JP3924913B2 - インクジェット記録媒体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットプリンター用の記録媒体に関し、特に、ぬれ性や吸収性と、耐水性を両立させた記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンピュータ出力用に各種方式のプリンタが普及している。なかでもインクジェットプリンタは、静粛性、コスト、画像品質が優れ、特にフルカラー画像を高品位で再現でき、他方式にはない優れた性能を有し、さらなる普及が期待できる。一方、プリンタ用紙には紙が多用されるが、プラスチックフィルムや合成紙等もその平滑な表面を生かした滑らかな画像や、透明性が要求される用途で使われている。
【0003】
ところで、インクジェット用インクには、インクノズルの目詰まり防止の為に、水溶性染料等を水性溶媒に溶解した乾燥が遅いインクを用いる。従って、記録用紙が紙等の吸水性の場合は良いが、プラスチックフィルムの如き非吸水性の場合は印字後のインクの乾燥性が悪いので、通常は支持体であるフィルム上にインク吸収性のあるインク受容層を設ける。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、プラスチックフィルム等の支持体上にインク受容層を設けた構成でも十分な性能のものは得られていない。すなわち、遅乾性のインクのぬれ性や染着性、あるいは吸収性の向上のために、インク受容層を水溶性樹脂や親水性樹脂等から構成する方法も提案されているが、いずれも吸収した水性溶媒により、あるいは高湿下の環境でインク受容層が湿潤して粘着性を帯びて、記録媒体を重ねた時にブロッキングしたり、また、乾燥が悪く印字後に手で触れると汚れ易い等という問題がある。ぬれ性、染着性及び吸収性と、耐水性、乾燥性及び耐ブロッキング性とは相反する特性であり、これらを両立した満足する性能のものは得られていない。
【0005】
本発明は前記従来の技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、インク受容層のインクのぬれ性や染着性の面と、そして耐水性の面、これらを両立させ、特には透明性にも優れたインクジェット記録媒体を提供することである。
【0006】
【課題を解決しようとする手段】
前記課題を解決するために本発明の請求項1に示す発明は、支持体上に少なくとも、吸水性樹脂微粒子と疎水性のバインダー樹脂とからなる吸水層と、カチオン変性アクリル共重合体とポリビニルアセタール樹脂とをエポキシ化合物で熱硬化させた樹脂からなるインク受容層とがこの順に積層されており、
前記吸水層の吸水性樹脂微粒子が、ポリアクリル酸、又はポリアクリル酸塩のいずれか単独、もしくはこれらの共重合体架橋物からなり、平均粒径が10〜500μm、吸水倍率が100〜1000倍の範囲にあり、
前記吸水性樹脂微粒子/前記バインダー樹脂の当量比が1/3〜2/1であり、
前記インク受容層のエポキシ化合物が、脂肪族系であり、水溶性であり、且つ、二官能以上であり、
前記ポリビニルアセタール樹脂/前記エポキシ化合物の当量比が1/0〜1/2であり、且つ、前記カチオン変性アクリル共重合体/(前記ポリビニルアセタール樹脂と前記エポキシ化合物)の当量比が7/4〜3/8である
ことを特徴とするインクジェット記録媒体である。
これによると、インク受容層で形成される画像が、乾燥性に優れ高精彩にすることができ、インク受容層も透明性に優れる。また、インク中の水を素早く吸収し、乾燥性を向上することが可能である。さらに、硬化時の樹脂架橋密度が高くなり、耐水性が大きいということで優れた効果を得られる。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載のインクジェット記録媒体を基本とし、前記吸水層のバインダー樹脂が、アルコール類、トルエン、メチルエチルケトン、あるいは酢酸エチルのいずれかの有機溶剤に溶解し、且つ疎水性であることを特徴とする。
これによると、吸収性樹脂微粒子を分散し塗液化することが出来る。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載のインクジェット記録媒体を基本とし、前記インク受容層のカチオン変性アクリル共重合体のモノマー成分が、少なくともメタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、あるいはメタクリル酸ジアルキルアミノエチル第四級アンモニウム塩のいずれかからなることを特徴とする。
