JP3922485B2 - 電動補助車椅子の惰行制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は電動補助(アシスト)車椅子の惰行制御装置に関し、特に平地走行時には自然な惰行感を確保し、かつ登坂路走行時の惰行時には電動補助が得られるようにした電動補助車椅子の惰行制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、歩行の不自由な人の補助装置として、電動補助車椅子が開発されている。この電動補助車椅子は、ハンドリムを介して車輪に間欠的に加えられる人力を検知し、その人力に応じた補助動力を車輪に加算することにより、乗り手がハンドリムを回す力を軽減するものである。
【0003】
この種の電動補助車椅子の先行技術の一つとして、例えば特開平8−168506号公報に記されているものがある。この先行技術では、補助動力装置としての駆動モータは、4個のギヤを介して、その駆動力を車輪に伝達している。そして、車輪に人力が加えられたことが検知されると、該人力に応じた補助動力を車輪に加算する一方、該人力が検知されなくなった後においても、補助動力を残存させて、電動補助車椅子の惰行距離が長くなるようにしている。この結果、乗り手は車輪をこぐピッチを長くすることができ、乗り手の負担を軽減することができるようになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記先行技術では、前記駆動モータは4個のギヤを介して車輪と直結されており、電動補助車椅子の惰行距離は電気的な指令によって制御される駆動モータの駆動力により決められるので、路面状況によって異なるはずの惰行特性がいつも一定で、乗り手に不自然な感覚を与えてしまうという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、前記した従来技術の問題点を除去し、平地あるいは緩い登り傾斜の路面走行時には、乗り手に自然な惰行感を与える惰行特性を提供でき、かつ登坂路走行時の惰行時には乗り手の負担を軽減することができる電動補助車椅子を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、本発明は、間欠的に加えられる人力に電動補助力を加算して進行する電動補助車椅子の惰行制御装置において、該電動補助車椅子の電動補助力が、人力が加えられた直後でかつ人力が加えられていない惰行時間のうち、登坂角度が所定値以下の路面走行時の惰行時間には作用せず、前記人力が加えられた直後でかつ人力が加えられていない惰行時間のうち、登坂角度が所定値より大きい路面走行時の惰行時間には電動補助力を作用させるようにした点に第1の特徴がある。また、間欠的に加えられる人力に電動補助力を加算して進行する電動補助車椅子の惰行制御装置において、予め定められたトルク指令値の波形に従って前記電動補助力を供給する電動モータと、前記電動モータ側に連結された入力軸と、前記電動補助車椅子の駆動輪側に連結された出力軸と、登坂角度が所定値以下の路面走行時の惰行時には、前記電動補助力が前記駆動輪に作用せず、一方、前記登坂角度が所定値より大きい路面走行時の惰行時には、前記電動補助車椅子の減速度の増大に伴って前記入力軸の回転数が前記出力軸の回転数より大きくなることにより、前記電動補助力が前記トルク指令値の波形に従って前記駆動輪に作用するようにする手段を具備した点に第2の特徴がある。
【0007】
前記第1の特徴によれば、登坂角度が所定値以下の路面走行時の惰行時には電動補助力が作用しないので、乗り手は自然な惰行感で惰行することができ、該登坂角度が所定値より大きい路面を走行している時には、惰行時にも電動補助力が作用することになり、乗り手は楽に走行することができるようになる。また、第2の特徴によれば、入力軸回転数>出力軸回転数の条件が成立する時に一方向クラッチは接続されるので、前記第1の特徴のような制御が可能になる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して、本発明を詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態の電動補助車椅子の側面図、図2は図1の2−2線矢視背面図、図3は図2において車軸および電動モータの駆動軸の各長手方向を通る平面で切った時の要部の拡大断面図である。
【0009】
