JP3922157B2 - 車両用駆動制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばハイブリッド車両のような、第1駆動力源と、第2駆動力源とを備え、上記第1駆動力源を主駆動力源とする走行時に、上記第2駆動力源によるトルクアシストを行う駆動制御装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料の燃焼によって作動するエンジンと、電気エネルギによって作動する電動モータとを有し、エンジンを駆動力源とする走行(主に低速走行)時に不足するトルクを補うためにその電動モータによるトルクアシストを行う車両例えばハイブリッド車両が知られている(例えば、特許文献1を参照)。かかるハイブリッド車両は、例えば、エンジン回転数及びアクセル開度に応じ、要求トルクを算出する要求トルク算出手段と、要求トルクを平滑化する要求トルク平滑化手段と、今回要求トルクと平滑化後要求トルクとの比較により、加速状態にあるか否かを判別する加速判別手段と、加速状態と判別されたときに、今回要求トルクと平滑化後要求トルクとの差分値に応じ、加速アシスト量を算出する加速アシスト量算出手段と、平滑化後要求トルクに加速アシスト量を加算して、目標トルクを設定する目標トルク設定手段とを備えていることから、加速時において、目標トルクを適切に設定することにより、良好な応答性及び運転性を確保することができる。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−73839号公報
【特許文献2】
特開2001−71792号公報
【特許文献3】
特開平9−308007号公報
【特許文献4】
特開平9−317515号公報
【特許文献5】
特開平7−309158号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前述した従来の車両では、前記電動モータにより過分に電気エネルギが消費されて燃費悪化の原因となることが考えられる。また、トルクコンバータのトルク比が比較的大きい車両発進時に所定値以上のトルクが駆動装置に加わることで、その駆動装置の耐久性に影響を及ぼす可能性がある。
【0005】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、第1駆動力源と、第2駆動力源とを備え、上記第1駆動力源を主駆動力源とする走行時に、上記第2駆動力源が必要にして十分なトルクアシストを行うように制御する車両用駆動制御装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、本発明の要旨とするところは、第1駆動力源と、第2駆動力源と、それら第1駆動力源及び/又は第2駆動力源によって発生させられたトルクを増幅して伝達するためのトルクコンバータと、アクセルの開度を検出するアクセル開度検出手段と、車両を制動させるためのブレーキの作動状態を検出するブレーキ作動状態検出手段と、前記第1駆動力源を主駆動力源とする走行時に前記第2駆動力源によってトルクアシストを行うアシスト制御手段とを備えた車両用駆動制御装置であって、そのアシスト制御手段は、前記アクセルの開度、前記ブレーキの作動状態、及び前記トルクコンバータのトルク比に応じて前記第2駆動力源によるアシストトルク量を変更するものであり、前記アクセルの開度が所定値以上であり、前記ブレーキが制動状態であり、且つ前記トルク比が所定値以上である場合に前記第2駆動力源によるアシストトルク量を抑制することを特徴とするものである。
【0007】
【発明の効果】
このようにすれば、前記アシスト制御手段は、前記アクセルの開度、前記ブレーキの作動状態、及び前記トルクコンバータのトルク比に応じて前記第2駆動力源によるアシストトルク量を変更するものであり、前記アクセルの開度が所定値以上であり、前記ブレーキが制動状態であり、且つ前記トルク比が所定値以上である場合に前記第2駆動力源によるアシストトルク量を抑制するものであることから、トルクアシストが特に必要とされない場合に、前記第2駆動力源によるアシストトルク量を抑制することで、その第2駆動力源により過分に電気エネルギが消費されることなく、燃費を可及的に向上させられる。すなわち、前記第1駆動力源を主駆動力源とする走行時に、その第1駆動力源を含む車両の駆動状態に応じて前記第2駆動力源が必要にして十分なトルクアシストを行うように制御する車両用駆動制御装置を提供することができる。
