JP3922172B2 - 電子部品の放熱性検査方法及びその装置 - Google Patents
電子部品の放熱性検査方法及びその装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3922172B2 JP3922172B2 JP2002365778A JP2002365778A JP3922172B2 JP 3922172 B2 JP3922172 B2 JP 3922172B2 JP 2002365778 A JP2002365778 A JP 2002365778A JP 2002365778 A JP2002365778 A JP 2002365778A JP 3922172 B2 JP3922172 B2 JP 3922172B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- void
- electronic component
- heat dissipation
- temperature rise
- substrate
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Analysing Materials By The Use Of Radiation (AREA)
- Investigating Or Analyzing Materials Using Thermal Means (AREA)
- Electric Connection Of Electric Components To Printed Circuits (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板と電子部品とを接合する接合層の状態を検査する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
基板と電子部品(例えば、半導体チップ等)とを接合する接合層(例えば、ハンダ層等)の状態を検査する方法としては、特許文献1に記載の技術が知られている。
特許文献1には、半導体チップの下方に複数の基板が積層される半導体装置の検査方法が開示されている。特許文献1に開示された検査方法では、まず、半導体チップが直接接合された基板より下方の部分を半導体装置から除去する。そして、基板と電子部品とそれらを接合する接合層とをX線透視し、その接合層にボイド(空洞)が発生しているか否かを検出する。
【特許文献1】
特開昭63−115347号
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述した特許文献1には、接合層内のボイドを検出する技術について開示されているが、検出されたボイドが実用上問題となるか否かを判定する技術については開示されていない。
現状では、検出されたボイドの総面積(いわゆる、ボイド率)を設定値と比較することで接合不良か否かが判定されている。しかしながら、同一面積のボイドが発生した場合であっても、その位置によって電子部品に与える影響が異なり、実用上問題となる場合と問題とならない場合が発生する。単にボイドの総面積によって接合不良か否かが判定されてしまうと、そのボイドが実用上問題の無いものであっても接合不良と判定されてしまうこととなる。
そこで、本発明は、ボイドの発生位置が相違することによる電子部品への影響度の相違を考慮することで、接合層に発生したボイドが実用上問題となるか否かを判定することができる技術を提供することを目的にする。
【0004】
【課題を解決するための手段及び作用と効果】
上記課題を解決するために創作された本発明の第1の方法は、基板に接合された電子部品の放熱性を検査する方法に関する。すなわち、電子部品で発生した熱は接合層を介して基板に流れる。接合層にボイドが発生すると、電子部品から基板への熱の流れが阻害される(すなわち、電子部品の放熱性が低下する)。そこで、第1の方法では、接合層に発生したボイドによる電子部品の放熱性の低下について検査する。
第1の方法では、まず、基板と電子部品とを接合する接合層に単位面積のボイドが1つ存在するときのそのボイドの位置と電子部品の温度上昇量との関係を規定する「ボイド位置−温度上昇量」データを取得する。すなわち、電子部品の温度上昇量は発生したボイドの位置によって異なるため、ボイドの位置と電子部品の温度上昇量との関係を規定する「ボイド位置−温度上昇量」データを取得する。なお、上記「単位面積」は、放熱性を評価する精度に応じて適宜設定することができる。
そして、基板と電子部品とそれらを接合する接合層とをX線透視し、X線透視により検出されたボイドの面積と、そのボイドの位置に応じて「ボイド位置‐温度上昇量」データから特定される温度上昇量とを用いて、そのボイドによる電子部品の温度上昇量を算出し、算出された温度上昇量が第1設定値以内となるときに放熱性が充分であると判定し、算出された総合温度上昇量が第1設定値を超えるときに放熱性が充分ではないと判定する。