まず、本発明の一実施形態の電動補助車椅子の概略構成を説明する。図1において、電動補助車椅子の車体フレーム14は、左右一対の上フレーム16および下フレーム17を備えており、座席15が上フレーム16に支持されている。また、該座席15の左右両側にそれぞれ配置される後輪WR 、および両後輪WR の前方に配置される左右一対の前輪WF が、両下フレーム17に支持されている。上フレーム16は、上部に手すり部18aを有して無端状に連続して形成されており、座席15の左右両側に配置されるサイドフレーム18と、座席15における座部15aの前後に間隔をあけた2か所を支持すべく座部15aの下方で両サイドフレーム18間にわたって架設されるクロスメンバ19、20と、座席15における背もたれ部15bを支持すべく該背もたれ部15bの後方で両サイドフレーム18間にわたって架設されるクロスメンバ21とから成っている。
【0010】
下フレーム17は、上フレーム16の下方に間隔をあけた位置で前後方向に延びるものであり、前輪支持部22と、後輪支持部23と、前輪および後輪支持部22、23間を連結する上下一対のパイプ状のフレームメンバ24、25とから成り、両フレームメンバ24、25の中間部は下向きに湾曲して形成されている。 前輪支持部22の前端には、上方に向うにつれて後方側にわずかに傾斜した支持筒22aが一体に設けられており、該支持筒22aを貫通する支持ロッド26が、その高さ位置を調整可能として支持筒22aに固定的に支持される。左右の下フレーム17における前端の支持筒22aにそれぞれ支持された支持ロッド26の下端間にステップ27が設けられている。また、両前輪支持部22の後部間にはクロスメンバ28が架設される。
【0011】
前輪WF はキャスタであり、上下に延びる前輪軸29を上端に有する支持部材30の下端に軸支され、前輪軸29は、前輪支持部22の前後方向中間部に固着された軸受ハウジング31で回転自在に支承される。
【0012】
次に、図2および図3をも参照すると、後輪WR はリング状に形成されるホイールハブ32と、該ホイールハブ32の周方向に間隔をあけた複数箇所から放射状に延びる複数のスポーク33と、それらのスポークの外端に設けられるリム34と、該リム34に装着されるタイヤ35とからなる。
【0013】
車体フレーム14における下フレーム17の後輪支持部23には、ホイールハブ32の内側端を覆うカバー36と、後輪WR と同軸である車軸37の一端部とが着脱可能として固定されるものであり、車軸37はカバー36およびホイールハブ32を貫通して外方に延出される。また、カバー36には、車軸37の軸線からずれた位置に回転軸線を有する電動モータ38が締結される。
【0014】
ホイールハブ32は、車軸37と同一軸線を有すると共に、外方に向うにつれて小径となる円筒状に形成される第1ハブ半体39と、車軸37を同軸に囲むスリーブ40aを一体に有して第1ハブ半体39の軸線方向外端にボルト結合される第2ハブ半体40とで構成されるものであり、各スポーク33の半分は第1ハブ半体39に連結され、残余の半分のスポーク33は第2ハブ半体40に連結される。しかも、カバー36の外周縁には、カバー36およびホイールハブ32で囲まれる収納室41内に塵埃が侵入するのを防止すべくホイールハブ32における第1ハブ半体39の内端部内面に弾発的に摺接する環状のシール部材42が装着される。
【0015】
ホイールハブ32の軸線方向外方にはハンドリムハブ43が車軸37の軸線と同軸にして配置されており、ハンドリムハブ43から放射状に延びる複数のスポーク44の外端に、車軸37と同軸のリング状であるハンドリム45が設けられる。
【0016】
ハンドリムハブ43の軸線方向内方側には車軸37と同軸であるリング体46が複数のボルト47で固着されており、リング体46はホイールハブ32の軸線方向端部内に挿入される。しかも、該リング体46の内周と、車軸37の外周との間には、内輪および外輪間にシール材48aが設けられた第1のシール軸受481 と、前記シール材を有しない軸受482 とが、第1のシール軸受481 を軸線方向外方側に配置して並設される。また、車軸37の軸線方向に沿うホイールハブ32の外端部内周すなわち第2ハブ半体40の外端部内周と前記リング体46の外周との間には、内輪および外輪間にシール材49aが設けられた第2のシール軸受49が設けられる。さらに、収納室41内において、カバー36の内面側には支持部材としての支持板50が締結されており、ホイールハブ32の軸線方向内端部すなわち前記スリーブ40aの内端部外周と前記支持板50との間には軸受51が設けられる。すなわち、ホイールハブ32の軸線方向内端部が車体フレーム14に固定される支持板50に回転自在に支承されることになり、ホイールハブ32は車軸37の軸線回りに回転可能であり、ハンドリムハブ43は、ホイールハブ32との相対回転を可能として、車軸37の軸線回りに回転可能である。
