JP3923193B2 - ベーパ乾燥装置 - Google Patents
ベーパ乾燥装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3923193B2 JP3923193B2 JP27556398A JP27556398A JP3923193B2 JP 3923193 B2 JP3923193 B2 JP 3923193B2 JP 27556398 A JP27556398 A JP 27556398A JP 27556398 A JP27556398 A JP 27556398A JP 3923193 B2 JP3923193 B2 JP 3923193B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- vapor
- tank
- wafer
- inert gas
- organic solvent
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Drying Of Solid Materials (AREA)
- Cleaning Or Drying Semiconductors (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば洗浄後の半導体ウェ−ハ、液晶表示装置用の基板及び記録ディスク用の基板などの被乾燥物を乾燥させるベーパ乾燥装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
洗浄などの処理後の半導体ウェ−ハ(以下、単にウェーハと呼ぶ)などの被乾燥物を乾燥するための装置として、例えば図11に示すベーパ乾燥装置100が知られている。図11に例示されたベーパ乾燥装置100は、装置100の外郭を構成する装置本体101と、ウェーハ3を支持する支持装置102と、液回収部103などを備えている。
【0003】
前記装置本体101は、有機溶剤Yを収容するベーパ槽104と、このベーパ槽104の外周を包囲する外槽105とを備えた二重構造となっている。有機溶剤Yの一例として、イソプロピルアルコール(isopropyl alcohol :以下IPAと呼ぶ)が用いられる。ベーパ槽104の底部106と外槽105との間に発熱装置107が設けられている。有機溶剤Yは、発熱装置107によって加熱ざれることによって蒸発し、ベーパVを発生する。
【0004】
乾燥されるべきウェーハ3は、ベーパ槽104内に挿入される前に、洗浄工程において、処理液としてのフッ化水素や純水などの洗浄液によって洗浄されているとともに、この洗浄工程後のリンス工程において、処理液としての純水などのリンス液によって、水洗いされている。
【0005】
このため、ベーパ槽104に挿入された直後のウェーハ3は、その表面に純水などの処理液が付着しているとともに、比較的温度が低くなっている。さらに、ウェーハ3は、洗浄工程などにおいてフッ化水素などの洗浄液などによって洗浄されているので、その表面が、疎水性になっているとともに活性化して酸化物などを生じさせやすくなっている。
【0006】
純水などの処理液が付着したウェーハ3は、支持装置102によって支持され、ベーパ槽104内に挿入されることによって、ベーパVにさらされる。この状態になるとウェーハ3の表面において有機溶剤ベーパVが凝縮し、ウェーハ3の表面に有機溶剤が付着する。
【0007】
このため、ウェーハ3の表面に付着していた純水などの処理液が、ウェーハ3の表面の有機溶剤と置換する。図11中の符号Sで示すように、置換した処理液はウェーハ3の表面から流れ落ち、液回収部103によって回収される。そしてウェーハ3の表面の有機溶剤Yが蒸発することにより、ウェーハ3が短時間に乾燥する。また、ウェーハ3の表面に付着していた異物であるパーティクルは、ウェーハ3の表面から処理液が流れ落ちる際に、この処理液とともに流れ落ちる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前述した従来のベーパ乾燥装置100を用いた半導体ウェーハ3の製造設備においては、リンス工程を行うリンス槽とベーパ乾燥装置100とが互いに別体となっている。このため、搬送装置などによって、リンス工程後のウェーハ3を大気中にさらしたままベーパ乾燥装置100まで搬送した後、前述したようにウェーハ3の表面に付着している処理液と有機溶剤とを置換してウェーハ3を乾燥している。
【0009】
このとき、ウェーハ3は、その表面が洗浄工程などにおいて疎水性となっているとともに活性化されているため、リンス槽からベーパ乾燥装置までの間の搬送の際に自然乾燥される。このとき、ウェーハ3に付着していた処理液の滴の輪郭に沿って、自然酸化膜すなわちウォータマークと呼ばれるしみが生じ、好ましくない。
【0010】
また、ウェーハ3は、洗浄工程やリンス工程などにおいて、比較的温度が低い状態となっている。この比較的温度が低い状態のウェーハ3がベーパ乾燥装置100内に挿入されると、ウェーハ3の表面に急激にベーパVが凝縮し、ベーパ槽104内のベーパVの体積が急激に減少してしまう。発熱装置107は有機溶剤Yを加熱し続けているので、有機溶剤YはベーパVを発生し続けるが、ウェーハ3全体がベーパVによって覆われるまでに、例えば数十秒程度かかることがある。
【0011】
この場合、全体がベーパVによって覆われるまでに、ウェーハ3は空気にさらされるため、自然乾燥される状態となる。このため、前述したウォータマークと呼ばれるしみが生じ、好ましくない。
【0012】
さらに、前述したリンス工程において、純水などの処理液中にパーティクルなどが混入していることがある。この場合、リンス工程の処理液などが付着した状態のウェーハ3の表面には、処理液とともにパーティクルが付着している。前記従来のベーパ乾燥装置100を用いて、パーティクルを除去する際に、このパーティクルは処理液と置換された処理液とともに流れ落ちる。しかし、単純に処理液とともに流れ落ちるだけでは、パーティクルがウェーハ3の表面から充分に除去されないことがあり、好ましくない。
【0013】
