JP7314373B2 - 基板処理方法および基板処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、基板を処理する基板処理方法および基板処理装置に関する。基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置や有機EL(electroluminescence)表示装置等のFPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板等が含まれる。
半導体装置やFPDなどの製造工程では、半導体ウエハやFPD用ガラス基板等の基板に対して必要に応じた処理が行われる。このような処理には、薬液やリンス液等の処理液を基板に供給することが含まれる。処理液が供給された後は、処理液が基板から除去され、基板が乾燥される。基板を1枚ずつ処理する枚葉式の基板処理装置では、基板の高速回転によって基板上の液体を除去することにより基板を乾燥させるスピンドライが行われる。
基板の表面にパターンが形成されている場合、基板を乾燥させるときに、基板に付着している処理液の表面張力に起因する力がパターンに加わり、パターンが倒壊することがある。その対策として、IPA(イソプロピルアルコール)等の表面張力が低い液体を基板に供給したり、パターンに対する液体の接触角を90度に近づける疎水化剤を基板に供給したりする方法が採られる。しかしながら、IPAや疎水化剤を用いたとしても、パターンを倒壊させる倒壊力が零にはならないので、パターンの強度によっては、これらの対策を行ったとしても、十分にパターンの倒壊を防止できない場合がある。
近年、パターンの倒壊を防止する技術として昇華乾燥が注目されている。たとえば、特許文献1には、昇華乾燥を行う基板処理方法および基板処理装置が開示されている。特許文献1に記載の昇華乾燥では、昇華性物質の溶液が基板の上面に供給され、基板上のDIW(脱イオン水)が昇華性物質の溶液に置換される。その後、昇華性物質の溶媒を蒸発させて、昇華性物質を析出させる。これにより、固体の昇華性物質からなる膜が基板の上面に形成される。その後、基板が加熱される。これにより、基板上の昇華性物質が昇華して、基板から除去される。
特開2012-243869号公報
一般的に、昇華乾燥は、基板の高速回転によって液体を除去するスピンドライやIPAを用いるIPA乾燥などの従来の乾燥方法に比べてパターンの倒壊率が低い。しかしながら、パターンの強度が極めて低いと、昇華乾燥を実施したとしても、十分にパターンの倒壊を防止できない場合がある。本願発明者らの研究によると、この原因の一つは、固体の昇華性物質からなる膜の厚みであることが分かった。
昇華性物質の固体の厚みは、昇華性物質の飽和濃度に達したときの昇華性物質の溶液の厚みに対応する。昇華性物質の飽和濃度に達する前に、昇華性物質の溶液中の昇華性物質の濃度を知ることができれば、昇華性物質の固体の厚みを予測し、適切でない厚みの昇華性物質の固体の形成を避けることができる。
一般に、液体中の物質の濃度を測定するためには、濃度測定用の機器を液体に接触させる必要がある。基板上に形成される昇華性物質の溶液は、比較的薄いため、濃度測定用の機器を基板の上面に接触させることなく液膜に接触させることは困難である。そのため、濃度測定用の機器の接触によってパターンが損傷し倒壊するおそれがある。
そこで、本発明の目的の一つは、昇華によって昇華性物質を基板の上面から除去する際に発生するパターンの倒壊率を低減することができる基板処理方法および基板処理装置を提供することである。
この発明の一実施形態は、昇華性物質が溶媒中に溶解した溶液である乾燥前処理液を、パターンが形成された基板の上面に供給して、前記乾燥前処理液の液膜を前記基板の前記上面に形成する乾燥前処理液供給工程と、前記液膜から前記溶媒を蒸発させることにより、前記昇華性物質の固体を前記基板の前記上面に析出させる析出工程と、前記析出工程において、前記昇華性物質の固体が析出する前に、前記溶媒の蒸発によって前記液膜の厚みが減少する速度である膜厚減少速度を測定する膜厚減少速度測定工程と、前記膜厚減少速度測定工程において測定された前記膜厚減少速度が基準速度範囲内であるか否かを判定する減少速度判定工程と、前記減少速度判定工程において前記膜厚減少速度が前記基準速度範囲内であると判定された場合に、前記析出工程の終了後に、前記昇華性物質の固体を昇華させる昇華工程とを含む、基板処理方法を提供する。
一つの実施形態では、前記基準速度範囲は、前記膜厚減少速度が前記基準速度範囲内となるときの前記液膜中の前記昇華性物質の濃度範囲を表す基準濃度範囲と、前記昇華性物質の濃度が異なる乾燥前処理液の液膜毎に前記膜厚減少速度を事前に測定して作成された基準データとに基づき定められる。
また、この発明の一実施形態は、昇華性物質が溶媒中に溶解した溶液である乾燥前処理液を、パターンが形成された基板の上面に供給して、前記乾燥前処理液の液膜を前記基板の前記上面に形成する乾燥前処理液供給工程と、前記液膜から前記溶媒を蒸発させることにより、前記昇華性物質の固体を前記基板の前記上面に析出させる析出工程と、前記析出工程において、前記溶媒の蒸発によって前記昇華性物質の固体が析出する直前に、前記液膜の厚みを測定する膜厚測定工程と、前記膜厚測定工程において測定された前記液膜の厚みが前記昇華性物質の固体の基準厚み範囲内であるか否かを判定する厚み判定工程と、前記膜厚測定工程において測定された前記液膜の厚みが前記厚み判定工程において前記基準厚み範囲内であると判定された場合に、前記析出工程の終了後に、前記昇華性物質の固体を昇華させる昇華工程とを含む、基板処理方法を提供する。
一つの実施形態では、前記基板処理方法は、前記液膜の厚みが前記厚み判定工程において前記基準厚み範囲内でないと判定された場合に、異常を報知する異常報知工程をさらに含む。
一つの実施形態では、前記基板処理方法は、前記析出工程において、前記液膜の厚みが前記厚み判定工程において前記基準厚み範囲内であると判定された場合に、前記基板の前記上面の複数箇所において前記昇華性物質の固体の表面の高さ位置を測定することによって、前記昇華性物質の固体の表面の平坦度合を測定する平坦度合測定工程と、前記平坦度合測定工程において測定された平坦度合が基準平坦範囲内であるか否かを判定する平坦判定工程とをさらに含む。そして、前記昇華工程が、前記平坦度合測定工程において測定された平坦度合が前記平坦判定工程において前記基準平坦範囲内であると判定された場合に、前記析出工程の終了後に、実行される。
一つの実施形態では、前記基板処理方法は、前記平坦度合測定工程において前記平坦度合が前記基準平坦範囲でないと判定された場合に、前記基板の前記上面に除去液を供給することによって、前記基板の前記上面から前記昇華性物質の固体を除去する固体除去工程をさらに含む。
図1Aは、本発明の一実施形態に係る基板処理装置を上から見た模式図である。 図1Bは、前記基板処理装置を側方から見た模式図である。 図2は、前記基板処理装置に備えられた処理ユニットの内部を水平に見た模式図である。 図3は、前記処理ユニットに備えられた膜厚測定ユニット、スピンチャック、遮断部材を水平に見た模式図である。 図4は、前記膜厚測定ユニットおよび前記スピンチャックを上から見た模式図である。 図5は、前記膜厚測定ユニットに備えられた発光素子を収容するハウジングの内部を示す断面図である。 図6は、図5に示すVI-VI線に沿う断面図である。 図7は、前記基板処理装置に備えられた乾燥前処理液供給装置を示す模式図である。 図8は、前記基板処理装置に備えられたコントローラのハードウェアを示すブロック図である。 図9は、前記基板処理装置による基板処理の一例を説明するための流れ図である。 図10Aは、樟脳およびIPAの溶液を用いたときの基板の状態を示す模式図である。 図10Bは、樟脳およびIPAの溶液を用いたときの基板の状態を示す模式図である。 図10Cは、樟脳およびIPAの溶液を用いたときの基板の状態を示す模式図である。 図10Dは、樟脳およびIPAの溶液を用いたときの基板の状態を示す模式図である。 図10Eは、樟脳およびIPAの溶液を用いたときの基板の状態を示す模式図である。 図10Fは、樟脳およびIPAの溶液を用いたときの基板の状態を示す模式図である。 図11は、樟脳およびIPAの平衡状態図である。 図12Aは、樟脳およびメタノールの溶液を用いたときの基板の状態を示す模式図である。 図12Bは、樟脳およびメタノールの溶液を用いたときの基板の状態を示す模式図である。 図12Cは、樟脳およびメタノールの溶液を用いたときの基板の状態を示す模式図である。 図12Dは、樟脳およびメタノールの溶液を用いたときの基板の状態を示す模式図である。 図13は、パターンの倒壊率を示すグラフである。 図14は、乾燥前処理液から昇華性物質の固体が析出するまでの基板の上面上の乾燥前処理液の液膜の厚みの時間的変化を示すグラフである。 図15は、膜厚監視工程の第1例の流れを示すフローチャートである。 図16は、前記膜厚監視工程の第1例における異常処理工程について説明するための模式図である。 図17は、前記膜厚監視工程の第2例の流れを示すフローチャートである。 図18は、前記膜厚監視工程の第2例における溶媒蒸発抑制工程について説明するための模式図である。 図19は、前記膜厚監視工程の第2例における溶媒蒸発促進工程について説明するための模式図である。 図20は、前記膜厚監視工程の第3例の流れを示すフローチャートである。 図21Aは、前記膜厚監視工程の第3例における薄膜化工程について説明するための模式図である。 図21Bは、前記膜厚監視工程の第3例における薄膜化工程について説明するための模式図である。 図22は、前記膜厚監視工程の第4例の流れを示すフローチャートである。 図23は、前記基板処理装置による基板処理の他の例を説明するための流れ図である。 図24は、前記膜厚監視工程の第5例の流れを示すフローチャートである。 図25Aは、前記基板処理における平坦度合測定工程を説明するための模式図である。 図25Bは、前記基板処理における固体除去工程を説明するための模式図である。 図25Cは、前記基板処理における固体除去工程を説明するための模式図である。
以下では、本発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
以下の説明において、基板処理装置1内の気圧は、特に断りがない限り、基板処理装置1が設置されるクリーンルーム内の気圧(たとえば1気圧またはその近傍の値)に維持されているものとする。
図1Aは、本発明の一実施形態に係る基板処理装置1を上から見た模式図である。図1Bは、基板処理装置1を側方から見た模式図である。
図1Aに示すように、基板処理装置1は、半導体ウエハ等の円板状の基板Wを1枚ずつ処理する枚葉式の装置である。基板処理装置1は、基板Wを収容するキャリアCAを保持するロードポートLPと、ロードポートLP上のキャリアCAから搬送された基板Wを処理液や処理ガス等の処理流体で処理する複数の処理ユニット2と、ロードポートLP上のキャリアCAと処理ユニット2との間で基板Wを搬送する搬送ロボットと、基板処理装置1を制御するコントローラ3とを備えている。
搬送ロボットは、ロードポートLP上のキャリアCAに対して基板Wの搬入および搬出を行うインデクサロボットIRと、複数の処理ユニット2に対して基板Wの搬入および搬出を行うセンターロボットCRとを含む。インデクサロボットIRは、ロードポートLPとセンターロボットCRとの間で基板Wを搬送し、センターロボットCRは、インデクサロボットIRと処理ユニット2との間で基板Wを搬送する。センターロボットCRは、基板Wを支持するハンドH1を含み、インデクサロボットIRは、基板Wを支持するハンドH2を含む。
複数の処理ユニット2は、平面視でセンターロボットCRのまわりに配置された複数のタワーTWを形成している。図1Aは、4つのタワーTWが形成されている例を示している。センターロボットCRは、いずれのタワーTWにもアクセス可能である。図1Bに示すように、各タワーTWは、上下に積層された複数(たとえば3つ)の処理ユニット2を含む。
図2は、基板処理装置1に備えられた処理ユニット2の内部を水平に見た模式図である。
処理ユニット2は、基板Wに処理液を供給するウェット処理ユニット2wである。処理ユニット2は、内部空間を有する箱型のチャンバー4と、チャンバー4内で1枚の基板Wを水平に保持しながら基板Wの上面の中央部を通る鉛直な回転軸線A1まわりに回転させるスピンチャック10と、回転軸線A1まわりにスピンチャック10を取り囲む筒状の処理カップ21とを含む。
チャンバー4は、基板Wが通過する搬入搬出口5bが設けられた箱型の隔壁5と、搬入搬出口5bを開閉するシャッター7とを含む。FFU6(ファン・フィルター・ユニット)は、隔壁5の上部に設けられた送風口5aの上に配置されている。FFU6は、クリーンエアー(フィルターによってろ過された空気)を送風口5aからチャンバー4内に常時供給する。チャンバー4内の気体は、処理カップ21の底部に接続された排気ダクト8を通じてチャンバー4から排出される。これにより、クリーンエアーのダウンフローがチャンバー4内に常時形成される。排気ダクト8に排出される排気の流量は、排気ダクト8内に配置された排気バルブ9の開度に応じて変更される。
スピンチャック10は、水平な姿勢で保持された円板状のスピンベース12と、スピンベース12の上方で基板Wを水平な姿勢で保持する複数のチャックピン11と、スピンベース12の中央部から下方に延びるスピン軸13と、スピン軸13を回転させることによりスピンベース12および複数のチャックピン11を回転させるスピンモータ14とを含む。スピンチャック10は、複数のチャックピン11を基板Wの外周面に接触させる挟持式のチャックに限らず、非デバイス形成面である基板Wの裏面(下面)をスピンベース12の上面12uに吸着させることにより基板Wを水平に保持するバキューム式のチャックであってもよい。
処理カップ21は、基板Wから外方に排出された処理液を受け止める複数のガード24と、複数のガード24によって下方に案内された処理液を受け止める複数のカップ23と、複数のガード24および複数のカップ23を取り囲む円筒状の外壁部材22とを含む。図2は、4つのガード24と3つのカップ23とが設けられており、最も外側のカップ23が上から3番目のガード24と一体である例を示している。
ガード24は、スピンチャック10を取り囲む円筒部25と、円筒部25の上端部から回転軸線A1に向かって斜め上に延びる円環状の天井部26とを含む。複数の天井部26は、上下に重なっており、複数の円筒部25は、同心円状に配置されている。天井部26の円環状の上端は、平面視で基板Wおよびスピンベース12を取り囲むガード24の上端24uに相当する。複数のカップ23は、それぞれ、複数の円筒部25の下方に配置されている。カップ23は、ガード24によって下方に案内された処理液を受け止める環状の受液溝を形成している。
処理ユニット2は、複数のガード24を個別に昇降させるガード昇降ユニット27を含む。ガード昇降ユニット27は、上位置から下位置までの任意の位置にガード24を位置させる。ガード昇降ユニット27は、ガードリフタともいう。図2は、2つのガード24が上位置に配置されており、残り2つのガード24が下位置に配置されている状態を示している。上位置は、ガード24の上端24uがスピンチャック10に保持されている基板Wが配置される保持位置よりも上方に配置される位置である。下位置は、ガード24の上端24uが保持位置よりも下方に配置される位置である。
回転している基板Wに処理液を供給するときは、少なくとも一つのガード24が上位置に配置される。この状態で、処理液が基板Wに供給されると、基板Wに供給された処理液が基板Wの周囲に振り切られる。振り切られた処理液は、基板Wに水平に対向するガード24の内面に衝突し、このガード24に対応するカップ23に案内される。これにより、基板Wから排出された処理液が処理カップ21に集められる。
処理ユニット2は、スピンチャック10に保持されている基板Wに向けて処理液を吐出する複数のノズルを含む。複数のノズルは、基板Wの上面に向けて薬液を吐出する薬液ノズル31と、基板Wの上面に向けてリンス液を吐出するリンス液ノズル35と、基板Wの上面に向けて乾燥前処理液を吐出する乾燥前処理液ノズル39と、基板Wの上面に向けて置換液を吐出する置換液ノズル43とを含む。
薬液ノズル31は、チャンバー4内で水平に移動可能なスキャンノズルであってもよいし、チャンバー4の隔壁5に対して固定された固定ノズルであってもよい。リンス液ノズル35、乾燥前処理液ノズル39、および置換液ノズル43についても同様である。図2は、薬液ノズル31、リンス液ノズル35、乾燥前処理液ノズル39、および置換液ノズル43が、スキャンノズルであり、これら4つのノズルにそれぞれ対応する4つのノズル移動ユニットが設けられている例を示している。
薬液ノズル31は、薬液ノズル31に薬液を案内する薬液配管32に接続されている。薬液配管32に介装された薬液バルブ33が開かれると、薬液が、薬液ノズル31の吐出口から下方に連続的に吐出される。薬液ノズル31から吐出される薬液は、硫酸、硝酸、塩酸、フッ酸、リン酸、酢酸、アンモニア水、過酸化水素水、有機酸(たとえばクエン酸、蓚酸等)、有機アルカリ(たとえば、TMAH:テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド等)、界面活性剤、および腐食防止剤の少なくとも1つを含む液であってもよいし、これ以外の液体であってもよい。
図示はしないが、薬液バルブ33は、薬液が通過する環状の弁座が設けられたバルブボディと、弁座に対して移動可能な弁体と、弁体が弁座に接触する閉位置と弁体が弁座から離れた開位置との間で弁体を移動させるアクチュエータとを含む。他のバルブについても同様である。アクチュエータは、空圧アクチュエータまたは電動アクチュエータであってもよいし、これら以外のアクチュエータであってもよい。コントローラ3は、アクチュエータを制御することにより、薬液バルブ33を開閉させる。