【0011】
【発明の他の態様】
ここで、好適には、前記トルクコンバータのトルク比は、車両発進時のストールトルク比である。このようにすれば、前記トルクコンバータのトルク比が比較的大きい車両発進時に、前記第1駆動力源を含む車両の駆動状態に応じて前記第2駆動力源が必要にして十分なトルクアシストを行うように制御できるという利点がある。
【0012】
また、好適には、前記アクセルの開度が所定値以上であり、前記ブレーキが制動状態であり、且つ前記ストールトルク比が所定のストール制御域の範囲内である場合に前記第2駆動力源によるアシストトルク量を抑制するものである。このようにすれば、所定値以上のトルクが駆動装置に加わることなく、その駆動装置の耐久性が保証されるという利点がある。
【0013】
また、好適には、前記駆動制御装置は、前記アクセル開度検出手段にて検出されたアクセル開度と、前記ブレーキ作動状態検出手段にて検出されたブレーキの操作量とに応じて車両の駆動状態を判定する車両駆動状態判定手段を含むものである。このようにすれば、実用に即した態様で車両の駆動状態を判定できるという利点がある。
【0014】
また、好適には、前記車両駆動状態判定手段は、前記アクセル開度が所定値以上であり、且つ前記ブレーキの操作量が所定値以上である場合に車両がストール発進時であると判定するものである。このようにすれば、実用に即した態様で車両がストール発進時であるか否かを判定できるという利点がある。
【0015】
また、好適には、前記アシスト制御手段は、前記アクセルの開度が所定値以上であり、前記ブレーキが制動状態であり、且つ前記ストールトルク比が所定のストール制御域の範囲内である場合に前記第1駆動力源の回転数を決定するスロットル開度を電気的に変更することにより、前記第1駆動力源により発生させられるトルクが所定値以下となるように抑制するものである。このようにすれば、前記駆動装置の耐久性が更に保証されるという利点がある。
【0016】
【実施例】
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施例である駆動制御装置が適用された車両用動力伝達装置の構成を説明する骨子図である。この図において、燃料の燃焼によって作動する第1駆動力源(第1原動機)として機能するエンジン10の出力は、自動クラッチ12、トルクコンバータ14を介して自動変速機16に入力され、図示しない差動歯車装置及び車軸を介して1対の駆動輪(後輪)へ伝達されるようになっている。上記自動クラッチ12は、発進用摩擦係合装置や、モータ走行時において上記エンジン10を動力伝達経路から切り離すために断接させられるクラッチとしても機能するものであり、図示しない電磁式、油圧式などのクラッチアクチュエータによって湿式あるいは乾式の摩擦板が係合作動させられる摩擦式自動クラッチである。上記クラッチ12とトルクコンバータ14との間には、上記燃料の燃焼を伴わないで作動する第2駆動力源(第2原動機)に対応すると共に電動モータ及び発電機として機能する第1モータジェネレータMG1が配設されている。上記トルクコンバータ14は、上記クラッチ12に連結されたポンプ翼車20と、上記自動変速機16の入力軸22に連結されたタービン翼車24と、それらポンプ翼車20及びタービン翼車24の間を直結するためのロックアップクラッチ26と、一方向クラッチ28によって一方向の回転が阻止されているステータ翼車30とを備えている。
【0018】
上記自動変速機16は、ハイ及びローの2段の切り換えを行う第1変速機32と、後進変速段及び前進4段の切り換えが可能な第2変速機34とを備えている。上記第1変速機32は、サンギヤS0、リングギヤR0、及びキャリアK0に回転可能に支持されてそれらサンギヤS0及びリングギヤR0に噛み合わされている遊星ギヤP0から成るHL遊星歯車装置36と、上記サンギヤS0とキャリアK0との間に設けられたクラッチC0及び一方向クラッチF0と、上記サンギヤS0及びハウジング38間に設けられたブレーキB0とを備えている。また、上記第1変速機32には、上記入力軸22の回転速度NINを検出するための入力軸回転速度センサ18が、上記第2変速機34には、出力軸46の回転速度NOUT を検出するための出力軸回転速度センサ19がそれぞれ設けられている。