【0017】
収納室41内には、電動モータ38に連なる駆動軸52が突入されている。この駆動軸には、電動モータ38の駆動力が、遊星ローラ減速機110およびワンウェイクラッチ(一方向クラッチ)111を介して伝達される。この駆動軸52と、ホイールハブ32との間に設けられる伝導機構60が収納室41内に収納される。該伝導機構60は、駆動軸52に固定された駆動ギヤ53と、ホイールハブ32のスリーブ40aにスプライン55を介して結合されると共に、前記駆動ギヤ53に噛合する被動ギヤ54とからなるものであり、電動モータ38の動力を、伝導機構60を介してホイールハブ32すなわち後輪WR に付与することが可能である。
【0018】
ワンウェイクラッチ111は、該ワンウェイクラッチ111の入力軸の回転数が出力軸の回転数より大きい時接続され、動力伝達状態となる。逆に、ワンウェイクラッチ111の入力軸の回転数が出力軸の回転数より小さい時には分離され、動力非伝達状態となる。
【0019】
また、ハンドリムハブ43の中央部外面には、リング体46および車軸37間に設けられている第1のシール軸受481 および482 が車軸37の軸線方向外方側に離脱するのを阻止すべく車軸37の外端部に螺合されるナット56を臨ませる凹部57が設けられており、ナット56に弾発嵌合して車軸37の外端およびナット56を覆うキャップ58が、該凹部57の開口端部に嵌め込まれる。
【0020】
ハンドリムハブ43およびホイールハブ32は、ハンドリム45を入力によって回転操作するのに応じてハンドリムハブ43に入力される回転トルクを弾性変形しつつホイールハブ32に伝達するための動力伝達部材61を介して連結される。この動力伝達部材61は、車軸37の軸線に直交する平面内でC字状に形成されてハンドリムハブ43およびホイールハブ32の第2ハブ半体40間のスペースに前記リング体46を囲むようにして配置されるものであり、動力伝達部材61の一端部はハンドリムハブ43に圧入される連結ピンによりハンドリムハブ43に連結され、また動力伝達部材61の他端部はボルト63によりホイールハブ32の第2ハブ半体40に連結される。しかも、ハンドリムハブ43のホイールハブ32への対向面には、車軸37の軸線を中心とした環状の溝67が設けられており、動力伝達部材61は該溝67内に収容、配置される。
【0021】
収納室41内には、スリップリング68と、車軸37の軸線方向に沿うスリップリング68の内方側を覆うようにして配置される内方カバー69と、車軸37の軸線方向に沿うスリップリング68の外方側を覆うようにして配置される外方カバー70とが収納される。
【0022】
スリップリング68は、複数のボルト71によりホイールハブ32における第1ハブ半体39の外端部内面に固着されており、ホイールハブ32と一体に回転する。このスリップリング68の詳細な構造は説明しないが、このスリップリング68からは、ホイールハブ32の回転数を示す電気信号が得られる。これにより、電動補助車椅子の走行速度を検出することができる。
【0023】
ハンドリムハブ43に締着されているリング体46の第1および第2のシール軸受481 、49間、すなわちリング体46の軸線方向内端には、該リング体46の周方向に間隔をあけた2か所でボルト89により連結部材88が固着される。連結部材88は、ホイールハブ32における第2ハブ半体40のスリーブ40aに設けられている透孔90においてボルト89によりリング体46に固着されて収納室41内に配置されるものであり、それらの透孔90は、ホイールハブ32すなわちスリーブ40aと、ハンドリムハブ43すなわち腕88の相対角変異を許容する程度の大きさに形成される。
【0024】
スリップリング68の他面には、ハンドリムハブ43に入力されるトルクに応じたホイールハブ32すなわちスリップリング68と、ハンドリムハブ43すなわち外方カバー70との間の相対角変位量を検出する位相差検出手段94が設けられる。ハンドリムハブ43に入力されるトルクに応じたスリップリング68および外方カバー70間に相対角変位が生じた時に、位相差検出手段94の図示しないトルク検出端子から、入力トルクに応じた電気出力が出力される。
【0025】
