JP3921662B2 - 建築用シャッターにおける自動施錠装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、住宅やビル棟の建築物の開口部に建付けられる建築用シャッターにおける自動施錠装置の技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、この種建築用シャッターにおいては、これが例えば住宅の窓部に設けられた窓シャッターである場合、窓(開口部)を開閉するシャッターカーテンの側部に施錠具を設ける一方、シャッターカーテンの左右両側部の移動案内をするべく窓部の両側に設けた一対のガイドレールのガイド溝に係止具を設けて、シャッターカーテンを閉鎖して全閉姿勢になることにタイミングを合せて、シャッターカーテンの施錠具を、躯体側であるガイドレールの係止具に係止させることにより施錠して、シャッターカーテンを開放されないようにしている。ところで、このような窓シャッターに施錠装置を設ける場合、係止具と施錠具とを、シャッターカーテンの全閉に伴い自動的に施錠するように構成する一方、ガイドレールの上下方向中間部位置において係止するように構成し、係止具と施錠具との係止解除である解錠操作を容易に行えるようにしている。
このようなものとしては、特開平11−81840号公報のような自動施錠装置が提案されており、このものは、ガイドレールのガイド溝を構成する屋内側片に係止孔を開設する一方、シャッターカーテンの係止孔対向部位に位置するスラットの端部に、上端部が屋内外方向に揺動する規制体(施錠具)を設けるとともに、規制体を係止孔側(屋内側)に向けて付勢する弾機を設けて構成し、規制体が弾機の付勢力を受けて係止孔に没入することにより施錠がなされる構成となっている。しかるに、このものにおいて、規制体はガイドレールの係止孔に没入する構成であるが故に、予め弾機の付勢力を受けた状態でガイドレールの側面に押圧されている。このため、シャッターカーテンの開閉作動の過程で、規制体もガイドレール側面に摺動することになって、異音の発生や、早期の摩耗等の問題がある。
これに対し、例えば特開平11−152975号公報のような自動施錠装置が提案されている。このものは、ガイドレールを構成するガイド溝の屋内側片にガイド面付きの係止具を設ける一方、シャッターカーテンの係止具配設部位に対向するスラットに、左右方向に伸長する左右の両端部が屋内外方向に揺動するよう支持された規制バー(施錠具)と、該規制バー両端部の規制体を係止具側(屋内側)に向けて付勢する弾機とを設け、シャッターカーテンの全閉に伴い弾機の付勢力に抗して係止具のガイド面を乗り越えて解錠姿勢となった後、施錠姿勢になって係止具に係止して施錠するように構成されている。そして、このものでは、前者の自動施錠装置のように、施錠姿勢の施錠具がガイドレールの側面に摺動するような不具合がないようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、前記前者および後者の自動施錠装置において、規制体を解錠姿勢とするための操作は、それぞれの解錠操作具(前者のものでは規制体に連結された作動体、後者のものでは規制バーの中央部)を、スラットに対して屋内外方向に揺動させる構成となっている。このため、規制体と解錠操作具とが配設されるスラットには揺動支点となる部位が必要となるため、これら従来のものでは、予め他のスラットとは別の特別な形状なものを用意し、このものに各部材を組込むようにしている。このため、シャッターカーテンを製作する段階で作業工程数が増加して作業性が劣るばかりでなく、コスト高になってしまう等の問題があり、ここに本発明が解決しようとする課題があった。
