JP3807179B2 - インクジェット用記録媒体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェットプリンタ用の受像紙に代表される記録媒体やその製造方法に関するものであって、インクに対する吸収性や耐水性に優れているのと同時に、光沢感があり画像品位においても優れた性能を発揮し、特には水性インクに対してとりわけ秀でた受像層を備えた記録媒体を提供できる。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンピュータ出力用に各種方式のプリンタが普及している。なかでもインクジェットプリンタは、静粛性、コスト、画像品質が優れ、特にフルカラー画像を高品位で再現でき、他方式にはない優れた性能を有し、さらなる普及が期待できる。一方、プリンタ用紙には紙が多用されるが、プラスチックフィルムや合成紙等もその平滑な表面を生かした滑らかな画像や、透明性が要求される用途で使われている。
【0003】
ところで、インクジェット用インクとしては、インクノズルの目詰まり防止の為に、水溶性染料等を水性溶媒に溶解したもので、乾燥が遅いインクを用いる場合が多い(いわゆる水性インク)。従って、そのような場合には、記録用紙が紙等のような吸水性の良い場合であれば良いが、プラスチックフィルムの如き非吸水性(吸水性が悪い)である場合には印画後のインクの乾燥性が悪いので、通常は、支持体であるフィルム上にインク吸収性のあるインク受像層を設ける。
尚、本明細書中で印画とは、けっして絵画や写真などの画像(狭義の画像)を記録媒体に形成する場合に限るものではなく、これ以外にも例えば、文字、記号など何でもよく、インクジェットを用いてインクを記録媒体の受像層に浸透または付着させることを意味する。
【0004】
しかしながら、プラスチックフィルム等の支持体上にインク受像層を設けた構成であっても必ずしも十分な性能のものは得られていない。すなわち、前記遅乾性のインクのぬれ性や染着性あるいは吸収性の向上のために、インク受像層を水溶性樹脂や親水性樹脂等から構成する方法も提案されているが、いずれも吸収した水性溶媒により、あるいは高湿下の環境でインク受像層が湿潤して粘着性を帯びて、記録媒体を重ねた時にブロッキングしたり、また、乾燥が悪く印画後に手で触れると汚れ易い等という問題がある。
【0005】
また、インク受像層の耐水性を向上させる目的で、従来から受像層を構成する樹脂を架橋させる技術がなされてきた。一般的には例えば、エポキシ基やイソシアネートによる熱硬化や、多官能アクリルモノマーによる光硬化が多く用いられている。
しかし、これらの場合にはいずれも、架橋された材料の特性が原因と思われる画像品位の著しく劣化が起きる。また、光硬化を用いた場合には画像品位の劣化が大きく、その原因は架橋による樹脂の膨潤,収縮が大きい為と思われるが、印画部はインクを吸収することにより印画部の表面にしわが発生し、印画部の光沢感が失われる等の現象が多く発生してしまう。そのため高光沢感のある画質を得ることが出来ず、写真画質などのような高画質を求める出力には不向きである。しかしながら、画像品位、ぬれ性及び吸収性などの特性と、耐水性、乾燥性及び対ブロッキング性などの特性とは、互いに相反する特性であって、これらを同時に満足する性能のものはなかなか得られていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の技術によると、このように非吸水性の支持体を用いたインクジェット用記録媒体では、インク受像層等の層に工夫を加えても、満足すべき性能のものはていなかった。
【0007】
本発明は前記従来の技術が抱える問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、
(1)インク(特には水性インク)のぬれ性や染着性と共にインク受像層の耐水性を同時に満足させることが出来ること、そして、
(2)インク受像層を光硬化により架橋させて形成するにも関わらず、画質や光沢感の低下が認められずに、非常に優れた画質を得られること、また特には、
(3)架橋剤を添加する場合にその適性添加量を、より安心して判断選択できるような、材料特性や性能面でのバランスの良い材料系をインク受像層に採用できるようにすること、
これらを同時に満足できるインクジェット用記録媒体とその製造方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記の目的を達成するためになされたものであり、基材の少なくとも一方の面にインク受像層を設けてあり、該インク受像層が、