また、車椅子の進行方向すなわち後輪WR の回転方向は、回転方向判別手段103により判別される。この回転方向判別手段103は、支持板50に固定的に配設される回転方向検出スイッチ104と、被動ギヤ54の回転時の摩擦接触により該被動ギヤ54に従動して回動すべく被動ギヤ54の基部外周に設けられた環状溝部54aに装着されるフリックションスプリングの押圧部105aと、該フリックションスプリングの被動ギヤ54に従動した回動範囲を規制する規制ピン106とで構成される。後輪WR が後進方向に回転する時には、フリックションスプリングの押圧部105aは回転方向検出スイッチ104を押圧せず、逆に後輪WR が前進方向に回転する時には、フリックションスプリングの押圧部105aは回転方向検出スイッチ104を押圧するので、該回転方向検出スイッチ104のオン、オフにより後輪WR の前進、後進が判別される。
【0026】
図4は、前記電動モータ38の一構成例を示すものであり、モータケース201に固定された複数個の固定磁石202と、モータ軸203と、該モータ軸203に固定され一緒に回動するコイル204と、電源(バッテリ)と該コイル204とを電気的に接続するブラシ205とから構成され、取付けベース210に取付けられている。206、207は軸受けであり、208は遊星ローラ110との係合部である。周知のように、電源からブラシ205を介してコイル204に電流が流されると、固定磁石202とコイル204との間に力が発生して、モータ軸203が回動し、該回動力は係合部208を介して遊星ローラ110に伝達される。
【0027】
図5は、以下の説明を分かり易くするために、前記した構成の電動補助車椅子の動力伝達機構の骨格および制御部の構成を簡略化して示した図である。図において、1はバッテリ、2は両方向制御装置、3はモータ、4は1次減速機、5はワンウェイクラッチ、6は2次減速機、7は駆動輪(後輪)、7aはタイヤ、8は両方向トルクセンサ、9はハンドリム(他の段落では45)である。また、10は回転方向検出スイッチ、11は速度検出器、12は制御装置(CPU)である。ここに、前記1次減速機4は前記遊星ローラ減速機110に相当し、2次減速機6は、駆動ギヤ53と、これに噛合する被動ギヤ54とからなる伝導機構60に相当し、速度検出器11はスリップリング68に相当する。また、両方向トルクセンサ8は、C字状の形状を有する動力伝達部材61、位相差検出手段94等を含んでいる。
【0028】
次に、本発明の一実施形態の動作を、図6を参照して説明する。図6は、図5の制御装置(CPU)12の機能と、その周辺装置の構成を示すブロック図である。
【0029】
両方向トルクセンサ8は、前記ハンドリム45が正逆両方向に回動されてもトルクを検出するので、該ハンドリム45が正逆両方向に回動された場合の実際のトルク値を検出するには、該両方向トルクセンサ8のトルクセンタ値を求める必要がある。このトルクセンタ値を求めるための手段が、センタ値学習部120およびE2 PROM121である。両方向トルクセンサ8のトルクセンタ値は該両方向トルクセンサ8が一番長い時間の間示している検出トルク値となるから、センタ値学習部120は両方向トルクセンサ8から受け取った検出トルク値をE2 PROM121に記憶しながら、過去の検出トルク値のデータによりトルクセンタ値を決定する。そして、該決定されたトルクセンタ値に変化が起きればこれを更新する。最新のトルクセンタ値はセンタ値保持部122で保持され、比較部123は両方向トルクセンサ8から入力されてくるトルク値と該トルクセンタ値とを比較し、その差を出力する。この結果、比較部123からは、正逆いずれかの回転方向の実際のトルク値(以下、単にトルクと呼ぶ)aが出力されることになる。
【0030】
比較部113から出力されたトルクaは、トルク変換テーブル124と、フェールセーフ制御部137に入る。トルク変換テーブル124は図7に示される特性を有しており、入力トルクaを、曲線bで示される大きさ(トルク指令値)に増幅して出力する。図7では、トルク指令値bは入力トルクaの中央で一番大きい増幅率を示しているがこれに限定されるものではない。該トルク変換テーブル124から出力されたトルク指令値は波形制御部125に入力し、例えば図8に示されているような形に波形制御される。
【0031】
すなわち、今図8の時間t0 〜t1 に示される大きさのトルク指令値b1 が波形制御部125に入力してきたとすると、該波形制御部125は該トルク指令値b1 を波形d1 のトルク指令値に変換して出力する。また、時間t1 では、波形制御部125に入力してくるトルク指令値b1 は0に落ちるが、波形制御部125が出力する波形はこれに追随せず、波形d2 のトルク指令値を出力する。