さらに、後者のものでは、係止具と係止する規制バー両端部の規制体は、シャッターカーテンの左右両端部よりも左右方向外方側の部位に突出して形成されており、規制体は、シャッターカーテンの屋内外方向板厚を横切るような揺動作動を行うことで、係止具との係止解除がなされる構成となっている。このため、係止具は、ガイドレールの、シャッターカーテン側部を嵌合して移動案内する部位よりもさらに溝奥側において配設されることになり、その分、ガイドレールのガイド溝深さを深く(左右幅を長く)しなければならないという問題があり、ここにも本発明が解決しようとする課題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の如き実情に鑑み、これらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、左右方向に長いスラットを上下方向に複数連綴して構成され、上端部が巻取りドラムに連結されるシャッターカーテンと、開口部の左右両側部に設けられ、前記シャッターカーテンの左右側部に設けられ、ガイド溝を構成する屋内外一対の側片部、これら側片部の左右方向外方縁部を連結する溝底片部、前記側片部の開口側端部に互いに対向する側に向けて突出形成されたガイド片を備え、シャッターカーテンがガイド溝に遊嵌状に内嵌して開閉案内をするガイドレールとを備えてなる建築用シャッター装置において、シャッターカーテンの側部に設けた施錠具と、ガイド溝に設けた係止具とを備えて自動施錠装置を構成するにあたり、該自動施錠装置の係止具を、ガイド溝の屋内側面に固定する一方、施錠具を、スラットの屋内側面に沿って固定されるケース体と、ガイドレールの開口側部位である内方側部位が屋内外方向に揺動変位自在となるようケース体に室内外方向出没自在に設けられ、弾機の付勢力を受けて屋内側に突出して係止具に係止して施錠すると共にガイドレールの屋内側開口端部に形成のガイド片に係止してガイド溝からの抜け止めをする施錠姿勢からケース体に没入し係止具との係止解除をする解錠姿勢に変姿可能な規制体と、シャッターカーテン幅方向中央側への変位で規制体を弾機に抗して施錠姿勢から解錠姿勢に変姿せしめる作動体とを備えて構成して、スラットの左右端部の屋内側面に設けられたものとしてスラットの左右端部からガイドレールの溝底片部側にはみ出すことがないようにした建築用シャッター装置における自動施錠装置である。
そして、このようにすることにより、施錠具の規制体を解錠姿勢にするための作動体は、シャッターカーテンの幅方向に作動させる構成となって、施錠具を取付ける部位のシャッターカーテン形状を特別な形状にする必要がなくなる。
請求項2の発明は、請求項1において、規制体は、ガイド溝の溝底側部位がケース体に対して屋内外方向揺動自在に枢支され、ガイド溝の開口側部位がケース体から出没するように構成されている建築用シャッター装置における自動施錠装置である。このようにすることにより、規制体による抜止めは、規制体がガイドレールの開口側縁部に係合することで行うことができる。
請求項3の発明は、請求項1または2において、作動体と規制体とのあいだにはリンク体が連結され、該リンク体を、作動体のシャッターカーテンの幅方向への変位に基づいて起倒変位させることにより、規制体が姿勢変姿するように構成されている建築用シャッター装置における自動施錠装置である。このようにすることにより、規制体が姿勢変姿するように構成されているものとすることができる。
請求項4の発明は、請求項1、2または3において、係止具と施錠具との係止は、ガイドレールの開閉方向中間部位でなされる構成となっている建築用シャッター装置における自動施錠装置である。このようにすることにより、解錠操作の操作性が良いものにできる。
【0005】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の第一の実施の形態を図1〜図9の図面に基づいて説明する。