薬液ノズル31は、鉛直方向および水平方向の少なくとも一方に薬液ノズル31を移動させるノズル移動ユニット34に接続されている。ノズル移動ユニット34は、薬液ノズル31から吐出された薬液が基板Wの上面に供給される処理位置と、薬液ノズル31が平面視で処理カップ21のまわりに位置する待機位置との間で薬液ノズル31を水平に移動させる。
リンス液ノズル35は、リンス液ノズル35にリンス液を案内するリンス液配管36に接続されている。リンス液配管36に介装されたリンス液バルブ37が開かれると、リンス液が、リンス液ノズル35の吐出口から下方に連続的に吐出される。リンス液ノズル35から吐出されるリンス液は、たとえば、純水(脱イオン水:DIW(Deionized Water))である。リンス液は、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水、および希釈濃度(たとえば、10ppm~100ppm程度)の塩酸水のいずれかであってもよい。
リンス液ノズル35は、鉛直方向および水平方向の少なくとも一方にリンス液ノズル35を移動させるノズル移動ユニット38に接続されている。ノズル移動ユニット38は、リンス液ノズル35から吐出されたリンス液が基板Wの上面に供給される処理位置と、リンス液ノズル35が平面視で処理カップ21のまわりに位置する待機位置との間でリンス液ノズル35を水平に移動させる。
乾燥前処理液ノズル39は、乾燥前処理液ノズル39に処理液を案内する乾燥前処理液配管40に接続されている。乾燥前処理液配管40に介装された乾燥前処理液バルブ41が開かれると、乾燥前処理液が、乾燥前処理液ノズル39の吐出口から下方に連続的に吐出される。同様に、置換液ノズル43は、置換液ノズル43に置換液を案内する置換液配管44に接続されている。置換液配管44に介装された置換液バルブ45が開かれると、置換液が、置換液ノズル43の吐出口から下方に連続的に吐出される。
乾燥前処理液は、溶質としての昇華性物質と、昇華性物質を溶解する溶媒とを含む溶液である。昇華性物質は、常温(室温と同義)または常圧(基板処理装置1内の圧力。たとえば、1気圧またはその近傍の値)で液体を経ずに固体から気体に変化する物質であってもよい。
乾燥前処理液の凝固点(1気圧での凝固点。以下同様。)は、室温(たとえば、23℃またはその近傍の値)よりも低い。基板処理装置1は、室温に維持されたクリーンルーム内に配置されている。したがって、乾燥前処理液を加熱しなくても、乾燥前処理液を液体に維持できる。昇華性物質の凝固点は、乾燥前処理液の凝固点よりも高い。昇華性物質の凝固点は、室温よりも高い。室温では、昇華性物質は固体である。昇華性物質の凝固点は、溶媒の沸点より高くてもよい。溶媒の蒸気圧は、昇華性物質の蒸気圧よりも高い。
昇華性物質は、たとえば、2-メチル-2-プロパノール(別名:tert-ブチルアルコール、t-ブチルアルコール)やシクロヘキサノールなどのアルコール類、フッ化炭化水素化合物、1,3,5-トリオキサン(別名:メタホルムアルデヒド)、樟脳(別名:カンフル、カンファー)、ナフタレン、およびヨウ素のいずれかであってもよいし、これら以外の物質であってもよい。
溶媒は、たとえば、純水、IPA、メタノール、HFE(ハイドロフルオロエーテル)、アセトン、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、PGEE(プロピレングリコールモノエチルエーテル、1-エトキシ-2-プロパノール)、およびエチレングリコールからなる群より選ばれた少なくとも1種であってもよい。
以下では、昇華性物質が樟脳であり、溶媒がIPAまたはメタノールである例について説明する。
樟脳の凝固点は、175℃~177℃である。溶媒がIPAおよびメタノールのいずれであっても、樟脳の凝固点は、溶媒の沸点よりも高い。IPAの蒸気圧は、樟脳の蒸気圧よりも高い。同様に、メタノールの蒸気圧は、樟脳の蒸気圧よりも高い。したがって、IPAおよびメタノールは、樟脳よりも蒸発し易い。IPAは、水よりも蒸気圧が高く、水よりも表面張力が低い。同様に、メタノールは、水よりも蒸気圧が高く、水よりも表面張力が低い。IPAおよびメタノールは、いずれも、水よりも分子量が大きい。メタノールは、IPAよりも分子量が小さい。
後述するように、置換液は、リンス液の液膜で覆われた基板Wの上面に供給され、乾燥前処理液は、置換液の液膜で覆われた基板Wの上面に供給される。リンス液および乾燥前処理液の両方と溶け合うのであれば、置換液は、どのような液体であってもよい。置換液は、たとえば、IPA(液体)である。置換液は、IPAおよびHFEの混合液であってもよいし、これら以外であってもよい。置換液は、溶媒等の乾燥前処理液の成分と同一名称の液体であってもよいし、乾燥前処理液のいずれの成分とも異なる名称の液体であってもよい。
リンス液の液膜で覆われた基板Wの上面に置換液が供給されると、基板W上の殆どのリンス液は、置換液によって押し流され、基板Wから排出される。残りの微量のリンス液は、置換液に溶け込み、置換液中に拡散する。拡散したリンス液は、置換液と共に基板Wから排出される。したがって、基板W上のリンス液を効率的に置換液に置換できる。同様の理由により、基板W上の置換液を効率的に乾燥前処理液に置換できる。これにより、基板W上の乾燥前処理液に含まれるリンス液を減らすことができる。
乾燥前処理液ノズル39は、鉛直方向および水平方向の少なくとも一方に乾燥前処理液ノズル39を移動させるノズル移動ユニット42に接続されている。ノズル移動ユニット42は、乾燥前処理液ノズル39から吐出された乾燥前処理液が基板Wの上面に供給される処理位置と、乾燥前処理液ノズル39が平面視で処理カップ21のまわりに位置する待機位置との間で乾燥前処理液ノズル39を水平に移動させる。
同様に、置換液ノズル43は、鉛直方向および水平方向の少なくとも一方に置換液ノズル43を移動させるノズル移動ユニット46に接続されている。ノズル移動ユニット46は、置換液ノズル43から吐出された置換液が基板Wの上面に供給される処理位置と、置換液ノズル43が平面視で処理カップ21のまわりに位置する待機位置との間で置換液ノズル43を水平に移動させる。
処理ユニット2は、スピンチャック10の上方に配置された遮断部材51を含む。図2は、遮断部材51が円板状の遮断板である例を示している。遮断部材51は、スピンチャック10の上方に水平に配置された円板部52を含む。遮断部材51は、円板部52の中央部から上方に延びる筒状の支軸53によって水平に支持されている。円板部52の中心線は、基板Wの回転軸線A1上に配置されている。円板部52の下面は、遮断部材51の下面51Lに相当する。遮断部材51の下面51Lは、基板Wの上面に対向する対向面である。遮断部材51の下面51Lは、基板Wの上面と平行であり、基板Wの直径以上の外径を有している。
遮断部材51は、遮断部材51を鉛直に昇降させる遮断部材昇降ユニット54に接続されている。遮断部材昇降ユニット54は、遮断部材リフタともいう。遮断部材昇降ユニット54は、上位置(図2に示す位置)から下位置までの任意の位置に遮断部材51を位置させる。下位置は、薬液ノズル31等のスキャンノズルが基板Wと遮断部材51との間に進入できない高さまで遮断部材51の下面51Lが基板Wの上面に近接する近接位置である。上位置は、スキャンノズルが遮断部材51と基板Wとの間に進入可能な高さまで遮断部材51が退避した離間位置である。
複数のノズルは、遮断部材51の下面51Lの中央部で開口する上中央開口61を介して処理液や処理ガス等の処理流体を下方に吐出する中心ノズル55を含む。中心ノズル55は、回転軸線A1に沿って上下に延びている。中心ノズル55は、遮断部材51の中央部を上下に貫通する貫通穴内に配置されている。遮断部材51の内周面は、径方向(回転軸線A1に直交する方向)に間隔を空けて中心ノズル55の外周面を取り囲んでいる。中心ノズル55は、遮断部材51と共に昇降する。処理流体を吐出する中心ノズル55の吐出口は、遮断部材51の上中央開口61の上方に配置されている。
中心ノズル55は、中心ノズル55に不活性ガスを案内する上気体配管56に接続されている。基板処理装置1は、中心ノズル55から吐出される不活性ガスを加熱または冷却する上温度調節器59を備えていてもよい。上気体配管56に介装された上気体バルブ57が開かれると、不活性ガスの流量を変更する流量調整バルブ58の開度に対応する流量で、不活性ガスが、中心ノズル55の吐出口から下方に連続的に吐出される。中心ノズル55から吐出される不活性ガスは、窒素ガスである。中心ノズル55から吐出される不活性ガスは、ヘリウムガスやアルゴンガス等の窒素ガス以外のガスであってもよい。
遮断部材51の内周面と中心ノズル55の外周面は、上下に延びる筒状の上気体流路62を形成している。上気体流路62は、不活性ガスを遮断部材51の上中央開口61に導く上気体配管63に接続されている。基板処理装置1は、遮断部材51の上中央開口61から吐出される不活性ガスを加熱または冷却する上温度調節器66を備えていてもよい。上気体配管63に介装された上気体バルブ64が開かれると、不活性ガスの流量を変更する流量調整バルブ65の開度に対応する流量で、不活性ガスが、遮断部材51の上中央開口61から下方に連続的に吐出される。遮断部材51の上中央開口61から吐出される不活性ガスは、窒素ガスである。遮断部材51の上中央開口61から吐出される不活性ガスは、ヘリウムガスやアルゴンガス等の窒素ガス以外のガスであってもよい。
複数のノズルは、基板Wの下面中央部に向けて処理液を吐出する下面ノズル71を含む。下面ノズル71は、スピンベース12の上面12uと基板Wの下面との間に配置されたノズル円板部と、ノズル円板部から下方に延びるノズル筒状部とを含む。下面ノズル71の吐出口は、ノズル円板部の上面中央部で開口している。基板Wがスピンチャック10に保持されているときは、下面ノズル71の吐出口が、基板Wの下面中央部に上下に対向する。
下面ノズル71は、加熱流体の一例である温水(室温よりも高温の純水)を下面ノズル71に案内する加熱流体配管72に接続されている。下面ノズル71に供給される純水は、加熱流体配管72に介装されたヒータ75によって加熱される。加熱流体配管72に介装された加熱流体バルブ73が開かれると、温水の流量を変更する流量調整バルブ74の開度に対応する流量で、温水が、下面ノズル71の吐出口から上方に連続的に吐出される。これにより、温水が基板Wの下面に供給される。
下面ノズル71は、さらに、冷却流体の一例である冷水(室温よりも低温の純水)を下面ノズル71に案内する冷却流体配管76に接続されている。下面ノズル71に供給される純水は、冷却流体配管76に介装されたクーラー79によって冷却される。冷却流体配管76に介装された冷却流体バルブ77が開かれると、冷水の流量を変更する流量調整バルブ78の開度に対応する流量で、冷水が、下面ノズル71の吐出口から上方に連続的に吐出される。これにより、冷水が基板Wの下面に供給される。
下面ノズル71の外周面とスピンベース12の内周面は、上下に延びる筒状の下気体流路82を形成している。下気体流路82は、スピンベース12の上面12uの中央部で開口する下中央開口81を含む。下気体流路82は、不活性ガスをスピンベース12の下中央開口81に導く下気体配管83に接続されている。基板処理装置1は、スピンベース12の下中央開口81から吐出される不活性ガスを加熱または冷却する下温度調節器86を備えていてもよい。下気体配管83に介装された下気体バルブ84が開かれると、不活性ガスの流量を変更する流量調整バルブ85の開度に対応する流量で、不活性ガスが、スピンベース12の下中央開口81から上方に連続的に吐出される。
スピンベース12の下中央開口81から吐出される不活性ガスは、窒素ガスである。スピンベース12の下中央開口81から吐出される不活性ガスは、ヘリウムガスやアルゴンガス等の窒素ガス以外のガスであってもよい。基板Wがスピンチャック10に保持されているときに、スピンベース12の下中央開口81が窒素ガスを吐出すると、窒素ガスは、基板Wの下面とスピンベース12の上面12uとの間をあらゆる方向に放射状に流れる。これにより、基板Wとスピンベース12との間の空間が窒素ガスで満たされる。
次に、膜厚測定ユニット91について説明する。
図3は、膜厚測定ユニット91、スピンチャック10および遮断部材51を水平に見た模式図である。図4は、膜厚測定ユニット91およびスピンチャック10を上から見た模式図である。図5は、発光素子92を収容するハウジング93の内部を示す断面図である。図6は、図5に示すVI-VI線に沿う断面を示す断面図である。
図3および図4に示すように、基板処理装置1は、基板Wの上面にある液膜の厚み(膜厚)を測定する膜厚測定ユニット91を備えている。膜厚測定ユニット91は、たとえば分光干渉法により膜厚を測定する。膜厚測定ユニット91は、スピンチャック10に保持されている基板Wの上面に向けて光を発する発光素子92と、基板Wの上面で反射した発光素子92の光を受ける受光素子97とを含む。発光素子92および受光素子97は、平面視でスピンチャック10および遮断部材51に重ならない位置に配置されている。
発光素子92は、ハウジング93内に配置されている。受光素子97は、ハウジング98内に配置されている。発光素子92の光は、透明な板94で塞がれたハウジング93の開口部からハウジング93の外に放出される。基板Wの上面で反射した発光素子92の光は、透明な板99で塞がれたハウジング98の開口部を通過し、ハウジング98内の受光素子97に入射する。図3および図4中の黒い点Piは、発光素子92の光が基板Wの上面に入射する入射位置を示している。基板W上の液膜の厚みは、受光素子97に入射した光に基づいて算出される。
図5および図6に示すように、膜厚測定ユニット91は、ハウジング93内で発光素子92を保持するホルダー95と、ハウジング93に対してホルダー95を移動させる電動モータ96とを含む。ホルダー95および電動モータ96は、ハウジング93内に収容されている。電動モータ96のローターおよびステータは、モータハウジング96aに収容されており、電動モータ96の回転軸96bは、モータハウジング96aの端面から電動モータ96の軸方向に突出している。回転軸96bは、ホルダー95に連結されており、モータハウジング96aは、ハウジング93に連結されている。
電動モータ96の回転角は、コントローラ3によって制御される。電動モータ96が回転軸96bを回転させると、ホルダー95は、発光素子92と共に、ハウジング93に対して水平な回動軸線A2まわりに回動する。図5中の白色の矢印は、発光素子92が回動軸線A2まわりに回動することを表している。これにより、発光素子92の光が基板Wの上面に入射する入射位置が基板Wの上面内で移動すると共に、基板Wの上面に対する発光素子92の光の入射角が変化する。したがって、電動モータ96を回転させれば、基板Wの上面内の複数の位置に発光素子92の光を入射させることができ、基板Wの上面内の複数の位置で膜厚を測定することができる。
入射位置および入射角が変化すると、基板Wの上面で反射した発光素子92の光を表す反射光が通る経路も変化する。受光素子97は、反射光の経路が変化しても反射光を受けられるように移動可能であってもよい。たとえば、発光素子92と同様に、ハウジング98に対して受光素子97を移動させる電動モータが設けられていてもよい。もしくは、1つの発光素子92に対応する複数の受光素子97が設けられていてもよい。これらの場合、入射位置および入射角が変化しても、反射光が受光素子97に受けられ、基板W上の液膜の厚みが測定される。
基板W上の液膜の厚みを測定するとき、コントローラ3は、スピンチャック10に基板Wを回転させながら、回転軸線A1からの水平方向の距離が一定の位置に入射位置を位置させてもよいし、入射位置を基板Wの径方向(回転軸線A1に直交する水平方向)に移動させてもよい。後者の場合は、複数の測定値の平均を膜厚として扱ってもよい。
次に、乾燥前処理液供給装置101について説明する。図7は、基板処理装置1に備えられた乾燥前処理液供給装置101を示す模式図である。
基板処理装置1は、乾燥前処理液配管40を介して乾燥前処理液ノズル39に乾燥前処理液を供給する乾燥前処理液供給装置101を備えている。乾燥前処理液供給装置101は、乾燥前処理液の原液を貯留する原液タンクに相当する第1タンク102Aと、乾燥前処理液の溶媒を貯留する溶媒タンクに相当する第2タンク102Bとを含む。
乾燥前処理液の原液は、昇華性物質と溶媒とを含む。乾燥前処理液の原液は、基板Wに供給される乾燥前処理液よりも昇華性物質の濃度が高い。乾燥前処理液の原液は、第2タンク102Bから供給される溶媒で希釈された後、基板Wに供給される。昇華性物質が室温で液体である場合、乾燥前処理液の原液は、溶媒を含んでいなくてもよい。
乾燥前処理液供給装置101は、第1タンク102A内の原液を循環させる第1循環配管103Aと、第1タンク102A内の原液を第1循環配管103Aに送る第1ポンプ104Aと、第1循環配管103A内の原液を乾燥前処理液配管40に案内する第1個別配管105Aとを含む。乾燥前処理液供給装置101は、第1個別配管105Aの内部を開閉する第1開閉バルブ106Aと、第1個別配管105Aから乾燥前処理液配管40に供給される乾燥前処理液の流量を変更する第1流量調整バルブ107Aとをさらに含む。
同様に、乾燥前処理液供給装置101は、第2タンク102B内の溶媒を循環させる第2循環配管103Bと、第2タンク102B内の溶媒を第2循環配管103Bに送る第2ポンプ104Bと、第2循環配管103B内の溶媒を乾燥前処理液配管40に案内する第2個別配管105Bとを含む。乾燥前処理液供給装置101は、第2個別配管105Bの内部を開閉する第2開閉バルブ106Bと、第2個別配管105Bから乾燥前処理液配管40に供給される乾燥前処理液の流量を変更する第2流量調整バルブ107Bとをさらに含む。
