JP3921646B2 - マッサージ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、背中をマッサージできることはもちろん、下半身に対しても伸張作用を与えることによってマッサージできるようにしたマッサージ装置に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
例えば、椅子式マッサージ機としては、特公昭63−52902号公報および特開平4−138158号公報に開示されたものがある。
これらは、いずれも背もたれ部と足載せ部の双方にマッサージ機構を設け、背中と足のふくらはぎとのマッサージを行うことができるように構成されている。この場合、マッサージ機構としては、背もたれ部はローラ式マッサージ機構が採用され、足載せ部のマッサージ機構はローラ式或いは振動式のマッサージ機構が採用されている。
【0003】
ここで、背もたれ部のローラ式マッサージ機構は、マッサージローラを回転させながら上下に移動させて背中全体をマッサージする構成のものが採用され、足載せ部のローラ式マッサージ機構は周囲部に複数個のマッサージローラを設けた回転体を回転させることにより、マッサージローラを足のふくらはぎにこすり付けるように間欠的に当ててマッサージする構成のものが採用されている。
また、足載せ部の振動式マッサージ機構は偏心錘を有した回転体を回転させることにより振動を発生させて足のふくらはぎをマッサージするという構成のものである。
【0004】
上述のように従来の椅子式マッサージ機は、上半身(背中)と、足のふくらはぎなど、下半身の一部を、叩いたり、揉んだり等によってマッサージするものである。しかしながら、下半身、特に足に対しては、疲れを取ったりするためには、ローラ式や振動式のものでは、弱く物足りなさを感じるという問題があり、むしろ足にとっては、叩いたり揉んだりするよりも、伸長(ストレッチ)運動をするのが有効と思われるが、従来のマッサージ機は、足をストレッチする機能をもったものは提供されていない。
【0005】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的は、下半身に対し伸張作用を与えて良好なる施療感を得ることができるマッサージ装置を提供するにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため本発明のマッサージ装置は、背中を受ける背もたれ部および尻を受ける座部および前記座部から伸びて足を受ける足載せ部を備えた椅子本体からなるマッサージ装置において、前記背もたれ部には、回転に伴い前記背もたれ部の表面に対して出没するように動作して背中を間欠的に押圧する左右一対の偏心ローラを備えた背側施療子を有し、前記足載せ部には足を膝よりも足首側で受けてその足を上下方向に往復移動させる足受け部材を有し、前記背側施療子と前記足受け部材をそれぞれ駆動させる駆動源を備え、背中の左側を押圧する前記偏心ローラが突出方向に移動するとき、前記足受け部材は右側の足を上方に移動させ、背中の右側を押圧する前記偏心ローラが突出方向に移動するとき、前記足受け部材は左側の足を上方に移動させ、前記偏心ローラと前記足受け部材とは同期して動作するように前記駆動源を制御することを特徴とする。
【0022】
足受け部材を、駆動源によって揺動軸を中心に左右方向に揺動するように駆動される揺動部材に設け、左右の足を、足受け部材の上部の左右両側に載せる構成とすることができる(請求項2)。
【0023】
この構成のものでは、足受け部材が左右に揺動すると、足受け部材の左右両側は、その揺動運動に伴って上下に移動するので、左右の足を、交互に上下方向に移動させることができる。
【0024】
この場合、揺動により足が足受け部材から脱落しないようにするために、足受け部材の上部の左右両側には、上方に突出する突部を設けることができる(請求項3)。足受け部材は、左右の足受け部材に二分割され、左右の足受け部材は、上下動可能に設けられた一対のラックに取り付けられ、その一対のラックは、ピニオンに噛合し、ピニオンは、駆動源によって揺動軸を中心に揺動するように駆動される揺動部材に設けられ、揺動部材の揺動運動によってラックを上下に移動させるように構成することができる(請求項3)。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1実施例を図1〜図24を参照しながら説明する。
図17に示すマッサージ装置の椅子本体1は、左右一対の肘掛け部2を備えたベースフレーム3に対して、座部4および足載せ部5からなるシート部6と、背もたれ部7とを設けて成る。この実施例では、ベースフレーム3に対し、座部4は固定され、背もたれ部7は前後方向に回動可能に支持され、また、足載せ部5は後述するように前後方向に移動しながら上下方向に旋回するように設けられている。
【0027】
この椅子本体1の各部と人体との関係について述べると、図1に示すように、使用者(同図に二点鎖線で示す)が上半身を背もたれ部7にもたせ掛けるようにして座部4に座ったとき、膝部分が座部4と足載せ部5との境界部分に位置する。このとき、足載せ部5を略水平の状態にすると、使用者の足のふくらはぎが足載せ部5に対応位置するようになっている。
【0028】
上記ベースフレーム3は、図16に示すように、左右一対の縦棒8を2本の横桟9によって連結すると共に、前側の横桟9の左右両側に一対の支柱10および左右一対の縦棒8の後方寄りの部位に一対の支柱11を固定してなる。左右一対の縦棒8の前後両端部にはプラスチック製のカバー部材12が嵌着されて図示しないねじによって固定されている。これらカバー部材12は金属製の縦棒8の前後両端部を隠してベースフレーム3を設置する床面が傷付けられることのないようにするためのものである。
【0029】
また、椅子本体1の移動を楽に行うことができるようにするために、上記左右一対の縦棒8の後端部のカバー部材12の後側には車輪13が回転自在に取り付けられている。この場合、車輪13は常には床面から離れてており、椅子本体1の前部を持ち上げて全体をやや後に傾けると、車輪13が床面に接するようになっている。
【0030】
上記座部4、足載せ部5および背もたれ部7には、クッション体14〜16が設けられ、このクッション体14〜16により人体を柔らかく受け止めることができるようにしている。これらクッション体14〜16の配設構成はいずれの部分も似通っているが、座部4では、そのクッション体14は、フレーム(以下、座フレーム)17に取り付けられた補強板18上に設けられ、足載せ部5ではフレーム(以下、足載せフレーム)19上に配設されている。また、背もたれ部7にあっては、フレーム(以下、背フレーム)20に取り付けられたプラスチック製の背プレート21の前面部に配設されている。そして、クッション体14〜16は,その表面を耐摩耗性ある布地で形成された表地22〜24により覆われている。なお、座部4と足の背部5のクッション体14および15の表地22および23は連続して形成されている。