そのうえ、前述したように比較的低温な状態のウェーハ3をベーパ槽104内に挿入された直後に、瞬時に多量の有機溶剤がウェーハ3の表面に凝縮して、有機溶剤がウェーハ3の温度を徐々に上昇させながら、処理液と置換される。このため、有機溶剤の使用量が多くなり、ウェーハ3の洗浄及び乾燥工程にかかるコストが上昇する傾向となっていた。
【0014】
本発明は前記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、ウェーハ等の被乾燥物にウォータマークを生じさせないベーパ乾燥装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明の一つの形態に係るベーパ乾燥装置は、
有機溶剤を収容するとともに、上部に洗浄された被乾燥物が通過可能な大きさの開口部を有するベーパ槽と、
前記有機溶剤を加熱して気化させることで、前記ベーパ槽内に前記有機溶剤のベーパを発生させる発熱装置と、
前記ベーパ槽の開口部と前記有機溶剤の液面との間に位置するように前記ベーパ槽の内部に設けられ、前記被乾燥物を取り出し可能に収容するとともに、前記被乾燥物を処理する処理液が供給される内槽と、
前記バーパ槽の内部に不活性ガスを供給することにより、前記ベーパを希釈して体積を増加させるとともに、前記ベーパ槽の内部に上昇気流を発生させて前記希釈されたベーパを前記内槽の内部に導く不活性ガス供給手段と、を備えることを特徴としている。
【0018】
本発明のベーパ乾燥装置によると、前記被乾燥物を保持する保持手段と、前記ベーパ槽内のベーパとこのベーパの上側に存在する気体との境に、前記ベーパと前記気体との気相界面を形成する界面形成手段と、をさらに備えており、前記保持手段によって保持された被乾燥物を、前記気相界面の下から上昇させることで前記気相界面を通過させることが望ましい。
【0019】
本発明のベーパ乾燥装置によると、前記界面形成手段は、前記ベーパ槽の上部から前記ベーパ槽内に不活性ガスを供給する他の不活性ガス供給手段と、前記ベーパ槽の上部から前記ベーパ槽の内部の気体を排出する排気手段と、前記ベーパ槽の開口部の近傍で前記ベーパを凝縮させる冷却手段と、を備えており、
前記他の不活性ガス供給手段および前記排気手段は、制御手段によって制御されるとともに、この制御手段は、前記排気手段によって前記ベーパ槽内から排出される気体の排出量に対応する量の不活性ガスが前記ベーパ槽内に供給されるように、前記他の不活性ガス供給手段を制御することが望ましい。
【0020】
本発明のベーパ乾燥装置によると、前記被乾燥物が前記内槽に供給された処理液内に挿入された際に、前記ベーパ槽内のベーパを前記内槽の外表面において凝縮させて、前記ベーパの上昇を抑制することが望ましい。
【0021】
本発明のベーパ乾燥装置では、ベーパ槽の内部に処理液が供給される内槽を設けている。このため、例えばリンス工程などの純水などの処理液によって被乾燥物を水洗いする工程をベーパ槽内で行うことができる。
【0022】
したがって、乾燥工程の前工程のリンス工程などが施された被乾燥物を大気中にさらしたまま搬送する必要がなくなって、乾燥工程の前工程において被乾燥物の表面が活性化されても、この被乾燥物の表面に自然酸化膜としてのウォータマークが生じることを確実に防止できる。
【0024】
ベーパ槽内のベーパは、不活性ガスによって希釈されつつ、その体積が増加する。これにより、有機溶剤のベーパが被乾燥物の表面に凝縮しても、ベーパとこのベーパの上側の気体との境に形成される気相界面の高さが維持され、被乾燥物全体をベーパによって覆うことができる。
【0027】
したがって、被乾燥物の表面に隙間なく有機溶剤が付着することとなって、被乾燥物が大気中にさらされることがなくなって、この被乾燥物の表面に自然酸化膜としてのウォータマークが生じることをより一層確実に防止できる。
【0028】
さらに、被乾燥物を覆う有機溶剤ベーパが窒素などの不活性ガスによって希釈させるので、被乾燥物を乾燥させる際に要する有機溶剤の使用量を抑制することができる。したがって、被乾燥物を乾燥させる乾燥工程において作業にかかるコストを抑制することができる。
【0030】
被乾燥物をベーパ槽内から引き上げる際に、被乾燥物の表面上に前述した気体と凝縮した有機溶剤との界面が形成される。前述した有機溶剤の表面張力に勾配が生じるので、この界面には凝縮した有機溶剤側に引張られる力が生じる。このため、気相界面に形成される有機溶剤液層の表面張力によって、被乾燥物に付着した有機溶剤は擦り落とされる。
【0031】
このとき、パーティクルは、被乾燥物の表面から遊離して有機溶剤内に存在しているか、または被乾燥物の表面から遊離しやすい状態で被乾燥物の表面に付着している。このため、パーティクルは、有機溶剤とともに気相界面に形成される有機溶剤液層の表面張力によって被乾燥物の表面から擦り落とされる。
【0032】
したがって、ウォータマークを生じさせにくくかつ作業にかかるコストを抑制できることにくわえ、確実にパーティクルを除去することができる。
【0034】
さらに、本発明では、乱れのない安定した気相界面を形成するために、他の不活性ガス供給手段による不活性ガスの供給量と、排気手段による排気量の制御を行っている。すなわち、被乾燥物が気相界面を通って引き上げられる際に、排気手段によるベーパ槽内の気体の排出を停止するとともに、他の不活性ガス供給手段による不活性ガスの供給を停止するなどして不活性ガスの供給量を減少させる。
【0035】
こうすることにより気相界面が安定するため、被乾燥物の表面に付着している有機溶剤とパーティクルとを、気相界面における表面張力によって確実に擦り取ることができる。
【0036】
また、他の不活性ガス供給手段がベーパ槽の上部から不活性ガスをベーパ槽内に供給するので、気相界面の上側が不活性ガスで満たされる。このため、被乾燥物は、気相界面を通過した後も不活性ガスで覆われるので、より一層ウォータマークが生じることを防止できる。さらに、作業にかかるコストを抑制できることに加え、より確実に被乾燥物からパーティクルを除去することができる。
【0037】
