JP3922471B2 - 光ディスク基板成形用金型 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、再生専用型や追記型又は書換型の光ディスク用の基板を成形する光ディスク基板成形用金型とスタンパ装着方法に係り、特に、薄型の光ディスク基板を成形するに好適な光ディスク基板成形用金型に関する
【0002】
【従来の技術】
現在、新しい情報記録媒体として再生専用型,追記型および書換型の各種タイプの光ディスクが利用されている。光ディスクは情報を高密度に多量に搭載することが可能であるが、更に、その容量を大きくすることが要請されている。この光ディスクに用いられる基板は樹脂から形成されるものが多く、従来では図9に示す成型用金型により成形されていた。
【0003】
図9に示すように光ディスク基板成形用金型1aは、大別してスプルーブッシュ2aと、固定金型3aと、スタンパ4aと、スタンパ内周押え5aと、キャビティリング6aを有する可動金型7aと、カットパンチ8aと、固定金型3a側に形成される真空吸引溝9a等からなる。固定金型3aのスタンパ側鏡面上にスタンパ4aを当接して搭載し、ミラー面側鏡面を下面に形成する可動金型7aとスタンパ4aの表面との間の隙間(キャビティ)10aにスプルーブッシュ2a側から溶融樹脂を矢印のように導入し、隙間10aを充填して光ディスク基板を成形する。なお、従来の光ディスク基板成形用金型1aの場合、スタンパ内周押え5aにはスタンパ4aを係着保持するための爪11が形成され、爪11を利用してスタンパ内周押さえ5aによりスタンパ4aの着脱が行なわれていた。なお、爪11は図示のように成形時において隙間10a内に突出して介在する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
光ディスクに納められる情報を高密度化また大容量化する方法として、光ディスクの情報の読み出し又は書き込みを行なうレーザ光の波長をより短波長にすることが必要である。また、使用される光ディスクドライブのピックアップの開口数(NA)をより大きくすることが必要とされている。高密度化・大容量化を行なう事について実際に情報が納められる光ディスクメディアの面から検討すると、レーザ光の短波長化・高NA化に伴って光ディスクの厚みをより薄くする必要が生じてくる。
【0005】
光ディスクは前記のように射出成形法或いは射出圧縮成形法によって金型キャビティ内にポリカーボネート等の樹脂を充填して光ディスク基板を成形し、その光ディスク基板に記録層・反射層・保護層等を成膜して作製される。また、この中で光ディスクの厚みをほぼ決定するのは光ディスク基板であり、光ディスクをより薄くするためには光ディスク基板をより薄くする必要が生じてくる。前記の光ディスク基板には、通例それに納められている情報を意味しているピット列或いはこれから情報を書き込むために必要な案内溝等が転写されている。このピット列や案内溝は金型のキャビティの一方の面に装着されたスタンパに刻まれ、キャビティ内に高い流動性と圧力を有する溶融樹脂を十分に充填する事によりそれらを光ディスク基板上に転写させている。
【0006】
ところで、光ディスク基板をより薄くするためには、光ディスク基板を成形する金型のキャビティ厚みを狙いの厚みまで薄くすればよい。しかし、金型のキャビティ厚みを薄くすると、キャビティ内で樹脂が流動しにくくなり、上述したピット列や案内溝等を光ディスク基板に転写する事が困難になってくる。しかも転写されるべきピット列や案内溝も高密度化・大容量化のためにより緻密化されて刻まれるようになるため更に難しい転写が要求されている。
【0007】
前記したように、従来の光ディスク基板成形用金型1aはスタンパ4aの着脱を爪11を有するスタンパ内周押え5aにより行なっていた。このスタンパ内周押え5aは、その爪11によってスタンパ4aの内周部が金型のキャビティ面から剥離しないように押えると共に、その胴体でスタンパ4aの装着位置の芯合わせ等を行なう機能を有するものである。
【0008】
しかしながら、前記のように爪11はキャビティ10a内に突出してセットされているため、キャビティ10a内に溶融樹脂が導入される際に爪11が樹脂の流動を阻害し、キャビティ10a内への樹脂の充填の円滑化を阻害する。そのため、成形される光ディスク基板のピットや案内溝の転写性や複屈折のような基板特性が悪化する。この傾向は光ディスク基板が薄くなる程顕著に現われ、光ディスク基板の薄型化の大きな障害となっている。