この方法では、検出されたボイドの位置に応じて「ボイド位置−温度上昇量」データから特定される温度上昇量が異なるため、算出される電子部品の温度上昇量も異なるものとなる。したがって、ボイドの発生位置の相違が考慮され、接合層に発生したボイドが実用上問題となるか否かを判定することができる。
【0005】
前記「ボイド位置−温度上昇量」データは、例えば、接合層内に単位面積のボイドを所定の位置に意図的に発生させたサンプルを製作し、そのサンプルの電子部品を作動させてその温度変化を実際に計測することによって取得することができる。あるいは、接合層内に単位面積のボイドを設定し、有限要素法による解析を実行することで取得することもできる。
【0006】
なお、上記の方法においては、X線透視により検出されたボイドの面積の総和が所定値を超えるときには、前記温度上昇量算出工程以降の工程を行うことなく放熱性が充分ではないと判定するようにしてもよい。接合層に発生したボイドの総面積がある程度大きくなると、電子部品の温度上昇量を算出するまでもなく放熱性が充分ではないと判定することができるためである。
【0007】
上記課題を解決するために創作された本発明の第2の方法も、基板に接合された電子部品の放熱性を検査する方法に関する。第2の方法では、電子部品の接合面の中心部に発生したボイドは放熱性の阻害度が大きく、周辺部に発生したボイドは放熱性の阻害度が小さいという特性を利用して、簡易に電子部品の放熱性を検査する。
すなわち、第2の方法では、基板と電子部品とそれらを接合する接合層とをX線透視し、電子部品の接合面を中心部と周辺部に分割したときの中心部で検出されたボイドの総面積と周辺部で検出されたボイドの総面積とを算出し、中心部のボイド総面積が第2設定値を超えるとき、又は、周辺部のボイド総面積が第3設定値を超えるときに、電子部品の放熱性が充分ではないと判定する。
この方法でも、中心部のボイドの総面積が比較される設定値と、周辺部のボイドの総面積が比較される設定値とを異なる値とすることで、ボイドの発生位置の相違が考慮され、接合層に発生したボイドが実用上問題となるか否かを判定することができる。
【0008】
また、電子部品と基板とを接合する接合層に存在するボイドは、種々の観点(例えば、上述した電子部品の放熱性や、電子部品と基板との接合強度等)から接合不良の原因となる。このような接合不良(電子部品の放熱性を含む)を検査する場合において、ボイドの発生位置によってその影響度が異なるときは、次に記載する方法で検査することができる。
すなわち、本発明の第3の方法は、基板と電子部品とを接合する接合層の状態を検査する方法であって、基板と電子部品とそれらを接合する接合層とをX線透視する工程と、X線透視により検出されたボイドの面積と、そのボイドの位置から特定される予め設定された不良度とを用いて、そのボイドによる接合不良度を算出する工程と、算出された接合不良度が第4設定値以内となるときに接合不良ではないと判定し、算出された接合不良度が第4設定値を超えるときに接合不良であると判定する工程と、を有する。
この方法でも、予めボイドの発生位置毎に不良度が設定される。そして、X線透視によって検出されたボイドの面積と、そのボイドの位置に応じた不良度(予め設定された値)とを用いて、そのボイドによる接合不良度が算出される。このため、ボイドの発生位置の相違が考慮され、接合層に発生したボイドが実用上問題となるか否かを判定することができる。
【0009】
上述した各検査方法によって接合層を検査すると、ボイドの発生位置の相違が考慮されるため、従来接合不良と判定されたものの一部が接合不良と判定されなくなり、製品の不良率を下げることが可能となる。したがって、上述した各検査方法を半導体装置の製造方法に組み込むと、製品の不良率を下げることができ好ましい。
すなわち、本発明の第4の方法は、基板と、基板に接合された電子部品とを有する半導体装置を製造する方法であって、基板と電子部品とを接合する工程と、接合後の基板と電子部品に対して、請求項3に記載の検査を実施する工程とを有する。
【0010】
さらに、本発明は、上述した本発明の第1の方法を好適に実施可能な検査装置を提供する。すなわち、本発明に係る検査装置は、基板に接合された電子部品の放熱性を検査する装置であって、基板と電子部品とを接合する接合層に単位面積のボイドが1つ存在するときのそのボイドの位置と電子部品の温度上昇量との関係を規定する「ボイド位置−温度上昇量」データを記憶する手段と、基板と電子部品とそれらを接合する接合層とをX線透視する手段と、X線透視された画像から電子部品の放熱性を判定する手段と、を有する。
そして、放熱性判定手段は、(1)X線透視により検出されたボイドの面積と、そのボイドの位置に応じて「ボイド位置‐温度上昇量」データから特定される温度上昇量とを用いて、そのボイドによる電子部品の温度上昇量を算出し、(2)算出された温度上昇量が第1設定値以内となるときに電子部品の放熱性が充分であると判定し、算出された温度上昇量が第1設定値を超えるときに電子部品の放熱性が充分ではないと判定する。
この装置によっても、本発明の第1の方法と同様の作用効果を得ることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具現化した一実施形態に係る検査装置ついて図面を参照して説明する。まず、本実施形態において検査対象となる半導体装置について説明する。