なお、この明細書で言う、不活性ガスとは、窒素をはじめとして、ヘリウム等の希ガス類元素のように、化学的に不活性で、有機溶剤と反応しないガスを意味している。なお、本明細書で言う純水とは、塵などの水以外の物質の混合量を極めて少なくした水を示している。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について、図1から図9を参照して説明する。
【0039】
図1は本発明の一実施形態のベーパ乾燥装置1の縦断面図を示し、図2ないし図9はベーパ乾燥装置1を用いた乾燥方法の工程を示している。
【0040】
図1に示すように、ベーパ乾燥装置1は、装置1の外郭を構成する装置本体4と、保持手段をなす支持装置5と、搬送手段をなす搬送装置43と、第1及び第2の不活性ガス供給手段をそれぞれなす第1及び第2の不活性ガス供給装置2,42と、排気手段をなす排気装置41と、リンス処理部6と、制御手段をなす制御装置44と、を備えている。
【0041】
支持装置5は、被乾燥物の一例としての洗浄後のウェーハ3を支持する。第1及び第2の不活性ガス供給装置2,42は、それぞれ装置本体4の内部に不活性ガス(例えば窒素ガス)を供給する。排気装置41は装置本体4の後述するベーパ槽7内の気体(主としてベーパVと不活性ガス)を装置本体4の外部に排出する機能を有している。リンス処理部6は、洗浄後のウェーハ3を処理液としての純水などを用いて水洗いする機能を有している。
【0042】
前記装置本体4は、ベーパ槽7と外槽8とを有する二重構造となっている。ベーパ槽7は、乾燥槽として機能する。ベーパ槽7の内部には、イソプロピルアルコール(IPA:isopropyl alcohol )等の有機溶剤Yが収容される。外槽8はベーパ槽7の外周を包囲している。この外槽8により、ベーパ槽7の内部は、装置本体4の外部と熱的に遮断される。
【0043】
ベーパ槽7と外槽8の上部には、支持装置5とウェーハ3が通ることのできる大きさの上部開口9,10が形成されている。ベーパ槽7の上部開口9は本明細書に記した開口部に相当する。また、ベーパ槽7の上端部13bには、上部開口9を閉じてベーパ槽7の内部を装置本体4の外部と遮断可能な蓋45が上部開口9を開閉自在に取付けられている。
【0044】
ベーパ槽7は有機溶剤Yによって腐食されにくい材料(例えば石英など)からなる。外槽8は、ベーパ槽7の内部を装置本体4の外部と熱的に遮断するために、ステンレス鋼板等などのように熱伝導率の比較的低い材料からなる。ベーパ槽7と外槽8は、いずれも箱状に形成されている。
【0045】
ベーパ槽7の底部11と外槽8との間には、発熱装置12が設けられている。この発熱装置12は、ベーパ槽7内の有機溶剤Yを加熱して、この有機溶剤Yを有するベーパV(図2などに示す)を発生する機能を有している。発熱装置12の一例は、周知のプレートヒータである。発熱装置12が有機溶剤Yを加熱してベーパVを発生させるため、ペーパ槽7はベーパVを収容する。
【0046】
ベーパ槽7に溶剤供給管14が接続している。溶剤供給管14は、外槽8を貫通し、装置本体4の外部に導出されている。溶剤供給管14は、ベーパ槽7の内部に有機溶剤Yを供給する機能を有している。ベーパ槽7の下端部13aに溶剤排出管40が接続している。溶剤排出管40は、外槽8を貫通し、装置本体4の外部に導出されている。溶剤排出管40は、ベーパ槽7内の有機溶剤Yを排出する機能を有している。
【0047】
ベーパ槽7の上部開口9の近傍に冷却手段としての冷却管16が設けられている。冷却管16の内部に、冷却媒体としての冷却水が循環する。冷却管16は、ベーパ槽7の内側壁15に沿ってコイル状に形成されている。冷却管16は、図5などに示すように、ベーパ槽7の上部開口9の近傍に存在するべーパVを冷却して液化する機能を有している。従ってこの冷却管16は、ベーパ槽7内のベーパVが上部開口9から出てゆくことを防ぐ機能を有している。
【0048】
支持装置5は、図1に示すように、円板状の複数枚のウェーハ3を同時に保持可能なキャリア部材22と、キャリア部材22を吊持する一対の吊持部材23,24とを備えている。キャリア部材22は、複数枚のウェーハ3を垂直に立てた姿勢で、互いに並行でかつ等間隔に保持する。キャリア部材22は、図1において手前側(正面方向)から奥側に亘って一対の引掛け部25を有している。
【0049】
吊持部材23,24は、上下方向に延びている。吊持部材23,24の下端には、互いに向かい合う一対のフランジ部27が設けられている。吊持部材23,24が、搬送装置43によって図1中の矢印K1に沿って互いに近接する方向に移動すると、フランジ部27をキャリア部材22の引掛け部25,25に係止する。キャリア部材22は、フランジ部27の上面26によって支持される。吊持部材23,24は、キャリア部材22の寸法に応じて、図1において手前側から奥側にわたって、複数対設けられていてもよい。
【0050】
吊持部材23,24の上端には、図1中の一点鎖線Pで示すように、搬送装置43が接続している。搬送装置43は、吊持部材23,24を矢印Kで示す互いに接離する方向に移動させることができる。さらに、この搬送装置43は、吊持部材23,24を、上下方向(矢印Jで示す方向)及び水平方向(矢印Hで示す方向)に移動させることもできる。
【0051】
従ってキャリア部材22は、搬送装置43によって所望位置に移動させることができる。このキャリア部材22は、上部開口9を通ってベーパ槽7の内部に降下することができ、かつ、ベーパ槽7の内部から上部開口9を通って上昇することもできる。
【0052】
搬送装置43は、キャリア部材22を上下方向(矢印Jで示す方向)と水平方向(矢印Hで示す方向)に移動させることにより、ウェーハ3を、洗浄機(図示せず)から乾燥装置1まで移動させる。ウェーハ3は、搬送装置43によって、ベーパ槽7及びベーパ室内槽17内に挿入された後、ベーパ槽7の内部において気相界面Bを通ってこの気相界面Bの上側に位置する気体中に引き上げられ、さらに上部開口9からベーパ槽7外へ搬出されて次工程へと搬送される。
【0053】