図面において、1は住宅の掃出し窓の屋外側に取付けられるシャッター装置(窓シャッター)のシャッターカーテンであって、該シャッターカーテン1は、左右方向に長いスラット2を上下方向に複数連綴することにより構成され、最下端には座板1aが連結されたものに構成されている。前記シャッターカーテン1の上端部は、躯体開口部上方に設けられたシャッターケース3に回動自在に軸承された巻取りドラム4に連結されている。また、開口部の左右両側部には左右一対のガイドレール5が配設されており、シャッターカーテン1の左右両側部がそれぞれ遊嵌状に内嵌され、シャッターカーテン1の開閉移動をガイド(案内)するように設定されている。そして、シャッターカーテン1は、巻取りドラム4の回転に伴い、巻取りドラム4に巻取られて開口部の開放をする全開姿勢と、巻取りドラム4から巻出されて開口部の閉鎖をする全閉姿勢とのあいだを開閉移動するように設定されている。
【0006】
ここで、本実施の形態のシャッター装置は手動式に構成されており、巻取りドラム4は、シャッターケース3の両側板3aに固定される固定軸4aと該固定軸4aに回動自在に外嵌するドラム4bと、固定軸4aとドラム4bとのあいだに介装されたバランス弾機(図示せず)とを備えて構成されている。そして、シャッターカーテン1が閉鎖作動をすることに伴い、バランス弾機は巻出されたシャッターカーテン1の自重とバランスする巻取り方向への蓄勢力(付勢力)を蓄勢するが、このものでは、シャッターカーテン1の全閉姿勢において、シャッターカーテン1の自重を上回る蓄勢力が蓄勢されるように設定されており、これによって、全閉姿勢のシャッターカーテン1は、所謂上り勝手になるように構成されている。
また、シャッター装置の屋内側には左右一対の引き戸式のガラス戸6が設けられている。
【0007】
さて、前記左右一対のガイドレール5は、シャッターカーテン1の左右側縁部を内嵌するガイド溝5aを構成する屋内外一対の側片部5b、5cと、これら側片部5b、5cの左右方向外方縁部を連結する状態の溝底片部5dとを備えて個断面略コ字形状に形成されている。そして、屋内外側片部5b、5cの開口側の端部には、互いに対向する側に向けて突出形成されたガイド片5e、5fがそれぞれ形成されているが、これらガイド片5e、5fは、それぞれモヘヤ等の傷付き防止部材が嵌入するポケット形状に形成されていて、シャッターカーテン1の保護が計れるように構成されている。
さらに、ガイドレール5の上下方向中間部に位置する屋内側片部5bには、自動施錠装置Rを構成する係止具(錠受け具)7が一体的に設けられている。前記係止具7は、側面視で上下方向中間部に位置する凹部7aが形成されるべく、屋外側に突出する上下一対の段差片部7b、7cを備えて形成されており、前記凹部7aが、後述するようにシャッターカーテン1側に配された施錠具8に対し、シャッターカーテン1の全閉姿勢で丁度対向する部位に位置する位置関係となるように配設され、該凹部7aに施錠具8が係止することでシャッターカーテン1の上下方向の移動規制がなされて、シャッターカーテン1の施錠をするように設定されている。また、前記係止具段差片部7b、7cの上下には、先端側がガイドレール屋内側片部5bに沿うように傾斜した上下のガイド片部7d、7eが一体に形成されており、これら上下のガイド片部7d、7eの先端部が、ガイドレール屋内側片部5bに螺子止め固定されている。
【0008】
ところで、シャッターカーテン1を構成するスラット2は、上下縁部に、隣接するスラット2とインターロック結合するための連結部2a、2bがカール状に折曲形成されており、中間部に本体部2cが平板状に形成されたものに構成されている。そして、シャッターカーテン1の上下方向中間部に位置するスラット2、即ち、シャッターカーテン1の全閉姿勢で前記係止具7に対向するスラット2の左右両端部であるガイドレール5のガイド溝5a内嵌部位(左右方向両側縁部)の屋内側面に位置して、一対の施錠具8がそれぞれ固定されている。
尚、スラット2に配される一対の施錠具8は、それぞれ線対称の関係で設けられており、構成は何れも同様であるので、本実施例では、図1において、図面向かって右側に配設された施錠具8についての詳細な説明をする。
【0009】
前記施錠具8は、スラット2の左右両側部(左右両端縁部)に沿って配されるケース体9を備えて構成されるが、該ケース体9は、スラット本体部2cにあてがわれ、リベット止め等による固定手段により固定される固定片9aと、これら固定片9aの上下の縁部から屋内側に向けて突出する上下一対の脚片9bとを備えて構成されている。尚、上下一対の脚片9bは固定片9aよりも左右方向内方(開口部側)に突出する状態で形成されているが、ガイドレール5に組込まれた状態で、各脚片9bの内方端部は、ガイド溝5aの開口よりは溝底側に位置するように設定されている。そして、前記各脚片9bには、左右方向外方側部位(右端側部位であって、ガイド溝5aの溝底対向側部位)に位置して真円状の取付け孔9cが穿設される一方、内方側部位(左端側部位であって、ガイド溝5aの溝開口対向側部位)に位置して左右方向に長い長孔9dがそれぞれ穿設されている。
【0010】
10は、前記係止具7に係止するべくケース体9に対して出没作動する規制体であって、該規制体10は、ケース体固定片9aと屋内外方向に所定間隙を存して対向する連結片10aと、これら連結片10aの上下縁部から、屋外側方向に突出し、ケース体脚片9bの内側に沿って屋内外方向移動自在に配される側片10bとを備えて矩形状に形成されている。そして、各側片10bの外方側部位には、前記ケース体脚片9bの取付け孔9cに連通する第一取付け孔10cが穿設されており、また、側片10bの内方側部位には第二取付け孔10dが穿設されている。そして、ケース体9と規制体10とは、外方側部位のケース体取付け孔9cと規制体第一取付け孔10cとを挿通する第一枢支ピン11を介して揺動自在に連結されており、これによって、規制体10は、第一枢支ピン11を支点として、ガイドレール5の開口側部位である内方側部位が屋内外方向に揺動変姿自在となるように設定されている。
ここで、各側片10bの外方端側の屋外側コーナー部、つまりケース体固定片9a対向部はR状の切欠き部10eに形成され、規制体10の揺動が円滑になされるようになっている。
【0011】
さらに、規制体10とケース体9との内方側部位のあいだには、各脚片10bのそれぞれ内側面に沿って配される一対のリンク体12が介装されている。つまり、各リンク体12は長板状体に形成され、各端部にそれぞれ第一、第二貫通孔12a、12bがそれぞれ開設されている。そして、各リンク体12を、上下に位置する各脚片10bの内側面にそれぞれあてがい、第一貫通孔12aと各脚片10bの第二取付け孔10dとを連通させ、これら連通する上下の孔12a、10d同志に、弾性を有した鋼材で形成された半リング状の止めピン(枢支ピン)13の両先端部をそれぞれ挿通させることにより、規制体10とリンク体12とが揺動自在となる状態で連結されている。一方、リンク体12の第二貫通孔12bは、上下のケース体脚片9bの長孔9dに連通され、これらの孔12b、9dを挿通する第二枢支ピン14によりケース体9に連結されている。これによって、リンク体12は、ケース体9の脚片9bに対し揺動自在、かつ、第二貫通孔12b側部位がケース体長孔9d内を移動自在となるように連結されている。
【0012】
さらに、ケース体9と規制体10とのあいだには、第一枢支ピン11に支持される状態でコイル弾機11aが介装されており、規制体10の内方側部位をケース体9から屋内側に向けて突出させる方向に付勢している。尚、コイル弾機11aは、一端部が規制体連結片10aに弾圧し、他端部がケース体9を弾圧するように構成されており、前記コイル弾機11aの一端部は、止めピン13の湾曲部を規制体連結片10a側に押し当てて止めピン13の支持も行うように構成されている。
【0013】
また、前記第二枢支ピン14には、上下一対のリンク体12のあいだに位置して、長板状の作動体15の長手方向一端部に形成された取付け部15aが挿通されており、これによって、作動体15は第二枢支ピン14に枢支され、第二リンク体12の第二貫通孔12b部位とともに、ケース体9に対してケース体長孔9dのストローク分だけ左右方向に移動自在となるように連結されている。
【0014】
一方、16は、作動体15に連結される解錠具であって、該解錠具16は、施錠具8が配設されたスラット2に配されており、左右の施錠具8の作動体15に螺子止め等の手段によりそれぞれ連結される一対の連結バー16aと、これら連結バー16aの左右方向内方端部を連動連結する状態で配される操作摘み16bとを備えて構成されており、該操作摘み16bを回転させる解錠操作に基づいて、各連結バー16a(作動片15)を左右方向内方に向けて強制変位せしめるように設定されている。
【0015】
そうして、施錠具8は、規制体10がコイル弾機11aの付勢力を受ける自然状態において、規制体10の内方側部位が屋内側に向けて突出する施錠姿勢となるように設定されており、このとき、リンク体12は、規制体10の内方側部位が屋内側に突出することにより第一貫通孔12a部位が屋内側方向に引っ張られており、第二貫通孔12a部位が第二枢支ピン13とともにケース体長孔9dの外方端に係合しており、該係合により、規制体10の内方側部位への突出規制がなされるように設定されている。尚、この状態において、リンク体12は、第一貫通孔12a部位が屋内側、第二貫通孔12b部位が屋外側に位置する起立姿勢となるように設定されている。
【0016】
これに対し、解錠具16の操作摘み16bが解錠操作され、作動体15がコイル弾機11aの付勢力に抗して左右方向内方に強制変位した場合、リンク体12の第二貫通孔12b部位は、作動体15に引っ張られる状態で第二枢支ピン14とともにケース体長孔9d内を内方端に係合するように移動し、該ケース体長孔9dの内方端に係合する状態になると、リンク体12の第一、第二貫通孔12a、12bが略屋内外方向同位置となるリンク作動をして倒伏姿勢に変位するように設定されている。そして、このリンク体12の倒伏姿勢では、規制体10の内方側部位が屋外側、即ちケース体9側に引っ張られ、規制体10がケース体9内に没入する(内嵌する)解錠姿勢となるように設定されている。
【0017】
つぎに、このように構成された前記施錠具8と係止具7とを備えた自動施錠装置Rにおいて、自動施錠装置Rの施錠−解錠の操作手順について説明する。
シャッターカーテン1は、下端部から垂下するように設けられた操作紐1b等の操作により押し下げることで閉鎖作動が開始され、シャッターカーテン1の閉鎖(下降)に伴い施錠具8も一体に下降する。このとき、解錠具16による操作はなされておらず、施錠具8はコイル弾機11aの付勢力を受ける自然状態となっており、規制体10は、内方側部位が屋内側に突出する施錠姿勢となっている。このとき、規制体10のケース体9からの突出は、前述したように、ケース体長孔9dにより移動規制を受けるリンク体12によって規制されている。このため、リンク体12のリンク長と、ケース体長孔9dの孔長とは、施錠具8が取付けられている部位のスラット2の屋内外方向板厚Lが、ガイドレール5のガイド溝5aの溝幅(屋内外側片部5b、5cの対向間隔)L1より小さく、開口における幅(ガイド片5e、5fの対向間隔)L2より大きく(L1>L>L2)なる関係が成立するよう、それぞれ寸法設定がなされている。これによって、施錠具8は、規制体10が施錠姿勢を維持する状態でガイドレール5内を移動するとき、規制体10がガイドレール5を押圧して擦ってしまうような不具合がないように設定されている。
【0018】
そして、施錠姿勢となっている施錠具8の規制体10が係止具7の上側に位置するガイド片部7dに対向すると、規制体10は、屋外側に向けて次第に突出するガイド片部7dにより、コイル弾機11aの付勢力に抗してケース体9に没入する方向(解除姿勢となる側)に押圧されながら下降を続け、規制体10の内方側部位が係止具7の上側の段差片部7bを乗り越えることで、規制体10は、ガイド片部7dによる押圧が解除される状態で施錠姿勢に復帰し、これによって、図4(A)に示すように、係止具凹部7aに施錠姿勢の規制体10が嵌入し、規制体10に対して段差片部7b、7cによる上下方向への係止がなされ、もって、シャッターカーテン1のガイドレール5(躯体側)への施錠がなされるように設定されている。
【0019】
ここで、シャッターカーテン1は下端部に位置する座板1aが床面に当接することで開口部の閉鎖がなされるが、シャッターカーテン1は、各スラット2同志の連結部2a、2bを介してインターロック結合することで構成されており、インターロック結合部に弛み(隙間)が設けられている。このため、シャッターカーテン1は、座板1aが床面に当接した後に繰り出されるシャッターカーテン1により、床面側からの負荷を受ける状態でこれらの弛みが下側から順次埋められるように構成されている。そして、本実施の形態のシャッター装置では、施錠具8が設けられているスラット2よりも下方に位置するスラット2間の隙間が順次埋められることにタイミングを合せて、施錠具8と係止具7との係合がなされる位置関係となるように、係止具7と施錠具8とが配設されている。これによって、施錠がなされている状態において、シャッターカーテン1の下端部を持ち上げようとしても、シャッターカーテン1は弛みの全くない状態となっているため持ち上げることができず、もって、防犯性を高めることができるようになっている。
【0020】
一方、前記施錠状態から解錠し、そして、シャッターカーテン1を開放(上動)する場合では、解錠具16の操作摘み16bを解錠操作することにより、連結バー16aを介して作動体15がコイル弾機11aの付勢力に抗して左右方向内方に変位し、これによって、前述したように、リンク体12を倒伏姿勢にすることに伴い規制体10がケース体9内に没入して解錠姿勢となって、図4(B)に示すように、係止具7の段差片部7bとの係止が解除されるように設定されている。この状態で、シャッターカーテン1を開放作動することで、シャッターカーテン1はバランス弾機の付勢力を受ける状態で軽快な開放作動がなされるように設定されている。
このとき、本実施の形態のシャッター装置において、前記巻取りドラム4に介装されているバランス弾機は、前述したように上り勝手になるように設定されている。このため、施錠状態のシャッターカーテン1は施錠されることで上動が規制される状態となっており、前記解錠具16の操作摘み16bを操作することに伴い、施錠具8の規制体10が解錠姿勢になると同時に、シャッターカーテン1はバランス弾機の付勢力を受けて上動を開始するように設定されている。このため、解錠具16の操作は、施錠具8の規制体10が上側段差片部7bを乗り越えるあいだだけ操作すればよいことになって、操作摘み16bの操作時間を短縮することができて、解錠操作が容易になるようになっている。
【0021】
また、本実施の形態の施錠具8は、シャッターカーテン1がガイドレール5から抜け出すのを防止する抜止部材としても機能するように設定されている。
つまり、施錠具8の規制体10は、施錠姿勢において内方側部位、即ち、ガイドレールガイド溝5aの開口側部位が屋内側に向けて突出する構成となっている。しかも、規制体10の突出量は、前述したように、施錠具8が取付けられている部位のスラット2の屋内外方向板厚Lは、ガイドレール5のガイド溝5aの溝幅(屋内外側片部5b、5cの対向間隔)L1より小さく、溝開口における幅(ガイド片5e、5fの対向間隔)L2より大きく(L1>L>L2)なる関係となっていて、シャッターカーテン1が前後に偏るようなことがあっても、施錠姿勢の規制体10がガイド溝5aの開口に引っかかって抜止めがなされるようになっている。さらに、このものでは、シャッターカーテン1に負圧が作用して屋外側に撓んだような場合、また、シャッターカーテン1に屋外側から強風が吹きつける等して屋内側に撓んだような場合においても、図9(A)、(B)に示すように、施錠姿勢の規制体10が、屋内側の側片部5bから屋外側に突出するガイド片5eに係合することにより抜止めされるように設定されており、このようにして施錠具8によるシャッターカーテン1のガイドレール5からの抜止めがなされるように設定されている。
【0022】
叙述の如く構成された本発明の実施の形態において、引き戸式のガラス戸6の屋外側に設けられた手動式のシャッター装置は、ガラス戸6を開放してシャッターカーテン1の下端部を引き下ろすことで開口部を閉鎖作動するが、この場合に、シャッターカーテン1の全閉姿勢にタイミングを合せて、シャッターカーテン1の中間部位置のスラット2の左右に配された施錠具8は、施錠姿勢の規制体10が、ガイドレール5にそれぞれ設けられた係止具7の段差片部7bにより、コイル弾機11aの付勢力に抗して解錠姿勢に変姿しながら係止具凹部7aに係止して施錠状態となり、シャッターカーテン1は、左右両端部二箇所において躯体側に固定される。そして、施錠状態のシャッターカーテン1は、解錠具16の操作摘み16bを操作して、作動体15を左右方向内側に向けて変位させることにより、施錠具8の規制体10がケース体9に没入する解錠姿勢となって、係止具7との係合が解除される。そして、この場合に、施錠具8は、施錠姿勢の規制体10が係止具7のガイド面7dを乗り越えることで係止する構成となっているので、ガイドレール5を移動する過程で、規制体10がガイドレール5の屋内外側片部5b、5cを擦ってしまうような不具合がない。
さらに、屋内外方向に揺動する規制体10を係止具7に係止させる構成でありながら、作動体15は、左右方向に変位させることにより規制体10を解除姿勢に変姿させる構成であるため、従来のもののように、規制体を解錠姿勢にするための操作具を、スラットに対して枢支する必要がなくなり、単に作動体15に連結される連結バー16aをスラット2の本体部2cに沿って左右方向移動自在に設けるとともに、これら連結バー16aを左右方向内方に変位せしめる操作摘み16bを設ければよいことになって、施錠具8が配されるスラット2を特別な形状にする必要がなくなる。この結果、作業性が向上するばかりでなく、コスト低下にも寄与できる。
【0023】
さらに、本発明が実施されたものにおいては、施錠具8は、スラット2の本体部2cの左右側部の屋内側面に設けられ、スラット2の左右端部からガイドレール5の溝底片部5d側にはみ出すことがないので、ガイドレール5のガイド溝5aの溝深さを、従来のもののように、施錠具を配設するためにわざわざ深くするような必要がなく、シャッターカーテン1の嵌合深さを考慮してガイド溝5aの溝深さ寸法を設定することができる。
【0024】
また、このものでは、施錠具8が取付けられた部位における屋内外方向の厚さ(板厚)Lは、ガイドレール5のガイド溝5aの溝幅(屋内外側片部5b、5cの対向間隔)L1より小さく、溝開口における幅(ガイド片5e、5fの対向間隔)L2より大きく(L1>L>L2)設定されていて抜止め部材を兼用しているが、この場合に、規制体10は、開口部の内方側部位が屋外側に突出することで施錠姿勢となっており、規制体10の内方側部位がガイドレールのガイド片5e、5fに係合することで抜止めされる構成となっているので、抜止めの強度を確保しやすいうえ、該部位における抜止めを、該部位がガイドレール5を変位する全過程において行うことができる。
【0025】
さらに、このものでは、シャッターカーテン1は座板1aが床面に当接し、スラット2同志の隙間が下方部位から順次塞がって、施錠具8が取付けられるスラット2よりも下方の隙間がなくなった状態で係止具7と施錠具8との施錠がなされるので、施錠状態において、シャッターカーテン1の下方に弛みがなくなって、防犯性に優れたものにすることができる。
【0026】
また、シャッターカーテン1の上下方向中間部位において係止具7と施錠具8との自動施錠がなされる構成となっており、解錠具16は該中間部位に設けられている。このため、解錠具16の操作をするためにわざわざ屈んだりする必要がなくなって、容易に操作できる。しかも、シャッターカーテン1はバランス弾機により上り勝手に設定されているため、解錠操作と同時にシャッターカーテン1が上動を開始するため、解錠操作の時間が短くても確実に解錠操作ができて、操作性に優れたものにできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】シャッター装置の概略正面図である。
【図2】窓部における下部および上部を断面し、シャッター装置の取付け状態を説明する横断面図である。
【図3】図3(A)、(B)はそれぞれ要部の側面図、横断面図である。
【図4】図4(A)、(B)はそれぞれ自動施錠装置の施錠状態、解錠状態を説明するパターン図である。
【図5】図5(A)、(B)はそれぞれ係止具の側面図、正面図である。
【図6】図6(A)、(B)、(C)はそれぞれ施錠具の側面図、正面図、背面図である。
【図7】図7(A)、(B)はそれぞれ施錠具規制体の施錠姿勢、解錠姿勢を説明する平面図である。
【図8】図8(A)、(B)はそれぞれ施錠具の分解斜視図、組み立て状態を示す斜視図である。
【図9】図9(A)、(B)はそれぞれ自動施錠装置による抜止め状態を説明するパターン図である。
【符号の説明】
1 シャッターカーテン
2 スラット
5 ガイドレール
5b 屋内側の側片部
7 係止具
7a 凹部
7b 上側段差片部
8 施錠具
9 ケース体
9d 長孔
10 規制体
11 第一枢支ピン
11a コイル弾機
12 リンク体
13 止めピン
14 第二枢支ピン
15 作動体
16 解錠具
Claims (4)
- 左右方向に長いスラットを上下方向に複数連綴して構成され、上端部が巻取りドラムに連結されるシャッターカーテンと、開口部の左右両側部に設けられ、前記シャッターカーテンの左右側部に設けられ、ガイド溝を構成する屋内外一対の側片部、これら側片部の左右方向外方縁部を連結する溝底片部、前記側片部の開口側端部に互いに対向する側に向けて突出形成されたガイド片を備え、シャッターカーテンがガイド溝に遊嵌状に内嵌して開閉案内をするガイドレールとを備えてなる建築用シャッター装置において、シャッターカーテンの側部に設けた施錠具と、ガイド溝に設けた係止具とを備えて自動施錠装置を構成するにあたり、該自動施錠装置の係止具を、ガイド溝の屋内側面に固定する一方、施錠具を、スラットの屋内側面に沿って固定されるケース体と、ガイドレールの開口側部位である内方側部位が屋内外方向に揺動変位自在となるようケース体に室内外方向出没自在に設けられ、弾機の付勢力を受けて屋内側に突出して係止具に係止して施錠すると共にガイドレールの屋内側開口端部に形成のガイド片に係止してガイド溝からの抜け止めをする施錠姿勢からケース体に没入し係止具との係止解除をする解錠姿勢に変姿可能な規制体と、シャッターカーテン幅方向中央側への変位で規制体を弾機に抗して施錠姿勢から解錠姿勢に変姿せしめる作動体とを備えて構成して、スラットの左右端部の屋内側面に設けられたものとしてスラットの左右端部からガイドレールの溝底片部側にはみ出すことがないようにした建築用シャッター装置における自動施錠装置。
- 請求項1において、規制体は、ガイド溝の溝底側部位がケース体に対して屋内外方向揺動自在に枢支され、ガイド溝の開口側部位がケース体から出没するように構成されている建築用シャッター装置における自動施錠装置。
- 請求項1または2において、作動体と規制体とのあいだにはリンク体が連結され、該リンク体を、作動体のシャッターカーテンの幅方向への変位に基づいて起倒変位させることにより、規制体が姿勢変姿するように構成されている建築用シャッター装置における自動施錠装置。
- 請求項1、2または3において、係止具と施錠具との係止は、ガイドレールの開閉方向中間部位でなされる構成となっている建築用シャッター装置における自動施錠装置。
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