図2に示すように、検査対象となる半導体装置は、基板54と、基板54に搭載された半導体チップ50(請求項でいう電子部品)とで構成される。基板54と半導体チップ50はハンダ付けされており、基板54と半導体チップ50との間にはハンダ層52(請求項でいう接合層)が形成されている。
図2で示されるハンダ層52にはボイド(空洞)56が発生している。ボイド56は、基板54と半導体チップ50をハンダ接合(例えば、ダイボンド)する際に発生する。ボイド56は空洞であるため、ハンダ層52のハンダ金属の部分に比較して熱伝導率が低くなる。このため、ボイド56が発生すると、半導体チップ50の放熱性が低下することとなる。
【0012】
次に、ボイド56を原因とする半導体チップ50の放熱性の低下を検査する検査装置について説明する。図1には本実施形態の放熱性検査装置の構成が示されている。図1に示すように、本実施形態の放熱性検査装置は、X線撮影装置20と、記憶装置30と、データ処理装置10と、選別装置40とを備える。
X線撮影装置20は、半導体装置(すなわち、基板54と、半導体チップ50と、それらを接合するハンダ層52)をX線撮影(X線透視)する装置である。ハンダ金属とボイド(空洞)ではX線の透過率が異なるため、X線撮影により得られた画像からハンダ層52にボイドが発生しているか否かが検出される。X線撮影装置20により撮影された画像はデータ処理装置10に出力される。X線撮影装置20には、公知の装置を用いることができる。
【0013】
記憶装置30は「ボイド位置−温度上昇量」データを記憶する。「ボイド位置−温度上昇量」データは、ハンダ層52に単位面積のボイドが1つ存在するときのそのボイドの位置と半導体チップ50の温度上昇量との関係を規定している。すなわち、ハンダ層52に発生するボイドが同一面積であっても、そのボイドの位置によって半導体チップ50の温度上昇量は異なる。例えば、半導体チップ50の底面中央にボイドが発生していると半導体チップ50の温度上昇量は大きくなり、一方、半導体チップ50の底面周縁にボイドが発生していると半導体チップ50の温度上昇量は小さくなる。したがって、本実施形態では、ボイドの位置と半導体チップ50の温度上昇量との関係を予め取得し、これを「ボイド位置−温度上昇量」データとして記憶装置30に記憶する。
本実施形態においては、有限要素法による熱伝導解析を行うことで「ボイド位置−温度上昇量」データを取得している。具体的な手順としては、まず、ハンダ層52に単位面積のボイド56を設定する。図3は、ハンダ層52を複数の領域に分割し、これらの領域の1つにボイド56を設定した状態を示している。なお、ボイド56を設定する面積(請求項でいう単位面積)は、必要な検査精度に応じて適宜決めることができる。すなわち、要求される検査精度が高くなるほど1つの領域の面積を小さくすることが好ましい。
次に、半導体装置(半導体チップ50,基板54,ハンダ層52)を複数の要素に分割する。この際、半導体チップ50と基板54の各要素については、それぞれの部品の熱伝導率を用いる。また、ハンダ層52の各要素については、ハンダ金属の部分はハンダ金属の熱伝導率を用い、ボイド56の部分は気体(例えば、空気)の熱伝導率を用いる。そして、半導体チップ50(すなわち、半導体チップ50の各要素)には時間当り所定の熱エネルギが発生し、また、基板54の底面(すなわち、基板54の要素のうち底面側にある要素)は一定の温度(冷却温度)に維持されるとして、半導体チップ50の温度の経時変化を算出する。そして、半導体チップ50の温度が安定したときの温度(詳しくは、半導体チップ50の各要素の温度のうち最高温度)から温度上昇量を決定する。
上述の手順でボイドの位置を変えながらボイドの位置毎に温度上昇量を決定し、ボイドの位置と温度上昇量との関係を取得する。図4には、取得された「ボイド位置−温度上昇量」データが3次元的に表示されている。図4から明らかなように、ボイドの位置(x,y)が変わると半導体チップ50の温度上昇量も変化し、ボイドがハンダ層52の中心に発生するほど温度上昇量が大きくなっている。以下、ボイド位置(x、y)のときの温度上昇量を関数g(x、y)で表わすこととする。
温度上昇量=g(x,y) (0≦x≦Xm,0≦y≦Ym)
ここで、XmとYmは、ハンダ層52のx方向とy方向のサイズをそれぞれ表している。
【0014】
なお、「ボイド位置−温度上昇量」データは、ボイドの位置が異なるサンプルを実際に製作し、半導体チップ50の温度変化を実測することによって取得することもできる。具体的な手順としては、例えば、半導体チップ50の接合面に熱伝導率の低い材料(例えば、ポリイミド樹脂等)を予め配する。しかる後、その半導体チップ50を基板54にハンダ付けし、熱伝導率の低い材料を擬似的なボイドとしたサンプルを製作する。そして、半導体チップ50を実際に作動させて、半導体チップ50の温度を実測する。半導体チップ50の温度計測には非接触の温度計測器を用いることが好ましく、例えば、サーモビューア等を用いることができる。
【0015】