第1の不活性ガス供給装置2は、ガス供給管30と、環状管31と、この環状管31に設けた複数のガス噴射口32とを備えている。ガス供給管30の一端は、不活性ガス供給源33に接続されている。ガス供給管30の他端は、環状管31に接続されている。環状管31は、ベーパ槽7の内側壁15に沿って環状に形成されている。環状管31は、有機溶剤Yの液面Rとベーパ室内槽17との間に位置している。
【0054】
複数のガス噴射口32は、環状管31の周方向(管の長手方向)に所定間隔で設けられている。これらのガス噴射口32は、オリフィス形状に形成されている。ガス噴射口32は、互いに向かい合うように環状管31の内側を向いているとともに、矢印Hに対して有機溶剤Yの液面Rに向って傾斜している。
【0055】
図5などに示すように、不活性ガス供給源33からガス供給管30を介して環状管31に供給された不活性ガスNは、ガス噴射口32からベーパ槽7内に噴出して、発熱装置12によって発生されたベーパV内に噴出する。このように、第1の不活性ガス供給装置2は、ベーパV内に不活性ガスNを吹き込む。
【0056】
第2の不活性ガス供給装置42は、ベーパ槽7の上部としての上端部13bに一端が開口するガス供給管34などを備えている。ガス供給管34は、その他端が外槽8を貫通して不活性ガス供給源33に接続している。図2などに示すように、不活性ガス供給源からガス供給管34に供給された不活性ガスN1は、ベーパ槽7の上端部13bからこのベーパ槽7内に噴出して、気相界面Bの上側に供給される。このように、第2の不活性ガス供給装置42は、ベーパ槽7の上端部13bからベーパ槽7内に不活性ガスN1を吹き込む。
【0057】
排気装置41は、ベーパ槽7に一端が開口する排気管46と、この排気管46の他端側に接続された排気弁47と、を備えている。排気管46は、冷却管16の上方に開口している。排気管46は、図示しない吸引装置、例えばバキュームポンプに接続されている。排気装置41は、排気弁47が開いたときに、ベーパ槽7内の気体を装置本体4の外部へ排出する。この排気装置41は、第2の不活性ガス供給装置42などから供給された不活性ガスN1などや、冷却管16などによって液化しきれなかったベーパVを吸収する。このため、ベーパVが上部開口9から外部に出てゆくことを、より確実に防止できる。
【0058】
前記冷却管16と、第2の不活性ガス供給装置42と、排気装置41とで、気相界面Bを形成する本明細書に記した界面形成手段を構成する。
【0059】
リンス処理部6は、ベーパ槽7の内部に設けられた内槽としてのベーパ室内槽17と、このベーパ室内槽17の底部に連通する給排液管18と、ベーパ室内槽17の上端部に開口する排液管20と、を備えている。
【0060】
ベーパ室内槽17は、有機溶剤Yの液面Rよりも高い位置にある。このベーパ室内槽17は、上部に開口部19を有している。ベーパ室内槽17及び開口部19は、支持装置5によって支持されたウェーハ3が、支持装置5とともに、ベーパ室内槽17の内部に侵入できる大きさに形成されている。
【0061】
給排液管18の一端は、ベーパ室内槽17の底部に接続している。給排液管18の他端側には弁35が接続している。給排液管18はベーパ槽7と外槽8とを貫通して図示しない処理液供給源に接続している。処理液供給源は、給排液管18にリンス工程に用いられる処理液の一例としての純水を供給する。
【0062】
ベーパ室内槽17と、弁35との間において、給排液管18の途中に排液管21の一端が接続している。排液管21の他端側には弁36が接続している。排液管21は、装置本体4の外部に向って延びている。
【0063】
排液管20は、一端がベーパ室内槽17の上端部に開口しているとともに、他端がベーパ槽7及び外槽8を貫通して装置本体4の外部に導出されている。
【0064】
リンス処理部6は、弁35が開きかつ弁36が閉じたときに、処理液供給源から給排液管18を介してベーパ室内槽17内に純水を供給する。ベーパ室内槽17の底部から供給された純水は、ベーパ室内槽17を満たす。そして、ベーパ室内槽17から溢れでようとする純水は、排液管20を経て装置本体4の外部に排出される。
【0065】
また、リンス処理部6は、弁35が閉じかつ弁36が開いたときに、ベーパ室内槽17の純水およびウェーハ3から流れ落ちる液体(主として純水及びIPA)を、給排液管18及び排液管21を介して、装置本体4の外部に排出する。
【0066】
制御装置44は、周知のCPU、ROM及びRAMなどを有する演算機能と制御機能とを有する演算装置である。制御装置44は、搬送装置43と、不活性ガス供給源33と、排気装置41と、リンス処理部6などに電気的に接続され、これら各機器の動作を制御することにより、ベーパ乾燥装置1全体の制御をつかさどる。
【0067】
例えば、制御装置44が出力する信号によって排気弁47が開くと、ベーパ槽7内の気体が排気される。この際に制御装置44は、不活性ガス供給源33に不活性ガスをガス供給管34に供給させる信号を出力することにより、所定量の不活性ガスをベーパ槽7の上端部13bからベーパ槽7内に供給する。
【0068】
制御装置44が出力する信号によって排気弁47が閉じると、ベーパ槽7内の排気は停止する。このとき、制御装置44は不活性ガス供給源33にガス供給管34への不活性ガスの供給を停止する信号を出力することにより、ベーパ槽7内への不活性ガスの供給を停止する。
【0069】
このように、制御装置44は、排気装置41による排気量がなくなると第2の不活性ガス供給装置42による不活性ガスの供給を停止するなどの不活性ガスの供給量を減少させる。制御装置44は、排気装置41によるベーパ槽7内からの気体の排出量に対応した量の不活性ガスがベーパ槽7内に供給されるように、第2の不活性ガス供給装置42を制御する。
【0070】
こうすることによって、ベーパ槽7内、特に気相界面Bの上側が不活性ガスで満たされて、ウェーハ3が大気中の酸素などと接触することが防止させるとともに、ベーパ槽7内に流入する不活性ガスN1の流量と、ベーパ槽7内から排出される気体の流量とがほぼ一致するため、気相界面B(図5などに示す)が乱されることが防止される。
【0071】