【0019】
上記第2変速機34は、サンギヤS1、リングギヤR1、及びキャリアK1に回転可能に支持されてそれらサンギヤS1及びリングギヤR1に噛み合わされている遊星ギヤP1から成る第1遊星歯車装置40と、サンギヤS2、リングギヤR2、及びキャリアK2に回転可能に支持されてそれらサンギヤS2及びリングギヤR2に噛み合わされている遊星ギヤP2から成る第2遊星歯車装置42と、サンギヤS3、リングギヤR3、及びキャリアK3に回転可能に支持されてそれらサンギヤS3及びリングギヤR3に噛み合わされている遊星ギヤP3から成る第3遊星歯車装置44とを備えている。
【0020】
上記サンギヤS1とサンギヤS2は、互いに一体的に連結されている。また、上記リングギヤR1とキャリアK2とキャリアK3とが一体的に連結され、そのキャリアK3は出力軸46に連結されている。また、上記リングギヤR2がサンギヤS3に一体的に連結されている。そして、上記リングギヤR2及びサンギヤS3と中間軸48との間にクラッチC1が設けられ、上記サンギヤS1及びサンギヤS2と中間軸48との間にクラッチC2が設けられている。また、上記サンギヤS1及びサンギヤS2の回転を止めるためのバンド形式のブレーキB1が上記ハウジング38に設けられている。また、上記サンギヤS1及びサンギヤS2と上記ハウジング38との間には、一方向クラッチF1及びブレーキB2が直列に設けられている。この一方向クラッチF1は、上記サンギヤS1及びサンギヤS2が上記入力軸22と反対の方向へ逆回転しようとする際に係合させられるように構成されている。
【0021】
前記キャリアK1とハウジング38との間には、ブレーキB3が設けられている。また、前記リングギヤR3とハウジング38との間には、ブレーキB4と一方向クラッチF2とが並列に設けられている。この一方向クラッチF2は、前記リングギヤR3が逆回転しようとする際に係合させられるように構成されている。
【0022】
以上のように構成された自動変速機16では、例えば図2に示す作動表に従って後進ギヤ段と変速比γが順次小さくなる第1速ギヤ段乃至第5速ギヤ段の前進5段のうちのいずれかの変速段に切り換えられる。ここで、「○」は係合状態を表し、空欄は解放状態を表し、「◎」はエンジンブレーキのときの係合状態を表し、「△」は動力伝達に関与しない係合を表している。この図2から明らかなように、第2変速段(2nd)から第3変速段(3rd)へのアップシフトでは、上記ブレーキB3を解放すると同時に前記ブレーキB2を係合させるクラッチツークラッチ変速が行われ、そのブレーキB3の解放過程で係合トルクを持たせる期間とそのブレーキB2の係合過程で係合トルクを持たせる期間とがオーバラップして設けられる。それ以外の変速は、1つのクラッチまたはブレーキの係合あるいは解放作動だけで行われるようになっている。前述のクラッチ及びブレーキは何れも油圧アクチュエータによって係合させられる油圧式摩擦係合装置である。
【0023】
また、図3に示すように、前記エンジン10の吸気配管50及び排気管52には、排気タービン式過給機(以下、過給機という)54が設けられている。この過給機54は、上記排気管52内において排気の流れにより回転駆動されるタービン翼車56と、前記エンジン10への吸入空気を圧縮するために上記吸気配管50内に設けられ且つそのタービン翼車56に連結されたポンプ翼車58とを備え、そのポンプ翼車58が上記タービン翼車56によって回転駆動されるようになっている。また、上記排気管52には、上記タービン翼車56をバイパスするバイパス管61が接続されており、上記タービン翼車56を通過する排気ガス量とそのバイパス管61を通過する排気ガス量の比率とを変化させ、過給圧を調節するウエイストゲート弁59が設けられている。また、前記エンジン10は、燃料消費を減少させるために、燃料が筒内噴射されることにより軽負荷時においては空燃比A/Fが理論空燃比よりも高い燃焼である希薄燃焼が行われるリーンバーンエンジンであり、3気筒ずつから構成される左右1対のバンクを備え、その1対のバンクは単独であるいは同時に作動させられるようになっている。すなわち、作動気筒数の変更が可能となっている。