第1個別配管105Aおよび第2個別配管105Bは、乾燥前処理液の原液と溶媒とを混合することにより乾燥前処理液を生成するミキシングバルブ108を介して乾燥前処理液配管40に接続されている。乾燥前処理液配管40には、乾燥前処理液バルブ41だけでなく、インラインミキサー109が介装されている。インラインミキサー109は、ミキシングバルブ108によって生成された乾燥前処理液をさらに混合する。これにより、昇華性物質と溶媒とが均一に混ざり合った乾燥前処理液が、乾燥前処理液ノズル39に供給される。
第1タンク102Aから供給された乾燥前処理液の原液は、第1流量調整バルブ107Aの開度に対応する流量でミキシングバルブ108に供給される。第2タンク102Bから供給された溶媒は、第2流量調整バルブ107Bの開度に対応する流量でミキシングバルブ108に供給される。したがって、第1流量調整バルブ107Aおよび第2流量調整バルブ107Bの開度を変更することで、乾燥前処理液ノズル39に供給される乾燥前処理液における昇華性物質の濃度を変更できる。
乾燥前処理液供給装置101は、乾燥前処理液ノズル39に供給される乾燥前処理液の濃度を測定する濃度計110を備えている。乾燥前処理液供給装置101は、乾燥前処理液配管40から分岐した測定配管111を備えている。濃度計110は、測定配管111に介装されている。図7は、測定配管111が、インラインミキサー109の下流の位置で乾燥前処理液配管40に接続されている例を示している。したがって、この例では、ミキシングバルブ108およびインラインミキサー109の両方を通過した乾燥前処理液の濃度が濃度計110によって測定される。濃度計110は、測定配管111ではなく、乾燥前処理液バルブ41とインラインミキサー109との間で乾燥前処理液配管40に介装されていてもよい。
図8は、コントローラ3のハードウェアを示すブロック図である。
コントローラ3は、コンピュータ本体3aと、コンピュータ本体3aに接続された周辺装置3dとを含む、コンピュータである。コンピュータ本体3aは、各種の命令を実行するCPU3b(central processing unit:中央処理装置)と、情報を記憶する主記憶装置3cとを含む。周辺装置3dは、プログラムP等の情報を記憶する補助記憶装置3eと、リムーバブルメディアRMから情報を読み取る読取装置3fと、ホストコンピュータ等の他の装置と通信する通信装置3gとを含む。
コントローラ3は、入力装置100A、表示装置100B、および警報装置100Cに接続されている。入力装置100Aは、ユーザーやメンテナンス担当者などの操作者が基板処理装置1に情報を入力するときに操作される。情報は、表示装置100Bの画面に表示される。入力装置100Aは、キーボード、ポインティングデバイス、およびタッチパネルのいずれかであってもよいし、これら以外の装置であってもよい。入力装置100Aおよび表示装置100Bを兼ねるタッチパネルディスプレイが基板処理装置1に設けられていてもよい。警報装置100Cは、光、音、文字、および図形のうちの1つ以上を用いて警報を発する。入力装置100Aがタッチパネルディスプレイの場合、入力装置100Aが、警報装置100Cを兼ねていてもよい。
CPU3bは、補助記憶装置3eに記憶されたプログラムPを実行する。補助記憶装置3e内のプログラムPは、コントローラ3に予めインストールされたものであってもよいし、読取装置3fを通じてリムーバブルメディアRMから補助記憶装置3eに送られたものであってもよいし、ホストコンピュータなどの外部装置から通信装置3gを通じて補助記憶装置3eに送られたものであってもよい。
補助記憶装置3eおよびリムーバブルメディアRMは、電力が供給されていなくても記憶を保持する不揮発性メモリーである。補助記憶装置3eは、たとえば、ハードディスクドライブ等の磁気記憶装置である。リムーバブルメディアRMは、たとえば、コンパクトディスクなどの光ディスクまたはメモリーカードなどの半導体メモリーである。リムーバブルメディアRMは、プログラムPが記録されたコンピュータ読取可能な記録媒体の一例である。リムーバブルメディアRMは、一時的ではない有形の記録媒体である。
補助記憶装置3eは、複数のレシピを記憶している。レシピは、基板Wの処理内容、処理条件、および処理手順を規定する情報である。複数のレシピは、基板Wの処理内容、処理条件、および処理手順の少なくとも一つにおいて互いに異なる。コントローラ3は、ホストコンピュータによって指定されたレシピにしたがって基板Wが処理されるように基板処理装置1を制御する。以下の各工程は、コントローラ3が基板処理装置1を制御することにより実行される。言い換えると、コントローラ3は、以下の各工程を実行するようにプログラムされている。
次に、基板処理の一例について説明する。
処理される基板Wは、たとえば、シリコンウエハなどの半導体ウエハである。基板Wの表面は、トランジスタやキャパシタ等のデバイスが形成されるデバイス形成面に相当する。基板Wは、デバイス形成面である基板Wの表面にパターンPA(図10A参照)が形成された基板Wであってもよいし、基板Wの表面にパターンPAが形成されていない基板Wであってもよい。後者の場合、後述する薬液供給工程でパターンPAが形成されてもよい。
最初に、乾燥前処理液が樟脳およびIPAの溶液であるときの基板処理の一例(第1基板処理例)について説明する。
図9は、基板処理装置1によって行われる基板処理について説明するための工程図である。図10A~図10Fは、樟脳およびIPAの溶液を用いたときの基板Wの状態を示す模式図である。図11は、樟脳およびIPAの平衡状態図である。図11中のRTは、室温を意味している。以下では、図2および図9を参照する。図10A~図10Fおよび図11については適宜参照する。
基板処理装置1によって基板Wを処理するときは、チャンバー4内に基板Wを搬入する搬入工程(図9のステップS1)が行われる。
具体的には、遮断部材51が上位置に位置しており、全てのガード24が下位置に位置しており、全てのスキャンノズルが待機位置に位置している状態で、センターロボットCR(図1参照)が、基板WをハンドH1で支持しながら、ハンドH1をチャンバー4内に進入させる。そして、センターロボットCRは、基板Wの表面が上に向けられた状態でハンドH1上の基板Wを複数のチャックピン11の上に置く。その後、複数のチャックピン11が基板Wの外周面に押し付けられ、基板Wが把持される。これにより、スピンチャック10によって基板Wが保持される(基板保持工程)。基板保持工程は、後述する昇華工程(図9のステップS10)が終了するまで継続される。センターロボットCRは、基板Wをスピンチャック10の上に置いた後、ハンドH1をチャンバー4の内部から退避させる。
次に、上気体バルブ64および下気体バルブ84が開かれ、遮断部材51の上中央開口61およびスピンベース12の下中央開口81が窒素ガスの吐出を開始する。これにより、基板Wと遮断部材51との間の空間が窒素ガスで満たされる。同様に、基板Wとスピンベース12との間の空間とが窒素ガスで満たされる。その一方で、ガード昇降ユニット27が少なくとも一つのガード24を下位置から上位置に上昇させる。その後、スピンモータ14が駆動され、所定の液体供給速度での基板Wの回転が開始される(基板回転工程)。基板回転工程は、後述する昇華工程(図9のステップS10)が終了するまで継続される。
次に、薬液を基板Wの上面に供給し、基板Wの上面全域を覆う薬液の液膜を形成する薬液供給工程(図9のステップS2)が行われる。
具体的には、遮断部材51が上位置に位置しており、少なくとも一つのガード24が上位置に位置している状態で、ノズル移動ユニット34が薬液ノズル31を待機位置から処理位置に移動させる。その後、薬液バルブ33が開かれ、薬液ノズル31が薬液の吐出を開始する(薬液供給工程、薬液吐出工程)。薬液バルブ33が開かれてから所定時間が経過すると、薬液バルブ33が閉じられ、薬液の吐出が停止される。その後、ノズル移動ユニット34が、薬液ノズル31を待機位置に移動させる。
薬液ノズル31から吐出された薬液は、所定の薬液体供給速度で回転している基板Wの上面に衝突した後、遠心力によって基板Wの上面に沿って外方に流れる。そのため、薬液が基板Wの上面全域に供給され、基板Wの上面全域を覆う薬液の液膜が形成される。薬液ノズル31が薬液を吐出しているとき、ノズル移動ユニット34は、基板Wの上面に対する薬液の着液位置が中央部と外周部とを通るように着液位置を移動させてもよいし、中央部で着液位置を静止させてもよい。
次に、リンス液の一例である純水を基板Wの上面に供給して、基板W上の薬液を洗い流すリンス工程(図9のステップS3)が行われる。
具体的には、遮断部材51が上位置に位置しており、少なくとも一つのガード24が上位置に位置している状態で、ノズル移動ユニット38がリンス液ノズル35を待機位置から処理位置に移動させる。その後、リンス液バルブ37が開かれ、リンス液ノズル35がリンス液の吐出を開始する(リンス液供給工程、リンス液吐出工程)。純水の吐出が開始される前に、ガード昇降ユニット27は、基板Wから排出された液体を受け止めるガード24を切り替えるために、少なくとも一つのガード24を鉛直に移動させてもよい。リンス液バルブ37が開かれてから所定時間が経過すると、リンス液バルブ37が閉じられ、リンス液の吐出が停止される。その後、ノズル移動ユニット38が、リンス液ノズル35を待機位置に移動させる。
リンス液ノズル35から吐出された純水は、所定のリンス液供給速度で回転している基板Wの上面に衝突した後、遠心力によって基板Wの上面に沿って外方に流れる。基板W上の薬液は、リンス液ノズル35から吐出された純水に置換される。これにより、基板Wの上面全域を覆う純水の液膜が形成される。リンス液ノズル35が純水を吐出しているとき、ノズル移動ユニット38は、基板Wの上面に対する純水の着液位置が中央部と外周部とを通るように着液位置を移動させてもよいし、中央部で着液位置を静止させてもよい。
次に、リンス液および乾燥前処理液の両方と溶け合う置換液を基板Wの上面に供給し、基板W上の純水を置換液に置換する置換処理工程(図9のステップS4)が行われる。
具体的には、遮断部材51が上位置に位置しており、少なくとも一つのガード24が上位置に位置している状態で、ノズル移動ユニット46が置換液ノズル43を待機位置から処理位置に移動させる。その後、置換液バルブ45が開かれ、置換液ノズル43が置換液の吐出を開始する(置換液供給工程、置換液吐出工程)。置換液の吐出が開始される前に、ガード昇降ユニット27は、基板Wから排出された液体を受け止めるガード24を切り替えるために、少なくとも一つのガード24を鉛直に移動させてもよい。置換液バルブ45が開かれてから所定時間が経過すると、置換液バルブ45が閉じられ、置換液の吐出が停止される。その後、ノズル移動ユニット46が、置換液ノズル43を待機位置に移動させる。
置換液ノズル43から吐出された置換液は、所定の置換液供給速度で回転している基板Wの上面に衝突した後、遠心力によって基板Wの上面に沿って外方に流れる。基板W上の純水は、置換液ノズル43から吐出された置換液に置換される。これにより、基板Wの上面全域を覆う置換液の液膜が形成される。置換液ノズル43が置換液を吐出しているとき、ノズル移動ユニット46は、基板Wの上面に対する置換液の着液位置が中央部と外周部とを通るように着液位置を移動させてもよいし、中央部で着液位置を静止させてもよい。また、基板Wの上面全域を覆う置換液の液膜が形成された後、置換液ノズル43に置換液の吐出を停止させながら、基板Wをパドル速度(たとえば、0を超える20rpm以下の速度)で回転させてもよい。
次に、乾燥前処理液を基板Wの上面に供給して、乾燥前処理液の液膜を基板W上に形成する乾燥前処理液供給工程(図9のステップS5)が行われる。
具体的には、遮断部材51が上位置に位置しており、少なくとも一つのガード24が上位置に位置している状態で、ノズル移動ユニット42が乾燥前処理液ノズル39を待機位置から処理位置に移動させる。その後、乾燥前処理液バルブ41が開かれ、乾燥前処理液ノズル39が乾燥前処理液の吐出を開始する(乾燥前処理液供給工程、乾燥前処理液吐出工程)。乾燥前処理液の吐出が開始される前に、ガード昇降ユニット27は、基板Wから排出された液体を受け止めるガード24を切り替えるために、少なくとも一つのガード24を鉛直に移動させてもよい。乾燥前処理液バルブ41が開かれてから所定時間が経過すると、乾燥前処理液バルブ41が閉じられ、乾燥前処理液の吐出が停止される。その後、ノズル移動ユニット42が、乾燥前処理液ノズル39を待機位置に移動させる。
乾燥前処理液ノズル39から吐出された乾燥前処理液は、所定の乾燥前処理液供給速度で回転している基板Wの上面に衝突した後、遠心力によって基板Wの上面に沿って外方に流れる。乾燥前処理液供給速度は、たとえば、500rpmである。基板W上の置換液は、乾燥前処理液ノズル39から吐出された乾燥前処理液に置換される。これにより、基板Wの上面全域を覆う乾燥前処理液の液膜(乾燥前処理液膜120)が形成される(乾燥前処理液膜形成工程)。このように、乾燥前処理液ノズル39は、基板Wの上面に乾燥前処理液膜120が形成されるように基板Wの上面に乾燥前処理液を供給する乾燥前処理液供給ユニットの一例である。
乾燥前処理液ノズル39が乾燥前処理液を吐出しているとき、ノズル移動ユニット42は、基板Wの上面に対する乾燥前処理液の着液位置が中央部と外周部とを通るように着液位置を移動させてもよいし、中央部で着液位置を静止させてもよい。
次に、基板Wの上面全域が乾燥前処理液の液膜で覆われた状態を維持しながら、基板W上の乾燥前処理液膜120の厚み(膜厚)を減少させる膜厚減少工程(図9のステップS6)が行われる。
具体的には、遮断部材昇降ユニット54が遮断部材51を上位置から下位置に移動させる。そして、遮断部材51が下位置に位置しており、少なくとも一つのガード24が上位置に位置している状態で、スピンモータ14が基板Wの回転速度を膜厚減少回転速度に維持する。膜厚減少回転速度は、乾燥前処理液供給速度と等しくてもよいし、異なっていてもよい。基板W上の乾燥前処理液は、乾燥前処理液の吐出が停止された後も、遠心力によって基板Wから外方に排出される。そのため、基板W上の乾燥前処理液膜120の厚みが減少する。基板W上の乾燥前処理液がある程度排出されると、単位時間当たりの基板Wからの乾燥前処理液の排出量が零または概ね零に減少する。これにより、基板W上の乾燥前処理液膜120の厚みが基板Wの回転速度に応じた値で安定する。
膜厚減少工程(図9のステップS6)で乾燥前処理液膜120の厚みを減少させた後、昇華性物質の固体121(図10B参照)を基板W上の乾燥前処理液中に析出させる第1析出工程(析出工程)(図9のステップS7)が行われる。
具体的には、遮断部材51が下位置に位置しており、少なくとも一つのガード24が上位置に位置している状態で、スピンモータ14が基板Wの回転速度を所定の第1析出速度に維持する。第1析出速度は、乾燥前処理液供給速度と等しくてもよいし、異なっていてもよい。第1析出速度は、たとえば、500rpmである。溶媒の蒸気圧が昇華性物質の蒸気圧よりも高いので、基板Wが第1析出速度で回転している間、溶媒は、昇華性物質の蒸発速度よりも大きい蒸発速度で乾燥前処理液の表面から蒸発する。図10Aは、乾燥前処理液の表面から溶媒が蒸発している状態を示している。
溶媒の蒸発が続くと、乾燥前処理液膜120の厚みが徐々に減少しながら、乾燥前処理液膜120の表面およびその近傍における昇華性物質の濃度が徐々に高まる。乾燥前処理液膜120からの溶媒の蒸発は、たとえば、基板W上の乾燥前処理液膜120を強制的に加熱せずに行われる。したがって、基板W上の乾燥前処理液膜120が室温か室温よりも少し低い温度に維持されたまま、乾燥前処理液から溶媒が蒸発する。乾燥前処理液膜120の表面およびその近傍における昇華性物質の濃度が、乾燥前処理液における昇華性物質の飽和濃度に達すると、図10Bに示すように、昇華性物質の固体121が乾燥前処理液膜120の表面に析出する(室温析出工程、液面析出工程)。第1析出工程において、スピンモータ14は、昇華性物質の固体121が析出するように、乾燥前処理液膜120から溶媒を蒸発させる溶媒蒸発ユニットとして機能する。
図10Bに示すように、昇華性物質の固体121が析出すると、乾燥前処理液のバルク、つまり、乾燥前処理液膜120の表面(液面)からパターンPAの上面までの範囲に位置する乾燥前処理液の全部または一部が昇華性物質の固体121に変化する。図10Bは、乾燥前処理液膜120のうち、乾燥前処理液膜120の表面側の乾燥前処理液だけが昇華性物質の固体121に変化しており、乾燥前処理液膜120の残りは液体に維持された例を示している。この例では、昇華性物質の固体121がパターンPAの上面に達しておらず、乾燥前処理液が、パターンPAの間だけでなく、昇華性物質の固体121とパターンPAの上面との間にも残っている。乾燥前処理液膜120の表面の全部または一部は、水平に広がる膜状の昇華性物質の固体121、つまり、固化膜(固体膜)で覆われる。
次に、昇華性物質の固体121を基板W上の乾燥前処理液に溶解させる第1溶解工程(図9のステップS8)が行われる。
具体的には、遮断部材51が下位置に位置しており、少なくとも一つのガード24が上位置に位置している状態で、スピンモータ14が基板Wの回転速度を所定の第1溶解速度に維持する。第1溶解速度は、乾燥前処理液供給速度と等しくてもよいし、異なっていてもよい。第1溶解速度は、たとえば、500rpmである。さらに、加熱流体バルブ73が開かれ、下面ノズル71が温水(室温よりも高温の純水)の吐出を開始する。温水の吐出が開始される前に、ガード昇降ユニット27は、基板Wから排出された液体を受け止めるガード24を切り替えるために、少なくとも一つのガード24を鉛直に移動させてもよい。
