JP3923006B2 - 無機化合物含有非球状樹脂粒子及びその製造方法 - Google Patents

無機化合物含有非球状樹脂粒子及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無機化合物含有非球状樹脂粒子及びその製造方法に関する。更に詳しくは、本発明は、無機化合物が表面に偏在し、レンズ状や略半球状の形状を有する無機化合物含有非球状樹脂粒子及びその製造方法に関する。本発明の無機化合物含有非球状樹脂粒子は、銀塩フィルム用表面改質剤、磁気テープ用フィルム改質剤、感熱紙走行安定剤、トナー、低収縮化剤、歯科材料、樹脂改質剤等や、電子工業分野、接着剤分野、医療分野、化粧品分野、製紙分野、一般工業分野等における製品の原料として適している。
【0002】
【従来の技術】
プラスチックの力学的性質を向上させる目的、現像剤の荷電性を変化させずにクリーニング特性を向上させる目的、塗料の艶消し性や隠蔽性を向上させる目的、化粧品の滑り性を向上させる目的等の多様な目的で様々な樹脂粒子が使用されている。
【0003】
樹脂粒子は、粉砕法や乳化重合法、懸濁重合法、シード重合法、分散重合法等によって製造されるため、通常、不定形又は球状のいずれかの形態となる。しかしながら、さらなる機能化を実現するために前記以外の形状の樹脂粒子の開発が行われている。
【0004】
例えば、国際公開番号WO01/70826のパンフレット(特許文献1)には、複数の曲面からなるレンズ状、あるいは複数の曲面と一つの平面とで形成された略半球状の形状を有する非球状樹脂粒子が記載されている。このパンフレットに記載の形状は、上記目的用の樹脂粒子として有用に使用することができる。
【0005】
更に、別の観点から機能化を実現するために、樹脂粒子に所望の機能を付与するための無機化合物を含有させることも行われている。そのような技術として、例えば、特開平1−178558号公報(特許文献2)及び特開平2−34602号公報(特許文献3)に記載の技術がある。これら公報では、球状の樹脂粒子に無機化合物を均一に分散している。
【0006】
また、更なる多様な目的に使用することを期待して、樹脂粒子に無機化合物を偏在させる技術が提案されている(特開平10−87841号公報;特許文献4)。この公報では、球状樹脂粒子の所望の面をタンパク質等の薬剤で処理し、表面に異種の修飾や親水性及び疎水性等の異方性を付与した樹脂粒子を得ている。
【0007】
【特許文献1】
国際公開番号WO01/70826のパンフレット
【特許文献2】
特開平1−178558号公報
【特許文献3】
特開平2−34602号公報
【特許文献4】
特開平10−87841号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記いずれの技術においても、無機化合物が偏在し、かつ不定形や球状以外の形状の樹脂粒子を得ることはできなかった。従って、高機能性や様々な使用目的に対応するため、無機化合物を偏在させることで特定の表面のみ粒子の性質を異ならせた非球状の樹脂粒子及びその製造方法の提供が望まれている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、以下の無機化合物含有非球状樹脂粒子及びその製造方法により、レンズ状や略半球状の形状を有し、無機化合物が表面に偏在する非球状の樹脂粒子が得られることを見いだし本発明を完成させた。すなわち、本発明では、重合性ビニルモノマーからなる油相を懸濁重合させるに際して、重合性ビニルモノマーに無機化合物及び特定の粘度の疎水性の有機化合物を予め混合しておくことにより、重合の進行につれて、無機化合物及び疎水性の有機化合物が粒子の表面側に移動することを利用している。
【0010】
かくして本発明によれば、無機化合物を分散した重合性ビニルモノマー100重量部に、重合性官能基を有する燐酸エステル及び/又は重合性官能基を有するアルコキシシランを0.001〜5重量部混合した混合物に、25℃における粘度が10〜1000000cStである疎水性の液状化合物を7〜50重量部混合溶解した後、水系で懸濁重合させ、次いで、液状化合物を除去することにより得られ、二つの曲面からなるレンズ状あるいは一つの曲面と一つの平面とで形成された略半球状の形状の粒子でありレンズ状の粒子のいずれか一方の曲面、又は略半球状の形状の粒子の曲面又は平面に、無機化合物が偏在していることを特徴とする無機化合物含有非球状樹脂粒子が提供される。
【0011】