【0024】
前記エンジン10の吸気配管50には、スロットルアクチュエータ60によって操作されるスロットル弁62が設けられている。このスロットル弁62は、基本的には図示しないアクセルペダルの操作量すなわちアクセル開度θACC に対応する大きさのスロットル開度θTHとなるように制御されるが、エンジン10の出力を調節するために変速過渡時などの種々の車両状態に応じた開度となるように制御されるようになっている。
【0025】
また、図3に示すように、前記第1モータジェネレータMG1は、前記エンジン10と自動変速機16との間に配置され、前記クラッチ12は、前記エンジン10と第1モータジェネレータMG1との間に配置されている。前記自動変速機16の各油圧式摩擦係合装置及びロックアップクラッチ26は、電動油圧ポンプ64から発生する油圧を元圧とする油圧制御回路66により制御されるようになっている。また、前記エンジン10には、第2モータジェネレータMG2が作動的に連結されている。そして、前記第1モータジェネレータMG1及び第2モータジェネレータMG2の電源として機能する燃料電池70及び二次電池71と、それらから前記第1モータジェネレータMG1及び第2モータジェネレータMG2へ供給される電流を制御したり、充電のために上記二次電池71へ供給される電流を制御するための切換スイッチ72及び73とが設けられている。この切換スイッチ72及び73は、スイッチ機能を有する装置を示すものであって、例えばインバータ機能などを有する半導体スイッチング素子などから構成されるものである。
【0026】
図4は、前記エンジン10、第1モータジェネレータMG1、及び第2モータジェネレータMG2などの駆動を制御するための電子制御装置74に入力される信号及びその電子制御装置74から出力される信号を例示している。この図に示すように、かかる電子制御装置74には、例えば、エンジン回転速度NE を表す信号、自動変速機16の入力軸22の回転速度NINを表す信号、自動変速機16の出力軸46の回転速度NOUT に対応する車速信号、シフトレバーSHの操作位置SH を表す信号、サイドブレーキの操作量PSIを表すサイドブレーキ信号、フットブレーキの踏込量PFOを表すフットブレーキ信号、アクセルペダルの操作量であるアクセル開度θACC を表すアクセル開度信号などが前記入力軸回転速度センサ18、出力軸回転速度センサ19、あるいは図示しないセンサから供給されている。また、上記電子制御装置74からは、燃料噴射弁から前記エンジン10の気筒内へ噴射される燃料の量を制御するための噴射信号、前記第1モータジェネレータMG1及び第2モータジェネレータMG2の駆動を制御するための信号、前記自動変速機16のギヤ段を切り換えるために前記油圧制御回路66内のシフト弁を駆動するシフトソレノイドを制御する信号、前記ロックアップクラッチ26を開閉制御するために前記油圧制御回路66内のロックアップコントロールソレノイドを制御する信号などが出力される。
【0027】
上記電子制御装置74は、CPU、ROM、RAM、入出力インターフェースなどから成る所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより、基本的には、例えば図5に示す関係から実際のアクセル開度(操作量)θACC に基づいてスロットル開度θTHを制御するスロットル弁制御、例えば図6に示す予め記憶された変速線図から実際の車速V及びスロットル開度θTH(エンジン負荷)に基づいて変速を判定し、判定された変速を実行させるために前記自動変速機16のギヤ段を自動的に切り換える変速制御、前記ロックアップクラッチ26の係合、解放、あるいはスリップを実行する制御、前記エンジン10を主駆動力源とする走行時に前記第1モータジェネレータMG1によってトルクアシストを行うトルクアシスト制御などを実行する。例えば、上記トルクアシスト制御は、ブレーキをかけつつアクセルを踏み込み、ブレーキオフと同時に急発進するストール発進時などに、前記アクセル開度θACC 、前記サイドブレーキ信号及びフットブレーキ信号、及び前記トルクコンバータ14のトルク比γすなわち出力速度(入力軸回転速度NIN)を入力速度(エンジン回転速度NE )で除した値に応じて前記第2駆動力源によるアシストトルク量を変更する。このトルク比γは、出力トルクを入力トルクで除した値と等価である。
