JP3922749B2 - 給湯燃焼制御方法、およびこれを用いた給湯器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、出湯時にフィードフォワード給湯燃焼制御を所定時間だけ実行し、当該所定時間経過後に当該フィードフォワード給湯燃焼制御に加えてフィードバック燃焼制御を実行することにより湯温変動量を最小にする給湯燃焼制御方法、およびこれを用いた給湯器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来この種の燃焼制御方法、およびこれを用いた給湯器においては、出湯時に、フィードフォワード給湯燃焼制御を一定時間(つまり、固定時間)だけ実行し、当該固定時間経過後に当該フィードフォワード給湯燃焼制御に加えてフィードバック燃焼制御を実行することにより湯温変動量を最小にする湯温の安定化制御を行っていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の技術では、出湯時に実行するフィードフォワード給湯燃焼制御の時間は一定(つまり、固定)であるため、当該固定時間中に湯温変動量が所定の変動範囲に収らない内にフィードバック燃焼制御に制御が移行されることがあり、このために、湯温変動量が逆に大きくなってしまうことがあるという問題点があった。
【0004】
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたもので、出湯時の入水量、または前回の出湯停止から再出湯までの待機時間に応じて、フィードフォワード給湯燃焼制御を実行する所定時間を最適化するとともに、所定時間経過後にフィードフォワード給湯燃焼制御に加えてフィードバック燃焼制御を実行することにより、広い湯温変動範囲において湯温変動量を最小にすることができる給湯燃焼制御方法、およびこれを用いた給湯器を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するための要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
【0006】
[1] 出湯時にフィードフォワード給湯燃焼制御を所定時間(19a)だけ実行し、当該所定時間(19a)経過後に当該フィードフォワード給湯燃焼制御に加えてフィードバック燃焼制御を実行することにより湯温変動量(22a)を最小にする給湯燃焼制御方法において、
前記出湯時の入水量(12b)、または前回の出湯停止から再出湯までの待機時間(16a)に応じて、前記フィードフォワード給湯燃焼制御を実行する前記所定時間(19a)を可変にし、
前記所定時間(19a)を、フィードフォワード給湯燃焼制御を開始してから、フィードフォワード燃焼補正ガス量(20a)が所定の範囲(GF士△GF)に達するまでの時間とし、
再出湯時に、フィードフォワード燃焼補正ガス量(20a)が目標ガス量(GF)に対して大きくなる待機時間(16a)が短い場合、湯温変動量を最小にする所定の範囲(GF十△GF)内に達した後は、フィードフォワード給湯燃焼制御に加えてフィードバック燃焼制御が実行されるようにし、
再出湯時に、フィードフォワード燃焼補正ガス量(20a)が目標ガス量(GF)に対して小さくなる待機時間(16a)が長い場合、湯温変動量を最小にする所定の範囲(GF−△GF)内に達した後は、フィードフォワード給湯燃焼制御に加えてフィードバック燃焼制御が実行されるようにした、
ことを特徴とする給湯燃焼制御方法。
[2] 前記フィードフォワード燃焼補正ガス量(20a)の前記目標ガス量(GF)に対する前記所定の範囲(GF士△GF)の巾を前記目標ガス量(GF)の0〜10%に設定したことを特徴とする[1]項に記載の給湯燃焼制御方法。
【0007】
[3] 前記出湯時の給湯運転データ(12a)として、入水温、前記入水量(12b)、または前記給湯設定温度(12c)を求める給湯運転計測手段(12)と、
前記待機時間(16a)を求める待機時間計測手段(16)と、
前記出湯時に、前記給湯運転データ(12a)に基づいて前記湯温変動量(22a)を最小にするためのフィードフォワード燃焼補正ガス量(20a)を求めるフィードフォワードガス量算出手段(20)と、
前記出湯時の入水量(12b)、または前回の出湯停止から再出湯までの待機時間(16a)に応じて、前記所定時間(19a)を求めるフィードフォワード燃焼時間算出手段(19)と、
前記出湯時に、前記フィードフォワード燃焼補正ガス量(20a)を前記の所定時間(19a)だけ供給して前記湯温変動量(22a)を最小にする前記フィードフォワード給湯燃焼制御を実行するフィードフォワード燃焼制御手段(22)と、