下面ノズル71から吐出された温水は、第1溶解速度で回転している基板Wの下面の中央部に衝突した後、基板Wの下面に沿って外方に流れる。これにより、基板Wの全域が、室温よりも高い加熱温度で加熱される。温水の熱は、基板Wを介して基板W上の乾燥前処理液に伝達される。基板W上の乾燥前処理液膜120は、基板Wを介して間接的に加熱される(間接加熱工程)。これにより、基板W上の昇華性物質の固体121および乾燥前処理液膜120の温度が室温よりも高い温度に維持される。
図10Cに示すように、基板W上の乾燥前処理液膜120の温度を上昇させると、乾燥前処理液における昇華性物質の飽和濃度が上昇し、昇華性物質の固体121が、基板W上の乾燥前処理液に溶解する。乾燥前処理液への昇華性物質の固体121の溶解は、乾燥前処理液の温度上昇によって促進される。これにより、昇華性物質の固体121の全部または大部分が基板W上の乾燥前処理液に溶解する。図10Dは、昇華性物質の固体121の全てが乾燥前処理液に溶解した例を示している。
昇華性物質の固体121を乾燥前処理液に溶解させた後は、再び昇華性物質の固体121を析出させ、析出した昇華性物質の固体121を再び乾燥前処理液に溶解させてもよい。つまり、第1析出工程(図9のステップS7)から第1溶解工程(図9のステップS8)までの1つの繰り返しサイクルを2回以上行ってもよい。
図9における「N」は、0以上の整数を意味している。Nが1以上の場合、繰り返しサイクルが2回以上行われ、その後、最終析出工程(図9のステップS9)が行われる。Nが0の場合、第1析出工程(図9のステップS7)および第1溶解工程(図9のステップS8)が一回ずつ行われ、その後は、昇華性物質の固体121を再び析出させる最終析出工程(図9のステップS9)が行われる。
具体的には、遮断部材51が下位置に位置しており、少なくとも一つのガード24が上位置に位置している状態で、スピンモータ14が基板Wの回転速度を所定の最終析出速度に維持する。最終析出速度は、乾燥前処理液供給速度と等しくてもよいし、異なっていてもよい。最終析出速度は、たとえば、500rpmである。下面ノズル71からの温水の吐出は、第1溶解工程(図9のステップS8)から継続されている。したがって、基板W上の乾燥前処理液は、基板Wが最終析出速度で回転している間も、室温よりも高い温度に維持されている。
図10Dに示すように、基板Wが最終析出速度で回転している間、溶媒は、乾燥前処理液膜120の表面から蒸発する。したがって、乾燥前処理液の表面が徐々にパターンPAの根本に近づきながら、乾燥前処理液膜120における昇華性物質の濃度が徐々に増加する。乾燥前処理液膜120における昇華性物質の濃度が、乾燥前処理液における昇華性物質の飽和濃度に達すると、昇華性物質の固体121が基板Wの上面に析出し、全てまたは殆ど全ての乾燥前処理液が基板Wからなくなる。最終析出工程において、スピンモータ14および下面ノズル71は、昇華性物質の固体121が析出するように、乾燥前処理液膜120から溶媒を蒸発させる溶媒蒸発ユニットとして機能する。
図10Eは、全ての乾燥前処理液がなくなり、昇華性物質の固体121がパターンPAの間に析出した例を示している。図10Eは、昇華性物質の固体121の厚みがパターンPAの高さよりも大きい例を示している。
図11は、樟脳およびIPAの平衡状態図である。樟脳およびIPAの溶液は、乾燥前処理液に相当する。図11中の曲線(凝固曲線)は、樟脳およびIPAの溶液の凝固点を示している。図11中の太い折れ線は、第1析出工程(図9のステップS7)、第1溶解工程(図9のステップS8)、および最終析出工程(図9のステップS9)が一回ずつ行われているとき、すなわち、図9においてN=0のときの樟脳の濃度と溶液の温度との推移を示している。
図11において、点P1から点P2までの太い直線は、第1析出工程(図9のステップS8)が行われていることを示している。第1析出工程(図9のステップS8)が行われているときは、乾燥前処理液に相当する樟脳およびIPAの溶液からIPAが蒸発し、樟脳の濃度が徐々に上昇する。このとき、乾燥前処理液の温度は、室温またはその近傍の温度に維持されている。樟脳の濃度が、図11中の点P2の濃度まで上昇すると、樟脳およびIPAを含む昇華性物質の固体121が、析出または凝固により形成される。
図11において、点P2から点P3までの太い直線は、第1溶解工程(図9のステップS8)が行われていることを示している。第1溶解工程(図9のステップS8)が行われているときは、樟脳およびIPAの溶液の温度が上昇し、昇華性物質の固体121の温度が、樟脳およびIPAの溶液の凝固点よりも高い温度まで上昇する。これにより、昇華性物質の固体121の少なくとも一部が融解または溶解し、樟脳およびIPAの溶液に戻る。
図11において、点P3から点P4までの太い直線は、最終析出工程(図9のステップS9)が行われていることを示している。前述のように、最終析出工程(図9のステップS9)が行われているときは、昇華性物質の固体121を再び析出させるために樟脳およびIPAの溶液の温度を低下させるのではなく、樟脳およびIPAの溶液を室温よりも高い温度に維持しながら、IPAをさらに蒸発させる。したがって、第1析出工程(図9のステップS7)で析出した昇華性物質の固体121よりもIPAの含有量が少ない昇華性物質の固体121が析出する。
昇華性物質の固体121がパターンPAの間に析出した後は、昇華性物質の固体121を昇華させて、基板Wの上面から除去する昇華工程(図9のステップS10)が行われる。
具体的には、遮断部材51が下位置に位置している状態で、スピンモータ14が基板Wの回転速度を所定の昇華速度に維持する。昇華速度は、乾燥前処理液供給速度と等しくてもよいし、異なっていてもよい。昇華速度は、たとえば、1500rpmである。さらに、上気体バルブ57が開かれ、中心ノズル55が窒素ガスの吐出を開始する。上気体バルブ57を開くことに加えてまたは代えて、流量調整バルブ65の開度を変更して、遮断部材51の上中央開口61から吐出される窒素ガスの流量を増加させてもよい。
昇華速度での基板Wの回転等が開始されると、基板W上の昇華性物質の固体121の昇華が始まり、昇華性物質を含む気体が、基板W上の昇華性物質の固体121から発生する。昇華性物質の固体121から発生した気体(昇華性物質を含む気体)は、基板Wと遮断部材51との間の空間を放射状に流れ、基板Wの上方から排出される。そして、昇華が始まってからある程度の時間が経つと、図10Fに示すように、全ての昇華性物質の固体121が基板Wから除去される。その後、スピンモータ14が止まり、基板Wの回転が停止される。さらに、上気体バルブ57が閉じられ、中心ノズル55が窒素ガスの吐出を停止する。
このように、中心ノズル55、遮断部材51の上中央開口61およびスピンモータ14は、基板Wの上面の昇華性物質の固体121を昇華させる昇華ユニットとして機能する。
なお、前述の窒素ガスの吐出に代えて、基板Wの上方または下方に発熱体やランプ等の熱源を配し、これらの熱源による加熱によって昇華性物質を昇華させてもよい。
また、後述するが、基板W上の昇華性物質の固体121が析出すると、膜厚測定ユニット91の検出値が大幅に変化するので、コントローラ3は、膜厚測定ユニット91の検出値を監視することにより、昇華性物質の固体121が析出したか否かを判定できる。したがって、コントローラ3は、膜厚測定ユニット91が測定する基板Wの上面内の任意の位置おける膜厚に対して予め閾値を設定し、測定した膜厚が閾値以下になれば最終析出工程から昇華工程へ移行するように制御してもよい。
次に、基板Wをチャンバー4から搬出する搬出工程(図9のステップS11)が行われる。
具体的には、遮断部材昇降ユニット54が遮断部材51を上位置まで上昇させ、ガード昇降ユニット27が全てのガード24を下位置まで下降させる。さらに、上気体バルブ64および下気体バルブ84が閉じられ、遮断部材51の上中央開口61とスピンベース12の下中央開口81とが窒素ガスの吐出を停止する。その後、センターロボットCRが、ハンドH1をチャンバー4内に進入させる。センターロボットCRは、複数のチャックピン11が基板Wの把持を解除した後、スピンチャック10上の基板WをハンドH1で支持する。その後、センターロボットCRは、基板WをハンドH1で支持しながら、ハンドH1をチャンバー4の内部から退避させる。これにより、処理済みの基板Wがチャンバー4から搬出される。
次に、乾燥前処理液が樟脳およびメタノールの溶液であるときの基板処理の一例(第2基板処理例)について説明する。
第2基板処理例の大まかな流れは、第1基板処理例と同様であり、図9に示す通りである。第2基板処理例は、最初の第1溶解工程(図9のステップS8)から最終析出工程(図9のステップS9)までの工程が第1基板処理例とは異なっており、それ以外の工程は第1基板処理例と同様である。したがって、以下では、第2基板処理例における最初の第1溶解工程から最終析出工程までの工程について説明する。
図12A~図12Dは、樟脳およびメタノールの溶液を用いたときの基板Wの状態を示す模式図である。以下では、図2および図9を参照する。図12A~図12Dについては適宜参照する。
最初の第1析出工程(図9のステップS7)で昇華性物質の固体121が析出した後は、昇華性物質の固体121を基板W上の乾燥前処理液に溶解させる第1溶解工程(図9のステップS8)が行われる。
具体的には、遮断部材51が下位置に位置しており、少なくとも一つのガード24が上位置に位置している状態で、スピンモータ14が基板Wの回転速度を所定の第1溶解速度に維持する。第1溶解速度は、乾燥前処理液供給速度と等しくてもよいし、異なっていてもよい。第1溶解速度は、たとえば、1500rpmである。基板Wが第1溶解速度で回転しているとき、遮断部材51の上中央開口61からの窒素ガスの吐出を停止するために、コントローラ3は、上気体バルブ64を閉じてもよい。もしくは、コントローラ3は、流量調整バルブ65の開度を変更することにより、遮断部材51の上中央開口61から吐出される窒素ガスの流量を減少させてもよい。
第1析出工程(図9のステップS7)で溶媒が乾燥前処理液から蒸発するとき、気化熱に相当する乾燥前処理液の熱が溶媒と共にチャンバー4内の雰囲気中に放出され、乾燥前処理液の表面の温度が低下する。昇華性物質の固体121が形成されると、乾燥前処理液から蒸発する溶媒が減少するので、雰囲気中に放出される乾燥前処理液の熱も減少する。それと同時に、図12Aに示すように、雰囲気中の熱が昇華性物質の固体121を介して乾燥前処理液に伝達される。これにより、基板W上の昇華性物質の固体121および乾燥前処理液膜120の温度が上昇する。
基板W上の昇華性物質の固体121および乾燥前処理液膜120の温度が上昇すると、図12Bに示すように、昇華性物質の固体121の一部が乾燥前処理液に溶解する。乾燥前処理液は、樟脳およびメタノールの溶液である。昇華性物質の固体121には、樟脳が含まれる。メタノールに対する樟脳の溶解度は、IPAに対する樟脳の溶解度よりも大きく、樟脳は、メタノールに溶解し易い。樟脳の固体の一部がメタノールの液体に溶けると、残りの樟脳の固体も直ぐにメタノールの液体に溶ける。これにより、昇華性物質の固体121の全部または大部分が基板W上の乾燥前処理液に溶解する。図12Cは、昇華性物質の固体121の全てが乾燥前処理液に溶解した例を示している。
昇華性物質の固体121が基板W上の乾燥前処理液に溶解すると、乾燥前処理液から蒸発する溶媒が増加し、乾燥前処理液の表面の温度が低下する。これにより、図12Dに示すように、乾燥前処理液の表面における昇華性物質の濃度が上昇し、昇華性物質の固体121が乾燥前処理液の表面に再び析出する(図9のステップS7)。昇華性物質の固体121が再び析出すると、前述のように昇華性物質の固体121および乾燥前処理液の温度が上昇し、昇華性物質の固体121が再び乾燥前処理液に溶解する(図9のステップS8)。
このように、乾燥前処理液が樟脳およびメタノールの溶液である場合、乾燥前処理液の温度を強制的に変化させなくても、乾燥前処理液を基板Wの上面に放置するだけで、昇華性物質の固体121の析出および溶解が繰り返される(自然析出工程、自然溶解工程)。第1析出工程(図9のステップS7)から第1溶解工程(図9のステップS8)までの1つの繰り返しサイクルの繰り返し回数は、乾燥前処理液を放置する時間の増加に伴って増加する。したがって、許容される時間に応じて昇華性物質の固体121の析出および溶解の繰り返し回数を設定すればよい。
昇華性物質の固体121を析出させるときは、基板W上の乾燥前処理液に接する雰囲気中の溶媒の蒸気圧を、雰囲気の温度における溶媒の飽和蒸気圧未満に維持する。昇華性物質の固体121を溶解させるときは、昇華性物質の固体121と乾燥前処理液膜120との界面の温度を、昇華性物質の固体121を溶解させるときの昇華性物質の濃度における乾燥前処理液の凝固点を超える値に維持する。このようにすれば、昇華性物質の固体121の析出および溶解が自然に繰り返される。
昇華性物質の固体121を析出および溶解させるとき、コントローラ3は、中心ノズル55および遮断部材51の上中央開口61の少なくとも一方に、窒素ガスなどのガスを低流量で吐出させてもよい。この場合、溶媒の蒸気を速やかに基板Wの上方から排除でき、溶媒の蒸発を促進できる。さらに、基板Wの上面に向けてガスを低流量で吐出すれば、昇華性物質の固体121と乾燥前処理液膜120との界面の温度変化を最小限に抑えることができる。したがって、昇華性物質の固体121の溶解を妨げることなく、溶媒の蒸発を促進できる。
FFU6は、クリーンエアーをチャンバー4内に常時供給する。基板Wの上面に向かって流れるクリーンエアーのダウンフローは、遮断部材51によって遮られる。これにより、基板W上の雰囲気の乱れを抑えることができる。コントローラ3は、昇華性物質の固体121を析出および溶解させるときに、FFU6にクリーンエアーの供給を一時的に停止させてもよい。また、基板W上の雰囲気の乱れを抑えるために、コントローラ3は、昇華性物質の固体121を析出および溶解させるときに、スピンモータ14に基板Wの回転を一時的に停止させてもよい。
昇華性物質の固体121を乾燥前処理液に溶解させた後は、再び昇華性物質の固体121を析出させる最終析出工程(図9のステップS9)が行われる。
具体的には、遮断部材51が下位置に位置しており、少なくとも一つのガード24が上位置に位置している状態で、スピンモータ14が基板Wの回転速度を所定の最終析出速度に維持する。最終析出速度は、乾燥前処理液供給速度と等しくてもよいし、異なっていてもよい。最終析出速度は、たとえば、1500rpmである。基板Wが最終析出速度で回転している間、溶媒は、乾燥前処理液の表面から蒸発する。乾燥前処理液における昇華性物質の濃度が、乾燥前処理液における昇華性物質の飽和濃度に達すると、昇華性物質の固体121が基板Wの上面に析出し、全てまたは殆ど全ての乾燥前処理液が基板Wから無くなる(図10E参照)。その後は、基板W上の昇華性物質の固体121を昇華させる昇華工程(図9のステップS10)が行われる。
前述のように、乾燥前処理液が樟脳およびメタノールの溶液である場合、乾燥前処理液を基板Wの上面に放置するだけで、昇華性物質の固体121の析出および溶解が繰り返される。微量の乾燥前処理液が基板W上に残っている場合、昇華性物質の固体121を昇華させる前に、昇華性物質の固体121が乾燥前処理液に溶解するかもしれない。これを防止するために、基板W上の昇華性物質の固体121を冷却してもよい。たとえば、基板Wの回転速度を上昇させてもよいし、基板Wの上面に向けて吐出されるガスの流量を増加させてもよい。
図13は、パターンPAの倒壊率を示すグラフである。倒壊率Aおよび倒壊率Bは、乾燥前処理液が樟脳およびIPAの溶液であるときの値であり、倒壊率Cは、乾燥前処理液が樟脳およびメタノールの溶液であるときの値である。
「倒壊率A」は、図9に示す基板処理とは異なり、昇華性物質の固体121を1回析出させ、その後、昇華性物質の固体121を昇華させたときの値である。「倒壊率B」は、昇華性物質の固体121を2回析出させ、その後、昇華性物質の固体121を昇華させたときの値である。すなわち、「倒壊率B」は、図9においてN=0の場合の倒壊率である。「倒壊率C」は、昇華性物質の固体121を2回以上析出させ、その後、昇華性物質の固体121を昇華させたときの値である。乾燥前処理液の組成と昇華性物質の固体121を析出させる回数とを除き、倒壊率A~倒壊率Cにおける基板Wの処理条件は同一である。
倒壊率Aは、基板Wの高速回転によって基板W上のIPAを除去することにより基板Wを乾燥させるIPA乾燥を行ったときの値よりも低い。倒壊率Bは、倒壊率Aよりも低い。同様に、倒壊率Cは、倒壊率Aよりも低い。倒壊率Cは、倒壊率Bよりも低い。倒壊率Bは、倒壊率Aの半分以下である。倒壊率Cは、倒壊率Bの半分以下である。倒壊率Cは、1%未満であり、極めて低い。
倒壊率Bが倒壊率Aよりも低いので、析出した昇華性物質の固体121を乾燥前処理液に溶解させた後に、再び昇華性物質の固体121を析出させれば、パターンPAの倒壊率を低下させることができる。倒壊率Cが倒壊率Bよりも低いので、昇華性物質が樟脳である場合、IPAではなく、メタノールを溶媒として用いれば、パターンPAの倒壊率をさらに低下させることができる。したがって、パターンPAの強度が極めて低い場合であっても、本実施形態のように、第1析出工程(図9のステップS7)および第1溶解工程(図9のステップS8)の繰り返しサイクルを1回以上行えば、パターンPAの倒壊率を低下させることができる。すなわち、図9においてN=0であっても、パターンPAの倒壊率を低下させることができる。
本発明者らの研究によると、パターンPAの間隔G1(図10A参照)が30nm以下である場合、昇華乾燥を行っても良好なパターンPAの倒壊率が得られないことがあった。これは、昇華性物質の固体121がパターンPAの間に存在しないまたは殆ど存在しない不完全析出領域が基板Wの上面内に形成されたためであると考えられる。したがって、析出した昇華性物質の固体121を乾燥前処理液に溶解させた後に、再び昇華性物質の固体121を析出させれば、パターンPAの間隔G1が30nm以下の基板Wであっても、パターンPAの倒壊率を低下させることができる。
