折畳型携帯電話機の上側筐体及び下側筐体の内部にそれぞれ導体を配置し、これら2つの導体をアンテナエレメントと見立てて給電する薄型のアンテナ装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−156898公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが上述したアンテナ装置においては、2つの導体が電気的に切り離されている必要があり、このため、一体の筐体を持ついわゆるスティック型携帯無線機には適用が困難であるという問題があった。
【0007】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、内蔵するアンテナを低姿勢化して筐体を薄型化した携帯無線機を提案しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため本発明においては、第1の放射導体と、当該第1の放射導体の約1/2の電気長を有し、当該第1の放射導体の中央近傍から一端にかけて当該第1の放射導体と所定距離を隔てて平行に設けられた第2の放射導体と、第1の放射導体の一端及びこれに対向する第2の放射導体の一端を電気的に接続する接続手段と、第1の放射導体の中央近傍と第2の放射導体の他端とに対して給電することにより、第1の放射導体及び第2の放射導体をアンテナとして動作させる給電手段とを携帯無線機に設け、第1の放射導体は板状でなり、第2の放射導体は他端側が開口した箱状でなり、第1の放射導体の中央近傍から一端にかけてを当該第2の放射導体で包囲するようにした。そして第2の放射導体の電気長を、携帯無線機で使用する周波数の約1/4波長に選定した。
【0009】
板状でなる第1の放射導体の中央近傍から一端にかけてを、第1の放射導体の約1/2の電気長を有し一方の端部が開口した箱状でなる第2の放射導体で包囲するように、当該第1及び第2の放射導体を平行に配置し、第1の放射導体の一端と第2の放射導体における開口部の反対側端部とを電気的に接続するとともに、第1の放射導体の中央近傍と第2の放射導体の開口部側端部とに対して給電することにより、第1及び第2の放射導体の長手方向に流れる電流のみが電波放射に寄与するようになり、これにより第1及び第2の放射導体の間隔を短縮することができ、内蔵するアンテナを低姿勢化して携帯無線機を薄型化することができるとともに、良好な放射パターンを得ることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0011】
(1)携帯電話機の全体構成
図1において、1は本発明を適用した携帯無線機としてのスティック型の携帯電話機を示し、筐体2の正面上方に液晶ディスプレイ等でなる表示部3が設けられてるとともに、当該表示部3の上方にはスピーカ4が設けられている。また、筐体2の正面下方には複数の操作ボタンを有する操作部5が設けられているとともに、当該操作部5の下方にはマイクロフォン6が設けられている。
【0012】
一方筐体2の内部には、表示部3やスピーカ4等の各種電子部品等を配設した回路基板7が内蔵されている。この回路基板7の裏面には、当該回路基板7とほぼ同形状の長方形の金属板でなるシールド板8が密着して設けられている。回路基板7及びシールド板8は筐体2の内周よりもやや小さく形成されており、当該回路基板7及びシールド板8と筐体2の内周面とが接しないように、図示しない支持部材を介して筐体2に支持されている。
【0013】
(2)本発明によるアンテナ装置
回路基板7のグランドとシールド板8とは電気的に接続されており、当該シールド板8及び回路基板7、並びに当該回路基板7に配設された電子部品が電気的に一体となって、導体板9を構成している。また筐体2の内面下半分には金属メッキが施され、上方が開口した箱状のシールドケース10を形成しており、導体板9及びシールドケース10によって内蔵式のアンテナ装置11を構成している。
【0014】
図2に示すようにアンテナ装置11においては、第1の放射導体としての長方形の導体板9の下半分を、第2の放射導体としての箱状のシールドケース10で平行に覆った構成を有しており、シールドケース10の長手方向の長さL1は、導体板9の長手方向の長さL2の約1/2に選定されている。
【0015】
そして、導体板9の下端とシールドケース10の下端とは当該シールドケース10の底面を介して電気的に接続されており、回路基板7上の送受信回路から、導体板9の中央側端部に設けられた導体板給電点9Aと、シールドケース9の上端隅部における導体板給電点9A近傍に設けられたシールドケース給電点10Aとに対して給電するようになされている。
【0016】