(a)アクリロイルモルホリン、及び、
(b)少なくとも1つの四級アンモニウム塩基を有するアクリルモノマー、
の少なくともこれら2成分を構成単位として含むアクリル共重合体を主成分とすることを特徴とするインクジェット用記録媒体である。
【0009】
これによるとアクリル共重合体中のアクリロイルモルホリンは染着性を持ち、またこのポリマーは水への溶解度が比較的低く、塗膜の耐水性に優れる受像層を得ることが出来る。またアクリル共重合体中の四級アンモニウム塩は、染料の染着性を更に高め、水が付着しても染料の流出等がなく、非常に優れる。
すなわち、本発明によると、インク吸収性、染着性、画像品位、及び耐水性にも共に優れた性能を持つインクジェット用記録媒体を得ること出来る事を見出したといえる。
【0010】
また、前記インク受像層は、少なくとも前記アクリル共重合体と多官能ビニルモノマーとの混合物が光硬化されたものであることを特徴とするものである。
これによると、多官能ビニルモノマーがラジカル重合し、複雑に三次元架橋されることにより、塗膜の完全耐水性が実現される。つまり、印画部が濁ってしまう画質の低下が大変に少なくて良い。尚、この印画部が濁ってしまう画質の低下が大変に少なくなる理由については未だ明確ではないが、おそらく印画部が吸水し膨潤することと何らかの関係があるのではないかと予想される。
【0011】
また、前記インク受像層は、少なくとも前記アクリル共重合体、多官能ビニルモノマー、及び光硬化開始剤の混合物が光硬化されたものであることを特徴とするものである。
【0012】
これによると、多官能ビニルモノマーがラジカル重合し、複雑に三次元架橋されることにより、塗膜の完全耐水性が実現される。つまり、印画部が濁ってしまう画質の低下が大変に少なくて良い。尚、この印画部が濁ってしまう画質の低下が大変に少なくなる理由については未だ明確ではないが、おそらく印画部が吸水し膨潤することと何らかの関係があるのではないかと予想される。
ここで、光硬化開始剤は、インク受像層にもしこれが無いと光硬化を開始しない材料系のものを使用する場合には必要となる。
【0013】
また、特に、前記多官能ビニルモノマーが、その分子内に化学式Iで示される単位構造を1以上持つことを特徴とするものである。
【0014】
【化2】
Figure 0003807179
【0015】
(但し、nは1以上の整数を示す。)
これによると、本発明の課題をとりわけよく解決することができ、親水性のエチレングリコール構造を持つことによって、架橋による親水性の低下が最小限に抑えられ、未架橋のものと比較しても、インクのぬれ性、吸収性、染着性、さらに画質等の低下はほとんど認められない。
また、もしインク受像層として、従来の他の材料系を使用する場合であれば光架橋剤の添加量の適量を判断することが困難であったところ、光架橋剤の役目を果たす多官能ビニルモノマーの中でも特定のものを採用することは、インク受像層に使用する材料同士の適性バランスに優れた構成を成しており、とりわけ適性な添加量を安心して判断し選択することが出来る、という大きなメリットを得られるので大変に好ましい。
【0016】
また、前記アクリル共重合体が、前記(a)、(b)及び(c)アミド基を有するアクリルモノマー又はビニルピロリドンの内のいずれか、若しくはこれらの混合物、のこれら少なくとも3成分を構成単位として含むアクリル共重合体であることを特徴とするものである。
【0017】
これによると、インク染着性、画質、発色性、特にシアンの発色性に優れたインクジェット用記録媒体を得ることが出来る。
【0018】
また、前記アクリル共重合体が、前記(a)、(b)、(c)及び、(d)疎水性モノマー、の少なくともこれら4成分を構成単位として含むアクリル共重合体であることを特徴とするものである。
【0019】
これによると、疎水性モノマーを共重合体中に成分として用いることにより、アクリル共重合体の親水性、疎水性のバランスを調整することが可能となり、架橋による受像層のインク吸収性、耐水性、画像品位のバランスを調整することが容易となる。
【0020】
また、前記アクリル共重合体中の(a)アクリロイルモルホリンが、該アクリル共重合体の全モノマー成分中で30〜95質量%の範囲内の割合であることを特徴とするものである。
【0021】
もしアクロイルモルホリンが30質量%未満であると、耐水性が劣り、また架橋後の受像層に印画を行うと樹脂の収縮が大きく、その結果表面上にシワが発生し、印画部の光沢感が失われる。また、もしアクロイルモルホリンが95質量%を越えると、四級アンモニウム塩成分の割合が少ない為に、インク染着性が不足し、水が付着するとインクが流出する等の問題点が発生し、望ましくない。