【0028】
図7は、車両の運転席付近に設けられたシフト操作部材であるシフトレバー78の操作位置と、パワー走行モード及びスノーモードを選択するためのモード選択スイッチ80と備えたシフト操作装置76を示している。上記シフトレバー78は、車両を停止させるためのP(パーキング)ポジション、車両を後進させるためのR(リバース)ポジション、前記自動変速機16内の動力伝達系を開放させるためのN(ニュートラル)ポジション、自動変速モードにより第1速ギヤ段から第5速ギヤ段(最高速ギヤ段)まで変化させて車両を低速から最高速度まで前進走行させるために操作されるD(ドライブ)ポジション、前進走行の自動変速範囲の高速側を順次制限し且つエンジンブレーキを有効化するために操作される4、3、2、Lポジションへそれぞれ択一的に操作される。また、上記モード選択スイッチ80により、通常走行モード、パワー走行モード、及びスノーモードが択一的に切り換えられる。パワー走行モードは、高出力とエンジンブレーキを用いてスポーティな走行をするときに運転者により操作される。このパワー走行モードが選択操作されると、例えば自動変速制御に用いる変速線図が高車速側へずらされることにより高い駆動力が発生させられて高出力走行モードとされる。スノーモードは、駆動輪のスリップを抑制して牽引力を高めるために車両の駆動力が低くなるように運転者により操作される。このスノーモードが選択操作されると、例えば自動変速制御に用いる変速線図が低車速側へずらされたりあるいは低速側ギヤ段のための変速線が除去されたりすることにより駆動力が低くされて低出力走行モードとされる。
【0029】
図8は、前記電子制御装置74の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。この図において、アクセル開度検出手段82は、第1駆動力源である前記エンジン10の回転数を制御するために操作されるアクセルの開き率であるアクセル開度θACC を検出する。ブレーキ作動状態検出手段84は、車両を制動させるためのサイドブレーキ及びフットブレーキの作動状態を表すサイドブレーキの操作量PSI及びフットブレーキの踏込量PFOを検出する。
【0030】
車両駆動状態判定手段86は、上記アクセル開度検出手段82にて検出されたアクセル開度θACC と、上記ブレーキ作動状態検出手段84にて検出されたサイドブレーキの操作量PSI及びフットブレーキの踏込量PFOとに応じて車両の駆動状態を判定する。好適には、アクセル開度θACC が所定値以上であり、且つサイドブレーキの操作量PSI及びフットブレーキの踏込量PFOの少なくとも一方が所定値以上すなわちサイドブレーキ及びフットブレーキの少なくとも一方が制動状態である場合にストール発進時であると判定する。トルク比判定手段88は、前記トルクコンバータ14のトルク比γが所定値以上であるか否かを判定する。
【0031】
アシスト制御手段90は、第1駆動力源である前記エンジン10を主駆動力源とする走行時に第2駆動力源である前記第1モータジェネレータMG1によってトルクアシストを行うと共に、前記アクセル開度検出手段82にて検出されたアクセル開度θACC と、前記ブレーキ作動状態検出手段84にて検出されたサイドブレーキの操作量PSI及びフットブレーキの踏込量PFOと、前記トルクコンバータ14のトルク比γとに応じて前記第1モータジェネレータMG1によるアシストトルク量を変更する。好適には、上記車両駆動状態判定手段86にてストール発進時であると判定され、且つ前記トルク比判定手段88にてトルク比γが所定値以上であると判定された場合に前記第1モータジェネレータMG1によるアシストトルク量を抑制し、場合によってはトルクアシストを停止させる。前記第1モータジェネレータMG1の駆動は電気的に制御されるものであるため、ストール発進時においても可及的速やかにアシストトルク量を変更することができる。