更に本発明によれば、無機化合物を分散した重合性ビニルモノマー100重量部に、重合性官能基を有する燐酸エステル及び/又は重合性官能基を有するアルコキシシランを0.001〜5重量部混合した混合物に、25℃における粘度が10〜1000000cStである疎水性の液状化合物を7〜50重量部混合溶解した後、水系で懸濁重合させ、次いで、液状化合物を除去することにより上記無機化合物含有非球状樹脂粒子を得ること特徴とする無機化合物含有非球状樹脂粒子の製造方法が提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明によって得られる無機化合物含有非球状樹脂粒子の形状は、複数の曲面からなるレンズ状、あるいは複数の曲面と一つの平面とで形成された略半球状の形状であれば、特に限定されない。より具体的には、半球状、碁石状、凸レンズ状、凹レンズ状、あるいはそれらに準ずる形状が挙げられる。このような形状を有する樹脂粒子は、通常の円板状粒子、偏平状粒子、板状粒子には見られない特性、例えば光散乱性、集光性等の光学特性や、滑り性等の摩擦特性を有している。また、平面あるいは、球状よりも曲率半径がより大きい曲面を有しているから、通常の球状粒子にはない特性、例えば付着性又は固着性をも有している。
【0013】
更に、比表面積が大きいため、表面反応性や機能性物質等の担持能力が増大している。また、非球状であるため、従来の中空や多孔質の球状粒子、球状粒子の集合体では期待できなかった独特の光学特性を有するばかりでなく、樹脂粒子の表面改質等による化学特性の向上や流動性等の物理特性の向上も期待できる。
【0014】
更に、無機化合物が樹脂粒子に偏在している。ここで、偏在とは、無機化合物が粒子全体に均一に分布している状態を意味するのではなく、粒子の特定の表面層付近にのみ含まれている状態を意味する。例えば、レンズ状粒子の場合、その最小粒子径線と交わる2つの曲面のいずれか一方に偏在し、略半球状粒子の場合、その最小粒子径線と交わる面又は平面のいずれか一方に無機化合物が偏在している。
無機化合物が偏在することで、高機能性や様々な使用目的に対応するため、表面に方向性や異方性を持たせた樹脂粒子を得ることができる。
無機化合物が偏在している状態については、例えば透過顕微鏡、透過電子顕微鏡、走査電子顕微鏡等の方法により観察することができる。
【0015】
また、本発明の樹脂粒子は、その走査型電子顕微鏡による観察による粒子の最大粒子径をDとすると、1.0μm≦D≦500μmの範囲であることが好ましい。更に好ましくは、2μm≦D≦100μmで、最小粒子径をdとすると、0.05≦d/D≦0.8の形状である。d/Dが0.05未満の場合、板状に近い形状であるためすべり性や、隠蔽性等の機能性が向上しないため好ましくない。0.8より大きい場合、球状又は略球状の形状となり、0.05未満の場合と同様に機能性の向上が期待できないため好ましくない。なお、本明細書の最大粒子径及び最小粒子径は、任意に選択した粒子50個の個々の最大粒子径及び最小粒子径を顕微鏡写真から算出し、得られた値の平均値を意味する。
これらの形状については、以下で説明する疎水性液状化合物や重合性ビニルモノマーの種類や使用割合の選択により調整可能である。
【0016】
以下、本発明の無機化合物含有非球状樹脂粒子を、その製造方法を参照しつつ説明する。
まず、重合性ビニルモノマーに無機化合物を分散させる。
重合性ビニルモノマーは、後述する疎水性の液状化合物と均一に混合溶解し、重合中に液状化合物と反応性、例えば、重合反応性あるいは架橋反応性を有さないものであれば、何ら制限されず、単官能でも多官能でもよい。
【0017】
単官能重合性ビニルモノマーとしては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、n−メトキシスチレン、p−フエニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン等のスチレン及びその誘導体、
エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のエチレン不飽和モノオレフイン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、弗化ビニル等のハロゲン化ビニル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、
【0018】
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フエニル、α−クロルアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フエニル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、