【0022】
請求項1の発明は、前記多官能ビニルモノマーが、前記アクリル共重合体に対して1〜30質量%の範囲内の割合であることを特徴とするものである。
【0023】
もし多官能ビニルモノマーが1質量%未満であると、共存するアクリル共重合体の影響を大きく受け、架橋反応が困難となり、また完全耐水性を得ることが出来ない。また、もし多官能ビニルモノマーが30質量%を越えると画質劣化が見られるため、好ましくない。
【0024】
また、前記アクリル共重合体中の(c)アミド基を有するアクリルモノマー又はビニルピロリドンの内のいずれか、もしくは混合してなるもの、が、該アクリル共重合体の全モノマー成分中で5〜60質量%の範囲内の割合であることを特徴とするものである。
【0025】
アミド基を有するアクリルモノマー又はビニルピロリドンはインク染着性、発色性および高画質に寄与する。もし、(c)が5質量%未満であるとその効果が少なくなり、もし逆に(c)が60質量%を越えると親水性が増加しすぎることにより、耐水性付与が困難になること、さらに塗膜の物性を維持することが困難になる為に望ましくない。
【0026】
また、特に、前記インク受像層には充填剤が含有されてあることを特徴とするものである。
【0027】
これによると適当な充填剤をインク受像層に含有することにより、画質の向上、ブロッキング、タックなどの防止などの効果が得られ好ましい。
【0028】
また、前記アクリル共重合体を主成分とするインク受像層材料を塗工液化したものを、基材上のインク受像層を設けたい面に塗工し、塗工されたインク受像層を乾燥させ、しかる後に、該インク受像層を光又は熱のうちのいずれか片方かもしくは両方を用いて硬化させることを特徴とする。
【0029】
これによると、本発明に係るインクジェット用記録媒体を製造する場合に非常に現実性があり、このインクジェット用記録媒体の性能を上手く発揮できるように製造しようとする場合に、低コストでしかも容易に且つ確実性も高く対応出来ることになる。
【0030】
【発明の実施の形態】
本発明者らは前記課題を解決し目的を達成する為に鋭意研究を行った結果、本発明のようなインクジェット用記録媒体、並びにその好適な製造方法を発明するに至った。
【0031】
すなわち、本発明は、基材の少なくとも一方の面にインク受像層を設けてあって、前記インク受像層を、(a)アクリロイルモルホリンと、(b)少なくとも1つの四級アンモニウム塩基を有するアクリルモノマーとの、少なくともこれら2成分を構成単位として含むアクリル共重合体を主成分とすることによって、インク吸収性、染着性、画像品位、及び耐水性の面で共にたいへんに優れた性能を持つインクジェット用記録媒体を得られることを見出したものである。
また、アクリロイルモルホリンを用いた場合に、光硬化による架橋反応を行った後に印画を行うと、もしアクリロイルモルホリンを用いなかった場合と比較して、印画部の光沢感が失われることがなく、画質の優れたインクジェット用記録媒体が得られる。
【0032】
尚、その理由は必ずしも明らかではないが、一般的には水溶性の樹脂に三次元架橋を行うと、水や溶媒を吸収することによる樹脂の膨潤、収縮が起こり、その為印画部の表面にしわが発生し、光沢感が失われと考えられる。しかし、本発明のように、アクリロイルモルホリンを前記のように使用する場合には、膨潤、収縮によるしわが発生せず、光沢感を失うことがないとも考えられる。
【0033】
本発明で述べる少なくとも1つの四級アンモニウム塩基を有するアクリルモノマーとは、例えば、(メタ)アクロイルオキシトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクロイルオキシトリメチルアンモニウムブロマイド、(メタ)アクロイルオキシトリメチルアンモニウムヨーダイド、(メタ)アクロイルオキシジメチルメチルアンモニウムサルフェイト、(メタ)アクロイルオキシヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムアセテート、(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムブロマイド、(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムヨーダイド、(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムメチルサルフェイト、(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムp-トルエンサルフォネイト、あるいは(メタ)アクリルアミドプロピルトリジメチルヒドロキシプロピルアンモニウムアセテート等があげられ、これらの混合物でもよい。