【0009】
本発明は、以上の事情に鑑みてなされたものであり、各請求項毎に次のような目的を達成するために創案されたものである。
【0010】
請求項1は、爪のないスタンパ内周押えを用いると共に、その上面をスタンパの上面と面一にし、樹脂成形時における樹脂の充填を円滑にし、薄型の光ディスク基板を作る光ディスク基板成形用金型を提供することを目的とする。なお、スタンパの固定金型への保持を確実にするため真空吸引溝をスタンパの内周側および外周側に配置している。
【0011】
請求項2は、スタンパの内周側および外周側に係合する真空吸引溝内に成形時における圧力によりスタンパが変形して進入することがないように、強度のある通気性部材で真空吸引溝内を充填する光ディスク基板成形用金型を提供することを目的とする。
【0012】
請求項3乃至請求項6は、スタンパ内周押えとスタンパとの間の干渉を防止し、高精度の光ディスク基板を成形すべく、スタンパ内周押えとスタンパとの温度保持の確実化を図り、所定の微小隙間を保持する光ディスク基板成形用金型を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以上の目的を達成するために、中心部に配置され樹脂の導入路を有するスプルーブッシュと、該スプルーブッシュを囲繞して配置されスタンパ側鏡面を前面に形成する固定金型と、該固定金型の鏡面上に搭載されるスタンパと、ヒータが内蔵されると共に、前記固定金型とスプルーブッシュ間に着脱可能に挿着され前記スタンパの内周側を押えるスタンパ内周押えと、前記スタンパの外周を保持するキャビティリングを有し光ディスクのミラー面を形成するミラー面側鏡面をスタンパに相対して形成し前記固定金型と相対向する位置に開閉動作可能にセットされる可動金型と、該可動金型の中心部に摺動可能に保持され光ディスク基板の中心内孔を打ち抜くカットパンチと、前記スタンパを前記固定金型側に保持する真空吸引溝から構成され、前記スタンパ表面と前記可動金型間の隙間(キャビティ)に溶融樹脂を充填させて光ディスク基板を成形する光ディスク基板成形用金型であって、前記スタンパ内周押えの前面がスタンパ表面と面一にセットされ、前記固定金型側に形成される前記真空吸引溝が、スタンパの内周側および外周側に少なくとも配置され、前記スタンパ内周押えの外周とこれを囲む前記スタンパの内周との間には該スタンパ内周押えを着脱するための微小隙間が形成され、前記ヒータは前記微小隙間の幅を保つ為に、前記固定金型のスタンパ側鏡面と前記スタンパ内周押えの温度差が所定の温度以下になるように温度コントロールされる光ディスク基板成形用金型を構成するものである。
【0015】
また、前記真空吸引溝内には通気性部材が充填され、該通気性部材は、前記隙間(キャビティ)内に充填された溶融樹脂の圧力により前記スタンパが前記真空吸引溝内に変形しない強度を有することを特徴とする。
【0016】
また、光ディスク基板成形用金型を、中心部に配置され樹脂の導入路を有するスプルーブッシュと、該スプルーブッシュを囲繞して配置されスタンパ側鏡面を前面に形成する固定金型と、該固定金型の鏡面上に搭載されるスタンパと、ヒータが内蔵されると共に、前記固定金型とスプルーブッシュ間に着脱可能に挿着され前記スタンパの内周側を押えるスタンパ内周押えと、前記スタンパの外周を保持するキャビティリングを有し光ディスクのミラー面を形成するミラー面側鏡面をスタンパに相対して形成し前記固定金型と相対向する位置に開閉動作可能にセットされる可動金型と、該可動金型の中心部に摺動可能に保持され光ディスク基板の中心内孔を打ち抜くカットパンチと、前記スタンパを前記固定金型側に保持するためにスタンパ内周側および外周側に少なくとも配置された真空吸引溝を備える光ディスク基板成形用金型であって、前記スタンパ内周押えの前面がスタンパ表面と面一にセットされ、前記スタンパ内周押えの外周とこれを囲む前記スタンパの内周との間には該スタンパ内周押えを着脱するための微小隙間が形成され、前記ヒータは前記微小隙間の幅を保つ為に、前記固定金型のスタンパ側鏡面と前記スタンパ内周押えの温度差が所定の温度以下になるように温度コントロールされるように構成する。前記スタンパ内周押えは設定温度に温度コントロールされると共に、前記スタンパ内周押えの外周とこれを囲む前記スタンパの内周との間には成形時に微小隙間が形成され、成形時において、前記スタンパ内周押えとスタンパとの間の温度差が50℃以下に温度コントロールすると共に、前記微小隙間が10μm乃至40μmの範囲で保持されるようにしても良い。