を備えて成ることを特徴とする[1]または[2]項に記載の給湯燃焼制御方法を用いた給湯器(10)。
【0008】
本発明は次のように作用する。
本発明における給湯燃焼制御方法、およびこれを用いた給湯器(10)は、出湯時にフィードフォワード給湯燃焼制御を所定時間(19a)だけ実行し、所定時間(19a)経過後にフィードフォワード給湯燃焼制御に加えてフィードバック燃焼制御を実行することにより湯温変動量(22a)を最小にするものであって、出湯時の入水量(12b)、または前回の出湯停止から再出湯までの待機時間(16a)に応じて、フィードフォワード給湯燃焼制御を実行する所定時間(19a)を可変にすることができる。
これにより、広い湯温変動範囲において湯温変動量(22a)を最小にすることができる。
【0009】
更に詳しく本発明の作用について説明する。
給湯運転計測手段(12)は、出湯時の給湯運転データ(12a)として、入水温、入水量(12b)、または給湯設定温度(12c)を求めることができる。
【0010】
待機時間計測手段(16)は、前回の出湯停止から再出湯までの待機時間(16a)を計測する。
【0011】
フィードフォワードガス量算出手段(20)は、出湯時に、給湯運転データ(12a)に基づいて湯温変動量(22a)を最小にするためのフィードフォワード燃焼補正ガス量(20a)を求めることができる。
【0012】
フィードフォワード燃焼時間算出手段(19)は、出湯時の入水量(12b)、または前回の出湯停止から再出湯までの待機時間(16a)に応じて、所定時間(19a)を求めることができる。
【0013】
フィードフォワード燃焼制御手段(22)は、出湯時に、フィードフォワード燃焼補正ガス量(20a)を所定時間(19a)だけ供給して湯温変動量(22a)を最小にするフィードフォワード給湯燃焼制御を実行することができる。
【0014】
以上説明したように本発明の給湯燃焼制御方法、およびこれを用いた給湯器(10)によれば、出湯時の入水量(12b)、または前回の出湯停止から再出湯までの待機時間(16a)に応じて、フィードフォワード給湯燃焼制御を実行する所定時間(19a)を最適化するとともに、所定時間(19a)経過後にフィードフォワード給湯燃焼制御に加えてフィードバック燃焼制御を実行することにより、広い湯温変動範囲において湯温変動量(22a)を最小にすることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明の一実施例を説明する。
図1は本発明の一実施例にかかる給湯器10の構成を示すブロック図である。図2は本発明の一実施例にかかる給湯器10の燃焼制御方法において、再出湯時に、待機時間16aが短い場合の湯温変動量22a、および湯温の立ち下がり特性と立ち上がり特性の関係を示すグラフである。図3は本発明の一実施例にかかる給湯器10の燃焼制御方法において、再出湯時に、待機時間16aが長い場合の湯温変動量22aを示すグラフである。
【0016】
本実施例の給湯器10は、出湯時の入水量12b、または前回の出湯停止から再出湯までの待機時間16aに応じて、フィードフォワード給湯燃焼制御を実行する所定時間19aを変更し、当該変更した所定時間19aだけフィードフォワード給湯燃焼制御を実行し、所定時間19a経過後にフィードフォワード燃焼補正ガス量20aが所定の範囲(図2に示す△GF)に達した後は、当該フィードフォワード給湯燃焼制御に加えてフィードバック燃焼制御を実行することにより湯温変動量22aを最小にするものであって、図1に示すように、給湯運転計測手段12と待機時間計測手段16とフィードフォワード燃焼時間算出手段19とフィードフォワードガス量算出手段20とフィードフォワード燃焼制御手段22とが装置されて成る。
【0017】
更に詳しく本実施例の構成について説明する。
給湯運転計測手段12は、出湯時の給湯運転データ12aとして、入水温、入水量12b、または給湯設定温度12cを求めるよう、フィードフォワード燃焼時間算出手段19とフィードフォワードガス量算出手段20とに接続されて成る。
【0018】
入水温の検出は熱電対・サーミスタ等の温度検出手段によって実現できる。入水量12bの検出は、フローセンサ等を用いて実現できる。
【0019】
待機時間計測手段16は、前回の出湯停止から再出湯までの待機時間16aを求めるよう、フィードフォワードガス量算出手段20に接続されて成る。待機時間計測手段16は、水栓の開閉に伴う入水量12bフローセンサ等によって検出することによって実現できる。
【0020】
フィードフォワードガス量算出手段20は、出湯時に、給湯運転データ12aに基づいて湯温変動量22aを最小にするためのフィードフォワード燃焼補正ガス量20aを求めるよう、給湯運転計測手段12とフィードフォワード燃焼制御手段22とに接続されて成る。