【0034】
また、塗膜の耐水性をより完全にする為には、前記アクリル共重合体に、多官能ビニルモノマーと必要に応じて光硬化開始剤を混合させ、支持体上で光硬化させてなることにより、三次元架橋反応が進行し、受像層表面に水を滴下しても、あるいは水中に浸せきさせても、樹脂が溶解することがなく、完全耐水性を得ることが出来る。
【0035】
本発明で述べる多官能ビニルモノマーとは、二官能もしくはそれ以上のビニルモノマーであり、例えば、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#200ジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6- ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコール#200ジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、ポリエチレングリコール#400ジグリシジルエーテルアクリル酸付加物等が上げられ、これらの混合物でも良い。
【0036】
本発明に関わる、分子内に、化学式Iで示される単位構造を1以上持つ多官能ビニルモノマーとは、例えば、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#200ジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#200ジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、ポリエチレングリコール#400ジグリシジルエーテルアクリル酸付加物等が上げられ、これらの混合物でも良い。これら分子内に親水性のエチレングリコール基を有する為に、硬化後にも親水性の低下が最小限に抑えられ、且つ三次元架橋による塗膜の完全耐水性を得ることが出来る。なかでもポリエチレングリコール#200ジグリシジルエーテルアクリル酸付加物は、架橋反応性、画質、耐水性に優れ、また安価であることなどからその使用は好ましい。
【0037】
尚、インク吸水性、画像品質、インク染着の性能を高めるためには、カチオン変性アクリルモノマーとアミド基を有するアクリルモノマーとビニルピロリドンモノマーが有効である。本発明では、これらの組成比のバランスをうまく調整することにより、画質と完全な耐水性とを付与できることを見いだした。
【0038】
本発明に関わるアミド基を有するアクリルモノマーとは、ジメチル(メタ)アクリルアミド、メタクリル酸アミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、メトキシメチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。なかでもメトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド、メタクリル酸アミドは、特に画質、染着性、インク吸収性に優れており、また安価でもあることなどから、その使用は好ましい。
【0039】
本発明に関わる疎水性モノマーとは、ホモポリマーが疎水性を示すポリマーであることが望ましく、たとえば、各種アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレンモノマーおよびその誘導体などがあげられる。なかでもメチルメタクリレートおよびスチレンモノマーは疎水性が高く、ホモポリマーのTgが高いことから共重合体の膜物性が良好なものを合成できその使用が好ましい。
【0040】
本発明で述べるアクリロイルモルホリンの添加量は全モノマー成分中、30〜95質量%の割合で共重合させたものが望ましい。
この理由は、アクリロイルモルホリン成分は染着性と架橋による光沢性の保持に作用しているが、染着能力には限界がある事に起因すると考えられる。添加量が、もし30質量%未満であると染着性、光沢性の保持ともにその効果が少なく、また、もし95質量%をこえるとインクの染着性の強い四級アンモニウム塩基の割合が不足し、インクが完全に染着することが困難となる。より好ましくは、添加量は40〜70質量%の範囲内である。
【0041】
本発明で述べる多官能ビニルモノマーの添加量は、アクリル共重合体に対して1〜30質量%の範囲内の割合であることが好ましい。