【0017】
前記スタンパ内周押えを、ヒータを内蔵するものとしても良く、前記スタンパ内周押えの外周とこれを囲む固定金型の内周との間には断熱層を形成するようにしても良い。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳述する。図1は本発明の全体構造を示す軸断面図および構成図である。図1は光ディスク成形用金型の閉じた状態におけるキャビティ周辺部分を拡大した図が示されている。
【0020】
本発明の光ディスク基板成形用金型1はスプルーブッシュ2,固定金型3,スタンパ4,スタンパ内周押え5,キャビティリング6を有する可動金型7,カットパンチ8等からなり、固定金型3には真空吸引溝9および真空吸引溝12が形成され、スタンパ4表面と可動金型7の下面との間には溶融樹脂が充填されて光ディスク基板を成形するための隙間(キャビティ)10が形成される。成形作業時のスタンパ4のセッティングには、後述するように爪を有する(第1の)スタンパ内周押え5aが併用される。
【0021】
スプルーブッシュ2は樹脂の導入路13を形成するもので中心部に配置され、図略の射出成形機側に連通される。
【0022】
固定金型3はスプルーブッシュ2を囲繞して配置され、その前面にはスタンパ側鏡面を形成される。なお、その前面の外周側にはスタンパ4の外周部に係合する真空吸引溝9が凹設され、前面の内周側にはスタンパ4の内周部に係合する真空吸引溝12が凹設される。
【0023】
スタンパ4はリング状の平板からなり、上面側にピッチ列や案内溝が刻設されるものからなり、固定金型3の前面に搭載される。
【0024】
可動金型7は固定金型3と相対向する位置に配置され、開閉動作可能に成形装置の可動プラテンに支持される。その外縁側にはスタンパ4の外周部を保持するキャビティリング6が一体的に設けられ、その中心部には光ディスク基板(図略)の内穴を打ち抜くカットパンチ8が前後に摺動可能な状態に支持される。
【0025】
第2のスタンパ内周押えとしてのスタンパ内周押え5は本発明の主構成要素であり、従来技術における爪を有した(第1の)スタンパ内周押えと異なり爪11のないリング状部材からなり、スプルーブッシュ2の外周と固定金型3の内周との間に挿着される。なお、図示のように挿着されたスタンパ内周押え5の前面はスタンパ4表面と面一に保持されることが特徴である。スタンパ内周押え5の外周とスタンパ4の内周との間にはδの微小隙間14が形成される。スタンパ内周押え5を着脱するためにはこの微小隙間14が必要であるが、成形後の光ディスク基板を取り出す際に、この微小隙間14が大きいと光ディスク基板がスタンパ4にひっかかり、スタンパ4を固定金型3のスタンパ側鏡面から剥離させる不具合が生ずる。そのため、この微小隙間は実験的に10μm乃至40μm程度に保持することが必要である。このクリアランスを成形中に常に維持するにはスタンパ内周押え5まわりの温度管理が必要である。
【0026】
以上の温度管理としては、例えば、温度コントローラ15等が用いられる。温度コントローラ15としては各種のものが採用されるが、スタンパ内周押え5と固定金型3を介してのスタンパ4の温度コントロールが必要である。例えば、固定金型3のスタンパ側鏡面の鏡面温調設定温度とスタンパ内周押え5の内部のチラー温調(本例では、スプルーブッシュ2の温調)設定温度の差を50度以下にすることが必要である。これ以上になると微小隙間14が大きく変化し、前記の不具合が生ずることが実験的に明らかになった。
【0027】
また、図1に示すように、スタンパ内周押え5の外周が嵌まり込む固定金型3の内周とスタンパ内周押え5の外周との間には断熱層16が形成される。この断熱層16を形成することによりスタンパ内周押え5の温度コントロールが更に容易に行なわれる。本例では断熱層16はスタンパ内周押え5と固定金型3との接触面に形成された溝からなり、該溝と空気層としたものであるが、両者間に熱伝導特性の小さな材料の部材を挿入するものでもよい。