【0021】
フィードフォワード燃焼時間算出手段19は、出湯時の入水量12b、または前回の出湯停止から再出湯までの待機時間16aに応じて、所定時間19aを求めるよう、給湯運転計測手段12と待機時間計測手段16とフィードフォワード燃焼制御手段22とに接続されて成る。
【0022】
フィードフォワード燃焼制御手段22は、出湯時に、フィードフォワード燃焼補正ガス量20aを所定時間19aだけ供給して湯温変動量22aを最小にするフィードフォワード給湯燃焼制御を実行するよう、フィードフォワード燃焼時間算出手段19とフィードフォワードガス量算出手段20と給湯器の燃焼制御部(図示せず)に接続されて成る。
【0023】
本実施例の給湯器10の作用を説明する。
本実施例における給湯燃焼制御方法、およびこれを用いた給湯器10は、出湯時にフィードフォワード給湯燃焼制御を所定時間19aだけ実行し、所定時間19a経過後にフィードフォワード給湯燃焼制御に加えてフィードバック燃焼制御を実行することにより湯温変動量22aを最小にするものであって、出湯時の入水量12b、または前回の出湯停止から再出湯までの待機時間16aに応じて、フィードフォワード給湯燃焼制御を実行する所定時間19aを可変にすることができる。
【0024】
これにより、広い湯温変動範囲において湯温変動量22aを最小にすることができる。
【0025】
さらに、本実施例の給湯器10は、所定時間19a経過後にフィードフォワード燃焼補正ガス量20aが所定の範囲(図2に示す△GF)に達した後は、当該フィードフォワード給湯燃焼制御に加えてフィードバック燃焼制御を実行することができる。
【0026】
更に詳しく本実施例の作用について説明する。
給湯運転計測手段12は、出湯時の給湯運転データ12aとして、入水温、入水量12b、または給湯設定温度12cを求めることができる。なお、入水量12b、入水温、待機時間16aはそれぞれメモリに一旦記憶されてもよい。
【0027】
待機時間計測手段16は、前回の出湯停止後、すなわち給湯栓が閉められてフローセンサ(流量センサ)がオフしたときから、給湯栓が開けられてフローセンサ(流量センサ)がオンする再出湯までの待機時間16aを計測する。
【0028】
フィードフォワードガス量算出手段20は、出湯時に、給湯運転データ12aに基づいて湯温変動量22aを最小にするためのフィードフォワード燃焼補正ガス量20aを求めることができる。
【0029】
フィードフォワード燃焼時間算出手段19は、出湯時の入水量12b、または前回の出湯停止から再出湯までの待機時間16aに応じて、所定時間19aを求めることができる。
【0030】
入水量12bは、給湯栓が開けられてフローセンサ(流量センサ)からの信号が加えられたとき、給湯運転計測手段12を動作させてフローセンサ(流量センサ)からの信号を測定し、これを流量換算して検出される。
【0031】
また、入水温等の給湯運転データ12aも給湯運転計測手段12によってを検出される。
【0032】
所定時間19aとは、フィードフォワード給湯燃焼制御を開始してから、フィードフォワード燃焼補正ガス量20aが所定の範囲(図2に示す△GF)に達するまでの時間である。
【0033】
所定の範囲とは、図2に示す△GFであって、フィードフォワード量20aに対する割合のことである。
【0034】
フィードフォワード燃焼補正ガス量20aが目標ガス量GFに対してGF士△GFの範囲内に達した後は、フィードフォワード給湯燃焼制御に加えてフィードバック燃焼制御が実行される。
【0035】
具体的には、図2に示すような、再出湯時に、待機時間16aが短い場合、フィードフォワード燃焼補正ガス量20aが目標ガス量GFに対してGF十△GFの範囲内に達した後は、フィードフォワード給湯燃焼制御に加えてフィードバック燃焼制御が実行される。
【0036】
図3に示すような、再出湯時に、待機時間16aが長い場合、フィードフォワード燃焼補正ガス量20aが目標ガス量GFに対してGF−△GFの範囲内に達した後は、フィードフォワード給湯燃焼制御に加えてフィードバック燃焼制御が実行される。
【0037】
本実施例では、標準的な△GFを0.05GFとしている。この値は、入水温、入水量12b、および給湯設定温度12c等の給湯運転データ12a、出湯湯量によって設定される。本実施例では、△GFを0≦△GF≦0.1の間において可変設定可能としている。
【0038】
フィードフォワード燃焼制御手段22は、出湯時に、フィードフォワード燃焼補正ガス量20aを所定時間19aだけ供給して湯温変動量22aを最小にするフィードフォワード給湯燃焼制御を実行することができる。
【0039】