また、制御装置44が出力する信号によって弁35を開きかつ弁36を閉じると、ベーパ室内槽17へ純水を供給する。このとき、制御装置44は不活性ガス供給源33にガス供給管30への不活性ガスの供給を停止する信号を出力することにより、ベーパ槽7内への不活性ガスの供給を停止した状態を維持する。
【0072】
制御装置44が出力する信号によって弁35を閉じかつ弁36を開くと、ベーパ室内槽17内の液体を排出する。この際、制御装置44は、不活性ガス供給源33に不活性ガスを第1の不活性ガス供給装置2のガス供給管30に供給させる信号を出力することにより、所定量の不活性ガスをベーパ槽7内のベーパV内に供給する。
【0073】
こうすることによって、ベーパVがウェーハ3の表裏両面に付着してその体積が急激に減少する場合において、不活性ガスNがベーパVを希釈して、このベーパVの体積を増加させる。
【0074】
次に、前述したベーパ乾燥装置1の作用について説明する。
【0075】
まず、ウェーハ3などの被乾燥物の搬入を待つ待機工程において、図2に示すように、ベーパ室内槽17には給排液管18などを介して処理液供給源より、純水が供給されており、このベーパ室内槽17の開口部19からあふれ出ようとする純水は、排液管20から装置本体4外へと排出されている。
【0076】
このとき、溶剤供給管14よりベーパ槽7内に供給されている有機溶剤Yが発熱装置12によって加熱沸騰されることにより、ベーパ槽7内に有機溶剤YのベーパVが発生する。
【0077】
さらに、同時に不活性ガス供給源33より第2の不活性ガス供給装置42のガス供給管34を介してペーパ槽7内にその上端部から不活性ガスN1が供給されているとともに、排気装置41の排気管46を介してベーパ槽7内の気体が装置本体4外に排出されている。
【0078】
ベーパVは、ベーパ槽7の内部において気液平衡状態になる。ベーパVの上側には気体としての不活性ガスN1が存在するため、ベーパVと不活性ガスN1との境に気相界面Bが形成される。
【0079】
ベーパ室内槽17の近傍においては、このベーパ室内槽17内に供給されている純水などによってベーパVが冷却されるため、このベーパ室内槽17の外表面などでベーパVが凝縮する。凝縮して液化したベーパV、すなわち有機溶剤Yは、図2から図5及び図8ないし図9中に符号Y1で示すように、ベーパ槽7内の有機溶剤Y内に落下する。このため、気相界面Bがベーパ室内槽17の下端部の近傍に形成される。
【0080】
なお、図2に示す待機工程においては、蓋45が上部開口9を閉じた状態となっており、ベーパ槽7の内部は外部と遮断されている。このため、ベーパ槽7内においては、気相界面Bを境にして、その下側は有機溶剤Y及びベーパVが満たされているとともに、上側は第2の不活性ガス供給装置42によって供給された不活性ガスが満たされている。また、主としてベーパ室内槽17の外表面にて液化されなかったベーパVと不活性ガスとの混合気が排気管46から装置本体4外へ排出される。
【0081】
リンス工程において、まず、フッ化水素などの洗浄液によって洗浄されたウェーハ3が、図3に示されるように、支持装置5によって支持された状態で、装置本体4の上方に搬送されてくるとともに、蓋45がベーパ槽7の上部開口9を開放する。このとき、ウェーハ3の表面には、洗浄液とともにパーティクルPAが付着している。
【0082】
このウェーハ3は、図4に示されるようにキャリア部材22によって支持された状態で、搬送装置43によって、上部開口9,10を通って、ベーパ槽7内のベーパ室内槽17内に支持装置5毎挿入される。なお、ウェーハ3がベーパ室内槽17内に挿入されると、蓋45が閉じられる。
【0083】
このとき、給排液管18を介してベーパ室内槽17内に継続的に純水が供給されており、給排気管18とベーパ室内槽17と排液管20などの中には、純水が流れている。ウェーハ3は、ベーパ室内槽17内に所定時間保持されており、前述した純水の流れによって水洗いされて、洗浄液とパーティクルの大部分とが流し落される。
【0084】
図4に示す状態で所定時間が経過して、リンス工程が終了すると、図5及び図6に示す凝縮工程に移行する。図5に示すように、弁35を閉じかつ弁36を開いてベーパ室内槽17内の液体(主として純水)を装置本体4外へ排出する。このベーパ室内槽17内の液体の排出と同時に、不活性ガス供給源33から不活性ガスNを第1の不活性ガス供給装置2の環状管31に供給することにより、不活性ガスNをガス噴射口32からベーパ槽7内に噴射する。
【0085】
ベーパVはこのガスNによって希釈されることにより体積が増加する。しかもこのガスNは、互いに向かい合いかつ液面Rに向って傾斜した複数のガス噴射口32から同時に噴射されるので、各噴射口32から出た不活性ガスNが互いにぶつかり合うとともに液面Rにぶつかる。
【0086】
このため、図5中に矢印N2で示すように、ベーパ槽7内にベーパVの上昇気流が生じるとともに、ベーパVとガスNとがほぼ均一に混じり合う。このため、希釈されたベーパVは、その一部がベーパ室内槽17の外表面に凝縮して付着しながらも、気相界面Bの高さが強制的に上昇される。
【0087】
すると、気相界面Bの上昇に伴って、希釈されたベーパVが開口部19からベー室内槽17内に侵入する。ベーパ室内槽17内の液体の液面の低下に伴って徐々にウェーハ3が露出する。このとき、ウェーハ3は未だ低温状態にあるため、ウェーハ3の表面においてベーパVが急冷される。これにより、瞬時のうちにウェーハ3の表面に有機溶剤ベーパVが凝縮する。
【0088】
上記のように、ウェーハ3の表面において有機溶剤ベーパVが凝縮することにより、有機溶剤の膜がウェーハ3の表面に形成されると、ウェーハ3の表面に凝縮した有機溶剤が付着していた純水に溶解する。有機溶剤が溶解した純水は、ウェーハ3の表面に沿ってベーパ室内槽17に向かって流れ落ちる。この流れ落ちる純水と共に、ウェーハ3の表面に付着していたパーティクルもベーパ室内槽17内に流れ落ちる。ベーパ室内槽17に入った純水は、給排液管18を経てベーパ槽7の外部に排出されるので、ベーパ槽7内の有機溶剤Yの純度はほぼ一定に保たれる。そして、ウェーハ3の表面に有機溶剤の膜が付着する。このためベーパVの体積が減少する。
【0089】