その理由は、多官能ビニルモノマーの添加量が、もし1質量%未満であると、共存するアクリル共重合体の影響を大きく受け、光硬化による架橋反応が困難となり、未反応の多官能ビニルモノマーの割合が多くなるからである。また、架橋密度が低過ぎる為に、受像層の完全耐水性を得ることが出来ないからである。また、もし多官能ビニルモノマーの添加量が30質量%を越えると、架橋密度が高過ぎてしまう為に、画質劣化が起きてしまう(目視判定が可能な程度)ので好ましくない。より望ましくは、多官能ビニルモノマーの添加量は5〜20質量%の範囲内の割合である。
【0042】
本発明で述べる、(c)アミド基を有するアクリルモノマーまたはビニルピロリドンモノマーの内のいずれか片方もしくは混合してなるものは、全モノマー成分中で5〜60質量%の割合であることが望ましい。
この理由は、これらは吸水性、インク染着性、及び高画質に寄与する為に、この(c)が、もし5質量%未満であるとその効果が少なく、また、もし逆に60質量%を超えると親水性が増加しすぎることにより、耐水性付与が困難になること、さらに塗膜の物性を維持することが困難になる為に望ましくない。
【0043】
本発明で述べる充填剤とは、例えば、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、フッ素樹脂系のビニル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリアミド等の熱可塑性樹脂、ポリベンゾグアナミン樹脂、あるいは尿素樹脂等の熱硬化性樹脂からなる合成樹脂微粒子、もしくはセルロース、澱粉系の微粒子などの天然高分子、シリカ、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナホワイト、水酸化アルミニウム、タルク、ベントナイト、酸化チタン等、コロイダルシリカ等で知られる無水ケイ酸、含水ケイ酸、含水ケイ酸カルシウム、含水ケイ酸アルミニウム等のホワイトカーボン、アルミナゾル等の無機微粒子などが挙げられる。
【0044】
そして好ましくは、インク受像層中に通常0.1〜50.0質量%程度を含有させる。もし含有割合が少なすぎると搬送性、耐ブロッキング性が十分に得られない。尚、OHP等のように特に透明性画像が求められる用途の場合には、含有割合が多すぎると透明性が損なわれる。
【0045】
以上のような受像用樹脂は、いずれも、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、トルエン、キシレン等の一種または二種以上の混合溶剤を用いた5〜70質量%溶液の塗工液として使用する。
【0046】
また、インク受像層には、目的に応じて、前記した以外のその他の樹脂、あるいは、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、ph調整剤、消泡剤その他添加剤を性能を逸脱しない範囲で適宜混合しても良い。
インク受像層の厚みは、通常、1〜50μm程度、好ましくは5〜30μm程度である。厚みが薄すぎると染着性が不足し、乾燥性、耐ブロッキング性等も低下し、逆に厚すぎるとコスト高となり、カールも大きくなる。
【0047】
インク受像層の形成は、上記アクリル共重合体及び多官能ビニルモノマー及び必要に応じて光硬化開始剤を適宜な当量比で混合した塗工液を、支持体の少なくとも片面に、グラビアコート、ロールコート、ワイヤーバーコート等の公知の塗工手段によって塗工すれば良い。
【0048】
本発明のインク受像層は、塗工後に、適当な光源を用いて光照射を行うことにより、架橋反応が進行し塗膜が三次元硬化することにより完全な耐水性を付与することが出来る。
【0049】
本発明に関わる光硬化の為に照射する好適な光の例としては、電子線、紫外線、等が挙げられる。尚、紫外線を用いた場合には、光硬化開始剤の添加が必要となる。
光硬化開始剤としては、紫外線照射により容易にラジカルが発生し、架橋反応の開始点となる化合物が用いられる。例えば、チオキサントン、ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテルキサントン、ジメチルキサントンン、ベンゾフェノン、アントラセン、ベンジル、ベンジルメチルケタール、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−クロロアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、N,N−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、1,1’−ジグロロアセトフェノン等が挙げられ、これらの混合物でも良い。
