JP3921474B2 - 発光装置および照明装置 - Google Patents

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Description

本発明は、発光素子から発光される光を蛍光体で波長変換し外部に発光する発光装置およびそれを用いた照明装置に関する。
従来の発光ダイオード(LED)等の発光素子15から発光される近紫外線光や青色光等の光を赤色,緑色,青色,黄色等の複数の蛍光体14で長波長側に波長変換して白色発光する発光装置を図8に示す。図8において、発光装置は、上面の中央部に発光素子15を載置するための載置部11aを有し、載置部11aおよびその周辺から発光装置の内外を電気的に導通接続するリード端子やメタライズ配線等からなる配線導体(図示せず)が形成された絶縁体からなる基体11と、基体11上面に接着固定され、上側開口が下側開口より大きい貫通孔12aが形成されているとともに、内周面が発光素子15が発光する光を反射する反射面12bとされている枠状の枠体12と、枠体12の内部に充填され発光素子15が発光する光を励起し長波長側に波長変換する蛍光体14を含有した透明樹脂13と、載置部11aに載置固定された発光素子15とから主に構成されている。
基体11は、酸化アルミニウム質焼結体(アルミナセラミックス)や窒化アルミニウム質焼結体,ムライト質焼結体,ガラスセラミックス等のセラミックス、またはエポキシ樹脂等の樹脂から成る。基体11がセラミックスから成る場合、その上面や内部に配線導体がタングステン(W),モリブデン(Mo)−マンガン(Mn)等から成る金属ペーストを高温で焼成して形成される。また、基体11が樹脂から成る場合、銅(Cu)や鉄(Fe)−ニッケル(Ni)合金等から成るリード端子がモールド成型されて基体11の内部に設置固定される。
また、枠体12は、上側開口が下側開口より大きい貫通孔12aが形成されるとともに内周面に光を反射する反射面12bとされた枠状となっている。具体的には、アルミニウム(Al)やFe−Ni−コバルト(Co)合金等の金属、アルミナセラミックス等のセラミックスまたはエポキシ樹脂等の樹脂から成り、切削加工や金型成型または押し出し成型等の成形技術により形成される。
さらに、枠体12の反射面12bは、貫通孔12aの内周面を研磨して平坦化することにより、あるいは、貫通孔12aの内周面にAl等の金属を蒸着法やメッキ法により被着することにより形成される。そして、枠体12は、半田,銀(Ag)ロウ等のロウ材または樹脂接着材等の接合材により、載置部11aを枠体12の内周面で取り囲むように基体11の上面に接合される。
そして、載置部11aの周辺に配置した配線導体と発光素子15とをボンディングワイヤや金属バンプ等の電気接続手段16を介して電気的に接続し、しかる後、蛍光体14を含有するエポキシ樹脂やシリコーン樹脂等の透明樹脂13をディスペンサー等の注入機で発光素子15を覆うように枠体12の内部に充填しオーブンで熱硬化させることで、発光素子15からの光を蛍光体14により長波長変換し所望の波長スペクトルを有する光を取り出せる発光装置となし得る。
特開2003-37298号公報
近年、発光装置の放射強度をさらに高めることが望まれている。しかしながら、上記従来の発光装置においては、放射強度を高めるために発光素子15に入力する電流値をより大きくすると、発光素子15の接合部温度(ジャンクション温度)が上昇し発光素子15の発光効率が著しく低下するため、入力する電流に比例した放射強度が得られないという問題点を有していた。さらに、熱に起因すると予測される発光波長のズレにより安定した放射強度が得られないという問題点を有していた。
また、発光素子15を被覆するとともに発光素子15からの光を波長変換するための蛍光体14を含有した透明樹脂13において、蛍光体14の含有率を上げて波長変換の効率を向上させようとすると、光が蛍光体14によって妨害され易くなるため、放射強度を向上できないという問題点を有していた。