【0019】
アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル等のアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体等が挙げられる。更に、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマール酸等も使用できる。
【0020】
また、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類、N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物、ビニルナフタリン塩等を本発明の効果を妨げない範囲で1種もしくは2種以上組み合わせて使用する事もできる。
【0021】
多官能性重合性ビニルモノマーは、例えば、アリル(メタ)アクリレートのようなアリル基を有するビニルモノマー、アジピン酸ジビニル、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等のビニル基を1分子中に複数有するビニルモノマーを挙げることができる。(メタ)クリレートは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
【0022】
無機化合物としては、樹脂粒子に付与する機能に応じて適宜選択することができる。例えば、無機顔料や無機磁性体等が挙げられる。無機化合物としては、例えば、アルミナ、二酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、各種無機酸化物顔料、酸化クロム、酸化セリウム、酸化鉄、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ微粉体、炭化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化チタン、酸化セリウム等の粉末ないし粒子が挙げられる。特に酸化ジルコニウム、二酸化チタン、酸化鉄等の金属酸化物を好適に用いることができる。
【0023】
また、無機化合物として、二酸化チタン又は酸化ジルコニウム、酸化亜鉛等を用いた場合には、紫外線遮蔽能を付与することが可能であり、また磁性酸化鉄を用いた場合には、磁性を付与することができる。
これらの無機化合物の形状は、特に限定されず、球状、不定形状、鱗片状、針状等が挙げられる。また、その粒子径は1μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.5μm以下、更に好ましくは0.3μm以下である。特に、粒子径は、最終的に得られる樹脂粒子の粒子径の1/10程度以下であることが好ましい。
【0024】
重合性ビニルモノマー中における無機化合物の配合量は、特に限定されるものではなく、また使用する無機化合物の種類、比重等によっても左右される。例えば、重合性ビニルモノマー100重量部に対し、無機化合物1〜50重量部が好ましく、より好ましくは3〜30重量部程度である。無機化合物が1重量部未満では、得られる樹脂粒子における無機化合物の複合による隠蔽性等の効果が充分なものとならないので好ましくない。一方、50重量部を越えるものであると、添加量を増加させた効果があまり見られず、また樹脂粒子の異形化が阻害される虞があるため好ましくない。
【0025】
本発明においては、このような無機化合物の前記重合性ビニルモノマーへの分散を、重合性官能基を有する燐酸エステル類及び/又は重合性官能基を有するアルコキシシラン類の存在下に行うことが必要である。このようなものとして、アシッドホスホキシエチルメタクリレート、3−クロロ−2−アシッドホスホキシプロピルメタクリレート、アシッドホスホキシポリオキシエチレングリコールモノメタクリレート等のリン酸エステル類、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルエトキシシラン等のアルコキシシラン類を好適に用いることができる。特に、前述のリン酸エステル類は無機化合物との親和性が高く、無機化合物を効果的に疎水化できるため好適である。
【0026】
重合性官能基を有する燐酸エステル類及び/又は重合性官能基を有するアルコキシシランの不存在下においては、通常無機化合物の表面処理剤として用いられる本発明の樹脂粒子と反応性を有さないシランカップリング剤、チタネートカップリング剤等のカップリング剤を用いて無機化合物を疎水化処理して用いた場合には、樹脂粒子の表面に無機化合物が固定化されず、本発明の樹脂粒子の製造工程において、液状化合物を除去する過程で無機化合物が樹脂粒子の表面から脱離する。そのため、本発明においては重合性官能基を有する燐酸エステル類及び/又は重合性官能基を有するアルコキシシラン類を用いることが、無機化合物を樹脂粒子の表面に固定化する目的で用いられる。