データ処理装置10は、X線撮影装置20で撮影された画像と記憶装置30に記憶されている「ボイド位置−温度上昇量」データから検査対象となっている半導体装置の放熱性が充分であるか否かを判定する。データ処理装置10は、例えば、汎用のコンピュータにより構成され、ボイド分布データ作成手段12、評価値算出手段14、比較手段16が設けられる。
【0016】
ボイド分布データ作成手段12は、X線撮影装置20で撮影された画像からハンダ層52に発生しているボイドの位置と大きさ(すなわち、面積)を特定するボイド分布データf(x,y)を作成する。本実施形態では、座標(x,y)の位置にボイドが存在しているとf(x,y)=1とし、座標(x,y)にボイドが存在していないとf(x,y)=0としている。
例えば、図5に示す半導体装置がX線撮影された場合は、ボイド56aとボイド56bの位置と大きさを特定するためのボイド分布データf(x,y)が作成される。仮に、ボイド56aの範囲がxa1≦x≦xa2,ya1≦y≦ya2で、ボイド56bの範囲がxb1≦x≦xb2,yb1≦y≦yb2であったとすると、f(x,y)はxa1≦x≦xa2,ya1≦y≦ya2のときと、xb1≦x≦xb2,yb1≦y≦yb2のときに「1」となり、それ以外のときは「0」となる。
【0017】
評価値算出手段14は、ボイド分布作成手段12で作成されたボイド分布データf(x,y)と、記憶装置30に記憶されている「ボイド位置−温度上昇量」データg(x,y)とから評価値ΔT(すなわち、請求項でいう温度上昇量)を算出する。
本実施形態においては、f(x,y)×g(x,y)を0≦x≦Xm,0≦y≦Ymの範囲(すなわち、ハンダ層52の全域)にわたって積分したものが評価値ΔTとされる。
ΔT=∬f(x,y)×g(x,y)dxdy
既に説明したように、ボイド分布データf(x,y)はボイドが存在すると「1」となり、ボイドが存在しないと「0」となる。このため、評価値ΔTは、図6に示すように、ボイドが存在する位置のg(x,y)をボイドの面積で積分したものとなっている。
【0018】
比較手段16は、評価値算出手段14で算出された評価値ΔTを予め設定された設定値pと比較して、半導体チップ50の放熱性が充分であるか否かを判定する。具体的には、評価値ΔTが設定値pを超えている場合は半導体チップ50の放熱性が不充分であると判定し、評価値ΔTが設定値p以下となる場合は半導体チップ50の放熱性は充分であると判定する。なお、評価値ΔTと比較される設定値は、半導体チップ50に要求される性能(使用条件等)から決定することができる。
【0019】
選別装置40は、比較手段16により放熱性が充分であると判定された半導体装置と、放熱性が不十分であると判定された半導体装置とを選別する。
なお、本実施形態の検査装置は、基板54に半導体チップ50を接合する工程の最後に設置される。そして、基板54上に半導体チップ50が接合された半導体装置は検査装置によって放熱性が検査され、放熱性が充分であると判定された半導体装置はそのまま次の工程に搬送され、放熱性が不充分であると判定された半導体装置は生産ラインから外されることとなる。
【0020】
次に、本実施形態の検査装置の動作について図7に示すフロチャートを参照して説明する。
半導体装置が検査装置に搬送されると、まず、X線撮影装置20によりX線撮影が行われる(S1)。X線撮影により得られた画像データはデータ処理装置10に出力される。
次いで、データ処理装置10は、X線撮影により得られた画像データからボイド分布データf(x,y)を作成する(S2)。
ステップS3では、ステップS2で作成されたボイド分布データf(x,y)と、記憶装置30に記憶されている「ボイド位置−温度上昇量」データg(x,y)とから評価値ΔTを算出する。
そして、ステップS3で算出された評価値ΔTと設定値pを比較する(S4)。そして、評価値ΔTが設定値pを超えている場合〔ステップS4でYES〕は選別装置40を作動させ、評価値ΔTが設定値p以下となる場合〔ステップS4でNO〕はそのまま検査処理を終了する。したがって、評価値ΔTが設定値pを超えるものについては生産ラインから外され、評価値ΔTが設定値pを超えないものについてはその後の工程に搬送されることとなる。
【0021】
上述した説明から明らかなように、本実施形態の検査装置ではボイドによる半導体チップ50の温度上昇量が算出され、その算出された温度上昇量に基づいて半導体チップ50の放熱性が評価される。特に、ボイドの発生位置の違いによる半導体チップ50の温度上昇量の相違が反映されるため、半導体チップ50の温度上昇量を精度良く評価することができる。このため、従来は放熱性不良と判定されていた半導体装置の一部が放熱性不良と判定されなくなり、製品の不良率を下げることが可能となる。
【0022】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
