JP3921403B2 - ごみ投入ホッパのブリッジ除去装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばごみ焼却炉のごみ投入ホッパに適用されるブリッジ除去装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
ごみ焼却炉のごみ投入ホッパ(以下単にホッパという場合もある)に於ては、ごみ質の変化(低比重、高カロリ)及び炉内シール性を向上させる為に首長タイプに変更されて来ている。この為、大型ごみが投入された場合には、ホッパ内でブリッジ(架橋)が発生してごみの定量供給性が損なわれ、安定燃焼にも悪影響を及ぼしていた。ブリッジそのものは、従来型のごみ投入ホッパでも発生して居り、以前から問題となっていたが、近年にあっては、ダイオキシン対策として安定燃焼が特に厳しく求められている為、このダイオキシン対策もより確実なものにする必要が生じて来ている。
【0003】
ところで、この種のブリッジ除去装置としては、例えば図2に示したもの(特公昭52−31110号参照)や図3に示したもの(特開平2−254213号、特公平57−3544号参照)が知られている。
前者のブリッジ除去装置50は、基本的には、漏斗状を呈するホッパ51と、ホッパ51の喉部に向けて進退移動可能な棒状の銛(もり)状体52と、銛状体52を進退させる銛状体駆動機とから構成されて居り、銛状体52をごみA中に挿入する事に依りブリッジを除去する様になっている。
後者のブリッジ除去装置60は、基本的には、漏斗状を呈するホッパ61と、ホッパ61の喉部に設けられて下側がホッパ61内に突出すべく出没俯仰可能な板状を呈する押上体62と、ホッパ61に設けられて押上体62を俯仰させる押上体駆動機63とから構成されて居り、押上体62に依りごみAを圧縮した後にこの圧縮を解除する事に依りブリッジを除去する様になっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前者のものは、部分的な除去しかできなかったり、ごみ層に穴が開くだけの効果しかなかったり、銛状体が細長いものであるので、ごみの圧力で曲がったりする事もあった。又、基本的に現場にて確認しながらの操作となる為、作業環境上の安全や衛生上の問題もあった。
他方、後者のものは、押上体に依りごみが押し上げられながら圧縮されるので、押上体より上方で発生したブリッジに対しては効果が出なかった。この為、ブリッジの除去が充分でなく、安定燃焼に悪影響を及ぼす惧れがあった。又、押上体に依りごみを圧縮した後に押上体を元に戻さないと、圧縮されたごみが下方に排出されないので、ブリッジの除去効率が悪かった。
要するに、何れのものも、ブリッジの除去能力が芳しくなかった。
【0005】
本発明は、叙上の問題に鑑み、これを解消すべく創案されたもので、その課題とする処は、ブリッジの除去能力を飛躍的に向上する事ができるごみ投入ホッパのブリッジ除去装置を提供するにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のブリッジ除去装置は、基本的には、漏斗状を呈するホッパと、ホッパの喉部に設けられて上側がホッパ内に突出すべく出没俯仰可能な扇形を呈する押下体と、ホッパに設けられて押下体を俯仰させる押下体駆動機と、ホッパに密封状態で設けられて押下体を収納する押下体収納箱と、から構成した事に特徴が存する。
【0007】
押下体駆動機が作動されると、押下体が俯仰回動されてホッパの喉部に架橋されたごみが上から押し下げられて加圧される事に依り排除され、ブリッジが除去される。
押下体に依りブリッジを下圧する様にしたので、押下体を元に戻す事なく、ブリッジをそのまま下方に排出する事ができる。押下体は、扇形を呈して所謂ブロック状であるので、ごみの圧力に依り変形したり損傷したりする事がない。この為、ブリッジの除去能力を飛躍的に向上する事ができる。
押下体は、扇形を呈して上側がホッパ内に突出すべく出没俯仰可能に設けられているので、ごみの流下に支障を与えないと共に、ホッパとのシールが行ない易く、ホッパとの間にごみを噛み込んだり、押下体収納箱内にごみを引き込んだりする事がない。つまり、押下体は、その上面が円弧状であるので、俯伏回動してホッパ内に突出した時には、この上からのごみが下方に円滑に流れると共に、仰起回動してホッパ内に没入した時には、ごみを一緒に押下体収納箱内に引き込む事がない。
押下体収納箱を設けているので、ホッパからのごみ汚汁や臭気等が外部に漏れる心配がない。
ごみ投入ホッパ内で発生したブリッジを確実且つ効率的に除去できるので、ごみの安定燃焼を継続できると共に、ごみの不安定燃焼に伴って発生するダイオキシンを抑制できる。