また逆に、蛍光体14の含有率を下げると、波長変換の効率が低下して所望の波長の光が得られず、その結果、放射強度の向上ができないという問題点を有していた。
さらに、発光素子15から発生した熱が基体11を伝達して枠体12に伝わり易く、枠体12と基体11との熱膨張差によって枠体12が熱膨張して変形し、放射角度がばらついたり放射強度が低下するという問題点も有していた。
したがって、本発明は上記従来の問題点に鑑みて完成されたものであり、その目的は、発光素子の発光する光を蛍光体により効率よく波長変換するとともに放射強度を高くして軸上光度や輝度,演色性等の光特性に優れたものとし、また、発光素子の熱を良好に放熱して放射特性を長期にわたり安定に維持することのできる発光装置を提供することである。
本発明の発光装置は、平板状の基体と、該基体の上面に接合され、上側主面の中央部に発光素子が上面に載置される凸状の載置部が形成され、上側主面の外周部に前記載置部を囲繞するとともにその内周面が前記発光素子が発光する光を反射する反射面とされた側壁部が形成された反射部材と、前記載置部に載置される発光素子と、前記側壁部の内側に前記発光素子を覆うように設けられ、前記発光素子が発光する光を波長変換する蛍光体を含有する透光性部材とを具備しており、前記反射面は、下端が前記発光素子の端部に位置する発光部と前記載置部の上面および側面の間の角とを結ぶ光路線上または該光路線よりも下側に位置しており、前記透光性部材は、その上面と前記発光部との間の距離が0.1乃至0.5mmであることを特徴とする。
本発明の発光装置において、好ましくは、前記基体が絶縁体であるとともにその上面から外面にかけて配線導体が形成されており、前記反射部材は前記載置部の周囲に上下主面間を貫通するとともに前記光路線よりも下側に位置する貫通孔が形成されており、前記発光素子の電極と前記基体の上面の前記配線導体とが前記貫通孔を通してワイヤにより電気的に接続されていることを特徴とする。
本発明の発光装置において、好ましくは、前記貫通孔は、その内部に前記反射部材の上側主面と面一となるように、絶縁性の光反射粒子を含有した絶縁性ペーストが充填されていることを特徴とする。
本発明の照明装置は、上記本発明の発光装置を所定の配置となるように設置したことを特徴とする。
本発明の発光装置は、平板状の基体と、基体の上面に接合され、上側主面の中央部に発光素子が上面に載置される凸状の載置部が形成され、上側主面の外周部に載置部を囲繞するとともにその内周面が発光素子が発光する光を反射する反射面とされた側壁部が形成された反射部材と、載置部に載置される発光素子と、側壁部の内側に発光素子を覆うように設けられ、発光素子が発光する光を波長変換する蛍光体を含有する透光性部材とを具備しており、反射面は、下端が前記発光素子の端部に位置する発光部と載置部の上面および側面の間の角とを結ぶ光路線上または光路線よりも下側に位置しており、透光性部材は、その上面と前記発光部との間の距離が0.1乃至0.5mmであることから、発光素子から発せられる光のうち、反射面で反射されることなく直接発光素子から上側に放射される光を非常に強度の高いものとすることができる。即ち、発光素子から発せられた光を、発光素子の発光部より上側の一定の厚さの透光性部材に含まれる蛍光体によって高効率に波長変換し、それらの波長変換した光を蛍光体に妨害されることなく直接透光性部材の外部に放出することができる。その結果、発光装置の放射強度を高めて、軸上光度や輝度,演色性等の光特性を良好なものとし得る。
また、発光素子から発生した熱は、一体化した載置部から側壁部に伝えられ易く、特に反射部材が金属から成る場合には、熱は速やかに側壁部へ伝えられるとともに側壁部の外側面から外部に良好に放散される。そのため、基体と反射部材との熱膨張差によって反射部材が変形するのを有効に抑制することができ、長期にわたり放射光の光特性を良好に維持できる。