次に、乾燥前処理液膜120の厚みの変化について説明する。
図14は、乾燥前処理液から昇華性物質の固体121が析出するまでの基板Wの上面上の乾燥前処理液膜120の厚みの時間的変化を示すグラフである。図14中の差し込み図は、図14中のその他の部分と縦横比が異なる。
図14中の複数の曲線(実線の曲線、一点鎖線の曲線、破線の曲線)は、昇華性物質の濃度が異なる複数の乾燥前処理液を用いたときの測定値を示す膜厚曲線である。昇華性物質の濃度を除き、各測定の条件は同一である。図14に示すように、昇華性物質の濃度がいずれの値であっても、乾燥前処理液から昇華性物質の固体121を析出させるときは、乾燥前処理液膜120の厚みが時間の経過に伴って減少している。
図14では、乾燥前処理液膜120の厚みが時刻T1までしか測定されていない。これは、時刻T1で昇華性物質の固体121が析出したためである。つまり、乾燥前処理液は透明であるのに対して、昇華性物質の固体121の透明度は、乾燥前処理液の透明度よりも低い。そのため、昇華性物質の固体121が析出すると、膜厚測定ユニット91の検出値が大幅に変化し、乾燥前処理液膜120の厚みを測定できなくなる。
昇華性物質の固体121が析出すると、膜厚測定ユニット91の検出値が大幅に変化するので、コントローラ3は、膜厚測定ユニット91の検出値を監視することにより、昇華性物質の固体121が析出したか否かを判定できる。さらに、昇華性物質の固体121が析出する直前の乾燥前処理液膜120の厚みは、昇華性物質の固体121が析出した直後の昇華性物質の固体121の厚みに実質的に等しい。したがって、コントローラ3は、乾燥前処理液膜120の厚みを測定することにより、昇華性物質の固体121の厚みも測定できる。
また、図14に示すように、乾燥前処理液の膜厚は、昇華性物質の濃度がいずれの値であっても、急激に減少し、その後、緩やかに減少している。乾燥前処理液膜120の厚みが急激に減少している期間は、乾燥前処理液膜120の厚みも膜厚減少速度も、昇華性物質の濃度が異なる複数の乾燥前処理液において殆ど差がない。つまり、経過時間が同じであれば、昇華性物質の濃度にかかわらず、概ね同じ減少速度で乾燥前処理液膜120の厚みが減少している。
これに対して、図14中の差し込み図に示すように、乾燥前処理液膜120の厚みが緩やかに減少している期間は、膜厚減少速度は、昇華性物質の濃度が異なる複数の乾燥前処理液において差が見られる。これは、昇華性物質の濃度が変わると、乾燥前処理液の粘性が変わるためであると考えられる。
詳しくは、乾燥前処理液中の昇華性物質の濃度が高いほど、乾燥前処理液の粘度が高くなる。乾燥前処理液の粘度が高いほど、基板Wの回転による遠心力によって基板W外に排出されにくい。そのため、乾燥前処理液中の昇華性物質の濃度が高いほど、グラフの傾きが小さくなる。つまり、乾燥前処理液中の昇華性物質の濃度が高いほど、乾燥前処理液膜120の厚みが緩やかに減少している期間における膜厚減少速度は小さくなる。そのため、図14中の差し込み図では、実線に示す乾燥前処理液中の昇華性物質の濃度が最も低く、破線に示す乾燥前処理液中の昇華性物質の濃度が次に低く、一点鎖線に示す乾燥前処理液中の昇華性物質の濃度が最も高い。すなわち、膜厚減少速度と乾燥前処理液中の昇華性物質の濃度との間には相関関係がある。
したがって、昇華性物質の濃度が異なる複数の乾燥前処理液膜120の膜厚減少速度を事前に測定し、基準データSDとして準備しておけば、基板W上の乾燥前処理液膜120の厚みを監視することで、膜厚減少速度に基づいて基板W上の乾燥前処理液中の昇華性物質の濃度を推定できる。基準データSDは、たとえば、コントローラ3の主記憶装置3cに記憶されている(図8を参照)。主記憶装置3cに記憶された基準データSDは、基板処理中に基板W上の乾燥前処理液膜120の厚みを監視して得られた膜厚減少速度と比較するために随時参照される。
昇華性物質の固体121が析出する前の乾燥前処理液膜120の厚みが同じであれば、昇華性物質の固体121の厚みは、昇華性物質の濃度の上昇に伴って増加し、昇華性物質の濃度の低下に伴って減少する。したがって、乾燥前処理液膜120の厚みを測定すると共に、昇華性物質の実際の濃度を推定することにより、昇華性物質の固体121が析出する前に、昇華性物質の固体121の厚みを推定できる。
図15は、膜厚監視工程の第1例の流れを示すフローチャートである。以下では、図2および図15を参照する。膜厚監視工程は、たとえば、最初の第1析出工程(ステップS7)と並行して実行される(図9を参照)。すなわち、膜厚監視工程は、昇華性物質の固体121を最初に析出させるときだけに行われる。
乾燥前処理液膜120の厚みの測定を開始するとき、コントローラ3は、最初の第1析出工程(析出工程)が開始されているか否かを判定する(図15のステップS21)。最初の第1析出工程が開始されたか否かの判断は、たとえば、乾燥前処理液バルブ41が開いているか否か、すなわち、乾燥前処理液の吐出が停止されているか否かに基づいて行われる。
第1析出工程が開始されていない場合(図15のステップS21でNo)、すなわち、乾燥前処理液の吐出が停止されていない場合、コントローラ3は、所定時間経過後に、第1析出工程が開始されているか否かを判断する(図15のステップS21)。第1析出工程が開始されていれば(図15のステップS21でYes)、すなわち、乾燥前処理液の吐出が停止されていれば、コントローラ3は、膜厚測定ユニット91に乾燥前処理液膜120の膜厚の測定を開始させる(膜厚測定工程、図15のステップS22)。
膜厚測定ユニット91が乾燥前処理液膜120の厚みを測定している間、コントローラ3は、乾燥前処理液膜120の厚みに基づいて乾燥前処理液膜120の膜厚減少速度も測定する(膜厚減少速度測定工程)。
適切な膜厚減少速度の範囲を表す基準速度範囲は、乾燥前処理液の液膜中の適切な昇華性物質の濃度を表す基準濃度範囲および基準データSDに基づいて、レシピで指定されている。コントローラ3は、乾燥前処理液膜120中の昇華性物質の濃度が飽和濃度に達する前に、膜厚減少速度が適切であるか、つまり、膜厚減少速度が、基準速度範囲内であるか否かを判断する(減少速度判定工程、図15のステップS23)。これにより、実質的に、乾燥前処理液膜120中の昇華性物質の固体の濃度が基準濃度範囲内であるか否かを判断することができる(濃度判定工程)。
膜厚減少速度が適切である場合、つまり、膜厚減少速度が、基準速度範囲の下限値以上であり、基準速度範囲の上限値以下である場合(図15のステップS23でYes)、コントローラ3は、昇華性物質の固体121が最初に析出する第1析出工程(図9のステップS8)で昇華性物質の固体121が析出したか否かを膜厚測定ユニット91の検出値に基づいて判断する(図15のステップS24)。昇華性物質の固体121が析出していなければ(図15のステップS24でNo)、コントローラ3は、所定時間経過後に、膜厚の減少速度が適切であるか否かを再び判断する(図15のステップS23)。
昇華性物質の固体121が析出していれば(図15のステップS24でYes)、コントローラ3は、昇華性物質の固体121が析出する直前の、すなわち乾燥前処理液膜120中の昇華性物質の濃度が飽和濃度に達したときの膜厚測定ユニット91の測定値に基づいて、昇華性物質の固体121の厚みが適切であるかを判定する。つまり、コントローラ3は、昇華性物質の固体121の厚みが、基準厚み範囲の下限値を超えており、基準厚み範囲の上限値未満であるか否かを判断する(厚み判定工程、図15のステップS25)。
昇華性物質の固体121の厚みが適切であれば(図15のステップS25でYes)、コントローラ3は、膜厚測定ユニット91に乾燥前処理液膜120の厚みの測定を停止させる(図15のステップS26)。昇華性物質の固体121の厚みが適切でなければ(図15のステップS25でNo)、コントローラ3は、警報装置100C(図8参照)に警報を発生させる(第2異常報知工程、図15のステップS27)。その後、膜厚測定ユニット91による乾燥前処理液膜120の厚みの測定が停止される(図15のステップS26)。
第1流量調整バルブ107Aまたは第2流量調整バルブ107B(図7参照)の故障等の何らかの原因で、昇華性物質の濃度が基準濃度範囲外になっており、膜厚減少速度が基準速度範囲の上限値よりも大きい場合または膜厚減少速度が基準速度範囲の下限値よりも小さい場合(図15のステップS23でNo)、コントローラ3は、警報装置100C(図8参照)に警報を発生させる(第1異常報知工程、図15のステップS28)。
その後、コントローラ3は、昇華性物質の固体121が析出する前に基板Wの上面から乾燥前処理液を除去する乾燥前処理液除去工程を開始する(図15のステップS29)。乾燥前処理液除去工程の詳細は後述する。そして、コントローラ3は、膜厚測定ユニット91に乾燥前処理液の膜厚の測定を停止させる(図15のステップS26)。
基板処理が中断されない場合、第1析出工程(図9のステップS7)および膜厚監視工程が実行された後、第1溶解工程(図9のステップS8)が開始される。乾燥前処理液が昇華性物質およびIPAの溶液である場合、析出した昇華性物質の固体121を乾燥前処理液に溶解させるために、基板Wの加熱が開始される。そして、第1析出工程および第1溶解工程が所定回数繰り返された後、最終析出工程が実行され、最終的に昇華工程が実行される。図9においてN=0の場合、第1析出工程および第1溶解工程は繰り返されることなく、最終析出工程が実行され、最終的に昇華工程が実行される。
すなわち、濃度判定工程において乾燥前処理液膜120中の昇華性物質の濃度が基準濃度範囲内であると判定された場合に、最終析出工程の終了後に昇華工程が実行される。
図16は、膜厚監視工程の第1例における乾燥前処理液除去工程の一例について説明するための模式図である。
前述のように、コントローラ3は、乾燥前処理液膜120に含まれる昇華性物質の濃度が適切であるか否かを判断するために、乾燥前処理液膜120の厚みの減少速度を測定する(図15のステップS23)。これは、乾燥前処理液膜120中の昇華性物質の濃度に異常が生じていると、すなわち、乾燥前処理液膜120中の昇華性物質の濃度が基準濃度範囲外であると、最終析出工程(図9のステップS9)で析出する昇華性物質の固体121の厚みが、意図する値よりも大きくまたは小さくなるからである。昇華させる直前の昇華性物質の固体121の厚みが、意図する値よりも大きいまたは小さいと、パターンPAの倒壊率が悪化し得る。
そこで、コントローラ3は、図16に示す乾燥前処理液除去工程(図15のステップS29)を実施する。図16は、置換液ノズル43が置換液に相当する溶媒を基板Wの上面に向けて吐出している状態を示している。図16は、乾燥前処理液が樟脳およびIPAの溶液であり、溶媒がIPAである例を示している。乾燥前処理液が樟脳およびメタノールの溶液である場合は、IPAに代えてメタノールが置換液ノズル43から吐出される。
乾燥前処理液膜120中の昇華性物質の濃度に異常が生じている場合、図16に示すように、コントローラ3は、置換液ノズル43に溶媒を吐出させてもよい。この場合、基板W上の乾燥前処理液が溶媒に置換され、基板Wの上面全域を覆う溶媒の液膜が形成される。したがって、昇華性物質の固体121が析出する前に、昇華性物質の濃度が適切でない乾燥前処理液を基板Wから除去できる。すなわち、濃度判定工程において乾燥前処理液膜120中の昇華性物質の濃度が基準濃度範囲内でないと判定された場合に、第1析出工程において昇華性物質の固体121が析出する前に除去液としての溶媒を基板Wの上面に供給することによって、基板Wの上面から乾燥前処理液を除去する乾燥前処理液除去工程が実行される。
このように、乾燥前処理液が樟脳およびIPAの溶液である場合は、乾燥前処理液除去工程において、IPAは、基板Wの上面から乾燥前処理液を除去する除去液としての役割を果たす。乾燥前処理液が樟脳およびメタノールの溶液である場合は、乾燥前処理液除去工程において、メタノールが除去液としての役割を果たす。除去液は、乾燥前処理液に用いられる溶媒と同種の液体であることが好ましいが、これに限られない。除去液は、乾燥前処理液と相溶性を有していれば、乾燥前処理液の溶媒と異なる種類の液体であってもよい。
コントローラ3は、第1析出工程を中断して乾燥前処理液除去工程(図15のステップS29)を開始した後、コントローラ3は、膜厚測定ユニット91に乾燥前処理液膜120の厚みの測定を停止させる(図15のステップS26)。
本実施形態の基板処理では、第1析出工程において昇華性物質の固体121が析出し始めたときは、基板Wの上面に乾燥前処理液が残っている。第1溶解工程では、この乾燥前処理液に昇華性物質の固体121の少なくとも一部を溶解させる。その後、最終析出工程において、再び、乾燥前処理液から溶媒を蒸発させる。これにより、溶媒の含有量が減少し、昇華性物質の固体121が基板Wの上面上に析出する。その後、昇華性物質の固体121を昇華させ、基板Wから除去する。このようにして、乾燥前処理液が基板Wから除去され、基板Wが乾燥する。
昇華性物質の固体121を最初に析出させる前は、パターンPAの間だけでなく、パターンPAの上方にも乾燥前処理液が存在している。半導体ウエハやFPD用基板などの基板Wでは、パターンPAの間隔G1が狭い。パターンPAの間隔G1が狭い場合、パターンPAの間にある乾燥前処理液は、乾燥前処理液のバルク、つまり、乾燥前処理液膜120の表面(上面)からパターンPAの上面までの範囲に位置する乾燥前処理液とは性質が異なる。両者の性質の違いは、パターンPAの間隔G1が狭くなるにしたがって顕著になる。
パターンPAの間隔G1が狭いと、昇華性物質の固体121を最初に析出させたときに、乾燥前処理液のバルクだけに昇華性物質の固体121が析出し、昇華性物質の固体121がパターンPAの間に存在しないまたは殆ど存在しない不完全析出領域が基板Wの上面内に形成される場合がある。この場合、パターンPAの間の乾燥前処理液の表面張力がパターンPAの側面に加わるので、昇華性物質の固体121を昇華させているときに、不完全析出領域内のパターンPAが倒壊し得る。これは、パターンPAの倒壊率を上昇(悪化)させる原因となる。
これに対して、析出した昇華性物質の固体121を乾燥前処理液に溶解させた後に、再び昇華性物質の固体121を析出させると、パターンPAの間の空間等の狭い空間にも昇華性物質の固体121の結晶核が形成される。したがって、析出した昇華性物質の固体121を乾燥前処理液に溶解させた後に、再び昇華性物質の固体121を析出させれば、パターンPAの間隔G1が狭い場合であっても、不完全析出領域の発生を防止したり、その面積を減らしたりすることができる。これにより、パターンPAの倒壊率を低下させることができる。
昇華性物質の固体121の厚みは、昇華性物質の飽和濃度に達したときの乾燥前処理液膜120の厚みと実質的に同一である。乾燥前処理液膜120中の昇華性物質の濃度が昇華性物質の飽和濃度に達すると、その直後に昇華性物質の固体121が析出する。そのため、乾燥前処理液膜120中の昇華性物質の濃度が昇華性物質の飽和濃度に達する前に、乾燥前処理液膜120中の昇華性物質の濃度を知ることができれば、昇華性物質の固体121の厚みを予測し、適切でない厚みの昇華性物質の固体121の形成を避けることができる。
一般に、液体中の物質の濃度を測定するためには、濃度測定用の機器(図示せず)を液体に接触させる必要がある。基板W上に形成される乾燥前処理液膜120は、比較的薄いため、濃度測定用の機器を基板Wの上面に接触させることなく乾燥前処理液膜120に接触させることは困難である。そのため、基板の上面に形成されたパターンPAが損傷するおそれがある。
前述したように、本願発明者らは、膜厚減少速度と乾燥前処理液膜120中の昇華性物質の濃度との間には相関関係があることを見出した。本実施形態では、最初の第1析出工程において昇華性物質の固体121が析出する前に、乾燥前処理液膜120の膜厚減少速度に基づいて、乾燥前処理液膜120中の昇華性物質の濃度が基準濃度範囲内であるか否かが判定される(濃度判定工程)。
詳しくは、膜厚測定ユニット91によって乾燥前処理液膜120の厚みを所定時間測定し続けることによって、第1析出工程における乾燥前処理液膜120の厚み減少速度を測定することができる。そのため、コントローラ3は、膜厚測定ユニット91が測定した膜厚減少速度が基準速度範囲内であるか否かを判定することによって、実質的に、乾燥前処理液膜120中の昇華性物質の濃度が基準濃度範囲内であるか否かを判定することができる。これにより、困難な測定を回避しつつ、乾燥前処理液膜120中の昇華性物質の濃度が基準濃度範囲内であるか否かを判定することができる。
第1溶解工程および最終析出工程において蒸発する溶媒の量は、予測可能であるため、濃度判定工程が第1析出工程で実行された場合であっても、第1析出工程中の乾燥前処理液膜120中の昇華性物質の濃度に基づいて基板Wの上面に形成される昇華性物質の固体121の厚みが適切であるか否かを判定することが可能である。
そのため、乾燥前処理液膜120中の昇華性物質の濃度が基準濃度範囲内であると判定された場合には、最終析出工程の終了後に適切な厚みの昇華性物質の固体121が形成される。したがって、基板処理を続行して昇華性物質の固体121を昇華させれば、基板Wの上面におけるパターンPAの倒壊率を低減することができる。
一方、乾燥前処理液膜120中の昇華性物質の濃度が基準濃度範囲内でないと判定された場合に、昇華性物質の固体121が析出する前に、除去液によって、基板Wの上面から昇華性物質を除去することができる(乾燥前処理液除去工程)。これにより、適切でない厚みの昇華性物質の固体121が基板Wの上面に形成されることを未然に防ぐことができる。よって、パターンPAの倒壊率の上昇を抑制することができる。また、乾燥前処理液膜120中の昇華性物質の濃度が基準濃度範囲内でないと判定された場合であっても、基板Wの上面上の乾燥前処理液が除去される。そのため、基板Wを再利用することができる。