しかし、ベーパ槽7内にはガス噴射口32から不活性ガスNが噴射されているので、ベーパVはこのガスNによって希釈されることにより体積が増加する。しかも、図5中に矢印N2で示すように、ベーパ槽7内にベーパVの上昇気流が生じるとともに、ベーパVとガスNとがほぼ均一に混じり合う。このため、気相界面Bの高さが、ウェーハ3の表面に付着する前とほぼ同じレベルに維持され、ウェーハ3はベーパVに十分覆われた状態となり、ウェーハ3の表面におけるベーパVの凝縮がウェーハ全面に達する。
【0090】
なお、不活性ガスNによって希釈されたベーパVは、冷却管16の近傍においては、冷却管16によって冷却されるため、冷却管16の表面などで凝縮する。凝縮して液化したベーパV、すなわち有機溶剤Yは、図5から図7中に符号Y2で示すように、ベーパ槽7内の有機溶剤Yに落下する。このため、気相界面Bが冷却管16の下端巻回部16aの近傍に形成され、ウェーハ3は、気相界面Bの下側に位置する。
【0091】
こうして、ベーパ室内槽17内の液体の液面の低下に伴って、ウェーハ3の表面に付着した純水が有機溶剤と置換される。有機溶剤ベーパVがウェーハ3の表面全体に凝縮するまで、ガス噴射口32からベーパ槽7内に不活性ガスNが供給され続け、ウェーハ3に付着した純水が有機溶剤と完全に置換され、図6に示すように、ウェーハ3の表面全体に有機溶剤の膜が付着する。なお、図5から図7に示される平行斜線Qは、ウェーハ3の表面に有機溶剤が付着した領域を示している。
【0092】
なお、このとき、ウェーハ3の表面に残留したパーティクルは、この表面から遊離して凝縮した有機溶剤中に存在しているとともに、ウェーハ3の表面から遊離しやすい状態で付着している。
【0093】
ウェーハ3の表面全体に有機溶剤の膜が付着して、ウェーハ3に付着していた純水が有機溶剤ベーパVと完全に置換された後、第1及び第2の不活性ガス供給装置2,42からのベーパ槽7内への不活性ガスN,N1の供給を停止するとともに、排気装置41によるベーパ槽7内の気体の装置本体4外への排出を停止する。こうすることにより、ベーパ槽7内の気相界面Bの動揺が抑制され、安定した気相界面Bが得られる。
【0094】
そののち、上昇工程において、ベーパ槽7内において、搬送装置43によって支持装置5を上昇させることにより、ウェーハ3を、キャリア部材22ごと、気相界面B下からゆっくりと取り出す。すなわちウェーハ3は、図6に示す位置から、図7に示す位置を経て、図8に示す位置まで上昇する。この上昇の途中で、ウェーハ3は、図7に示すように気相界面Bを通過する。気相界面Bを通過する際のウェーハ3の上昇速度は、好ましくは5mm/sec から10mm/sec の範囲であり、さらに好ましい上昇速度は7mm/sec 前後である。
【0095】
ウェーハ3が気相界面Bを通過するとき、ウェーハ3の表面上において、不活性ガスと凝縮した有機溶剤との界面B1が生じる。この界面B1には、凝縮した有機溶剤の表面張力に勾配が生じ、ウェーハ3の表面上に付着した有機溶剤に凝縮した有機溶剤側に引張られる力が生じる。このため、ウェーハ3の表面上に付着していた有機溶剤が、気相界面Bを通過する際に擦り落される。
【0096】
このように、ウェーハ3が気相界面Bを通過するとき、ウェーハ3の表面に凝縮していた有機溶剤は、気相界面Bに形成されているIPA液層の表面張力によって擦り落とされ、図7中の符号Y3で示すようにベーパ室内槽17内に落ちる。このため、気相界面Bの上に出たウェーハ3は、短時間で乾燥する。
【0097】
また、ウェーハ3の表面に遊離し有機溶剤中に存在しているパーティクル及びウェーハ3の表面から遊離しやすい状態でこの表面に付着しているパーティクルは、ウェーハ3の表面から擦り落とされた有機溶剤と一緒にベーパ室内槽17に落下し、給排液管18及び排液管21を経て装置本体4の外部に排出される。
【0098】
ウェーハ3の下端が気相界面Bの上に出た後に、図8に示すように、ベーパ室内槽17内に給排液管18などを介して純水を供給する。また、同時に、第2の不活性ガス供給装置42のガス供給管34を介して不活性ガスN1をベーパ槽7内に供給するとともに、排気弁47を開けることにより、ベーパ槽7内の気体を装置本体4の外部へ排出する。
【0099】
すると、ベーパ槽7内のベーパVは、排気管46を通して装置本体4の外部に排出されるとともに、ベーパ室内槽17内の純水によって冷却されかつベーパ室内槽17の外表面において凝縮する。このため、気相界面Bが低下して、ウェーハ3が不活性ガスによって覆われる。
【0100】
ベーパ槽7内が不活性ガスによって満たされた後、図9に示すように、蓋45を開いて、ベーパ槽7の上部開口9からウェーハ3を搬送装置43によって支持装置5毎装置本体4の外部に搬出して、次工程に移送する。
【0101】
本実施形態によれば、ベーパ槽7内にリンス工程に用いる処理液の一例としての純水が供給されるベーパ室内槽17を設けて、このベーパ乾燥装置1内において、ウェーハ3を水洗いするリンス工程と、水洗い後のウェーハ3を乾燥する乾燥工程と、を行う。このため、リンス工程と乾燥工程との間において、ウェーハ3を大気中にさらしまま搬送する必要がなくなる。したがって、ウェーハ3の表裏両面に、自然酸化膜としてのウォータマークが生じることを確実に防止することができる。
【0102】
また、ベーパ槽7内に有機溶剤Yが収容されかつ発熱装置12がこの有機溶剤Yを加熱してベーパVを発生させるので、ベーパ乾燥装置1とは別体の外部装置を用いてベーパVを発生させてベーパ槽7内に供給する方法よりも、不純物が少なくかつ濃度が安定しかつ均一なベーパVをウェーハ3の乾燥に用いることができる。
【0103】
水洗いされた低温状態のウェーハ3にベーパVが凝縮する際に、第1の不活性ガス供給装置2によってベーパ槽7内に不活性ガスNを供給することにより、ベーパVの体積を増加させる。しかもガス噴射口32からベーパ槽7内に噴出する不活性ガスNによって、ベーパVの上昇気流を生じさせる。
【0104】
このため、ウェーハ3の表面においてベーパVの有機溶剤成分が凝縮し続けても、気相界面Bの高さが低下することを回避でき、その結果、ベーパVによってウェーハ3を十分に覆うことができる。