【0028】
また、図1に示すように、スタンパ内周押え5の内部にヒータ17を組み込んで成形工程および周辺温度に合わせたヒータ制御を行なうことにより温度コントロールがより確実にでき、クリアランス制御も容易に、且つ確実に行なわれる。
【0029】
前記したように本発明の場合、スタンパ4を固定する爪11がスタンパ内周部押え5にないためスタンパ4の保持が不確実になる。これを防止するため、本発明では光ディスク基板の情報記録領域の更に内側に相当する位置において固定金型3上に真空吸引溝12を設ける。勿論、固定金型3の外周側にも真空吸引溝9が凹設される。この真空吸引溝9,12によりスタンパ4を真空吸引することによりスタンパ4は固定金型上に確実に保持され、成形工程中にスタンパ4が固定金型のスタンパ側鏡面から外れることが防止される。
【0030】
なお、この真空吸引溝9,12内には、真空吸引が可能な通気性を有すると共に、キャビティ10内に溶融樹脂が充填された際にスタンパ4に加わる圧力がスタンパ4がこの真空吸引溝12の部分で変形を起さないような強度の通気性部材18が充填される。例えば微細径のハニカム構造をもったものや、ポーラスなセラミックス等が通気性部材18として採用される。また、通気性部材18を充填した真空吸引溝9,12の前面は固定金型3の前記スタンパ側鏡面と面一となる。これによりキャビティ10内に充填された樹脂の充填圧力によりスタンパ4の変形又は歪みが確実に防止される。
【0031】
以上の構造により、スプルーブッシュ2から導入された溶融樹脂は爪11等による妨害のない平面なキャビティ10内に円滑に導入され、キャビティ10内に充填される。従って、充填・成形された光ディスク基板には従来品のような基板特性の不良がなく、且つ従来品に較べて薄型のものを成形することができる。このため、良好な基板特性を有する高密度で大容量の光ディスク基板を作ることができる。
【0032】
前記したように、スタンパ内周押え5はスタンパ4をスタンパ側鏡面に固定するだけではなく、スタンパ4装着位置の芯合せやその着脱を行なうものであるが、爪11のない本発明のスタンパ内周押え5ではスタンパ4の着脱作業性が悪い。そのため、本発明の光ディスク基板成形用金型1は図2乃至図5に示すような手順に従って以下のような組み立て方法によって型の組み立てが行なわれる。
【0033】
図2は本発明の爪11を有さないスタンパ内周押え5を使用時の位置にセットした状態を示す模式図であり、前記したようにスタンパ4は固定金型3上に搭載され真空吸引溝9,12により吸引固着される。この状態でスタンパ4とスタンパ内周押え5との間には寸法δの微小隙間14が形成される。なお、この状態で可動金型7はスタンパ装着作業の支障にならないだけ後退した型開き状態にある。
【0034】
本例の金型の組み立て方法では、図3に示すようにスタンパ4の挿着は従来の爪11を有する第1のスタンパ内周押え5aにより行なう。このため、スタンパ4は正しい位置に比較的簡単に、且つ確実にセットされる。真空吸引溝9,12の真空によりスタンパ4を固定金型3上に吸着固持した後、図4に示すように従来の(第1の)スタンパ内周押え5aを除去し、本発明の爪11のない第2のスタンパ内周押え5を挿入し、図2に示した正しい位置にセットする。以上により所望の品質の光ディスク基板を作るための金型のセッティングが完了する。なお、光ディスク基板成形後にスタンパ4を取り外す場合には図5に示したように再び爪11を有する第1のスタンパ内周押え5aを固定金型3側に挿入して行なう。以上により、スタンパ4の着脱作業の容易化とその位置決め精度の向上が図れる。
【0035】
図6乃至図8は上記の光ディスク基板成形用金型に関連して参考までに別の型組み立て方法を説明する模式図である。まず、本発明の爪11を有しないスタンパ内周押え5をスタンパ内周押え保持治具19により保持し、固定金型3内に挿入する。スタンパ内周押え保持治具19はスタンパ内周押え5の内穴部20とその前面21に当接してスタンパ内周押え5を保持するものであり、これによりスタンパ内周押え5は固定金型3側に正しくセットされる。
【0036】