例えば、上述した実施形態においては、検査装置に搬送される全ての半導体装置について評価値を算出して放熱性を判定したが、本発明はこのような形態に限られない。例えば、X線撮影で得られた画像からハンダ層に発生したボイドの総面積(すなわち、ボイド率)を算出し、このボイド率に基づいて評価値を算出するものと評価値を算出しないものとに分別するようにしてもよい。ハンダ層のボイド率によっては評価値を算出することなく放熱性を判定できる場合があるためである。例えば、ボイド率が第1所定値(例えば、5%)を超えるものについては評価値を算出することなく放熱性不良と判定し、また、ボイド率が第2所定値(例えば、2%)を超えないものについては評価値を算出することなく放熱性が良好と判定する。そして、ボイド率が第2所定値以上第1所定値以下(例えば、ボイド率2〜5%)のものについてのみ評価値を算出するようにしてもよい。
【0023】
また、本発明は次に記載の形態で実施することもできる。すなわち、この実施形態では、図8に示すように、半導体チップ50の接合面を中心部50aと、外周部50bに予め分割しておく。X線撮影によりボイドが検出されると、まず、中心部50aのボイド率(以下、内部ボイド率という)と、外周部50bのボイド率(以下、外周部ボイド率という)を算出する。そして、内部ボイド率が設定値P1を超えるときに放熱性が不充分と判定し、外周部ボイド率が設定値P2(ただし、P2>P1)を超えるときに放熱性が不充分と判定する。
この実施形態では、中心部50aにボイドが発生すると半導体チップ50の温度上昇量は大きく、外周部50bにボイドが発生しても半導体チップ50の温度上昇量は余り大きくならないという特性を利用する。図9には実験により得られた外周部ボイド率と温度上昇の関係を示しており、図10には実験により得られた内部ボイド率と温度上昇の関係を示している。図から明らかなように、外周部ボイド率が大きくなっても半導体チップ50の温度上昇は殆ど無く、逆に、内部ボイド率が大きくなると半導体チップ50の温度上昇が大きくなる。したがって、この実施形態では、内部ボイド率と比較される設定値P1と外周部ボイド率と比較される設定値P2とを異なる数値とすることで、ボイドが発生した位置の違いによる温度上昇量の相違が考慮され、放熱性が正確に評価される。
【0024】
さらに、本発明の技術は、半導体チップの放熱性の検査に限られず、その他の検査(例えば、半導体チップと基板との接合強度の検査)にも応用することができる。例えば、ハンダ層に単位面積のボイドが1つ存在するときの接合強度の低下率をボイド位置毎に有限要素法等の数値解析によって取得しておく。そして、X線撮影の結果得られたボイド分布データと、予め取得されている低下率とから評価値を算出し、その評価値からハンダ層の接合強度が充分であるか否かを判定することができる。
本明細書又は図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書又は図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る検査装置の概略構成を示すブロック図。
【図2】 図1の検査装置の検査対象となる半導体装置の構造を示す図。
【図3】 有限要素法による解析を行う際にハンダ層に設定されるボイドを示す図。
【図4】 「ボイド位置−温度上昇量」データを3次元的に示す図。
【図5】 検査対象となる半導体装置に複数のボイドが発生している様子を模式的に示す図。
【図6】 「ボイド位置−温度上昇量」データから算出される評価値を模式的に示す図。
【図7】 図1の検査装置により行われる検査の手順を示すフローチャート。
【図8】 本発明の他の実施形態に係る検査方法を説明するための図。
【図9】 外周部ボイド率と温度上昇の関係を示すグラフ。
【図10】 内部ボイド率と温度上昇の関係を示すグラフ。
【符号の説明】
10:データ処理装置
12:ボイド分布データ作成手段
14:評価値算出手段
16:比較手段
20:X線撮影装置
30:記憶装置
40:選別装置
50:半導体チップ
52:ハンダ層
54:基板
56:ボイド
Claims (5)
- 基板に接合された電子部品の放熱性を検査する方法であって、
基板と電子部品とを接合する接合層に単位面積のボイドが1つ存在するときのそのボイドの位置と電子部品の温度上昇量との関係を規定する「ボイド位置−温度上昇量」データを取得する工程と、
基板と電子部品とそれらを接合する接合層とをX線透視する工程と、
X線透視により検出されたボイドの面積と、そのボイドの位置に応じて「ボイド位置−温度上昇量」データから特定される温度上昇量とを用いて、そのボイドによる電子部品の温度上昇量を算出する工程と、
算出された温度上昇量が第1設定値以内となるときに放熱性が充分であると判定し、算出された温度上昇量が第1設定値を超えるときに放熱性が充分ではないと判定する工程と、を有する電子部品の放熱性検査方法。 - 前記「ボイド位置−温度上昇量」データは、接合層内に単位面積のボイドを設定し、有限要素法による解析を実行することで取得されることを特徴とする請求項1に記載の電子部品の放熱性検査方法。
- 基板に接合された電子部品の放熱性を検査する方法であって、