【0027】
本発明においては、
(1)重合性ビニルモノマーに上記のごとき重合性官能基を有する燐酸エステル類及び/又は重合性官能基を有するアルコキシシラン類を予め溶解ないし分散させた後、無機化合物を添加するか、あるいは
(2)重合性官能基を有する燐酸エステル類及び/又は重合性官能基を有するアルコキシシラン類を無機化合物と同時に添加し、
その後適当な攪拌装置等を用いて無機化合物の分散処理を行うことが好ましい。
【0028】
重合性官能基を有する燐酸エステル類及び/又は重合性官能基を有するアルコキシシラン類の添加量としては、使用される無機化合物の種類及び量、並びに使用する燐酸エステル類の種類によっても左右される。例えば、重合性ビニルモノマーを含む組成物100重量部に対し、0.001〜20重量部が好ましく、より好ましくは2〜10重量部程度である。すなわち、0.001重量部未満では、その添加による無機化合物の分散安定性の向上、及び懸濁時及び重合過程での水相への無機化合物の移行防止効果が充分に期待できないので好ましくない。また、20重量部を越えるものであると、添加量を増加させてもその効果はさほど向上しないので好ましくない。
【0029】
また、燐酸エステル類及び/又はアルコキシシラン類の存在下における重合性ビニルモノマー中への無機化合物の分散処理を行う装置としては特に限定されるものではないが、例えば、ボールミル、アトライター、サンドミル等のメディア型分散装置、ホモミキサー、ホモジナイザー、バイオミキサー等の剪断型分散装置、超音波分散装置等が好ましく例示できる。
【0030】
次に、得られた混合物に、25℃における粘度が10〜1000000cStである疎水性の液状化合物を7〜50重量部混合溶解する。
本発明で用いる疎水性の液状化合物は、25℃における粘度が、10〜1000000cStであって、かつ重合性ビニルモノマーと共重合性を有さない、あるいはビニルモノマー中に存在する官能基と懸濁重合中に架橋反応せず、更には媒体である水と反応あるいは水によっても変質しない疎水性の化合物であるものが好ましい。
【0031】
具体的には、オルガノポリシロキサンあるいはパラフィンが好ましい。オルガノポリシロキサンとしては、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、アルキル又はフッ素アルキル変性等の各種有機変性ポリシロキサン等のポリシロキサン類が挙げられる。より好ましくは、25℃における粘度が、20〜100000cStであるジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、フッ素化アルキル変性メチルポリシロキサンである。
パラフィンとしては、流動パラフィン、単環シクロパラフィン、二環シクロパラフィン、イソパラフィン、n−パラフィン等が挙げられる。
【0032】
また、必要に応じて重合開始剤を使用することができる。重合開始剤としては、通常懸濁重合に用いられる油溶性の過酸化物系あるいはアゾ系開始剤が利用できる。一例を挙げると、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化オクタノイル、オルソクロロ過酸化ベンゾイル、オルソメトキシ過酸化ベンゾイル、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、キュメンハイドロパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド等の過酸化物系開始剤、
【0033】
2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2´−アゾビス(2,3−ジメチルブチロニトリル)、2,2´−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2´−アゾビス(2,3,3−トリメチルブチロニトリル)、2,2´−アゾビス(2−イソプロピルブチロニトリル)、1,1´−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2´−アゾビス(4−メチキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、4,4´−アゾビス(4−シアノバレリン酸)、ジメチル−2,2´−アゾビスイソブチレート等がある。