【0008】
押下体の下方に位置するホッパに設けられて下側がホッパ内に突出すべく出没俯仰可能な板状を呈する押上体と、ホッパに設けられて押上体を俯仰させる押上体駆動機とを備えているのが好ましい。この様にすれば、押下体と押上体に依りホッパの喉部に架橋されたごみを所謂サンドウィッチ状に挾圧する事ができるので、ブリッジの除去効果を倍化できると共に、広範囲に亘って確実にブリッジを除去できる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明のブリッジ除去装置の概要を示す縦断側面図である。
【0010】
ブリッジ除去装置1は、ホッパ2、押下(おしさげ)体3、押下体駆動機4、押下体収納箱5、押上(おしあげ)体6、押上体駆動機7、押上体収納箱8とからその主要部が構成されて居り、ごみ焼却炉に適用される。
【0011】
ホッパ2は、漏斗状を呈するもので、この例では、鉛直状の前壁(図1に於て左が前)9と、左右の側壁10と、前壁9に対して所定角度(略50度)に傾斜した後壁11とを備えて居り、上部には、投入口12が形成されてクレーンに依りごみAを容易に投入できる様になっている。
【0012】
押下体3は、ホッパ2の喉部に設けられて上側がホッパ2内に突出すべく出没俯仰可能な扇形を呈するもので、この例では、ホッパ2の前壁9側に設けられて居り、鋼板に依り作製されている。押下体3は、断面が所定角度(略60度)の扇形を呈して居り、その要(かなめ)部分には左右方向に水平な支軸13を備えていると共に、左右方向の横幅がホッパ2の前壁9の横幅と略同寸法にされている。つまり、ホッパ2の喉部の前壁9には、押下体3が通過可能な開口14が穿設してあり、押下体3は、要部分が下になると共に、後面がホッパ2の前壁9と面一になる様に配されている。押下体3の円弧状の上面と支軸13とは、同心円状を為していると共に、支軸13は、図略しているが、ホッパ2や押下体収納箱5等の固定側に回転可能に支持されている。
【0013】
押下体駆動機4は、ホッパ2に設けられて押下体3を俯仰させるもので、この例では、押下体3の支軸13に設けられたアーム15と、これを回動させる油圧や電動等のシリンダ16とを備えている。シリンダ16は、図略しているが、ホッパ2等の固定側に支持されている。
【0014】
押下体収納箱5は、ホッパ2に密封状態で設けられて押下体3を収納するもので、この例では、後方が開放した立方状を呈して押下体3を収納できる大きさを備え、ホッパ2の開口14を閉塞すべく前壁9に取付けられている。
【0015】
押上体6は、押下体3の下方に位置するホッパ2に設けられて下側がホッパ2内に突出すべく出没俯仰可能な板状を呈するもので、この例では、ホッパ2の前壁9側に設けられて居り、鋼板に依り作製されている。押上体6は、板状を呈して居り、上部には左右方向に水平な支軸17を備えていると共に、左右方向の横幅がホッパ2の前壁9の横幅と略同寸法にされている。つまり、ホッパ2の喉部の前壁9には、押上体6が通過可能な開口18が穿設してあり、押下体6は、後面がホッパ2の前壁9と面一になる様に配されている。支軸17は、図略しているが、ホッパ2や押上体収納箱8等の固定側に回転可能に支持されている。
【0016】
押上体駆動機7は、ホッパ2に設けられて押上体6を俯仰させるもので、この例では、押上体6を直接回動させる油圧や電動等のシリンダにしてある。シリンダは、図略しているが、ホッパ2等の固定側に支持されている。
【0017】
押上体収納箱8は、ホッパ2に密封状態で設けられて押上体6を収納するもので、この例では、後方が開放した立方状を呈して押上体6を収納できる大きさを備え、ホッパ2の開口18を閉塞すべく前壁9に取付けられている。
【0018】
次に、この様な構成に基づいて作用を述解する。
押下体駆動機4のシリンダ16が伸長作動されると、アーム15を介して押下体3が支軸13を中心に図1に於て時計方向に俯伏回動され、鎖線で示す加圧位置にされる。そうすると、ホッパ2の喉部に架橋されたごみAは、押下体3に依り上から押し下げられて加圧されるので、ホッパ2の喉部から下方へ排出され、ブリッジが除去される。この時、押下体3の上面は、円弧状であるので、上からのごみAが円滑に下方に流下される。
押下体駆動機4のシリンダ16が短縮作動されると、アーム15を介して押下体3が支軸13を中心に図1に於て反時計方向に仰起回動されて実線で示す格納位置に戻される。この時、押下体3の加圧面となる後面は、ホッパ2の前壁9と面一になるので、ホッパ2内のごみAの流下が妨げられる事がない。
【0019】
押下体3に依りブリッジを下圧する様にしたので、押下体3を元に戻す事なく、ブリッジをそのまま下方に排出する事ができる。押下体3は、扇形を呈して所謂ブロック状であるので、ごみAの圧力に依り変形したり損傷したりする事がない。この為、ブリッジの除去能力を飛躍的に向上する事ができる。
【0020】
押上体駆動機7であるシリンダが伸長作動されると、押上体6が支軸17を中心に図1の反時計方向に仰起回動されて鎖線で示す加圧位置にされる。そうすると、ホッパ2の喉部に架橋されたごみAは、押上体6に依り下から押し上げられて加圧されるので、ホッパ2の後壁11に押し付けられて圧縮される。そして、押上体駆動機7であるシリンダが短縮作動されると、押上体6が支軸17を中心に図1の時計方向に俯伏回動されて実線で示す収納位置に戻されるので、圧縮されたごみAが下方へ落下して排出され、ブリッジが除去される。この時、押上体6の加圧面となる後面は、ホッパ2の前壁9と面一になるので、ホッパ2内のごみAの流下が妨げられる事がない。
押上体6は、上部の支軸17を支点として俯仰回動されるので、加圧位置にされても、ごみAが傾斜された押上体6に沿って円滑に流下され、ごみAが押上体収納箱8へ侵入する惧れがない。
【0021】
而して、押下体3が俯伏回動されると共に、押上体6が仰起回動されると、ホッパ2の喉部に架橋されたごみAが両者に依り所謂サンドウィッチ状に挾圧されるので、ブリッジの除去効果が倍化されると共に、広範囲に亘って確実にブリッジが除去される。
【0022】
押下体3は、扇形を呈して上側がホッパ2内に突出すべく出没俯仰可能に設けられているので、ごみAの流下に支障を与えないと共に、ホッパ2とのシールが行ない易く、ホッパ2との間にごみAを噛み込んだり押下体収納箱5内にごみAを引き込んだりする事がない。
押下体収納箱5と押上体収納箱8を設けているので、ホッパ2からのごみ汚汁や臭気等が外部に漏れる心配がない。
ホッパ2内で発生したブリッジを確実且つ効率的に除去できるので、ごみAの安定燃焼を継続できると共に、ごみAの不安定燃焼に伴って発生するダイオキシンを抑制できる。
【0023】
尚、ブリッジ除去装置1は、先の例では、ごみ投入ホッパ2に適用したが、これに限らず、例えばその他のホッパに適用しても良い。
押下体駆動機4は、先の例では、アーム15とシリンダ16とを備えて支軸13を回動させるものであったが、これに限らず、例えば押上体駆動機7の如く、押下体3を直接回動させるシリンダであっても良い。
押上体駆動機7は、先の例では、押上体6を直接回動させるシリンダであったが、これに限らず、例えば押下体駆動機4の如く、アームとシリンダとを備えて支軸17を回動させるものでも良い。
【0024】
【発明の効果】
以上、既述した如く、本発明に依れば、次の様な優れた効果を奏する事ができる。
(1) ホッパ、押下体、押下体駆動機、押下体収納箱とで構成し、とりわけ上側がホッパ内に突出すべく出没俯仰可能な扇形を呈する押下体をホッパの喉部に設け、所謂押下体をブロック状にしてホッパ内のブリッジを直接下圧して排出する様にしたので、ブリッジの除去能力を飛躍的に向上させる事ができる。その結果、ごみの安定燃焼を継続できると共に、ダイオキシンの発生を抑制する事ができる。
(2) 押下体収納箱を設けたので、ホッパからのごみ汚汁や臭気が外部に漏れる惧れがない。この為、極めて衛生的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のブリッジ除去装置の概要を示す縦断側面図。
【図2】従来のブリッジ除去装置の概要を示す縦断側面図。
【図3】従来の他のブリッジ除去装置の概要を示す縦断側面図。
【符号の説明】
1,50,60…ブリッジ除去装置、2,51,61…ホッパ、3…押下体、4…押下体駆動機、5…押下体収納箱、6,62…押上体、7,63…押上体駆動機、8…押上体収納箱、9…前壁、10…側壁、11…後壁、12…投入口、13,17…支軸、14,18…開口、15…アーム、16…シリンダ、18…開口、52…銛状体、A…ごみ。
Claims (1)
- 漏斗状を呈するホッパと、ホッパの喉部に設けられて上側がホッパ内に突出すべく出没俯仰可能な扇形を呈する押下体と、ホッパに設けられて押下体を俯仰させる押下体駆動機と、ホッパに密封状態で設けられて押下体を収納する押下体収納箱と、押下体の下方に位置するホッパに設けられて下側がホッパ内に突出すべく出没俯仰可能な板状を呈する押上体と、ホッパに設けられて押上体を俯仰させる押上体駆動機と、から構成し、押下体と押上体に依りホッパの喉部に架橋されたごみをサンドウィッチ状に挾圧する事を特徴とするごみ投入ホッパのブリッジ除去装置。
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