これによると、メタクリル酸メチルは耐水性に、アクリル酸エチルは柔軟性に、そしてメタクリル酸ジアルキルアミノエチル第四級アンモニウム塩は染料の定着性にそれぞれ寄与し、その結果、先に述べた諸特性(インクの濡れ性や染着性と、耐水性、及び透明性)をいっそう好ましく向上させることが出来る。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載のインクジェット記録媒体を基本とし、前記インク受容層のポリビニルアセタール樹脂は、ケン化度が70〜90%のポリビニルアルコールを5〜20mol%アセタール化したものであることを特徴とする。
これによると、インク吸収性と耐水性とを、バランス良く達成することが出来て好ましい。
もし、ポリビニルアルコールのケン化度が70%未満かもしくは90%を越えると、インク吸収性が著しく低下し、さらにポリビニルアルコールのアセタール化度が5mol%未満であると耐水性が著しく低下し、一方、アセタール化度が20mol%を越えるとやはりインク吸収性が著しく低下してしまうことから好ましくない。
【0013】
請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載のインクジェット記録媒体を基本とし、前記インク受容層のカチオン変性アクリル共重合体およびポリビニルアセタール樹脂はいずれも、水とアルコールとの混合溶剤に溶解することを特徴とする。
これによると、インクジェット吸収性と耐水性とを両立することが出来るという点で優れている。
【0014】
請求項6の発明は、支持体上に少なくとも、吸水性樹脂微粒子と疎水性のバインダー樹脂とからなる吸水層と、カチオン変性アクリル共重合体とポリビニルアセタール樹脂とをエポキシ化合物で熱硬化させた樹脂からなるインク受容層とを、この順に積層することを特徴とするインクジェット記録媒体の製造方法であり、
前記吸水層の吸水性樹脂微粒子が、ポリアクリル酸、又はポリアクリル酸塩のいずれか単独、もしくはこれらの共重合体架橋物からなり、平均粒径が10〜500μm、吸水倍率が100〜1000倍の範囲にあり、
前記吸水性樹脂微粒子/前記バインダー樹脂の当量比が1/3〜2/1であり、
前記インク受容層のエポキシ化合物が、脂肪族系であり、水溶性であり、且つ、二官能以上であり、
前記ポリビニルアセタール樹脂/前記エポキシ化合物の当量比が1/0〜1/2であり、且つ、前記カチオン変性アクリル共重合体/(前記ポリビニルアセタール樹脂と前記エポキシ化合物)の当量比が7/4〜3/8である
ことを特徴とするインクジェット記録媒体の製造方法である。さらに好ましくは、請求項1乃至5のいずれかに記載の材料を使用する。
【0015】
【発明の実施の形態】
そこで本発明のインクジェット記録媒体は、上記課題を解決し目的を達成するために、支持体の少なくとも片面に、吸水性樹脂微粒子と疎水性のバインダー樹脂からなる吸水層、前記吸水層上にエポキシ基と反応する基を有するカチオン変性アクリル共重合体とポリビニルアセタール樹脂をポリエポキシ化合物で熱硬化させた樹脂からなるインク受容層を順次積層した構成とする。
上記インクジェット記録媒体において、支持体上にインク受容層の乾燥性を向上させるため吸水性樹脂微粒子を含む吸水層を有し、さらに、通常、インク吸収性は優れるものの、耐水性が劣るカチオン変性アクリル共重合体、ポリビニルアセタール樹脂をエポキシ化合物で熱硬化したインク受容層を順次積層することにより、インク吸収性、耐水性共に優れた性能のインクジェット記録媒体が得られることを見いだし本発明を完成させるに至った。
【0016】
本発明における吸水層はインクジェットインク中の水を吸収する層であり、本発明では当該層に特定の吸水性樹脂微粒子を使用する。このような吸水性樹脂微粒子にはポリアクリル酸、もしくはポリアクリル酸塩の単独、もしくは共重合体架橋物を主成分とした構成とする。また、インク受容層は、インクを受容する層であり、本発明では当該層に特定の樹脂を使用して、インクの染着性やぬれ性と、耐水性を両立させる。このような樹脂としては、エポキシ基と反応する基を有するカチオン変性アクリル共重合体とポリビニルアセタール樹脂をエポキシ化合物で熱硬化させた樹脂から構成する。
【0017】
本発明における吸水層の吸水性樹脂微粒子としては、ポリアクリル酸、もしくはポリアクリル酸塩の単独、もしくは共重合体架橋物、N−ポリビニルアセトアミド架橋物、デンプン−アクリル酸塩クラフト共重合体架橋物、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレンオキサイド架橋物等の吸水性高分子が挙げられるが、中でも、ポリアクリル酸、もしくはポリアクリル酸塩の単独、もしくは共重合体架橋物が望ましい。