【0032】
このことは、電動補助車椅子の乗り手が前進するために、手に力を入れて、ハンドリム9を正方向にぐんと一こぎすると、このときに得られるトルクはb1 に示す波形になるが、波形制御部115から出力される波形はd1 +d2 になることを示している。なお、時間t1 〜t2 は、乗り手が一こぎして、手をハンドリム9から離した期間、すなわち惰行期間を示している。
【0033】
さらに詳細に説明すると、本実施形態では、前記惰行期間の波形d2 に関し、平地での惰行では電動補助(アシスト)をしないが、例えば登坂角度が2°を越えると電動補助が作動するような波形になされている。すなわち、図9に示されているように、電動補助車椅子が平地で一こぎされた時の車椅子の速度曲線が(s1 +s2 )になったとし、s2 が惰行期間(t1 〜t8 )の速度であるとすると、該惰行期間においては、前記ワンウェイクラッチ5の入力軸の回転数が出力軸の回転数より小さくなる(入力軸回転数<出力軸の回転数)ように前記波形d2 を設定して、該ワンウェイクラッチ5が非接続状態になるようにする。一方、例えば電動補助車椅子が角度2°の登坂で一こぎされた時の車椅子の速度曲線が(r1 +r2 )であったとし、r2 が惰行期間(t1 〜t7 )の速度であるとすると、該惰行期間においては、前記ワンウェイクラッチ5の入力軸の回転数が出力軸の回転数とほぼ等しくなるように前記波形d2 を設定して、該ワンウェイクラッチ5が接続を開始する状態になるようにする。
【0034】
この結果、電動補助車椅子が平地〜角度2°の登坂の間の路面を進行している時の惰行時には、電動補助トルクは作用しないが、角度2°以上の登坂を進行している時の惰行時には、電動補助トルクが作用することになる。このため、電動補助車椅子が平地〜角度2°の登坂の間の路面を進行している時には、電動補助が働かない自然な惰行感を乗り手に与え、一方角度2°以上の登坂を進行している時には電動補助トルクを受けて惰行距離を延ばすことができるようになる。
【0035】
次に、図8の時間t2 で、乗り手が車椅子を停止させるために、ハンドリム45を逆方向に回したとすると、波形制御部125には波形b2 のトルクが入力する。この車椅子を停止させるためにトルクが発生した時間および車椅子が停止している時間t2 〜t4 の間は、波形制御部125は0の波形を出力する。なお、乗り手が車椅子を停止させようとしたことの判断は、回転方向検出スイッチ10からの信号eが正の時に逆トルクが発生したことにより判断する。回転方向検出スイッチ10からの信号eが0または逆の時に逆トルクが発生した場合には、後方移動(バック)と判断する。
【0036】
次に、時間t4 で、乗り手が後方移動するために、ハンドリム45を逆方向に回したとすると、波形制御部125には波形b3 のトルクが入力する。この時には、波形制御部125は波形d3 のトルク指令値を出力する。この理由は、本実施形態ではモータ3で発生された駆動力を駆動輪7に伝達するために、前記したワンウェイクラッチ5を用いているためである(図5参照)。ワンウェイクラッチ5は周知のように、入力軸の回転数が出力軸の回転数より小さいと接続されないが、モータ3が停止中に駆動輪7が逆転されると、入力軸の回転数が0に対して、出力軸の回転数が負(マイナス)の回転数となり、入力軸回転数>出力軸回転数となり、モータ3が停止しているにもかかわらず、入力軸と出力軸は接続状態となる。したがって、前記したように、乗り手が後方に移動するために、ハンドリム9を逆方向に回すと、モータ3まで連れ回され、ハンドリム9を逆回転させる荷重が増大することになる。
【0037】
本実施形態では、この問題を解消するために、乗り手が後方に移動するために、ハンドリム9を逆方向に回した場合には、モータ3を積極的に逆回転させて、入力軸回転数>出力軸回転数の条件が成立しないようにしている。この結果、モータ3は連れ回りしなくなり、乗り手は小さな荷重でハンドリム9を逆回転させることができるようになる。なお、時間t5 〜t6 の間は、波形b2 のトルクが0になっているにもかかわらず、波形d3 の負のトルク指令値を出力するようにしているが、その理由は、後方移動の惰行時にも、モータ3は連れ回りせず、自然な後方惰行ができるようにするためである。なお、該波形d3 としては、例えばモータ3の駆動信号がデューティ20%(固定)程度になるようにするのが好適である。