【0050】
これらの光硬化開始剤の添加量は、特に制限させるものではないが、通常、前記アクリル共重合体に対して、0.1〜10.0質量%を添加するのが好ましい。
【0051】
インクジェット用記録媒体の支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、セロハン、酢酸セルロース、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン等の樹脂からなるフィルムまたは板状のものが使用できる。
【0052】
インクジェット用記録媒体をOHP用途とするならば透明なもの、中でも、ポリエチレンテレフタレートフィルム、硬質ポリ塩化ビニルフィルム、ポリプロピレンフィルム、トリアセテートフィルム等を使用する。また、硝子板等も使用できる。
一方、OHP等の透明性画像用途でなければ、白色等の不透明な支持体でもよく、合成紙、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、板紙等の各種紙類も使用できる。
【0053】
基材の厚みは用途に応じて強度を考慮して適宜選択され特に制限されないが、例えば通常5〜200μm程度とする。また、基材の表面には、該表面に設ける、インク受像層の接着性向上を目的に、コロナ放電処理やポリウレタン樹脂等によるアンカー層等の公知の易接着処理をしてもよい。
【0054】
なお、本発明のインクジェット用記録媒体に使用され得る水性インクは、公知のインクジェット用のインクであり、通常、水溶性染料、湿潤剤、染料可溶化剤、防腐剤、水、水混和性有機溶剤等からなる。
【0055】
<作用>
以上にも説明したように、本発明のインクジェット用記録媒体では、基材上に設けたインク受像層を含む記録媒体において、前記インク受像層には、(a)アクロイルモルホリンと、(b)少なくとも1 つの四級アンモニウム塩基を有するアクリルモノマーの2成分を構成単位として含むアクリル共重合体を含むことにより、優れた画質、インク濡れ性および染着性と共に、耐水性の両立が可能となる。
また、さらにこのアクリル共重合体に多官能ビニルモノマーを添加し、適当な溶剤に溶かしてコーティング後、光照射を行い三次元架橋させて形成してなることにより、完全耐水性もが同時に達成される。
【0056】
また、アクリル共重合体を構成するアクリロイルモルホリン、少なくとも1つの四級アンモニウム塩基を有するアクリルモノマー、アミド基を有するアクリルモノマー、及びビニルピロリドンが、インク吸収性と染着性を持ち、さらに多官能ビニルモノマーによる三次元架橋反応により、樹脂の完全な耐水性を実現する。
そして、充填された微小粒子によりインク吸収速度が早くなる性能を付与され、インクを吸収しても其処にはべとつきが発生しない。
【0057】
【実施例】
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明する。文中で「部」とは特に断りのない限り質量基準であり、また、固形分を基準にしたものである。尚、アクリル共重合体は、<合成例>に示すように合成を行った。また、本発明はけっして実施例に限定されるべきものではない。
【0058】
<合成例>
撹拌機、窒素導入管および還流冷却管を備えたフラスコ内に、モノマーを(表1)に示す組成比となるように、合計20グラム導入し、エタノール20グラム、水20グラムを加えて溶解させ、油浴上で窒素雰囲気下撹拌した。
これに0.16グラムのα, α’−アゾビスイソブチロニトリルを添加することで重合を開始し、60℃の油浴上で加熱撹拌を続けて、無色、粘張なポリマー溶液を得た。尚、重合時間は各々の組成により異なるが、おおよそ8時間から24時間であった。
【0059】
<実施例、及び参考例1,3,5>
支持体として、100μmの厚さの表面を易接着処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名;ルミラーE63S、東レ(株)製)を用いた。この上に上記合成法によって得られたポリマー溶液に、多官能ビニルモノマーとしてエポキシエステル200EA(共栄社化学製)またはエポキシエステル400EA(共栄社化学製)をそれぞれ所定割合で加え、さらに光硬化開始剤としてIRUGACURE184(チバガイギー製)をアクリル共重合体に対して2質量%となるように添加した。これを適当量の水とエタノールで粘度を調製し、よく混合させた。その後、マイヤーバーコーティングにより乾燥後膜厚が15〜20μmとなるように塗布し、100℃の乾燥器内で3分間乾燥させた。これを高圧水銀ランプ120Wの下で紫外線硬化を行うことにより、インクジェット用記録媒体を得た。