基板と電子部品とそれらを接合する接合層とをX線透視し、電子部品の接合面を中心部と周辺部に分割したときの中心部で検出されたボイドの総面積と周辺部で検出されたボイドの総面積とを算出し、中心部のボイド総面積が第2設定値を超えるとき、又は、周辺部のボイド総面積が第3設定値を超えるときに、電子部品の放熱性が充分ではないと判定することを特徴とする電子部品の放熱性検査方法。 - 基板と、基板に接合された電子部品とを有する半導体装置を製造する方法であって、
基板と電子部品とを接合する工程と、
接合後の基板と電子部品に対して、請求項3に記載の検査を実施する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。 - 基板に接合された電子部品の放熱性を検査する装置であって、
基板と電子部品とを接合する接合層に単位面積のボイドが1つ存在するときのそのボイドの位置と電子部品の温度上昇量との関係を規定する「ボイド位置−温度上昇量」データを記憶する手段と、
基板と電子部品とそれらを接合する接合層とをX線透視する手段と、
X線透視された画像から電子部品の放熱性を判定する手段と、を有し、
その放熱性判定手段は、(1)X線透視により検出されたボイドの面積と、そのボイドの位置に応じて「ボイド位置‐温度上昇量」データから特定される温度上昇量とを用いて、そのボイドによる電子部品の温度上昇量を算出し、(2)算出された温度上昇量が第1設定値以内となるときに電子部品の放熱性が充分であると判定し、算出された温度上昇量が第1設定値を超えるときに電子部品の放熱性が充分ではないと判定することを特徴とする電子部品の放熱性検査装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002365778A JP3922172B2 (ja) | 2002-12-17 | 2002-12-17 | 電子部品の放熱性検査方法及びその装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002365778A JP3922172B2 (ja) | 2002-12-17 | 2002-12-17 | 電子部品の放熱性検査方法及びその装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004198206A JP2004198206A (ja) | 2004-07-15 |
JP3922172B2 true JP3922172B2 (ja) | 2007-05-30 |
Family
ID=32763232
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002365778A Expired - Fee Related JP3922172B2 (ja) | 2002-12-17 | 2002-12-17 | 電子部品の放熱性検査方法及びその装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3922172B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5289667B2 (ja) * | 2005-02-25 | 2013-09-11 | 株式会社ゼオシステム | ワンチップ高電圧光電池の製造方法 |
JP4999088B2 (ja) * | 2007-07-25 | 2012-08-15 | 株式会社小糸製作所 | 車両用前照灯の検査装置及び検査方法 |
KR101354251B1 (ko) | 2013-10-02 | 2014-01-22 | 이춘식 | 이중 가접 검사 장치 |
JP6360674B2 (ja) * | 2013-11-15 | 2018-07-18 | 国立大学法人大阪大学 | ハンダ内のボイドの評価装置及びハンダ内のボイドの評価方法 |
-
2002
- 2002-12-17 JP JP2002365778A patent/JP3922172B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2004198206A (ja) | 2004-07-15 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US20020002415A1 (en) | Defect analysis method and process control method | |
EP2549268B1 (en) | Method and apparatus for determining acceptance/rejection of fine diameter wire bonding | |
JP5116307B2 (ja) | 集積回路装置異常検出装置、方法およびプログラム | |
CN107038697B (zh) | 用于诊断半导体晶圆的方法和系统 | |
JP4648373B2 (ja) | 微小金属接合部の検査方法 | |
Eleffendi et al. | Quantification of cracked area in thermal path of high-power multi-chip modules using transient thermal impedance measurement | |