一方、スタンパ内周押え保持治具19の外周に案内されて上下動する内周部押圧治具22により図6に示すようにスタンパ4の内周部が押圧され、スタンパ4は固定金型3上に密接してセットされる。次に、スタンパ内周押え保持治具19を更に押し込みスタンパ内周押え5の前面21をスタンパ4表面と一致させスタンパ内周押え5のセットを完了する。この状態でスタンパ4を真空吸引溝9,12の真空により吸引固着する。次に、図8に示すようにスタンパ内周押え保持治具19およびスタンパ内周押圧治具22を上方に移動させる。以上によりスタンパ内周押え5およびスタンパ4が正しい位置にセットされる。なお、スタンパ4の取り外し作業は前記と逆の手順により行なう。
【0037】
【発明の効果】
1)本発明の請求項1に記載の光ディスク基板成形用金型によれば、光ディスク基板を成形において、キャビティ厚みがスタンパ内周押えの爪により絞られることなく内周から外周にかけて一定に保たれているので、樹脂流動が妨げられないことがなく、特に、薄い光ディスク基板を成形する場合においても、キャビティ内への樹脂充填やピット列・案内溝の転写がより容易にできる。また、スタンパ固定用の爪を有さない、且つそのキャビティに面する端面がスタンパ表面と面一となり、成形はこの爪のないスタンパ内周押えを使用して行なうので、キャビティ厚みが内周から外周にかけて一定となったキャビティ構造を提供できる。また、スタンパ内周部を真空吸引する機構を提供しているので、爪の無いスタンパ内周押えを使用した場合においても、成形時にスタンパが内周部から剥離する事なく、且つ成形時にキャビティ内に充填された樹脂の圧力によりスタンパが変形しない。また、スタンパ内周押えとスタンパとの間に適切にクリアランスが確保され、スタンパ内周押え周囲の温度設定範囲が適切に規定されているので、スタンパ内周押えとスタンパ内周部のクリアランスを規定の範囲内に保つ事ができる。
【0038】
2)本発明の請求項2に記載の光ディスク基板成形用金型によれば、真空吸引溝内には強度のある通気性部材が充填されているため、成形時におけるスタンパの変形がなく、高精度の光ディスク基板を作ることができる。
【0039】
3)本発明の請求項3に記載の光ディスク基板成形用金型によれば、キャビティ厚みが内周から外周にかけて一定となったキャビティ構造を提供でき、スタンパ内周押えとスタンパとの間に適切にクリアランスが確保され、スタンパ内周押え周囲の温度設定範囲が適切に規定されているので、スタンパ内周押えとスタンパ内周部のクリアランスを規定の範囲内に保つ事ができる。
【0040】
4)本発明の請求項4に記載の光ディスク基板成形用金型によれば、この範囲の温度コントロールにより所定の微小隙間が保持されることが明らかになり、具体的に製作基準が明確になり高精度の光ディスク基板を作ることができる。
【0041】
5)本発明の請求項5に記載の光ディスク基板成形用金型によれば、スタンパ内周押え内部に、スタンパ内周押えの温度を制御するためのヒータが内蔵する構造が提供されているため、内周押え周辺の温度が適切に保つ事ができるので、スタンパ内周部とのクリアランスをより確実に保つ事ができる。
【0042】
6)本発明の請求項6に記載の光ディスク基板成形用金型によれば、スタンパ内周押えとスタンパ側鏡面の間に断熱層を設けているので、スタンパ内周押えとスタンパ内周部のクリアランスをより確実に保つための機構がよりうまく機能することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光ディスク基板成形用金型のキャビティ周辺部を拡大した構造を示す軸断面図。
【図2】本発明の金型を用いたスタンパ装着方法の一例を説明するための模式図。
【図3】本発明の金型を用いたスタンパ装着方法の一例を説明するための模式図。
【図4】本発明の金型を用いたスタンパ装着方法の一例を説明するための模式図。
【図5】本発明の金型を用いたスタンパ装着方法の一例を説明するための模式図。
【図6】特別の組み立て治具を用いた本発明の金型を用いたスタンパ装着方法を説明するための模式図。
【図7】特別の組み立て治具を用いた本発明の金型を用いたスタンパ装着方法を説明するための模式図。
【図8】特別の組み立て治具を用いた本発明の金型を用いたスタンパ装着方法を説明するための模式図。
【図9】従来の光ディスク基板成形用金型の主要部の概略構造を示す断面図。
【符号の説明】
1 光ディスク基板成形用金型
2 スプルーブッシュ