【0105】
このため、ウェーハ3に付着している純水などの処理液は、短時間に確実に有機溶剤と置換するので、ウェーハ3の全表面に有機溶剤がむらなく付着する。そしてこの状態でウェーハ3が気相界面Bを通るようにしているため、ウェーハ3に付着していた有機溶剤を気相界面Bの表面張力によって確実に擦り落とすことができる。ウェーハ3に付着していたパーティクルも、有機溶剤と共にウェーハ3から確実に除去される。しかもベーパ槽7内ではウェーハ3の周囲が不活性ガス雰囲気となるので、ウェーハ3の表面に自然酸化膜であるウォ−タマークが生じることを確実に防止できる。
【0106】
ウェーハ3の表面に凝縮した有機溶剤を気相界面Bによって擦り落とす際には、排気弁47を閉じかつ第1及び第2の不活性ガス供給装置2,42からの不活性ガスN,N1の供給を停止している。このため気相界面Bが安定し、この気相界面Bによって、ウェーハ3の表面の有機溶剤とパーティクルを確実に除去することができる。
【0107】
また、本発明において、支持装置5は、図10に示すように、ウェーハ3を保持しかつ吊持する一対の吊持部材51,52と、上下一対の連結部材53,54を備えて構成されても良い。これらの吊持部材51,52は、搬送装置43に接続している。吊持部材51,52は、それぞれ上下方向に延びている。
【0108】
吊持部材51,52は、同時に吊持する複数のウェーハ3のうち最も手前側に位置するウェーハ3の手前側と、最も奥側に位置するウェーハ3の奥側とにそれぞれ設けられている。吊持部材51,52は、同時に吊持するウェーハ3の枚数等に応じて、手間側から奥側まで間にさらに設けられても良い。
【0109】
正面側に位置する吊持部材51,52と、奥側に位置する吊持部材51,52とは互いに上下一対の連結部材53,54によって連結されている。連結部材53,54は、吊持部材51,52の下端部に上下方向に離間して設けられている。下方に位置する連結部材53,53間の間隔が上方に位置する連結部材54,54の間隔より狭くなるように吊持部材51,52に連結している。
【0110】
各々の連結部材53,54は、吊持部材51,52が左右からウェーハ3を挾持できるようにウェーハ3の外周部に沿って切欠かれた切欠き部55を備えている。これらの切欠き部55は、同時に保持するウェーハ3の枚数に応じて設けられている。
【0111】
前述した構成によって、吊持部材51,52は、複数のウェーハ3を左右から挾持し、上部開口9からベーパ槽7内にウェーハ3を出し入れ自在としかつ、ベーパ室内槽17内にウェーハ3を保持する。
【0112】
本発明の乾燥装置および乾燥方法は、前述した実施形態に制約されるものではない。本発明は半導体ウェーハ以外の被乾燥物、例えば、液晶表示装置用のガラス基板や、光記録ディスクおよび磁気記録ディスク等の記録ディスク用基板などの各種基板を乾燥する用途にも適用できる。
【0113】
【発明の効果】
本発明によれば、乾燥工程の前工程のリンス工程などが施された被乾燥物全体をベーパによって覆うことができるので、この被乾燥物を大気中にさらしたまま搬送する必要がなくなる。したがって、被乾燥物の表面にウォータマークが生じるのを確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態のベーパ乾燥装置の縦断面図。
【図2】同実施形態のベーパ乾燥装置においてウェーハをベーパ槽に挿入する前の待機状態を示す図。
【図3】同実施形態のベーパ乾燥装置においてウェーハをベーパ槽に挿入する状態を示す縦断面図。
【図4】同実施形態のベーパ乾燥装置においてウェーハがベーパ室内槽に挿入された状態を示す縦断面図。
【図5】同実施形態のベーパ乾燥装置においてベーパ室内槽内の液体を排出する状態を示す縦断面図。
【図6】同実施形態のベーパ乾燥装置においてウェーハの表面に有機溶剤が凝縮した状態を示す縦断面図。
【図7】同実施形態のベーパ乾燥装置においてウェーハに付着している有機溶剤が気相界面によって擦り取られる様子を示す縦断面図。
【図8】同実施形態のベーパ乾燥装置においてウェーハが気相界面の上方に移動した状態を示す縦断面図。
【図9】同実施形態のベーパ乾燥装置においてウェーハが搬送装置によって次工程に移送される直前の状態を示す縦断面図。
【図10】同実施形態のベーパ乾燥装置において支持装置の変形例を示す図。
【図11】従来のベーパ乾燥装置を示す縦断面図。
【符号の説明】
1…ベーパ乾燥装置、2…不活性ガス供給手段(第1の不活性ガス供給装置)、3…被乾燥物(ウェーハ)、7…ベーパ槽、9…開口部(上部開口)、12…発熱装置、17…内槽(ベーパ室内槽)、Y…有機溶剤、V…ベーパ、R…液面。
Claims (4)
- 洗浄された被乾燥物を乾燥させるベーパ乾燥装置であって、
有機溶剤を収容するとともに、上部に前記被乾燥物が通過可能な大きさの開口部を有するベーパ槽と、
前記有機溶剤を加熱して気化させることで、前記ベーパ槽内に前記有機溶剤のベーパを発生させる発熱装置と、
前記ベーパ槽の開口部と前記有機溶剤の液面との間に位置するように前記ベーパ槽の内部に設けられ、前記被乾燥物を取り出し可能に収容するとともに、前記被乾燥物を処理する処理液が供給される内槽と、
前記バーパ槽の内部に不活性ガスを供給することにより、前記ベーパを希釈して体積を増加させるとともに、前記ベーパ槽の内部に上昇気流を発生させて前記希釈されたベーパを前記内槽の内部に導く不活性ガス供給手段と、
を具備することを特徴とするベーパ乾燥装置。 - 請求項1の記載において、前記被乾燥物を保持する保持手段と、
前記ベーパ槽内のベーパと、このベーパの上側に存在する気体との境に、前記ベーパと前記気体との気相界面を形成する界面形成手段と、をさらに備えており、
前記保持手段によって保持された被乾燥物を、前記気相界面の下から上昇させることで前記気相界面を通過させることを特徴とするベーパ乾燥装置。 - 請求項2の記載において、前記界面形成手段は、前記ベーパ槽の上部から前記ベーパ槽内に不活性ガスを供給する他の不活性ガス供給手段と、前記ベーパ槽の上部から前記ベーパ槽の内部の気体を排出する排気手段と、前記ベーパ槽の開口部の近傍で前記ベーパを凝縮させる冷却手段と、を備えており、