【0038】
図6の波形制御部125で生成されたトルク指令値dは回転方向信号生成部126と比較器127に入力する。該回転方向信号生成部126は、トルク指令値dと、回転方向検出スイッチ10から得られる回転方向eとにより、図10に示されている、モータ3の回転方向を指示する信号fと、オン、オフ信号g、hを出力する。すなわち、トルク指令値dが負で回転方向eが逆の時には、回転方向信号生成部126の出力信号fは逆転、信号gはオン、信号hはオフとなる。一方、トルク指令値dが正で回転方向eが正の時には、回転方向信号生成部126の出力信号fは正転、信号hはオン、信号gはオフとなる。これら以外の場合には、回転方向信号生成部126の出力信号fは正転逆転のいずれでも良く(自由),信号gおよびhは共にオフとなる。なお、出力信号g,hに関し、オンは論理1を示し、オフは論理0を示している。
【0039】
前記信号f、g、hが入力するモータ3の駆動回路200は、図示のように接続された、モータ3の駆動回路200のスイッチング手段(例えば、FET)201、202と、モータ3の回転方向を決定するスイッチ203と、電流センサ204とから構成されている。そして、出力信号fは前記モータ3の回転方向を決定するスイッチ203の切換えを制御し、出力信号g、hは、FET201、202に入力して、これらのオン、オフを制御する。また、電流センサ204の電流検出器は、前記トルクと等価である。
【0040】
電流センサ204で検出されたモータ電流はA/D変換部130に入力してディジタル信号に変換され、平均化部131に入力する。平均化部131は該モータ電流の平均値を求めて、電流値演算部132に出力する。一方、電流センサ0点検出部133はデューティ出力部134の出力であるデューティが0の時のモータ電流の平均値を電流センサ204の0点と定める。電流値演算部132はモータ電流平均値から0点の電流値を減算して、実際のモータ電流値を求め、前記比較器127に出力する。
【0041】
該比較器127には、前記したように、波形制御部125で作成されたトルク指令値dが入力しているから、比較器127は該トルク指令値dと該モータ電流値の大小を比較し、前者の方が後者より大きければ正、等しければ0、小さければ負の信号を出力する。デューティ出力部134は正の信号を受けると、例えばデューティを0.2%増加する。0の信号を受けた場合には、その時のデューティを維持し、負の信号を受けた場合には、例えばデューティを0.2%減少する。また、該デューティ出力部134は、速度検出器11から例えば車速6km/h以上のデータを受信すると、デューティを強制的に0にする。換言すれば、車椅子の速度が6km/h以上出た場合には、電動によるアシストは停止されることになる。
【0042】
デューティ出力部134からの出力iはANDゲート135、136に入り、回転方向信号生成部126からの出力信号g、hの状態に応じて、FET201、202に印加される。例えば、出力信号gがオンの時にはFET201に印加され、出力信号hがオンの時にはFET202に印加される。
【0043】
このため、図8における時間t0 〜t2 の間は、波形制御部125から出力されるトルク指令値d(=d1 +d2 )は正、回転方向検出スイッチ10から得られる回転方向eは正であるので、図10から明らかなように、スイッチ203は正転の端子に接続され、FET201がオフ、202がオンになる。したがって、モータ3はトルク指令値(d1 +d2 )の波形に従う正転動作となる。
【0044】
一方、図8における時間t4 〜t6 の間は、波形制御部125から出力されるトルク指令値d(=d3 )は負、例えば20%のデューティ(固定)となり、回転方向検出スイッチ10から得られる回転方向eは逆であるので、図10から明らかなように、スイッチ203は逆転の端子に接続され、FET201がオン、202がオフになる。この結果、モータ3はトルク指令値d3 の波形に従う逆転動作となる。
【0045】
また、図8における時間t2 〜t3 の間は、波形制御部125から出力されるトルク指令値dは0、回転方向検出スイッチ10から得られる回転方向eは正となり、図10から明らかなように、FET201、202は共にオフとなり、モータ3の回転は停止する。
【0046】