図3はアンテナ装置11の断面を示し、導体板給電点9A及びシールドケース給電点10Aに給電された高周波電流は、主としてアンテナ装置11の表面を矢印i1〜i4のように流れる。このとき、シールドケース10の内面を流れる電流i3と、導体板9におけるシールドケース10で覆われた部分を流れる電流i4とは逆相になり、このため、アンテナ装置11の内部を流れるこれらの電流i3及び電流i4は互いに打ち消し合って電波の放射に寄与しない。これに対し、アンテナ装置11の表面を流れる電流i1及び電流i2は同相であるため互いに強め合い、かくしてアンテナ装置11は長手方向の全長にわたって電波を放射する。
【0017】
このように本発明のアンテナ装置11においては、その長手方向に流れる電流のみが放射に寄与し、導体板9とシールドケース10との間隙は電波の放射に寄与しない。このためアンテナ装置11は、図4のように、垂直面内で半波長ダイポールアンテナに類似した対称な放射パターンを示す。
【0018】
ここで送受信回路側からアンテナ装置11を見ると、図5に示すように、ダイポ ルアンテナ11Aに長さL、間隔Hのショートスタブ11B(実際はシールドケース10)を付加したものに相当する。このショートスタブ11Bのインピーダンスが低いと、アンテナ装置11の入力インピーダンスも低下して送受信回路との整合が困難になるため、当該ショートスタブ11Bのインピーダンスをある程度高くする必要がある。
【0019】
図6はショートスタブ11Bの長さLとインピーダンスZとの関係を示し、インピーダンスZはλ/4、3λ/4、5λ/4、……のようにL=λ/4+nλ/2で極大値を示す(λは波長、nは整数)。このためショートスタブ11B(すなわちシールドケース10)の電気長をλ/4程度に選定すれば、当該ショートスタブ11Bのインピーダンスを高めてアンテナ装置11の入力インピーダンスを適切な値にすることができる。かくしてこのアンテナ装置11においては、図2に示すように、シールドケース9の長手方向の長さ(電気長)L1は携帯電話機1で使用する波長λの約1/4に選定され、導体板9の長手方向の長さL2は、波長λの1/2に選定されている。
【0020】
ここで、ショートスタブ11Bの間隔Hが大きいほどそのインピーダンスZも増大するが、当該インピーダンスZの極大値の位置は間隔hの変化に左右されない。従って、シールドケース9の長さL1を適切に設定すれば導体板9とシールドケース10との間隔hは小さくてもよく、これによりアンテナ装置11の厚みを薄くして、携帯電話機1全体を薄く形成することができる。
【0021】
(3)動作及び効果
以上の構成において、携帯無線機1の筐体2内に内蔵された回路基板7やシールド板8からなる導体板9の下半分を、筐体2の内面下半分に施した金属メッキでなるシールドケース10で平行に覆い、さらに導体板9の下端とシールドケース10とを当該シールドケース10の底面を介して電気的に接続してアンテナ装置11を構成した。そして、導体板9の中央側端部に設けられた導体板給電点9Aと、シールドケース9の上端隅部における導体板給電点9A近傍に設けられたシールドケース給電点10Aとに対して給電するようにした。
【0022】
従ってアンテナ装置11においては、その内部(シールドケース10の内面、及び導体板9におけるシールドケース10で覆われた部分)を流れる電流は逆相となり、互いに打ち消し合って放射に寄与しないのに対し、その表面(シールドケース10の表面、及び導体板9におけるシールドケース10で覆われていない部分)を流れる電流は同相となって互いに強め合い、これによりアンテナ装置11は、その長手方向の全長にわたって電波を放射する。
【0023】
これによりアンテナ装置11においては、半波長ダイポールアンテナに類似した対称で良好な放射パターンを得ることができる。
【0024】
さらにアンテナ装置11においては、逆Fアンテナ等の片側短絡アンテナとは異なり、導体板9とシールドケース10との間隙が電波の放射に関与しないため当該アンテナ装置11の厚みを薄くすることができ、これにより携帯電話機1全体を薄く形成することができる。
【0025】
(4)他の実施の形態
なお上述の実施の形態においては、筐体2の内面下半分に施した金属メッキでシールドケース10を形成したが、本発明はこれに限らず、筐体2の外面に金属メッキを施してシールドケースを形成してもよい。また、金属板でシールドケースを形成したり、筐体内面に対する金属印刷や金属板張り付け、あるいは筐体への金属板埋め込み等、様々な方法でシールドケースを形成することができる。
【0026】