【0034】
この中でも、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)が目的とする樹脂粒子が得られやすいという点から好ましい。重合開始剤は、重合性ビニルモノマーに対して、0.01〜10重量%使用されるのが好ましく、特に0.1〜5.0重量%使用されるのが好ましい。
【0035】
上記モノマー組成物は、水性媒体を使用して懸濁重合に付される。懸濁重合においては、懸濁粒子の安定化を図るために、通常、モノマー組成物100重量部に対して100〜1000重量部の水性媒体が使用される。水性媒体としては、水、水とアルコール等の水溶性媒体との混合媒体が挙げられる。
【0036】
また、モノマー組成物の懸濁重合を安定化させるための懸濁安定剤を水性媒体に添加してもよい。懸濁安定剤としては、目的とする樹脂粒子が得られるものであれば何ら制限されるものではない。例えば、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛等のリン酸塩、ピロリン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、ピロリン酸アルミニウム、ピロリン酸亜鉛等のピロリン酸塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、コロイダルシリカ等の難水溶性無機化合物が挙げられる。この中でも第三リン酸カルシウムや複分解生成法によるピロリン酸マグネシウムあるいはピロリン酸カルシウム、コロイダルシリカを使用すると、目的とする樹脂粒子を安定して得ることが可能であるため好ましい。
【0037】
また、上記懸濁安定剤と、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性イオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等の界面活性剤を併用することも可能である。
アニオン性界面活性剤としては、オレイン酸ナトリウム、ヒマシ油カリ等の脂肪酸油、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等がある。
【0038】
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレン−オキシプロピレンブロックポリマー等がある。
カチオン性界面活性剤としては、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート等のアルキルアミン塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩等がある。
両性イオン界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミンオキサイド等がある。
【0039】
これら懸濁安定剤や界面活性剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよいが、得られる重合前のモノマー組成物からなる粒子の径と重合時の分散安定性を考慮して、その分散安定剤の選択や使用量を適宜調節して使用することが好ましい。通常、懸濁安定剤のモノマーに対する添加量は 0.5〜15重量%で、界面活性剤の添加量は水に対し通常0.001〜0.2重量%である。
【0040】
このようにして調製された水性媒体に、モノマー組成物を添加して、懸濁重合を行う。添加方法としては、水性媒体中にモノマー組成物を直接添加し、プロペラ翼等の撹拌力によってモノマー滴に分散する方法、ローターとステーターから構成される高剪断力を利用する分散機であるホモミキサーにより分散する方法、超音波分散機等を用いて分散する方法、マイクロフルイダイザー、ナノマイザー等の液滴同士の衝突や機壁への衝突力を利用した高圧型分散機やMPG(マイクロポーラスガラス)多孔膜を通しモノマー組成物を水性媒体中に圧入する等の方法が挙げられる。これら方法の内、高圧型分散機やMPGを用いる方法が、粒子径をより均一に揃えることができる。
【0041】
粒子径は、モノマー組成物と水性媒体との混合条件、分散安定剤等の添加量及び上記の攪拌条件、分散条件をコントロールすることで調整可能である。その粒子径は用途に応じて決定され、本製造法によれば1.0〜500μmの直径のものを得ることができるが、好ましくは、2.0〜100μmのものが得られやすい。
【0042】