フェールセーフ制御部137は、前記比較部123からのトルクとA/D変換部130からのモータ電流値と速度検出器11からの速度検出値を入力とし、電動補助装置が正常であるか否かの検査を行う。例えば、比較部123からのトルク入力が30分以上なければ、電動補助車椅子が使われていないのに電源が入り続けていると判断する。すなわち、電源の切り忘れと判断する。また、トルク変動が3秒以上なければ、電動補助装置に故障の可能性があると判断する。あるいは、A/D変換部130からの電流値入力、速度検出器11からの速度検出値等に異常があれば、モータ3あるいはその駆動回路、速度検出器11に故障の可能性があると判断する。フェールセーフ制御部137が何らかの異常を検知した時には、制御信号jを出力して電源回路210の制御装置12への電力の供給を停止する。該電源回路210はレギュレータを含んでいる。
【0047】
メインスイッチ211がオンされると、電源回路210から制御装置12へ電力が供給され、フェールセーフ制御部137が異常なしと判断すると、制御信号kによりトランジスタ212がオンとなり、メインリレー213がオンとなる。この結果、電源回路210から、モータ3の駆動回路に電源が接続され、作動状態に入る。
【0048】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、平地あるいは緩い登坂を走行している時の惰行時には電動補助が作用しないので、電動補助のない車椅子とほぼ同じ惰行感を得ることができ、一方ある程度急な登坂を走行している時の惰行時には電動補助が作用し、惰行距離が延びて楽に登坂できるようになるという効果がある。
【0049】
また、このため、平地あるいは緩い登坂走行時の惰行時には、電源の消耗を0にすることができ、バッテリを充電する間隔を延ばすことができるようになる効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明が適用される電動補助車椅子の側面図である。
【図2】 図1の2−2線矢視背面図である。
【図3】 図2において車軸および電動モータの駆動軸の各長手方向を通る平面で切った時の要部拡大断面図である。
【図4】 電動モータの一例の断面図である。
【図5】 電動補助車椅子の動力伝達機構の骨格および制御部の構成を簡略化して示した図である。
【図6】 図5の制御装置(CPU)の機能を示す機能ブロック図である。
【図7】 図6のトルク変換テーブルの特性図である。
【図8】 図6の波形制御部が生成する制御波形の一例を示す図である。
【図9】 本実施形態の惰行期間の制御波形の一例を示す図である。
【図10】 図6の回転方向信号生成部の機能を示す図である。
【符号の説明】
1…バッテリ、2…両方向制御装置、3…モータ、4…1次減速機、5…ワンウェイクラッチ、6…2次減速機、7…駆動輪(後輪)、8…両方向トルクセンサ、9…ハンドリム、10…回転方向検出スイッチ、11…速度検出器、12…制御装置(CPU)、123…比較部、124…トルク変換テーブル、125…波形制御部、126…回転方向信号生成部、130…A/D変換部、131…平均化部、132…電流値演算部、133…電流センサ0点検出部、134…デューティ出力部、200…駆動回路、204…電流センサ。

Claims (2)

  1. 間欠的に加えられる人力に電動補助力を加算して進行する電動補助車椅子の惰行制御装置において、
    予め定められたトルク指令値の波形に従って前記電動補助力を供給する電動モータと、
    前記電動モータ側に連結された入力軸と、
    前記電動補助車椅子の駆動輪側に連結された出力軸と、
    登坂角度が2°以下の路面走行時の惰行時には、前記電動補助力前記駆動輪に作用せず、一方、前記登坂角度が2°より大きい路面走行時の惰行時には、前記電動補助車椅子の減速度の増大に伴って前記入力軸の回転数が前記出力軸の回転数より大きくなることにより、前記電動補助力前記トルク指令値の波形に従って前記駆動輪に作用させるようにする手段を具備したことを特徴とする電動補助車椅子の惰行制御装置。
  2. 前記手段は、前記入力軸と前記出力軸との間に配設された一方向クラッチを含み、
    前記電動モータの電動補助力は、前記一方向クラッチを介して前記駆動輪に伝達され、
    前記一方向クラッチが、登坂角度が2°以下の路面走行時の惰行時にはオフとなり、該登坂角度が2°より大きい路面走行時の惰行時にはオンとなるように、前記電動モータの回転速度を制御する手段を設けたことを特徴とする請求項に記載の電動補助車椅子の惰行制御装置。
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