【0018】
吸水層のバインダー樹脂としては、アルコール類、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル等の有機溶剤に溶解し、且つ疎水性の樹脂を使用し、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸プロピル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチルのアクリル系ポリマーが挙げられる。
【0019】
以上のような吸水性樹脂微粒子、バインダー樹脂は、いずれも、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、、キシレン等の一種または二種以上の混合溶剤を用いた10〜50重量%溶液の塗工液として使用する。使用に際しては、吸水層塗布液の組成としては、吸水性樹脂微粒子/バインダー樹脂の当量比は約1/3〜2/1で混合し、必要に応じ希釈する。吸水性樹脂微粒子の量が多すぎると支持体との密着性が低下し、逆に少ないとバインダー樹脂の疎水性に阻害され、吸水性が著しく低下する。
【0020】
吸水層の厚みは、通常、10〜50μm程度、好ましくは20〜30μm程度である。厚みが薄すぎると吸水性が不足し、逆に厚すぎるとコスト高となり、カールも大きくなる。
【0021】
吸水層の形成は、上記吸水性樹脂微粒子及びバインダー樹脂を適宜な当量比で混合した塗工液を、支持体の少なくとも片面に、グラビアコート、ロールコート、ワイヤーバーコート等の公知の塗工手段によって塗工すれば良い。
【0022】
本発明におけるインク受容層のアクリル共重合体としては、該共重合体を構成するモノマーが、カチオン変性部分には特に第四級アンモニウム塩基を有するアクリルモノマーが望ましい。また、エポキシ基と反応する基を有する部分にはヒドロキシ基等の官能基を有するアクリルモノマーがよく、さらに、疎水性を受け持つ部分として、(メタ)アクリル酸エステル等からなる疎水性モノマーを用いることが望ましい。
【0023】
上記第四級アンモニウム塩基を有するアクリルモノマーとしては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノ(メタ)アクリレート、ジエタノールアミノ(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノ(メタ)アクリレート、ジプロパノールアミノ(メタ)アクリレート、ジブチルアミノ(メタ)アクリレート等の如き第三級アミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーの第四級化モノマー等がある。さらに上記第四級アンモニウム塩基を有するアクリルモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、あるいはこれらの酸とエチレングリコール等のグリコールのモノ(メタ)アクリレート等の如くカルボキシル基や水酸基等の官能基を有するモノマーに、グリシジルトリメチルアンモニウムクロライド、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリエタノールアンモニウムクロライド、グリシジルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、グリシジルジメチルブチルアンモニウムクロライド等の反応性第四級アンモニウム塩を反応させたモノマー等が挙げられる。
【0024】
一方、エポキシ基と反応する基を有するアクリルモノマーとしては、例えば、カルボキシル基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、或いはこれらのモノマーとエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールとのエステル化物、エチレンジアミン、プロピレンジアミン等の多価アミンとのアミド化物、アクリルアミド、メタクリルアミド等が挙げられる。
【0025】
また、(メタ)アクリル酸エステル等からなる疎水性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル、あるいは、アクリルアミド、アクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニル、スチレン等のモノマーが挙げられる。