また、本実施形態では、基準データSDと、第1析出工程中に測定された膜厚減少速度とを比較することによって、乾燥前処理液膜120中の昇華性物質の濃度が推定される。そのため、第1析出工程中に、乾燥前処理液膜120中の昇華性物質の濃度を容易に推定することができる。
また、本実施形態では、濃度判定工程において乾燥前処理液膜120中の前記昇華性物質の濃度が基準濃度範囲内でないと判定された場合に、操作者に対して異常が報知される(第1異常報知工程)。そのため、操作者は、異常についての報知に基づいて、基板処理を続行するか否かの判断を適切なタイミングで行うことができる。
また、本実施形態では、溶媒の蒸発によって昇華性物質の固体121が析出する直前に、膜厚測定ユニット91によって、乾燥前処理液膜120の厚みが測定される(膜厚測定工程)。そして、コントローラ3は、膜厚測定工程において測定された乾燥前処理液膜120の厚みが昇華性物質の固体121の基準厚み範囲内であるか否かを判定する(厚み判定工程)。
そのため、乾燥前処理液膜120中の昇華性物質の濃度が昇華性物質の飽和濃度に達したときの乾燥前処理液膜120の厚みが昇華性物質の固体121の基準厚み範囲内であるか否かを判定することによって、基板Wの上面に形成された昇華性物質の固体121の厚みが適切であるか否かを判定することができる。
基板Wの上面に形成された昇華性物質の固体121の厚みが適切である場合には、最終析出工程の終了後に、適切な厚みの昇華性物質の固体121が形成される。そのため、基板処理を続行して昇華性物質の固体121を昇華されば、パターンPAの倒壊率が低減された基板Wを得ることができる。
一方、基板Wの上面に形成された昇華性物質の固体121の厚みが適切でない場合には、基板処理を中断することで、パターンPAの倒壊率が上昇した基板Wの発生を抑制できる。
本実施形態では、膜厚測定工程において測定された膜厚が厚み判定工程において前記基準厚み範囲内でないと判定された場合に、操作者に対して異常が報知される(第2異常報知工程)。そのため、操作者は、異常についての報知に基づいて、基板処理を続行するか否かの判断を適切なタイミングで行うことができる。
本実施形態では、第1析出工程において、乾燥前処理液の加熱によって乾燥前処理液から溶媒を蒸発させるのではなく、乾燥前処理液を室温以下の温度に維持しながら、乾燥前処理液から溶媒を蒸発させる。この場合、乾燥前処理液の表面で昇華性物質の濃度が局所的に上昇し、乾燥前処理液の表面またはその近傍で昇華性物質の固体121が析出する(室温析出工程)。それと同時に、乾燥前処理液が昇華性物質の固体121とパターンPAの上面との間に残る。昇華性物質の固体121は、この乾燥前処理液に溶解する。
これに対して、第1析出工程において、乾燥前処理液の加熱によって乾燥前処理液から溶媒を蒸発させると、乾燥前処理液の温度が室温よりも高い値まで上昇すると共に、乾燥前処理液における昇華性物質の濃度が上昇する。昇華性物質の濃度を上昇させた後に、乾燥前処理液の自然冷却または強制冷却によって昇華性物質の固体121を析出させると、乾燥前処理液のバルクの大部分または全体が昇華性物質の固体121に変化する場合がある。
パターンPAの上方に乾燥前処理液が残っていないと、昇華性物質の固体121が効率的に乾燥前処理液に溶解しない。パターンPAの間に乾燥前処理液が残っていたとしても、パターンPAの間の乾燥前処理液に昇華性物質の固体121が溶解する効率は、乾燥前処理液のバルクに昇華性物質の固体121が溶解する効率に劣る。したがって、乾燥前処理液のバルクの一部を液体に維持することにより、昇華性物質の固体121を効率的に乾燥前処理液に溶解させることができる。
また、本実施形態では、第1溶解工程において、基板Wの上面上の乾燥前処理液を加熱して、乾燥前処理液の温度を室温よりも高い値まで上昇させる。乾燥前処理液への昇華性物質の固体121の溶解は、乾燥前処理液の温度上昇によって促進される。これにより、昇華性物質の固体121を効率的に乾燥前処理液に溶解させることができる。さらに、昇華性物質の固体121の強制的な溶解は、加熱の開始に伴って開始されるので、加熱を開始するタイミングを変更することで、任意の時期に昇華性物質の固体121の強制的な溶解を開始できる。
また、本実施形態では、第1溶解工程において、昇華性物質の固体121および乾燥前処理液を、基板Wの上方から直接的に加熱するのではなく、基板Wを介して間接的に加熱する(間接加熱工程)。基板Wの上方から昇華性物質の固体121および乾燥前処理液を加熱すると、乾燥前処理液の表面にある昇華性物質の固体121の一部が昇華してしまう場合がある。この場合、昇華性物質の一部が無駄になる上に、最終的な昇華性物質の固体121の厚みが意図する値よりも小さくなる。基板Wを介して昇華性物質の固体121および乾燥前処理液を加熱すれば、このような昇華性物質の消失を減らすことができる。
また、本実施形態では、最終析出工程において、基板W上に昇華性物質の固体121を析出させるために、乾燥前処理液を加熱しながら、乾燥前処理液から溶媒を蒸発させる。これにより、高温の乾燥前処理液から昇華性物質の固体121が析出する。乾燥前処理液における昇華性物質の飽和濃度は、乾燥前処理液の温度上昇に伴って上昇する。昇華性物質の固体121に含まれる溶媒の割合は、昇華性物質の飽和濃度の上昇に伴って減少する。昇華性物質の固体121を昇華させるとき、昇華性物質の固体121に含まれる溶媒は、パターンPAを倒壊させる倒壊力を発生させ得る。したがって、溶媒の含有量を減らすことで、パターンPAの倒壊率をさらに低下させることができる。
また、本実施形態では、第1析出工程において、昇華性物質の固体121を乾燥前処理液膜120の表面に析出させる(液面析出工程)。溶媒が乾燥前処理液から蒸発するとき、気化熱に相当する乾燥前処理液の熱が溶媒と共に雰囲気中に放出され、乾燥前処理液の表面の温度が低下する。昇華性物質の固体121が形成されると、乾燥前処理液から蒸発する溶媒が減少するので、雰囲気中に放出される乾燥前処理液の熱も減少する。それと同時に、雰囲気中の熱が昇華性物質の固体121を介して乾燥前処理液に伝達される。これにより、昇華性物質の固体121と乾燥前処理液との界面の温度が上昇する。したがって、基板W上の乾燥前処理液を強制的に加熱しなくても、昇華性物質の固体121を乾燥前処理液に溶解させることができる(自然溶解工程)。
膜厚監視工程は、図15に示すフローチャートに限られない。たとえば、図17には、膜厚監視工程の第2例の流れを示すフローチャートを示す。後述する図20には、膜厚監視工程の第3例の流れを示すフローチャートを示す。後述する図22には、膜厚監視工程の第4例の流れを示すフローチャートを示す。
図17に示す第2例の膜厚監視工程において、第1例の膜厚監視工程(図15を参照)と異なる点は、乾燥前処理液膜120中の昇華性物質の濃度が基準濃度範囲の上限値よりも高い場合と、乾燥前処理液膜120中の昇華性物質の濃度が基準濃度範囲の下限値よりも低い場合とで、異なる工程が開始される点である。
第2例の膜厚監視工程では、膜厚減少速度が基準速度範囲の上限値よりも大きい場合または膜厚減少速度が基準速度範囲の下限値よりも小さい場合には(図17のステップS23でNo)、コントローラ3は、警報装置100C(図8参照)に警報を発生させる(第1異常報知工程、図17のステップS28)。その後、コントローラ3は、膜厚減少速度が基準速度範囲の下限値よりも小さいか否かを判定する(図17のステップS31)。
膜厚減少速度が基準速度範囲の下限値よりも小さい場合(図17のステップS31でYes)、すなわち、乾燥前処理液膜120中の昇華性物質の濃度が基準濃度範囲の上限値よりも高い場合、コントローラ3は、基板W上の液膜中からの溶媒の蒸発を抑制する溶媒蒸発抑制工程を開始する(図17のステップS32)。これにより、乾燥前処理液膜120中の昇華性物質の濃度が低減されて基準濃度範囲内に調整される。
一方、膜厚減少速度が基準速度範囲の上限値よりも大きい場合(図17のステップS31でNo)、すなわち、乾燥前処理液膜120中の昇華性物質の濃度が基準濃度範囲の下限値よりも低い場合、コントローラ3は、乾燥前処理液膜120中からの溶媒の蒸発を促進させる溶媒蒸発促進工程を開始する(図17のステップS33)。これにより、乾燥前処理液膜120中の昇華性物質の濃度が増大されて基準濃度範囲内に調整される。
溶媒蒸発抑制工程または溶媒蒸発促進工程が開始された後は、図15に示す膜厚監視工程の第1例と同様に、コントローラ3は、膜厚測定ユニット91に乾燥前処理液膜120の厚みの測定を停止させる(図17のステップS26)。
図18は、溶媒蒸発抑制工程の一例について説明するための模式図である。溶媒蒸発抑制工程では、たとえば、基板Wの上面と遮断部材51の下面51Lとの間の空間に、溶媒のミストまたは蒸気が供給される。図18には、乾燥前処理液が樟脳およびIPAの溶液であり、基板Wの上面と遮断部材51の下面51Lとの間の空間が、IPAのミストまたは蒸気を含む窒素ガスで満たされている例を示している。乾燥前処理液が樟脳およびメタノールの溶液である場合は、メタノールのミストまたは蒸気を含む窒素ガスが基板Wの上面に向けて吐出される。窒素ガスは、溶媒のミストまたは蒸気を基板Wの方に運ぶキャリアガスに相当する。
基板Wの上面と遮断部材51の下面51Lとの間の空間に向けて吐出する場合、タンク内のIPA(液体)中に窒素ガスを供給すればよい(いわゆるバブリング)。このようにすれば、多数の窒素ガスの気泡がIPA中に形成され、IPAのミストまたは蒸気を含む窒素ガスがタンク内のIPAの表面から放出される。この窒素ガスを中心ノズル55および遮断部材51の上中央開口61の少なくとも一方に吐出させればよい。
溶媒のミストまたは蒸気を基板Wの上面と遮断部材51の下面51Lとの間の空間に供給すると、乾燥前処理液膜120に接する雰囲気中の溶媒の蒸気圧が上昇する。そのため、乾燥前処理液膜120からの溶媒の蒸発が抑制される。その一方で、雰囲気中の昇華性物質の蒸気圧は変わらないので、微量ではあるが、昇華性物質が乾燥前処理液から蒸発する。したがって、昇華性物質の濃度が基準濃度範囲の上限値よりも高いと想定されるとき、溶媒のミストまたは蒸気を基板Wの上面と遮断部材51の下面51Lとの間の空間に供給すれば、乾燥前処理液膜120中の昇華性物質の濃度を基準濃度範囲内の濃度にすることができ、意図する厚みの昇華性物質の固体121を析出させることができる。
図19は、溶媒蒸発促進工程の一例について説明するための模式図である。溶媒蒸発促進工程では、たとえば、基板Wの上面と遮断部材51の下面51Lとの間の空間に、IPAのミストまたは蒸気を含まない窒素ガス等のガスが供給される。コントローラ3は、中心ノズル55に窒素ガスを吐出させてもよいし、遮断部材51の上中央開口61に窒素ガスを吐出させてもよい。中心ノズル55が既に窒素ガスを吐出している場合、コントローラ3は、流量調整バルブ58(図2参照)の開度を増加させてもよい。遮断部材51の上中央開口61が既に窒素ガスを吐出している場合、コントローラ3は、流量調整バルブ65(図2参照)の開度を増加させてもよい。
窒素ガスを基板Wの上面と遮断部材51の下面51Lとの間の空間に供給すると、乾燥前処理液膜120に接する雰囲気中の溶媒の蒸気圧が低下する。そのため、乾燥前処理液からの溶媒の蒸発が促進される。厳密には、雰囲気中の昇華性物質の蒸気圧も微量ではあるが低下する。しかし、昇華性物質の蒸気圧は溶媒の蒸気圧よりも遥かに小さいので、主に溶媒が乾燥前処理液から蒸発する。そのため、乾燥前処理液膜120中の昇華性物質の濃度を基準濃度範囲内の濃度にすることができ、意図する厚みの昇華性物質の固体121を析出させることができる。
中心ノズル55および遮断部材51の上中央開口61から吐出される窒素ガスによって、昇華性物質の固体121の析出が促進されるので、中心ノズル55および遮断部材51の上中央開口61は、溶媒蒸発ユニットとして機能している。
溶媒蒸発抑制工程または溶媒蒸発促進工程を実行する直前の膜厚減少速度と、基準データSDに含まれる膜厚減少速度とを比較することで、乾燥前処理液膜120中の昇華性物質の濃度を基準濃度範囲内の濃度にするために乾燥前処理液膜120中からの溶媒の蒸発量をどの程度にすればよいかを算出することができる。溶媒の蒸発量が適切な蒸発量となるように溶媒蒸発抑制工程または溶媒蒸発促進工程を実行すれば、昇華性物質の濃度が飽和濃度に達したときの乾燥前処理液膜120の厚みを適切な厚みに容易に調整できる。ひいては、適切な厚みの昇華性物質の固体121を析出させることができる。
膜厚監視工程の第2例では、濃度判定工程において乾燥前処理液膜120中の昇華性物質の濃度が基準濃度範囲の上限値よりも高いと判定された場合に、乾燥前処理液膜120に接する雰囲気に溶媒の蒸気またはミストを供給することによって、乾燥前処理液膜120からの溶媒の蒸発が抑制される(溶媒蒸発抑制工程)。
乾燥前処理液膜120に接する雰囲気に溶媒の蒸気またはミストを供給することによって、乾燥前処理液膜120に接する雰囲気中に存在する溶媒の量(溶媒の蒸気圧)が増大する。これにより、乾燥前処理液膜120からの溶媒の蒸発を抑制することができる。乾燥前処理液膜120からの溶媒の蒸発が抑制されると、乾燥前処理液膜120から蒸発する物質中における昇華性物質の割合が増大する。したがって、乾燥前処理液膜120中の昇華性物質の濃度が低下する。これにより、乾燥前処理液膜120中の昇華性物質の濃度を基準濃度範囲内に調整することができる。
したがって、濃度判定工程において乾燥前処理液膜120中の昇華性物質の濃度が基準濃度範囲の上限値よりも高いと判定されたとしても、溶媒蒸発抑制工程が実行されるので、昇華工程後にパターンPAの倒壊率が低減された基板Wを得ることができる。
また、膜厚監視工程の第2例では、濃度判定工程において乾燥前処理液膜120中の昇華性物質の濃度が基準濃度範囲の下限値よりも低いと判定された場合に、第1析出工程の実行中に乾燥前処理液膜120に接する雰囲気に向けて不活性ガスを供給することによって乾燥前処理液膜120からの溶媒の蒸発が促進される(溶媒蒸発促進工程)。
乾燥前処理液膜120からの溶媒の蒸発を促進することによって、乾燥前処理液膜120中の昇華性物質の濃度が上昇する。これにより、乾燥前処理液膜120中の昇華性物質の濃度を基準濃度範囲内に調整することができる。したがって、濃度判定工程において乾燥前処理液膜120中の昇華性物質の濃度が基準濃度範囲の下限値よりも低いと判定されたとしても、溶媒蒸発促進工程が実行されるので、昇華工程後にパターンPAの倒壊率が低減された基板Wを得ることができる。
図20に示す膜厚監視工程の第3例において、膜厚監視工程の第2例(図17を参照)と異なる点は、膜厚減少速度が基準速度範囲の下限値よりも小さい場合(図20のステップS31でYes)、すなわち、乾燥前処理液膜120中の昇華性物質の濃度が基準濃度範囲の上限値よりも高い場合には、コントローラ3は、基板W上の乾燥前処理液膜120を薄膜化する薄膜化工程を開始する(図20のステップS34)点である。
膜厚減少速度が基準速度範囲の上限値よりも大きい場合(図20のステップS31でNo)、すなわち、乾燥前処理液膜120中の昇華性物質の濃度が基準濃度範囲の下限値よりも低い場合には、コントローラ3は、膜厚監視工程の第2例と同様に、溶媒蒸発促進工程を開始する(図20のステップS33)。
薄膜化工程では、コントローラ3は、スピンモータ14に基板Wの回転を加速させる。これにより、基板W上の乾燥前処理液膜120に作用する遠心力を増加させて、基板W外に排出される乾燥前処理液の量が増加する。
図21Aおよび図21Bは、薄膜化工程を説明するための模式図である。図21Aは、基板Wの回転を加速する前の状態を示しており、図21Bは、基板Wの回転を加速させた後の状態を示している。具体的には、基板Wの回転速度は、第1析出速度(たとえば、500rpm)から、第1析出速度よりも高速度である薄膜化速度(たとえば、1500rpm)に変更される。
乾燥前処理液膜120中の昇華性物質の濃度が基準濃度範囲の上限値よりも高い場合、昇華する直前の昇華性物質の固体121の厚みが、意図する値よりも大きくなる。基板W上の乾燥前処理液膜120の厚みを減少させると、乾燥前処理液膜120に含まれる昇華性物質の量が減少するので、昇華性物質の固体121の厚みも減少する。
そこで、膜厚監視工程の第3例では、乾燥前処理液膜120中の昇華性物質の濃度が基準濃度範囲の上限値よりも高い場合に、基板Wの回転速度を増大させて乾燥前処理液膜120に遠心力を作用させることによって、昇華性物質の固体121が析出する前に乾燥前処理液膜120の厚みを減少させる。これにより、基板Wの上面に形成される昇華性物質の固体121の厚みを低減し、意図する厚みの昇華性物質の固体121を析出させることができる。したがって、濃度判定工程において乾燥前処理液膜120中の昇華性物質の濃度が基準濃度範囲の上限値よりも高いと判定されたとしても、薄膜化工程が実行されるので、昇華工程後にパターンPAの倒壊率が低減された基板Wを得ることができる。
乾燥前処理液が樟脳およびIPAの溶液である場合には、図22に示す膜厚監視工程の第4例を実行することも可能である。膜厚監視工程の第4例が、膜厚監視工程の第1例(図15参照)と異なる点は、昇華性物質の固体121の厚みが基準厚み範囲内であると判定された場合(図22のステップS25でYes)、コントローラ3は、第1溶解工程を開始する点である(図22のステップS45)。すなわち、コントローラ3は、基板Wの下面への温水等の加熱液の供給を開始して、基板Wを介して基板Wの上面の乾燥前処理液の液膜の加熱を開始する。その後、膜厚測定ユニット91に乾燥前処理液の膜厚の測定を停止させる(図22のステップS26)。