【0031】
さて、背もたれ部7には、施療手段としてローラ式マッサージ機構25が背フレーム20に沿って上下方向に移動可能に配設されている。ここで、ローラ式マッサージ機構25の具体的構成を説明する。
すなわち、背フレーム20は、図11および図12に示すように、左右一対の縦枠26をほぼコ字状に曲成された複数本の横枠27によって連結して上下方向に長い矩形枠状に構成されている。このように構成された背フレーム20のうち、縦枠26は断面コ字形をなしている。そして、背フレーム20の下部には、左右一対の支持軸28が取り付けられており、この支持軸28が前記ベースフレーム3の一対の支柱11に回動可能に支持されているものである。
【0032】
一方、ローラ式マッサージ機構25は、図13に示すような移動基枠29を備えており、この移動基枠29の上下の左右両側にはローラ30が枢設されている。そして、これらローラ30は背フレーム20の断面コ字形をなす縦枠26の内側に配設されており、これにより移動基枠29が縦枠26をガイドレールとして上下方向に移動可能に支持されることとなる。
【0033】
移動基枠29には、図15に示すホルダ31が固定されており、このホルダ31にナット部材32が回転を拘束された状態で収納保持されている。そして、ナット部材32には、両端部を背フレーム20の2本の横枠27間に回転可能に支持されたねじ棒33が螺合されている。このねじ棒33の一端側は、背フレーム20側に固定された駆動モータ34にベルト伝動機構35を介して連結されている。従って、駆動モータ34によってねじ棒33が正逆回転されると、ナット部材32ひいては移動基枠29がねじ棒33の回転方向に応じて上方或いは下方に移動するようになっている。
【0034】
上記移動基枠29には、揺動部材としてのローラ支持台36が揺動軸37を介して背もたれ部7の表裏方向に揺動可能に支持されている。上記揺動軸37には、両端部を移動基枠29とローラ支持台36とに係合させたねじりコイルばね38が設けられており、このねじりコイルばね38はローラ支持台36を図10に矢印Aで示す方向、すなわち揺動軸37の上下両側のうち上側が背もたれ部7の表側に向かって揺動する方向に付勢している。
【0035】
ローラ支持台36には、移動基体29の移動方向に離間するようにして2本のローラ軸39,40が設けられており、このローラ軸39,40の左右両端部には背側施療子として2組の左右一対のローラ41,42が回転自在に取り付けられている。
【0036】
また、ローラ支持台36には、ギヤケース43が取り付けられており、このギヤケース43には、偏心ローラ軸44が支持されている。そして、この偏心ローラ軸44の左右両端部には、互いに逆方向に偏心した偏心軸44aが一体に設けられており、その偏心軸44aに背側施療子として1組の左右一対の偏心ローラ45が回転自在に取り付けられている。
なお、前記揺動軸37は、下側のローラ41と偏心ローラ45との間に位置されている。
【0037】
そして、ギヤケース43には、背側駆動源としての偏心ローラ駆動モータ46が取り付けられている。このモータ46の回転軸46aの先端部分には、ウォーム47が形成されている。このウォーム47は、ギヤケース43内に挿入されて偏心ローラ軸44に設けられたウォームギャ48に噛合されている。
【0038】
ここで、偏心ローラ駆動モータ46が起動すると、その回転はウォーム47およびウォームギャ48により減速されて偏心ローラ軸44に伝達され、左右一対の偏心ローラ45が偏心ローラ軸44の1回転ごとに背もたれ部7の表面側に向かって突出する状態と、裏面側に没する状態とを繰り返すようになる。
【0039】
このとき、偏心ローラ45が背もたれ部7の表面側に向かって突出した状態では、図10に実線および破線で示すように、偏心ローラ45は、その上下両側に位置するローラ41,42の外周面のうち背もたれ部7の表面側の外周面に共通に接する直線Lよりも表側に突出し、裏面側に没した状態ではその直線Lより裏側に没した状態となる。なお、ローラ式マッサージ機構35により背中をマッサージするとき、強すぎると感じる場合には、表地24にマッサージ感を和らげるために図17に示す背クッション49を付け加えることができるなっている。
【0040】
さて、前記足載せ部5は、その姿勢が水平以下から水平以上までに角度調節可能に連結されている。
すなわち、図8および図9に示すように、ベースフレーム3の前側の一対の支柱10間には、操作軸50が回動可能に支持されており、この操作軸50の一端側はL字形に折り曲げられて操作部50aとして構成されている。そして、この操作部50aには、握り51が固着されている。
【0041】
操作軸50の左右両側には、短尺な第1リンク52が固着されている共に、一対の支柱10の上端部には長尺な第2リンク53が回動可能に支持されている。上記第1リンク52には第2リンク53と略同じ長さの第3リンク54が回動可能に連結され、この第3リンク54と第2リンク53とは第4リンク55および第5リンク56とパンタグラフを構成するように回動可能に連結されている。
【0042】
そして、第4リンク55は第6リンク57に回動可能に連結されており、この第6リンク57は第5リンク56と共に足載せ部5に回動可能に連結されている。このようにして連結された第1リンク52〜第6リンク57からなるリンク機構は押上げ機構58を構成するもので、操作軸50を矢印B方向に回動操作すると、それら第1リンク52〜第6リンク57は図8に示す縮小状態から図7に示す中伸張状態を経て図6に示す伸張状態まで変化する。
【0043】
図8の縮小状態では、足載せ部5は、水平よりも前端側が下向きとなる姿勢、例えば略垂直下向きとなる垂れ下がり姿勢になる。この垂れ下がり姿勢は、足載せ部5を使用しない状態である。図7の中伸張状態では、足載せ部5は、略水平の姿勢となる。
【0044】
図6の伸張状態では、足載せ部5は、前端側が水平よりも上向きとなる上向き姿勢となる。このとき、図8の垂れ下がり状態から図6の上向き姿勢となるまでの間、押上げ機構58は足載せ部5を座部4から前方に次第に離れるように押上げて行くようになっている。なお、座部4と足載せ部5のクッション体14および表地18とは連なっていることから、足載せ部5が座部4から離れても両者間に隙間が生じないようにしている。
【0045】
上述のように足載せ部5は、垂れ下がり姿勢から上向き姿勢まで角度調節可能になっているが、本実施例では、足載せ部5は垂れ下がり姿勢、水平姿勢、上向き姿勢の3姿勢を保持できるようになっている。そのうち垂れ下がり姿勢は、足載せ部5の自重が押上げ機構58の第1リンク52〜第6リンク57を縮めるように作用することから、特別にロックされるようにはなっていない。
【0046】
水平姿勢は、支柱9に固定されたロック部材59のロック溝59aに操作軸50に設けられたロックピン60が嵌入して操作軸50がロックされることによって保持される。上記ロックピン60は図9に示すように、操作軸50の握り51に上下動可能に支持され、圧縮コイルばね61により上方に附勢されている。そして、操作軸50を足載せ部5が水平姿勢となるように回動操作してゆくと、ロックピン60がロック部材59の両側の傾斜面59bを乗り上げ、足載せ部5が水平姿勢になったところでロックピン60が圧縮コイルばね61のばね力でロック溝59aに嵌入するようになっている。
なお、足載せ部5の水平姿勢のロックを解除するには、押釦62によりロックピン60を押し下げてロック溝59aから外せば良い。
【0047】
また、上向き姿勢の保持は、第2リンク53の先端部下側に折曲形成されたストッパ63によって行われる。足載せ部5が上向き姿勢になると、第1リンク52と第3リンク54との連結部分は上向きに「く」字形に屈曲する状態となるので、第2リンク53の先端部の下側に設けられたストッパ63が第3リンク54に当接することによって押上げ機構58は伸張状態にロックされ、この結果、足載せ部5が上向き姿勢に保持されるものである。
【0048】
しかして、下半身を載せるシート部6のうち、膝から下の部分を載せる足載せ部5には、図3に示すような、下半身をマッサージするための上げ下げ式マッサージ機構64が設けられている。この上げ下げ式マッサージ機構64は、両足の例えば足首部分を受ける足受け部材65を揺動機構66によって左右方向に揺動させ、これにより両足を一緒に左右に揺らしながら上下方向に移動させることにより下半身(足)をストレッチ運動させるのものである。
【0049】
この上げ下げ式マッサージ機構64につき説明するに、図3〜図5において、足載せフレーム20には、ほぼ数字の「7」に似た縦断面形状を有する取付台67が取り付けられており、この取付台67の上面部には、左右方向に延びる長孔68が形成されている。そして、長孔68の前後両開口縁部のうち、左右方向の中央部には、軸受部69が突設されている。軸受部69には、揺動機構64を構成する揺動部材70の揺動軸71が支持されており、揺動部材70は、揺動軸71を中心にして左右方向に揺動するようになっている。この揺動部材70の下端部は、長孔68を挿通して下方に突出し、また、上端部は足載せ部5の上面から突出している。
【0050】
取付台67の後面部には、足側駆動源としての揺動用駆動モータ72が取り付けられている。この揺動用駆動モータ72の回転軸は取付台67の内側に突出しており、その回転軸には小歯車73が形成されている。取付台67の内側には、小歯車73に噛合する大歯車74が回転自在に支持されている。上記大歯車74には、偏心軸75が突設されている。この偏心軸75には、ローラ76が回転自在に設けられていて、そのローラ76は、揺動部材70に形成された上下方向に延びる長孔77に嵌合されている。従って、大歯車74は、その回転により、移動体71を左右方向に移動させる。
【0051】
一方、前記足受け部材65は、プラスチック製の中空部体78を主体として構成され、その中空部体78の上面には両足の足首部分を受けるほぼ円弧状の凹部79が左右に並べて2個形成されている。この足受け部材65の左右両側、つまり両凹部79の外側は、比較的高い突部79aに形成されている。また、足受け部材65の下面の後端側には、凹陥部80が形成されていると共に、この凹陥部80の奥面から中空部体78の前端部に至る途中部まで延びる取付溝81が形成されている。そして、この取付溝81には、金属製の可動受け部材82がねじ83によって固定されている。
【0052】
上記可動受け部材82の左右両側には、逆L字形のスライド部82aが折曲形成されている。この両スライド部82aは、揺動部材70の上端部の左右両側面に形成されたガイド溝84に挿入され、これにより、可動受け部材82、ひいては足受け部材65が揺動部材70に対して前後方向に移動可能になっている。
【0053】
可動受け部材82の凹陥部80には、ストッパ85がねじ86によって固定されている。このストッパ85は、取付溝81の後端開放を塞ぐもので、揺動部材70の上端部に当接することにより、可動受け部材82の後方への移動限界位置を規制する。なお、可動受け部材82の前方への移動限界位置は、取付溝81の前側端面面が揺動部材70に当接することによって規制される。
【0054】
また、可動受け部材82のスライド部82aには、ブレーキ手段として揺動部材70のガイド溝84の内面に弾接する板ばね87が取着されている。この板ばね87とガイド溝84の内面との間の摩擦力により、足受け部材65が設定された位置から、不用意に前後方向に移動しないようにしている。
このような形態にて揺動部材70に前後方向に移動可能に取り付けられた中空部体78は、その全体をクッション部材88により覆われて足受け部材65が構成される。
【0055】
本実施例のマッサージ装置では、図18に示すリモートコントロールボックス(以下、リモコン)89の遠隔操作によって各種のマッサージ動作を得ることができるようになっている。
上記リモコン89には、全身コース、上半身コース、脚スイングコースを選択するスイッチ89a〜89cが設けられ、全身コースを選択すると、ローラ式マッサージ機構25と上げ下げ式マッサージ機構64の双方が所定のモードで所定時間マッサージ動作を行い、全身をマッサージする。また、上半身コース或いは脚スイングコースを選択すると、ローラ式マッサージ機構25或いは上げ下げ式マッサージ機構64だけがマッサージ動作を行う。
【0056】
ローラ式マッサージ機構25によってマッサージする際、ローラ41,42,45が背中に沿って上下に往復移動するが、このとき、肩位置合わせスイッチ89dを操作すると、使用者の身長に応じて上方への移動から下方への移動へと転ずる位置を合わせることができる。なお、左右一対のローラ41,42,45は、背骨の左右両側に沿って移動する。
【0057】
また、叩き、もみ選択スイッチ89eを操作すると、偏心ローラ駆動モータ46の回転速度が高低変化し、高速回転時には偏心ローラ45が早く円運動して背中を叩くようになり、低速回転時には偏心ローラ45がゆっくり円運動して背中をもむようになる。
【0058】
更に、お好みコースでは、背すじローラスイッチ89fを操作することにより、ローラ式マッサージ機構25を上下に往復移動させて背中全体をマッサージする場合と、好みの範囲で往復移動させたり、好みの位置に止めてマッサージすることのいずれかを選択することができる。このとき、上下調節スイッチ89g,89hを操作すると、ローラ式マッサージ機構25の往復移動範囲を変えたり、止める位置を調節することができるようになっている。また、お好みコースの脚スイングスイッチ89iを操作すると、上げ下げ式マッサージ機構64を所望時間動作させることができる。
【0059】
上記自動コースにおける全身コース、脚スイングコースを選択した場合、足受け部材65(揺動部材70)の移動速度は、図24(a)に示すように、100往復/分と20往復/分との間で間欠的に変化するようになっている。このとき、足受け部材65の上下移動運転の開始時には、1分当たりの往復回数が徐々に増加し、上下移動運転の停止時には、1分当たりの往復回数が徐々に減少するように制御される。このように運転開始時および停止時には、徐々に足受け部材65の速度が変化するので、足が足受け部材65から滑り落ちたりするおそれがなくなる。なお、運転途中では、足受け部材65の速度は100往復/分と20往復/分との間で変化するが、この場合には、運転途中で使用者はその変化を察知して落ちないようにするので、やはり足が足受け部材65から滑り落ちるおそれはない。
【0060】
また、お好みコースで、速さ調節スイッチ89j,89kを操作することにより、図24(b)に示すように足受け部材65の速度を100往復/分と20往復/分の間で自由に調節できるようになっており、これにより、使用者の好み、或いは、足の疲労程度に応じた足受け部材65の速度(足の上下運動速度)を調節できるようになる。
【0061】
ところで、本実施例では、ローラ式マッサージ機構25および上げ下げ式マッサージ機構64の双方をマッサージ動作させる場合、偏心ローラ45と足受け部材65とが所定の関係をもって動作するように制御される。そのために、偏心ローラ45と足受け部材65の位置を検出する位置検出手段として、図14に示すように、左側の偏心ローラ45aの回転位置を検出するスイッチ90が設けられている共に、図4および図5に示すように、揺動部材70の位置を検出する光センサ91が設けられている。
【0062】
上記スイッチ90は、ローラ支持台36に設けられ、左側の偏心ローラ45aが最下位置、背もたれ部7の表面から最も離れた位置に没したとき、該偏心ローラ45aに押圧されてオン動作する。また、光センサ91は、取付台67の前後両側に、長孔68の右端近くに位置して設けられた発光ダイオード91aおよびフォトダイオード91bから構成されている。この光センサ91は、揺動部材70が右方への移動限界位置に至ると、発光ダイオード91aの光が遮られてフォトダイオード91bがオフ動作する。
【0063】
上記スイッチ90のオン動作およびフォトダイオード91bのオフ動作は、図19に示す偏心ローラ位置検出回路92および揺動位置検出回路93により電気的に処理されて位置検出信号として図19に示す制御手段としての制御回路94に与えられる。制御回路94は、マイクロコンピュータを主体として構成され、上記位置検出回路92,93からの位置検出信号、前記リモコン89からの操作信号に基づいてローラ式マッサージ機構25の上下移動用の駆動モータ34および偏心ローラ用駆動モータ46、揺動用駆動モータ72をそれぞれの駆動回路95〜97を介して制御する。
【0064】
ここで、本実施例では、偏心ローラ45の回転を基本にして揺動部材70の往復移動を調節する制御を行うように構成されており、偏心ローラ軸44の回転数を200rpmとした場合、大歯車74の回転数(揺動部材70の往復回数)は300〜100rpmの範囲で調節可能に構成されている。
そして、制御回路94は、運転開始時には、偏心ローラ軸44および大歯車74の回転数が200rpmとなるように、偏心ローラ用駆動モータ46、揺動用駆動モータ72を制御するが、まず、偏心ローラ45の1回転当たりの時間(周期)、揺動部材70(足受け部材65)の1往復当たりの時間(周期)を検出するための制御内容、および偏心ローラ45の周期に対して揺動部材70の周期を一致させるための制御内容をそれぞれ図19および図20に基づいて説明する。
【0065】
まず、周期検出のための制御内容を示す図20において、制御回路94は、ステップS1で、タイマカウンタをゼロクリアし、次のステップS2で、偏心ローラ45の周期検出のときは偏心ローラ位置検出回路92からの、揺動部材70の速度検出のときは揺動位置検出回路93からの位置検出信号の入力を待つ状態となる。
【0066】
位置検出信号が入力されると(ステップS2で「YES」)、制御回路94は、タイマカウントをスタートさせ、次の位置検出信号が入力されるまで、所定時間毎に、そのカウント値を1ずつアップさせる(ステップS3、ステップS4で「NO」の繰り返し)。そして、次の位置検出信号が入力されると、制御回路94は、ステップS4で「YES」となり、次いで、ステップS5で、そのときのタイマカウンタのカウント値を偏心ローラ45、或いは揺動部材70(足受け部材65)の周期として記憶し、リターンとなる。
【0067】
また、偏心ローラ45の周期に揺動部材70の周期を一致させるための制御内容を示す図21において、制御回路94は、まず、ステップS1で、図20の制御内容にて検出した偏心ローラ45の周期と揺動部材70の周期とが一致しているか否かを判断し、一致していればそのままリターンとなる。
【0068】
不一致のとき、制御回路94は、ステップS2に移行し、揺動部材70の周期の方が短いか否かを判断し、短かったとき(ステップS2で「YES」)、ステップS3で揺動部材70の周期を「1」だけ短く、すなわち、揺動用駆動モータ72の回転数を所定回転数だけ低下させる。また、揺動部材70の周期の方が長かったとき(ステップS2で「NO」)、制御回路94は、ステップS4に移行して揺動部材70の周期を「1」だけ長く、すなわち、揺動用駆動モータ72の回転数を所定回転数だけ上昇させる。
【0069】
このようにして揺動用駆動モータ72の回転数を低下、或いは上昇させる制御を行った後、制御回路94は、ステップS5で、揺動用駆動モータ72の回転が安定する一定時間の経過を待ち、そして、ステップS1に戻る、という動作を偏心ローラ45と揺動部材70の周期とが一致するまで実行する。
【0070】
前述のように、制御回路94は、偏心ローラ45の動作と足受け部材65の動作を関連付けてマッサージ運転を行う。具体的には、偏心ローラ45と足受け部材65とが同位相となるように、つまり偏心ローラ位置検出回路92および揺動位置検出回路93の位置検出信号が偏心ローラ45および足受け部材65の周期の半分の時間毎に交互に出力されるように構成し、背中の左側を押圧する偏心ローラ45が背もたれ部7の表面側に突出する方向に移動するとき、足受け部材65が右側の足を上方に移動させるように左側に揺動し、背中の右側を押圧する偏心ローラ45が背もたれ部7の表面側に突出する方向に移動するとき、足受け部材65が左側の足を上方に移動させるように右側に揺動するように、偏心ローラ45と足受け部材65とが同期して動作するように制御するものであり、この制御内容を図22に示すフローチャートに従って説明する。
【0071】
この制御がスタートすると、制御回路94は、まず、ステップSAで、偏心ローラ45と足受け部材65が同位相で同期して動作しているか否かを判断する。上記の同位相の同期状態にあるか否かの検出は、図23のフローチャートに示す位相ずれの検出結果に基づいてなされる。すなわち、制御回路94は、図21に示す内容にて、偏心ローラ45と揺動部材70とが同一周期で動作するように制御した後、図23のフローチャートの実行を開始し、まず、ステップSaでタイマカウンタをゼロクリアし、次のステップSbで偏心ローラ位置検出回路92からの位置検出信号の入力を待つ状態となる。
【0072】
位置検出信号が入力されると(ステップSbで「YES」)、制御回路94は、タイマカウントをスタートさせ、タイマカウンタを所定時間毎に「1」だけカウントアップさせるという動作を揺動位置検出回路93から位置検出信号が入力されるまで繰り返す(ステップSc、ステップSdで「NO」)。そして、揺動位置検出回路93から位置検出信号が入力されると、制御回路94は、ステップSdで「YES」と判断し、そのときのタイマカウンタのカウント値を位相ずれとして図示しないメモリに記憶し(ステップSe)、リターンとなる。
【0073】
さて、制御回路94は、ステップSAの同期判断において、位相ずれ時間Tが、図20のフローチャートの実行により検出された偏心ローラ45の周期T0と一致していれば、偏心ローラ45と揺動部材70は同位相で同期して動作していると判断し(ステップSAで「YES」)、ステップSBの偏心ローラ45と揺動部材70の周期を同一状態に保持するための制御ルーチンに移行し、リターンとなる。
【0074】
制御回路94は、上記の位相ずれ時間Tが偏心ローラ45の周期T0と不一致の場合、ステップSAで「NO」と判断し、次のステップSCで図20のフローチャートの実行により偏心ローラ45の周期と揺動部材70の周期とを検出して揺動部材70の周期の方が偏心ローラ45の周期よりも長いか否かを判断する。
【0075】
そして、制御回路94は、揺動部材70の周期の方が偏心ローラ45の周期よりも短いとき、ステップSCで「YES」と判断し、ステップSDに移行して揺動用駆動モータ72の回転速度を「1」だけ減少させると共に減速フラグを「1」にセットする。また、制御回路94は、揺動部材70の周期の方が偏心ローラ45の周期よりも長いとき、ステップSCで「NO」と判断し、ステップSIに移行して揺動用駆動モータ72の回転速度を「1」だけ増加させると共に減速フラグを「0」にセットする。
【0076】
制御回路94は、上記のようにしてステップSD或いはステップSIを実行した後、揺動用駆動モータ72の回転が安定するに要する時間を待って(ステップSE)、再び偏心ローラ45と揺動部材70の位相が合っているか否か判断する(ステップSF)。
【0077】
ここで、位相がずれていた場合(ステップSFで「NO」)、制御回路94は、ステップSGに移行し、ここで、偏心ローラ45と足受け部材65の位相のずれが前回検出のずれ量よりも小さくなったか否か判断する。位相ずれが前回よりも小さくなっていたとき、制御回路94は、ステップSGで「YES」と判断し、次のステップSHに移行して減速フラグが「0」であるか否かを判断する。つまり、位相ずれが前回よりも小さくなったのは、揺動用駆動モータ72の速度を減速したからなのか、増速したからなのかを判断するのである。
【0078】
そして、制御回路94は、ステップSHで「YES」のとき(減速フラグ「1」)、揺動用駆動モータ72の回転速度を「1」だけ減少させるステップSDに戻り、また、ステップSHで「NO」のとき(減速フラグ「0」)、揺動用駆動モータ72の回転速度を「1」だけ増加させるステップSIに移行し、その後、一定時間経過するのを待って(ステップSE)、偏心ローラ45と揺動部材70の位相が合っているか否かを判断するステップSFに移行する。
【0079】
また、制御回路94は、位相ずれが前回よりも小さくなったか否かを判断するステップSGで「NO」のとき、ステップSJで減速フラグが「0」であるか否かを判断する。つまり、位相ずれが前回よりも大きくなったのは、揺動用駆動モータ72の速度を減速したからなのか否かを判断しているのである。
【0080】
そして、制御回路94は、ステップSJで「YES」のとき、ステップSIに移行して揺動用駆動モータ72の回転速度を「1」だけ増加させ、「NO」のとき揺動用駆動モータ72の回転速度を「1」だけ減少させるステップSDに移行する。この後、制御回路94は、一定時間の経過を待って(ステップSE)、偏心ローラ45と揺動部材70の位相が合っているか否か判断し(ステップSF)、不一致のとき、上述した動作を繰り返し実行する。これにより、偏心ローラ45と揺動部材70の位相が一致すると,ステップSFで「YES」となり、偏心ローラ45と揺動部材70の周期を同一状態に保持するためのステップSBに移行し、リターンとなる。
【0081】
次に上記構成の作用を全身コースを選択したものとして説明する。
まず、操作軸50を矢印B方向に回動操作して押上げ機構58を伸張状態にし、足載せ部5を水平姿勢、或いは上向き姿勢にセットすると共に、足受け部材65を前後に移動させてその位置を使用者の足首の位置に合うように調節する。この後、使用者は座部4に腰を下ろすと共に、背もたれ部7を好みのリクライニング位置まで後に倒し、両足の足首部分を足受け部材65の凹部74,74に嵌め保持させる。この状態では、使用者の臀部は座部4に受けられると共に、背中は背もたれ部7に受けられおり、足は足受け部材65に足首部分を受けられて宙に浮いた状態になっている。このため、膝は延びており、足載せ部5を水平姿勢にした場合には、その膝の裏側の緊張度合いは比較的弱く、リラックスした姿勢となり、また、足載せ部5を上向き姿勢にした場合には、膝の裏側は強く伸ばされて緊張した姿勢となる。この状態で、背もたれ部7のリクライニング角度を変えると、足の後側に筋の緊張度を変えることができる。つまり、リクライニング角度(座部4とのなす角)を大きくすれば、背中が寝てくるので、足の後側の緊張度は弱くなり、逆に、リクライニング角度を小さくすれば、背中が起きてくるので、足の後側の緊張度は強くなる。
【0082】
さて、リモコン89により全身コースを選択すると、ローラ式マッサージ機構25および上げ下げ式マッサージ機構64がマッサージ動作を行う。まず、ローラ式マッサージ機構25の作用を述べるに、全身コースがスタートすると、上下移動用モータ34および偏心ローラ駆動モータ46が通電される。そして、モータ34の正逆回転により移動基枠29が上下方向に往復移動する。
【0083】
この移動基枠29の往復移動により、図9に二点鎖線で示すように、上下両側のローラ41,42が背もたれ部7の表地24を介して背骨の左右両側に当たって回転しながら移動するようになる。これにより、肩から背中全体のマッサージが行われる。このとき、偏心軸44がモータ46により回転されるので、中央の偏心ローラ45が肩や背中に間欠的に当たり、これにより同時に叩き或いはもみなどのマッサージが行われる。
【0084】
ところで、上述のように移動基枠29が移動する際、ローラ支持台36が揺動軸37に揺動自在に枢支されていること、このローラ支持台36には揺動軸37を挟んでその上下両側に位置してローラ41,42が設けられていることにより、両ローラ41,42はローラ支持台36の揺動を伴って背中の凹凸に倣うように移動してゆくようになる。このため、両ローラ41,42は常に背中に接してマッサージ作用を及ぼしながら移動するようになる。
【0085】
このように常に背中に接して移動する上下のローラ41,42に対し、その中間に位置する偏心ローラ45がそれらローラ41,42の外周面のうち、背もたれ部7の表面側の外周面に共通に接する線Lに対して出没するので、偏心ローラ45が回転しながら背中に間欠的に当たるようになり、叩きによる良好なマッサージ効果を得ることができるのである。
【0086】
そして、この左右一対の偏心ローラ45の交互のマッサージ作用により、上半身が左右にねじられるように揺すられるので、上半身がねじりによるマッサージ作用を受ける。しかも、このように左右一対の偏心ローラ45が交互に背中に当たることによりマッサージ効果を得るものでありながら、その叩き或いは揉まれる部位の上下両側の部位がローラ41,42によって支えられているので、体が偏心ローラ45の回転運動に伴って頭部までもが揺すられるほど大きく左右に揺れることはなく、例え揺れたとしてもその揺れは少ないので、不快感を覚えることも少なくなる。
【0087】
また、このように上下のローラ41,42により上半身の重量を受けた状態で、中間の偏心ローラ45によって上半身を叩くようにするので、偏心ローラ45には上半身の重量が直接作用することがなくなる。このため、偏心ローラ45により背中が押圧される際、その偏心ローラ45に過度に体重が加わって背中が痛く感じたりすることがなくなる。また、モータ46は大きな抵抗を受けることなく、偏心ローラ45を円滑に回転させることができ、偏心ローラ45による間欠的な叩きマッサージ作用を効果的に与えることができる。
【0088】
また、ローラ式支持台36は、ねじりコイルばね38により矢印A方向に回動付勢されているので、上側のローラ42が肩をマッサージするような位置にきたとき、ローラ支持台36はねじりコイルばね38の弾発力により矢印A方向に揺動してローラ42を首の付け根部分に当たるようになるので、偏心ローラ45が肩部に当たって該偏心ローラ45による肩叩き或いは肩揉みを良好に行うことができる。
【0089】
一方、上げ下げ式マッサージ機構64においては、全身コースによるマッサージが開始されると、揺動用駆動モータ72が起動して、目標速度まで徐々に回転速度を高めてゆくようになる。この揺動用駆動モータ72の回転は、大歯車74の偏心軸75と長孔77とにより揺動部材70の左右方向の揺動移動に変換される。これにより、足受け部材65の左右両側が左右に揺動しながら上下に往復移動する。このとき、足受け部材65の往復移動速度は急激に目標速度まで上昇するのではなく、徐々に速度上昇してゆくので、足が足受け部材65の凹部79から外れ落ちるようなおそれはない。
【0090】
さて、足受け部材65が左右方向に上下に往復移動すると、足の後側が伸長されたり、その伸長が解かれたりすると共に、座部4に支えられている腰部分を中心にして下半身が左右に揺動運動する。このため、腰部分にもひねり運動が与えられ、伸張するようになる。
【0091】
このとき、制御回路94は、図22のフローチャートに示すような制御動作を実行し、ローラ式マッサージ機構25の一対の偏心ローラ45のうち、左側の偏心ローラ45が背もたれ部7の表面側に突出するように回転すると、足受け部65は左方に揺動して右足を上方に移動させ、また、右側の偏心ローラ45が背もたれ部7の表面側に突出するように回転すると、足受け部65は右方に揺動して左足を上方に移動させるように制御する。
【0092】
このように偏心ローラ45と足受け部65の動きを関連付けることにより、上半身が右側にひねられるようになると、下半身が左側にひねられ、逆に、上半身が左側にひねられるようになると、下半身が右側にひねられるようになる。このため、上半身と下半身のひねり方向が逆となり、全身からみれば大きくひねられることとなって身体が伸張され、より効果的なマッサージを受けることができるようになる。なお、このような捻りは、足が単に上下運動するだけでも得ることができる。
【0093】
以上にようなことから、下半身全体は、横揺れ、ひねりなどの運動を、左右に方向を変えて繰り返すので、これにより下半身の筋肉が揉まれ、ほぐされたりし、血行が良くなる。下半身は、このようなマッサージ作用を受けるものであり、そのマッサージの強さは振動式マッサージのような微弱なものではなく、ストレッチ運動であるから、下半身のマッサージにとって程良い強さのものとなる。
【0094】
全身コースの終了時には、揺動用駆動モータ72は停止までその回転速度を徐々に低下させてゆく。このため、停止時についても、足受け部材65の往復移動速度は徐々に低下するので、開始時に同様に足が足受け部材65の凹部79から外れ落ちるおそれはない。
【0095】
このように本実施例によれば、背中だけでなく、両足を上下方向に移動させることにより、下半身全体をもマッサージすることができる。また、左右一対の偏心ローラ45を交互に背中に当たることにより、腰から上の部位全体が左右にひねられるようになるので、背中のマッサージに止まらず、上半身全体のマッサージを行うことができる。このように、上半身および下半身共に、すなわち全身を一種のひねりないし伸張(ストレッチ)によりマッサージできるものである。
【0096】
また、本実施例では、足受け部材65が左右に揺動することにより、足を上下させるので両足は図3にF1およびF2で示すように、左右に揺れながら上下に移動するので、下半身がより一層ねじられるようになり、捻りによるマッサージ効果が高くなる。
【0097】
このように足受け部材65が左右に揺動することにより、その上面は傾くが、両足を載せる部分の外側には、突部79aが存在しているので、足が足受け部材65から脱落するおそれはない。
【0098】
図25は本発明の第2実施例を示すもので、上記一実施例との相違は、偏心ローラ45と足受け部材65とを逆位相で同期するように動作させるところにある。ここで、逆位相とは、偏心ローラ位置検出回路92および揺動位置検出回路93の位置検出信号が同時に出力されるように構成し、左側の偏心ローラ45が背中を押圧するとき、足受け部材65が右方に揺動して左側の足が上方に移動される、逆に右側の偏心ローラ45が背中を押圧するとき、足受け部材65が左方に揺動して右側の足が上方に移動されるように構成したものである。
【0099】
この逆位相にする制御内容を図25により説明する。制御回路94は、まず、ステップS1で偏心ローラ45と揺動部材70とが位相ずれ180°の状態で動作しているか否かを判断する。この判断の基になる位相ずれは、図23に示す制御内容にて検出される。ここで、偏心ローラ45と揺動部材70とが逆位相になっているか否かは、偏心ローラ45と揺動部材70の周期が同一であるという条件下で、偏心ローラ位置検出回路92が位置検出信号を出力した時点から、偏心ローラ45の周期の半分の時間が経過したとき、揺動位置検出回路93が位置検出信号を出力する状態になっているか否かによって判断される。
【0100】
そして、制御回路94は、まず、ステップS1で偏心ローラ45と足受け部材65との位相ずれが180°になっているか否かを判断する。偏心ローラ45と足受け部材65とが逆位相になっていて、位相ずれが180°のとき、制御回路94は、ステップS1で「YES」と判断し、偏心ローラ45と揺動部材70の周期を同一状態に保持するためのステップS2を実行し、リターンとなる。
【0101】
位相ずれが180°でないとき、制御回路94は、ステップS3に移行し、位相ずれが180°を越えているか否かを判断する。ここで、位相ずれが180°を越えている状態とは、偏心ローラ位置検出回路92が位置検出信号を出力した時点から、偏心ローラ45の1回転に要する時間(周期)の半分の時間経過してもなお揺動位置検出回路93が位置検出信号を出力しない状態である。
【0102】
そこで、位相ずれが180°を越えている場合には(ステップS3で「YES」)、制御回路94は、ステップS4に移行して、移動体の周期が「1」だけ減少するように揺動用駆動モータ72の回転を減少させると共に、減速フラグを「1」にセットする。また、位相ずれが180°未満のときには(ステップS3で「NO」)、制御回路94は、ステップS9に移行し、ここで揺動部材70の周期が「1」だけ増加するように揺動用駆動モータ72の回転数を増加させると共に、減速フラグを「0」にセットする。
【0103】
このようにして揺動用駆動モータ72の回転を減少、或いは増加させる制御を行った後、その揺動用駆動モータ72の回転が安定するに要する一定時間の経過をまって(ステップS5)、制御回路94は、再度、位相ずれが180°であるか否かを判断し(ステップS6)、以後、図22に示すフローチャートと同様の処理を実行し、偏心ローラ45と揺動部材70の位相が180°ずれた状態で動作するように制御する。
【0104】
このように左側の偏心ローラ45aが背中を押圧するとき、足受け部材65が右方に移動し、右側の偏心ローラ45bが背中を押圧するとき、足受け部材65が左方に移動するように制御した場合には、左側の偏心ローラ45aによって背中の左側が押圧されることにより、上半身が斜め右を向く状態になると、左足が上方に移動するので、腰の辺りの左側の筋肉が伸ばされるうようになり、逆に、右側の偏心ローラ45bによって背中の右側が押圧されることにより、上半身が斜め左を向く状態になると、右足が上方に移動するので、腰の辺りの右側の筋肉が伸ばされるうようになる。こように腰の辺りの筋肉の伸縮させて、マッサージするものである。
【0105】
図26は本発明の第3実施例を示すもので、これは、偏心ローラ45の周期に対して揺動部材70の周期が僅かに異なるように制御するようにしたものである。すなわち、制御回路94は、まず、ステップS1で偏心ローラ45の周期と揺動部材70の周期が同じであるか否かを判断する。双方の周期が同じであれば、制御回路94は、ステップS1で「YES」と判断して次のステップS2で揺動用駆動モータ72の速度を「5」だけ減少させてリターンとなる。
【0106】
双方の周期が異なっている場合、制御回路94は、ステップS1で「NO」と判断し、次のステップS3で揺動部材70の周期の方が短い(速い)か否かを判断する。揺動部材70の周期の方が短い場合、制御回路94は、ステップS3で「YES」と判断し、次のステップS4で揺動部材70の速さが「1」だけ減少するように揺動用駆動モータ72を制御する。この後、制御回路94は、揺動用駆動モータ72の回転が安定するに要する一定時間の経過を待って(ステップS8)、偏心ローラ45の周期と揺動部材70の周期が同じであるか否かを判断するステップS1に戻る。
【0107】
また、揺動部材70の周期の方が長い(遅い)場合、制御回路94は、ステップS3で「NO」と判断し、次のステップS5で揺動部材70と偏心ローラ45の速さの差が「5」以上であるか否かを判断する。「5」未満であるとき、制御回路94は、ステップS5で「NO」と判断し、ステップS4に移行して揺動部材70の速さを「1」だけ減少させ、そして、一定時間の経過を待って(ステップS8)ステップS1に戻る。
【0108】
揺動部材70の速さと偏心ローラ45の速さとの差が「5」以上のとき、制御回路94は、ステップS5で「YES」と判断し、次いで揺動部材70の速さと偏心ローラ45の速さの差が「5」であるか否かを判断し、「5」ならばリターンとなり、「5」でなければ、揺動部材70の速度を「1」だけ速くするようにし、一定時間の経過を待って(ステップS8)、双方の周期が同じであるか否かを判断するステップS1に戻る。そして、ステップS1で「NO」のとき、以上のような制御動作を繰り返し、揺動部材70の速さが偏心ローラ45の速さより「5」だけ遅い状態に制御する。
【0109】
このように偏心ローラ45と揺動部材70の周期が同じで、一定の位相差をもって動作するように制御すれば、偏心ローラ45と揺動部材70とが同位相になる状態から逆位相になる状態まで、様々な状態が得られるので、使用者に変化に富んだ施療を施すことができる。
【0110】
図27〜図29は本発明の第4実施例を示すもので、これは、足受け部材を左右別体のものとし、右足受け部材98および左足受け部材99が上下方向にだけ往復移動するように構成したものである。以下、前記第1実施例と同一機能部分には同一符号を付して異なる部分のみ説明する。
足載せフレーム19に固定された取付台67を被うカバー100の左右両側には、上下方向に延びるスライド溝101が形成され、この左右一対のスライド溝101には、左右一対のラック102のスライド部102aが上下にスライド自在に嵌合支持されている。
【0111】
取付台67には、左右のラック102のラック歯102bに噛合するピニオン103が軸104により回転自在に支持されている。このピニオン103の下部には、アーム104が一体に延設され、このアーム104に形成された長孔105には、揺動用駆動モータ72によって回転される大歯車74の偏心軸75に設けられたローラ76が挿入されている。従って、大歯車74が揺動用駆動モータ72により回転されると、ピニオン103が時計方向および反時計方向に所定角度ずつ回転する。このピニオン103の正逆回転により、左右一対の足受け部材98,99が互いに移動方向が逆となるように上下移動するものである。
このように本実施例では、ピニオン103を揺動運動させることで、容易に2個の足受け部材98,99を互いに逆方向となるように上下移動させることができる。
【0112】
図30は本発明の第5実施例を示す。この実施例のマッサージ装置は、椅子式ではなく、足載せ台105単体のものとして構成し、この足載せ台105に、足受け部材106を設けたものである。この足受け部材106は、第1実施例と同様の揺動を伴って上下方向に移動するものであっても良いし、第4実施例と同様に左右2個に分割されていてそれぞれが逆方向となるように上下に動くものであってもよい。そして、足載せ台105の内部には、第1実施例に示された揺動機構66と同様の機構、或いは第4実施例に示された揺動機構により正逆回転されるピニオン103とラック102との組み合わせによる上下動機構を設け、足受け部材106を動作させるようにしている。
このマッサージ装置により足をストレッチするには、使用者は、床上に仰臥し、同じく床上に置いた足載せ台105の足受け部材106に足を載せ、そして、足受け部材106を上下方向に移動させるものである。
【0113】
なお、本発明は上記し且つ図面に示す実施例に限定されるものではなく、以下のような変更或いは拡張が可能である。
足受け部材65により受ける足の部位は膝から下の部位であれば、足首部分に限られない。
足載せ部5の角度は無段階に調節できるように構成しても良い。
座部4と足載せ部5とは一体のシート部により構成し、座部相当部分と足載せ部相当部分との間で折れ曲らないようなものであっても良い。
【0114】
偏心ローラ45と足受け部材65との動作関係は、同一の周期で位相だけ異ならせる状態のとき、その位相ずれは180°に限られない。
【0115】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば次のような効果を得ることができる。請求項1記載の発明では、背中の左側を押圧する偏心ローラが突出方向に移動するとき、足受け部材は右側の足を上方に移動させ、背中の右側を押圧する偏心ローラが突出方向に移動するとき、足受け部材は左側の足を上方に移動させるように、偏心ローラと足受け部材とは同期して動作するので、上半身と下半身の捻りの方向を逆にすることができ、より大きなストレッチ運動を与えることができる。
【0127】
請求項2記載の発明では、足受け部材は左右方向に揺動するので、足を左右に揺動させながら上下方向にも移動させることができ、下半身を一層良く捻ることができる。請求項3記載の発明では、足受け部材の上部の左右両側には、上方に突出する突部を設けられているので、足受け部材が左右に揺動しても、突部により、足が足受け部材から脱落しないように支えることができる。
【0128】
請求項4記載の発明では、左右別々の足受け部材を上下に移動させるので、上下の移動範囲を大きく設定することができ、より大きなストレッチを与えることができると共に、その左右の足受け部材を別々に上下させる機構をラックとピニオンとで容易に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示すもので、足載せ部を上向き姿勢にした状態の縦断側面図
【図2】足載せ部を水平姿勢にした状態の縦断側面図
【図3】上げ下げ式マッサージ機構の縦断正面図
【図4】同縦断側面図
【図5】同分解斜視図
【図6】足載せ部を上向き姿勢にした状態で示す押上げ機構の側面図
【図7】足載せ部を略水平姿勢にした状態で示す押上げ機構の側面図
【図8】足載せ部を下向き姿勢にした状態で示す押上げ機構の側面図
【図9】押上機構の部分縦断面図
【図10】ローラ式マッサージ機構の要部の縦断面図
【図11】ローラ式マッサージ機構の側面図
【図12】ローラ式マッサージ機構の平面図
【図13】ローラ式マッサージ機構の要部の平面図
【図14】左側の偏心ローラと位置検出用スイッチの関係を示す側面図
【図15】ローラ式マッサージ機構のねじ式直線駆動構成を示す断面図
【図16】全体を示す分解斜視図
【図17】全体の斜視図
【図18】リモコンの正面図
【図19】電気的構成を示すブロック図
【図20】偏心ローラ、移動体の周期を検出するためのフローチャート
【図21】移動体の周期を偏心ローラの周期に一致させるためのフローチャート
【図22】移動体と偏心ローラとを同位相で動作させるためのフローチャート
【図23】移動体と偏心ローラとの位相差を検出するためのフローチャート
【図24】足受け部材の移動速度を示す図
【図25】本発明の第2実施例を示すもので、移動体と偏心ローラとを逆位相で動作させるためのフローチャート
【図26】本発明の第3実施例を示すもので、移動体と偏心ローラとを一定の周期差をもって動作させるためのフローチャート
【図27】本発明の第4実施例を示す図3相当図
【図28】図4相当図
【図29】横断面図
【図30】本発明の第5実施例を示す側面図
【符号の説明】
図中、1は椅子本体、2は肘掛け部材、3はベースフレーム、4は座部、5は足載せ部、6はシート部、7は背もたれ部、25はローラ式マッサージ機構、29は移動基枠、36はローラ支持台、41,42はローラ(背側施療子)、45は偏心ローラ(背側施療子)、46は偏心ローラ用駆動モータ(背側駆動源)、58は押し上げ機構、64は上げ下げ式マッサージ機構、65は足受け部材、67は取付台、70は揺動部材、72は揺動用駆動モータ(足側駆動源)、79aは突部、82は可動受け部材、90はスイッチ(位置検出手段)、91は光センサ(位置検出手段)、94は制御回路(制御手段)、98,99は足受け部材、102はラック、103はピニオン、104はアームである。
Claims (4)
- 背中を受ける背もたれ部および尻を受ける座部および座部から伸びて足を受ける足載せ部を備えた椅子本体からなるマッサージ装置において、前記背もたれ部には、回転に伴い前記背もたれ部の表面に対して出没するように動作して背中を間欠的に押圧する左右一対の偏心ローラを備えた背側施療子を有し、前記足載せ部には足を膝よりも足首側で受けてその足を上下方向に往復移動させる足受け部材を有し、前記背側施療子と前記足受け部材をそれぞれ駆動させる駆動源を備え、背中の左側を押圧する前記偏心ローラが突出方向に移動するとき、前記足受け部材は右側の足を上方に移動させ、背中の右側を押圧する前記偏心ローラが突出方向に移動するとき、前記足受け部材は左側の足を上方に移動させ、前記偏心ローラと前記足受け部材とは同期して動作するように前記駆動源を制御することを特徴とするマッサージ装置。
- 足受け部材は、駆動源によって揺動軸を中心に左右方向に揺動するように駆動される揺動部材に設けられ、左右の足は、足受け部材の上部の左右両側に載せられることを特徴とする請求項1に記載のマッサージ装置。
- 足受け部材には、両足を載せる部分の外側に位置して上方に突出する突部が設けられていることを特徴とする請求項2記載のマッサージ装置。
- 足受け部材は、左右の足受け部材に二分割され、左右の足受け部材は、上下動可能に設けられた一対のラックに取り付けられ、その一対のラックは、ピニオンに噛合し、ピニオンは、駆動源によって揺動軸を中心に揺動するように駆動される揺動部材に設けられ、揺動部材の揺動運動によってラックを上下に移動させるように構成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のマッサージ装置。
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