また上述の実施の形態においては、導体板9の中央側端部に設けた導体板給電点9Aと、シールドケース9の上端隅部に設けた導体板給電点9Aとから給電するようにしたが、本発明はこれに限らず、導体板9の給電点は当該導体板9の中央部近傍のどこでもよく、同様にシールドケース10の給電点は当該シールドケース10の上端のどこでもよい。
【0027】
また上述の実施の形態においては、第1の放射導体としての導体板9の下半分全面を、第2の放射導体としての箱状のシールドケース10で覆うようにしたが、本発明はこれに限らず、図7(A)に示すアンテナ装置12のように、第1の放射導体としての導体板9の下半分の片面及びその側方を、第2の放射導体としてのシールドケース10Bで覆うようにしたり、あるいは図7(B)に示すアンテナ装置13のように、第1の放射導体としての導体板9の下半分の片面のみを第2の放射導体としてのシールドケース10Cで覆うようにしてもよく、要は、第1の放射導体の約1/2の電気長を有する第2の放射導体を、当該第1の放射導体の中央近傍から一端にかけて平行に設けるようにすればよい。
【0028】
さらに上述の実施の形態においては、本発明をスティック型の携帯電話機に適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、折畳型の携帯電話機に適用することもできる。この場合、図8に示すアンテナ装置14のように、折畳型携帯電話機の表示部筐体に内蔵される表示部側導体板9Aと、操作部筐体に内蔵される操作部側導体板9Bとで導体板9を構成し、表示部側導体板9A及び操作部側導体板9Bを電気的に接続するようにすればよい。
【0029】
さらに上述の実施の形態においては、本発明を携帯電話機に本発明を適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、PHS(Personal HandyphoneSystem)等の他の種々の携帯無線機に適用することができる。
【0030】
【発明の効果】
上述のように本発明によれば、板状でなる第1の放射導体の中央近傍から一端にかけてを、第1の放射導体の約1/2の電気長を有し一方の端部が開口した箱状でなる第2の放射導体で包囲するように、当該第1及び第2の放射導体を平行に配置し、第1の放射導体の一端と第2の放射導体における開口部の反対側端部とを電気的に接続するとともに、第1の放射導体の中央近傍と第2の放射導体の開口部側端部とに対して給電することにより、第1及び第2の放射導体の長手方向に流れる電流のみが電波放射に寄与するようになり、これにより第1及び第2の放射導体の間隔を短縮することができ、内蔵するアンテナを低姿勢化して携帯無線機を薄型化することができるとともに、良好な放射パターンを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による携帯電話機の全体構成を示す略線図である。
【図2】アンテナ装置の構成を示す略線図である。
【図3】アンテナ装置を流れる電流を示す略線図である。
【図4】アンテナ装置の放射パターンを示す図である。
【図5】給電回路から見たアンテナ装置を示す略線図である。
【図6】ショートスタブのインピーダンスを示す特性曲線図である。
【図7】他の実施の形態のアンテナ装置の構成を示す略線図である。
【図8】他の実施の形態のアンテナ装置の構成を示す略線図である。
【図9】従来の携帯電話機の構成を示す略線図である。
【符号の説明】
1……携帯電話機、2……筐体、3……表示部、4……スピーカ、5……操作部、6……マイクロフォン、7……回路基板、8……シールド板、9……導体板、10……シールドケース、11、12、13、14……アンテナ装置。

Claims (2)

  1. 第1の放射導体と、
    上記第1の放射導体の約1/2の電気長を有し、上記第1の放射導体の中央近傍から一端にかけて、当該第1の放射導体と所定距離を隔てて平行に設けられた第2の放射導体と、
    上記第1の放射導体の一端と、当該第1の放射導体の一端に対向する上記第2の放射導体の一端とを電気的に接続する接続手段と、
    上記第1の放射導体の中央近傍と上記第2の放射導体の他端とに対して給電することにより、上記第1の放射導体及び上記第2の放射導体をアンテナとして動作させる給電手段と
    を具え、
    上記第1の放射導体は板状でなり、
    上記第2の放射導体は上記他端側が開口した箱状でなり、上記第1の放射導体の中央近傍から上記一端にかけてを当該第2の放射導体で包囲する
    ことを特徴とする携帯無線機。
  2. 上記第2の放射導体は、所定周波数の約1/4波長の電気長を有する
    ことを特徴とする請求項1に記載の携帯無線機。
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