次いで、モノマー組成物が球状の液滴として分散された水性媒体を、加熱することにより重合を開始する。重合中の撹拌はモノマー滴の浮上や重合後の樹脂粒子の沈降が防止される程度に緩く行えばよい。上記懸濁重合反応において、重合温度は30〜100℃、更には40〜80℃とするのが好ましい。そして、この温度で保持しながら重合させる時間としては一般的に0.1〜10時間程度が好ましい。
重合終了後、必要に応じて、分散安定剤を塩酸等により溶解し、樹脂粒子を吸引濾過、遠心分離、遠心濾過等の操作により水性媒体から分離する。更に、得られた樹脂粒子の含水ケーキを水洗し、乾燥して目的の樹脂粒子を得ることができる。
【0043】
このようにして得られた樹脂粒子は、液状化合物との混合物として得られるため、液状化合物は溶解するが、樹脂は溶解しない溶剤で洗浄等により除去することが好ましい。そのような溶剤としては、液状化合物の種類や樹脂粒子の種類にもよるが、一般的には、メタノールやエタノール、イソプロパノール、イソブタノール等のアルコール類、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の低級炭化水素類、エチルエーテル、ブチルエーテル等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類等を使用して洗浄するのが好ましい。液状化合物の除去操作は必要に応じ繰り返してもよい。
【0044】
なお、樹脂粒子の形状の制御は、単官能性重合性ビニルモノマーや多官能性重合性ビニルモノマー、液状化合物の種類及び粘度、使用量、重合速度ならびに樹脂粒子の粒子径によって様々に制御することが可能である。この内、特に液状化合物の粘度によって大きく左右される。
【0045】
例えば、メタクリル酸エステルに対し、高粘度の液状化合物を使用した場合には、球面と平面より構成される半球状あるいは薄い凸レンズ状の樹脂粒子が得られやすく、低粘度の液状化合物を使用した場合には球面と曲面より構成される厚い凸レンズ状の粒子が得られやすい。
上記本発明の方法によれば、幅広い樹脂種に対して、新規な形状を有し、無機化合物が偏在した樹脂粒子を安価で容易に製造することが可能である。
【0046】
本発明の無機化合物含有非球状樹脂粒子は、銀塩フィルム用表面改質剤、磁気テープ用フィルム改質剤、感熱紙走行安定剤、トナー、低収縮化剤、歯科材料、樹脂改質剤等や、電子工業分野、接着剤分野、医療分野、化粧品分野、製紙分野、一般工業分野等における製品の原料として適している。
【0047】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0048】
実施例1
水200gに、分散安定剤として複分解法で生成したピロリン酸マグネシウム5gを含む分散媒を500mlセパラブルフラスコに加え、界面活性剤としてラウリル硫酸ナトリウム0.04g及び亜硝酸ナトリウム0.02gを溶解させて水性媒体とした。
【0049】
これとは別に、メチルメタクリレート72g、液状化合物としてジメチルポリシロキサン(粘度1000cSt、25℃)10g、無機化合物として二酸化チタン(石原産業社製商品名CR−50、平均粒子径0.25μm)18g、重合性官能基を有するリン酸エステル類としてアシッドホスホキシエチルメタクリレート(共栄社製商品名ライトエステルP−1M)0.5gを混合し、この混合物をホモミキサー(IKA社製ULTRA TURRAX T−25)を用いて8000rpmにて10分間均一分散処理してモノマー組成物を得た。その後、重合開始剤として2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.5gを上記モノマー組成物に混合溶解した。
【0050】
更に、モノマー組成物を上記水性媒体に加えた。この混合物をホモミキサー(IKA社製ULTRA TURRAX T−25)にて8000rpmで約10秒微分散した。フラスコに撹拌翼、温度計及び還流冷却器を取り付け、窒素パージ後、60℃の水浴中にフラスコを設置した。撹拌速度200rpmで10時間加熱を継続し、重合反応を行った。
【0051】
重合反応が終了したことを確認した後、反応液を冷却し、スラリーのpHが2程度になるまで塩酸を添加して分散剤を分解した。濾紙を用いたブフナー漏斗で粒子を吸引濾過し、1.2リットルのイオン交換水で洗浄し懸濁安定剤を除去した。吸引濾過後の脱水ケーキを乾燥した後、ノルマルヘプタンに分散させ、吸引濾過することを数回繰り返して、目的の樹脂粒子を得、電子顕微鏡写真にて形状の観察を行った。