膜厚監視工程の第4例では、第1溶解工程が、適切な厚みの昇華性物質の固体121が形成されたことをきっかけとして開始される。そのため、適切な厚みの昇華性物質の固体121が形成された場合にのみ、第1溶解工程、最終析出工程、および昇華工程が実行される。昇華工程の終了後に、パターンPAの倒壊率が低減された基板Wを得ることができる。適切な厚みの昇華性物質の固体121が形成されていない場合には、第1析出工程よりも後の工程(第1溶解工程、最終析出工程、および昇華工程)を実行することなく、基板処理を早期に中断することができる。
昇華性物質の固体121が析出してから昇華するまでの時間が短い場合、昇華性物質の固体121を乾燥前処理液に溶解させる前に、つまり、乾燥前処理液の加熱を開始する前に、昇華性物質の固体121の一部または全部が昇華してしまうかもしれない。このような場合でも、昇華性物質の固体121が析出したか否かを監視すれば、最適な時期に乾燥前処理液の加熱を開始でき、意図せず昇華する昇華性物質の固体121を減らすことができる。
本発明は、前述の実施形態の内容に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
前述したように、上述の基板処理では、膜厚監視工程は、最初の第1析出工程(ステップS7)と並行して実行される。しかしながら、乾燥前処理液が樟脳およびIPAの溶液である場合、乾燥前処理液膜の厚みの監視は、昇華性物質の固体121を析出させるたびに行われてもよい。
また、乾燥前処理液が樟脳およびIPAの溶液である場合、乾燥前処理液膜120の厚みの監視は、図9に二点鎖線で示すように、最終析出工程(図9のステップS9)と並行して行われてもよい。つまり、乾燥前処理液が樟脳およびIPAの溶液である場合、第1析出工程(図9のステップS7)および最終析出工程(図9のステップS9)の少なくとも一方と並行して、乾燥前処理液膜120の厚みを監視すればよい。
上述の実施形態に係る基板処理(図9参照)とは異なり、図23に示すように、乾燥前処理液膜120中に析出した昇華性物質の固体121を乾燥前処理液に溶解させることなく昇華させる基板処理も実行可能である。
図23の基板処理では、膜厚減少工程(ステップS6)の後、基板Wの上面に昇華性物質の固体を析出させる析出工程(ステップS50)が実行され、その後、昇華工程(ステップS10)が実行される。そして、析出工程(ステップS50)と並行して、第1例~第3例のいずれかの膜厚監視工程が実行される。
昇華性物質の固体121を最初に析出させる第1析出工程(図9のステップS7)において、乾燥前処理液膜120を室温以下の温度に維持するのではなく、室温よりも高い加熱温度で加熱しながら、基板W上の乾燥前処理液から溶媒を蒸発させてもよい。
第1基板処理例の最終析出工程(図9のステップS9)において、基板W上の乾燥前処理液を加熱しながら、乾燥前処理液から溶媒を蒸発させるのではなく、基板W上の乾燥前処理液の強制的な加熱を停止しながら、乾燥前処理液から溶媒を蒸発させてもよい。
昇華性物質の固体121を乾燥前処理液に溶解させるときに、室温よりも高温の加熱液の一例である温水を基板Wの下面に供給するのではなく、室温よりも高温の加熱ガスを基板Wの上面または下面に向けて吐出してもよい。たとえば、室温よりも高温の窒素ガスを、中心ノズル55およびスピンベース12の下中央開口81の少なくとも一方に吐出させてもよい。通電によりジュール熱を発生する発熱体や、基板Wに向けて光を発するランプを、基板Wの上方および下方に少なくとも一方に配置してもよい。たとえば、発熱体をスピンベース12および遮断部材51の少なくとも一方に内蔵してもよい。
昇華性物質の固体121は、ウェット処理ユニット2wとは異なる処理ユニット2で除去されてもよい。昇華性物質の固体121を除去する処理ユニット2は、基板処理装置1の一部であってもよいし、基板処理装置1とは異なる基板処理装置1の一部であってもよい。つまり、ウェット処理ユニット2wが備えられた基板処理装置1と、昇華性物質の固体121を除去する処理ユニット2が備えられた基板処理装置1とが、同じ基板処理システムに設けられており、昇華性物質の固体121を除去する前に、基板処理装置1から別の基板処理装置1に基板Wを搬送してもよい。
純水などの基板W上のリンス液を乾燥前処理液で置換できる場合は、基板W上のリンス液を置換液に置換する置換液供給工程を行わずに、乾燥前処理液供給工程を行ってもよい。
遮断部材51は、円板部52に加えて、円板部52の外周部から下方に延びる筒状部を含んでいてもよい。この場合、遮断部材51が下位置に配置されると、スピンチャック10に保持されている基板Wは、円筒部25に取り囲まれる。
遮断部材51は、スピンチャック10と共に回転軸線A1まわりに回転してもよい。たとえば、遮断部材51が基板Wに接触しないようにスピンベース12上に置かれてもよい。この場合、遮断部材51がスピンベース12に連結されるので、遮断部材51は、スピンベース12と同じ方向に同じ速度で回転する。
遮断部材51が省略されてもよい。ただし、基板Wの下面に純水などの液体を供給する場合は、遮断部材51が設けられていることが好ましい。基板Wの外周面を伝って基板Wの下面から基板Wの上面の方に回り込んだ液滴や、処理カップ21から内側に跳ね返った液滴を遮断部材51で遮断でき、基板W上の乾燥前処理液に混入する液体を減らすことができるからである。
基板Wの上面に対する発光素子92の光の入射位置を変更する必要がなければ、膜厚測定ユニット91の電動モータ96を省略してもよい。
発光素子92の光を基板Wの上面に概ね垂直に入射させる場合、膜厚測定ユニット91のハウジング93は、発光素子92に加え、受光素子97を収容していてもよい。この場合、基板Wの上面で反射した発光素子92の光(反射光)は、透明な板94で塞がれたハウジング93の開口部を通過し、ハウジング93内の受光素子97に受けられる。
発光素子92および受光素子97の両方がハウジング93内に収容されている場合、コントローラ3は、ハウジング93を水平に移動させることにより、発光素子92の光が基板Wの上面に入射する入射位置を基板Wの径方向に移動させてもよい。具体的には、スピンチャック10に保持されている基板Wの上方でハウジング93を保持するスキャンアームと、チャンバー4内でスキャンアームを水平に移動させる電動アクチュエータとが、処理ユニット2に設けられてもよい。
上述の実施形態では、膜厚測定ユニット91は、昇華性物質の固体121が析出した後は、乾燥前処理液の液膜を測定できなくなる。上述の実施形態とは異なり、膜厚測定ユニットとして、昇華性物質の固体121の厚みを測定できる膜厚測定ユニット191を用いてもよい(図25Aを参照)。膜厚測定ユニット191は、発光素子191Aと受光素子191Bとを同一ハウジング191C内に収容している。膜厚測定ユニット191は、移動ユニット192によって、たとえば、基板Wの回転径方向に沿って移動可能である。具体的には、スピンチャック10に保持されている基板Wの上方でハウジング191Cを保持するスキャンアームと、チャンバー4内でスキャンアームを水平に移動させる電動アクチュエータとが、処理ユニット2に設けられてもよい。
そのため、膜厚測定ユニット191は、基板Wの上方で移動しながら基板Wの上面に析出した昇華性物質の固体121(固体膜)の厚みを基板Wの上面の複数箇所において測定することができる。図25A中の複数の黒い点Piは、発光素子191Aの光が基板Wの上面に入射する入射位置を示している。
膜厚測定ユニット191が基板Wの上面の複数箇所において測定することができる構成であれば、図24に示す膜厚監視工程の第5例を実行することができる。図24に示す膜厚監視工程の第5例が図15に示す膜厚監視工程の第1例と異なる点は、基板Wの上面上の昇華性物質の固体121の表面の平坦度合を測定する平坦度合測定工程、および、昇華性物質の固体121の表面が平坦であるか判定する平坦判定工程が実行される点である。
具体的には、昇華性物質の固体121の厚みが適切である場合に(図24のステップS25でYes)、膜厚測定ユニット191の基板Wの回転径方向への移動が開始される(図24のステップS51)。これにより、図25Aに示すように、昇華性物質の固体121の表面の平坦度合が測定される(平坦度合測定工程)。
平坦度合とは、たとえば、複数箇所において測定した昇華性物質の固体121の表面の高さ位置のばらつき度合のことである。昇華性物質の固体121の表面の高さ位置は、昇華性物質の固体121の表面の高さ位置を膜厚測定ユニット191によって直接測定してもよいし、膜厚測定ユニット191によって測定された昇華性物質の固体121の厚みから算出してもよい。複数箇所において測定した昇華性物質の固体121の表面の高さ位置のばらつきが小さいほど、昇華性物質の固体121の表面が平坦である。
そして、昇華性物質の固体121の表面が充分に平坦であるか否かが判定される(平坦判定工程、図24のステップS52)。これにより、基板Wの上面の全域において厚みが均等な昇華性物質の固体121が形成されているか否かを調べることができる。
具体的には、平坦度合測定工程において測定された平坦度合が基準平坦範囲内である場合(図24のステップS52でYes)、すなわち、昇華性物質の固体121の表面が充分に平坦である場合には、膜厚測定ユニット191による乾燥前処理液膜120の厚みの測定が停止される(図24のステップS26)。その後、通常通り、昇華工程(図9のステップS10)が実行される。そのため、パターンPAの倒壊率が低減された基板Wを得ることができる。
平坦度合測定工程において測定された平坦度合が基準平坦範囲内でない場合には(図24のステップS52でNo)、すなわち、昇華性物質の固体121の表面が充分に平坦でない場合には、基板Wの上面から昇華性物質の固体121が除去される(固体除去工程、図24のステップS53)。固体除去工程では、図25Bに示すように、昇華性物質の固体121が形成された基板Wの上面に、置換液ノズル43から置換液に相当する溶媒が供給される。
図25Bは、乾燥前処理液が樟脳およびIPAの溶液であり、溶媒がIPAである例を示している。乾燥前処理液が樟脳およびメタノールの溶液である場合は、IPAに代えてメタノールが置換液ノズル43から吐出される。これにより、図25Cに示すように、昇華性物質の固体121が除去される。その後、膜厚測定ユニット191による乾燥前処理液膜120の厚みの測定が停止される(図24のステップS26)。
第5例の膜厚監視工程では、固体除去工程が実行されるため、昇華性物質の固体121の一部に厚みが薄すぎる部分や厚すぎる部分が存在する場合においてもパターンPAの倒壊を抑制することができる。また、基板Wの上面上の昇華性物質の固体121が除去されるので、基板Wを再利用することができる。
このように、乾燥前処理液が樟脳およびIPAの溶液である場合は、固体除去工程において、IPAは、基板Wの上面から昇華性物質の固体121を除去する固体除去液としての役割を果たす。乾燥前処理液が樟脳およびメタノールの溶液である場合は、固体除去工程において、メタノールが固体除去液としての役割を果たす。固体除去液は、乾燥前処理液に用いられる溶媒と同種の液体であることが好ましいが、これに限られない。固体除去液は、昇華性物質の固体121を除去できれば、乾燥前処理液の溶媒と異なる種類の液体であってもよい。
基板処理装置1は、クリーンルーム内に配置され、基板処理装置1内の温度は、クリーンルーム内の温度と同一または概ね同一の値に維持されるが、基板処理装置1内の温度は、クリーンルーム内の温度と異なっていてもよい。たとえば、基板処理装置1内の温度を調節するエアーコンディショナーが、基板処理装置1に備えられていてもよい。
乾燥前処理液が樟脳およびメタノールの溶液である場合、基板処理装置1内の温度、より具体的には、チャンバー4内の温度が、昇華性物質が析出したときの乾燥前処理液の表面の温度(以下、「析出時表面温度」)よりも高ければ、乾燥前処理液を基板Wの上面に放置するだけで、昇華性物質の固体121と乾燥前処理液との界面の温度が上昇し、昇華性物質の固体121が乾燥前処理液に溶解する。これにより、昇華性物質の析出および溶解が自然に繰り返される。
クリーンルーム内の温度が析出時表面温度よりも低い場合、コントローラ3は、チャンバー4の内部空間が析出時表面温度よりも高い温度に維持されるように、エアーコンディショナーに基板処理装置1内の温度を調節させてもよい。同様に、クリーンルーム内の気圧が昇華性物質の析出および溶解に適さない値である場合、コントローラ3は、FFU6(図2参照)の出力と排気バルブ9(図2参照)の開度との少なくとも一方を変更してもよい。この場合、チャンバー4内に供給されるガスの流量と、チャンバー4から排出されるガスの流量と、の少なくとも一方が変化し、チャンバー4内の気圧が、昇華性物質の析出および溶解に適した値に維持される。
基板処理装置1は、チャンバー4内の温度を測定する温度計と、チャンバー4内の気圧を測定する気圧計と、の少なくとも一方を備えていてもよい。基板Wを処理ユニット2で処理している間、チャンバー4内の温度および気圧の少なくとも一方が大幅に変化した場合、コントローラ3は、チャンバー4内の温度および気圧の両方が昇華性物質の析出および溶解に適した値に維持されるまで、チャンバー4に対する次の基板Wの搬入を停止してもよい。
基板処理装置1は、円板状の基板Wを処理する装置に限らず、多角形の基板Wを処理する装置であってもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
この明細書および添付図面から抽出され得る特徴を以下に例示する。
1.昇華性物質が溶媒中に溶解した溶液である乾燥前処理液を、パターンが形成された基板の上面に供給して、前記乾燥前処理液の液膜を前記基板の前記上面に形成する乾燥前処理液供給工程と、前記液膜から前記溶媒を蒸発させることにより、前記昇華性物質の固体を前記基板の前記上面に析出させる析出工程と、前記析出工程において、前記昇華性物質の固体が析出する前に、前記溶媒の蒸発によって前記液膜の厚みが減少する速度である膜厚減少速度に基づいて、前記液膜中の前記昇華性物質の濃度が基準濃度範囲内であるか否かを判定する濃度判定工程と、前記濃度判定工程において前記液膜中の前記昇華性物質の濃度が基準濃度範囲内であると判定された場合に、前記析出工程の終了後に、前記昇華性物質の固体を昇華させる昇華工程とを含む、基板処理方法。
この方法によれば、昇華性物質が溶媒中に溶解した溶液を基板の上面に供給する。これにより、乾燥前処理液の液膜が基板の上面に形成される。その後、乾燥前処理液の液膜から溶媒を蒸発させる。乾燥前処理液の液膜中における昇華性物質の濃度は、溶媒の蒸発に伴って上昇する。昇華性物質の濃度が昇華性物質の飽和濃度に達すると、昇華性物質の固体が乾燥前処理液の液膜中に析出する。
本願発明者らは、膜厚減少速度と、液膜中の昇華性物質の濃度との間に相関関係があることを見出した。そこで、析出工程における乾燥前処理液の液膜の厚みの減少速度に基づいて液膜中の昇華性物質の濃度が基準濃度範囲内であるか否かを判定すれば、前記昇華性物質の固体が析出する前に、すなわち、昇華性物質の濃度が昇華性物質の飽和濃度に達する前に、液膜中の昇華性物質の濃度が基準濃度範囲内であるか否かを判定することができる。液膜中の昇華性物質の濃度が基準濃度範囲内であると判定された場合には、適切な厚みの昇華性物質の固体が形成される。そして、析出工程の終了後に昇華性物質の固体が昇華されるので、パターンの倒壊率が低減された基板を得ることができる。
一方、液膜中の昇華性物質の濃度が基準濃度範囲内でないと判定された場合には、基板処理を中断すれば、適切でない厚みの昇華性物質の固体が昇華されることを未然に防ぐことができる。これにより、パターンの倒壊率の上昇を抑制することができる。
2.前記濃度判定工程が、予め測定された基準データと、前記析出工程中に測定された前記膜厚減少速度とを比較することによって、前記液膜中の前記昇華性物質の濃度を推定する工程を含む、項1に記載の基板処理方法。この方法では、析出工程中に、液膜中の昇華性物質の濃度を容易に推定することができる。
3.前記濃度判定工程において前記液膜中の前記昇華性物質の濃度が前記基準濃度範囲内でないと判定された場合に、前記析出工程において前記昇華性物質の固体が析出する前に除去液を前記基板の前記上面に供給することによって、前記基板の前記上面から前記乾燥前処理液を除去する乾燥前処理液除去工程をさらに含む、項1または2に記載の基板処理方法。
この方法によれば、液膜中の昇華性物質の濃度が基準濃度範囲内でない場合に、昇華性物質の固体が析出する前に、除去液によって、基板の上面から昇華性物質を除去することができる。これにより、適切でない厚みの昇華性物質の固体が基板の上面に形成されることを未然に防ぐことができる。よって、パターンの倒壊率の上昇を抑制することができる。また、基板の上面上の乾燥前処理液が除去されるので、基板を再利用することができる。
4.前記濃度判定工程において前記液膜中の前記昇華性物質の濃度が前記基準濃度範囲の下限値よりも低いと判定された場合に、前記析出工程の実行中に前記液膜からの前記溶媒の蒸発を促進する溶媒蒸発促進工程をさらに含む、項1または2に記載の基板処理方法。
この方法によれば、濃度判定工程において乾燥前処理液の液膜中の昇華性物質の濃度が基準濃度範囲の下限値よりも低いと判定された場合に、乾燥前処理液の液膜からの溶媒の蒸発が促進される。乾燥前処理液の液膜からの溶媒の蒸発が促進されると、乾燥前処理液の液膜中の昇華性物質の濃度を上昇する。そのため、乾燥前処理液の液膜中の昇華性物質の濃度を基準濃度範囲内に調整することができる。したがって、濃度判定工程において乾燥前処理液の液膜中の昇華性物質の濃度が基準濃度範囲の下限値よりも低いと判定されたとしても、パターンの倒壊率が低減された基板を得ることができる。
5.前記溶媒蒸発促進工程が、前記液膜に接する雰囲気に向けて不活性ガスを供給することによって前記液膜に接する雰囲気から前記溶媒の蒸気を除去する工程を含む、項4に記載の基板処理方法。