TW201512653A (zh) | 用以在不同深度位置辨認熱點的鎖相熱成像方法 | |
Rzepka et al. | Application-Driven Reliability Research of Next Generation for Automotive Electronics: Challenges and Approaches | |
JP3922172B2 (ja) | 電子部品の放熱性検査方法及びその装置 | |
Alam et al. | A survey of detection methods for die attachment and wire bonding defects in integrated circuit manufacturing | |
JP3961427B2 (ja) | 配線パターンの埋め込み検査方法、半導体装置の製造方法および検査装置 | |
Elger et al. | Inline thermal transient testing of high power LED modules for solder joint quality control | |
Kim et al. | Three-dimensional inspection of ball grid array using laser vision system | |
US8000519B1 (en) | Method of metal pattern inspection verification | |
JP2000223385A5 (ja) | ||
TWI721093B (zh) | 用於判定金屬膜厚度之方法與系統以及非暫時性電腦可讀儲存媒體 | |
CN109219871B (zh) | 使用设计分析的计量目标的电相关放置 | |
TWI472939B (zh) | 良率損失估算方法及相關電腦可讀媒體 | |
Gowda et al. | Micron and submicron-scale characterization of interfaces in thermal interface material systems | |
Zhou et al. | Research on life evaluation method of solder joint based on eddy current pulse thermography | |
Jewler | High resolution automatic x-ray inspection for continuous monitoring of advanced package assembly | |
Mitterhuber et al. | TSEP-Sensitivity Study to Analyze the Soldering Process of a Power Diode | |
JP2002076071A (ja) | 部品実装部の信頼性評価方法および信頼性評価装置 | |
JP5024758B2 (ja) | 固体間接触部の評価方法 | |
JP4162386B2 (ja) | 半田バンプにおけるボイドの検査方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050422 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20060811 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20061114 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20061227 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20070130 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20070212 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110302 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120302 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120302 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130302 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130302 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140302 Year of fee payment: 7 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |