JP3922096B2 - 縦結合型マルチモード圧電フィルタ装置、縦結合型マルチモード圧電フィルタ及び電子部品 - Google Patents

縦結合型マルチモード圧電フィルタ装置、縦結合型マルチモード圧電フィルタ及び電子部品 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば帯域フィルタとして用いられる圧電フィルタに関し、より詳細には、圧電縦効果による振動の高調波を用いた縦結合型のマルチモード圧電フィルタ装置、縦結合型マルチモード圧電フィルタ及び該圧電フィルタを収納してなる電子部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、帯域フィルタとして様々な圧電フィルタが用いられている。数MHz〜数十MHz帯の周波数領域においては、小型化が容易であり、コストが安価な二重モード圧電フィルタが主に用いられている。
【0003】
この種の二重モード圧電フィルタは、例えば特開平5−327401号公報などに開示されている。
図18は、厚み縦振動を利用した従来の二重モード圧電フィルタを示す断面図である。
【0004】
圧電フィルタ201は、厚み方向に分極処理された圧電板202を有する。圧電板202の上面には、一対の励振電極203,204が形成されており、下面には励振電極203,204と圧電板202を介して対向するように共通励振電極205が形成されている。
【0005】
使用に際しては、上面の一方の励振電極203と共通励振電極205との間に入力信号を印加し、圧電板202を励振させる。この場合、圧電板202が励振され、図19(a)に示す対称モードと、図19(b)に示す反対称モードが生じ、これら双方のモードが結合されてフィルタ帯域が構成される。出力は、励振電極204とアース電極205との間で取り出される。
【0006】
なお、上記のように厚み縦振動モードを利用した二重モード圧電フィルタの他、圧電板202を上面に平行な方向に分極処理し、それによって厚み滑りモードを利用した二重モード圧電フィルタも知られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来の圧電フィルタ201では、対称モードと反対称モードの結合の強さは、励振電極203,204間の間隔に依存し、この間隔の大きさにより対称モードと反対称モードの周波数差が決定され、通過帯域が決められることになる。
【0008】
すなわち、広帯域フィルタを得るには、励振電極203,204間の間隔を狭くし、両方のモードの結合度を高め、かつ双方のモードの周波数差を大きくする必要があった。
【0009】
他方、励振電極203,204は、通常、導電ペーストのスクリーン印刷により形成されている。スクリーン印刷法では、励振電極203,204の間隔を狭くするにも限界があった。他方、フォトリソグラフィーにより励振電極203,204を形成すれば、励振電極203,204間の間隔を小さくすることができるものの、コストが高くつくことになる。
【0010】
また、たとえ、励振電極203,204間の間隔を狭くすることができたとしても、圧電フィルタ201において入出力間の静電容量が増加し、減衰量が小さくなるという問題もあった。
【0011】
他方、圧電フィルタにおいては、十分大きな減衰量を得るために、複数のフィルタ素子を接続した方法も広く用いられている。図20に示すように、圧電フィルタ装置211では、基板212上に、第1,第2の圧電フィルタ素子213,214が実装されている。圧電フィルタ素子213と圧電フィルタ素子214とは同一の構造を有する。
【0012】
しかしながら、フィルタ素子213とフィルタ素子214との間の距離が近い場合には、図20の矢印Aで略図的に示すように、フィルタ素子213,214の入出力間に発生する浮遊容量により、減衰量が劣化するという問題があった。従って、フィルタ素子213,214をあまり近づけて配置することができなかった。よって、フィルタ装置全体の寸法が大きくならざるを得なかった。
【0013】
他方、大きな減衰量を得る他の方法として、図21に示すように、中継容量を備えた圧電フィルタも提案されている。図21に示す圧電フィルタ221では、圧電基板に第1,第2のエネルギー閉じ込め型の圧電共振部222,223が構成されている。圧電共振部222,223間に、中継容量を構成するために、容量電極224,225が圧電基板を介して対向するように構成されている。図22は、図21に示した圧電フィルタ221の回路構成を示す図である。
【0014】
ここでは、容量電極224,225により、図22に示す中継容量Cが構成されている。しかしながら、圧電フィルタ221を構成する圧電基板が分極されているため、容量電極224,225が形成されている圧電基板部分において圧電効果により所望でない振動が生じ、スプリアスが発生するという問題があった。
【0015】
さらに、容量電極224,225が対向している部分において、圧電基板が分極されていないように、圧電基板を部分的に分極する方法も知られている。しかしながら、圧電基板を部分分極した場合には、圧電基板にクラックが生じる恐れがあった。
【0016】
本発明の目的は、広帯域であり、かつ減衰量が十分大きく、さらに小型化が容易であり、所望でないスプリアスの発生を抑制し得るマルチモード圧電フィルタ装置、マルチモード圧電フィルタ及び該マルチモード圧電フィルタが収納された電子部品を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
第1の発明に係るマルチモード圧電フィルタは、互いに平行に配置された4以上の励振電極及び前記励振電極間に配置されており、かつ励振電極に直交する方向または励振電極と平行な方向において同一方向に分極処理されている複数の圧電体層を有し、前記複数の励振電極と直交する方向において対向している第1,第2の端面と、第1,第2の端面を結ぶ第1〜第4の側面とを有する積層型圧電体と、前記積層型圧電体の第1〜第4の側面の少なくとも1つの側面において第1の端面側に寄せられて形成された入力電極と、前記積層型圧電体の第1〜第4の側面の少なくとも1つの側面において第2の端面側に寄せられて形成された出力電極とを備え、前記積層型圧電体の第1〜第4の側面の少なくとも1つの側面に形成された、アース電極と、前記複数の励振電極が、前記入力電極に接続される第1のグループの励振電極と、前記出力電極に電気的に接続される第2のグループの励振電極と、前記アース電極に接続される第3のグループの励振電極とを有し、入力電極とアース電極との間に入力信号が印加されると、異なる次数のモードであって、隣接する3つの高次のモードの振動が励振されかつ結合され、前記出力電極とアース電極とから出力信号が取り出されるように構成されている第1,第2の縦結合型マルチモード圧電フィルタと、第1,第2の圧電フィルタが上面に搭載されたケース基板とを備え、第1,第2の圧電フィルタが縦属接続されており、かつ前記第1,第2の圧電フィルタのアース電極同士が第1,第2の圧電フィルタの入力電極同士及び出力電極同士よりも近接するように配置されていることを特徴とする。
【0018】
第1の発明に係るマルチモード圧電フィルタ装置において用いられる3つのモードは特に限定されないが、本発明のある特定の局面では、圧電縦効果を利用した長さ振動モードの高調波が用いられ、他の特定の局面では、圧電縦効果を利用した厚み縦振動の高調波が用いられる。
【0019】
第1の発明に係る圧電フィルタ装置の他の特定の局面では、前記積層型圧電体を構成している圧電材料の音響インピーダンス値をZ1としたときに、前記積層型圧電体の第1,第2の端面の外側に連結されており、かつ音響インピーダンス値Z1よりも低い第2の音響インピーダンス値Z2を有する材料からなる反射層と、前記反射層の第1,第2の端面に連結されている側とが反対側の面に連結されており、第2の音響インピーダンス値Z2よりも大きな第3の音響インピーダンス値Z3を有する材料からなる保持部材とがさらに備えられる。この場合には、積層型圧電体から反射層に伝搬した振動が、反射層と保持部材との界面で反射されるため、積層型圧電体の振動特性に影響を与えることなく保持部材により機械的に保持することができる。従って、積層型圧電体の振動モードの制約が少ない。
【0020】
第2の発明に係る縦結合型マルチモード圧電フィルタは、互いに平行に配置された4以上の励振電極及び前記励振電極間に配置されており、かつ励振電極に直交する方向または励振電極と平行な方向において同一方向に分極処理されている複数の圧電体層を有し、前記複数の励振電極と直交する方向において対向している第1,第2の端面と、第1,第2の端面を結ぶ第1〜第4の側面とを有する積層型圧電体と、前記積層型圧電体の第1の側面において第1の端面側に寄せられて形成された入力電極と、前記積層型圧電体の第1の側面において第2の端面側に寄せられて形成された出力電極と、前記積層型圧電体の第1の側面とは反対側の第2の側面に形成されたアース電極とを備え、前記複数の励振電極が、前記入力電極に接続される第1のグループの励振電極と、前記出力電極に電気的に接続される第2のグループの励振電極と、前記アース電極に接続される第3のグループの励振電極とを有し、入力電極とアース電極との間に入力信号が印加されると、異なる次数のモードであって、隣接する3つの高次のモードの振動が励振されかつ結合され、前記出力電極とアース電極とから出力信号が取り出されるように構成されており、前記積層型圧電体の第1,第2の端面の外側に設けられており、かつ前記積層型圧電体の音響インピーダンス値Z1よりも低い音響インピーダンス値Z2を有する第1,第2の反射層と、前記第1,第2の反射層の外側に設けられており、前記第2の音響インピーダンス値Z2よりも大きな第3の音響インピーダンス値Z3の材料からなる第1,第2の保持部材と、前記出力電極または入力電極と前記アース電極との間に接続されるように前記第1及び/または第2の保持部材に構成されたコンデンサユニットとをさらに備えることを特徴とする。
【0021】
上記コンデンサユニットは様々な形態で構成され得る。第2の発明のある特定の局面では、前記コンデンサユニットが、前記保持部材の対向し合う一対の外表面に形成された一対の容量電極を有する。
【0022】
また、第2の発明の他の特定の局面では、前記コンデンサユニットが、前記保持部材内において、保持部材層を介して重なり合うように配置された複数の内部電極を有する。
【0023】
また、第2の発明に係る圧電フィルタにおいても、使用する3つのモードは特に限定されないが、ある特定の局面では、圧電縦効果を利用した長さ振動モードの高調波が用いられ、別の特定の局面では、圧電縦効果を利用した厚み縦振動の高調波が用いられる。
【0024】
本発明に係る電子部品は、第2の発明に従って構成された縦結合型マルチモード圧電フィルタが、前記ケース基板上に搭載されており、かつ該圧電フィルタを囲むようにケース基板にキャップ材が固定されている構造を有する。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施例を説明することにより、本発明を明らかにする。
【0026】
図1は、本発明の第1の実施例としての縦結合型のマルチモード圧電フィルタ装置を示す斜視図である。
マルチモード圧電フィルタ装置1は、ケース基板2を有する。ケース基板2は絶縁性材料からなる。ケース基板2の上面には、入力電極3、出力電極4及びアース電極5が形成されている。入力電極3とアース電極5とに接続されるように、第1のマルチモード圧電フィルタ6が導電性接着剤8a,8cにより入力電極3及びアース電極5に電気的に接続かつ機械的に固定される。また、第2のマルチモード圧電フィルタ7が、導電性接着剤9a,9cにより、出力電極4とアース電極5とに電気的に接続されかつ機械的に固定される。なお、圧電フィルタ6,7はケース基板上において縦属接続されている。また、第1のマルチモード圧電フィルタ6と第2のマルチモード圧電フィルタ7とは、中継部に形成した導電性接着剤8b,9bによって接続されている。
【0027】
圧電フィルタ6,7を囲むように、キャップ材10がケース基板2の上面に固定される。
圧電フィルタ6と圧電フィルタ7とは同じ構造を有する。図2を参照して、圧電フィルタ6の詳細を説明する。
【0028】
図2(a)に示すように、マルチモード圧電フィルタ6は、積層型圧電体11を有する。積層型圧電体11には、その長さ方向と直交する方向に延びるように励振電極12〜25が形成されている。励振電極12,25は、圧電体11の端面11a,11bにそれぞれ形成されている。また、励振電極13〜24は、内部電極の形態で形成されている。
【0029】
積層型圧電体11の端面11a,11bの外側には、反射層31,32が形成されており、反射層31,32の外側面に、保持部材33,34が形成されている。反射層31,32及び保持部材33,34は、積層型圧電体11と同じ横断面形状を有する。
【0030】
積層型圧電体11は、横断面が矩形の棒状の形状を有し、かつ端面11a,11bを結ぶ上面11c及び下面11d並びに側面11e(他方の側面は図示されず)を有する。上面11c、下面11d及び側面11eが、本発明の第1〜第3の側面を構成しており、図示されていない側面が第4の側面を構成している。
【0031】
第1の側面としての上面11c上には、端面11a側に寄せられて、入力電極26が形成されており、かつ第2の端面11b側に寄せられて出力電極27が形成されている。また、第1の側面とは反対側の第2の側面としての下面11d上にはアース電極28が形成されている。
【0032】
上面11c上には、複数の絶縁性材料29が付与されており、下面11d上においても、複数の絶縁性材料30が付与されている。
【0033】
図2(b)に一部が示されているように、絶縁性材料29,30は、励振電極12〜25を入出力電極26,27及びアース電極28に選択的に電気的に接続するために設けられている。
【0034】
すなわち、励振電極13,15,17は、入力電極26に接続されており、第1のグループの励振電極を構成している。励振電極13,15,17とアース電極28との電気的接続を防止するために、絶縁性材料30がそれぞれ、励振電極13,15,17の下端を被覆するように設けられている。同様に、出力電極27に接続されている第2のグループの励振電極20,22,24とアース電極28との電気的接続を遮断するために、励振電極20,22,24の下端が絶縁性材料30により覆われている。
【0035】
他方、励振電極12,14,16,18,19,21,23,25は第3のグループの励振電極を構成しており、アース電極28に電気的に接続されている。励振電極12,14,16,18,19,21,23,25と入力電極26及び出力電極27との電気的接続を遮断するために、絶縁性材料29がこれらの励振電極の上端を被覆するように上面11c上に設けられている。
【0036】
異なる電位に接続される励振電極間の圧電体層、例えば励振電極12と励振電極13とで挟まれた圧電体層は、積層型圧電体11の長さ方向に分極処理されている。
【0037】
本実施例では、積層型圧電体11を構成する圧電材料として、チタン酸ジルコン酸鉛系セラミックスが用いられており、その音響インピーダンス値Z1は、3.4×107(kg/m2・S)である。
【0038】
他方、反射層31,32は、エポキシ樹脂からなり、その音響インピーダンス値Z2は1.87×106(kg/m2・S)である。また、保持部材33,34は、本実施例では、セラミックスにより構成されており、その音響インピーダンス値Z3は3.4×107(kg/m2・S)である。
【0039】
反射層31,32を構成する材料は、その音響インピーダンス値Z2が、圧電体11を構成する圧電材料及び保持部材33,34を構成する材料の音響インピーダンス値Z1,Z3よりも小さい限り、特に限定されない。
【0040】
また、保持部材33,34を構成する材料についてもその音響インピーダンスZ3が、反射層31,32の音響インピーダンスZ2よりも大きい限り、特に限定されず、セラミックス以外の絶縁性材料で構成されてもよい。
【0041】
図1に戻り、マルチモード圧電フィルタ装置1では、上記のようにして構成されている圧電フィルタ6と、圧電フィルタ6と同じように構成された圧電フィルタ7とがケース基板2上に固定される。この場合、圧電フィルタ6のアース電極28と、圧電フィルタ7のアース電極28とが対向するように圧電フィルタ6,7が配置されている。言い換えれば、圧電フィルタ6,7のアース電極同士が、圧電フィルタ6,7の入出力電極同士よりも近接するように配置されている。そのため、以下の具体的な実験例から明らかなように、減衰量の拡大が図られる。
【0042】
次に、圧電フィルタ装置1の動作につき説明する。
図3は、圧電フィルタ6を動作させた場合に励振される対称モード(実線)及び反対称モード(破線)を示す図である。図3から明らかなように、マルチモード圧電フィルタ6では、対称モードとして12倍波が強く励振され、かつ反対称モードでは11倍波及び13倍波が強く励振される。すなわち、マルチモード圧電フィルタ6では、圧電縦効果を利用した長さ振動モードの11倍波〜13倍波が効率よく励振される。圧電フィルタ6では、上記11倍波〜13倍波が結合されて、フィルタとしての特性が得られる。
【0043】
図4は、圧電フィルタ6のフィルタ波形を示す図である。図4から明らかなように、中心周波数11MHzの広帯域のフィルタ特性が得られていることがわかる。
【0044】
マルチモード圧電フィルタ6では、利用しようとする3つのモードの周波数は、複数の高次モードの次数の比だけ離れている。前述した従来の横結合マルチモードフィルタでは、各モードの周波数は一対の励振電極間の間隔に依存していた。これに対して、マルチモード圧電フィルタ6では、各モードの周波数は励振電極間の間隔に依存しない。すなわち、所望の帯域幅を得るには、帯域幅に応じた次数を選択すればよいだけである。従って、広帯域のフィルタ特性を容易に得ることができる。また、従来の横結合マルチモードフィルタでは、広帯域化を図る場合に、分割励振電極の形成が非常に困難となるのに対し、圧電フィルタ6では、容易に帯域幅の拡大を図ることができる。
【0045】
さらに、従来の横結合マルチモードフィルタでは、フィルタの減衰量が十分大きくならないという問題があった。フィルタの減衰量は、入力−アース電位間の容量CI-Gと、入力電極と出力電極との間の容量CI-Oとの比率に関係する。すなわち、入出力間の容量が入力電極とアース電位との間の容量に対して小さい程、減衰量は大きくなる。
【0046】
圧電フィルタ6では、入力電極26及び出力電極27に接続される励振電極間に、グランド電位に接続される励振電極18,19が配置されているため、入力電極−出力電極間の容量が著しく小さくされ得る。よって、従来のマルチモードフィルタに比べて、大きな減衰量を得ることができる。
【0047】
なお、圧電フィルタ6では、積層型圧電体11は長さ振動モードの高調波で振動する。従って、積層型圧電体11はエネルギー閉じ込め型の圧電振動子ではないため、積層型圧電体11を機械的に保持すると、保持により特性か損なわれる。
【0048】
そこで、本実施例では、反射層31,32が端面11a,11bの外側に形成されており、さらに保持部材33,34が反射層31,32の外側に連結されている。圧電体11、反射層31,32及び保持部材33,34の音響インピーダンスZ1〜Z3が上記のように選ばれているため、圧電体11から伝搬してきた振動が反射層31,32と保持部材33,34との界面において反射される。従って、振動エネルギーは、界面間の中央の領域に閉じ込められることになる。よって、圧電フィルタ6では、保持部材33,34において機械的に保持したとしても、その特性に影響が生じ難い。これを図5及び図6に示す。
【0049】
図5は圧電フィルタ6を固定することなく測定されたインピーダンス−周波数特性及び位相−周波数特性を示し、図6は、保持部材33,34において圧電フィルタ6を機械的に保持して特性を測定した場合のインピーダンス−周波数特性及び位相−周波数特性を示す。なお、図5及び図6において実線が位相−周波数特性を、破線がインピーダンス−周波数特性を示す。
【0050】
図6を図5と比較すれば明らかなように、保持部材33,34において圧電フィルタ6を機械的に保持したとしても、共振特性が損なわれないことがわかる。従って、図1に示すように、導電性接着剤8a,8b,8c,9a,9b,9cを用い、保持部材33,34の外表面に至っている部分において、入出力電極26,27またはアース電極28を入力電極3,出力電極4及びアース電極5にそれぞれ電気的に接続し、かつ機械的に接合したとしても、圧電フィルタ6,7の特性は損なわれ難い。
【0051】
図1に戻り、本実施例のマルチモード圧電フィルタ装置1では、上記のような広帯域かつ減衰量の大きなマルチモード圧電フィルタ6,7が用いられている。すなわち、2素子のマルチモード圧電フィルタ6,7が縦属接続されているため、より一層減衰量の拡大が図られる。
【0052】
さらに、マルチモード圧電フィルタ6,7のアース電極28同士が対向するように圧電フィルタ6,7が配置されているため、それによって減衰量のより一層の拡大が図られる。これを、図7〜図9を参照して説明する。
【0053】
図7は、本実施例のマルチモード圧電フィルタ装置のフィルタ特性を示す図である。図8は、上記実施例とは異なり、圧電フィルタ6,7の入力電極26同士及び出力電極27同士が向かい合わせに対向するように配置することを除いては上記実施例と同様にして構成された圧電フィルタ装置において、2素子のフィルタ6,7間の距離Wを変化させた場合の減衰量の変化を示す。図8において、2つのフィルタ6,7間の距離Wが0.5mm以下である場合、上記実施例と同様であるが、減衰量は上記実施例に比べて小さくなることがわかる。
【0054】
図9は、上記実施例において、フィルタ6,7間の距離Wを変化させた場合の減衰量の変化を示す。図9を図8と比較すれば明らかなように、本実施例では、アース電極28同士が対向されて配置されているため、フィルタ6,7間の距離Wを小さくした場合であっても、減衰量が十分な大きさとされ得ることがわかる。
【0055】
なお、上記実施例では、厚み縦振動の11倍波〜13倍波を利用したマルチモード圧電フィルタ6,7を用いた例を示したが、この高調波の次数は所望とするフィルタの通過帯域によって自由に選択すればよい。
【0056】
また、異なる電位に接続される励振電極間の圧電体層の厚みについても、均一にする必要は必ずしもない。すなわち、部分的に圧電体層の厚みを異ならせ、それによってスプリアスとなる次数のモードの励振効率を低下させることができる。
【0057】
図10は、本発明の第2の実施例に係るマルチモード圧電フィルタ装置を説明するための分解斜視図である。第1の実施例では、圧電縦効果を利用した長さ振動モードの高調波を用いた圧電フィルタが使用されていたが、本発明においては、他の振動モードを利用した圧電フィルタを用いてもよい。
【0058】
図10に示す圧電フィルタ装置51では、圧電縦効果を利用した厚み縦振動の高調波が用いられている。すなわち、ケース基板52上に、厚み縦振動の高調波を利用したエネルギー閉じ込め型のマルチモード圧電フィルタ56,57が搭載される。ケース基板52上には、入力電極53、出力電極54及びアース電極55が形成されている。圧電フィルタ56,57は、導電性接着剤58a,58bにより入力電極53、出力電極54に電気的に接続され、かつ機械的に固定される。なお、アース電極55は、圧電フィルタ56,57のアース電極(後述)と図示されていない導電性接着剤で接合されている。さらに、56は接続電極であり、圧電フィルタ6,7を接続するために設けられている。
圧電フィルタ56と圧電フィルタ57とは同じように構成されている。
【0059】
図11(a)〜(d)を参照して、圧電フィルタ56の詳細を説明する。
図11に示すように、マルチモード圧電フィルタ56は、積層型圧電体61を有する。積層型圧電体61は、対向し合う第1,第2の端面61a,61bを有する。端面61a,61bを結ぶ矢印Pで示す方向に圧電体61が分極処理されている。端面61a,61b上には、励振電極62,75が形成されている。また、圧電体61内には、内部電極の形態で、励振電極63〜74が形成されている。励振電極62〜75は、圧電体層を介して重なり合うように配置されている。また、励振電極63,65,67が、第1の側面61cに引き出されており、第1の側面61c上において、端面61a側に寄せられて形成された入力電極76に電気的に接続されている。また、第2のグループの励振電極70,72,74が側面61cに引き出されて、出力電極77に電気的に接続されている。出力電極77は、側面61c上において端面61b側に寄せられて形成されている。第3のグループの励振電極62,64,66,68,69,71,73,75は、側面61dに形成されたアース電極78に電気的に接続されている。
【0060】
励振電極62〜75が圧電体層を介して重なり合っている部分は、圧電体61の中央部分に限定されている。従って、本実施例では、異なる電位に接続された励振電極間に挟まれた圧電体層、例えば励振電極62と励振電極63とで挟まれた圧電体層は、圧電縦効果を利用した厚み縦振動で励振され、かつ厚み縦振動モードの高調波が励振電極62,63が対向している圧電体層部分に閉じ込められる。
【0061】
上記圧電フィルタ56を動作させた場合、対称モードでは、図11(b)に示す厚み縦振動の12倍波が効率よく励振され、反対称モードでは、図11(c)及び(d)にそれぞれ示す厚み縦振動の高調波の11倍波及び13倍波が効率よく励振される。
【0062】
従って、圧電フィルタ56においては、11倍波〜13倍波が結合されて、フィルタ特性が得られる。
本実施例では、圧電フィルタ56,57は、上記のようにエネルギー閉じ込め型のマルチモード圧電フィルタとして構成されている。従って、エネルギー閉じ込め型であるため、振動エネルギーは励振電極62〜75が対向している部分に閉じ込められている。よって、側面61c,61dを利用して、ケース基板52に固定したとしても、フィルタ特性が影響を受け難い。
【0063】
本実施例においても、第1の実施例と同様に、通過帯域に応じて利用しようとする高調波の次数を選択することにより、帯域幅を容易に調整することかできる。また、本実施例においても、図10に示されているように、圧電フィルタ56,57のアース電極78同士が対向するように配置されているため、帯域外減衰量を十分な大きさとすることができる。
【0064】
図12は、本発明の第3の実施例に係るマルチモード圧電フィルタ装置を説明するための分解斜視図である。
【0065】
第3の実施例のマルチモード圧電フィルタ装置81では、ケース基板82上に、マルチモード圧電フィルタ86,87が搭載される。ケース基板82には、入力電極83、出力電極84及びアース電極85が形成されている。また、導電性接着剤88a,88bにより、圧電フィルタ86,87が入力電極83、出力電極84に電気的に接続される。なお、アース電極85と圧電フィルタ86,87との電気的接続のための導電性接着剤は図示されていない。また、89は圧電フィルタ86,87を縦属接続するための接続電極を示す。
【0066】
図13に示すように、圧電フィルタ86は、積層型圧電体91を有する。積層型圧電体91内には、図13に右の方に略図的に示す励振電極92,93が圧電体層を介して重なり合うようにかつ交互に形成されている。圧電体91の上面91a及び下面91bが、第1,第2の端面を構成している。第1の側面91c及び第3の側面91eのコーナー部分には、上面91a側に寄せられて入力電極94が、下面91b側に寄せられて出力電極95が形成されている。
【0067】
他方、第1の側面91cと第4の側面91fとのコーナー部分には、アース電極96が高さ方向の全長に渡って形成されている。なお、91dは第2の側面を示す。
【0068】
図14に、圧電フィルタ91における電極接続構造を模式的に示す。
本実施例では、圧電体91は厚み方向に分極処理されている。従って、10層の圧電体が異なる電位に接続されている励振電極間に挟まれて構成されているため、圧電フィルタ86では、厚み縦振動の高調波として、対称モードでは、10倍波が、反対称モードでは11倍波及び13倍波が強く励振される。本実施例では、励振電極92,93が圧電体91の端面91a,91bと平行な面において、中央部分においてのみ圧電体層を介して対向されている。従って、振動エネルギーが圧電体91の中央部分に閉じ込められる。このように、エネルギー閉じ込め型のマルチモード圧電フィルタを構成する場合、その励振電極の形状は適宜変更され得る。
【0069】
また、第3の実施例では、中心部分においてのみ励振電極92,93が圧電体層を介して対向している形状を有するため、入力電極94、出力電極95及びアース電極96への電気的接続のための電極構造の自由度が高められ、かつ圧電フィルタ91の機械的強度が高められる。従って、高周波化に容易に対応することができる。
【0070】
第3の実施例においても、図12に示すように、圧電フィルタ86,87のアース電極96同士が近接されて配置されているため、第1の実施例と同様に、減衰量を十分な大きさとすることができる。
【0071】
図15は、本発明の第4の実施例に係るマルチモード圧電フィルタを示す斜視図である。マルチモード圧電フィルタ101は、第2の発明の実施例である。
マルチモード圧電フィルタ101は、細長い矩形板状の積層型の圧電体102を有する。圧電体102の端面102aには励振電極103が形成されている。第2の端面102bには、励振電極116が形成されている。また、励振電極104〜115が内部電極の形態で形成されている。励振電極103〜116は、圧電体の横断面の全領域に至るように形成されている。もっとも、励振電極103〜116は、横断面形状の一部の領域にのみ形成されていてもよい。
【0072】
第1の実施例で用いられた圧電フィルタ6と同様に、第1の側面としての上面には、端面102a側に寄せられて入力電極117が形成されており、端面102b側に寄せられて出力電極118が形成されている。また、第2の側面としての下面には、アース電極119が形成されている。
【0073】
圧電体102の上面及び下面には、それぞれ、複数の絶縁性材料120,121が付与されている。絶縁性材料120は、励振電極104,106,108,111,113,115をアース電極119と電気的に絶縁するために設けられている。同様に、絶縁性材料121は、励振電極103,105,107と、入力電極117と電気的に絶縁するために、並びに励振電極109,110,112,114,116を出力電極118と電気的に絶縁するために設けられている。
【0074】
圧電体102は、チタン酸ジルコン酸鉛系セラミックスからなり、長さ方向に分極処理されている。
従って、上記入力電極117とアース電極119との間に交流電圧を印加した場合、圧電体102が長さ振動モードで振動される。従って、第1の実施例のマルチモード圧電フィルタ6と同様に、圧電縦効果を利用して、長さ振動モードの高調波が効率よく励振され、より具体的には、11倍波〜13倍波が効率よく励振され、かつこれらが結合されてフィルタ帯域が得られる。
【0075】
圧電フィルタ101の積層型圧電体102は、上記のように、マルチモード圧電フィルタ6とほぼ同様に構成されている。
本実施例においても、圧電体102の端面102a,102bの外側には、反射層31,32及び保持部材33,34が設けられている。反射層31,32及び保持部材33,34は、マルチモード圧電フィルタと同様に構成されている。
【0076】
従って、マルチモード圧電フィルタ101においても、保持部材33,34において機械的に保持した場合、フィルタ特性が損なわれ難い。
本実施例の特徴は、上記圧電フィルタ101において、一方の保持部材33において容量電極117a,119aが形成されていることにある。容量電極117a,119aは、それぞれ、入力電極117及びアース電極119の一端を延長するようにして形成されている。容量電極117a,119aが保持部材33の上面及び下面を介してある程度の面積で対向されている。従って、容量電極117a,119a間において、中継容量が構成されている。
【0077】
よって、本実施例では、上記中継容量の存在により、減衰量の拡大が図られる。また、本実施例では、上記中継容量は、保持部材33を用いて構成されており、保持部材33は分極処理されていない。従って、中継容量を構成したとしても、所望でないスプリアスが生じ難い。
【0078】
よって、第4の実施例によれば、広帯域であり、様々な帯域幅を容易に設定でき、かつ減衰量が大きく、所望でないスプリアスが発生し難い、マルチモード圧電フィルタを提供することが可能となる。
【0079】
マルチモード圧電フィルタ101では、保持部材33の上面及び下面に容量電極117a,119aを構成することにより中継容量が形成されていたが、図16に示すように、保持部材33に、内部電極121,122を形成することにより中継容量を構成してもよい。内部電極121は、入力電極117に電気的に接続されており、内部電極122はアース電極119に電気的に接続されている。また、絶縁性材料123,124により、内部電極121,122が、アース電極119及び入力電極117にそれぞれ電気的に接続されないように構成されている。
【0080】
このように、中継容量は、保持部材34の一部に内部電極121,122を形成することにより構成してもよく、それによって保持部材33の寸法を、図15に示した実施例に比べて小さくすることができる。
【0081】
また、図17に示すように、保持部材33において、複数の内部電極131〜134を、交互に保持部材33の上面33aまたは下面33bに引き出されるように形成し、それによって積層コンデンサ型の中継容量部を構成してもよい。
【0082】
なお、第1〜第4の実施例及び変形例において、圧電体の外表面に絶縁性材料を形成せずに、図17に示した中継容量部と同様に、励振電極の一端が接続されてはならない入力電極、出力電極またはアース電極に接触しないように形成してもよく、その場合には、圧電性材料19,20を省略することができる。
【0083】
【発明の効果】
第1の発明に係るマルチモード圧電フィルタ装置では、第1,第2の縦結合型マルチモード圧電フィルタにおいて、圧電縦効果を利用して励振された異なる次数のモードの振動を結合することによりそれぞれフィルタ特性が得られる。従って、広帯域であり、減衰量の大きなフィルタ特性を容易に得ることができる。のみならず、第1,第2の圧電フィルタのアース電極同士が、第1,第2の圧電フィルタの入出力電極同士よりも近接するように配置されているため、それによっても減衰量の拡大が図られる。
【0084】
よって、第1の発明によれば、広帯域であり、かつ大きな帯域外減衰量を得ることができる、マルチモード圧電フィルタを提供することができる。
【0085】
第2の発明に係るマルチモード圧電フィルタでは、第1の発明のマルチモード圧電フィルタと同様に、圧電縦効果を利用して励振された異なる次数のモードの振動が結合され、それによってフィルタ特性が得られるため、広帯域化及び大きな帯域外減衰量を得ることができる。しかも、積層型の圧電体の第1,第2の端面の外側に第1,第2の反射層及び第1,第2の保持部材が設けられているため、圧電体から伝搬してきた振動が反射層と保持部材との界面で反射される。よって、保持部材において、機械的に保持したとしても、フィルタ特性が損なわれ難い。そして、この保持部材において、中継容量を構成するコンデンサユニットが構成されているため、さらに大きな帯域外減衰量を得ることができる。
【0086】
従来の圧電フィルタでは、中継容量が圧電基板に構成されていたため、中継容量部が圧電効果により振動し、所望でないスプリアスが発生したが、第2の発明では、保持部材は圧電体で構成される必要がないため、所望でないスプリアスの発生も効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係るマルチモード圧電フィルタ装置を説明するための分解斜視図。
【図2】(a)及び(b)は、第1の実施例で用いられるマルチモード圧電フィルタの外観を示す斜視図及び部分切欠縦断面図。
【図3】図2に示したマルチモード圧電フィルタを実装させた場合に励振される対称モード及び反対称モードを示す図。
【図4】図2に示したマルチモード圧電フィルタのフィルタ特性を示す図。
【図5】図2に示したマルチモード圧電フィルタを機械的に保持しない場合のインピーダンス−周波数特性及び位相−周波数特性を示す図。
【図6】図2に示したマルチモード圧電フィルタを保持部材において機械的に保持した場合のインピーダンス−周波数特性及び位相−周波数特性を示す図。
【図7】第1の実施例のマルチモード圧電フィルタ装置のフィルタ特性を示す図。
【図8】入出力電極同士を向かい合わせて第1,第2のマルチモード圧電フィルタを配置した構成において、第1,第2のマルチモード圧電フィルタ間の距離Wを変化させた場合の減衰量の変化を示す図。
【図9】第1の実施例において、第1,第2のマルチモード圧電フィルタ間の距離Wを変化させた場合の減衰量の変化を示す図。
【図10】第2の実施例に係るマルチモード圧電フィルタ装置を説明するための分解斜視図。
【図11】(a)は第2の実施例で用いられるマルチモード圧電フィルタの外観を示す斜視図、(b)〜(d)は、励振される12倍波、11倍波及び13倍波を略図的に示す図。
【図12】第3の実施例に係るマルチモード圧電フィルタを説明するための分解斜視図。
【図13】第3の実施例で用いられるマルチモード圧電フィルタを説明するための略図的斜視図。
【図14】図13に示したマルチモード圧電フィルタの電極構造を模式的に示す正面断面図。
【図15】第4の実施例に係るマルチモード圧電フィルタを示す斜視図。
【図16】図15に示したマルチモード圧電フィルタの変形例を示す斜視図。
【図17】図15に示したマルチモード圧電フィルタのさらに他の変形例を示す斜視図。
【図18】従来の二重モード圧電フィルタを示す正面断面図。
【図19】(a)及び(b)は、それぞれ、図18に示した圧電フィルタにおいて励振される対称モード及び反対称モードを説明するための模式的断面図。
【図20】従来の圧電フィルタ装置の一例を説明するための斜視図。
【図21】従来の圧電フィルタの他の例を示す斜視図。
【図22】図21に示した圧電フィルタの回路構成を示す図。
【符号の説明】
1…マルチモード圧電フィルタ装置
2…ケース基板
3…入力電極
4…出力電極
5…アース電極
6,7…第1,第2のマルチモード圧電フィルタ
8a〜8d…導電性接着剤
11…圧電体
11a,11b…第1,第2の端面
11c…上面(第1の側面)
11d…下面(第2の側面)
12e…側面
12〜25…励振電極
26…入力電極
27…出力電極
28…アース電極
31,32…反射層
33,34…保持部材
51…マルチモード圧電フィルタ装置
52…ケース基板
56,57…第1,第2のマルチモード圧電フィルタ
61a…第1の端面
61b…第2の端面
61c…第1の側面
61d…第3の側面
61e…第4の側面
62,75…励振電極
76…入力電極
77…出力電極
78…アース電極
81…マルチモード圧電フィルタ装置
82…ケース基板
86,87…第1,第2のマルチモード圧電フィルタ
91…圧電体
91a,91b…第1,第2の端面
92,93…励振電極
94…入力電極
95…出力電極
96…アース電極
101…マルチモード圧電フィルタ
102…圧電体
102a,102b…端面
102c…上面(第3の側面)
102d…下面(第4の側面)
102e…側面
103〜116…励振電極
117…入力電極
117a,119a…容量電極
118…出力電極
119…アース電極
121,122…内部電極
131〜134…内部電極

Claims (10)

  1. 互いに平行に配置された4以上の励振電極及び
    前記励振電極間に配置されており、かつ励振電極に直交する方向または励振電極と平行な方向において同一方向に分極処理されている複数の圧電体層を有し、前記複数の励振電極と直交する方向において対向している第1,第2の端面と、第1,第2の端面を結ぶ第1〜第4の側面とを有する積層型圧電体と、
    前記積層型圧電体の第1〜第4の側面の少なくとも1つの側面において第1の端面側に寄せられて形成された入力電極と、
    前記積層型圧電体の第1〜第4の側面の少なくとも1つの側面において第2の端面側に寄せられて形成された出力電極とを備え、
    前記積層型圧電体の第1〜第4の側面の少なくとも1つの側面に形成された、アース電極と、
    前記複数の励振電極が、前記入力電極に接続される第1のグループの励振電極と、前記出力電極に電気的に接続される第2のグループの励振電極と、前記アース電極に接続される第3のグループの励振電極とを有し、
    入力電極とアース電極との間に入力信号が印加されると、異なる次数のモードであって、隣接する3つの高次のモードの振動が励振されかつ結合され、前記出力電極とアース電極とから出力信号が取り出されるように構成されている第1,第2の縦結合型マルチモード圧電フィルタと、
    第1,第2の圧電フィルタが上面に搭載されたケース基板とを備え、
    第1,第2の圧電フィルタが縦属接続されており、かつ前記第1,第2の圧電フィルタのアース電極同士が第1,第2の圧電フィルタの入力電極同士及び出力電極同士よりも近接するように配置されている、マルチモード圧電フィルタ装置。
  2. 前記異なる次数の3つのモードが、圧電縦効果を利用した長さ振動モードの高調波である、請求項1に記載の縦結合型マルチモード圧電フィルタ装置。
  3. 前記異なる次数の3つのモードの振動が、圧電縦効果を利用した厚み縦振動の高調波である、請求項1に記載の縦結合型マルチモード圧電フィルタ装置。
  4. 前記積層型圧電体を構成している圧電材料の音響インピーダンス値をZ1としたときに、
    前記積層型圧電体の第1,第2の端面の外側に連結されており、かつ音響インピーダンス値Z1よりも低い第2の音響インピーダンス値Z2を有する材料からなる反射層と、
    前記反射層の第1,第2の端面に連結されている側とが反対側の面に連結されており、第2の音響インピーダンス値Z2よりも大きな第3の音響インピーダンス値Z3を有する材料からなる保持部材とをさらに備える、請求項1〜3のいずれかに記載の縦結合型マルチモード圧電フィルタ装置。
  5. 互いに平行に配置された4以上の励振電極及び
    前記励振電極間に配置されており、かつ励振電極に直交する方向または励振電極と平行な方向において同一方向に分極処理されている複数の圧電体層を有し、前記複数の励振電極と直交する方向において対向している第1,第2の端面と、第1,第2の端面を結ぶ第1〜第4の側面とを有する積層型圧電体と、
    前記積層型圧電体の第1の側面において第1の端面側に寄せられて形成された入力電極と、
    前記積層型圧電体の第1の側面において第2の端面側に寄せられて形成された出力電極と、
    前記積層型圧電体の第1の側面とは反対側の第2の側面に形成されたアース電極とを備え、
    前記複数の励振電極が、前記入力電極に接続される第1のグループの励振電極と、前記出力電極に電気的に接続される第2のグループの励振電極と、前記アース電極に接続される第3のグループの励振電極とを有し、
    入力電極とアース電極との間に入力信号が印加されると、異なる次数のモードであって 、隣接する3つの高次のモードの振動が励振されかつ結合され、前記出力電極とアース電極とから出力信号が取り出されるように構成されており、
    前記積層型圧電体の第1,第2の端面の外側に設けられており、かつ前記積層型圧電体の音響インピーダンス値Z1よりも低い音響インピーダンス値Z2を有する第1,第2の反射層と、
    前記第1,第2の反射層の外側に設けられており、前記第2の音響インピーダンス値Z2よりも大きな第3の音響インピーダンス値Z3の材料からなる第1,第2の保持部材と、
    前記出力電極または入力電極と前記アース電極との間に接続されるように前記第1及び/または第2の保持部材に構成されたコンデンサユニットとをさらに備えることを特徴とする、縦結合型マルチモード圧電フィルタ。
  6. 前記コンデンサユニットが、前記保持部材の対向し合う一対の外表面に形成された一対の容量電極を有する、請求項5に記載の縦結合型マルチモード圧電フィルタ。
  7. 前記コンデンサユニットが、前記保持部材内において、保持部材層を介して重なり合うように配置された複数の内部電極を有する、請求項5に記載の縦結合型マルチモード圧電フィルタ。
  8. 前記異なる次数の3つのモードが、圧電縦効果を利用した長さ振動モードの高調波である、請求項5〜7のいずれかに記載の縦結合型マルチモード圧電フィルタ装置。
  9. 前記異なる次数の3つのモードの振動が、圧電縦効果を利用した厚み縦振動の高調波である、請求項5〜7のいずれかに記載の縦結合型マルチモード圧電フィルタ装置。
  10. ケース基板と、前記ケース基板上に搭載されており、かつ請求項5〜9のいずれかに記載の縦結合型マルチモード圧電フィルタと、該圧電フィルタを囲むように前記ケース基板に固定されているキャップ材とを備える電子部品。
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