【0026】
本発明におけるインク受容層のポリビニルアセタール樹脂としては、ケン化度70〜90%のポリビニルアルコールを5〜20mol%アセタール化したものが好ましい。ポリビニルアルコールのケン化度が70%未満かもしくは90%を越えるとインク吸収性が著しく低下し、さらに、ポリビニルアルコールのアセタール化度が5mol%以下であると耐水性が著しく低下し、また、20mol%以上であるとインク吸収性が著しく低下する。
【0027】
また、上記ポリビニルアセタール樹脂のアセタール部分はホルマール、メチラール、エチタール、プロパール、ブチラールであることが好ましい。
【0028】
上記のようなカチオン変性アクリル共重合体と、ポリビニルアセタール樹脂を、硬化させるエポキシ化合物としてはエポキシ基を2以上有する2官能以上のエポキシ化合物が使用される。このようなエポキシ化合物としては、例えば、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエチリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等の脂肪族系で、且つ、水溶性のエポキシ化合物である。
【0029】
以上のようなカチオン変性アクリル共重合体、ポリビニルアセタール樹脂(主剤)、エポキシ化合物(硬化剤)は、いずれも、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、トルエン、キシレン等の一種または二種以上の混合溶剤を用いた10〜50重量%溶液の塗工液として使用する。使用に際しては、主剤/硬化剤の当量比は約1/0〜1/2で混合し、必要に応じ希釈する。
【0030】
また、搬送性、耐ブロッキング性向上のためにはインク受容層に充填剤を添加すると良い。添加量はOHP等の透明性画像の用途では、透明性を損なわない範囲で使用する。
【0031】
このような充填剤としては、例えば、有機微粒子として、ポリメタクリル酸メチル、ポリビニルピロリドン、ポリスチレン、フッ素樹脂系のビニル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリアミド等の熱可塑性樹脂、ポリベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂等の熱硬化性樹脂からなる微粒子で、粒径が0.1〜30μm、好ましくは0.1〜20μmのものが挙げられる。インク受容層中に通常0.1〜20wt%程度、含有させる。少なすぎると搬送性、耐ブロッキング性が十分に得られない。OHP等の透明性画像の場合には多すぎると透明性が損なわれるので10wt%未満が良い。
【0032】
また、無機微粒子として、クレー、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、タルク、ベントナイト、酸化チタン等や、コロイダルシリカ等で知られる無水ケイ酸、含水ケイ酸、含水ケイ酸カルシウム、含水ケイ酸アルミニウム等のホワイトカーボン、アルミナゾル等の粒径が通常10〜300nm程度の無機微粒子を使用すれば、インク受容層に印字されたインキを適度に拡散させ良質の画像形成に効果がある。このような無機微粒子は、インク受容層中に5〜90wt%程度含有させる。OHP等の透明性画像の場合には少なめに、不透明の場合は、白さを出す意味もあり、多めに含有させる。
【0033】
また、インク受容層には、目的に応じて、上記充填剤の他に、前期した以外のその他の樹脂、あるいは、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、PH調整剤、消泡剤その他添加剤を性能を逸脱しない範囲で適宜混合しても良い。
【0034】
インク受容層の厚みは、通常、1〜50μm程度、好ましくは3〜20μm程度である。厚みが薄すぎると染着性が不足し、乾燥性、耐ブロッキング性等も低下し、逆に厚すぎるとコスト高となり、カールも大きくなる。
【0035】
インク受容層の形成は、上記主剤及び硬化剤を適宜な当量比で混合した塗工液を、支持体の少なくとも片面に、グラビアコート、ロールコート、ワイヤーバーコート等の公知の塗工手段によって塗工すれば良い。
【0036】