さらに、反射面は、下端が発光素子の端部に位置する発光部と載置部の上面および側面の間の角とを結ぶ光路線上または光路線よりも下側に位置していることから、発光素子から横方向や下側方向に発光された直接光を効率よく反射面で反射することができ、放射光強度をきわめて高いものとすることができる。
本発明の発光装置は、基体が絶縁体であるとともにその上面から外面にかけて配線導体が形成されており、反射部材は載置部の周囲に上下主面間を貫通するとともに光路線よりも下側に位置する貫通孔が形成されており、発光素子の電極と基体の上面の配線導体とが貫通孔を通してワイヤにより電気的に接続されていることから、発光素子から発光された直接光が反射部材に設けたワイヤを通すための貫通孔よりも上側で反射面により反射されることとなり、直接光が貫通孔内に入り込んで吸収されるのを有効に防止して放射光強度を高めることができる。
また、発光素子の下面を反射部材の載置部に全面で接合させることができ、発光素子の熱を反射部材に良好に伝えて放熱性をより向上させることができる。
本発明の発光装置は、貫通孔の内部に反射部材の上側主面と面一となるように、絶縁性の光反射粒子を含有した絶縁性ペーストが充填されていることから、発光素子や蛍光体から発せられる光が貫通孔に入ったとしても、光反射粒子により上側に有効に反射することができ、発光装置の放射強度や軸上光度や輝度,演色性等の光特性を良好なものとし得る。
本発明の照明装置は、上記本発明の発光装置を所定の配置となるように設置したことから、半導体から成る発光素子の電子の再結合による発光を利用しているため、従来の放電を用いた照明装置よりも低消費電力かつ長寿命とすることが可能な小型の照明装置とすることができる。その結果、発光素子から発生する光の中心波長の変動を抑制することができ、長期間にわたり安定した放射光強度かつ放射光角度(配光分布)で光を照射することができるとともに、照射面における色むらや照度分布の偏りが抑制された照明装置とすることができる。
また、本発明の発光装置を光源として所定の配置に設置するとともに、これらの発光装置の周囲に任意の形状に光学設計した反射治具や光学レンズ、光拡散板等を設置することにより、任意の配光分布の光を放射する照明装置とすることができる。
本発明の発光装置について以下に詳細に説明する。図1は本発明の発光装置の実施の形態の一例を示す断面図である。この図において、1は基体、2は反射部材、3は蛍光体4を含有した透光性部材、5は発光素子であり、主としてこれらで発光素子5の発光を方向性をもって外部に発光させ得る発光装置が構成される。
本発明における基体1は、アルミナセラミックスや窒化アルミニウム質焼結体,ムライト質焼結体,ガラスセラミックス等のセラミックス、エポキシ樹脂等の樹脂、またはFe−Ni−Co合金,Cu−W,Al等の金属から成る。また、基体1は上側主面に発光素子5を載置する載置部2dを有する反射部材2を載置固定する機能を有する。
基体1の上面には、反射部材2が半田,Agロウ等のロウ材やエポキシ樹脂等の接着剤等の接合材により取着される。反射部材2は、上側主面の中央部に発光素子5が上面に載置される凸状の載置部2bが形成され、上側主面の外周部に載置部2bを囲繞するとともにその内周面が発光素子5が発光する光を反射する反射面2cとされている側壁部2aが形成されている。これにより、発光素子5からの光を蛍光体4で波長変換して外部へ直接放射させるだけでなく、発光素子5から横方向等に発光された光や蛍光体4から下側に放出された光を反射面2cで均一にむらなく反射させることができ、軸上光度および輝度さらには演色性等を効果的に向上させることができる。