【0032】
図9は、前記電子制御装置74の制御作動の要部すなわちアシスト制御作動を説明するフローチャートであって、所定のサイクルタイムで繰り返し実行されるものである。先ず、ステップSA1(以下、ステップを省略する)において、前記エンジン10の回転数を制御するためのアクセルがオンであるか否かが判断される。すなわち、アクセル開度θACC が所定値以上であるか否かが判断される。このSA1の判断が否定される場合には、SA5において、図10に示す通常のトルクアシストが行われて、前記エンジン10によるエンジントルクtE に前記第1モータジェネレータMG1によるアシストトルクtMG1 が加えられて駆動力源出力トルクtOUT とされ、それをもって本ルーチンが終了させられるが、肯定される場合には、SA2において、前記サイドブレーキ及びフットブレーキがオンであるか否かが判断される。すなわち、サイドブレーキの操作量PSI及びフットブレーキの踏込量PFOの少なくとも一方が所定値以上であるか否かが判断される。このSA2の判断が否定される場合には、SA5において、前記第1モータジェネレータMG1により通常のトルクアシストが行われるが、肯定される場合には、SA3において、前記トルクコンバータ14のトルク比γが所定値A以上であるか否かが判断される。このSA3の判断が否定される場合には、SA5において、前記第1モータジェネレータMG1により通常のトルクアシストが行われるが、肯定される場合には、SA4において、前記第1モータジェネレータMG1によるトルクアシストが行われず、前記エンジン10によるエンジントルクtE が駆動力源出力トルクtOUT とされ、それをもって本ルーチンが終了させられる。ここで、SA1及びSA2が前記車両駆動状態判定手段86に、SA3が前記トルク比判定手段88に、SA4及びSA5が前記アシスト制御手段90にそれぞれ対応する。
【0033】
このように、本実施例によれば、前記アクセル開度θACC 、前記サイドブレーキの操作量PSI及びフットブレーキの踏込量PFO、及び前記トルクコンバータ14のトルク比γに応じて第2駆動力源である前記第1モータジェネレータMG1によるアシストトルクtMG1 を変更するアシスト制御手段90(SA4、SA5)を含むものであることから、第1駆動力源である前記エンジン10を主駆動力源とする走行時に、そのエンジン10を含む車両の駆動状態に応じて前記第1モータジェネレータMG1が必要にして十分なトルクアシストを行うように制御する駆動制御装置を提供することができる。
【0034】
また、前記アクセル開度θACC が所定値以上であり、前記サイドブレーキ及びフットブレーキの少なくとも一方が制動状態であり、且つ前記トルク比γが所定値A以上である場合に前記第1モータジェネレータMG1によるアシストトルクtMG1 を可及的に抑制するものであるため、その第1モータジェネレータMG1により過分に電気エネルギが消費されることなく、燃費が可及的に向上するという利点がある。
【0035】
また、前記トルクコンバータ14のトルク比γは、車両発進時のストールトルク比であるため、前記トルクコンバータ14のトルク比γが比較的大きい車両発進時に、第1駆動力源である前記エンジン10を含む車両の駆動状態に応じて第2駆動力源である前記第1モータジェネレータMG1が必要にして十分なトルクアシストを行うように制御できるという利点がある。
【0036】
また、前記アクセル開度検出手段82にて検出されたアクセル開度θACC と、前記ブレーキ作動状態検出手段84にて検出されたサイドブレーキの操作量PSI及びフットブレーキの踏込量PFOとに応じて車両の駆動状態を判定する車両駆動状態判定手段86(SA1、SA2)を含むものであるため、実用に即した態様で車両の駆動状態を判定できるという利点がある。
【0037】
また、前記車両駆動状態判定手段86は、前記アクセル開度θACC が所定値以上であり、且つ前記サイドブレーキの操作量PSI及びフットブレーキの踏込量PFOの少なくとも一方が所定値以上である場合に車両がストール発進時であると判定するものであるため、実用に即した態様で車両がストール発進時であるか否かを判定できるという利点がある。
【0038】