3 固定金型
4 スタンパ
5 スタンパ内周押え
6 キャビティリング
7 可動金型
8 カットパンチ
9 真空吸引溝
10 隙間(キャビティ)
11 爪
12 真空吸引溝
13 導入路
14 微小隙間
15 温度コントローラ
16 断熱層
17 ヒータ
18 通気性部材
19 スタンパ内周押え保持治具
20 内穴部
21 前面
22 スタンパ内周部押圧治具

Claims (5)

  1. 中心部に配置され樹脂の導入路を有するスプルーブッシュと、
    該スプルーブッシュを囲繞して配置されスタンパ側鏡面を前面に形成する固定金型と、
    該固定金型の鏡面上に搭載されるスタンパと、
    ヒータが内蔵されると共に、前記固定金型とスプルーブッシュ間に着脱可能に挿着され前記スタンパの内周側を押えるスタンパ内周押えと、
    前記スタンパの外周を保持するキャビティリングを有し光ディスクのミラー面を形成するミラー面側鏡面をスタンパに相対して形成し前記固定金型と相対向する位置に開閉動作可能にセットされる可動金型と、
    該可動金型の中心部に摺動可能に保持され光ディスク基板の中心内孔を打ち抜くカットパンチと、
    前記スタンパを前記固定金型側に保持する真空吸引溝から構成され、前記スタンパ表面と前記可動金型間の隙間(キャビティ)に溶融樹脂を充填させて光ディスク基板を成形する光ディスク基板成形用金型であって、
    前記スタンパ内周押えの前面がスタンパ表面と面一にセットされ、
    前記固定金型側に形成される前記真空吸引溝が、スタンパの内周側および外周側に少なくとも配置され、
    前記スタンパ内周押えの外周とこれを囲む前記スタンパの内周との間には該スタンパ内周押えを着脱するための微小隙間が形成され、
    前記ヒータは前記微小隙間の幅を保つ為に、前記固定金型のスタンパ側鏡面と前記スタンパ内周押えの温度差が所定の温度以下になるように温度コントロールされることを特徴とする光ディスク基板成形用金型。
  2. 前記真空吸引溝内には通気性部材が充填され、該通気性部材は、前記隙間(キャビティ)内に充填された溶融樹脂の圧力により前記スタンパが前記真空吸引溝内に変形しない強度を有するものである請求項1に記載の光ディスク基板成形用金型。
  3. 中心部に配置され樹脂の導入路を有するスプルーブッシュと、
    該スプルーブッシュを囲繞して配置されスタンパ側鏡面を前面に形成する固定金型と、
    該固定金型の鏡面上に搭載されるスタンパと、
    ヒータが内蔵されると共に、前記固定金型とスプルーブッシュ間に着脱可能に挿着され前記スタンパの内周側を押えるスタンパ内周押えと、
    前記スタンパの外周を保持するキャビティリングを有し光ディスクのミラー面を形成するミラー面側鏡面をスタンパに相対して形成し前記固定金型と相対向する位置に開閉動作可能にセットされる可動金型と、
    該可動金型の中心部に摺動可能に保持され光ディスク基板の中心内孔を打ち抜くカットパンチと、
    前記スタンパを前記固定金型側に保持するためにスタンパ内周側および外周側に少なくとも配置された真空吸引溝を備える光ディスク基板成形用金型であって、
    前記スタンパ内周押えの前面がスタンパ表面と面一にセットされ、
    前記スタンパ内周押えの外周とこれを囲む前記スタンパの内周との間には該スタンパ内周押えを着脱するための微小隙間が形成され、
    前記ヒータは前記微小隙間の幅を保つ為に、前記固定金型のスタンパ側鏡面と前記スタンパ内周押えの温度差が所定の温度以下になるように温度コントロールされることを特徴とする光ディスク基板成形用金型。
  4. 成形時において、
    前記スタンパ内周押えとスタンパとの間の温度差が50℃以下に温度コントロールされると共に、
    前記微小隙間が10μm乃至40μmの範囲で保持されるものである請求項1〜3のいずれか1項に記載の光ディスク基板成形用金型。
  5. 前記スタンパ内周押えの外周とこれを囲む固定金型の内周との間には断熱層が形成されてなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の光ディスク基板成形用金型。
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