反射部材2は、アルミナセラミックスや窒化アルミニウム質焼結体,ムライト質焼結体,ガラスセラミックス等のセラミックス、エポキシ樹脂等の樹脂、またはFe−Ni−Co合金,Cu−W,Al等の金属から成り、切削加工や金型成形等を行なうことにより形成される。そして、反射面2cは、反射部材2の側壁部2aの内周面に切削加工や金型成形等を施すことにより、あるいは、側壁部2aの内周面に、例えば、メッキや蒸着等によりAl,Ag,Au,白金(Pt),チタン(Ti),クロム(Cr),Cu等の高反射率の金属薄膜を形成することにより反射面2cを形成してもよい。
なお、反射面2cがAgやCu等の酸化により変色し易い金属からなる場合には、その表面に、例えば厚さ1〜10μm程度のNiメッキ層と厚さ0.1〜3μm程度のAuメッキ層とが電解メッキ法や無電解メッキ法により順次被着されているのが良い。これにより反射面2cの耐腐食性が向上する。
また、反射面2c表面の算術平均粗さRaは、0.004〜4μmであるのが良く、これにより、反射面2cが発光素子5や蛍光体4の光を良好に反射し得る。Raが4μmを超えると、発光素子5の光を均一に反射させ得ず、発光装置の内部で乱反射する。一方、0.004μm未満では、そのような面を安定かつ効率良く形成することが困難となる傾向にある。
反射面2cは、例えば、縦断面形状が、上側に向かうにともなって外側に広がった図1,2に示すような直線状の傾斜面、上側に向かうにともなって外側に広がった曲面状の傾斜面、あるいは図5に示すような矩形状の面等の形状が挙げられる。
本発明の反射面2cは、下端が発光素子5の端部に位置する発光部と載置部2bの上面2dおよび側面の間の角とを結ぶ光路線上または光路線よりも下側に位置している。これにより、発光素子5から横方向や下側方向に発光された直接光を効率よく反射面2cで反射することができ、放射光強度をきわめて高いものとすることができる。
そして、発光素子5は、載置部2bの上面2dに載置されるとともに発光素子5の電極が載置部2bの上面2dに形成した電極パッド、あるいは基体1の上面に形成した配線導体の一部から成る電極パッドに電気的に接続される。この電極パッドは、基体1や反射部材2内部に形成された配線導体(図示せず)を介して発光装置の外面(基体1の側面や下面)に導出されて外部電気回路基板に接続されることにより、発光素子5と外部電気回路とが電気的に接続されることとなる。
このような電極パッドは、例えば、W,Mo,Cu,Ag等の金属粉末のメタライズ層を基体1や反射部材2の表面や内部に形成することによって、Fe−Ni−Co合金等のリード端子を基体1や反射部材2に埋設することによって、または、配線導体が形成された絶縁部材から成る入出力端子を基体1および反射部材2に設けた貫通孔に嵌着接合させることによって設けられる。
なお、電極パッドや配線導体の露出する表面には、Niや金(Au)等の耐食性に優れる金属を1〜20μm程度の厚さで被着させておくのが良く、電極パッドや配線導体の酸化腐食を有効に防止し得るともに、発光素子5と電極パッドとの接続を強固にし得る。したがって、電極パッドや配線導体の露出表面には、例えば、厚さ1〜10μm程度のNiメッキ層と厚さ0.1〜3μm程度のAuメッキ層とが電解メッキ法や無電解メッキ法により順次被着されているのがより好ましい。
また、載置部2bは、その側面が図1に示すように基体1に向かって垂直に形成される場合や、図2に示すように基体1に向かって末広がりに形成される場合がある。末広がりに形成される場合には、発光素子5が発する熱を載置部2bから下方向へ効率的に伝えることが可能となり、発光素子5の放熱性を向上させて発光素子5の作動性を良好に維持できる。
反射部材2が絶縁部材の場合、図1に示すように、発光素子5および載置部2bの上面2dに形成された電極パッドは、金属バンプ(電気接続手段6)接合のようなフリップチップボンディング方式を採用することにより電気的に接続される。また、図1には示していないが、反射部材2上面に電極パッドを形成しておけば、金線(電気接続手段6’)のようなワイヤボンディング方式を採用することも可能である。好ましくは、フリップチップボンディング方式がよく、電極パッドを発光素子5の直下に設けることができるため、発光素子5の周辺の基体1の上面に電気接続用パターンを設けるためのスペースを設ける必要がなくなる。よって、発光素子5から発光された光がこの基体1の電気接続用パターン用のスペースで吸収されて軸上光度が低下するのを有効に抑制することができる。
また、基体1が絶縁部材の場合、図2に示すように絶縁部材または金属部材から成る反射部材2の載置部2bの周囲に上下主面間を貫通するとともに光路線よりも下側に位置する貫通孔7が形成されており、発光素子5の電極と基体1の上面の配線導体とが貫通孔7を通してワイヤ(電気接続手段6’)により電気的に接続されているのがよい。これにより、発光素子5から発光された直接光が反射部材2に設けたワイヤ6’を通すための貫通孔7よりも上側で反射面2cにより反射されることとなり、直接光が貫通孔7内に入り込んで吸収されるのを有効に防止して放射光強度を高めることができる。また、発光素子5の下面を反射部材2の載置部2bに全面で接合させることができ、発光素子5の熱を反射部材2に良好に伝えて放熱性をより向上させることができる。
なお、貫通孔7の深さ(反射部材2底部の厚さ)や貫通孔7の開口径は、基体1との熱膨張差や発光素子5が発する熱伝導性等を考慮し適宜選定される。また、反射部材2底部の厚さは図1に示すような場合にも適宜選定されることになる。
貫通孔7は、図9に示すように、その内部に反射部材2の上側主面と面一となるように、絶縁性の光反射粒子を含有した絶縁性ペースト7aが充填されていることが好ましい。これにより、発光素子5や蛍光体4から発せられる光が貫通孔7に入ったとしても、光反射粒子により上側に有効に反射することができ、発光装置の放射強度や軸上光度や輝度,演色性等の光特性を良好なものとし得る。
絶縁性ペースト7aに含有される光反射粒子は、硫酸バリウム,炭酸カルシウム,アルミナ,シリカ等の組成に、Ca,Ti,Ba,Al,Si,Mg,K,Oが含まれたものであり、表面の全反射率が80%以上であることが好ましい。これにより、発光装置の放射強度や軸上光度や輝度,演色性等の光特性を良好なものとし得る。
透光性部材3は、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂等の透明樹脂やガラス等から成り、発光素子5からの光を波長変換することのできる蛍光体4を含有している。透光性部材3は、ディスペンサー等の注入機で発光素子5を覆うように反射部材2の内部に充填され、オーブン等で熱硬化されることで、発光素子5からの光を蛍光体4により波長変換し所望の波長スペクトルを有する光を取り出すことができるようになる。
また、透光性部材3は、その上面と発光素子5の発光部との間隔Xが0.1〜0.5mmとなるように設けられている。これにより、発光素子5から発せられた光を、発光素子5の発光部の上側の一定の厚さの透光性部材3に含まれる蛍光体4によって高効率に波長変換し、それらの波長変換した光を蛍光体4に妨害されることなく直接透光性部材3の外部に放出することができる。その結果、発光装置の放射強度を高めて、軸上光度や輝度,演色性等の光特性を良好なものとし得る。
発光素子5の発光部と透光性部材3の表面との間隔Xが図3に示すように0.5mmより長い場合、蛍光体4のうち発光素子5に近接しているもの(斜線で示している蛍光体4)は、発光素子5の光を直接励起して波長変換することできるが、この波長変換した光を透光性部材3の外部へ直接放出するのが困難である。即ち、透光性部材3の表面付近の蛍光体4(図3の斜線部以外の蛍光体4)により、光の進行を妨害されることにより、外部への軸上光度を良好なものとし難い。
一方、図4に示すように発光素子5の発光部と透光性部材3の表面との間隔Xが0.1mmより短い場合、発光素子5の光を効率よく波長変換するのが困難となり、波長変換されずに透光性部材3を透過する視感性の低い波長の光が多くなり、軸上光度や輝度,演色性等の光特性を良好なものとし難い。
また、透光性部材3の上面は図1に示すように上に凸の形状になっているのがよい。これにより、発光素子5から斜め上方に放出された光に対しても発光部と透光性部材3の表面との間隔を0.1〜0.5mmにすることができ、より放射強度を高めることができる。
また、本発明の発光装置は、1個のものを所定の配置となるように設置したことにより、または複数個を、例えば、格子状や千鳥状,放射状,複数の発光装置から成る、円状や多角形状の発光装置群を同心状に複数群形成したもの等の所定の配置となるように設置したことにより、照明装置とすることができる。これにより、半導体から成る発光素子5の電子の再結合による発光を利用しているため、従来の放電を用いた照明装置よりも低消費電力かつ長寿命とすることが可能であり、発熱の小さな小型の照明装置とすることができる。その結果、発光素子5から発生する光の中心波長の変動を抑制することができ、長期間にわたり安定した放射光強度かつ放射光角度(配光分布)で光を照射することができるとともに、照射面における色むらや照度分布の偏りが抑制された照明装置とすることができる。
また、本発明の発光装置を光源として所定の配置に設置するとともに、これらの発光装置の周囲に任意の形状に光学設計した反射治具や光学レンズ、光拡散板等を設置することにより、任意の配光分布の光を放射できる照明装置とすることができる。
例えば、図10,図11に示す平面図,断面図のように複数個の発光装置8が発光装置駆動回路基板10に複数列に配置され、発光装置8の周囲に任意の形状に光学設計した反射治具9が設置されて成る照明装置の場合、隣接する一列上に配置された複数個の発光装置8において、隣り合う発光装置8との間隔が最短に成らないような配置、いわゆる千鳥状とすることが好ましい。即ち、発光装置8が格子状に配置される際には、光源となる発光装置8が直線上に配列されることによりグレアが強くなり、このような照明装置が人の視覚に入ってくることにより、不快感や目の障害を起こしやすくなるのに対し、千鳥状とすることにより、グレアが抑制され人間の目に対する不快感や目に及ぼす障害を低減することができる。さらに、隣り合う発光装置8間の距離が長くなることにより、隣接する発光装置8間の熱的な干渉が有効に抑制され、発光装置8が実装された発光装置駆動回路基板10内における熱のこもりが抑制され、発光装置8の外部に効率よく熱が放散される。その結果、人の目に対しても障害の小さい長期間にわたり光学特性の安定した長寿命の照明装置を作製することができる。
また、照明装置が、図12,図13に示す平面図,断面図のような発光装置駆動回路基板10上に複数の発光装置8から成る円状や多角形状の発光装置8群を、同心状に複数群形成した照明装置の場合、1つの円状や多角形状の発光装置8群における発光装置8の配置数を照明装置の中央側より外周側ほど多くすることが好ましい。これにより、発光装置8同士の間隔を適度に保ちながら発光装置8をより多く配置することができ、照明装置の照度をより向上させることができる。また、照明装置の中央部の発光装置8の密度を低くして発光装置駆動回路基板10の中央部における熱のこもりを抑制することができる。よって、発光装置駆動回路基板10内における温度分布が一様となり、照明装置を設置した外部電気回路基板やヒートシンクに効率よく熱が伝達され、発光装置8の温度上昇を抑制することができる。その結果、発光装置8は長期間にわたり安定して動作することができるとともに長寿命の照明装置を作製することができる。
このような照明装置としては、例えば、室内や室外で用いられる、一般照明用器具、シャンデリア用照明器具、住宅用照明器具、オフィス用照明器具、店装,展示用照明器具、街路用照明器具、誘導灯器具及び信号装置、舞台及びスタジオ用の照明器具、広告灯、照明用ポール、水中照明用ライト、ストロボ用ライト、スポットライト、電柱等に埋め込む防犯用照明、非常用照明器具、懐中電灯、電光掲示板等や、調光器、自動点滅器、ディスプレイ等のバックライト、動画装置、装飾品、照光式スイッチ、光センサ、医療用ライト、車載ライト等が挙げられる。
本発明の発光装置について図5,図6,図7にもとづき以下に実施例を示す。
まず、基体1として、外形が2.5×0.8mmで厚さ0.4mmの四角状の板からなるアルミナセラミックス基板を準備した。また、反射部材2として、外形が2.5×0.8mmの四角形状で、上側主面の中央部に直径がL(mm)の円柱状の載置部2bを有し、載置部2b周囲に位置する部位の厚さ(上側主面と下側主面との間の距離)が0.2mm、外周部に下側主面からの高さが1.0mm(上側主面からの突出高さが0.8mm)で横方向の厚みが0.2mmの枠状の側壁部2aを有するAlからなる部材を準備した。なお、側壁部2aの基体1に垂直な内周面は、算術平均粗さRaが0.1μmの反射面2cとされた。
また、上面視で四角形状の反射部材2の長辺方向において、載置部2bの両側の載置部2bと側壁部2aとの間の部位にそれぞれ1個ずつ、上側主面から下側主面にかけて反射部材2を貫通する貫通孔7を形成した。
次に、基体1の上面の貫通孔7底部に対応した部位に、配線導体の一部からなる電極を、Mo−Mn粉末からなるメタライズ層により直径が0.1mmの円形状に形成した。そして、その表面に厚さ3μmのNiメッキ層と厚さ2μmのAuメッキ層とを順次被着した。また、基体1内部の配線導体は、貫通導体からなる電気接続部、いわゆるスルーホールによって形成された。このスルーホールについても電気接続用パターンと同様にMo−Mn粉末からなるメタライズ導体で成形された。
さらに、基体1の上面の外周部に全周にわたって、基体1と反射部材2とをAu−錫(Sn)ロウにより接合するための接合部を形成した。この接合部は、Mo−Mn粉末からなるメタライズ層の表面に厚さ3μmのNiメッキ層と厚さ2μmのAuメッキ層とが被着されたものであった。
次に、載置部2bの上面2dに、近紫外光を発する厚さ0.08mmの発光素子5をAu−Snロウで接合するとともに、反射部材2を基体1の上面の接合部にAu−Snロウで接合し、さらに、発光素子5と貫通孔7底部に位置する電極とを金線にてワイヤボンディングし電気的に接続した。
そして、赤色発光,緑色発光,青色発光を行なう3種類の蛍光体4を含有するシリコーン樹脂(透光性部材3)をディスペンサーにて基体1と反射部材2に囲まれた領域の反射部材2の内周面の最上端まで充填することにより、サンプルとしての発光装置を作製した。
なお、発光素子5の発光部の基体1からの高さH(mm)は、載置部2bの高さを変えることにより種々の値とすることができ、透光性部材3の上面と発光部との間の距離X(mm)は、X=1.0−Hで表される。また、図6に示すように、載置部2bの直径Lを変えることにより、発光部と載置部2bの上面2dおよび側面の間の角とを結ぶ光路線の角度を変えることができる。
LおよびXの値に対するそれぞれのサンプルの軸上光度を測定した結果を図7に示す。図7のグラフより、軸上光量はLとXとの関係により光量の高低が現れることが分かった。すなわち、Lが0.3mm未満である場合、光路線が発光部と反射面2cの下端とを結ぶ線よりも下側にあり、発光素子5からの直接光が反射面2cに達せず貫通孔7内部に侵入することにより反射効率が低くなったものと考えられる。
また、Lが0.3mm以上の光路線が発光部と反射面2cの下端とを結ぶ線よりも上側にある場合、すなわち貫通孔7に直接光が入射されない場合、軸上光度はXが0.1mm乃至0.5mmのときに500mcd以上と著しく高くなることが分かった。これは、発光部と透光性部材3の上面との間隔Xが適度な大きさとなることにより、発光素子5から発光された光が、蛍光体4により高い効率で波長変換され、余分な蛍光体4によって妨害されることなく、高い効率で透光性部材3の外部に放出されたためと考えられる。
以上の結果から、反射面2cの下端が発光部と載置部2bの上面2dおよび側面の間の角とを結ぶ光路線上または光路線よりも下側に位置しているとともに、透光性部材3の上面と発光部との間の距離が0.1乃至0.5mmである場合に、きわめて優れた軸上光度を示すことが分かった。なお、この軸上光度の著しく向上したサンプルは、輝度や演色性等についても十分であることを確認した。
なお、本発明は以上の実施の形態の例および実施例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内であれば種々の変更を行なうことは何等支障ない。
例えば、放射強度の向上のために基体1に発光素子5を複数設けてしても良い。また反射面2cの角度や、反射面2c上端から透光性部材3の上面までの距離を任意に調整することも可能であり、これにより、補色域を設けることによりさらに良好な演色性を得ることができる。
また、本発明の照明装置は、複数個の発光装置8を所定の配置となるように設置したものだけでなく、1個の発光装置8を所定の配置となるように設置したものでもよい。
本発明の発光装置について実施の形態の一例を示す断面図である。 本発明の発光装置について実施の形態の他の例を示す断面図である。 本発明の発光装置における透光性部材の上面と発光部との間隔についての説明をするための断面図である。 本発明の発光装置における透光性部材の上面と発光部との間隔についての説明をするための断面図である。 実施例に用いた本発明の発光装置を示す断面図である。 図5の発光装置における光路線の各種パターンを示す断面図である。 本発明の発光装置における載置部の長さLと、透光性部材上面および発光部の間隔Xと、軸上光度との関係を示すグラフである。 従来の発光装置を示す断面図である。 本発明の発光装置について実施の形態の他の例を示す断面図である。 本発明の照明装置について実施の形態の一例を示す平面図である。 図10の照明装置の断面図である。 本発明の照明装置について実施の形態の他の例を示す平面図である。 図12の照明装置の断面図である。
符号の説明
1:基体
2:反射部材
2a:側壁部
2b:載置部
2c:反射面
2d:載置部の上面
3:透光性部材
4:蛍光体
5:発光素子
6:電気接続手段
7:貫通孔
7a:絶縁性ペースト
8:発光装置
9:反射治具
10:発光装置駆動回路基板

Claims (3)

  1. 平板状の基体と、
    凸状の載置部前記載置部を囲繞する反射面とを有しており、前記基体に接合された反射部材と、
    前記載置部に載置され発光素子と、
    前記反射面の内側に前記発光素子を覆うように設けられており、前記発光素子が発光する光を波長変換する蛍光体を含有する透光性部材とを具備しており、
    前記反射面は、前記発光素子の端部に位置する発光部と前記載置部の上面および側面の間の角とを結ぶ光路線上または該光路線よりも下側に位置する下端を有しており、
    前記基体は、絶縁体であるとともにその上面から外面にかけて配線導体が形成されており、
    前記反射部材は前記載置部の周囲に上下主面間を貫通するとともに前記光路線よりも下側に位置する貫通孔が形成されており、前記発光素子の電極と前記基体の上面の前記配線導体とが前記貫通孔を通してワイヤにより電気的に接続されていることを特徴とする発光装置。
  2. 前記貫通孔は、その内部に前記反射部材の上側主面と面一となるように、絶縁性の光反射粒子を含有した絶縁性ペーストが充填されていることを特徴とする請求項1記載の発光装置。
  3. 請求項1または請求項に記載の発光装置を所定の配置となるように設置したことを特徴とする照明装置。
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