得られた粒子は、最大粒子径が5〜40μm程度に分布のある平面と球面からなる半球状の樹脂粒子であり、平面上に二酸化チタンが偏在していた。樹脂粒子の透過顕微鏡写真を図1に示し、その模式図を図2に示す。得られた樹脂粒子をノルマルヘプタンに分散させ、吸引濾過することを3回繰り返しても二酸化チタンが樹脂粒子より脱離しなかった。
【0052】
更に、実施例1の樹脂粒子の反射光特性を以下のように評価する。
実施例1の樹脂粒子及び市販の酸化チタン顔料を粒子内部に含有した市販品Aの微粒子(PMMA粒子;商品名テクポリマーMBT−0530A 平均粒子径5μm 酸化チタン30%含有)の反射光特性を次のようにして測定した。
【0053】
まず、白黒隠蔽性試験紙(東洋精機社製)に両面テープを空気をかまないように貼り付ける。両面テープの粘着面側に化粧用パフにて樹脂粒子を均一に伸ばし塗布する。余分な樹脂粒子は筆を使用して充分はき落とす。これを試料として三次元光度計(村上色彩研究所製、ゴニオフォトメーターGP−200)にて、図3の模式図に示すように、入射角−45°の際の反射角0°〜90°における反射光度分布を測定する。図4に反射角度45°に反射光強度を100した時の、反射角0°〜80°における光度を示した。
【0054】
図4の反射光特性評価から明らかなように、実施例1の樹脂粒子は入射光に対し正反射方向だけでなく幅広い角度において高い反射光強度を有している。このことは、例えば、ファンデーション等の化粧料に配合した場合には、これまでの顔料が粒子内部に均一に分散した樹脂粒子では得られないソフトフォーカス効果が期待できることを示している。
【0055】
実施例2
実施例1において、メチルメタクリレート64g、液状化合物としてジメチルポリシロキサン(粘度1000cSt、25℃)20g、無機化合物として二酸化チタン(石原産業社製商品名CR−50)16g、重合性官能基を有するアルコキシシラン類としてγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.5gを用いたこと以外は実施例1と同様にして樹脂粒子を得た。
得られた粒子は、最大粒子径が5〜40μm程度に分布のある平面と球面からなる半球状の樹脂粒子であり、平面上に二酸化チタンが偏在していた。樹脂粒子の透過顕微鏡写真を図5に示し、その模式図を図2に示す。得られた樹脂粒子をノルマルヘプタンに分散させ、吸引濾過することを3回繰り返しても二酸化チタンが樹脂粒子より脱離しなかった。
【0056】
実施例3
液状化合物としてジメチルポリシロキサン(粘度1000cSt、25℃)に替え、粘度100cStのジメチルポリシロキサンを用いたこと以外は実施例1と同様にして樹脂粒子を得た。
得られた粒子は、最大粒子径が5〜40μm程度に分布のある曲面と球面からなる凸レンズ状の樹脂粒子であり、曲面上に二酸化チタンが偏在していた。樹脂粒子の透過顕微鏡写真を図6に示し、その模式図を図7に示す。得られた樹脂粒子をノルマルヘプタンに分散させ、吸引濾過することを3回繰り返しても二酸化チタンが樹脂粒子より脱離しなかった。
【0057】
実施例4
液状化合物としてジメチルポリシロキサン(粘度1000cSt、25℃)に替え、粘度100cStの流動パラフィンを用いたこと以外は実施例1と同様にして樹脂粒子を得た。
得られた粒子は、最大粒子径が5〜40μm程度に分布のある曲面と球面からなる凸レンズ状の樹脂粒子であり、曲面上に二酸化チタンが偏在しており、実施例3とほぼ同様の粒子が得られた。樹脂粒子の透過顕微鏡写真を図8に示し、その模式図を図7に示す。得られた樹脂粒子をノルマルヘプタンに分散させ、吸引濾過することを3回繰り返しても二酸化チタンが樹脂粒子より脱離しなかった。
【0058】
実施例5
液状化合物としてジメチルポリシロキサン(粘度1000cSt、25℃)に替え、粘度1000cStのフッ素化アルキル変性ポリシロキサン(東レダウコーニングシリコーン社製フッ素変性シリコンオイル 製品名FS1265)を用いたこと以外は実施例1と同様にして樹脂粒子を得た。
得られた粒子は、最大粒子径が5〜40μm程度に分布のある平面と球面からなる半球状の樹脂粒子であり、球面上に二酸化チタンが偏在していた。樹脂粒子の模式図を図9に示す。得られた樹脂粒子をノルマルヘプタンに分散させ、吸引濾過することを3回繰り返しても二酸化チタンが樹脂粒子より脱離しなかった。
【0059】
実施例6
実施例1において、二酸化チタンに替え、磁性酸化鉄(チタン工業社製タロックス合成酸化鉄BL−100 平均粒子径0.4μm)を用いたこと以外は実施例1と同様にして樹脂粒子を得た。
得られた粒子は、最大粒子径が5〜40μm程度に分布のある曲面と球面からなる凸レンズ状の樹脂粒子であり、実施例3と同様に曲面上に酸化鉄が偏在していた。得られた樹脂粒子をノルマルヘプタンに分散させ、吸引濾過することを3回繰り返しても磁性酸化鉄が樹脂粒子より脱離しなかった。