この方法によれば、不活性ガスを供給して基板の上面上の乾燥前処理液の液膜に接する雰囲気から溶媒の蒸気が除去される。そのため、乾燥前処理液の液膜からの溶媒の蒸発を促進することができる。
6.前記析出工程において、前記基板の前記上面を鉛直方向に沿う回転軸まわりに回転させる基板回転工程と、前記濃度判定工程において前記液膜中の前記昇華性物質の濃度が前記基準濃度範囲の上限値よりも高いと判定された場合に、前記析出工程の実行中に前記昇華性物質の固体が析出する前に、前記基板の回転速度を増大させることによって前記液膜を薄膜化する薄膜化工程とをさらに含む、項1~5のいずれか一項に記載の基板処理方法。
乾燥前処理液の液膜中の昇華性物質の濃度が基準濃度範囲の上限値よりも高い場合、昇華する直前の昇華性物質の固体の厚みが、意図する値よりも大きくなる。基板上の乾燥前処理液の液膜の厚みを減少させると、乾燥前処理液の液膜中に含まれる昇華性物質の量が減少するので、昇華性物質の固体の厚みも減少する。
そこで、乾燥前処理液の液膜中の昇華性物質の濃度が基準濃度範囲の上限値よりも高い場合に、基板の回転速度を増大させて基板の上面上の乾燥前処理液の液膜に遠心力を作用させることによって、昇華性物質の固体が析出する前に乾燥前処理液の液膜の厚みを減少させることができる。これにより、意図する厚みの昇華性物質の固体を析出させることができる。そのため、濃度判定工程において乾燥前処理液の液膜中の昇華性物質の濃度が基準濃度範囲の上限値よりも高いと判定されたとしても、パターンの倒壊率が低減された基板を得ることができる。
7.前記濃度判定工程において前記液膜中の前記昇華性物質の濃度が前記基準濃度範囲の上限値よりも高いと判定された場合に、前記析出工程の実行中に前記液膜からの前記溶媒の蒸発を抑制する溶媒蒸発抑制工程をさらに含む、項1~5のいずれか一項に記載の基板処理方法。
この方法によれば、濃度判定工程において液膜中の昇華性物質の濃度が基準濃度範囲の上限値よりも高いと判定された場合に、乾燥前処理液の液膜からの溶媒の蒸発が抑制される。乾燥前処理液の液膜からの溶媒の蒸発が抑制されると、液膜から蒸発する物質中における昇華性物質の割合が増大する。これにより、乾燥前処理液の液膜中の昇華性物質の濃度が低下する。そのため、乾燥前処理液の液膜中の昇華性物質の濃度を基準濃度範囲内に調整することができる。
したがって、濃度判定工程において乾燥前処理液の液膜中の昇華性物質の濃度が基準濃度範囲の上限値よりも高いと判定されたとしても、パターンの倒壊率が低減された基板を得ることができる。
8.前記溶媒蒸発抑制工程が、前記液膜に接する雰囲気に前記溶媒の蒸気またはミストを供給することによって、前記液膜からの前記溶媒の蒸発を抑制する工程を含む、項7に記載の基板処理方法。
この方法によれば、基板の上面上の乾燥前処理液の液膜に接する雰囲気に溶媒の蒸気またはミストを供給することによって、乾燥前処理液の液膜に接する雰囲気中に存在する溶媒の量が増大する。そのため、乾燥前処理液の液膜からの溶媒の蒸発が抑制される。
9.前記濃度判定工程において前記液膜中の前記昇華性物質の濃度が前記基準濃度範囲内でないと判定された場合に、異常を報知する第1異常報知工程をさらに含む、項1~8のいずれか一項に記載の基板処理方法。そのため、異常についての報知に基づいて、基板処理を続行するか否かの判断を適切なタイミングで行うことができる。
10.前記析出工程において、前記溶媒の蒸発によって前記昇華性物質の固体が析出する直前に、前記液膜の厚みを測定する膜厚測定工程と、前記膜厚測定工程において測定された前記液膜の厚みが前記昇華性物質の固体の基準厚み範囲内であるか否かを判定する厚み判定工程とをさらに含む、項1~9のいずれか一項に記載の基板処理方法。
この方法によれば、昇華性物質の固体が析出する直前の、すなわち、昇華性物質の濃度が昇華性物質の飽和濃度に達したときの液膜の厚みが昇華性物質の固体の基準厚み範囲内であるか否かが判定される。これにより、基板の上面に形成された昇華性物質の固体の厚みが適切であるか否かを判定することができる。
基板の上面に形成された昇華性物質の固体の厚みが適切である場合には、析出工程の終了後に、適切な厚みの昇華性物質の固体が形成される。そのため、パターンの倒壊率が低減された基板を得ることができる。
一方、基板の上面に形成された昇華性物質の固体の厚みが適切でない場合には、基板処理を中断することで、パターンの倒壊率の上昇を抑制することができる。
11.前記膜厚測定工程において測定された前記液膜の厚みが前記厚み判定工程において前記基準厚み範囲内でないと判定された場合に、異常を報知する第2異常報知工程をさらに含む、項10に記載の基板処理方法。この方法により、異常についての報知に基づいて、基板処理を続行するか否かの判断を適切なタイミングで行うことができる。
12.前記基板の前記上面上の前記乾燥前処理液から前記溶媒を蒸発させることにより、前記昇華性物質の固体を前記基板の前記上面上の前記乾燥前処理液中に析出させる第1析出工程と、前記第1析出工程において前記昇華性物質の固体の少なくとも一部を前記基板の前記上面上の前記乾燥前処理液に溶解させる第1溶解工程と、前記第1溶解工程において前記昇華性物質の固体が溶解した前記乾燥前処理液から前記溶媒を蒸発させることにより、前記昇華性物質の固体を前記基板の前記上面上に析出させる最終析出工程とをさらに含み、前記析出工程が、前記第1析出工程であり、前記昇華工程が、前記最終析出工程の終了後に実行され、前記第1溶解工程が、前記厚み判定工程において、前記液膜の厚みが基準厚み範囲内であると判定された場合に実行される、項10または11に記載の基板処理方法。
第1析出工程において昇華性物質の固体が析出し始めたときは基板の上面に乾燥前処理液が残っている。第1溶解工程では、この乾燥前処理液に昇華性物質の固体の少なくとも一部が溶解される。その後、最終析出工程において、再び、乾燥前処理液から溶媒を蒸発させる。これにより、溶媒の含有量が減少し、昇華性物質の固体が基板の上面上に析出する。
昇華性物質の固体を最初に析出させる前は、パターンの間だけでなく、パターンの上方にも乾燥前処理液が存在している。半導体ウエハやFPD用基板などの基板では、パターンの間隔が狭い。パターンの間隔が狭い場合、パターンの間にある乾燥前処理液は、乾燥前処理液のバルク、つまり、基板の上面の乾燥前処理液の表面からパターンの上面までの範囲に位置する乾燥前処理液とは性質が異なる。両者の性質の違いは、パターンの間隔が狭くなるにしたがって顕著になる。
パターンの間隔が狭いと、昇華性物質の固体を最初に析出させたときに、乾燥前処理液のバルクだけに昇華性物質の固体が析出し、昇華性物質の固体がパターンの間に存在しないまたは殆ど存在しない不完全析出領域が基板の上面内に形成される場合がある。この場合、パターンの間の乾燥前処理液の表面張力がパターンの側面に加わるので、昇華性物質の固体が昇華する際に、不完全析出領域内のパターンが倒壊し得る。これは、パターンの倒壊率を上昇(悪化)させる原因となる。
これに対して、析出した昇華性物質の固体を乾燥前処理液に溶解させた後に、再び昇華性物質の固体を析出させると、パターンの間の空間等の狭い空間にも昇華性物質の固体の結晶核が形成される。したがって、第1溶解工程において析出した昇華性物質の固体を乾燥前処理液に溶解させた後に、最終析出工程において再び昇華性物質の固体を析出させれば、パターンの間隔が狭い場合であっても、不完全析出領域の発生を防止したり、その面積を減らしたりすることができる。
また、この方法によれば、第1溶解工程は、乾燥前処理液の液膜の厚みが厚み判定工程において基準厚み範囲内であると判定された場合に開始される。つまり、第1溶解工程は、適切な厚みの昇華性物質の固体が形成されたことをきっかけとして開始される。そのため、適切な厚みの昇華性物質の固体が形成された場合にのみ、第1溶解工程、最終析出工程、および昇華工程が実行される。昇華工程の終了後に、パターンの倒壊率が低減された基板を得ることができる。
適切な厚みの昇華性物質の固体が形成されていない場合には、第1析出工程よりも後の工程(第1溶解工程、最終析出工程、および昇華工程)を実行することなく、基板処理を早期に中断することができる。
13.前記基板の前記上面上の前記乾燥前処理液から前記溶媒を蒸発させることにより、前記昇華性物質の固体を前記基板の前記上面上の前記乾燥前処理液中に析出させる第1析出工程と、前記昇華性物質の固体の少なくとも一部を前記基板の前記上面上の前記乾燥前処理液に溶解させる第1溶解工程と、前記昇華性物質の固体が溶解した前記乾燥前処理液から前記溶媒を蒸発させることにより、前記昇華性物質の固体を前記基板の前記上面上に析出させる最終析出工程とをさらに含み、前記析出工程が、前記第1析出工程および前記最終析出工程の少なくとも一方を含み、前記昇華工程が前記最終析出工程の後に実行される、項1~11のいずれか一項に記載の基板処理方法。
この方法によれば、析出した昇華性物質の固体を乾燥前処理液に溶解させた後に、昇華性物質の固体が再び析出する。そのため、パターンの間隔が狭い場合であっても、不完全析出領域の発生を防止したり、その面積を減らしたりすることができる。これにより、パターンの倒壊を減らすことができ、パターンの倒壊率を低下させることができる。
また、この方法によれば、第1析出工程および最終析出工程の少なくともいずれかにおいて、昇華性物質の固体が析出する前に、すなわち、昇華性物質の濃度が昇華性物質の飽和濃度に達する前に、液膜中の昇華性物質の濃度が基準濃度範囲内であるか否かが判定される。液膜中の昇華性物質の濃度が基準濃度範囲内であると判定された場合には、適切な厚みの昇華性物質の固体が形成される。そして、最終析出工程の終了後に昇華性物質の固体が昇華されるので、パターンの倒壊率が低減された基板を得ることができる。
一方、液膜中の昇華性物質の濃度が基準濃度範囲内でないと判定された場合には、基板処理を中断すれば、適切でない厚みの昇華性物質の固体が昇華されることを未然に防ぐことができる。これにより、パターンの倒壊率の上昇を抑制することができる。
パターンの倒壊率は、基板の上面に最終的に形成される昇華性物質の固体の厚みに依存するため、濃度判定工程は、最終析出工程で実行されることが好ましい。しかしながら、第1溶解工程および最終析出工程において蒸発する溶媒の量は、予測可能である。そのため、濃度判定工程が第1析出工程で実行された場合であっても、第1析出工程中の液膜中の昇華性物質の濃度に基づいて基板の上面に形成される昇華性物質の固体の厚みが適切であるか否かを判定することが可能である。
14.昇華性物質が溶媒中に溶解した溶液である乾燥前処理液を、パターンが形成された基板の上面に供給して、前記乾燥前処理液の液膜を前記基板の前記上面に形成する乾燥前処理液供給工程と、前記液膜から前記溶媒を蒸発させることにより、前記昇華性物質の固体を前記基板の前記上面に析出させる析出工程と、前記析出工程において、前記溶媒の蒸発によって前記昇華性物質の固体が析出した後、前記基板の前記上面の複数箇所において前記昇華性物質の固体の高さ位置を測定することによって、前記昇華性物質の固体の表面の平坦度合を測定する平坦度合測定工程と、前記平坦度合測定工程において測定された平坦度合が基準平坦範囲内であるか否かを判定する平坦判定工程と、前記平坦判定工程において前記平坦度合が前記基準平坦範囲内であると判定された場合に、前記昇華性物質の固体を昇華させる昇華工程とを含む、基板処理方法。
この方法によれば、昇華性物質が溶媒中に溶解した溶液を基板の上面に供給する。これにより、乾燥前処理液の液膜が基板の上面に形成される。その後、乾燥前処理液の液膜から溶媒を蒸発させる。乾燥前処理液の液膜中における昇華性物質の濃度は、溶媒の蒸発に伴って上昇する。昇華性物質の濃度が昇華性物質の飽和濃度に達すると、昇華性物質の固体が乾燥前処理液の液膜中に析出する。
昇華性物質の固体の一部に厚みが薄すぎる部分や厚すぎる部分が存在する場合には、その部分におけるパターンの倒壊率が増加するおそれがある。そこで、基板の上面に析出した昇華性物質の固体の表面の平坦度合を測定し、測定した平坦度合が基準平坦範囲内であるか否かが判定される。これにより、基板の上面の全域において厚みが均等な昇華性物質の固体が形成されているか否かを調べることができる。
昇華性物質の固体の平坦度合が基準平坦範囲内であると判定された場合には、昇華性物質の固体が昇華されるので、パターンの倒壊率が低減された基板を得ることができる。一方、昇華性物質の固体の平坦度合が基準平坦範囲内でないと判定された場合には、基板処理を中断することで、パターンの倒壊率が上昇した基板の発生を抑制できる。
15.前記平坦度合測定工程において前記平坦度合が前記基準平坦範囲でないと判定された場合に、除去液を前記基板の前記上面に供給することによって、前記基板の前記上面から前記昇華性物質の固体を除去する固体除去工程をさらに含む、項14に記載の基板処理方法。
この方法によれば、昇華性物質の固体の平坦度合が基準平坦範囲内でない場合に、除去液によって、基板の上面から昇華性物質の固体が除去される。そのため、昇華性物質の固体の一部に厚みが薄すぎる部分や厚すぎる部分が存在する場合においてもパターンの倒壊を抑制することができる。また、基板の上面上の昇華性物質の固体が除去されるので、基板を再利用することができる。
16.昇華性物質が溶媒中に溶解した溶液である乾燥前処理液を、パターンが形成された基板の上面に液膜が形成されるように前記基板の前記上面に供給する乾燥前処理液供給ユニットと、前記昇華性物質の固体が析出するように、前記液膜から前記溶媒を蒸発させる溶媒蒸発ユニットと、前記液膜の厚みを測定する膜厚測定ユニットと、前記基板上に形成された前記昇華性物質の固体を昇華させる昇華ユニットと、前記液膜中の前記昇華性物質の濃度が基準濃度範囲内であるか否かを判定するコントローラとを含む、基板処理装置。この構成によれば、前述の基板処理方法と同様の効果を奏する。
1 :基板処理装置
3 :コントローラ
10 :スピンチャック
14 :スピンモータ(溶媒蒸発ユニット、昇華ユニット)
39 :乾燥前処理液ノズル(乾燥前処理液供給ユニット)
55 :中心ノズル(溶媒蒸発ユニット、昇華ユニット)
61 :遮断部材の上中央開口(溶媒蒸発ユニット、昇華ユニット)
71 :下面ノズル(溶媒蒸発ユニット)
91 :膜厚測定ユニット
120 :乾燥前処理液膜(乾燥前処理液の液膜)
121 :昇華性物質の固体
191 :膜厚測定ユニット
PA :パターン
W :基板

Claims (6)

  1. 昇華性物質が溶媒中に溶解した溶液である乾燥前処理液を、パターンが形成された基板の上面に供給して、前記乾燥前処理液の液膜を前記基板の前記上面に形成する乾燥前処理液供給工程と、
    前記液膜から前記溶媒を蒸発させることにより、前記昇華性物質の固体を前記基板の前記上面に析出させる析出工程と、
    前記析出工程において、前記昇華性物質の固体が析出する前に、前記溶媒の蒸発によって前記液膜の厚みが減少する速度である膜厚減少速度を測定する膜厚減少速度測定工程と、
    前記膜厚減少速度測定工程において測定された前記膜厚減少速度が基準速度範囲内であるか否かを判定する減少速度判定工程と、
    前記減少速度判定工程において前記膜厚減少速度が前記基準速度範囲内であると判定された場合に、前記析出工程の終了後に、前記昇華性物質の固体を昇華させる昇華工程とを含む、基板処理方法。
  2. 前記基準速度範囲は、前記膜厚減少速度が前記基準速度範囲内となるときの前記液膜中の前記昇華性物質の濃度範囲を表す基準濃度範囲と、前記昇華性物質の濃度が異なる乾燥前処理液の液膜毎に前記膜厚減少速度を事前に測定して作成された基準データとに基づき定められる、請求項1に記載の基板処理方法。
  3. 昇華性物質が溶媒中に溶解した溶液である乾燥前処理液を、パターンが形成された基板の上面に供給して、前記乾燥前処理液の液膜を前記基板の前記上面に形成する乾燥前処理液供給工程と、
    前記液膜から前記溶媒を蒸発させることにより、前記昇華性物質の固体を前記基板の前記上面に析出させる析出工程と、
    前記析出工程において、前記溶媒の蒸発によって前記昇華性物質の固体が析出する直前に、前記液膜の厚みを測定する膜厚測定工程と、
    前記膜厚測定工程において測定された前記液膜の厚みが前記昇華性物質の固体の基準厚み範囲内であるか否かを判定する厚み判定工程と、
    前記膜厚測定工程において測定された前記液膜の厚みが前記厚み判定工程において前記基準厚み範囲内であると判定された場合に、前記析出工程の終了後に、前記昇華性物質の固体を昇華させる昇華工程とを含む、基板処理方法。
  4. 前記液膜の厚みが前記厚み判定工程において前記基準厚み範囲内でないと判定された場合に、異常を報知する異常報知工程をさらに含む、請求項3に記載の基板処理方法。
  5. 前記析出工程において、前記液膜の厚みが前記厚み判定工程において前記基準厚み範囲内であると判定された場合に、前記基板の前記上面の複数箇所において前記昇華性物質の固体の表面の高さ位置を測定することによって、前記昇華性物質の固体の表面の平坦度合を測定する平坦度合測定工程と、
    前記平坦度合測定工程において測定された平坦度合が基準平坦範囲内であるか否かを判定する平坦判定工程とをさらに含み、
    前記昇華工程が、前記平坦度合測定工程において測定された平坦度合が前記平坦判定工程において前記基準平坦範囲内であると判定された場合に、前記析出工程の終了後に、実行される、請求項3または4に記載の基板処理方法。
  6. 前記平坦度合測定工程において前記平坦度合が前記基準平坦範囲でないと判定された場合に、前記基板の前記上面に除去液を供給することによって、前記基板の前記上面から前記昇華性物質の固体を除去する固体除去工程をさらに含む、請求項5に記載の基板処理方法。
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