次に、本発明の他の実施例について説明する。なお、以下の説明において、前述の実施例と共通する部分に関しては同一の符号を付してその説明を省略する。
【0039】
図11は、前記電子制御装置74の制御作動の要部すなわちアシスト制御作動を説明するフローチャートであって、所定のサイクルタイムで繰り返し実行されるものである。先ず、SB1において、前記アクセル開度θACC が所定値B以上であるか否かが判断される。このSB1の判断が否定される場合には、SB5において、図12に示す通常のトルクアシストが行われて、前記エンジン10によるエンジントルクtE に前記第1モータジェネレータMG1によるアシストトルクtMG1 が加えられて駆動力源出力トルクtOUT とされ、それをもって本ルーチンが終了させられるが、肯定される場合には、SB2において、前記サイドブレーキ及びフットブレーキがオンであるか否かが判断される。すなわち、サイドブレーキの操作量PSI及びフットブレーキの踏込量PFOの少なくとも一方が所定値以上であるか否かが判断される。このSB2の判断が否定される場合には、SB5において、前記第1モータジェネレータMG1により通常のトルクアシストが行われるが、肯定される場合には、SB3において、前記トルクコンバータ14のトルク比γが所定のストール制御域の範囲内であるか否かが判断される。このSB3の判断が否定される場合には、SB5において、前記第1モータジェネレータMG1により通常のトルクアシストが行われるが、肯定される場合には、SB4において、前記第1モータジェネレータMG1によるトルクアシストが行われず、前記スロットルアクチュエータ60によってスロットル開度θTHが変更されることにより、図12に示すように、Dポジション時には所定値a以下となるように、Rポジション時には所定値b以下となるようにエンジントルクtE が絞られて駆動力源出力トルクtOUT とされ、それをもって本ルーチンが終了させられる。ここで、SB1及びSB2が前記車両駆動状態判定手段86に、SB3が前記トルク比判定手段88に、SB4及びSB5が前記アシスト制御手段90にそれぞれ対応する。
【0040】
このように、本実施例によれば、前記アクセル開度θACC が所定値B以上であり、前記サイドブレーキ及びフットブレーキの少なくとも一方が制動状態であり、且つ前記トルク比γが所定のストール制御域の範囲内である場合に第2駆動力源である前記第1モータジェネレータMG1によるアシストトルクtMG1 を抑制するものであるため、所定値以上のトルクが駆動装置である前記自動変速機16などに加わることなく、その駆動装置の耐久性が保証されるという利点がある。
【0041】
また、前記アシスト制御手段90(SB4、SB5)は、前記アクセル開度θACC が所定値B以上であり、前記サイドブレーキ及びフットブレーキの少なくとも一方が制動状態であり、且つ前記トルク比γが所定のストール制御域の範囲内である場合に第1駆動力源である前記エンジン10の回転数を決定する前記スロットル開度θTHを電気的に変更することにより、そのエンジン10により発生させられるエンジントルクtE が所定値以下となるように抑制するものであるため、前記駆動装置の耐久性が更に保証されるという利点がある。
【0042】
以上、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、更に別の態様においても実施される。
【0043】
例えば、前述の実施例では、前記エンジン10と第1モータジェネレータMG1とを前記自動クラッチ12を介して直結する構成のハイブリッド車両について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、前記エンジン10及び第1モータジェネレータMG1により発生させられる駆動力を遊星歯車装置により合成したり分配したりする構成の車両など、様々な態様のハイブリッド車両に適用される。
【0044】
また、前述の実施例では、前記モータジェネレータMG1が電動モータ及び発電機として用いられていたが、前記モータジェネレータMG2が電動モータ及び発電機として用いられてもよいし、それら両方が電動モータ及び発電機として用いられても構わない。
【0045】