【0060】
得られたインクジェット用記録媒体に対し、キャノン製インクジェットプリンタ(製品名;BJC−420J)を用いて、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の四色のインクにより画像を形成させた。
【0061】
〔インク吸収性〕
印画直後、記録物の記録部を指で擦った時のインクの流出具合を評価した。
◎; 完全に乾燥し、全く流出しない。
○; 流出はしないものの、記録部がやや湿る。
△; 少量の流出が認められる。
×; 多量の流出が認められる。
〔耐水性(記録部)〕
記録部を水を満たしたバットに3分間浸積後、取り出した。
◎; インキはほとんど流出しない。
○; インキがわずかに流出するが、色調に大きな変化はない。
△; インキが流出し、色調にも変化が認められる。
×; 塗膜が溶解し、インキも共に剥がれる。
【0062】
〔耐水性(未記録部)〕
未記録部を水を満たしたバットに一分間浸積後取り出し、直ちにガーゼで軽くふき取った。
◎; 塗膜にほとんど損傷はない。
○; 塗膜にわずかに損傷があるが、実用上問題がないレベル。
△; 塗膜の一部が溶解する。
×; 塗膜のほとんどがが溶解する。
〔記録部光沢感〕
記録部を目視し、その光沢感を観察した。
◎; 未記録部と記録部で光沢感は変化せず、光沢感を保っている。
○; 未記録部は記録部に比べ、若干光沢感が失われている。
△; 記録部表面に若干のしわが見られ、光沢感が失われている。
×; 記録部表面にしわが見られ、光沢感は全くない。
【0063】
参考例2、4>
上記実施例に対し、多官能ビニルモノマーと光硬化開始剤の両方を添加しないこと以外は同様の操作で評価を行った。
以上の<実施例>及び<参考例>の結果を共に表2に示す。尚、表1中に記載された略称の意味は、それぞれ、ACMO;アクリロイルモルホリン、MOETAP;アクロイルオキシトリメチルアンモニウムp−トルエンスルホン酸塩、そして、NMMA;メトキシメチルアクリルアミド、である。
【0064】
【表1】
Figure 0003807179
【0065】
【表2】
Figure 0003807179
【0066】
【発明の効果】
以上のように、本発明によると、インクジェット用記録媒体は、いずれもインクのぬれ性や染着性がよくインク吸収性に優れると共に、耐水性についても優れていた。さらに、透明性に優れているためにOHP用フィルム等の用途向けとしても優れた適性を有していた。本発明では、少なくとも、アクロイルモルホリンと少なくとも1つの四級アンモニウム塩基を有するアクリルモノマーの2成分を構成単位として含むアクリル共重合体を受像層に用いることにより、画質や耐水性に優れるインク受像層を得られた。さらに少なくとも1つの(化1)に示される単位構成を持つ多官能ビニルモノマーを添加して、光硬化させ三次元架橋させることにより、塗膜の完全耐水性を実現することができると共に、架橋による画質の低下や印画部における光沢性の低下が認められず非常に優れたインク受像層を得られた。
【0067】
つまるところ、本発明によると、インクのぬれ性、染着性そしてインク受像層の耐水性を同時に満足させ、しかも透明性にも優れ、そのうえ架橋による画質の低下や印画部における光沢性の低下もない優れた性能のインクジェット用記録媒体およびその製造方法を提供することが出来た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るインクジェット用記録媒体の一実施例について断面図を用いて示す説明図。
【符号の説明】
1・・・インクジェット用記録媒体
2・・・支持体(基材)
3・・・インク受像層

Claims (1)

  1. 基材の少なくとも一方の面にインク受像層を設けてあり、該インク受像層が、
    (a)アクリロイルモルホリン、及び、
    (b)少なくとも1つの四級アンモニウム塩基を有するアクリルモノマー、
    の少なくともこれら2成分を構成単位として含むアクリル共重合体を主成分とし、
    さらに、少なくとも該アクリル共重合体と多官能ビニルモノマーとの混合物が光硬化されたものであり、
    該多官能ビニルモノマーが、該アクリル共重合体に対して1〜30%の範囲内の割合であることを特徴とするインクジェット用記録媒体。
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