インクジェット記録媒体の支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、セロハン、酢酸セルロース、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン等の樹脂からなるフィルムまたは板状のものが使用できる。インクジェット記録媒体をOHP用途とするならば透明なもの、中でも、ポリエチレンテレフタレートフィルム、硬質ポリ塩化ビニルフィルム、ポリプロピレンフィルム、トリアセテートフィルム等を使用する。また、硝子板等も使用できる。一方、OHP等の透明性画像用途でなければ、白色等の不透明な支持体でもよく、合成紙、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、板紙等の各種紙類も使用できる。
【0037】
支持体の厚みは用途に応じて強度を考慮して適宜選択され特に制限されないが、例えば通常5〜200μm程度とする。また、支持体2の表面には、該表面に設ける、吸水層の接着性向上を目的に、コロナ放電処理やポリウレタン樹脂等によるアンカー層等の公知の易接着処理をしてもよい。
【0038】
なお、本発明のインクジェット記録媒体に使用され得る水性インクは、公知のインクジェット用のインクであり、通常、水溶性染料、湿潤剤、染料可溶化剤、防腐剤、水、水混和性有機溶剤等からなる。
【0039】
<作用>
以上説明したように、本発明のインクジェット記録媒体では、支持体上に吸水性樹脂微粒子として特定のポリアクリル酸、もしくはポリアクリル酸塩の単独、もしくは共重合体架橋物と疎水性のバインダー樹脂からなる吸水層により、印字時のインク乾燥性を向上し、画像の滲みやぼやけを防止する。
また、インク受容層に特定のアクリル共重合体とポリビニルアセタール樹脂を熱硬化させた樹脂を用いることにより、ぬれ性および染着性と耐水性が両立する。硬化させるアクリル共重合体の主としてカチオン変性部分とポリビニルアセタール樹脂のヒドロキシ基がインク吸収性を持ち、一方、ポリエポキシ化合物により硬化させるので耐水性が得られ、インクが吸収してもインク受容層の溶けだしや、べとつきが発生しない。
【0040】
特に、吸水性樹脂微粒子がポリアクリル酸、もしくはポリアクリル酸塩の単独、もしくは共重合体架橋物からなり、その平均粒径が10〜500μmであり、且つ吸水倍率が100〜1000倍であることで、印字時の乾燥性を向上し、滲みやぼやけを防止する効果を有する。
【0041】
【実施例】
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明する。尚、文中で「部」とは特に断りのない限り重量基準であり、また固形分基準である。
【0042】
〔実施例1〜12、比較例1〜3〕
支持体として、100μmの厚さの表面を易接着処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名;ルミラーE63S、東レ(株)製)を用い、この上に、下記の表1と表2に記した配合の吸水層塗布組成物をバーコーティングにより乾燥後膜厚が20μmとなるように塗布し、100℃で3分間乾燥し、さらに表3と表4に記した配合のインク受容層塗布組成物を、バーコーティングにより乾燥後膜厚が15μmとなるように塗布し、120℃で3分間乾燥し、表5に記した層構成のインクジェット記録媒体を得た。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】
【表4】
【0047】
【表5】
【0048】
以上のようにして得られたインクジェット記録媒体について以下の項目の評価を行った。なお、印字はキャノン製インクジェットプリンター(BJC−420J)を使用し、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のインクにより記録画像を形成させた。評価結果を表3にまとめて示す。
【0049】
〔インク吸収性〕
印字直後、記録物の記録部を指で擦った時のインクの流出具合を評価した。
◎;完全に乾燥し、全く流出しない。
○;流出はしないものの、記録部がやや湿る。
△;少量の流出が認められる。
×;多量の流出が認められる。
【0050】
〔インク乾燥性〕
記録部上の乾燥具合(樹脂の膨潤)を目視で確認した。
◎;記録直後でも樹脂の膨潤はない。
○;記録後、数分で樹脂の膨潤がなくなる。
△;記録後、1時間以内に樹脂の膨潤がなくなる。
×;記録後、1時間経過しても樹脂は膨潤したままである。
【0051】
〔耐水性(記録部)〕
記録部上にスポイトで水を垂らし、直ちにガーゼで軽く拭き取った。
◎;インキはほとんど流出しない。
○;インキが僅かに流出するが、色調に大きな変化はない。
△;インキが流出し、色調に変化が認められる。