フィードフォワード燃焼制御手段22は、湯温変動量22aを最小にするのに必要なガス量としてのフィードフォワード燃焼補正ガス量20aに基づいて、湯温上昇の遅れ分を最小にするのに必要なガス量としての遅れ時間ガス補償量を算出し、フィードフォワード燃焼補正ガス量20aに遅れ時間ガス補償量を加えたものを新たにフィードフォワード燃焼補正ガス量20aとしてガス比例弁駆動部に加えることができる。
【0040】
以上説明したように本実施例の給湯燃焼制御方法、およびこれを用いた給湯器10によれば、出湯時の入水量12b、または前回の出湯停止から再出湯までの待機時間16aに応じて、フィードフォワード給湯燃焼制御を実行する所定時間19aを最適化するとともに、所定時間19a経過後にフィードフォワード給湯燃焼制御に加えてフィードバック燃焼制御を実行することにより、広い湯温変動範囲において湯温変動量22aを最小にすることができる。
【0041】
なお、入水量は器具(給湯器)の入水量、熱交換器の入水量等に特に限定されることはない。また、フローセンサ等の入水量を直接検出するもののほか、演算等による値を入水量としてもよい。
【0042】
【発明の効果】
本発明にかかる給湯器およびこれを用いた燃焼制御方法によれば、出湯時の入水量、または前回の出湯停止から再出湯までの待機時間に応じて、フィードフォワード給湯燃焼制御を実行する所定時間を最適化するとともに、所定時間経過後にフィードフォワード給湯燃焼制御に加えてフィードバック燃焼制御を実行することにより、広い湯温変動範囲において湯温変動量を最小にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例にかかる給湯器の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施例にかかる給湯器の燃焼制御方法において、待機時間が短い場合の出湯温の変化、および湯温の立ち下がり特性と立ち上がり特性の関係を示すグラフである。
【図3】本発明の一実施例にかかる給湯器の燃焼制御方法において、再出湯時で、待機時間が短い場合の出湯温の変化を示すグラフである。
【符号の説明】
10…給湯器
12…給湯運転計測手段
12a…給湯運転データ
12b…入水量
12c…給湯設定温度
16…待機時間計測手段
16a…待機時間
19…フィードフォワード燃焼時間算出手段
19a…所定時間
20…フィードフォワードガス量算出手段
20a…フィードフォワード燃焼補正ガス量
22…フィードフォワード燃焼制御手段
22a…湯温変動量
Claims (3)
- 出湯時にフィードフォワード給湯燃焼制御を所定時間だけ実行し、当該所定時間経過後に当該フィードフォワード給湯燃焼制御に加えてフィードバック燃焼制御を実行することにより湯温変動量を最小にする給湯燃焼制御方法において、
前記出湯時の入水量、または前回の出湯停止から再出湯までの待機時間に応じて、前記フィードフォワード給湯燃焼制御を実行する前記所定時間を可変にし、
前記所定時間を、フィードフォワード給湯燃焼制御を開始してから、フィードフォワード燃焼補正ガス量が所定の範囲に達するまでの時間とし、
再出湯時に、フィードフォワード燃焼補正ガス量が目標ガス量に対して大きくなる待機時間が短い場合、湯温変動量を最小にする所定の範囲内に達した後は、フィードフォワード給湯燃焼制御に加えてフィードバック燃焼制御が実行されるようにし、
再出湯時に、フィードフォワード燃焼補正ガス量が目標ガス量に対して小さくなる待機時間が長い場合、湯温変動量を最小にする所定の範囲内に達した後は、フィードフォワード給湯燃焼制御に加えてフィードバック燃焼制御が実行されるようにした、
ことを特徴とする給湯燃焼制御方法。 - 前記フィードフォワード燃焼補正ガス量の前記目標ガス量に対する前記所定の範囲の巾を前記目標ガス量の0〜10%に設定したことを特徴とする請求項1に記載の給湯燃焼制御方法。
- 前記出湯時の給湯運転データとして、入水温、前記入水量、または前記給湯設定温度を求める給湯運転計測手段と、
前記待機時間を求める待機時間計測手段と、
前記出湯時に、前記給湯運転データに基づいて前記湯温変動量を最小にするためのフィードフォワード燃焼補正ガス量を求めるフィードフォワードガス量算出手段と、
前記出湯時の入水量、または前回の出湯停止から再出湯までの待機時間に応じて、前記所定時間を求めるフィードフォワード燃焼時間算出手段と、
前記出湯時に、前記フィードフォワード燃焼補正ガス量を前記の所定時間だけ供給して前記湯温変動量を最小にする前記フィードフォワード給湯燃焼制御を実行するフィードフォワード燃焼制御手段と、
を備えて成ることを特徴とする請求項1または2に記載の給湯燃焼制御方法を用いた給湯器。
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