【0060】
比較例1
実施例1においてリン酸エステル類に替え、チタネート系カップリング剤であるイソプロピルトリイソステアロイルチタネート(味の素ファインテクノ社製商品名プレンアクトTTS)に替えたこと以外は実施例1と同様にして樹脂粒子を得た。
得られた樹脂粒子は最大粒子径が5〜40μmである平面と球面からなる凸レンズ状の樹脂粒子であった。しかし、得られた樹脂粒子をノルマルヘプタンに分散させ、吸引濾過することを3回繰り返すと二酸化チタンが樹脂粒子より脱離した。
【0061】
比較例2
実施例1において液状化合物として1000cStのジメチルポリシロキサンをノルマルヘプタン(0.2cSt)に替えたこと以外は実施例1と同様にして樹脂粒子を得た。
得られた樹脂粒子は、粒子径が8〜50μmの球状の樹脂粒子であり、二酸化チタンは樹脂粒子内に均一に分散していた。
【0062】
比較例3
実施例1において、メチルメタクリレート85g、液状化合物としてジメチルポリシロキサン(粘度1000cSt、25℃)5g、無機系顔料として二酸化チタン(石原産業社製商品名CR−50)10gに替えたこと以外は実施例1と同様にして樹脂粒子を得た。
得られた樹脂粒子は、粒子径が4〜50μmの球状の樹脂粒子であり、二酸化チタンは樹脂粒子の一部に偏在していた。得られた樹脂粒子の模式図を図10に示す。
【0063】
【発明の効果】
本発明の無機化合物含有非球状樹脂粒子は、複数の曲面からなるレンズ状、あるいは複数の曲面と一つの平面とで形成された略半球状の形状を有し、その曲面又は平面上に無機化合物が偏在するため、例えばこれまでの樹脂粒子にはない光散乱性や親水性及び疎水性、又は正電荷及び負電荷、磁性等の異方性を付与することができる。
【0064】
このため、これらの性質を利用して、診断薬用粒子、医療用基材、生体適合性材料、歯科用材料、化粧用粉体、防汚染塗料、防曇材、帯電防止剤、導電性接着剤、導電性封止材、磁性粒子、記録媒体、クロマトグラフィー用充填材等への応用の可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の樹脂粒子の電子顕微鏡写真である。
【図2】実施例1と2の樹脂粒子の模式図である。
【図3】反射光度分布の測定法説明用の模式図である。
【図4】実施例1の樹脂粒子の反射光度分布図である。
【図5】実施例2の樹脂粒子の透過顕微鏡写真である。
【図6】実施例3の樹脂粒子の透過顕微鏡写真である。
【図7】実施例3と4の樹脂粒子の模式図である。
【図8】実施例4の樹脂粒子の透過顕微鏡写真である。
【図9】実施例5の樹脂粒子の模式図である。
【図10】比較例3の樹脂粒子の模式図である。

Claims (5)

  1. 無機化合物を分散した重合性ビニルモノマー100重量部に、重合性官能基を有する燐酸エステル及び/又は重合性官能基を有するアルコキシシランを0.001〜5重量部混合した混合物に、25℃における粘度が10〜1000000cStである疎水性の液状化合物を7〜50重量部混合溶解した後、水系で懸濁重合させ、次いで、液状化合物を除去することにより得られ、二つの曲面からなるレンズ状あるいは一つの曲面と一つの平面とで形成された略半球状の形状の粒子でありレンズ状の粒子のいずれか一方の曲面、又は略半球状の形状の粒子の曲面又は平面に、無機化合物が偏在していることを特徴とする無機化合物含有非球状樹脂粒子。
  2. 無機化合物含有非球状樹脂粒子が、その最大粒子径をD、最小粒子径をdとしたとき、1.0μm≦D≦500μm、0.05≦d/D≦0.8の形状を有する請求項1に記載の粒子。
  3. 無機化合物が、レンズ状粒子の場合、最小粒子径線と交わる2つの曲面のいずれか一方に偏在し、略半球状粒子の場合、最小粒子径線と交わる曲面又は平面のいずれか一方に偏在する請求項1に記載の粒子。
  4. 無機化合物を分散した重合性ビニルモノマー100重量部に、重合性官能基を有する燐酸エステル及び/又は重合性官能基を有するアルコキシシランを0.001〜5重量部混合した混合物に、25℃における粘度が10〜1000000cStである疎水性の液状化合物を7〜50重量部混合溶解した後、水系で懸濁重合させ、次いで、液状化合物を除去することにより請求項1に記載の無機化合物含有非球状樹脂粒子を得ること特徴とする無機化合物含有非球状樹脂粒子の製造方法。
  5. 疎水性の液状化合物が、オルガノポリシロキサンあるいはパラフィンである請求項4に記載の製造方法。
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