×;塗膜が溶解し、インキも共に剥がれる。
【0052】
〔耐水性(未記録部)〕
塗膜上にスポイトで水を垂らし、直ちにガーゼで軽く拭き取った。
◎;塗膜にほとんど損傷はない。
○;塗膜に僅かに損傷あるが、実用上問題ないレベル。
△;塗膜の一部で溶解する。
×;塗膜のほとんどが溶解する。
【0053】
【表6】
【0054】
【発明の効果】
表1〜表6の結果から明らかなように、本発明の実施例1〜12により得られたインクジェット記録媒体は、吸水層を有することで、インク乾燥性に優れ、滲みや、ぼやけのない鮮明な画像を得ることが可能である。
総じて、本発明によれば、インク受容層のインクのぬれ性や染着性の面と、そして耐水性の面、これらを両立させることが出来、特には透明性にも優れたインクジェット記録媒体を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクジェット記録媒体に係わる一実施例を,その断面図を用いて示す説明図。
【符号の説明】
1・・・インクジェット記録媒体
2・・・支持体
3・・・吸水層
4・・・インク受容層
Claims (6)
- 支持体上に少なくとも、吸水性樹脂微粒子と疎水性のバインダー樹脂とからなる吸水層と、カチオン変性アクリル共重合体とポリビニルアセタール樹脂とをエポキシ化合物で熱硬化させた樹脂からなるインク受容層とがこの順に積層されており、
前記吸水層の吸水性樹脂微粒子が、ポリアクリル酸、又はポリアクリル酸塩のいずれか単独、もしくはこれらの共重合体架橋物からなり、平均粒径が10〜500μm、吸水倍率が100〜1000倍の範囲にあり、
前記吸水性樹脂微粒子/前記バインダー樹脂の当量比が1/3〜2/1であり、
前記インク受容層のエポキシ化合物が、脂肪族系であり、水溶性であり、且つ、二官能以上であり、
前記ポリビニルアセタール樹脂/前記エポキシ化合物の当量比が1/0〜1/2であり、且つ、前記カチオン変性アクリル共重合体/(前記ポリビニルアセタール樹脂と前記エポキシ化合物)の当量比が7/4〜3/8である
ことを特徴とするインクジェット記録媒体。 - 前記吸水層のバインダー樹脂が、アルコール類、トルエン、メチルエチルケトン、あるいは酢酸エチルのいずれかの有機溶剤に溶解し、且つ疎水性であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録媒体。
- 前記インク受容層のカチオン変性アクリル共重合体のモノマー成分が、少なくともメタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、あるいはメタクリル酸ジアルキルアミノエチル第四級アンモニウム塩のいずれかからなることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録媒体。
- 前記インク受容層のポリビニルアセタール樹脂は、ケン化度が70〜90%のポリビニルアルコールを5〜20mol%アセタール化したものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のインクジェット記録媒体。
- 前記インク受容層のカチオン変性アクリル共重合体およびポリビニルアセタール樹脂はいずれも、水とアルコールとの混合溶剤に溶解することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のインクジェット記録媒体。
- 支持体上に少なくとも、吸水性樹脂微粒子と疎水性のバインダー樹脂とからなる吸水層と、カチオン変性アクリル共重合体とポリビニルアセタール樹脂とをエポキシ化合物で熱硬化させた樹脂からなるインク受容層とを、この順に積層することを特徴とするインクジェット記録媒体の製造方法であり、
前記吸水層の吸水性樹脂微粒子が、ポリアクリル酸、又はポリアクリル酸塩のいずれか単独、もしくはこれらの共重合体架橋物からなり、平均粒径が10〜500μm、吸水倍率が100〜1000倍の範囲にあり、
前記吸水性樹脂微粒子/前記バインダー樹脂の当量比が1/3〜2/1であり、
前記インク受容層のエポキシ化合物が、脂肪族系であり、水溶性であり、且つ、二官能以上であり、
前記ポリビニルアセタール樹脂/前記エポキシ化合物の当量比が1/0〜1/2であり、且つ、前記カチオン変性アクリル共重合体/(前記ポリビニルアセタール樹脂と前記エポキシ化合物)の当量比が7/4〜3/8である
ことを特徴とするインクジェット記録媒体の製造方法。
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