また、前述の実施例では、前記エンジン10の後段に、複数の前進ギヤ段を備えた遊星歯車式の自動変速機16が設けられていたが、有効径が可変な1対の可変プーリに伝動ベルトが巻き掛けられたベルト式無段変速機や、トロイダル式の無段変速機などが設けられていても構わない。
【0046】
また、前述の実施例では、前記アシスト制御手段90は、サイドブレーキ及びフットブレーキの作動状態に応じて前記第1モータジェネレータMG1によるアシストトルクtMG1 を変更するものであったが、それらのうち何れか一方の作動状態に応じて前記第1モータジェネレータMG1によるアシストトルクtMG1 を変更するものであっても構わない。
【0047】
その他、一々例示はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良が加えられて実施されるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である車両用制御装置が適用された車両用動力伝達装置の構成を説明する骨子図である。
【図2】図1の自動変速機における複数の油圧式摩擦係合装置の作動の組み合わせとそれにより成立するギヤ段との関係を示す図表である。
【図3】図1の自動変速機を含む車両用原動機及び駆動系の要部を説明する図である。
【図4】図1のハイブリッド車両に設けられた電子制御装置の入出力信号を説明する図である。
【図5】図4の電子制御装置により制御されるスロットル開度の制御特性を示す図である。
【図6】図4の電子制御装置による変速制御において用いられる変速線図を示す図である。
【図7】図1のハイブリッド車両の運転席付近に設けられたシフトレバーの操作位置と、走行モード選択スイッチとを示す図である。
【図8】図4の電子制御装置の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。
【図9】図4の電子制御装置の制御作動の要部すなわちアシスト制御作動を説明するフローチャートである。
【図10】図1の第1モータジェネレータによるトルクアシストの有無による駆動力源出力トルクの変化を示すグラフである。
【図11】図4の電子制御装置の他の制御作動の要部すなわちアシスト制御作動を説明するフローチャートである。
【図12】図1の第1モータジェネレータによるトルクアシストの有無及びエンジントルクの絞り制御による駆動力源出力トルクの変化を示すグラフである。
【符号の説明】
10:エンジン(第1駆動力源)
14:トルクコンバータ
82:アクセル開度検出手段
84:ブレーキ作動状態検出手段
90:アシスト制御手段
MG1:第1モータジェネレータ(第2駆動力源)
PFO:フットブレーキの踏込量
PSI:サイドブレーキの操作量
tMG1 :アシストトルク
θACC :アクセル開度
γ:トルク比
Claims (3)
- 第1駆動力源と、第2駆動力源と、それら第1駆動力源及び/又は第2駆動力源によって発生させられたトルクを増幅して伝達するためのトルクコンバータと、アクセルの開度を検出するアクセル開度検出手段と、車両を制動させるためのブレーキの作動状態を検出するブレーキ作動状態検出手段と、前記第1駆動力源を主駆動力源とする走行時に前記第2駆動力源によってトルクアシストを行うアシスト制御手段とを備えた車両用駆動制御装置であって、
該アシスト制御手段は、前記アクセルの開度、前記ブレーキの作動状態、及び前記トルクコンバータのトルク比に応じて前記第2駆動力源によるアシストトルク量を変更するものであり、前記アクセルの開度が所定値以上であり、前記ブレーキが制動状態であり、且つ前記トルク比が所定値以上である場合に前記第2駆動力源によるアシストトルク量を抑制することを特徴とする車両用駆動制御装置。 - 前記トルクコンバータのトルク比は、車両発進時のストールトルク比である請求項1の車両用駆動制御装置。
- 前記アクセルの開度が所定値以上であり、前記ブレーキが制動状態であり、且つ前記ストールトルク比が所定のストール制御域の範囲内である場合に前記第2駆動力源によるアシストトルク量を抑制するものである請求項2の車両用駆動制御装置。
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