前記他の不活性ガス供給手段および前記排気手段は、制御手段によって制御され、この制御手段は、前記排気手段によって前記ベーパ槽内から排出される気体の排出量に対応する量の不活性ガスが前記ベーパ槽内に供給されるように、前記他の不活性ガス供給手段を制御することを特徴とするベーパ乾燥装置。 - 請求項1ないし請求項3のいずれかの記載において、前記被乾燥物が前記内槽に供給された処理液内に挿入された際に、前記ベーパ槽内のベーパが前記内槽の外表面において凝縮されて、前記ベーパの上昇が抑制されることを特徴とするベーパ乾燥装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27556398A JP3923193B2 (ja) | 1998-09-29 | 1998-09-29 | ベーパ乾燥装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27556398A JP3923193B2 (ja) | 1998-09-29 | 1998-09-29 | ベーパ乾燥装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000105073A JP2000105073A (ja) | 2000-04-11 |
JP3923193B2 true JP3923193B2 (ja) | 2007-05-30 |
Family
ID=17557201
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP27556398A Expired - Fee Related JP3923193B2 (ja) | 1998-09-29 | 1998-09-29 | ベーパ乾燥装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3923193B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001321601A (ja) * | 2000-05-12 | 2001-11-20 | Sony Corp | 有機溶剤排出低減方法及び有機溶剤排出低減装置、ウエハ乾燥装置 |
US6371174B1 (en) * | 2001-01-25 | 2002-04-16 | Illinois Tool Works, Inc. | Adhesive application system and method of use |
-
1998
- 1998-09-29 JP JP27556398A patent/JP3923193B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2000105073A (ja) | 2000-04-11 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3897404B2 (ja) | ベーパ乾燥装置及び乾燥方法 | |
TWI659465B (zh) | 基板處理裝置及基板處理方法 | |
JP4629270B2 (ja) | 基板の液体処理方法及び乾燥処理方法 | |
KR100372094B1 (ko) | 건조장치 및 건조방법 | |
WO2005015625A1 (ja) | 基板処理方法及び基板処理装置 | |
TW502332B (en) | Substrate processing unit | |
JP2009038282A (ja) | 基板処理方法、基板処理装置、プログラム、記録媒体および置換剤 | |
JP2020077826A (ja) | 基板乾燥方法および基板処理装置 | |
JP2005026478A (ja) | 基板処理法及び基板処理装置 | |
KR102709048B1 (ko) | 기판 건조 장치, 기판 건조 방법 및 기억 매체 | |
JPH11176798A (ja) | 基板洗浄・乾燥装置及び方法 | |
JP7122251B2 (ja) | 基板処理方法および基板処理装置 | |
JP2007235065A (ja) | 基板処理装置および基板処理方法 | |
JP3923193B2 (ja) | ベーパ乾燥装置 | |
JP2010118498A (ja) | 基板処理方法および基板処理装置 | |
JPH11162923A (ja) | 洗浄乾燥装置及び洗浄乾燥方法 | |
JP3910182B2 (ja) | 蒸気乾燥装置 | |
JP4906198B2 (ja) | イソプロピルアルコール蒸気乾燥装置及びシリコンウエハの乾燥方法 | |
JP7504850B2 (ja) | 基板乾燥装置、基板処理装置及び基板乾燥方法 | |
JP2004172574A (ja) | 基板処理装置および基板処理方法 | |
JP2002231688A (ja) | 基板の乾燥方法 | |
JP7314373B2 (ja) | 基板処理方法および基板処理装置 | |
JP2588524Y2 (ja) | 基板の純水引上げ乾燥装置 | |
JP2004119591A (ja) | 基板処理装置 | |
JP2004119711A (ja) | 基板処理装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050707 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20061024 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20061225 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20070123 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20070221 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |